説明

監視装置及びプログラム

【課題】印刷機器の消耗品に関する警報の見かけ上の解除で警報通知処理の抑制がとぎれないようにする。
【解決手段】定常的ポーリング実行部14は、定期的に印刷機器30の消耗品の残量状態を問い合わせる(定常的ポーリング)。その結果、ある消耗品の残量が警報レベルまで減っていることが分かると、警報通知処理部16が管理者にその警報を通知する。いったん管理者に警報を通知すると、次回以降同じ警報が連続して検出されても、警報抑制制御部18が管理者への通知を抑制する。定常的ポーリング実行部14が定常的ポーリングによりその警報の解除を検出すると、精査ポーリング実行部24が、定常的ポーリングよりも短い間隔で、当該消耗品の残量をポーリングする(精査ポーリング)。精査ポーリングでその消耗品についての警報が検知されると、先の定常的ポーリングでの解除は見かけ上の解除であると判定し、警報抑制制御部18による警報抑制を続行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス内のLAN(ローカルエリアネットワーク)等のネットワーク上のコンピュータに印刷機器の監視のための監視ソフトをインストールし、それを監視装置として利用することが行われている。監視装置は、被監視装置としての印刷機器に対して例えば定期的に問い合わせ(ポーリング)を行って印刷機器からその状態を示す多様な情報を取得する。監視装置は、取得した情報の中に印刷機器が備える例えばトナーや感光体ドラム等の消耗品に関する警報(一次アラート)が含まれていれば、消耗品の交換等を促すために、ポップアップ画面表示や電子メール送信等により、管理者に警報(二次アラート)を通知する。
【0003】
この種の監視装置は、ポーリングにより検出した消耗品に関する一次アラートを記憶しておき、一次アラートの検出に応じていったん管理者に警報(二次アラート)を発した後にポーリングで同じ一次アラートを検出した場合には、管理者への再度の警報通知を抑制している。
【0004】
特許文献1には、ホストコンピュータが複数のプリンタの状態を取得し、選択したプリンタの状態は一覧表示し、非選択のプリンタの状態は簡略表示するシステムが開示されている。
【0005】
特許文献2には、パーソナルコンピュータがプリンタから定期的にトナーカートリッジの交換日時やトナー残量などの複数の状態パラメータを取得し、それら複数の状態パラメータの論理演算結果に対応するメッセージを表示する装置が開示されている。例えば、交換日時から所定期間以上経過し、且つトナー残量が閾値以上であれば、トナーを早急に使用する必要がある旨のメッセージを表示する。
【0006】
特許文献3に示されたシステムでは、各イントラネットに監視装置が設けられる。監視装置は、イントラネット上の各複写機の状態を監視し、その監視結果をインターネット上の監視ホストに送信する。監視ホストは、複写機に障害が生じたことを検出すると、その旨をディスパッチャに電子メール等で通知する。ディスパッチャは、その通知に従い、必要な対処を行う。ここで、監視装置からある複写機に障害が生じた旨の通知を受けた場合、監視ホストは、その障害が電源のオン・オフで解消する種類の障害であるか否かを判定し、当該種類の障害である場合は、ディスパッチャには即座に通知は行わない。そして、その監視装置からの次の通知で同じ障害が継続している場合に初めてディスパッチャに通知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−293336号公報
【特許文献2】特開2007−196642号公報
【特許文献3】特開2007−058766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
監視装置により被監視機器としての印刷機器の監視を行う場合において、印刷機器の機種あるいは状況によっては、実際には警報発生状態が続いているにもかかわらず、様々な原因により一時的に警報解除状態が生じることがある。そのような一過性(以下、「見かけ上」と言う)の警報解除状態の後に警報(一次アラート)が生じた時点で、監視装置がそれを新しい警報であると誤認し、管理者に対して警報(二次アラート)を再び通知してしまう。監視の信頼性を高めるために、一次アラートの有無を忠実に監視する一方において、管理者への二次アラートの誤報をできるだけ防止することが監視装置に求められている。
【0009】
本発明は、印刷機器の消耗品に関する見かけ上の警報解除に起因して生じる管理者への警報の再通知(誤報)を解消又は軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、消耗品を有する印刷機器から状態情報を周期的に取得する取得手段と、前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、消耗品警報の発生状態から解除状態への第1状態移行及び消耗品警報の解除状態から発生状態への第2状態移行を判定する第1判定手段と、前記第1状態移行が判定された場合に、前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、当該第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第2判定手段と、前記実際の第1状態移行が判定され、且つ、その後に前記第2状態移行が判定された場合に、管理者に対して前記消耗品に関する警報を通知する通知手段と、を含む、監視装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記取得手段は、前記印刷機器から状態情報を周期的に取得する定常的ポーリングを実行する定常的ポーリング実行部と、前記第1状態移行が判定された場合に、前記印刷機器に対して前記定常的ポーリングより短周期の精査ポーリングを実行する精査ポーリング実行部と、を含み、前記第2判定手段は、少なくとも前記精査ポーリングによって取得された状態情報を参照することにより前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する、ことを特徴とする請求項1記載の監視装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記第2判定手段は、前記第1状態移行前後の状態情報の変化から前記印刷機器の実稼働量を示す数値を演算する演算部を更に備え、前記精査ポーリングによって取得された状態情報及び前記演算部によって演算された前記実稼働量を示す数値に基づいて、前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する、ことを特徴とする請求項2記載の監視装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、警報感度の指定を受け付ける指定受付手段と、前記指定受付手段で指定された警報感度に応じて、前記精査ポーリング実行部による前記精査ポーリングの実行条件と、前記第2の判定手段が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定するための前記実稼働量を示す数値についての判定条件と、を連動して切り替える切り替え手段と、を更に備える請求項3に記載の監視装置である。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記第2の判定手段は、前記精査ポーリングによって取得された状態情報に基づいて前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第1の基礎判定と、前記演算部によって演算された前記実稼働量を示す数値に基づいて、前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第2の基礎判定と、前記第1の基礎判定及び前記第2の基礎判定の結果に基づき前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかの総合判定と、を実行し、前記切り替え手段は、前記総合判定において前記実際の第1状態移行と判定するために前記第1の基礎判定と前記第2の基礎判定の判定結果の組合せが満たすべき条件を、前記指定受付手段で指定された警報感度に応じて、前記精査ポーリング実行部による前記精査ポーリングの実行条件及び前記実稼働量を示す数値についての判定条件と連動して切り替える、ことを特徴とする請求項4に記載の監視装置である。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記切り替え手段は、前記警報感度が低くなるほど、前記精査ポーリングの実行条件の切り替えとして、前記精査ポーリングの実行回数を多くするか又は前記精査ポーリングの実行間隔を大きくするかのうちの少なくとも1つを実行すると共に、前記実稼働量を示す数値についての判定条件の切り替えとして、前記実際の第1状態移行と判定するための当該数値についての閾値を大きくする、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の監視装置である。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記精査ポーリング実行部は、前記第1判定手段が前記第1状態移行を判定した後、次の定常的ポーリングが実行されるより前に、前記精査ポーリングを実行する、ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の監視装置である。
