説明

目の下のクマの外観を軽減するための組成物および方法

少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールと少なくとも1種の皮膚美白剤とを化粧料上または製薬上許容可能な担体中に含有する、目の下のクマの外観を軽減するための化粧料組成物または皮膚用組成物を提供する。本組成物は、さらに、少なくとも1種の抗血管新生剤および/または少なくとも1種の抗炎症剤を含有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールと少なくとも1種の皮膚美白剤とを含む化粧料組成物または皮膚用組成物、および目の下のクマ(undereye dark circle)の外観を軽減するためのかかる組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目の周囲(目の周りの領域)には非常に重要な美的役割がある。というのは、その領域が疲労、気分および年齢を直接的に示すからである。まぶたを十分に動かせるように、目の周囲の表皮は非常に薄くなっている(約0.33〜0.36mm、すなわち、顔の残りの部分の皮膚よりも3〜5倍薄い)。こうした極端な薄さが原因で、目の周囲の皮膚は乾燥し易く、外部要因、例えば、熱、ストレス、タバコ、紫外線および過度の顔の表情などの悪影響を特に被りやすい。一日を通して、眼域周囲の皮膚組織は様々な変化、例えば、血管新生、水和および腫れなどを被る可能性があり、それが、魅力的ではないと考えられる目の下のクマの腫れ/膨れおよび外観の一因となり得る。
【0003】
ほとんどの場合、目の下のクマは色素過剰症に起因すると考えられてきた。これは必ずしも全ての患者における原因ではない。最近の研究からは、目の下のクマの原因は多因子性の傾向があり、複数の因子の組み合わせの結果であることが多いことが明らかになっている。一般に、目の下のクマの外観に深部血管うっ血/表在性血管質、色素過剰症、皮膚半透明性および構造的濃淡(structural shadowing)をもたらす、主な因子のカテゴリーがあり、これは単独で、または組み合わせて存在する可能性がある。功を奏する結果を得る治療法を適切に選択するためには、これらの各種の因子を識別することが重要である。
【0004】
複雑な表在血管網が目の周囲の皮膚真皮内に存在する。これらの小さな皮下血管が目に見えるようになると、赤みがかった色調変化がその領域に生じる。習慣的に目をこすることによって良く見えるようになり得るが、それは、その領域に度重なる表在性外傷を発生させ、色素沈着に結びつく可能性もある。また目に見えるクマは、特に夜間の血液微小循環が減速する結果、生じ得る。それにより、目の下の一時的もしくは永続的な血管のうっ血もしくは貯留(reserve)が形成され、また結合組織における血液色素が蓄積する。
【0005】
色素過剰症が目の周囲の半円形パターンに生じ、数多くの局所症状または全身症状に起因している場合がある。炎症後の色素沈着は、表在(より一般的)パターンまたは深部(重篤の場合)パターンにおける色素蓄積を引き起こす可能性がある。深部真皮−上皮接合部を阻害する炎症性症状は、メラニンのターンオーバーが非常に遅い皮膚のマクロファージにおいてメラニン沈着を修復する場合が多い。また色素過剰症は、眼窩骨膜領域の非炎症性病変に由来することもある。そのような症状の例としては、黒皮症、そばかす、単純性ほくろ、境界母斑、日光黒子(「しみ」)およびあざが挙げられる。眼窩骨膜領域の色素沈着を引き起こし得る全身症状としては、各種の代謝障害および内分泌障害が挙げられる。
【0006】
まぶたや眼窩骨膜領域の皮膚は、顔の他の場所に比べると極端に薄い。さらに、皮膚は加齢に伴いより一層薄くなり、その結果、透け感がよりあるようになる。表面下の血管網が見えるようになり、眼窩骨膜領域が赤みがかった青色の色調となる。特にこれは眼窩縁下の領域で典型的であり、その場所では、顔の他のところで確認される組織的な脂肪および筋肉が欠如しており、顔下層の骨に対して際立った変色がある。
【0007】
さらに、眼窩周囲領域の様々な解剖学上の状況が眼窩下に濃淡(shadow)を生じさせる可能性がある。典型的には、深くに位置した眼窩は、眼窩下の領域に濃淡をもたらし得る。眼窩下の脂肪の脱出と隆起した鼻から遠ざかる起伏(prominent naso fugal fold)により、眼窩下領域のダブルの凸面外形は色調変化をもたらす。それは組織的および血管的であり得る。この外形は、下層にある涙溝(tear trough)に濃淡を生じる。また濃淡は、顔の別の構造、例えば、勾配がある鼻柱、高くなった前頭部隆起と深く配置された眼球(prominent frontal bossing deeply set eyes)、または眼球陥入から生じる場合がある。
【0008】
下眼瞼の皮膚は、頬/頬骨領域上部の皮膚に隣接している。加齢により、顔面中心部は、眼窩頬部靭帯の外側成分による支持の低下とボリュームの減少により下降する。顔面中心部の下降に伴い、涙溝に形状変化が起こり、それによって「クマ」が生じる。
【0009】
市場には多数の化粧品またはスキンケア製品があり、その多くは目の下のクマの外観を軽減するとうたっている。さらに、クマを軽減または最小化するように考案されている、各種の皮膚科的処置または外科的処置、例えば、ケミカル・ピール、レーザー療法または電気光学的治療がある。しかし、これらの製品または処置のほとんどは、上記で説明したそれらの原因の1つを標的としているが、目の下のクマの外観をもたらす多面的な原因に取り組む包括的アプローチは不十分である。さらに、現在利用可能な製品または処置の多くは侵襲的であり、また、皮膚刺激/眼部刺激といった望ましくない副作用が原因で、長期使用には適していない。
【0010】
このため、安全かつ有効な方法で目のまわりのクマの外観を軽減することができる化粧料組成物または皮膚用組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、目の下のクマの外観を安全かつ効果的に軽減するための化粧料組成物または皮膚用組成物、およびかかる組成物の使用方法に関する。
【0012】
一態様において、本発明は、少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールと少なくとも1種の皮膚美白剤とを化粧料上または製薬上許容可能な担体中に含む、化粧料組成物または皮膚用組成物に関する。こうした組成物は、少なくとも1種の抗血管新生剤および/または少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含んでいてもよい。
【0013】
別の態様において、本発明は、目に見えるクマのある目の下の領域に、少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールと少なくとも1種の皮膚美白剤とを化粧料上または製薬上許容可能な担体中に含む、化粧料組成物または皮膚用組成物を適用することによる目の下のクマの外観を軽減する方法に関する。
【0014】
本発明の他の態様および目的は、明細書、実施例および請求項を確認することにより、より一層明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では、「少なくとも1種(1つ)」という用語は1種または複数を意味し、したがって、それぞれの成分、ならびに混合物/組み合わせを包含する。
【0016】
別段の定めがない限り、本明細書で使用されている成分の量または濃度に関するすべての割合は、最終組成物の全重量パーセントを意味する。
【0017】
本明細書では、「化粧料上または皮膚科学上許容可能な」という用語は、適切なベネフィット/リスクバランスを考慮した、不適当な毒性、不適合性、不安定性、刺激性、アレルギー反応性などがない、皮膚との接触における使用に適することを意味する。
【0018】
本明細書では、「皮膚美白」という用語は、皮膚色調の全体的な美白感、および過度の色素沈着領域(例えば、加齢斑、黒皮症(肝斑)、そばかす、炎症後色素沈着または陽射しによる色素沈着のしみなど)の美白感をはじめとする、皮膚のメラニンの低減を意味する。
【0019】
本発明は、特定の二環式モノテルペンジオールと特定の皮膚美白剤との組み合わせが、真皮層中の血管の鬱血と皮膚表皮層中の色素過剰症を同時に標的とすることによって、目の下のクマの外観の相乗的軽減を、驚くほど、また予期しないほどに達成するという知見に基づくものである。「ジオール」という用語は、少なくとも2つの、しかし許容される場合には複数の-OH基を有する化合物を意味する。
【0020】
好ましくは、二環式モノテルペンジオールは、以下の一般式:
【化1】

