説明

監視装置

【課題】 所望の探査範囲を効率よく監視すること。
【解決手段】 送光部10により船舶の針路前方における海上に向けてレーザ光が照射され、このレーザ光の反射光が受光部20により撮像される。そして、受光部20により取得された画像が、モニタ41に表示されることにより、海上及び海中の様子を可視情報として確認することが可能となる。この場合において、送光部10が発したレーザ光により照射される海面の照射領域の横幅を、船舶の針路に沿って設定される探査領域の横幅以上とすることにより、レーザ光を幅方向に走査させることなく、一度のレーザ照射によって、幅方向における探査を実施することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上や海中の様子を監視する監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海上や海中の様子を監視する1つの手法として、例えば、ヘリコプターなどにレーザ装置を搭載し、上空から海にレーダ電波を照射させ、このレーダ電波の反射波を受信することにより、海上に浮遊する浮遊物や、海中に潜んでいる物体などを探査する手法が用いられている。
例えば、従来では、図14に示されるように、海上に正方形状(例えば、50m×50m)のレーザ光を照射し、このレーザ光を探査領域に沿って縦方向、及び、横方向に走査させることにより、所望の探査領域における海上及び海中の様子を監視していた。
また、このようなレーザ光としては、例えば、特開2002−122659号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【特許文献1】特開2002−122659号公報(第3−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年では、船舶が安全な運航を行えるように、航海中の船舶の針路に障害物が存在するか否かなどを監視する目的で、上述したような海上及び海中の監視が行われることがある。
このような場合、航海中の船舶の運航を妨げることなく、速やかに船舶の進行方向における海上等の様子を監視する必要がある。
しかしながら、上述した従来の監視手法のように、正方形状のレーザ光を進行方向に対して横方向及び縦方向に走査させていたのでは、船舶の前方における様子を効率よく監視することができず、監視の進行に合わせて船舶の運航を遅くするなど、船舶の運航を妨げるおそれもあった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、所望の探査範囲を効率よく監視することが可能な監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、船舶の針路上に、一定の横幅を持って設定される探査領域を前記船舶の運航に応じて監視する監視装置であって、レーザ光を生成し、前記レーザ光を拡張して、前記探査領域に向けて照射する送光手段と、物体により反射された前記レーザ光の反射光を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により取得された画像を表示する表示手段とを備え、前記送光手段から発せられたレーザ光により照射される海面の照射領域の横幅は、前記探査領域の横幅以上であり、この照射領域を前記船舶の針路に沿って連続的に移動させる監視装置を提供する。
【0006】
上記構成によれば、送光手段により船舶の針路前方における海上に向けてレーザ光が照射され、このレーザ光の反射光が撮像手段により撮像される。そして、撮像手段により取得された画像が、表示手段に表示されることにより、海上又は海中の様子を可視情報として確認することが可能となる。
この場合において、上記送光手段が発したレーザ光により照射される海面の照射領域の横幅は、前記船舶の針路に沿って設定される探査領域の横幅(針路に直交する方向の長さ)以上なので、レーザ光を幅方向に走査させることなく、一度のレーザ照射により、幅方向における探査を実施することが可能となる。そして、この照射領域が船舶の針路に沿って連続的に移動されることにより、船舶の針路に沿って一定の横幅を持って設定される探査領域の監視を効率よく行うことが可能となる。
上記探査領域を船舶の針路に沿って連続的に移動させる手法としては、例えば、当該監視装置を移動するプラットフォーム、例えば、船舶やヘリコプターなどに搭載し、このプラットフォームを船舶の針路に沿って移動させる方法が挙げられる。これにより、このプラットフォームの移動に伴い、探査領域も移動させることが可能となる。
上記探査領域の横幅は、例えば、150mから200mの間に設定されている。また、縦幅はレーザ光の出力性能に応じて適宜設定することが可能である。例えば、約1.5mから約5mの間に設定される。
【0007】
上記記載の監視装置は、前記船舶の針路前方の上空を前記針路に沿って飛行する機体に搭載され、前記送光手段は、上空から海上に向けて、前記レーザ光を照射するようにしても良い。
【0008】