【0017】
請求項8に係る発明は、警報感度の指定を受け付ける指定受付手段と、前記指定受付手段で指定された警報感度が低くなるほど、前記精査ポーリング実行部による前記精査ポーリングの実行条件を、前記精査ポーリングの実行回数を多くするか又は前記精査ポーリングの実行間隔を大きくするように、切り替える切り替え手段と、を更に備える請求項2に記載の監視装置である。
【0018】
請求項9に係る発明は、前記第2判定手段は、前記第1状態移行前後の状態情報の変化から前記印刷機器の実稼働量を示す数値を演算する演算部と、少なくとも前記実稼働量を示す数値に基づいて、前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する判定部と、を含む、請求項1記載の監視装置である。
【0019】
請求項10に係る発明は、警報感度の指定を受け付ける指定受付手段と、前記指定受付手段で指定された警報感度に応じて、前記判定部が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定するための前記実稼働量を示す数値についての判定条件と、を連動して切り替える切り替え手段と、を更に備える請求項9に記載の監視装置である。
【0020】
請求項11に係る発明は、前記切り替え手段は、前記警報感度が低くなるほど、前記実稼働量を示す数値についての判定条件の切り替えとして、前記実際の第1状態移行と判定するための当該数値についての閾値を大きくする、ことを特徴とする請求項10に記載の監視装置である。
【0021】
請求項12に係る発明は、前記実稼働量は、前記第1状態移行前後の総印刷枚数の変化であることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の監視装置である。
【0022】
請求項13に係る発明は、前記実稼働量は、前記第1状態移行前後の前記消耗品の残量の変化であることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の監視装置である。
【0023】
請求項14に係る発明は、コンピュータを、消耗品を有する印刷機器から状態情報を周期的に取得する取得手段、前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、消耗品警報の発生状態から解除状態への第1状態移行及び消耗品警報の解除状態から発生状態への第2状態移行を判定する第1判定手段、前記第1状態移行が判定された場合に、前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、当該第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第2判定手段、前記実際の第1状態移行が判定され、且つ、その後に前記第2状態移行が判定された場合に、管理者に対して前記消耗品に関する警報を通知する通知手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1又は14に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、見かけ上の警報解除に起因する管理者への誤報が軽減又は解消される。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、見かけ上の警報解除の的確な判定により管理者への誤報が軽減又は解消される。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、見かけ上の警報解除のより的確な判定により管理者への誤報が軽減又は解消される。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、精査ポーリングの実行条件と実稼働量を示す数値についての判定条件とを、警報感度という1つの指標の指定により連動して切り替えることができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、第1の基礎判定のための精査ポーリングの実行条件及び第2の基礎判定のための実稼働量を示す数値についての判定条件のみならず、第1の基礎判定と第2の基礎判定の判定結果に基づく総合判定での判定条件も、警報感度に連動して切り替えることができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、警報感度が低くなるほど、第2判定手段で実際の第1状態移行と判定されにくくなるよう、精査ポーリングの実行条件と実稼働量を示す数値についての判定条件を切り替えることができる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、第1状態移行が見かけ上のものか実際のものかを、定常的ポーリングのみから判定する場合よりも早く判定することができる。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、警報感度が低くなるほど、第2判定手段で実際の第1状態移行と判定されにくくなるよう、精査ポーリングの実行条件を切り替えることができる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、見かけ上の警報解除の的確な判定により管理者への誤報が軽減又は解消される。
【0033】
請求項10に係る発明によれば、実稼働量を示す数値についての判定条件を、警報感度という指標の指定により切り替えることができる。
【0034】
請求項11に係る発明によれば、警報感度が低くなるほど、第2判定手段で実際の第1状態移行と判定されにくくなるよう、稼働量を示す数値についての判定条件を切り替えることができる。
【0035】
請求項12に係る発明によれば、第1状態移行が実際のものか見かけ上のものかを、印刷機器の多くの機種が管理している総印刷枚数の情報に基づき判定することができる。
【0036】
請求項13に係る発明によれば、消耗品警報についての第1状態移行が実際のものか見かけ上のものかを、当該消耗品の残量という、当該消耗品に直接関係する状態量に基づき判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態に係る監視装置の第1の例を示す図である。
【図2】図1に示した第1の例の解除判定部の処理手順の例を示す図である。
【図3】図1に示した第1の例における、警報感度ごとの精査ポーリングについての設定値の例を示す図である。
【図4】実施形態に係る監視装置の第2の例を示す図である。
【図5】図4に示した第2の例の解除判定部の処理手順の例を示す図である。
【図6】第2の例における警報感度ごとの総印刷枚数の差についての閾値設定の例を示す図である。
【図7】実施形態に係る監視装置の第3の例を示す図である。
【図8】図7に示した第3の例の解除判定部の処理手順の例を示す図である。
【図9】実施形態に係る監視装置の第4の例を示す図である。
【図10】図9に示した第4の例における警報感度ごとの各種設定の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