【0021】
を有し、
式中、各Rは、独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、ヒドロキシメチル、ハロゲン、アシル、アミノアシル、直鎖状、分岐状、単環式、二環式または多環式であって、1個の原子〜20個の原子(その少なくとも1つは炭素、窒素、酸素または硫黄である)を含有する基、-(CH2)n-OR'、-(CH2)n-[CH(OH)]n-R'、および-(CH2)n-[CH(OH)]n-(CH2)n-[CH(OH)]n-R'からなる群から選択され、前記式中、各nは、独立して、0〜25の整数であり、R'は、独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、ヒドロキシメチル、ハロゲン、アシル、アミノアシル、および直鎖状、分岐状、単環式、二環式または多環式であって、1個の原子〜20個の原子(その少なくとも1つは炭素、窒素、酸素または硫黄である)を含有する基からなる群から選択されるが、ただし、R群の少なくとも2つの基はヒドロキシル基を含有する。
【0022】
さらに好ましくは、本発明の二環式モノテルペンジオールは、2,3-シス/エキソ-ピナンジオール、2,3-トランス-ピナンジオール、(1R)-(-)-トランス-ピナン-1,10-ジオール、および2,3-シス/エキソカンファンジオールからなる群から選択される。最も好ましくは、本発明の化粧料組成物または皮膚用組成物は、2,3-シス/エキソ-ピナンジオールおよび2,3-シス/エキソ-カンファンジオールの等モル混合物を含有する。本発明の二環式(bicylic)モノテルペンジオールは、皮膚の上皮細胞中で一酸化窒素合成を活性化させると考えられる。皮膚における一酸化窒素含有量が増加すると微小循環上昇が生じ、それが皮膚真皮層における血管鬱血を消失させるよう促し、その結果、こうした鬱血が原因である目の下のクマが軽減される。
【0023】
二環式モノテルペンジオールは、本出願の化粧料組成物または皮膚用組成物中に、当該組成物の約0.001重量%〜約20重量%の範囲の総量で存在することができる。さらに好ましくは、二環式モノテルペンジオールは、当該組成物の約0.01重量%〜5重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜3重量%の総量で存在する。
【0024】
また本出願の化粧料組成物または皮膚用組成物は、少なくとも1種の皮膚美白剤も含有する。例えば、アスコルビン酸およびその誘導体、例えばリン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン、パルミチン酸アルコルビル、アダパレン、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アネトール誘導体、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)根抽出物、リンゴ(Pyrus malus)抽出物、キュウリ(Cucumis sativus)抽出物、アゼライン酸、エラグ酸およびその誘導体、竹抽出物、ベアベリー抽出物、ビャッキュウ(bletilla tuber)、ブレウラム・ファルカタム(Bupleurum falcatum)抽出物、ワレモコウ抽出物、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、デオキシアルブチン、1,3-ジフェニルプロパン酸誘導体、2,5-ジヒドロキシ安息香酸およびその誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3-ジタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジタン、エラグ酸、エスシノール、エストラゴール誘導体、FADE OUT (Pentapharm製)、ボウフウ(Fangfeng)、フェンネル抽出物、ガノデルマ抽出物、ガオベン(gaoben)、GATULINE WHITENING (Gattlefosse製)、ゲニスチン酸およびその誘導体、グラブリジンおよびその誘導体、グルコピラノシル-1-アスコルベート、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、プラセンタ抽出物、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、4-ヒドロキシアニソールおよびその誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、イノシトールアスコルベート、乳酸、レモン抽出物、リノール酸、MELA WHITE (Pentapharm製)、トウグワ(Morus alba)抽出物、クワ根(mulberry root)抽出物、ナイアシンアミド、5-オクタノイルサリチル酸、パセリ抽出物、フェリナス・リンテアス(Phellinus linteus)抽出物、ピロガロール誘導体、レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル類(酢酸塩、プロピオン酸塩、パルミチン酸塩、リノール酸塩)、2,4-レゾルシノール誘導体、3,5-レゾルシノール誘導体、エイジツ抽出物、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシベンジル誘導体、トラネキサム酸、ビタミンD3およびその類似体、ならびにそれらの混合物がある。
【0025】
好ましくは、しかし必ずしもそうとは限らないが、本出願の化粧料組成物または皮膚用組成物は、コガネバナ根抽出物、リンゴ(Pyrus malus)抽出物、キュウリ(Cucumis sativus)抽出物の混合物を含有し、それは商標名Phytowhite(登録商標)でBASF(Lyon, France)から販売されている。皮膚美白剤は、本出願の化粧料組成物または皮膚用組成物中に、当該組成物の約0.001重量%〜約10重量%の範囲の総量で存在させることができる。さらに好ましくは、皮膚美白剤は、当該組成物の約0.01重量%〜5%、最も好ましくは約0.05重量%〜1重量%で存在させる。
【0026】
本発明の化粧料組成物または皮膚用組成物は様々な形態で、例えば、無水組成物、水性ベースの溶液、セラム、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、ムース、スティック剤、噴霧剤、軟膏剤、エッセンス、ペースト剤、マイクロカプセル、またはカラー化粧品組成物、例えばファンデーション、頬紅、アイシャドーなど提供することができる。これらには、他の化粧料上および/または皮膚科学上許容可能な追加成分、例えば、抗血管新生剤、抗炎症剤、酸化防止剤、植物抽出物、保湿剤、モイスチャライザー、日焼け止め剤、防腐剤、着色剤、香料などを含有していてもよい。
【0027】
適切なセラムまたはゲル剤は、一般に、約1〜99%の水を含み、場合により約0.001〜30%の水相増粘剤を含む。本明細書に記載した他の成分は、明記した割合の範囲で存在させることができる。
【0028】
典型的なスキンクリームまたはローション剤は、約5〜98%の水、1〜85%の油、および約0.1〜20%の1種または複数の界面活性剤を含む。好ましくは、界面活性剤は非イオン性であって、シリコーンまたは有機非イオン性界面活性剤の形態であってもよい。
【0029】
典型的なカラー化粧品組成物(例えば、ファンデーション、頬紅、アイシャドーなど)は、好ましくは、約5〜98%の水、1〜85%の油、および約0.1%〜20%の1種または複数の界面活性剤を含有し、さらに、色素または色素と粉末の組み合わせである微粒子を約0.1〜65%含有する。
【0030】
本組成物が水溶液、分散液またはエマルションの形態である場合、水に加えて、水相は1種または複数の水相構造化剤(すなわち、組成物の水相の粘性を高めるか濃厚化させる薬剤)を含有していてもよい。水相構造化剤の適切な範囲は、存在する場合、全組成物の約0.01〜30重量%、好ましくは約0.1〜20重量%、さらに好ましくは約0.5〜15重量%である。こうした薬剤の例としては、下記の述べるもの(これらに限定されるものではない)をはじめとする、各種のアクリレート系増粘剤、天然ガムもしくは合成ガム、多糖類などが挙げられる。こうした構造化剤は、次のもの含み得る。
【0031】
A. 多糖類
多糖類は、適切な水相増粘剤であり得る。こうした多糖類の例としては、天然由来の物質、例えば、寒天、アガロース、アルカリゲネス多糖類、アルギン、アルギン酸、アカシアゴム、アミロペクチン、キチン、デキストラン、カッシアガム、セルロースガム、ゼラチン、ジェランガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ペクチン、スクレロチウムガム、キサンタンガム、ペクチン、トレハロース(trehelose)、ゼラチンなどが挙げられる。
【0032】
B. アクリレートポリマー
様々なタイプの合成ポリマー増粘剤もまた適切である。その1種としては、モノマーAおよびBからなるアクリル系ポリマー増粘剤が挙げられ、この場合、Aは、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群から選択され;Bは、C1-22アルキルアクリレート、C1-22アルキルメタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるのが好適である。一実施形態においては、Aのモノマーは、1種または複数のアクリル酸またはメタクリル酸を含み、Bのモノマーは、C1-10アルキルアクリレート、最も好ましくはC1-4アルキルアクリレート、およびC1-10アルキルメタクリレート、最も好ましくはC1-4アルキルメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、Bのモノマーは、1種または複数のメチルまたはエチルのアクリレートまたはメタクリレートである。アクリルコポリマーは、ポリマーの約10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%の範囲の固体含量と、残りの水とを有する水溶液で提供することができる。アクリルコポリマーの組成物は、約0.1〜99部のAのモノマーと、約0.1〜99部のBモノマーを含有していてもよい。アクリルポリマー溶液としては、商標名CapigelでSeppic, Inc.から販売されているものが挙げられる。
【0033】
また適切であるのは、Aのモノマー、BのモノマーおよびCのモノマー[ここで、AおよびBは上記で定義した通りであり、Cは一般式:
【化2】

【0034】
(式中、Zは-(CH2)mであり;ここで、mは1〜10であり、nは2〜3であり、oは2〜200であり、RはC10-30の直鎖状または分岐鎖状のアルキルである)
を有する]のコポリマーであるアクリル系ポリマー増粘剤である。上記の第2の増粘剤の例は、AおよびBが上記で定義した通りであり、CがCOであり、n、oおよびRが上記で定義した通りであるコポリマーである。こうした第2の増粘剤の例としては、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマーが挙げられ、それは商標名Acrysol ICS-1としてRohm & Haasから販売されている。
【0035】
また適切であるのは、少なくとも1つの親水性単位と、脂肪鎖を含有する少なくとも1つのアリルエーテル単位とを含有するアクリレート系アニオン性両親媒性ポリマーである。好ましいのは、親水性単位がエチレン性不飽和アニオン性モノマー、より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの混合物などのビニルカルボン酸を含み、また、脂肪鎖を含有するアリルエーテル単位が、式:
【化3】

【0036】
(式中、R'はHまたはCH3を表し、Bはエチレンオキシ基を表し、nは0または1〜100の整数であり、Rは、8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、さらにより詳しくは12〜18個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリールおよびシクロアルキル基から選択される炭化水素基を表す)
で表されるモノマーに相当するものである。この場合、より好ましいのは、R'がHを表し、nが10に相当し、Rがステアリル(C18)基を表すものである。このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、米国特許第4,677,152号および同第4,702,844号において記載され、また調製されている。前記両文献は参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。これらのアニオン性両親媒性ポリマーの中に、20〜60重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸、5〜60重量%のメタクリル酸低級アルキル、2〜50重量%の上記の脂肪鎖を含有するアリルエーテル、および0〜1重量%の架橋剤(これは周知の共重合可能なポリエチレン系不飽和モノマー、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコールおよびメチレンビスアクリルアミド)で形成されるポリマーがある。このようなポリマーの市販例は、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(10EO単位を有する)エーテルまたはステアレス-10の架橋ターポリマー、特に、Allied Colloids社からSALCARE SC80およびSALCARE SC90の名称で販売されているものであって、これらは、メタクリル酸、アクリル酸エチルおよびステアレス-10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーを30%含有する水性エマルションである。
【0037】
さらに好適であるのは、ポリアクリレート-3(これはメタクリル酸、メタクリル酸メチル、イソプロピルイソシアン酸メチルスチレンおよびベヘン酸PEG-40モノマーのコポリマー);ポリアクリレート-10(これはアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミドおよびビニルピロリドンモノマーのコポリマー);またはポリアクリレート-11(これはアクリロイルジメチルアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ブチルおよびアクリルアミドモノマーのコポリマー)などのアクリレートコポリマーである。
【0038】
また好適であるのは、1個または複数のアクリル基が置換長鎖アルキル(例えば6〜40個、10〜30個など)基を有し得る架橋アクリレート系ポリマーであって、例えば、アクリレート/アクリル酸C10-30アルキルクロスポリマー(これはアクリル酸C10-30アルキルと、アクリル酸、メタクリル酸、またはスクロースのアリルエーテルもしくはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されているそれらの単純エステルの1つの1種または複数のモノマーとのコポリマー)である。このようなポリマーは、CarbopolまたはPemulenという商標名で一般に販売されており、CTFA名はカルボマーである。
【0039】
水相増粘剤の特に好適な1つのタイプは、Clariantから商標名Aristoflexで販売されているアクリレート系ポリマー増粘剤、例えばAristoflex AVC(これはアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー);Aristoflex AVL(これはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリラウレス-4およびセスキイソステアリン酸ポリグリセリル-2を含有する混合物中に分散させたAVC中で確認されるポリマーと同一ポリマー);またはAristoflex HMB(これはアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸べへネス-25クロスポリマー)などである。
【0040】
C. 高分子量PEGまたはポリグリセリン
また水相増粘剤として好適であるのは、重合度が1,000〜200,000の範囲である各種ポリエチレングリコール(PEG)誘導体である。このような成分は、例えばPEG-45M(これは、45,000個のエチレンオキシドの繰り返し単位を有するPEGを意味する)というように、記号「PEG」の後の1000単位の重合度という表記で示される。好適なPEG誘導体の例としては、PEG 2M、5M、7M、9M、14M、20M、23M、25M、45M、65M、90M、115M、160M、180Mなどが挙げられる。
【0041】
また好適であるのは、繰返し部分の数が15〜200個、好ましくは約20〜100個の範囲であるグリセリンの繰返し部分であるポリグリセリンである。適切なポリグリセリンの例としては、CFTA名ポリグリセリン-20、ポリグリセリン-40などを有するものなどが挙げられる。
【0042】
本発明の組成物が無水形態またはエマルション形態である場合、組成物は油相を含む。油性成分は、皮膚の保湿特性および保護特性において望ましい。適切な油としては、本明細書に記載した油をはじめとする(これらに限定されるものではない)、シリコーン、エステル、植物油、合成油などが挙げられる。油は揮発性であっても不揮発性であってもよいが、好ましくは、室温で注入可能な液体の形態である。「揮発性」という用語は、その油が測定可能な蒸気圧、または20℃で水銀が少なくとも約2mmの蒸気圧を有することを意味する。「不揮発性」という用語は、その油が20℃で水銀が約2mm未満の蒸気圧を有することを意味する。適切な油としては、次のものが挙げられる。
【0043】
A. 揮発性油
適切な揮発性油は、一般に、25℃で約0.5〜5センチストークの範囲の粘性を有し、直鎖状シリコーン、環状シリコーン、パラフィン族炭化水素またはそれらの混合物が挙げられる。揮発性油は、皮膚に適用された後、スキンケア組成物がより速く乾くようにするために使用することができる。I型H-, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体を含有するスキンケア製品が混合肌または脂性肌の消費者向けに製剤化されている場合、揮発性油はより一層望ましい。皮膚タイプに関する「混合」という用語は、顔の一部の場所(T-ゾーンなど)が油性であって、他の場所が標準である皮膚を意味する。
【0044】
1. 揮発性シリコーン
環状シリコーンは、本組成物で使用可能な揮発性シリコーンの一タイプである。このようなシリコーンは、一般式:
【化4】