上記構成によれば、当該監視装置は、船舶の針路前方の上空を針路に沿って飛行する機体に搭載されているので、送光手段が上空から海上に向けてレーザ光を照射するだけで、送光手段が出射するレーザ光の照射領域を船舶の針路に沿って移動させることが可能となる。これにより、容易に監視を実現させることが可能となる。
【0009】
上記記載の監視装置は、前記撮像手段により取得された画像情報を補正する画像補正手段を備え、前記画像補正手段は、大気と海水との屈折率に基づいて、前記海面の影響による画像の歪みを補正し、補正後の画像情報を前記表示手段に出力するようにしても良い。
【0010】
上記構成によれば、撮像手段により取得された画像は、画像補正手段により、海面の影響による画像の歪みが補正され、補正後の画像情報が表示手段に出力されることとなる。これにより、画像の歪みが少ない画像を得ることが可能となるので、浮遊物などが検知された場合には、その形状などをより正確に確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の監視装置によれば、所望の探査範囲を効率よく監視することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る監視装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る監視装置は、送光部(送光手段)10、受光部(撮像手段)20、画像処理装置40、及び制御装置50を主な構成要素として備えている。
上記送光部10は、例えば、レーザ光を発するレーザ発振器11と、レーザ発振器11から発せられたレーザ光を後述する探査範囲に照射させる送光レンズ12、及び送光レンズの角度を調整するための送光レンズアクチュエータ13を備えている。
【0013】
上記レーザ発振器11としては、例えば、約532nmの波長の光を出射させるものを用いると良い。例えば、YAGレーザなどである。また、送光レンズ12は、例えば、シリンドリカルレンズである。送光レンズアクチュエータ13は、後述する制御装置50から供給されるレーザ照射領域制御信号(図示略)に基づいて、送光レンズ12の角度を調整する。これにより、送光レンズ12に入射されるレーザ光の角度を調整し、所望の探査範囲に、ファンビーム状のレーザ光を照射させることが可能となる。
【0014】
受光部20は、例えば、ズームレンズ21、高速ゲート装置22、ICCD(イメージインテンシファイアCCD)カメラヘッド23を備えている。ズームレンズ21は、目標物からの反射光を集光して、高速ゲート装置22に導く。高速ゲート装置22は、ズームレンズ21により導かれた光をICCDカメラヘッド23に取り込むシャッタとして機能する。ICCDカメラヘッド23は、取り込んだ光を電気信号に変換し、この電気信号を画像処理装置40へ出力する。
【0015】
画像処理装置40は、ICCDカメラヘッド23からの画像信号を所定の手順で処理し、処理後の画像データをモニタ(表示手段)41及びダウンコンバータ42に出力する。
モニタ装置41は、この画像信号を表示させることにより、ICCDカメラヘッド23により取り込まれた画像データを可視情報として表示画面に再生する。
ダウンコンバータ42は、入力された画像データをビデオ信号に変換し、このビデオ信号を監視装置の外部に設置されている外部装置(図示略)に出力する。
【0016】
制御装置50は、上述した監視装置の各部を制御するための各種制御信号を生成し、生成した各種制御信号を出力する。制御装置50は、例えば、CPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)等から構成されている。後述するような各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でROM等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
【0017】
このようにして構成された制御装置50は、例えば、同期制御信号、シャッタ駆動信号、レーザ照射領域制御信号などを生成し、これらの各信号を対応する各部に出力する。
具体的には、制御装置50は、所定の周波数を有する同期制御信号を同期回路51へ出力する。同期回路51は、この同期制御信号に基づいて、レーザ光の送光と受光の同期を取るための同期信号をレーザ電源52及びカメラコントローラ54に出力する。
これにより、レーザ電源52は、同期回路51から供給された同期信号に基づいて、レーザ発振器11の動作信号を形成する。これにより、所定のタイミングでレーザ発振器11から送光レンズ12を介してパルスレーザ光が発せられる。例えば、レーザ電源52は、数百Hzのパルス状のレーザ光を出射させる。
【0018】
また、制御装置50は、ICCDカメラヘッド23が、一定距離で反射してきたレーザ光のみを受光できるようなシャッタタイミングを求め、このタイミングに係る情報をシャッタ駆動信号としてカメラコントローラ54へ出力する。