各図を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0039】
図1に示すシステムの例では、ローカルエリアネットワーク等のネットワーク35に対して、実施形態に係る監視装置10、複数の印刷機器(被監視機器)30及び管理者PC(パーソナルコンピュータ)32が接続されている。また、このネットワーク35はインターネット40に接続されており、例えば管理者PC32からインターネット上の消耗品販売サイト42にアクセス可能となっている。なお、監視装置10と1又は複数の印刷機器30とで監視機能付き印刷システムが構成される。監視装置10と消耗品販売サイト42とで消耗品発注配送システムが構成される。図1に示すシステムはそれ全体として印刷の実行から消耗品の配送までを電子的に連携して行える総合システムである。
【0040】
各印刷機器30は、ネットワークプリンタ、ファクシミリ、デジタル複写機、デジタル複合機(プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の機能を兼ね備えた多機能装置)などといった印刷機能を持つ装置である。各印刷機器30には、トナーカートリッジや感光体ドラムカートリッジなどといった、交換可能な消耗部品(以下、消耗品と呼ぶ。)が装着されている。また、各印刷機器30は、監視装置10からの周期的な問い合わせ(ポーリング)に対して応答する機能を備えている。各印刷機器30は、図示されていないが、複数のセンサ、警報判断部、管理テーブル、等を有する。複数のセンサは、検出対象となった各構成要素についてその状態を検出する。警報判断部は、警報判断対象となった構成要素ごとにセンサ検出結果に基づいて警報(ローカルアラートとしての一次アラート)を発生させるか否かを判断する。管理テーブル(データベース)には印刷機器30に関する状態情報が記録され、それはセンサ検出結果や警報判断部の判断結果等が記録される記憶部である。管理テーブルは多数のレコードからなり、監視装置10から見て参照対象テーブルである。具体例をもって説明すると、例えば、装着された消耗品ごとにその消耗品の残量が残量センサにより検出される。警報判定部は、センサの検出値が、新品へ交換した方がよい程度まで消耗品の残量が少なくなったレベル(「残量僅少」)、消耗品の残量がゼロになったレベル(「残量無し」)などといった警報レベルに達しているかどうかを判定し、その判定結果を管理テーブルに記録する。監視装置10から問い合わせがあった場合、印刷機器30では、管理テーブルを構成するレコード群の全部又は一部のレコードの値(レコードデータ)を監視装置へ応答する処理が実行される。複数の印刷機器30は、それぞれ異なる機種であってもよく、異なるメーカーの製品であってもよい。
【0041】
監視装置10は、上記のように、各印刷機器30の状態を監視する装置であり、この実施形態では特に各印刷機器30が有する消耗品の状態を監視する。監視装置10において、ネットワークインタフェース12は、ネットワーク35を介して他の装置(例えば印刷機器30)との間でデータ通信を行うための装置である。定常的ポーリング実行部14、警報通知処理部16などの各機能モジュールは、このネットワークインタフェース12を介して、ネットワーク35上の装置と通信する。監視装置10が具備する各機能はソフトウエアにより実現されている。
【0042】
この実施形態においては、ポーリング実行部として2つのポーリング実行部すなわち定常的ポーリング実行部14と精査ポーリング実行部24とが設けられている。もちろん、それらが単一のソフトウエアによって実現されてもよい。まず前者について説明する(後者については後に説明する)。定常的ポーリング実行部14は、被監視機器としての各印刷機器30の状態を定常的に監視するために、特に消耗品の状態を監視するために、各印刷機器30に対して周期的にポーリングを行う機能モジュールである。この定常的ポーリングでは、例えば、印刷機器30が備える消耗品(トナーカートリッジや感光体ドラムカードリッジなど)ごとに、その消耗品の残量に関する警報の有無を示す情報(警報発生状態か警報解除状態かを示す情報)を収集する。もちろん、一般にはポーリングにより更に多くの別の情報が収集される。この定常的ポーリングにて警報発生状態を示す情報が収集された場合、監視装置10は内部的に一次アラートを発することになる。この定常的ポーリングは、あらかじめ定めたポーリング実行間隔(周期)ごとに定期的に行われる。この定常的ポーリングでの問い合わせ間隔(ポーリング実行間隔)を、例えば数分から数日程度の範囲で、監視装置10の管理者が選択できるようにしてもよい。この定常的ポーリングは、基本的には従来の監視装置が行っていたものと同様のものである。定常的ポーリング実行部14が行った個々の定常的ポーリングの結果を示すログ情報は、監視装置10内の記憶装置22に記憶される。記憶装置22に記憶されるログ情報には、例えば、ポーリングの実行日時、ポーリング先の印刷機器30の識別情報、及び、ポーリング結果の情報が含まれる。ポーリング結果の情報は、ポーリング先の印刷機器30からの応答から求められる情報である。ポーリング結果には、例えば、ポーリング先の印刷機器30が備える消耗品ごとに、その消耗品の識別情報、及びその消耗品の状態の情報などが含まれる。消耗品の状態の情報には、例えば、その消耗品の残量のレベルの情報が含まれる。残量についての何段階かのレベルの中には、「残量僅少」、「残量無し」などといった警報レベルが含まれる。すなわち、定常的ポーリングにより得た情報から一次アラートが判定された場合、その一次アラートの情報がログに記録される。
【0043】
警報通知処理部16は、本実施形態において、第1判定手段、第2判定手段及び通知手段として機能する。ここで、第1判定手段は、警報発生状態から警報解除状態への状態移行(第1状態移行としての解除状態移行)と、警報解除状態から警報発生状態への状態移行(第2状態移行としての発生状態移行)と、を判定する。解除状態移行及び発生状態移行の両者の判定とも警報通知処理部16の機能として実現されているが、図1においては、特に後者の判定を行うモジュールが警報抑制制御部18として表現されている。第2判定手段は、見かけ上の解除状態と実際の解除状態とを識別して、見かけ上の解除状態があっても警報発生状態を維持するようにする(つまり発生移行状態が判定されて管理者へ重複した警報が生じないようにする)。そのような処理を行うモジュールが、図1において、解除判定部20aとして表現されている。通知手段は、第2判定手段によって実際の解除状態(解除状態移行)が判定され、且つ、その後に第1判定手段によって発生状態移行が判定された場合に、つまり二段階の判定をクリアした場合に、管理者に対して消耗品に関する警報(二次アラート)を通知する。以下、各手段の内容について実施形態の構成に即してより具体的に説明する。
【0044】
最初に警報通知処理部16について一般的な事項を説明する。警報通知処理部16は、定常的ポーリング実行部14によるポーリング結果において、残量が警報レベルに達していることが検出された消耗品つまり警報(一次アラート)を生じさせた消耗品があれば、その消耗品について管理者に対して警報(二次アラート)を通知する警報通知処理を行う。警報通知処理では、警報の対象である印刷機器30の識別情報、消耗品の識別情報、及び、警告レベルの情報が通知される。そこに、警報の検出日時の情報を含めてもよい。管理者への警報通知は、具体的には、例えば、監視装置10にログインしている管理者PC32に対して、警報通知のためのダイアログ画面をポップアップ表示により提供したり、あるいは管理者に対して電子メールを送信したりすることにより行う。警報通知には、消耗品販売サイト42における、警報対象の消耗品の販売用ウェブページへのリンクが含まれていてもよい。管理者は、管理者PC32上でその警報通知を閲覧し、その結果消耗品の補充を必要と判断すれば、消耗品販売サイト42にアクセスして購入手続を行う。消耗品販売サイト42は注文された消耗品の自動配送処理等を行うものである。
【0045】
なお、管理者のPC自体を監視装置10として用いる場合もあり、このような場合には、警報通知のためのポップアップ表示は監視装置10自身の画面に表示される。監視装置10が特定の印刷機器30内に組み込まれるシステム構成も考えられる。
【0046】
