説明

監視装置及び身体支持装置

【課題】寝心地や座り心地の悪化を回避することが可能であり、また、既存の身体支持装置への後付けが可能な監視装置を得る。
【解決手段】監視装置4は、ベッド1上の被監視者100に向けて電波を送信する送信部10と、電波の反射波を受信する受信部11と、送信部10から送信された送信電波S1に対する、受診部11によって受信された受信電波S2の遅延時間ごとに、受信電波S2の信号強度の時間変動を検出する検出部12と、検出部12による検出結果に基づいて、被監視者100の状態を判定する状態判定部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関し、特に、身体支持装置上に横臥している被監視者における異常の発生の有無を監視する監視装置に関する。さらに本発明は、当該監視装置を備えた身体支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、低反発性ウレタン層を有するベッドパットの下面に感圧センサを敷設し、ベッド上に横臥している人体の心拍や呼吸に伴う体動を、当該感圧センサによって検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4122265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術によると、被監視者がベッド上に横臥している状態で呼吸停止等の異常が発生した場合に、感圧センサによって当該異常の発生を検知することが可能である。しかしながら、ベッドパッドの下面に感圧センサを敷設する必要があるため、寝心地が悪化するという問題がある。また、上記特許文献1に開示された装置は既存のベッドに後付けをすることが困難であるため、当該装置を導入する場合には、当該装置が搭載されたベッドを新たに購入して、それまで使用していた既存のベッドを撤去しなければならない。そのため、導入コストが増大するとともに、導入作業が煩雑であるという問題もある。
【0005】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、感圧センサの敷設を不要とすることにより寝心地や座り心地の悪化を回避することが可能であり、また、既存の身体支持装置への後付けが可能な、監視装置及び当該監視装置を備えた身体支持装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る監視装置は、身体支持装置に取り付けられる監視装置であって、前記身体支持装置上の被監視者に向けて電波を送信する送信手段と、前記電波の反射波を受信する受信手段と、前記送信手段から送信された送信電波に対する、前記受信手段によって受信された受信電波の遅延時間ごとに、前記受信電波の信号強度の時間変動を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記被監視者の状態を判定する第1の判定手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、身体支持装置には、被監視者の身体(特に背面)を支える機能を有する家具(例えばベッドや椅子)等が含まれる。
【0008】
第1の態様に係る監視装置によれば、検出手段は、送信手段から送信された送信電波に対する、受信手段によって受信された受信電波の遅延時間ごとに、受信電波の信号強度の時間変動を検出する。そして、第1の判定手段は、検出手段による検出結果に基づいて、被監視者の状態を判定する。このように、非接触かつ高精度に検出及び判定を行えることから、ベッドパットの下面や椅子の背もたれへの感圧センサの敷設が不要となるため、寝心地や座り心地の悪化を回避することが可能となる。また、本監視装置は既存の身体支持
装置への後付けが可能であるため、導入コストを低減できるとともに、導入作業の煩雑さを解消することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る監視装置は、第1の態様に係る監視装置において特に、前記第1の判定手段は、前記被監視者の前記状態として、睡眠状態及び無動作状態の少なくとも一方を判定することを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る監視装置によれば、第1の判定手段は、被監視者の状態として、睡眠状態及び無動作状態の少なくとも一方を判定する。睡眠状態を検知することにより、睡眠時間の管理や、睡眠中の異常発生の検出を行うことができる。また、無動作状態(無呼吸状態を含む)を検知することにより、重大な異常の発生を検出することができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る監視装置は、第1又は第2の態様に係る監視装置において特に、前記第1の判定手段は、前記検出手段によって検出された前記受信電波の信号強度と、前記遅延時間ごとに設定された所定のしきい値との比較により、前記被監視者の前記状態を判定することを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る監視装置によれば、第1の判定手段は、検出手段によって検出された受信電波の信号強度と、遅延時間ごとに設定された所定のしきい値との比較により、被監視者の状態を判定する。従って、しきい値との比較という簡易な手法によって、被監視者の状態を判定することが可能となる。しかも、しきい値は遅延時間ごとに設定されている。遅延時間が小さい場合には、監視装置の設置場所との距離が近く、被監視者の動きに起因する受信電波の信号強度の変動が大きいため、しきい値を大きく設定し、逆に、遅延時間が大きい場合には、監視装置の設置場所との距離が遠く、被監視者の動きに起因する受信電波の信号強度の変動が小さいため、しきい値を小さく設定する。