【0045】
(式中、n=3〜6、好ましくは、4、5、または6である)
を有する。
【0046】
また好適であるのは、直鎖揮発性シリコーン、例えば、一般式:
【化5】

【0047】
(式中、n=0、1、2、3、4、または5、好ましくは0、1、2、3、または4)
を有するものである。
【0048】
環状および直鎖揮発性シリコーンは、Dow Corning CorporationおよびGeneral Electricをはじめとする様々な商業的提供元から販売されている。Dow Corningの直鎖揮発性シリコーンは、商標名Dow Corning 244、245、344および200流体(fluid)として販売されている。これらの流体としては、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストーク(略号cst))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)およびそれらの混合物(粘度は全て25℃で測定)が挙げられる。
【0049】
好適な分岐状揮発性シリコーンとしては、一般式:
【化6】

【0050】
を有する分岐状揮発性シリコーンであるアルキルトリメチコン、例えばメチルトリメチコンなどが挙げられる。
【0051】
メチルトリメチコンは、25℃で1.5センチストークの粘度を有する商標名TMF-1.5としてShin-Etsu Siliconesから購入することができる。
【0052】
2. 揮発性パラフィン系炭化水素
また揮発性油として好適であるのは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子、より好ましくは8〜16個の炭素原子を有する各種の直鎖または分岐鎖パラフィン系炭化水素である。好適な炭化水素としては、米国特許第3,439,088号および同第3,818,105号(これらの文献は双方とも参照により本明細書に組み入れるものとする)に開示されているペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、およびC8-20イソパラフィンが挙げられる。
【0053】
好ましい揮発性パラフィン系炭化水素は、70〜225、好ましくは160〜190の分子量と、30〜320℃、好ましくは60〜260℃の沸点と、25℃で約10cst未満の粘度とを有する。このようなパラフィン系炭化水素は、商標名ISOPARSとしてEXXONから、また、Permethyl Corporationから販売されている。好適なC12イソパラフィンは、商標名Permethyl 99AとしてPermethyl Corporationにより製造されている。市販の各種C16イソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン(商標名Permethyl Rを有する)なども適切である。
【0054】
B. 不揮発性油
各種の不揮発性油もまた、本発明の組成物で使用するのに好適である。一般に、不揮発性油は25℃で約5〜10センチストークを超える粘度を有しており、粘度は25℃で約1,000,000センチポアズまでの範囲で変動し得る。不揮発性油の例としては、限定されるものではないが、次のものが挙げられる。
【0055】
1. エステル
好適なエステルはモノ−、ジ−、およびトリエステルである。本組成物はこの群またはそれらの混合物から選択される1種または複数のエステルを含み得る。
【0056】
(a) モノエステル
モノエステルは、式R-COOH(式中、Rは2〜45個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するモノカルボン酸と、式R-OH(式中、Rは2〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するアルコールとの反応により形成されるエステルとして定義する。このアルコールと酸は、双方とも1個または複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい。この酸またはアルコールのいずれか一方または双方は「脂肪」酸またはアルコールであってもよく、また、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和形態で約6〜30個の炭素原子、より好ましくは12、14、16、18または22個の炭素原子を有していてもよい。本発明の組成物で使用可能なモノエステル油の例としては、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニルなどが挙げられる。
【0057】
(b).ジエステル
好適なジエステルは、ジカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの反応生成物、または少なくとも2個の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物である。ジカルボン酸は2〜30個の炭素原子を含んでいてもよく、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和形態であってもよい。ジカルボン酸は1個または複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい。また脂肪族または芳香族アルコールも2〜30個の炭素原子を含んでいてもよく、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和形態であってもよい。好ましくは、酸またはアルコールの1種または複数は脂肪酸または脂肪アルコールであり、すなわち、12〜22個の炭素原子を含有する。またジカルボン酸はα-ヒドロキシ酸であってもよい。エステルはダイマー型またはトリマー型であってもよい。本発明の組成物で使用できるジエステル油の例としては、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ジリノール酸ジセテアリルダイマー、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ジリノール酸ジイソステアリルダイマー、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0058】
(c). トリエステル
好適なトリエステルは、トリカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの反応生成物、あるいは、3個以上の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物を含む。上記のモノ-およびジエステルの場合のように、この酸およびアルコールは2〜30個の炭素原子を含み、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖であってもよく、1個または複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい。好ましくは、酸またはアルコールの1種または複数は12〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸または脂肪アルコールである。トリエステルの例としては、アラキドン酸、クエン酸またはベヘン酸のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC12-13アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル;またはココア酸トリデシル、イソノナン酸トリデシルなどが挙げられる。
【0059】
本組成物での使用に好適なエステルは、C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第11版、2006年、「エステル」の分類の項目にさらに述べられている(これにより、その内容は、その全体を参照により本明細書に組み入れるものとする)。
【0060】
2. 炭化水素油
本組成物に1種または複数の不揮発性炭化水素油を配合することが望ましい場合がある。好適な不揮発性炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素およびオレフィン類、好ましくは、約20個を超える炭素原子を有するものが挙げられる。このような炭化水素油の例としては、C24-28オレフィン、C30-45オレフィン、C20-40イソパラフィン、水素化ポリイソブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、水素化ポリデセン、鉱物油、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアラン、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい一実施形態では、このような炭化水素は約300〜1000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0061】
3. 脂肪酸のグリセリルエステル
また、脂肪酸の合成または天然グリセリルエステル、またはトリグリセリドも本組成物での使用に好適である。植物起源および動物起源の双方を使用することができる。このような油の例としては、ヒマシ油、ラノリン油、C10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、スィートアーモンド油、杏仁油、ゴマ油、アマナズナ(camelina sativa)油、タマヌ種子油(tamanu seed oil)、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、インクオイル、オリーブ油、ヤシ油、イリッペバター、ナタネ油、ダイズ油、ブドウ種子油、ヒマワリ種子油、クルミ油などが挙げられる。
【0062】
また好適であるのは、合成または半合成グリセリルエステル、例えば、改質された天然油脂である脂肪酸モノ-、ジ-およびトリグリセリド、例えば、グリセリンなどのポリオールのモノ-、ジ-またはトリエステルである。一例としては、脂肪(C12-22)カルボン酸を1種または複数の繰り返しグリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノール酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソテアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、PEGオレイン酸グリセリル、PEGステアリン酸グリセリル、PEG牛脂脂肪酸グリセリルなど。
【0063】
4. 不揮発性シリコーン
また不揮発性シリコーン油(水溶性および不水溶性の両方)も、本組成物で使用するのに好適である。このようなシリコーンは、好ましくは、25℃で約5〜800,000cst、好ましくは20〜200,000cstの粘度を有する。好適な不水溶性シリコーンとしては、アミン官能性シリコーン、例えばアモジメチコンなどが挙げられる。
【0064】
例えば、このような不揮発性シリコーンは、次の一般式:
【化7】