警報通知処理部16について更に説明すると、警報通知処理部16は、本実施形態において、図1に示されるように、警報抑制制御部18及び解除判定部20aを備える。
【0047】
警報抑制制御部18は、一次アラートが周期的に検出される過程において、管理者に対して、一次アラートの検出の都度、同じ警報(二次アラート)が繰り返し通知されることを抑制するための制御を行う。すなわち、定常的ポーリングにより、ある印刷機器からの応答として、ある消耗品の残量がある警報レベルに到達したことを示す警報(一次アラート)を得た場合、警報抑制制御部18は、記憶装置22に記憶されたログを参照することで、当該印刷機器に対する前回の定常的ポーリングで同じ消耗品について同じ警報(一次アラート)が検出されていれば(そして管理者にその警報について二次アラートを通知していれば)、今回のポーリング結果に含まれる警報(一次アラート)については管理者への警報の通知(二次アラート)を行わないように通知処理を抑制する。結果として、この警報抑制制御部18は、個々の監視対象ごとに、警報解除状態から警報発生状態への状態移行を判定しそれ以外を無視するものであると認められる。警報抑制制御部18によれば、新たに警報発生状態が生じた時点で管理者に対して1回の警報(二次アラート)が通知されることになるから、管理者における重複した消耗品発注等が効果的に回避され得る。
【0048】
なお、各印刷機器30において、それが有する管理テーブル上に、各印刷機器の消耗品ごとに警報発生状態か否か(及び警報発生状態にある場合はその警報レベル)を表示するフラグが記録されている場合には、個々のフラグを参照して上記判定を行う。このフラグは、警報レベル数+1の段階を表現できるものである。管理テーブルを管理する警報判断部が、フラグの値として、初期状態において警報解除状態を示す値をセットし、警報レベルが検出されると、その警報レベルを示す値をセットする。また、警報が解除されたと判定されると、そのフラグの値を、警報解除状態を示す値にリセット(変更)する。
【0049】
ところで、上記の警報抑制制御だけで警報の抑制を行う場合、定常的ポーリングにおいて同じ警報(一次アラート)の連続した繰り返し判定が一度でも断たれると、その時点で上記の警報抑制制御が直ちに解除されることになる。すなわち、それまで連続して繰り返し判定されていた特定の警報(一次アラート)がある回の定常的ポーリングで判定されなかった場合、警報抑制制御は一律に解除される。よって、その後の定常的ポーリングで同じ警報(一次アラート)の発生が判定されたならば、警報(二次アラート)が管理者に対して再び通知されることになる。上記の警報抑制制御は、警報解除状態から警報発生状態への状態移行に反応して管理者への警報通知を行うものであって、解除の本性までを見極めるものではないからである。
【0050】
しかし、印刷機器30の機種あるいは状況によっては、実際には警報発生状態のままであるのにもかかわらず、見かけ上警報(一次アラート)が解除されてしまう場合がある。
【0051】
例えば、印刷機器の中には、節電モード中においてもポーリングに対して警報発生状態が生じている旨を回答できるようにしている機種があるが、節電モードからの復帰処理が完了するまでの短い期間内にポーリングが実行された場合に、実際には警報発生状態が継続しているにも関わらず、警報発生状態が生じている旨の回答をしない仕様を持つ機種もある。したがって、ポーリングのタイミングが偶然そのような期間に当てはまってしまった場合、実際には警報発生状態が継続していても、監視装置において警報解除状態を判定してしまう場合がある。
【0052】
また、印刷機器の中には、消耗品の残量に関する警報発生状態については、電源投入から一定期間は、実際には警報発生状態が生じていても、監視装置からのポーリングに対して警報発生状態が生じている旨を回答しない仕様を持つ機種もある。したがって、ポーリングのタイミングが偶然そのような期間に当てはまってしまった場合、実際には警報発生状態は解除されていないにもかかわらず、監視装置からは見かけ上警報(一次アラート)が解除されたように見えてしまう。
【0053】
また、印刷機器によっては、トナーの残量が減って警報が出た場合において、トナーカートリッジを取り外した上でそれを振ってから再装着すると、警報が一時的に出なくなることもある。
【0054】
このように、様々な理由から、印刷装置の消耗品に関する警報発生状態が監視装置から見て一時的に解除されているように見える状況が生じる。このような見かけ上の解除が生じても、その後まもなく同じ警報発生状態に戻ってしまうので、その後のポーリングでは、監視装置において、新たな警報発生状態の発生であるとの誤認が生じることになり、結果として、管理者に再び警報が発せられることになる。この場合、例えば、前回の警報が実際に解消された後に再び同じ警報が発生したのか、それとも前回の警報がそのまま継続しているのかが、管理者において区別困難となる。
【0055】
そこで、本実施形態では、解除判定部20aが、定常的ポーリングにより検出された警報の解除が、見かけ上の解除状態か実際の解除状態かを判定するようにしている。具体的には、見かけ上の解除状態と判定した場合は、警報通知の抑制を解除しないつまり抑制を維持するようにしている。
【0056】
見かけ上の警報解除か否かの判定方法として幾つかの手法があげられる。例えば、以下に図1を用いて説明するように、定常的ポーリングとは別の精査ポーリングを追加的に実行して事後的情報にて精査を行う方法があげられる。また、後に説明するように、注目している警報の有無を示す情報以外の情報(特に実稼働量を示す情報)を別途参照して精査を行う方法があげられる。更に、それらを組み合わせた方法があげられる。いずれにしても、今まで参照されていない情報までを考慮して判定を行えば解除状態が生じた否かの判定精度を高められる。
【0057】
図1の例では、解除判定部20aは、定常的ポーリングにより検出された警報の解除が見かけ上のものかどうかを、精査ポーリング実行部24による精査ポーリングを用いて判定する。精査ポーリング実行部24は、解除判定部20aからの指示に応じて、定常的ポーリングよりも短いポーリング実行間隔(周期)で、精査ポーリングを行う。具体的には、ある印刷機器30のある消耗品についてそれまでの定常的ポーリングで警報が検出されていたのに、今回の定常的ポーリングで警報が検出されなくなった(すなわち解除された)場合、その解除が実際のものか見かけ上のものかを確認するために事後的により細かい時間間隔の精査ポーリングを実施するものである。したがって、精査ポーリングの対象は、基本的に、定常的ポーリングにより警報の解除が検出された印刷機器30だけでよく、問い合わせる内容も、それまで警報の対象であった消耗品の状態だけでよい。もっとも、必要に応じて他の情報を取得するようにしてもよい。
【0058】
精査ポーリングは、定常的ポーリング実行部14による定常的ポーリングにより警報の解除が検出されたことを契機として開始され、あらかじめ定めた実行回数だけ繰り返される。例えば、一連の精査ポーリングは、次の定常的ポーリングのタイミングよりも前に完了するようにする。このために、精査ポーリングの実行間隔は、定常的ポーリングの実行間隔を例えば(実行回数+k)(kは自然数)で割るなどの方法で決定してもよい(もちろん、これに限るものではない)。精査ポーリングの実行間隔を定常的ポーリングの実行間隔を基準に規定しておくことで、定常的ポーリングの実行間隔の設定値が変更されても、精査ポーリングの実行間隔がその変更に自動的に追従する。
【0059】
解除判定部20aは、検出された一次アラートの解除が見かけ上のものか実際のものかを精査ポーリングの結果に基づいて判定する精査ポーリング結果判定部21aを備える。精査ポーリング結果判定部21aは、精査ポーリング実行部24の精査ポーリングの対象となった警報が再度検出されると、先の警報の解除は見かけ上のものであると判定して、警報抑制制御部18にその警報についての二次アラートの通知抑制の続行を指示する。すなわち、警報発生状態から警報解除状態への状態移行が現実に検出されていても、それを無視し、なお警報発生状態が継続しているものとして取り扱う。従って、警報発生状態の再検出を事実上行えない状態となる。
【0060】