これにより、ベッド本体の厚みやマットレスの厚みが異なる様々なベッドを対象として、あるいは背もたれの厚みが異なる様々な椅子を対象として、被監視者の状態を適切に判定することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る監視装置は、第1又は第2の態様に係る監視装置において特に、前記被監視者の前記状態ごとの信号強度の時間変動のパターンを記憶する記憶手段をさらに備え、前記第1の判定手段は、前記検出手段によって検出された前記受信電波の信号強度の時間変動のパターンと、前記記憶手段に記憶されている前記信号強度の時間変動のパターンとを照合することにより、前記被監視者の前記状態を判定することを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係る監視装置によれば、記憶手段には、被監視者の状態ごとの信号強度の時間変動のパターンが記憶されている。そして、第1の判定手段は、検出手段によって検出された受信電波の信号強度の時間変動のパターンと、記憶手段に記憶されている信号強度の時間変動のパターンとを照合することにより、被監視者の状態を判定する。このようにパターンマッチングを行うことによって、被監視者の状態を詳細に判定することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る監視装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係る監視装置において特に、前記第1の判定手段によって判定された前記被監視者の前記状態が異常であるか否かを判定する第2の判定手段と、前記第2の判定手段によって前記被監視者の前記状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を報知する報知手段とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係る監視装置によれば、第2の判定手段は、第1の判定手段によって判定
された被監視者の状態が異常であるか否かを判定する。そして、報知手段は、第2の判定手段によって被監視者の状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を報知する。スピーカからアラーム音を出力する等して異常の発生を報知することにより、被監視者に異常が発生していることを同居の家族等に報知することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る監視装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る監視装置において特に、前記第1の判定手段によって判定された前記被監視者の前記状態が異常であるか否かを判定する第2の判定手段と、前記第2の判定手段によって前記被監視者の前記状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知信号を外部の受信端末に向けて送信する通信手段とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係る監視装置によれば、第2の判定手段は、第1の判定手段によって判定された被監視者の状態が異常であるか否かを判定する。そして、通信手段は、第2の判定手段によって被監視者の状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知信号を外部の受信端末に向けて送信する。従って、被監視者に異常が発生していることを、受信端末を保持している別居の家族や契約セキュリティ会社等に通知することが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る身体支持装置は、身体支持装置本体と、前記身体支持装置本体に取り付けられた監視装置とを備え、前記監視装置は、前記身体支持装置上の被監視者に向けて電波を送信する送信手段と、前記電波の反射波を受信する受信手段と、前記送信手段から送信された送信電波に対する、前記受信手段によって受信された受信電波の遅延時間ごとに、前記受信電波の信号強度の時間変動を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記被監視者の状態を判定する判定手段とを有することを特徴とするものである。
【0020】
第7の態様に係る身体支持装置によれば、検出手段は、送信手段から送信された送信電波に対する、受信手段によって受信された受信電波の遅延時間ごとに、受信電波の信号強度の時間変動を検出する。そして、判定手段は、検出手段による検出結果に基づいて、被監視者の状態を判定する。このように、非接触かつ高精度に検出及び判定を行えることから、ベッドパットの下面や椅子の背もたれへの感圧センサの敷設が不要となるため、寝心地や座り心地の悪化を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感圧センサの敷設が不要となるため、寝心地や座り心地の悪化を回避することが可能であり、また、既存の身体支持装置への後付けが可能な監視装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視装置の設置状況を示す図である。
【図2】監視装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】信号強度の時間変動を表す波形の一例を示す図である。