【0065】
[式中、RおよびR'は、それぞれ独立して、C1-30直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和アルキル、フェニルまたはアリール、トリアルキルシロキシであり、xおよびyは、それぞれ独立して、1〜1,000,000であり(ただし、xまたはyのいずれかの少なくとも1つが存在する)、Aはアルキルシロキシエンドキャップ単位である]
を有し得る。好ましいのは、Aがメチルシロキシエンドキャップ単位、特にトリメチルシロキシであり、RおよびR'が、それぞれ独立して、C1-30直鎖もしくは分岐鎖アルキル、フェニルまたはトリメチルシロキシ、より好ましくは、C1-22アルキル、フェニルまたはトリメチルシロキシ、最も好ましくはメチル、フェニルまたはトリメチルシロキシであり、それによって得られるシリコーンがジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコンまたはトリメチルシロキシフェニルジメチコンである場合である。他の例としては、アルキルジメチコン、例えばセチルジメチコンなどが挙げられ、この場合、少なくとも1つのRは脂肪アルキル(C12、C14、C16、C18、C20またはC22)であり、他のRはメチルであり、Aはトリメチルシロキシエンドキャップ単位である(ただし、このようなアルキルジメチコンは室温で注入可能な液体である)。フェニルトリメチコンは、Dow Corning Corporationから商標名556 Fluidとして購入することができる。トリメチルシロキシフェニルジメチコンは、Wacker-Chemieから商標名PDM-1000として購入することができる。セチルジメチコンは液体シリコーンワックスとも呼ばれ、Dow CorningからFluid 2502として、またはDeGussa Care & Surface Specialtiesから商標名Abil Wax 9801または9814として購入することができる。
【0066】
5. フッ素化油
また、限定されるものではないが、フッ素化シリコーン、フッ素化エステルまたはペルフルオロポリエーテルをはじめとする各種タイプのフッ素化油も本組成物での使用に好適であり得る。特に、フルオロシリコーン、例えば、トリメチルシリルエンドキャップ型フルオロシリコーン油、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、および類似のシリコーン類、例えば、米国特許第5,118,496号(これは参照により本明細書に組み入れるものとする)に開示されているものなどが好適である。ペルフルオロポリエーテルとしては、米国特許第5,183,589号、同第4,803,067号、同第5,183,588号(これらは全て参照により本明細書に組み入れるものとする)に開示されているものが挙げられ、Montefluosから商標名Fomblinとして販売されている。
【0067】
組成物が無水型またはエマルション型である場合、化粧用組成物には1種または複数の油相構造化剤を含むことが望ましいことがある。「油相構造化剤」という用語は、油相の粘度または構造を高める、油相中に可溶または分散可能な成分または成分の組合せを意味する。油相構造化剤は、I型 H+, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体と適合し、特にI型 H+, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体が非極性油に可溶性である場合、本組成物の油相を形成する。「適合する」とは、油相構造化剤とI型 H+, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体が、一般に安定な化粧品へと配合可能であることを意味する。構造化剤は、高粘度を有する液体組成物、半固体、または場合によっては自立し得る固体組成物を提供するのに十分な量で存在し得る。構造化剤はそれ自体、液体、半固体または固体形態で存在することができる。構造化剤の推奨範囲は、全組成物の約0.01〜70重量%、好ましくは約0.05〜50重量%、より好ましくは約0.1〜35重量%である。好適な油相構造化剤としては、シリコーン系または有機系のものが挙げられる。それらはポリマーまたは非ポリマーで、合成、天然または両者の組合せであってもよい。こうした油相構造化剤としては、次のものを挙げることができる。
【0068】
A. シリコーン構造化剤
各種の油相構造化剤は、シリコーン系、例えば、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、シリコーンワックス、および化粧用組成物に配合した際に油相の粘度を高め得るような粘度を有するシリコーンを提供する重合度のある直鎖シリコーンであり得る。シリコーン構造化剤の例としては、限定されるものではないが、次のものが挙げられる。
【0069】
1. シリコンエラストマー
本発明の組成物での使用に好適なシリコーンエラストマーとしては、白金金属触媒の存在下、SiH含有ジオルガノシロキサンと末端オレフィン不飽和を有するオルガノポリシロキサンまたはα-ωジエン炭化水素を反応させることによる付加反応硬化によって形成されるものが挙げられる。またこのようなエラストマーは、他の反応方法、例えば、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンまたはα-ωジエンの間の脱水素反応による、オルガノスズ化合物の存在下での縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;またはヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシロキサンの間の縮合反応を用いた、オルガノスズ化合物またはチタン酸エステルの存在下での縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;オルガノ過酸化物触媒の存在下で熱硬化する過酸化物硬化オルガノポリシロキサン組成物などによっても形成することができる。
【0070】
適切であり得るエラストマーの1つのタイプは、各分子またはα-ωジエンに少なくとも2個の低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン;および各分子に少なくとも2個のシリコーン結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン;および白金型触媒を付加反応硬化することにより製造される。ビニルなどの低級アルケニル基は分子内のいずれの位置に存在してもよいが、分子の一末端または両末端が末端オレフィン不飽和であることが好ましい。この成分の分子構造は、直鎖、分岐直鎖、環状または網状であってもよい。これらのオルガノポリシロキサンの例示は、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、およびジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル(3,3,-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマー、デカジエン、オクタジエン、ヘプタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエンまたはテトラジエンまたはトリジエンである。
【0071】
硬化は、本明細書に記載の触媒を用いる触媒作用下でシロキサンまたはα-ωジエンを用い、ジメチルメチル水素シロキサン中ケイ素結合水素原子の付加反応によって進行する。高架橋度の構造を形成するためには、メチル水素シロキサンは、架橋剤としての機能を最適化するために各分子に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む必要がある。
【0072】
ケイ素結合水素原子とアルケニル基の付加反応に用いられる触媒は、具体的には、アルコールまたはケトンに溶解可能であって、この溶液を場合により熟成させるなクロロプラチン酸、クロロ白金酸-オレフィン複合体、クロロ白金酸-アルケニルシロキサン複合体、クロロ白金酸-ジケトン複合体、白金黒、および担体支持型白金により例示される。
【0073】
本発明の組成物での使用に好適なシリコーンエラストマーの例は、粉末型であってもよいし、例えば、揮発性もしくは不揮発性シリコーン、またはパラフィン系炭化水素もしくはエステルなどのシリコーン適合性ビヒクルといったで溶媒中の分散物または可溶化物であってもよい。シリコーンエラストマー粉末の例としては、ビニルジメチコン/メチコンシレスキオキサン架橋ポリマー、例えば、Shin-EtsuのKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105など、フルオロアルキル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末、例えば、フルオロ-シリコーンエラストマーであるShin-EtsuのKSP-200など、およびフェニル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末、例えば、フェニル置換シリコーンエラストマーであるShin-EtsuのKSP-300など;およびDow ComingのDC9506が挙げられる。シリコーン適合性ビヒクル中に分散されたシリコーンエラストマー粉末の例としては、様々な提供者、例えば、Dow Corning Corporation(商標名9040または9041として)、GE Silicones(商標名SFE839として)またはShin-Etsu Silicones(商標名KSG-15、16、18として)によって供給されているジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーが挙げられる。KSG-15はCTFA名のシクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーを有する。KSG-18はINCI名のフェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコン架橋ポリマーを有する。またシリコーンエラストマーは、Grant Industriesから商標名Gransilとして購入することもできる。さらに、Shin-Etsuにより商標名KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43およびKSG-44として供給されているラウリルジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーなどの、長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマーも好適である。本発明で有用な架橋オルガノポリシロキサンエラストマーおよびその製造方法は、さらに、米国特許第4,970,252号;米国特許第5,760,116号;米国特許第5,654,362号;および日本国特許出願JP61-18708(これらはそれぞれ参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)に記載されている。シリコーンエラストマーを本発明の組成物へ配合することは、それらが本組成物に優れた「感触(feel)」を提供し、化粧料製剤において非常に安定しており、かつ比較的安価である点から特に望ましい。
【0074】
2. シリコーンガム
また、1種または複数のシリコーンガムも油相構造化剤として用いるのに好適である。「ガム」という用語は、ガム様のテクスチャーを有するシリコーンを提供するのに十分な重合度のシリコーンポリマーを意味する。ある特定の場合、ガムを形成するシリコーンポリマーは架橋されていてもよい。一般に、シリコーンガムは25℃で約500,000〜100×106cst、好ましくは約600,000〜20×106、より好ましくは約600,000〜12×106cstの範囲の粘度を有する。本明細書に記載の全ての範囲は、あらゆる部分範囲を包含する(例えば、550,000;925,000;3.5×106)。
【0075】
本組成物で使用されるシリコーンガムとしては、限定されるものではないが、一般式:
【化8】

【0076】
[式中、R1〜R9は、それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、またはアラルキルであり;XはOHまたはC1-30アルキルまたはビニルであり;x、yまたはzは0であってもよい(ただし、x、yまたはzのうち同時に0となるのは2個までであり、さらにX、YおよびZはシリコーンガムが少なくとも25℃で約500,000cst、約100×106センチストークまでの範囲となるようなものである)]
のものが挙げられる。RがメチルまたはOHである場合が好ましい。
【0077】
このようなシリコーンガムは、Wacker-ChemieまたはDow Corningなどをはじめとする、様々なシリコーン製造業者から純粋形態で購入することができる。このようなシリコーンガムとしては、Wacker-Belsilにより商標名CM3092、Wacker-Belsil 1000またはWacker-Belsil DM 3096として販売されているものが挙げられる。XがOHであるシリコーンガム(ジメチコノールともいう)もまた、Dow Corning Corporationから商標名1401として販売されている。またシリコーンガムは、揮発性または不揮発性シリコーンなどのシリコーン適合性ビヒクル中の溶液または分散液の形態で購入することもできる。このような混合物の例は、Barnet Siliconesから商標名HL-88として購入することができる(INCI名はジメチコン)。
【0078】
3. シリコーンワックス
別タイプの油相構造化剤としては、通常、アルキルシリコーンワックスと呼ばれている、室温で半固体または固体のシリコーンワックスが挙げられる。「アルキルシリコーンワックス」という用語は、シロキサンに半固体特性または固体特性を付与する置換長鎖アルキル(例えばC16〜30など)を有するポリジメチルシロキサンを意味する。このようなシリコーンワックスの例としてはステアリルジメチコンが挙げられ、それらはDeGussa Care & Surface Specialtiesから商標名Abil Wax 9800として、またはDow Corningから商標名2503として購入することができる。別の例はビス-ステアリルジメチコン(これはGransil Industriesから商標名Gransil A-18として購入可能である)、または、ベヘニルジメチコン、ベヘンオキシジメチコンである。
【0079】
4. ポリアミドまたはシリコーンポリアミド
また油相構造化剤として好適であるのは、ポリアミドまたはシリコーンポリアミドなどの様々なタイプのポリマー化合物である。
【0080】
シリコーンポリアミドという用語は、本明細書にさらに記載の通り、シリコーンモノマーとアミド基を含有するモノマーからなるポリマーを意味する。シリコーンポリアミドは、好ましくは、一般式:
【化9】

【0081】
[Xは、約1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐状アルキレンであり;R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1個または複数のヒドロキシルまたはハロゲン基で置換されていてもよいC1-30直鎖または分岐鎖アルキル;1個または複数のC1-30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシルまたはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル;または一般式:
【化10】

【0082】
を有するシロキサン鎖であり;
Yは、
(a)
(i) 一般式R1CONR1を有する1個または複数のアミド基、または
(ii) C5-6環式環、または
(iii) 1個または複数のC1-10アルキル基で置換されていてもよいフェニレン、または
(iv) ヒドロキシ、または
(v) C3-8シクロアルカン、または
(vi) 1種または複数のヒドロキシ基で置換されていてもよいC1-20アルキル、または
(vii) C1-10アルキルアミン
で置換されていてもよい約1〜40の個の炭素原子を有する直鎖または分岐状アルキレンであるか;あるいは、
(b) TR5R6R7
(式中、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、C1-10直鎖または分岐状アルキレンであり、TはCR8であり、ここで、R8は水素、三価原子N、PもしくはAl、または1個もしくは複数のヒドロキシルまたはハロゲン基で置換されていてもよいC1-30直鎖または分岐状アルキル;1個もしくは複数のC1-30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシルもしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル;または一般式:
【化11】

【0083】
を有するシロキサン鎖である)
である]
で表される成分を含む。
【0084】
R1、R2、R3およびR4がC1-10、好ましくはメチルであり;XおよびYが直鎖または分岐状アルキレンである場合が好ましい。一般式:
【化12】

【0085】
(式中、aおよびbは、それぞれ独立して、約60〜120℃の範囲の融点と、約40,000〜500,000ダルトンの範囲の分子量を有するシリコーンポリアミドポリマーを提供するのに十分なものである)
を有するシリコーンポリアミドが好ましい。本発明の組成物で使用可能なシリコーンポリアミドの1つのタイプは、Dow Corning Corporationから商標名Dow Corning 2-8178ゲル化剤(CTFA名はナイロン-611/ジメチコンコポリマー、PPG-3ミリスチルエーテルを含有する組成物中の固体である)として購入することができる。
【0086】
また好適であるのは、Arizona Chemicalから商標名UniclearおよびSylvaclearとして購入されるものなどのポリアミドである。このようなポリアミドは、エステル末端型またはアミド末端型であってもよい。エステル末端ポリアミドの例としては、限定されるものではないが、一般式:
【化13】