図2に、この解除判定部20aの処理手順の一例を示す。この手順では、解除判定部20aは、定常的ポーリングにより既存の警報(一次アラート)の解除を検出すると(S10:第1判定)、精査ポーリング実行部24に精査ポーリングを指示する。この指示を受けた精査ポーリング実行部24は、精査ポーリングのポーリング実行間隔だけスリープ(S12)したのち、解除が検出された既存の警報の対象である印刷機器30に対し、その警報の対象である消耗品の状態を問い合わせる精査ポーリングを行う(S14)。
【0061】
印刷機器30は、この精査ポーリングに対して応答を行う。警報の解除が見かけ上のものであり、この精査ポーリングの時点でその見かけ上の解除の原因が解消(例えば節電モードからの復帰が完了になるなど)した場合には、印刷機器30は、その精査ポーリングに対して、警報発生状態を示す情報を返信することになる。逆に、見かけ上の解除の原因が解消していない場合、又は、警報の解除が見かけ上のものでなく実際のものである場合は、印刷機器30は、警報解除状態を示す情報を返信することになる。
【0062】
解除判定部20aの精査ポーリング結果判定部21aは、このような印刷機器30からの応答内容が、警報発生状態と警報解除状態のいずれを示すものかを判定する(S16:第2判定)。そして、応答が警報発生状態を示すものであれば(S16の判定結果がNo)、S10で定常的ポーリングにより解除が検出された既存の警報を継続させるための判定(及び必要な処理)を実行する(S18)。この場合、ログ情報における、今回の定常的ポーリングにおける警報が解除された旨のポーリング結果を、解除されなかった旨を示すように修正してもよい。また、この代わりに、定常的ポーリングの結果としては警報が解除された旨を記録しておき、次の警報抑制判定のための情報として、その解除は見かけ上のものである旨の情報を記録するようにしてもよい。同様に、警報抑制の判定のためにフラグを用いる場合には、定常的ポーリングの結果としては警報が解除された旨を記録しつつも、そのフラグを警報解除状態の値にリセットしないようにしてもよい。
【0063】
S16で、精査ポーリングの結果が警報解除状態を示していた場合、精査ポーリング結果判定部21aは、あらかじめ設定された実行回数分の精査ポーリングが済んでいるかどうかを判定し(S20)、済んでいなければ、S12に戻って再度精査ポーリングを行う。このようにして、設定された実行回数分の精査ポーリングの完了までに、一度でも当該警報が検出された場合は、警報発生状態が継続していると判定し(S18)、当該警報についての通知抑制の解除を取りやめる。一方、実行回数分の精査ポーリングにおいて一度も当該警報が検出されなかった場合は、解除判定部20aは、当該警報が実際に解除されたものと判定する(S22)。警報抑制の判定のためにフラグを用いる場合には、そのフラグを警報解除状態の値にリセットする。
【0064】
図2の手順における精査ポーリングの実行回数やポーリング実行間隔は、監視装置10の管理者が設定できるようにしてもよい。この設定は、具体的に個別の数値を設定する方式でもよいが、設定操作を容易にするためにレベル指定の形で指定できるようにしてもよい。一例として、図3に、警報感度に応じて精査ポーリングの実行回数及びポーリング実行間隔を切り替える例を示す。
【0065】
警報感度は、定常的ポーリングにより検出された警報(一次アラート)が、管理者への警報通知(二次アラート)に繋がる度合いを示す値である。警報感度が高いほど、管理者に対し二次アラートが発せられやすい。この実施形態では、警報感度を、警報(一次アラート)の解除が「実際の解除」であると判定される「判定されやすさ」に対応づける。
【0066】
例えば、警報(一次アラート)の解除が検出された後に同じ一次アラートが検出された場合、その一次アラートの解除が見かけ上のものであると判定されれば、その後に同じ一次アラートが検出されても管理者に二次アラートが発せられることはない。これに対し、その解除が実際の解除であると判定されると、その後に同じ一次アラートが検出されると管理者に二次アラートが発せられることになる。このように、同じ一次アラートの解除が実際のものと判定されるか見かけ上のものと判定されるかで、管理者に対して二次アラートが発せられるか否かが変わってくる。すなわち、一次アラートの解除が「実際の解除」であると判定されやすい条件にすれば、そうでない条件を採用する場合に比べて、一次アラートの検出に応じて管理者へ警報(二次アラート)が発せられる可能性、すなわち警報感度、は相対的に高くなる。
【0067】
警報感度という呼び方を採用しているのは、管理者(人間)から見た場合の直感的な分かりやすさを考慮したためである。管理者から見た警報は二次アラートのことであり、警報についての「感度」が高いとは、警報が発せられやすいことを意味する。
【0068】
一方、監視装置10の側では、警報感度が高さを、一次アラートの解除を「実際の解除」と判定するための条件の度合い(緩さ)に対応づけている。すなわち、警報感度が高いほど、一次アラートの解除が「実際の解除」と判定されやすい条件を採用する。このような警報感度と条件の対応づけの一例を示すのが、図3である。
【0069】
図3の例では、警報感度を、最高、高、中、低の4つのレベルに分けている。警報感度「最高」は、定常的ポーリングの結果をそのまま受け入れるものであり、警報(一次アラート)の解除が検出されても精査ポーリングによる判定は行わず、自動的に実際の解除とみなす。したがって、その後の定常的ポーリングで同じ一次アラートが検出されると、管理者に二次アラートが通知されることになる。すなわち、警報感度「最高」では、すべての一次アラートの解除が自動的に実際の解除とみなされるので、より低い警報感度なら見かけ上の解除とみなされるため発せられない二次アラートも発せられることになり、その分だけ警報の頻度が高くなる。警報感度が「高」、「中」、「低」の各レベルでは、精査ポーリングによる判定を行うが、精査ポーリングの実行回数及びポーリング実行間隔がレベルごとに異なる。全体の傾向としては、警報感度が高いほど、実行回数は少なくなり、ポーリング実行間隔は短くなっている。図2の手順では、実行回数分のすべての精査ポーリングにて一次アラートの解除(すなわち警報解除状態)が検出されないと、実際の解除とみなされないので、実行回数が少ないほど、実際の解除と判定されやすいと言える。また、ポーリング実行間隔が短いほど精査ポーリングが繰り返される期間が短く、いったん解除が検出された一次アラートの再発がそのような短い期間内に検出される可能性は相対的に低いので、見かけ上の解除と判定されにくい(逆に言えば実際の解除と判定されやすい)といえる。逆に、警報感度が低いほど、精査ポーリングの実行回数が多く、精査ポーリングを繰り返す期間が長くなり、慎重な判定が行われることになる。実行回数が多くなり精査ポーリングの期間が長くなるほど、実際の解除と判定されにくいといえる。
【0070】
図3では、実行回数は「少」、「中」、「多」、ポーリング実行間隔は「短」、「中」、「長」などと抽象的に示したが、実際の設定情報では、各レベルに対して実行回数とポーリング実行間隔の具体的な値が設定される。管理者は、例えばグラフィカルユーザインタフェースにてその4レベルから所望のものを選択する。
【0071】
図3の例では、警報感度に応じて実行回数とポーリング実行間隔の両方を変化させたが、一方のみを変化させるようにしてもよい。
【0072】
次に、図4〜図6を参照して、別の例を説明する。図4において、図1に示す構成要素と同様の機能を持つ構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
図4の例は、解除判定部20bの行う判定処理の内容だけが、図1の例とは異なる。すなわち、図1の解除判定部20aは、定常的ポーリングにより検出された警報(一次アラート)の解除が見かけ上のものかどうかを精査ポーリング実行部24の精査ポーリングにより判定した。これに対し、図4の例では、その判定を、総印刷枚数比較部21bによる総印刷枚数の変化の評価に基づき行う。
【0074】
すなわち、図4の例では、定常的ポーリング実行部14は、毎回の定常的ポーリングの際に、ポーリング先の印刷機器30の総印刷枚数の情報を取得し、例えばログ情報の一部として記憶装置22に記憶する(過去の総印刷枚数23a)。過去の総印刷枚数23aには、印刷機器ごとに過去の定常的ポーリングの度に取得した総印刷枚数の情報が含まれる。印刷機器30は、一般に、出荷後の印刷枚数を累計するカウンタを備えており、定常的ポーリングの際に、このカウンタの値を総印刷枚数として収集すればよい。