【図4】信号強度の時間変動を表す波形の一例を示す図である。
【図5】監視装置の他の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る監視装置4の設置状況を示す図である。監視装置4は、要介護老人等の被監視者100が使用するベッド1に取り付けられている。ベッド1は、ベッド本体2と、その上に敷設されたマットレス3とを有している。監視装置4は、ベッド本体2の底面に取り付けられており、望ましくは、被監視者100がベッド1上に横臥した際に被監視者100の胸部の直下に位置する箇所に、監視装置4は取り付けられる。図1の(A)には、ベッド本体2及びマットレス3が薄いタイプのベッド1を示しており、図1の(B)には、ベッド本体2及びマットレス3が厚いタイプのベッド1を示している。
【0025】
監視装置4は、その設置箇所からベッド1上の被監視者100に向けて電波を送信する送信アンテナ5Tと、当該電波の反射波を受信する受信アンテナ5Rとが、共通の筐体の外面に取り付けられた外観構造を有している。送信電波としては、例えば、中心周波数が数GHz(例えば3.9GHz)で帯域幅が100MHz以上(例えば1GHz)の超広帯域マイクロ波を使用する。監視装置4は、ベッド1上における被監視者100の体動に起因する電波状態の変化を、反射波の電力遅延プロファイルによって測定することにより、被監視者100の状態を検出し、それによって被監視者100における異常の発生の有無を監視する。
【0026】
図2は、監視装置4の機能構成を示すブロック図である。図2の接続関係で示すように、監視装置4は、送信部10、受信部11、検出部12、状態判定部13、異常判定部14、報知部15、及び記憶部16,17を備えて構成されている。
【0027】
送信部10は、上記の超広帯域マイクロ波を使用した送信電波S1を、送信アンテナ5Tから送信する。受信部11は、受信アンテナ5Rによって受信された送信電波S1の反射波である受信電波S2を、微小時間間隔でサンプリングする。受信部11によってサンプリングされた受信電波S2の波形は、信号S3として検出部12に入力される。
【0028】
検出部12は、信号S3に基づいて、送信電波S1に対する受信電波S2の遅延時間ごとに、受信電波S2の信号強度(例えば受信電力)の時間変動を検出することにより、電力遅延プロファイルを生成する。送信電波S1に対する受信電波S2の遅延時間は、監視装置4の設置箇所と反射波の発生源との距離に比例して大きくなる。従って、設定した注目エリアと監視装置4の設置箇所との距離に応じて遅延時間を求め、各遅延時間に対応する電力遅延プロファイルを生成することにより、その注目エリアに関して信号強度の時間変動を検出することができる。
【0029】
図1の(A)に示した例では、監視装置4の設置箇所と被監視者100の胸部との距離が距離L1である。従って、監視装置4の設置箇所との距離が距離L1である注目エリアX1を設定する。また、図1の(B)に示した例では、監視装置4の設置箇所と被監視者100の胸部との距離が距離L2である。従って、監視装置4の設置箇所との距離が距離L2である注目エリアX2を設定する。
【0030】
設定した注目エリアX1,X2に関する信号強度の時間変動を表す波形は、信号S4として検出部12から状態判定部13に入力される。
【0031】
また、信号強度に関するしきい値が注目エリアX1,X2ごとに予め設定されて、記憶部16に記憶されている。しきい値としては、呼吸動作(胸部の往復運動)に対応する比較的小さな値のしきい値と、ベッド1上での起き上がり等の全身動作に対応する比較的大きな値のしきい値とが、注目エリアX1,X2ごとに設定されている。以下の例では、呼吸動作に対応するしきい値として、各注目エリアX1,X2に関してしきい値TH11,TH21(TH11>TH21)がそれぞれ設定されており、全身動作に対応するしきい
値として、各注目エリアX1,X2に関してしきい値TH12,TH22(TH12>TH22)がそれぞれ設定されているものとする。しきい値の設定情報は、信号S5として記憶部16から状態判定部13に入力される。
【0032】
状態判定部13は、信号S4と信号S5とに基づいて、ベッド1上での被監視者100の状態を判定する。
【0033】
図3の(A)は、注目エリアX1に関する信号強度の時間変動を表す波形の一例を示す図である。縦軸は信号強度(以下の例では受信電力とする)であり、横軸は経過時間である。受信電力は、時刻T11以前においてはしきい値TH11以上かつしきい値TH12未満であり、時刻T11以降においてはしきい値TH12以上である。また、図3の(B)は、注目エリアX2に関する信号強度の時間変動を表す波形の一例を示す図である。受信電力は、時刻T11以前においてはしきい値TH21以上かつしきい値TH22未満であり、時刻T11以降においてはしきい値TH22以上である。図3の(A),(B)の場合、状態判定部13は、時刻T11以前には被監視者100がベッド1上で睡眠をとっており、時刻T11において被監視者100が起床したと判定する。
【0034】
図4の(A)は、注目エリアX1に関する信号強度の時間変動を表す波形の一例を示す図である。受信電力は、時刻T21以前においてはしきい値TH11以上かつしきい値TH12未満であり、時刻T21以降においてはしきい値TH11未満である。また、図4の(B)は、注目エリアX2に関する信号強度の時間変動を表す波形の一例を示す図である。受信電力は、時刻T21以前においてはしきい値TH21以上かつしきい値TH22未満であり、時刻T21以降においてはしきい値TH21未満である。図4の(A),(B)の場合、状態判定部13は、時刻T21以前には被監視者100がベッド1上で睡眠をとっており、時刻T21において被監視者100の呼吸動作が停止した(つまり、全身動作も呼吸動作も行っていない無動作状態である)と判定する。