【0087】
[式中、nは、エステル基の数がエステル基およびアミド基の総数の約10%〜50%となるようなアミド単位の数を示し;R1は、それぞれ独立して、少なくとも4個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルケニル基であり;R2は、それぞれ独立して、C4-42炭化水素基であり(ただし、R2基の少なくとも50%はC30-42炭化水素である);R3は、それぞれ独立して、少なくとも2個の炭素原子と水素原子と所望により1以上の酸素または窒素原子を含有する有機基であり;R4は、それぞれ独立して、水素原子、C1-10アルキル基またはR3または別のR4に対する直接結合であり、それにより、R3およびR4の双方が結合している窒素原子はR4-N-R3で定義される複素環式構造の一部を形成し、基R4の少なくとも50%は水素原子を示す]
を有するものが挙げられる。
【0088】
油相ゲル化剤として使用可能なエステルおよびアミド末端ポリアミドの一般的な例としては、Arizona Chemicalにより商標名Sylvaclear A200VまたはA2614V、双方ともCTFA名はエチレンジアミン/水素化ダイマージリノレートコポリマー/ビス-ジ-C14-18アルキルアミド;Sylvaclear AF1900V;Sylvaclear C75V(CTFA名はビス-ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化ダイマージリノレートコポリマー;Sylvaclear PA1200V、CTFA名はポリアミド-3;Sylvaclear PE400V;Sylvaclear WF1500V;またはUniclear、例えば、Uniclear 100VG、INCI名はエチレンジアミン/ステアリルダイマージリノレートコポリマー;またはエチレンジアミン/ステアリルダイマージタレートコポリマーとして販売されているものが挙げられる。他の好適なポリアミドの例としては、Henkelにより商標名Versamid(Versamid 930、744、1655など)またはOlin Mathieson Chemical Corp.により商標名Onamid SまたはOnamid Cとして販売されているものが挙げられる。
【0089】
5. 天然または合成有機ワックス
また、油相構造化剤として好適であるのは、動物、植物またはミネラルワックスなどの1種または複数の天然または合成ワックスである。好ましくは、このようなワックスは約50〜150℃、より好ましくは約65〜100℃のような高い融点を有する。このようなワックスの例としては、Fischer-Tropsch合成により製造されたワックス、例えばポリエチレンまたは合成ワックスなど;または様々な植物ワックス、例えば、ヤマモモ、キャンデリア、オゾケライト、アカシア、ミツロウ、セレシン、セチルエステル、花蝋、柑橘蝋、カルナウバ蝋、ホホバ蝋、和蝋(japan wax)、ポリエチレン、微結晶、米糠、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ、オーリクリー(ouricury)、オゾケライト、パーム核蝋、パラフィン、アボカド蝋、リンゴ蝋、セラック蝋、サルビア蝋、醸造粕蝋、ブドウ蝋およびそのポリアルキレングリコール誘導体、例えば、PEG6-20ミツロウまたはPEG-12カルナウバ蝋など;または脂肪酸もしくは脂肪アルコール、例えば、ヒドロキシステアリン酸(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸)、トリステアリン、トリベヘニンなどのようなそれらのエステルを含む)が挙げられる。
【0090】
6. モンモリロナイト鉱物
本組成物に使用可能な構造化剤の1つのタイプは、天然または合成モンモリロナイト鉱物、例えば、ヘクトライト、ベントナイト、およびその鉱物をステアラルコニウムベントナイト、ヘクトライト、第四級化ヘクトライト(例えばQuaternium-18ヘクトライト)、アタパルジャイト、炭酸塩(例えば炭酸プロピレン)およびベントンなどの第四級アンモニウム化合物と反応させることにより得られる、その第四級化誘導体を含む。
【0091】
7. シリカおよびシリケート
本組成物で使用可能な別のタイプの構造化剤は、シリカ、シリケート、シリル化シリカ、およびそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の誘導体である。一般に、これらのシリカおよびシリケートは特定の形態で見られ、シリカ、シリル化シリカ、ケイ酸マグネシウムアルミニウムなどが挙げられる。
【0092】
本組成物は、特にエマルション形態である場合、1種または複数の界面活性剤を含有していてもよい。しかし、こうした界面活性剤は、また本組成物が無水であり、極性を有する成分(例えば色素)の分散を助ける場合に使用することができる。こうした界面活性剤は、シリコーン系または有機系であってもよい。これらの界面活性剤は、油中水型または水中油型のいずれかの安定的なエマルションの形成を促す。存在する場合、界面活性剤は全組成物の約0.001〜30重量%、好ましくは約0.005〜25重量%、より好ましくは約0.1〜20重量%の範囲であってもよい。
【0093】
A. シリコーン界面活性剤
好適なシリコーン界面活性剤としては、両親媒性の特性(例えば、親水基と親油基を含有するなど)を有するポリオルガノシロキサンポリマーが挙げられる。これらのシリコーン界面活性剤は、室温で液体または固体であり得る。
【0094】
1. ジメチコーンコポリオールまたはアルキルジメチコーンコポリオール
使用可能なシリコーン界面活性剤の1つのタイプは、一般に、ジメチコンコポリオールまたはアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれる。この界面活性剤は、約2〜18の範囲の親水性/親油性バランス(HLB)を有する油中水型または水中油型のいずれかの界面活性剤である。好ましくは、シリコーン界面活性剤は、約2〜12、好ましくは約2〜10、最も好ましくは約4〜6の範囲のHLBを有する非イオン性界面活性剤である。「親水基」という用語は、オルガノシロキサンポリマー主鎖上で置換した場合に、そのポリマーの置換部分に親水特性を付与する基を意味する。親水性を付与する基の例としては、ヒドロキシ-ポリエチレンオキシ、ヒドロキシル、カルボン酸塩およびそれらの混合物が挙げられる。「親油基」という用語は、オルガノシロキサンポリマー主鎖上で置換した場合に、そのポリマーの置換部分に親油特性を付与する有機基を意味する。親油性を付与する有機基の例としては、C1-40直鎖もしくは分岐鎖アルキル、フルオロ、アリール、アリールオキシ、C1-40ヒドロカルビルアシル、ヒドロキシ-ポリプロピレンオキシまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0095】
好適なシリコーン界面活性剤の1つのタイプは、一般式:
【化14】

【0096】
[式中、pは0〜40(2、3、4、13、14、15、16、17、18など、間の全ての数字および部分範囲を含む範囲)であり、PEは(-C2H4O)a-(-C3H6O)b-Hであり、ここで、aは0〜25であり、bは0〜25であり(ただし、aとbは双方とも同時に0となることはできない)、xおよびyは、それぞれ独立して、0〜1,000,000の範囲である(ただし、それらは双方とも同時に0となることはできない)]
を有する。好ましい一実施形態では、x、y、z、aおよびbは、そのポリマーの分子量が約5,000〜約500,000、より好ましくは約10,000〜100,000、最も好ましくはおよそ約50,000の範囲となるようなものであり、一般に、そのポリマーはジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0097】
シリコーン界面活性剤の1つのタイプは、pが、長鎖アルキルがセチルまたはラウリルであるようなものの場合であり、一般に、その界面活性剤は、それぞれ、セチルジメチコンコポリオールまたはラウリルジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0098】
場合によっては、例えば、PEG-15/PPG-10ジメチコン(これは、シロキサン主鎖に15のエチレングリコール単位と10のプロピレングリコール単位を含有する置換基を有するジメチコンを表す)とも呼ばれるジメチコンコポリオールなどのように、ポリマー中の繰り返しエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位の数も明示される。上記の一般構造中の1個または複数のメチル基は、より長鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチルなど)またはエーテル、例えばメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテルおよびブチルエーテルなどで置換することもできる。
【0099】
シリコーン界面活性剤の例としては、Dow Corningにより販売されている商標名Dow Corning 3225C Formulation Aid、CTFA名はシクロテトラシロキサン(および)シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18ジメチコン;または5225C Formulation Aid、CTFA名はシクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18/18ジメチコン;またはDow Coming 190界面活性剤、CTFA名はPEG/PPG-18/18ジメチコン;またはDow Corning 193 Fluid、Dow Corning 5200、CTFA名はラウリルPEG/PPG-18/18メチコン;またはGoldschmidtにより販売されているAbil EM 90、CTFA名はセチルPEG/PPG-14/14ジメチコン;またはGoldschmidtにより販売されているAbil EM 97、CTFA名はビス-セチルPEG/PPG-14/14ジメチコン;またはポリグリセリル-4イソステアレートおよびヘキシルラウレートも含有する混合物中のAbil WE 09、CTFA名はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン;またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6011、CTFA名はPEG-11メチルエーテルジメチコン;Shin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6012、CTFA名はPEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン;またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6013、CTFA名はPEG-9ジメチコン;またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6015、CTFA名はPEG-3ジメチコン;またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6016、CTFA名はPEG-9メチルエーテルジメチコン;またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6017、CTFA名はPEG-10ジメチコン;またはShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6038、CTFA名はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンがある。
【0100】
2. 架橋シリコーン界面活性剤
また好適であるのは、乳化エラストマーと呼ばれることが多い、様々なタイプの架橋シリコーン界面活性剤である。一般に、それらは、シリコーンエラストマーがポリオキシアルキレン化基などの少なくとも1つの親水部分を含有すること以外は、「シリコーンエラストマー」の節で上述したようにして製造される。典型的には、これらのポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーは、ケイ素に結合されている少なくとも1個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋付加反応により得ることができる架橋オルガノポリシロキサンである。少なくとも一実施形態では、ポリオキシアルキレン化架橋オルガノ-ポリシロキサンは、例えば、米国特許第5,236,986号、同第5,412,004号、同第5,837,793号および同第5,811,487号(これらの内容は参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)に記載されているように、場合によっては白金触媒の存在下で、ケイ素にそれぞれ結合されている少なくとも2個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋付加反応により得られる。
【0101】
本発明の少なくとも一実施形態で使用可能なポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとしては、Shin-Etsu Siliconesにより、名称KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33で販売されているもの;ジメチコン中に分散されているジメチコン/PEG-10/15架橋ポリマーであるKSG-210;PEG-15ラウリルジメチコン架橋ポリマーであるKSG-310;イソドデカン中に分散されているPEG-15ラウリルジメチコン架橋ポリマーであるKSG-320;KSG-330(トリエチルヘキサノイン中の前者の分散物);PEG-10ラウリルジメチコン架橋ポリマーとPEG-15ラウリルジメチコン架橋ポリマーの混合物であるKSG-340として販売されているものが挙げられる。
【0102】
また好適であるのは、PCT/WO2004/024798(これは参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)に開示されているもののような、ポリグリセロール化シリコーンエラストマーである。このようなエラストマーとしては、Shin-EtsuのKSGシリーズ、例えば、ジメチコンに分散されたジメチコン/ポリグリセリン-3架橋ポリマーであるKSG-710;またはShin-Etsuから商標名KSG-810、KSG-820、KSG-830またはKSG-840として販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの様々な溶媒中のラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3架橋ポリマー分散物が挙げられる。また好適であるのは、Dow Corningにより商標名9010およびDC9011として販売されているシリコーンである。
【0103】
好ましい架橋シリコーンエラストマー乳化剤の1つは、ジメチコン/PEG-10/15架橋ポリマーである。これは、そのエラストマー骨格に基づいた優れたエステティック作用を提供するが、さらにまた界面活性特性も提供する。
【0104】
B. 有機非イオン性界面活性剤
本組成物は1種または複数の非イオン性有機界面活性剤を含んでいてもよい。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールとアルキレンオキシド(通常はエチレンまたはプロピレンオキシド)との反応により形成される、アルコキシル化アルコール類またはエーテル類が挙げられる。好ましくは、アルコールは6〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコールのいずれかである。このような成分の例としては、ステアリルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、かつエチレンオキシド単位の数が2〜100の範囲であるSteareth 2-100;ベヘニルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、その場合、繰り返しエチレンオキシド単位の数が5〜30であるBeheneth 5-30;セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドの反応により形成され、その場合、分子中の繰り返しエチレンオキシド単位の数が2〜100であるせCeteareth 2-100;セチルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、かつ繰り返しエチレンオキシド単位の数が1〜45であるCeteth 1-45などが挙げられる。
【0105】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸およびモノ-、ジ-または多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応により形成される。例えば、C6-30脂肪カルボン酸および多価アルコール(これはグルコース、ガラクトースおよびメチルグルコースなどの単糖類である)とアルコキシル化アルコールとの反応生成物。例としては、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリルなどのグリセリル脂肪酸エステル;または繰り返しエチレングリコール単位の数が3〜1000の範囲であるPEGジポリヒドロキシステアレートなどのPEGポリヒドロキシアルカノートと反応させたポリマーアルキレングリコールが挙げられる。
【0106】
また非イオン性界面活性剤として好適であるのは、カルボン酸とアルキレンオキシドまたはポリマーエーテルとの反応により形成されるものである。得られる生成物は、一般式:
【化15】