【0075】
ある時の定常的ポーリングによりある印刷機器30のある消耗品についての警報が解除されたことが検出された場合、総印刷枚数比較部21bは、今回の定常的ポーリングで得た総印刷枚数と、記憶装置22に記憶された当該印刷機器30の前回の定常的ポーリング時の総印刷枚数とを比較する。そして、それら両者の差があらかじめ定めた閾値未満である場合、その警報(一次アラート)の解除が見かけ上のものであると判定し、警報通知抑制を続行する。前回と今回の総印刷枚数の差が閾値以下ということは、前回の定常的ポーリングから今回の定常的ポーリングまでの間の当該印刷機器30があまり稼働(印刷)していないということである。すなわち、総印刷枚数の変化は、印刷機器30の実際の稼働量を示す指標値の1つといえる。警報が検出されていた時点からあまり稼働していない間に警報の状態が実際に解除される可能性は低く、定常的ポーリングで解除が検知されたとしても、節電モードからの復帰時などのような見かけ上の解除の可能性が高いといえる。
【0076】
なお、前回と今回の定常的ポーリングの間の総印刷枚数の変化が少ない場合でも、前回と今回との間に警報の対象の消耗品が交換されている場合はあり得る。対象の消耗品が交換されている場合、今回の定常的ポーリングで検出された警報の解除は見かけ上のものではなく実際のものである。したがって、このようなケースを見かけ上の解除と誤判定しないよう、例えば、定常的ポーリングの際に、各消耗品の交換の際に開閉される印刷機器30の各ドアが開け閉めされたかの情報も収集するようにしてもよい。今回の定常的ポーリングで収集したその情報から当該警報の対象の消耗品に対応するドアが開け閉めされたことが分かれば、総印刷枚数の前回との差が閾値未満であっても、今回の定常的ポーリングで検出された当該警報の解除は見かけ上のものでなく、実際のものであると判定する。
【0077】
もっとも、仮に実際の解除を見かけ上の解除と誤判定したとしても、その後印刷機器30が通常通り稼働すれば、その後の定常的ポーリングにより総印刷枚数の変化が閾値以上になり、且つ警報の解除が検出されることになるので、その誤判定は比較的早期に自然に解消される。したがって、上述した誤判定対策は必ずしも必要ではない。
【0078】
図4の解除判定部20bの処理手順の例を図5に示す。この手順では、解除判定部20bは、定常的ポーリングにより既存の警報(一次アラート)の解除を検出すると(S30)、継続フラグがオンであるか否かを判定する(S32)。継続フラグは、警報ごと、すなわち各印刷機器30の消耗品ごと(当該消耗品の警報レベルが複数段階ある場合は更にそのレベルごと)に用意されたフラグであり、初期値は「オフ」であり、当該警報(一次アラート)が検知され警報通知処理部16による管理者への二次アラートの通知が行われた後初めて定常的ポーリングによりその一次アラートの解除が検知された場合に「オン」になり、解除判定部20bによりその警報が実際に解除されたと判定されると「オフ」になる。すなわち、S32では、S30で検出した「既存警報の解除」が、当該既存警報(一次アラート)が初めて検知され警報通知処理部16による二次アラートの通知が行われた後の、最初の一次アラートの解除の検出であるか否かを判定している。S32で継続フラグがオフであると判定された場合、当該警報について初めて解除が検出されたので、前回の定常的ポーリングの際に取得した総印刷枚数を記憶装置22から読み出し、その総印刷枚数を制御変数「前枚数」に代入する(S34)。S32で継続フラグがオンであると判定された場合は、S34は飛ばす。
【0079】
そして、今回の定常的ポーリングで取得した総印刷枚数を制御変数「現枚数」に代入し(S36)、現枚数から前枚数を減算した結果が、あらかじめ定めた閾値以上であるかどうかを総印刷枚数比較部21bが判定する(S38)。
【0080】
この判定結果が否定、すなわち前記減算の結果が閾値未満である場合、解除判定部20bは、継続フラグをオンに設定(又はオンの状態を維持)し(S40)、S30で定常的ポーリングにより解除が検出された既存警報が継続中(すなわち実際には解除されなかった)と判定する(S42)。この場合、ログ情報又は警報抑制の判定のためのフラグは、図1及び図2の例の場合と同様に処置する。このように既存警報が継続中と判定された後に、再びS30でその警報の解除が検出された場合、このときは継続フラグはオンなので、S34はスキップされる。すなわち、制御変数「前枚数」の値は、当該既存警報の解除を最初に検出した時の、その直前の定常的ポーリングで取得した総印刷枚数のまま維持される。S38の判定では、この「前枚数」と今回のポーリングで取得した総印刷枚数との差分を求めることになる。このように、図5の例では、差分の基準となる「前枚数」を固定してこの前枚数と今回のポーリングで取得した現枚数との差分を評価している。常に前回と今回の総印刷枚数の差分を評価する方式の場合、総印刷枚数が漸増していく場合には、いつまで経っても警報が実際に解除されたと判定されない可能性もあるが、このように「前枚数」を固定すれば、そのような不具合は生じない。
【0081】
S38で、現枚数から前枚数を減算した結果が閾値以上であると判定した場合は、解除判定部20bは、制御変数「前枚数」をクリアして継続フラグをオフにすると共に(S44)、当該警報が実際に解除されたものと判定する(S46)。警報抑制の判定のためにフラグを用いている場合には、このときそのフラグを警報解除状態の値にリセットする。これにより、当該警報についての警報通知処理の抑制は解除される。
【0082】
図5の手順のS38で用いる、枚数の差分についての閾値を、監視装置10の管理者が設定できるようにしてもよい。この設定は、具体的に個別の数値を設定する方式でもよいが、設定操作を容易にするために、図3の例の場合と同様、警報感度に対応づけて選択できるようにしてもよい。この例を図6に示す。図6の例でも、図3の場合と同様、警報感度「最高」は、定常的ポーリングの結果をそのまま受け入れるものであり、定常的ポーリングで警報解除が検出されても、それが見かけ上のものかどうかの判定は行わない。警報感度が「高」、「中」、「低」の各レベルでは、警報の解除が見かけ上のものかどうかの判定を行うが、警報感度が高いほど、S38の判定閾値は小さくなる。この閾値が小さいほど、警報が実際に解除されたと判定されやすくなり、解除後の同じ警報の再検出による二次アラートが生じやすくなり、管理者への警報の頻度が多くなる。図6では、枚数差の判定閾値は「小」、「中」、「大」などと抽象的に示したが、実際の設定情報では、各レベルに対して具体的な枚数差の値が閾値として設定される。管理者は、例えばグラフィカルユーザインタフェースにてその4レベルから所望のものを選択する。
【0083】
次に、図7及び図8を参照して、別の例を説明する。図7において、図1及び図4に示す構成要素と同様の機能を持つ構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
図7の例は、解除判定部20cの行う判定処理の内容だけが、図1及び図4の例とは異なる。すなわち、図7の例では、定常的ポーリングにより検出された警報(一次アラート)の解除が見かけ上のものかどうかを、残量比較部21cにより判定する。
【0085】
すなわち、図7の例では、定常的ポーリング実行部14は、毎回の定常的ポーリングの際に、ポーリング先の印刷機器30の各消耗品の残量の情報を取得し、例えばログ情報の一部として記憶装置22に記憶する(過去の残量23b)。過去の残量23bには、各印刷機器の消耗品ごとに、過去の定常的ポーリングの度に取得した残量の情報が含まれている。
【0086】
ある時の定常的ポーリングによりある印刷機器30のある消耗品についての警報が解除されたことが検出された場合、残量比較部21cは、今回の定常的ポーリングで得たその消耗品の残量と、記憶装置22に記憶されたその消耗品の前回の定常的ポーリング時の残量とを比較する。そして、それら両者の差の絶対値があらかじめ定めた閾値未満である場合、その警報(一次アラート)の解除が見かけ上のものであると判定し、警報通知抑制を続行する。前回と今回の残量の差の絶対値が閾値以下ということは、前回の定常的ポーリングから今回の定常的ポーリングまでの間の当該印刷機器30があまり稼働(印刷)していないということである。すなわち、残量の変化は、印刷機器30の実際の稼働量を示す指標値の1つといえる。警報が検出されていた時点からあまり稼働していない間に警報の状態が実際に解除される可能性は低く、定常的ポーリングで解除が検知されたとしても、節電モードからの復帰時などのような見かけ上の解除の可能性が高いといえる。逆に、当該消耗品についての警報が検出されていた前回の定常的ポーリングの後、今回の定常的ポーリングまでに当該消耗品が新品に交換された場合、前回と今回の残量の差の絶対値は閾値以上となるので、警報が実際に解除されたと判定されることになる。