カメラコントローラ54は、上述の同期回路51から入力される同期信号及び制御装置50から入力されるシャッタ動作信号に基づいて、上述した高速ゲート装置22を駆動する。これにより、一定距離で反射されてきたレーザ光のみがICCDカメラヘッド23に取り込まれることとなる。
【0019】
また、制御装置50は、レーザ照射領域を制御するためのレーザ光照射領域制御信号を生成し、この信号を送光レンズアクチュエータ13に出力する。これにより、送光レンズアクチュエータ13が、このレーザ光照射領域制御信号に基づいて送光レンズ12の角度を調整することにより、レーザ発振器11からのレーザ光が探査範囲に応じて拡張されることとなる。
また、図1において、符号53は、レーザ発振器11を冷却するためのレーザ冷却器、また、符号60は、制御装置50に対して外部から入力情報を与えるための入力装置である。
【0020】
このような構成を備える本実施形態に係る監視装置は、図2に示されるように、例えば、船舶200の針路前方の上空を船舶200の針路に沿って飛行するヘリコプター100の機体に搭載されており、船舶200の針路上における海面或いは海中に浮遊物や障害物などが存在しないかを探査するものとして用いられる。
例えば、船舶200が速度十数ノットにて進行している場合、ヘリコプター100は、高度数百フィートの上空を速度数十ノットで飛行する。
船舶200の針路上には、例えば、一定の横幅Hを持つ探査領域Pが設定されており、この探査領域Pに対してレーザ光を照射し、その反射光を受光することにより、探査領域Pにおける上記監視を行う。この探査領域の横幅Hは、例えば、150mから200mの間に設定されている。また、縦幅は、監視装置が備えるレーザ発振器11(図1参照)の出力性能に応じて適宜設定することが可能であるが、例えば、約1.5mから約5mの間に設定される。
【0021】
上述したような構成を備える監視装置によって、探査領域Pを監視する場合、まず、制御装置50により、同期制御信号、シャッタ駆動信号、レーザ照射領域制御信号などの各種信号が生成され、これらの信号が同期回路51、カメラコントローラ54、送光レンズアクチュエータ13などに出力される。
同期回路51は、制御装置50からの同期制御信号に基づいて同期信号を生成し、この同期信号をレーザ電源52及びカメラコントローラ54に出力する。レーザ電源52は、同期回路51から供給された同期信号に基づいて、レーザ発振器11の駆動信号を生成し、この駆動信号に基づいて、レーザ発振器11を駆動させる。これにより、レーザ発振器11からは所定のタイミングでパルス状のレーザ光が出射され、このレーザ光が送光レンズ12を介して海上へ向けて照射されることとなる。
【0022】
この結果、レーザ光は、海面において、探査領域P(図2参照)を照射するのに十分な横幅Uに拡張され、海面を照射する。なお、本実施形態では、レーザ光が照射される海面の照射領域Qの横幅Uは、探査領域Pの横幅Hと等しく設定されている(図2においてH=U)。また、このとき、送光レンズアクチュエータ13が、制御装置50から供給されるレーザ照射領域制御信号に基づいて、送光レンズ12の角度などを調整することにより、レーザ光の拡張程度や照射領域が調整されることとなる。
【0023】
このようにして、送光部10から出射されたファンビーム状のレーザ光は、探査領域Pに照射され、この探査領域Pに存在する物体などにより反射されたレーザ光が監視装置の受光部20にて受光されることとなる。このとき、カメラコントローラ54は、制御装置50から供給されるシャッタ駆動信号及び同期回路51から供給される同期信号に基づいて、高速ゲート装置22の開閉を制御する。これにより、監視装置から所望の距離(所望の海中深度)に存在する物体の情報を取得することができる。つまり、海面に浮遊している物体を検知したい場合と、海面から数十m深い海中に存在する物体を検知したい場合などに応じて、高速ゲート装置22の開くタイミングを制御することにより、所望の深度の情報をICCDカメラヘッド23に取り込むことが可能となる。
【0024】
このようにして、ICCDカメラヘッド23に取り込まれた光の情報は、電気信号として画像処理装置40へ出力される。画像処理装置40は、ICCDカメラヘッド23から入力された画像信号に所定の処理を施すことにより、ノイズ成分などを除去し、処理後の画像信号をモニタ41及びダウンコンバータ42に出力する。
これにより、モニタ41には、探査領域Pにおける所望の深度の探査結果が可視情報として再生されることとなる。
【0025】
そして、上述したような監視装置を搭載した機体が、監視装置の監視状況及び船舶200の運行速度などに応じて、船舶200の針路前方の上空を飛行することにより、レーザ光の照射領域Qを船舶200の針路に沿って連続的に移動される。これにより、船舶200の前方における探査領域Pの監視が、監視装置により効率的に行われることとなる。
【0026】
以上述べてきたように、本実施形態に係る監視装置によれば、送光部10により船舶200の針路前方における海上に向けてレーザ光が照射され、このレーザ光の反射光が受光部20により撮像される。そして、受光部20により取得された画像が、画像処理装置40を経由してモニタ41に表示されることにより、海上又は海中の様子を可視情報として確認することが可能となる。