【0107】
(式中、RCOはカルボキシル系エステル基であり、Xは水素または低級アルキルであり、nは重合したアルコキシ基の数である)
を有する。ジエステルの場合には、2個のRCO基は同一である必要はない。好ましくは、RはC6-30直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和アルキルであり、nは1〜100である。
【0108】
モノマー、ホモポリマーまたはブロックコポリマー型のエーテルもまた、非イオン性界面活性剤として好適である。一般に、このようなエーテルは、モノマーアルキレンオキシド、一般にはエチレンまたはプロピレンオキシドの重合によって形成される。このようなポリマーエーテルは、次の一般式:
【化16】

【0109】
(式中、RはHまたは低級アルキルであり、nは繰り返しモノマー単位の数であり、かつ1〜500の範囲である)
を有する。
【0110】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタンおよびアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化(特にエトキシル化)により、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が得られる。ポリアルコキシル化ソルビタンをエステル化すると、ポリソルベートなどのソルビタンエステルが得られる。例えば、ポリアルコキシル化(polyalkyoxylated)ソルビタンを、C6-30、好ましくはC12-22脂肪酸でエステル化することができる。このような成分の例としては、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタンおよびステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0111】
ある特定のタイプの両性、双極性または陽イオン性界面活性剤もまた、本組成物で使用可能である。このような界面活性剤についての説明は、米国特許第5,843,193号(これは参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)に記載されている。
【0112】
本組成物中に1種または複数の経皮吸収促進剤を含むことが望ましい場合がある。経皮吸収促進剤は、I型 H+, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体が、当該組成物が適用されるケラチン表面にへ浸透するのを促進する成分である。存在する場合、適切な経皮吸収促進剤は約0.001〜30%、好ましくは約0.005〜25%、より好ましくは約0.01〜20%の範囲に及ぶ。適切な経皮吸収促進剤としては、限定されるものではないが、親油性物質、例えば飽和もしくは不飽和のC6-40直鎖もしくは分岐鎖脂肪酸、または飽和または不飽和のC6-40直鎖もしくは分岐鎖脂肪アルコールなどが挙げられる。例としては、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、オレイルアルコール、リノレイルアルコールなどが挙げられる。
【0113】
また、本組成物に1種または複数の保湿剤を含むことが望ましい場合がある。存在する場合、このような保湿剤は、全組成物の約0.001〜25%、好ましくは約0.005〜20%、より好ましくは約0.1〜15重量%の範囲であり得る。適切な保湿剤の例としては、グリコール、糖などが挙げられる。好適なグリコールは、モノマーまたはポリマー形態であってもよく、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、例えば、4〜200の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールであるPEG4-200;ならびにC1-6アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびペンチレングリコールなどが挙げられる。好適な糖類(その一部は多価アルコールでもある)も好適な保湿剤である。このような糖類の例としては、グルコース、フルクトース、蜂蜜、水素化蜂蜜、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが挙げられる。また、尿素も適切である。好ましくは、本発明の組成物で用いられる保湿剤は、C1-6、好ましくはC2-4アルキレングリコールであり、最も詳しくはブチレングリコールである。
【0114】
本組成物に、1種または複数の植物抽出物を配合することが望ましい場合がある。その場合、推奨範囲は、全組成物の約0.0001〜10重量%、好ましくは約0.0005〜8重量%、より好ましくは約0.001〜5重量%である。このような植物抽出物としては、植物(草本、根、花、果実、種子)からの抽出物、例えば花、果実、野菜などが挙げられ、酵母発酵抽出物、パディナ・パボニカ(Padina Pavonica)抽出物、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilis)発酵抽出物、カメリナ・サティバ(Camelina sativa)種子油、ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)抽出物、オリーブ抽出物、アリボドプシス・サリアナ(Aribodopsis thaliana)抽出物、フサアカシア(Acacia dealbata)抽出物、アーケル・サッカリナム(Acer saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフォルス(Acidopholus)、ショウブ(acorus)、トチノキ(aesculus)、アガリクス(agaricus)、リューゼツラン(agave)、アグリモニア(agrimonia)、藻類、アロエ、柑橘類、アブラナ(brassica)、シナモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、セイヨウナシ、レモン、ライム、エンドウ、海草、カフェイン、緑茶、カモミール、セイヨウヤナギ樹皮、クワ、ケシ、およびCTFA Cosmetic Ingredient Handbook, 第8版、第2巻の1646頁〜1660頁に記載されているものも含む。さらなる具体例としては、限定されるものではないが、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、ブラックウィロー(Salix nigra)、マクロシクスティス・ピリフェラ(Macrocycstis pyrifera)、リンゴ(Pyrus malus)、ユキノシタ(Saxifraga sarmentosa)、ブドウ(Vitis vinifera)、クロミクワ(Morus nigra)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis nobilis)、クラリセージ(Salvia sclarea)、ローズマリー(Rosmarinus officianalis)、レモン(Citrus medica Limonum)、オタネニンジン(Panax Ginseng)、メナモミ(Siegesbeckia orientalis)、ウメ(Fructus mume)、アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum nodosum)、ビフィズス菌発酵エキス、ダイズ抽出物、テンサイ(Beta vulgaris)、復活草(Haberlea rhodopensis)、イタドリ(Polygonum cuspidatum)、オレンジ(Citrus Aurantium dulcis)、ブドウ(Vitis vinifera)、イワヒバ(Selaginella tamariscina)、ホップ(Humulus lupulus)、タンジェリン(Citrus reticulata)の皮、ザクロ(Punica granatum)、カギケノリ(Asparagopsis)、ウコン(Curcuma longa)、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、オオムギ(Hordeum vulgare)、キュウリ(Cucumis sativus)、オークモス(Evernia prunastri)、ツリーモス(Evernia furfuracea)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0115】
本発明の組成物に1種または複数のチロシナーゼ阻害剤を含むことが望ましい場合がある。こうしたチロシナーゼ阻害剤としては、コウジ酸、アルブチンおよびヒドロキノンが挙げられる。
【0116】
本発明の組成物に1種または複数のさらなる皮膚美白化合物を含むことが望ましい場合がある。適切な皮膚美白化合物としては、アスコルビン酸およびその誘導体、例えば、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン、パルミチン酸アルコルビルが挙げられる。他の皮膚美白剤としては、アダパレン、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アネトール誘導体、リンゴ抽出物、アゼライン酸、竹抽出物、ベアベリー抽出物、ビャッキュウ(bletilla tuber)、ブレウラム・ファルカタム(Bupleurum falcatum)抽出物、ワレモコウ抽出物、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、デオキシアルブチン、1,3-ジフェニルプロパン誘導体、2,5-ジヒドロキシ安息香酸およびその誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3-ジタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジタン、エラグ酸、エスシノール、エストラゴール誘導体、FADE OUT (Pentapharm製)、ボウフウ(Fangfeng)、フェンネル抽出物、ガノデルマ抽出物、ガオベン、GATULINE WHITENING (Gattlefosse製)、ゲニスチン酸およびその誘導体、グラブリジンおよびその誘導体、グルコピラノシル-1-アスコルベート、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、プラセンタ抽出物、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、4-ヒドロキシアニソールおよびその誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、イノシトールアスコルベート、乳酸、レモン抽出物、リノール酸、MELA WHITE (Pentapharm製)、トウグワ(Morus alba)抽出物、クワ根(mulberry root)抽出物、ナイアシンアミド、5-オクタノイルサリチル酸、パセリ抽出物、フェリナス・リンテアス抽出物、ピロガロール誘導体、レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル類(酢酸塩、プロピオン酸塩、パルミチン酸塩、リノール酸塩)、2,4-レゾルシノール誘導体、3,5-レゾルシノール誘導体、エイジツ抽出物、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシベンジル誘導体、トラネキサム酸、ビタミンD3およびその類似体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0117】
また本発明の組成物に1種または複数の日焼け止め剤を含むことが望ましい場合もある。このような日焼け止め剤としては、化学的UVAもしくはUVB日焼け止め剤または粒子形態の物理的日焼け止め剤が含まれる。I型 H+, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体を含有する組成物に日焼け止め剤を配合することによって、日中に皮膚に対するさらなる保護が得られるとともに、皮膚におけるI型 H+, K+-ATPase阻害剤化合物またはそれらの誘導体の有効性が促進される。こうした日焼け止め化合物としては、次のものを挙げることができる。
【0118】
A. UVA化学的日焼け止め剤
所望により、本組成物は1種または複数のUVA日焼け止め剤を含んでいてもよい。「UVA日焼け止め剤」という用語は、約320〜400nmの波長範囲のUV線を遮断する化合物を意味する。好ましいUVA日焼け止め剤は、一般式:
【化17】

【0119】
(式中、R1はH、ORおよびNRRであり、ここで各Rは、独立して、H、C1-20直鎖または分岐鎖アルキルであり;R2はHまたはOHであり;R3はH、C1-20直鎖または分岐鎖アルキルである)
を有するジベンゾイルメタン化合物である。
【0120】
R1がOR(ここで、RはC1-20直鎖または分岐アルキル、好ましくはメチルであり;R2はHであり;R3はC1-20直鎖または分岐鎖アルキル、より好ましくはブチルである)である場合が好ましい。
【0121】
この一般式で表される好適なUVA日焼け止め化合物の例としては、4-メチルジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。特に好ましいのは、アボベンゾンとも呼ばれる4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンである。アボベンゾンは、Givaudan-Roureから商標名Parsol 1789として、また、Merck & Co.から商標名Eusolex 9020として市販されている。
【0122】
他のタイプのUVA日焼け止め剤としては、式:
【化18】

【0123】
を有するテレフタリリデンジカンフルスルホン酸である、商標名Mexorylとして販売されている日焼け止め剤のジカンフルスルホン酸誘導体、例えばエカムスルなどが挙げられる。
【0124】
本組成物は、本組成物の約0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは約0.005〜3重量%のUVA日焼け止め剤を含んでいてもよい。本発明の好ましい実施形態では、UVA日焼け止め剤はアボベンゾンであり、全組成物の約3重量%以下で存在する。
【0125】
B. UVB化学的日焼け止め剤
「UVB日焼け止め剤」という用語は、約290〜320nmの波長範囲のUV線を遮断する化合物を意味する。米国特許第3,215,724号(これは参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)に記載されているα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルをはじめとする様々なUVB化学的日焼け止め剤が存在する。α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルの具体的な一例がオクトクリレンであり、これは2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレートである。特定の場合、本組成物は全組成物の約110重量%以下のオクトクリレンを含んでいてもよい。好適な量は約0.001〜10重量%の範囲である。オクトクリレンは、BASFから商標名Uvinul N-539として購入することができる。
【0126】
他の好適な日焼け止め剤としては、米国特許第3,781,417号(これは参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする)に記載されているベンジリデンカンフル誘導体が挙げられる。このようなベンジリデンカンフル誘導体は、一般式:
【化19】