【0087】
図7の解除判定部20cの処理手順の例を図8に示す。この手順では、解除判定部20cは、定常的ポーリングにより既存の警報の解除を検出すると(S50)、継続フラグがオンであるか否かを判定する(S52)。この継続フラグは、図5の手順で用いた継続フラグと同様のフラグである。S52で継続フラグがオフであると判定された場合、当該警報について初めて解除が検出されたので、前回の定常的ポーリングの際に取得した当該警報の対象の消耗品の残量を記憶装置22から読み出し、その残量を制御変数「前残量」に代入する(S54)。S52で継続フラグがオンであると判定された場合は、S54は飛ばす。
【0088】
そして、今回の定常的ポーリングで取得した当該警報の対象の消耗品の残量を制御変数「現残量」に代入し(S56)、現残量と前残量との差の絶対値が、あらかじめ定めた閾値以上であるかどうかを残量比較部21cにより判定する(S58)。
【0089】
この判定結果が否定、すなわち現残量と前残量との差の絶対値が閾値未満である場合、解除判定部20cは、継続フラグをオンに設定(又はオンの状態を維持)し(S60)、S50で定常的ポーリングにより解除が検出された既存警報が継続中(すなわち実際には解除されなかった)と判定する(S62)。この場合、ログ情報又は警報抑制の判定のためにフラグは、図1及び図2の例の場合と同様に処置する。このように既存警報が継続中と判定された後に、再びS50でその警報の解除が検出された場合、このときは継続フラグはオンなので、S54はスキップされる。すなわち、制御変数「前残量」の値は、当該既存警報の解除を最初に検出した時の、その直前の定常的ポーリングで取得した残量のまま維持される。S58の判定では、図5におけるS38の判定の場合と同様、この「前残量」と今回のポーリングで取得した「現残量」との差分を閾値と比較することになる。
【0090】
S58で、現残量と前残量との差の絶対値が閾値以上であると判定した場合は、解除判定部20cは、制御変数「前残量」をクリアして継続フラグをオフにすると共に(S64)、当該警報が実際に解除されたものと判定する(S66)。警報抑制の判定のためにフラグを用いている場合には、このときそのフラグを警報解除状態の値にリセットする。これにより、当該警報についての警報通知処理の抑制は解除される。
【0091】
図7の手順のS58で用いる、残量の差の絶対値についての閾値を、監視装置10の管理者が設定できるようにしてもよい。この設定は、具体的に個別の数値を設定する方式でもよいが、設定操作を容易にするために、図6の例の場合と同様、警報感度に対応づけて選択できるようにしてもよい。具体例は、図6の例と似たものでよい。
【0092】
次に、図9及び図10を参照して、更に別の例を説明する。図9において、図1、図4及び図7に示す構成要素と同様の機能を持つ構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
図9の例は、図1、図4及び図7の例の見かけ解除判定を組み合わせたものである。すなわち、図9の解除判定部20dは、精査ポーリング結果判定部21aによる精査ポーリングの結果に基づく判定、総印刷枚数比較部21bによる総印刷枚数の比較に基づく判定、及び残量比較部21cによる残量の比較に基づく判定、を総合した判定を行う。これら3つの判定方式は、それぞれ異なった角度から判定を行っているので、それらの判定結果を組み合わせることで、補完的な作用が期待される。
【0094】
ここで、精査ポーリング結果判定部21aによる判定、総印刷枚数比較部21bによる総印刷枚数の比較に基づく判定、及び残量比較部21cによる残量の比較に基づく判定は、それぞれ上記図1、図4及び図7の例と同様に行えばよい。ただし、警報(一次アラート)の解除が見かけ上のものかどうかの最終的な判定は、これら個別の判定結果を総合して行う。すなわち、この変形例では、精査ポーリング結果判定部21a、総印刷枚数比較部21b、及び残量比較部21cの個々の判定結果から直ちに警報抑制制御の解除の可否を決定するのではなく、それら個々の判定結果の総合判定を行い、その総合判定から警報抑制制御の解除の可否を決定する。逆に言えば、精査ポーリング結果判定部21a、総印刷枚数比較部21b、及び残量比較部21cによる個々の判定処理は、総合判定の基礎となる基礎判定といえる。
【0095】
総合判定の仕方にはいくつかの例が考えられる。第1の総合判定方法では、それら3つの基礎判定の少なくとも1つで、当該警報の解除が見かけ上のものでない(すなわち実際の解除である)と判定された場合、その解除が見かけ上のものでないと最終判定する。逆に言えば、3つの基礎判定の全部で見かけ上の解除と判定された場合にのみ、見かけ上の解除と最終判定する。
【0096】
第2の総合判定方法では、それら3つの基礎判定のうちの2以上で当該警報の解除が見かけ上のものでないと判定された場合、その解除が見かけ上のものでないと最終判定する。逆に言えば、3つの基礎判定のうち見かけ上の解除と判定したものが1以下の場合は、見かけ上の解除と最終判定する。
【0097】
第3の総合判定方法では、それら3つの基礎判定のすべてで当該警報の解除が見かけ上のものでないと判定された場合に、その解除が見かけ上のものでないと最終判定する。逆に言えば、3つの基礎判定の中に見かけ上の解除と判定したものが1つでもあれば、見かけ上の解除と最終判定する。
【0098】
第1から第3のどの総合判定方法を採用するかは、目的に応じて決めればよい。警報(一次アラート)が実際に解除されたと最も判定されやすいのは第1の総合判定方法であり、最も判定されにくいのは第3の総合判定方法である。
【0099】
このような3つの総合判定方法を、図3や図6の例と同様、警報感度の各レベルに割り当てて、管理者が警報感度を選択することでそれら3つの方法のいずれかを選択できるようにしてもよい。この例を図10に示す。図10の例では、警報感度のレベルごとに、3つの個別の基礎判定のそれぞれについての閾値等の設定値と共に、それら3つの基礎判定の結果を総合する総合判定方法が設定されている。図10の例では、図3及び図6の場合と同様、警報感度「最高」は、定常的ポーリングの結果をそのまま受け入れるものであり、定常的ポーリングで警報解除が検出されても、それが見かけ上のものかどうかの判定は行わない。警報感度が「高」、「中」、「低」の各レベルでは、個別の基礎判定方式の設定値は図3及び図6の例と同様である。総合判定方法には、警報感度が「高」の場合は上述の第1の方法、「中」の場合は第2の方法、「低」の場合は第3の方法がそれぞれ割り当てられている。
【0100】
図10に例示したような警報感度に対応する各種設定値の情報、すなわち感度設定情報25は、図9に示すように記憶装置22に記憶されている。警報感度指定受付部28は、例えばスライダーバーなどのようなグラフィカルユーザインタフェースにより、管理者から警報感度のレベル指定を受け付ける。そして、解除判定部20dは、受け付けた警報感度のレベルに対応する設定値の情報を感度設定情報25から読み出し、読み出した設定値に応じて個々の基礎判定のパラメータ及び総合判定方法を切り替えた上で、判定処理を実行する。
【0101】
なお、図3,図6及び図10の例では、警報感度が4レベルに分けられていたが、レベル分けの数はこれより少なくてもよいし、多くてもよい。
【0102】
図9の例では、3つの基礎判定方式を組み合わせたが、組合せはこれに限られるものではなく、それら3つの基礎判定方式のうちの2つを組み合わせた構成も考えられる。
【0103】
以上に説明した実施形態及びその変形例では、管理者に対する二次アラートの通知に焦点を当てて説明したが、これは管理者への一次アラートの通知を排除することを意図するものではない。例えば、管理者に提供する状態表示画面に定常的ポーリングの結果から判定された一次アラートを逐次表示しつつも、その中で二次アラートと判定されたものがあれば、その二次アラートをポップアップ画面等を用いて目立つように画面表示するような例にも、上記実施形態及び変形例の処理方式は適用可能である。