【0035】
なお、状態判定部13は、受信電力としきい値との比較ではなく、検出された受信電力の波形パターンと予め準備しておいた様々な波形パターンとの照合(パターンマッチング)によって、被監視者100の状態及び/又は動作を判定することもできる。例えば、呼吸動作、ベッド3上での睡眠状態、及び無動作状態のほか、ベッド3への入床動作、ベッド3からの離床動作、ベッド3上での寝返り動作、咳、あくび、発声等に関する波形パターンを予め作成し、記憶部16に記憶しておく。そして、状態判定部13は、検出部12から入力された受信電力の波形パターンと、記憶部16に記憶されている波形パターンとを照合することにより、被監視者100の状態及び/又は動作を判定する。パターンマッチングを行うことによって、被監視者100の状態及び/又は動作を詳細に判定することが可能となる。
【0036】
状態判定部13によって判定された、ベッド1上の被監視者100の状態に関する情報は、信号S6として異常判定部14に入力される。
【0037】
また、被監視者100の状態が異常であるか否かを判定するための異常判定ルールが予め作成されて、記憶部17に記憶されている。例えば、ベッド1上に横臥している被監視者100が呼吸動作を行っていない状態や、ベッド1上で長時間に亘って継続される激しい全身動作等は、異常であると規定されている。この異常判定ルールに関する情報は、信号S7として記憶部17から異常判定部14に入力される。
【0038】
異常判定部14は、信号S6と信号S7とに基づいて、ベッド1上の被監視者100の状態が異常であるか否かを判定する。例えば、図3に示した睡眠状態及び起床動作は、いずれも異常でないと判定する。また、図4に示した睡眠状態は異常でないと判定し、無動
作状態は異常であると判定する。
【0039】
異常判定部14は、被監視者100の状態が異常であると判定した場合には、その旨の信号S8を報知部15に入力する。報知部15は、例えば監視装置4に内蔵されているスピーカであり、信号S8が入力されることにより、異常の発生を報知するためのアラーム音や音声メッセージ等をスピーカから出力する。
【0040】
図5は、監視装置4の他の機能構成を示すブロック図である。監視装置4と外部の受信端末19とによって、異常通知システムが構成されている。図5に示した監視装置4は、図2に示した機能構成における報知部15に代えて(あるいは報知部15に加えて)、通信部18を備えている。異常判定部14は、被監視者100の状態が異常であると判定した場合には、その旨の信号S8を通信部18に入力する。通信部18は、信号S8が入力されることにより、異常の発生を通知するための異常通知信号S9を受信端末19に向けて送信する。受信端末19は、例えば、同居又は別居の家族の携帯電話や、契約セキュリティ会社に設置されている端末であり、送信先の電話番号やE−mailアドレス等が予め通信部18に登録されている。また、当該異常通知システムは病院内に構築することも可能であり、この場合の受信端末19は、例えばナースセンタに設置されている端末である。
【0041】
なお、以上の説明では、監視装置4をベッドに1に取り付ける例について述べた。つまり、被監視者の身体(特に背面)を支える機能を有する家具である身体支持装置が、ベッドである場合の例について述べた。この例に限らず、監視装置4を、他の身体支持装置、例えばリクライニングチェア等の椅子に取り付けることも可能である。この場合、監視装置4は、椅子の背もたれの裏面のうち、被監視者100が椅子上に着座した際に被監視者100の胸部背面に対向する箇所に取り付けられる。
【0042】
このように本実施の形態に係る監視装置4によれば、検出部12は、送信部10から送信された送信電波S1に対する、受信部11によって受信された受信電波S2の遅延時間ごとに、受信電波S2の信号強度の時間変動を検出する。そして、状態判定部13は、検出部12による検出結果に基づいて、被監視者100の状態を判定する。このように、非接触かつ高精度に検出及び状態判定を行えることから、ベッドパットの下面や椅子の背もたれへの感圧センサの敷設が不要となるため、寝心地や座り心地の悪化を回避することが可能となる。また、監視装置4は既存のベッドや椅子への後付けが可能であるため、導入コストを低減できるとともに、導入作業の煩雑さを解消することができる。また、監視カメラを用いないため、被監視者100のプライバシーを保護することができる。さらに、被監視者100に対して非接触かつ無拘束で異常の発生を監視できるため、被監視者100における精神的・肉体的負荷を回避することが可能となる。また、部屋の壁面に監視装置4を設置する場合とは異なり、ベッド1や椅子の配置を変更しても、被監視者100と監視装置4との距離は変化しないため、測定時のチューニング作業が容易となる。
【0043】
また、本実施の形態に係る監視装置4によれば、状態判定部13は、被監視者100の状態として、睡眠状態及び無動作状態の少なくとも一方を判定する。ベッド1上での睡眠状態を検知することにより、睡眠時間の管理や、睡眠中の異常発生の検出を行うことができる。ベッド1上での無動作状態(無呼吸状態を含む)を検知することにより、重大な異常の発生を検出することができる。
【0044】
また、本実施の形態に係る監視装置4によれば、状態判定部13は、検出部12によって検出された受信電波S2の信号強度と、遅延時間ごとに設定された所定のしきい値との比較により、被監視者100の状態を判定する。従って、しきい値との比較という簡易な手法によって、被監視者100の状態を判定することが可能となる。しかも、しきい値は