【0127】
(式中、Rはp-トリルまたはスチリル、好ましくはスチリルである)
を有する。4-メチルベンジリデンカンフルが特に好ましく、それはMerckにより商標名Eusolex 6300として販売されている脂溶性UVB日焼け止め化合物である。
【0128】
また好適であるのは、一般式:
【化20】

【0129】
(式中、RおよびR1は、それぞれ独立して、C1-20直鎖または分岐鎖アルキルである)
を有するケイ皮酸エステル誘導体である。好ましいのは、Rがメチルであり、R1が分岐鎖C1-10、好ましくはC8アルキルである場合である。好ましい化合物は、オクトキシネートまたはメトキシケイ皮酸オクチルとも呼ばれるメトキシケイ皮酸エチルヘキシルである。この化合物は、Givaudan Corporationから商標名Parsol MCXとして、またはBASFから商標名Uvinul MC80として購入することができる。このようなメトキシケイ皮酸エステルのモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン誘導体、例えばメトキシケイ皮酸ジエタノールアミンなども好適である。また、上記化合物の芳香族エーテル誘導体であるシノキサートも許容される。存在する場合、シノキサートは全組成物の約3重量%以下で確認されなければならない。
【0130】
またUVB日焼け止め剤として好適であるのは、一般式:
【化21】

【0131】
(式中、R〜R9は、それぞれ独立して、H、OH、NaO3S、SO3H、SO3Na、Cl、R''、OR''であり、ここでR''はC1-20直鎖または分岐鎖アルキルである)
を有する各種ベンゾフェノン誘導体である。このような化合物の例としては、ベンゾフェノン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11および12が挙げられる。特に好ましいのは、ベンゾフェノン誘導体がベンゾフェノン3(オキシベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン4(スリソベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン5(スリソベンゾンナトリウム)などである場合である。最も好ましいのはベンゾフェノン3である。
【0132】
また好適であるのは、一般式:
【化22】

【0133】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、H、OH、NH2またはC1-20直鎖もしくは分岐鎖アルキルである)
を有する特定のサリチル酸メンチル誘導体である。特に好ましいのは、R1、R2およびR3がメチルであり、R4がヒドロキシルまたはNH2である場合であって、この化合物はサリチル酸ホモメンチル(ホモサレートとしても知られる)またはアントラニル酸メンチルという名称を有する。ホモサレートはMerckから商標名Eusolex HMSとして市販されており、またアントラニル酸メンチルはHaarmann & Reimerから商標名Heliopanとして市販されている。存在する場合、ホモサレートは全組成物の約15重量%以下で確認されなければならない。
【0134】
様々なアミノ安息香酸誘導体は好適なUVB吸収剤であり、一般式:
【化23】

【0135】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、H、1個または複数のヒドロキシ基で置換されていてよいC1-20直鎖または分岐鎖アルキルである)
を有するものが挙げられる。特に好ましいのは、R1がHまたはC1-8直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、R2およびR3がHまたはC1-8直鎖もしくは分岐鎖アルキルである場合である。PABA、エチルヘキシルジメチルPABA(パディメートO)、エチルジヒドロキシプロピルPABAなどが特に好ましい。存在する場合、パディメートOは全組成物の約8重量%以下で確認されなければならない。
【0136】
また、サリチル酸エステル誘導体も許容されるUVB吸収剤である。このような化合物は、一般式:
【化24】

【0137】
(式中、Rは直鎖または分岐鎖アルキルである)
を有し、例えば、モノ-、ジ-またはトリエタノールアミンから形成される上記化合物の誘導体が含まれる。特に好ましいのは、サリチル酸オクチル、サリチル酸TEA、サリチル酸DEAおよびそれらの混合物である。
【0138】
一般に、存在するUVB化学的日焼け止め剤の量は、全組成物の約0.001〜45重量%、好ましくは0.005〜40重量%、より好ましくは約0.01〜35重量%の範囲であってよい。
【0139】
所望により、本発明の組成物は、約1〜50、好ましくは約2〜45、最も好ましくは約5〜30の特定のSPF(日光防止指数)値を有するように製剤化することができる。SPF値の算出は、当技術分野においては周知である。
【0140】
本発明の組成物は、色素、不活性粒子またはそれらの混合物の形態で粒子物質を含有していてもよい。存在する場合、推奨範囲は全組成物の約0.01〜75重量%、好ましくは約0.5〜70重量%、より好ましくは約0.1〜65重量%である。本組成物が色素と粉末の混合物を含み得る場合には、好適な範囲としては約0.01〜75%の色素と0.1〜75%の粉末を含む(前記は全組成物の重量比)。適切な粒状物質としては次のものを挙げることができる。
【0141】
A. 粉末
この粒子物質は有色または無色(例えば、白色)の非着色性粉末であり得る。好適な非着色性粉末としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル酸シリカ、シルク粉末、絹雲母、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、またはそれらの混合物が挙げられる。上記の粉末はレシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、または各種の他の薬剤単独で、または組み合わせて表面処理を施してもよく、それにより粉末表面がコーティングされ、粒子が本質的により親油性となる。
【0142】
B. 色素
粒子物質は様々な有機および/または無機色素を含み得る。一般に、有機色素は、D&CおよびFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどとして表される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントロキノンおよびキサンチン色素をはじめとする各種芳香族種である。有機色素は一般に、レーキ(Lake)と呼ばれる認可着色添加物の不溶性金属塩からなる。無機色素としては、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム色素およびそれらの混合物が挙げられる。赤色、青色、黄色、茶色、黒色の酸化鉄およびそれらの混合物が好適である。
【0143】
本組成物は全組成物の0.001〜8重量%、好ましくは0.01〜6重量%、より好ましくは0.05〜5重量%の保存剤を含むことができる。各種保存剤が好適であり、例えば、安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルヘミホルマール、ベンジルパラベン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、安息香酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、カプリリルグリコール、ビグアニド誘導体、フェノキシエタノール、カプタン、二酢酸クロルヘキシジン、二グルコン酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p-クロロ-m-クレゾール、クロロフェン、クロロチモール、クロロキシレノール、m-クレゾール、o-クレゾール、DEDMヒダントイン、DEDMヒダントインジラウレート、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、二イセチオン酸ジブロモプロパミジンおよびDMDMヒダントインなどが含まれる。好ましい一実施形態では、本組成物はパラベン非含有である。
【0144】
本発明の組成物は、ビタミンおよび/または補酵素、ならびに抗酸化剤を含有していてもよい。その場合、全組成物の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜8重量%、より好ましくは0.05〜5重量%が推奨される。好適なビタミンとしては、アスコルビン酸およびその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキシルデシルなど;ビタミンB、例えばチアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ニコチン酸ジヌクレオチドなど、ならびに補酵素、例えばピロリン酸チアミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、リン酸ピリドキサールおよびテトラヒドロ葉酸などが挙げられる。また、ビタミンAおよびその誘導体も好適である。例としては、パルミチン酸レチノール、レチノール、レチノイン酸、ならびにβ-カロチンの形態のビタミンAがある。また、ビタミンEおよびその誘導体、例えば、ビタミンEアセテート、ニコチネートまたは他のそれらのエステルも好適である。さらに、ビタミンDおよびKも好適である。
【0145】
好適な抗酸化剤は、変敗(spoilage)の防止または遅延を促進する成分である。本発明の組成物での使用に好適な抗酸化剤の例としては、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、塩酸システイン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールなどがある。
【0146】
本発明の化粧料組成物に1種または複数の膜形成成分を配合することが望ましい場合がある。適切な膜形成物は、ケラチン性表面上の膜形成に寄与する成分である。場合によっては、膜形成物は、ケラチン性表面に適用された化粧品が3時間〜16時間に及ぶ期間維持されるような、長時間表面被覆特性または耐移転特性を付与する膜を提供することができる。存在する場合、こうした膜形成物は、全組成物の約0.01〜50重量%、好ましくは約0.1〜40重量%、より好ましくは約0.5〜35重量%の範囲であってもよい。膜形成物は、ほとんどの場合、ポリマー形態で確認されており、それらは天然ポリマーであっても合成ポリマーであってもよい。合成の場合、シリコーンポリマー、有機ポリマーまたはシリコーンと有機基のコポリマーが利用可能である。適切な膜形成物としては、次のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
A. シリコーン樹脂
シリコーン膜形成物の特に適切なタイプの一つはシリコーン樹脂である。一般に、シリコーン樹脂は、M、D、TおよびQ単位の組み合わせを含む高度に橋架結合された構造である。「M」という用語は、次の一般式:
[Si-(CH3)3-O]0.5
を有する単官能性シロキシ単位を意味する。M単位がメチル以外(例えば、エチル、プロピル、エトキシなど)である場合、M単位はその後にダッシュ記号を有していてもよい(例えば、M')。
【0148】
「D」という用語は、次の一般式:
[Si-(CH3)2-O]1.0
を有する二官能性シロキシ単位を意味する。
【0149】
二官能性単位は、メチル以外のアルキル基(例えば、エチル、プロピル、アルキレングリコールなど)で置換されていてもよく、その場合には、D単位は、ダッシュ記号が置換を示すD'として表すことができる。
【0150】
「T」という用語は、次の一般式:
[Si-(CH3)-O]1.5
を有する三官能性シロキシ単位を意味する。三官能性単位は、メチル以外の置換基で置換されていてもよく、その場合には、それはT'として表すことができる。
【0151】
「Q」という用語は、次の一般式:
[Si-O-]2.0
を有する四官能性シロキシ単位を意味する。
【0152】
本発明の組成物で膜形成物として使用可能なシリコーン樹脂は、好ましくは、M、TおよびQ単位の高度に架橋結合された組み合わせを含む。こうした樹脂の例としては、749 FluidとしてDow Corning Corporationから、または商標名SR-1000でGE Siliconesから購入可能であるトリメチルシロキシシリケートが挙げられる。また、高い割合でT基を含有するシリコーン樹脂、例えば、Wacker-Chemieにより販売されているMK樹脂(CTFA名称はポリメチルシルセスキオキサン)なども好適である。
【0153】
B. シリコーンと有機モノマーのコポリマー
また、膜形成物としての使用に適しているのは、シリコーンと有機モノマー、例えばアクリレート、メタクリレートなどのコポリマーである。こうした適切な膜形成ポリマーの例としては、一般に、シリコーンアクリレートまたはビニルシリコーンコポリマーと呼ばれるもの、例えば、商標名「Silicone Plus」ポリマーで3Mによって販売されているものなどが挙げられ、例としては、SA-70(CTFA名がポリシリコーン-7であって、イソブチルメタクリレートとn-ブチルエンドブロック化ポリジメチルシロキサンプロピルメタクリレートのコポリマー);あるいはVS-70(CTFA名がポリシリコーン-6であって、これはジメチルシロキサンとイソブチルメタクリレートと反応させたメチル-3メルカプトプロピルシロキサンのコポリマー);あるいはVS-80(CTFA名がポリシリコーン-8であって、これは一般構造:
【化25】