【0104】
以上に例示した監視装置10(ただし、ネットワークインタフェース12等のハードウエア部分は除く)は、例えば、汎用のコンピュータに上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。
【符号の説明】
【0105】
10 監視装置、12 ネットワークインタフェース、14 定常的ポーリング実行部、16 警報通知処理部、18 警報抑制制御部、20a,20b,20c,20d 解除判定部、22 記憶装置、24 精査ポーリング実行部、30 印刷機器、32 管理者PC、40 インターネット、42 消耗品販売サイト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を有する印刷機器から状態情報を周期的に取得する取得手段と、
前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、消耗品警報の発生状態から解除状態への第1状態移行及び消耗品警報の解除状態から発生状態への第2状態移行を判定する第1判定手段と、
前記第1状態移行が判定された場合に、前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、当該第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第2判定手段と、
前記実際の第1状態移行が判定され、且つ、その後に前記第2状態移行が判定された場合に、管理者に対して前記消耗品に関する警報を通知する通知手段と、
を含む、監視装置。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記印刷機器から状態情報を周期的に取得する定常的ポーリングを実行する定常的ポーリング実行部と、
前記第1状態移行が判定された場合に、前記印刷機器に対して前記定常的ポーリングより短周期の精査ポーリングを実行する精査ポーリング実行部と、
を含み、
前記第2判定手段は、少なくとも前記精査ポーリングによって取得された状態情報を参照することにより前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記第2判定手段は、
前記第1状態移行前後の状態情報の変化から前記印刷機器の実稼働量を示す数値を演算する演算部を更に備え、
前記精査ポーリングによって取得された状態情報及び前記演算部によって演算された前記実稼働量を示す数値に基づいて、前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の監視装置。
【請求項4】
警報感度の指定を受け付ける指定受付手段と、
前記指定受付手段で指定された警報感度に応じて、前記精査ポーリング実行部による前記精査ポーリングの実行条件と、前記第2の判定手段が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定するための前記実稼働量を示す数値についての判定条件と、を連動して切り替える切り替え手段と、
を更に備える請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記第2の判定手段は、
前記精査ポーリングによって取得された状態情報に基づいて前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第1の基礎判定と、前記演算部によって演算された前記実稼働量を示す数値に基づいて、前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第2の基礎判定と、前記第1の基礎判定及び前記第2の基礎判定の結果に基づき前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかの総合判定と、を実行し、
前記切り替え手段は、前記総合判定において前記実際の第1状態移行と判定するために前記第1の基礎判定と前記第2の基礎判定の判定結果の組合せが満たすべき条件を、前記指定受付手段で指定された警報感度に応じて、前記精査ポーリング実行部による前記精査ポーリングの実行条件及び前記実稼働量を示す数値についての判定条件と連動して切り替える、
ことを特徴とする請求項4に記載の監視装置。
【請求項6】
前記切り替え手段は、前記警報感度が低くなるほど、前記精査ポーリングの実行条件の切り替えとして、前記精査ポーリングの実行回数を多くするか又は前記精査ポーリングの実行間隔を大きくするかのうちの少なくとも1つを実行すると共に、前記実稼働量を示す数値についての判定条件の切り替えとして、前記実際の第1状態移行と判定するための当該数値についての閾値を大きくする、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の監視装置。
【請求項7】
前記精査ポーリング実行部は、前記第1判定手段が前記第1状態移行を判定した後、次の定常的ポーリングが実行されるより前に、前記精査ポーリングを実行する、ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項8】
警報感度の指定を受け付ける指定受付手段と、
前記指定受付手段で指定された警報感度が低くなるほど、前記精査ポーリング実行部による前記精査ポーリングの実行条件を、前記精査ポーリングの実行回数を多くするか又は前記精査ポーリングの実行間隔を大きくするように、切り替える切り替え手段と、
を更に備える請求項2に記載の監視装置。
【請求項9】
前記第2判定手段は、
前記第1状態移行前後の状態情報の変化から前記印刷機器の実稼働量を示す数値を演算する演算部と、
少なくとも前記実稼働量を示す数値に基づいて、前記第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する判定部と、
を含む、請求項1記載の監視装置。
【請求項10】
警報感度の指定を受け付ける指定受付手段と、
前記指定受付手段で指定された警報感度に応じて、前記判定部が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定するための前記実稼働量を示す数値についての判定条件を切り替える切り替え手段と、
を更に備える請求項9に記載の監視装置。
【請求項11】
前記切り替え手段は、前記警報感度が低くなるほど、前記実稼働量を示す数値についての判定条件の切り替えとして、前記実際の第1状態移行と判定するための当該数値についての閾値を大きくする、ことを特徴とする請求項10に記載の監視装置。
【請求項12】
前記実稼働量は、前記第1状態移行前後の総印刷枚数の変化であることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項13】
前記実稼働量は、前記第1状態移行前後の前記消耗品の残量の変化であることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項14】
コンピュータを、
消耗品を有する印刷機器から状態情報を周期的に取得する取得手段、
前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、消耗品警報の発生状態から解除状態への第1状態移行及び消耗品警報の解除状態から発生状態への第2状態移行を判定する第1判定手段、
前記第1状態移行が判定された場合に、前記取得手段によって周期的に取得された状態情報に基づいて、当該第1状態移行が見かけ上の第1状態移行であるか実際の第1状態移行であるかを判定する第2判定手段、
前記実際の第1状態移行が判定され、且つ、その後に前記第2状態移行が判定された場合に、管理者に対して前記消耗品に関する警報を通知する通知手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−68758(P2012−68758A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211367(P2010−211367)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】