遅延時間ごとに設定されている。遅延時間が小さい場合には、監視装置4の設置場所との距離が近く、被監視者100の動きに起因する受信電波S2の信号強度の変動が大きいため、しきい値を大きく設定し、逆に、遅延時間が大きい場合には、監視装置4の設置場所との距離が遠く、被監視者100の動きに起因する受信電波S2の信号強度の変動が小さいため、しきい値を小さく設定する。これにより、ベッド本体2の厚みやマットレス3の厚みが異なる様々なベッド1を対象として、あるいは背もたれの厚みが異なる様々な椅子を対象として、被監視者100の状態を適切に判定することが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態に係る監視装置4によれば、異常判定部14は、状態判定部13によって判定された被監視者100の状態が異常であるか否かを判定する。そして、報知部15は、異常判定部14によって被監視者100の状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を報知する。スピーカからアラーム音を出力する等して異常の発生を報知することにより、被監視者100に異常が発生していることを同居の家族等に報知することが可能となる。
【0046】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 ベッド
2 ベッド本体
3 マットレス
4 監視装置
5T 送信アンテナ
5R 受信アンテナ
10 送信部
11 受信部
12 検出部
13 状態判定部
14 異常判定部
15 報知部
16,17 記憶部
18 通信部
19 受信端末
100 被監視者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体支持装置に取り付けられる監視装置であって、
前記身体支持装置上の被監視者に向けて電波を送信する送信手段と、
前記電波の反射波を受信する受信手段と、
前記送信手段から送信された送信電波に対する、前記受信手段によって受信された受信電波の遅延時間ごとに、前記受信電波の信号強度の時間変動を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて、前記被監視者の状態を判定する第1の判定手段と
を備える、監視装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段は、前記被監視者の前記状態として、睡眠状態及び無動作状態の少なくとも一方を判定する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記第1の判定手段は、前記検出手段によって検出された前記受信電波の信号強度と、前記遅延時間ごとに設定された所定のしきい値との比較により、前記被監視者の前記状態を判定する、請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記被監視者の前記状態ごとの信号強度の時間変動のパターンを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記第1の判定手段は、前記検出手段によって検出された前記受信電波の信号強度の時間変動のパターンと、前記記憶手段に記憶されている前記信号強度の時間変動のパターンとを照合することにより、前記被監視者の前記状態を判定する、請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記第1の判定手段によって判定された前記被監視者の前記状態が異常であるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段によって前記被監視者の前記状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を報知する報知手段と
をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一つに記載の監視装置。
【請求項6】
前記第1の判定手段によって判定された前記被監視者の前記状態が異常であるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段によって前記被監視者の前記状態が異常であると判定された場合に、異常の発生を通知するための異常通知信号を外部の受信端末に向けて送信する通信手段と
をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一つに記載の監視装置。
【請求項7】
身体支持装置本体と、
前記身体支持装置本体に取り付けられた監視装置と
を備え、
前記監視装置は、
前記身体支持装置上の被監視者に向けて電波を送信する送信手段と、
前記電波の反射波を受信する受信手段と、
前記送信手段から送信された送信電波に対する、前記受信手段によって受信された受信電波の遅延時間ごとに、前記受信電波の信号強度の時間変動を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて、前記被監視者の状態を判定する判定手段と
を有する、身体支持装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−110068(P2011−110068A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265910(P2009−265910)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【Fターム(参考)】