【0154】
(式中、Rはアクリレートコポリマー基を表す)
を有する)がある。
【0155】
C. 有機ポリマー
また膜形成物として適切なものとしては、各種タイプの有機ポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの単純C1-10カルボン酸エステルから形成されるポリマー、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレートなどが挙げられる。
【0156】
さらに適切であるのは、各種タイプの天然ポリマー、例えば、シェラック、天然樹脂、キチンなどである。
【0157】
さらに、1種または複数のDNA修復酵素を本発明の組成物へ配合することが望ましい場合がある。推奨範囲は、1種または複数のDNA修復酵素が約0.00001〜約35%、好ましくは約0.00005〜約30%、より好ましくは約0.0001〜約25%である。
【0158】
米国特許第5,077,211号;第5,190,762号;第5,272,079号;および第5,296,231号(これらは全て、参照によりその全体を本明細書に組み込いれるものする)に開示されるDNA修復酵素は、本発明の組成物および方法での使用に好適である。このようなDNA修復酵素の一例は、AGI/Dermaticsから商標名Roxisomes(登録商標)(INCI名は「アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis Thaliana)抽出物」)で購入することが可能である。この酵素は、単独で、またはレシチンおよび水との混合物として存在させることができる。このDNA修復酵素は、8-オキソ-ジグアニン塩基変異損傷を修復するのに有効であることが知られている。
【0159】
使用可能な別のタイプのDNA修復酵素は、06-メチルグアニン塩基変異損傷を修復するのに有効であることが知られているものである。これは、AGI/Dermaticsから商標名Adasomes(登録商標)(INCI名は「ラクトバチルス(Lactobacillus)発酵物」)で販売されており、単独で、またはレシチンおよび水と混合して本発明の組成物に添加することができる。
【0160】
使用可能な別のタイプのDNA修復酵素は、T-Tダイマーを修復するのに有効であることが知られているものである。この酵素は、生物由来物質または植物由来物質の混合物中に存在する。このような成分の例は、AGI/Dermaticsから商標名Ultrasomes(登録商標)またはPhotosomes(登録商標)で販売されている。Ultrasomes(登録商標)は、ミクロコッカス(Micrococcus)溶解物(ミクロコッカス(Micrococcus)の種の制御溶解の最終生成物)、レシチンおよび水の混合物を含む。Photosomes(登録商標)は、プランクトン抽出物(1種または複数の以下の生物:海洋プランクトン、緑色微細藻類、珪藻類、青緑色窒素固定海藻由来の酵素を含む海洋バイオマスの抽出物)、水、およびレシチンの混合物を含む。
【0161】
別のタイプのDNA修復酵素は、ビフィダ(Bifida)溶解物またはビフィダ(Bifida)発酵溶解物などの様々な不活性化細菌溶解物の1つの成分であってもよい。後者は、ビフィド(Bifido)細菌を培養、不活性化そ、その後分解した際に代謝産物および細胞質画分を含有するビフィド(Bifido)細菌に由来する溶解物である。この物質は、INCI名「ビフィダ(Bifida)発酵溶解物」を有する。
【0162】
他の好適なDNA修復酵素としては、バクテリオファージT4のdenV遺伝子によって生成され得るエンドヌクレアーゼVが挙げられる。また好適であるのは、T4エンドヌクレアーゼ;O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ;ウラシル-およびヒポキサンチン-DNAグリコシラーゼなどの光回復酵素、塩基グルコシラーゼ;脱ピリミジン/脱プリンエンドヌクレアーゼ;DNAエキソヌクレアーゼ、損傷塩基グリコシラーゼ(例えば、3-メチルアデニン-DNAグリコシラーゼ);単独のまたは複合体のコルエンドヌクレアーゼ(例えば、大腸菌(E. coli)uvrA/uvrB/uvrCエンドヌクレアーゼ複合体);多機能DNA修復酵素であるAPEXヌクレアーゼ、「APE」と呼ばれることが多い;ジヒドロ葉酸レダクターゼ;ターミナルトランスフェラーゼ;ポリメラーゼ;リガーゼ;およびトポイソメラーゼである。
【0163】
他のタイプの好適なDNA修復酵素は、促進される修復の種類によって分類することが可能であり、BER(塩基除去修復)酵素すなわちBER因子酵素(例えば、ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UNG));一本鎖選択的単機能ウラシルDNAグリコシラーゼ(SMUG1);3,N(4)-エテノシトシングリコシラーゼ(MBD4);チミンDNAグリコシラーゼ(TDG);A/G-特異的アデニンDNAグリコシラーゼ(MUTYH);8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1);エンドヌクレアーゼIII様(NTHL1);3-メチルアデニンDNAグリコシダーゼ(MPG);DNAグリコシラーゼ/APリアーゼ(NEIL1または2);APエンドヌクレアーゼ(APEX1および2)、DNAリガーゼ(LIG3)、リガーゼ副因子(XRCC1);DNA 5'-キナーゼ/3'-ホスファターゼ(PNKP);ADP-リボシルトランスフェラーゼ(PARP1または2)が挙げられる。
【0164】
別のカテゴリーのDNA修復酵素としては、損傷を直接逆転させると考えられているDNA修復酵素、例えば、O6-MeGアルキルトランスフェラーゼ(MGMT);1-meAジオキシゲナーゼ(ALKBH2またはALKBH3)などが挙げられる。
【0165】
DNA/タンパク質架橋を修復操作可能なさらなる別のカテゴリーの酵素としては、Tyr-DNAホスホジエステラーゼ(TDP1)が挙げられる。
【0166】
また好適であるのは、MMR(ミスマッチ除去修復)DNA修復酵素(例えば、MutSタンパク質ホモログ(MSH2));ミスマッチ修復タンパク質(MSH3);mutSホモログ4(MSH4);MutSホモログ5(MSH5);またはG/Tミスマッチ-結合タンパク質(MSH6);DNAミスマッチ修復タンパク質(PMS1、PMS2、MLH1、MLH3);減数分裂後分離増加型2様タンパク質(PMS2L3);または減数分裂後分離増加型2様4偽遺伝子(PMS2L4)である。
【0167】
また、ヌクレオチド除去修復(NER)酵素として知られているDNA修復酵素も好適であり、例えば、色素性乾皮症群C-相補タンパク質(XPC);RAD23(酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae))ホモログ(RAD23B);カルトラクチンアイソフォーム(CETN2);RFAタンパク質1、2、または3(RPA1、2、または3);3'〜5'DNAヘリカーゼ(ERCC3);5'〜3'DNAヘリカーゼ(ERCC2);塩基性転写因子(GTF2H1、GTF2H2、GTF2H3、GTF2H4、GTF2H5);CDK活性化キナーゼ(CDK7、CCNH);サイクリンG1-相互作用タンパク質(MNAT1);DNA除去修復タンパク質ERCC-lまたはRAD-51;除去修復交差補完群1(ERCC1);DNAリガーゼ1(LIG1);ATP依存性ヘリカーゼ(ERCC6)などが挙げられる。
【0168】
また相同組換えを促進するカテゴリーのDNA修復酵素も好適である場合があり、例えば、限定されるものではないが、DNA修復タンパク質RAD51ホモログ(RAD51、RAD51L1、RAD51Bなど);DNA修復タンパク質XRCC2;DNA修復タンパク質XRCC3;DNA修復タンパク質RAD52;ATPase(RAD50);3'エキソヌクレアーゼ(MRE11A)などが挙げられる。
【0169】
またDNAポリメラーゼであるDNA修復酵素もまた好適であり、例えば、DNAポリメラーゼベータサブユニット(POLB);DNAポリメラーゼガンマ(POLG);DNAポリメラーゼサブユニットデルタ(POLD1);DNAポリメラーゼIIサブユニットA(POLE);DNAポリメラーゼデルタ補助タンパク質(PCNA);DNAポリメラーゼゼータ(POLZ);MAD2ホモログ((REV7);DNAポリメラーゼイータ(POLH):DNAポリメラーゼカッパ(POLK)などが挙げられる。
【0170】
「エディティングヌクレアーゼおよびプロセシングヌクレアーゼ」と呼ばれることも多い、様々なタイプのDNA修復酵素としては、3'-ヌクレアーゼ;3'-エキソヌクレアーゼ;5'-エキソヌクレアーゼ;エンドヌクレアーゼなどが挙げられる。
【0171】
DNA修復酵素の他の例としてはDNAヘリカーゼが挙げられ、例えば、ATP DNAヘリカーゼなどのが含まれる。
【0172】
DNA修復酵素は、植物抽出物、細菌溶解物、生物由来物質などの成分として存在し得る。例えば、植物抽出物はDNA修復酵素を含んでいる場合がある。
【0173】
本発明は各種の好ましい実施形態について記載されているが、その趣旨から逸脱することなく、各種の改変、代替、省略および変更がなされ得ることは、当業者には十分に理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールと少なくとも1種の皮膚美白剤とを化粧料上または製薬上許容可能な担体中に含む、目の下のクマの外観を軽減するための化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールが、2,3-シス/エキソ-ピナンジオール、2,3-トランス-ピナンジオール、(1R)-(-)-トランス-ピナン-1,10-ジオール、2,3-シス/エキソ-カンファンジオール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項3】
2,3-シス/エキソ-ピナンジオールと2,3-シス/エキソ-カンファンジオールの等モル混合物を含む、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールを組成物の全重量の約0.001%〜約20%の範囲の量で含む、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の皮膚美白剤がコガネバナ根抽出物、リンゴ(Pyrus malus)抽出物、キュウリ(Cucumis sativus)抽出物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項6】
コガネバナ根抽出物、リンゴ(Pyrus malus)抽出物およびキュウリ(Cucumis sativus)抽出物の混合物を含む、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の皮膚美白剤を組成物の全重量の約0.001%〜約10%の範囲の量で含む、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の抗血管新生剤をさらに含む、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の抗血管新生剤を組成物の全重量の約0.001%〜約20%の範囲の量で含む、請求項8に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含む、請求項1に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の抗炎症剤を組成物の全重量の約0.001%〜約20%の範囲の量で含む、請求項10に記載の化粧料組成物または皮膚用組成物。
【請求項12】
目に見えるクマのある目の下の領域に、少なくとも1種の二環式モノテルペンジオールと少なくとも1種の皮膚美白剤とを化粧料上または製薬上許容可能な担体中に含む化粧料組成物または皮膚用組成物を適用することを含む、目の下のクマの外観を軽減する方法。
【請求項13】
前記化粧料組成物または皮膚用組成物を少なくとも1週間の期間、少なくとも1日1回適用する、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2013−518911(P2013−518911A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552148(P2012−552148)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2011/024024
【国際公開番号】WO2011/097617
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】