この場合において、送光部10が発したレーザ光により照射される海面の照射領域Qの横幅Uは、船舶200の針路に沿って設定される探査領域Pの横幅H(針路に直交する方向の長さ)以上なので、レーザ光を幅方向に走査させることなく、一度のレーザ照射により、探査領域Pの幅方向Hにおける探査を実施することが可能となる。
そして、送光部10が発したレーザ光により照射される照射領域Qが、船舶200の針路に沿って連続的に移動されることにより、船舶200の針路に沿って一定の横幅を持って設定される探査領域Pの監視を効率よく行うことが可能となる。
【0027】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る監視装置について説明する。
まず、上述した第1の実施形態に係る監視装置により、平水時の海面を監視する場合、図3に示すように、大気の屈折率(例えば、na=1.0)と海水の屈折率(ns=1.33)が異なることから、上述した受光部20により取り込まれ、画像処理装置によりモニタ41に表示される画像には、歪みが発生する。
例えば、図4に示されるような格子状の模様を大気中に置き、これを大気中にて撮像して、この画像をモニタ41に表示させると、屈折率の相違はないため、画像には歪みが生じないこととなる。一方、図4に示されるような格子状の模様を海中に沈め、これを大気中から撮像して、この画像をモニタ41に表示させると、大気中と海水中では屈折率が異なるため、図5に示すように、この画像には歪みが生ずることとなる。
【0028】
この歪みについては、例えば、スネルの法則(Snell’s law)に従って補正することが可能である。つまり、スネルの法則によれば、上記歪みは、レーザ光の反射角θ2に基づいて、補正することが可能であり、この反射角θ2は、レーザ光の入射角θ1及び海水の屈折率(ns=1.33)に基づいて、以下に示す(1)式により、求めることが可能である。
sinθ2=sinθ1×ns/na=1.33sinθ1 (1)
【0029】
ところで、通常の海面は、上述したような平水状態ではなく、波浪によりうねっている。このため、図6及び図7に示されるように、海上の各ポイントにおける入射角θ1、反射角θ2は、それぞれ変化する。従って、画像の歪みを補正するためには、波の状況を観察することが必要となる。
本実施形態に係る監視装置では、このような画像の歪みを解消させる機能を備えたものであり、上述した波の状況を観察しながら、リアルタイムで画像の歪みを解消させ、歪みのない画像をモニタ41に表示させることを目的としている。
【0030】
以下、本実施形態に係る監視装置について具体的に説明する。
図8は、本実施形態に係る監視装置の概略構成を示したブロック図である。本実施形態に係る監視装置が、上述の第1の実施形態と異なる点は、海上に格子状のレーザマーカを照射させる海上用送光部(図示略)、及び、海上用送光部により照射されたレーザマーカの反射光を撮像するための海面用受光部30を備えている点、更に、画像処理装置40が、この海面用受光部30により取得された画像データに基づいて、受光部20により得られた画像データを補正する補正機能を備えている点である。
上記海面用受光部30は、受光部20と同様に、ズームレンズ31、高速ゲート装置32、及びICCDカメラヘッド33を備えている。また、本実施形態に係る監視装置において、上記海面用受光部30の高速ゲート装置32を制御するためのカメラコントローラ55が備えられている。
【0031】
このような構成を備える監視装置においては、まず、上記海面用送光部(図示略)が、海上に対して、格子状に配置されたレーザマーカを照射させ、このレーザマーカが海上で反射された反射光を海面用受光部30にて撮像する。なお、シャッタタイミングなどの制御手法については、第1の実施形態で述べたとおりである。
そして、海面用受光部30にて取得されたレーザマーカの画像データは、画像処理装置40に出力される。画像処理装置40は、この海面用受光部30によって取得された画像データに基づいて、海面の様子を把握し、この海面の様子に基づいて、受光部20により取得された画像データを補正することにより、海水と大気との屈折率に起因する画像の歪みを除去し、歪みのない画像をモニタ41に表示させる。
【0032】
具体的には、画像処理装置40は、以下のような原理に基づいて、受光部20により取得された画像データを補正する。
例えば、平水時であれば、海面用送光部により出射されたレーザ光は、図9に示すように、格子状に均等に照射されることとなるため、海面用受光部30にて取得される画像は、図10に示すように、規則正しくレーザマーカが配置されたものとなる。
一方、海上が波浪でうねっていた場合には、海面用送光部により出射されたレーザ光は、図11に示すように、海上に不均一に照射されることとなるため、海面用受光部30にて取得される画像は、図11に示すように、不均一にレーザマーカが配置されたものとなる。ここで、白丸は、平水時において取得されるマーカの位置を示している。
【0033】
画像処理装置40は、図10に示したような平水時におけるレーザマーカの画像を基準画像として保持しており、この基準画像と、海面用受光部30により実際に取得されたレーザマーカの画像とを比較することにより、各レーザマーカにおける差分をそれぞれ算出する。
具体的には、実際に取得された各マーカの位置と、平水時における位置との差分を算出し、この差分を図12に示すように、ベクトル量で表す。これにより、画像の歪みが、ベクトル量として得られることとなる。つまり、歪みの向きがベクトルの向きとして得られ、歪みの大きさがベクトルの長さとして得られることとなる。
画像処理装置40は、このようにして得られた各マーカにおけるベクトル量に基づいて、受光部20から出力されてくる画像データを補正することにより、つまり、受光部20から出力された画像データにおいて、上記各マーカの位置に対応する画素をそのマーカにおいて得られたベクトル量だけ移動させることによって、受光部20により得られた画像データを補正する。そして、補正後の画像データをモニタ41に表示させる。これにより、歪み成分が除去された画像をモニタ41に表示させることができる。
【0034】
以上述べてきたように、本実施形態に係る監視装置によれば、画像処理装置40が備える画像補正機能により、海面の影響による画像の歪みが補正され、補正後の画像情報がモニタ41に表示されるので、浮遊物などが検知された場合には、その形状などをより正確に、作業員などに提供することが可能となる。
なお、上記レーザマーカの間隔や点数などについては、運用条件に応じて適宜変更可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る監視装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る監視装置により行われる監視方法を説明するための図である。
【図3】大気と海水の屈折率を説明するための図である。
【図4】大気中においた格子状の模様を大気中に設置された受光部により撮像したときの画像を示した図である。
【図5】海中においた格子状の模様を大気中に設置された受光部により撮像したときの画像を示した図である。
【図6】平水時でない場合の大気及び海水の屈折率を示した図である。
【図7】平水時でない場合の大気及び海水の屈折率を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る監視装置の概略構成を示したブロック図である。
【図9】平水時において、海面用送光部により照射されるレーザマーカの一例を示した図である。
【図10】図9に示したレーザマーカを海面用受光部により撮像したときの画像を示した図である。
【図11】波浪時において、海面用送光部により照射されるレーザマーカの一例を示した図である。
【図12】図11に示したレーザマーカを海面用受光部により撮像したときの画像を示した図である。
【図13】平水時において海面用受光部により取得される画像データと、波浪時において海面用受光部により取得される画像データとの差分をベクトル量で表した図である。
【図14】従来の監視装置による監視方法の一例について説明する図である。
【符号の説明】
【0037】
10 送光部
20 受光部
40 画像処理装置
41 モニタ
50 制御装置
100 ヘリコプター
200 船舶
30 海面用受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の針路上に、一定の横幅を持って設定される探査領域を前記船舶の運航に応じて監視する監視装置であって、
レーザ光を生成し、前記レーザ光を拡張して、前記探査領域に向けて照射する送光手段と、
物体により反射された前記レーザ光の反射光を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された画像を表示する表示手段と
を備え、
前記送光手段から発せられたレーザ光により照射される海面の照射領域の横幅は、前記探査領域の横幅以上であり、この照射領域を前記船舶の針路に沿って連続的に移動させる監視装置。
【請求項2】
前記船舶の針路前方の上空を前記針路に沿って飛行する機体に搭載され、
前記送光手段は、上空から海上に向けて、前記レーザ光を照射する請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記撮像手段により取得された画像情報を補正する画像補正手段を備え、
前記画像補正手段は、大気と海水との屈折率に基づいて、前記海面の影響による画像の歪みを補正し、補正後の画像情報を前記表示手段に出力する請求項1又は請求項2に記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−252444(P2006−252444A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71359(P2005−71359)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】