説明

目地用ガスケット

【課題】耐久性が良好であるとともに、外装部と塗膜との間の接着性及び外装部とガスケット本体との間の接着性に優れる目地用ガスケットを提供する。
【解決手段】目地用ガスケット14は、建築用の外壁パネル12間の目地空間13に配設され、外壁パネル12間をシールするためのものである。係る目地用ガスケット14は、目地空間13に位置するガスケット本体15と、該ガスケット本体15の外面に接合される外装部16と、該外装部16の外面に形成される耐候性の塗膜17とにより構成されている。ガスケット本体15はポリオレフィン系材料で形成されるとともに、外装部16は可塑剤を含まないハロゲン化ゴムを含有する材料で形成されている。外装部16は、ハロゲン化ゴムに酢酸ビニル系重合体が配合された材料で形成されることが好ましい。また、ガスケット本体15と外装部16とは共加硫によって一体化されることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用外壁パネル間の目地空間に挿着され、建築用外壁パネル間をシールするために用いられる目地用ガスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築用外壁パネルはほぼ四角板状をなし、建築物を構成する構造躯体の外面に上下左右に並べて取付けられる。そのため、隣接する外壁パネル間には目地空間が形成され、その目地空間を塞ぐために目地用ガスケットが挿着される。この目地用ガスケットは、建築物に長期間に渡って取付けられることから、耐候性や耐久性が要求される。従来、この種の目地用ガスケットとしては、目地空間をシールする基材部をエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)で形成し、外観部分である外装部を熱可塑性エラストマーで形成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この目地用ガスケットは、耐候性とシール性の両方を向上させるものである。
【特許文献1】特開2005−90178号公報(第2頁、第3頁及び図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、目地用ガスケットの表面には、耐候性を発揮させるために耐候性塗料による塗膜が形成されている。ところが、目地用ガスケットの外装部を形成する材料にジオクチルフタレートなどの可塑剤が含まれていると、その可塑剤が経時的に塗膜中へ移行(ブリード)し、塗膜が劣化したり、塗膜に亀裂が生じたり、外装部に対する塗膜の接着性が低下する。特許文献1に記載の目地用ガスケットにおいても、外装部を形成する熱可塑性エラストマーにはジオクチルフタレートなどの可塑剤が含まれているものと考えられる。そのため、外装部の表面にアクリル樹脂等の被膜を形成し、外装部に対する塗膜の接着性を向上させるように構成されている(特許文献1の第三実施形態)。加えて、外装部中に含まれる可塑剤の移行のために、EPDMで構成されている基材部(ガスケット本体)と外装部との間の接着性も低下するという問題があった。
【0004】
そこで本発明の目的とするところは、耐久性が良好であるとともに、外装部と塗膜との間の接着性及び外装部とガスケット本体との間の接着性に優れる目地用ガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の目地用ガスケットは、建築用外壁パネル間の目地空間に配設され、建築用外壁パネル間をシールするための目地用ガスケットであって、目地空間に位置するガスケット本体と、該ガスケット本体の外面に接合される外装部と、該外装部の外面に形成される耐候性の塗膜とにより構成され、前記ガスケット本体がポリオレフィン系材料で形成されるとともに、外装部が可塑剤を含まないハロゲン化ゴムを含有する材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明の目地用ガスケットは、請求項1に記載の発明において、前記外装部は、ハロゲン化ゴムに酢酸ビニル系重合体が配合された材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載の発明の目地用ガスケットは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ガスケット本体と外装部とは共加硫によって一体化されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の目地用ガスケットは、ガスケット本体がポリオレフィン系材料で形成され、外装部が可塑剤を含まないハロゲン化ゴムを含有する材料で形成されている。外装部には可塑剤が含まれていないことから、可塑剤の移行による塗膜の劣化を回避することができる。さらに、外装部と塗膜との界面及び外装部とガスケット本体との界面に外装部から可塑剤が移行することがない。従って、目地用ガスケットは、耐久性が良好であるとともに、外装部と塗膜との間の接着性及び外装部とガスケット本体との間の接着性に優れている。
【0009】
請求項2に記載の発明の目地用ガスケットでは、外装部はハロゲン化ゴムに酢酸ビニル系重合体が配合された材料で形成されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、エチレン−酢酸ビニル系共重合体が可塑剤としての機能を奏することから、成形性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明の目地用ガスケットでは、ガスケット本体と外装部とは共加硫によって一体化されていることから、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、ガスケット本体と外装部との間の接着性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良と思われる実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、建築物の構造躯体11の外面には複数の外壁パネル12がそれらの外表面を面一にするように取付けられている。隣接する外壁パネル12間には目地空間13が形成され、その目地空間13には外壁パネル12間をシールするための目地用ガスケット(以下、単にガスケットともいう)14が嵌入されている。係る目地用ガスケット14は、目地空間13に位置するガスケット本体15と、該ガスケット本体15の外面に接合される外装部16と、該外装部16の外面に形成される耐候性の塗膜17とにより構成されている。なお、図1において、外装部16の厚さは誇張して厚く描かれている。
【0012】
前記ガスケット本体15は、目地空間13の外面側に位置し断面逆台形状をなす基部18と、その基部18から内奥側へ延びる板状の延出部19と、その延出部19の両側面から一定間隔をおいて側方へ突出する3対のリップ部20とによって構成されている。そして、3対のリップ部20の先端部と、基部18の両側部とが隣接する外壁パネル12の側面に密接され、外壁パネル12間をシールするようになっている。このガスケット本体15はポリオレフィン系材料で形成されている。ポリオレフィン系材料としては、オレフィン系ゴム、オレフィン系エラストマー等が用いられ、外壁パネル12間のシール性を良好に保持することができるように構成されている。オレフィン系ゴムとしては、EPDMのほか、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)等が挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体等が挙げられる。
【0013】
前記外装部16は、ガスケット本体15の基部18外面に一定の厚さをもって形成されている。その厚さは、ガスケット14の耐久性を発揮させることができるようにするために0.1〜3mm程度であることが好ましい。この厚さが0.1mm未満の場合には、外装部16によってガスケット14の耐久性を向上させる効果が乏しくなる。一方、3mmを越える場合には、ガスケット14の耐久性を良くする効果の向上が見込めず、かえってガスケット14の重量が増したりして好ましくない。
【0014】
外装部16は、可塑剤を含まないハロゲン化ゴムを含有する材料で形成されている。すなわち、外装部16は、ハロゲン化ゴムのみ、又はハロゲン化ゴムと後述する酢酸ビニル系重合体との混合物で形成されていることを意味する。ハロゲン化ゴムとしては、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CPE)等が用いられる。これらのゴムはハロゲン化され、極性を有していることから、その上に形成される塗膜17の接着性を高めることができる。
【0015】
外装部16にはジオクチルフタレート等の従来の可塑剤は含まれないが、成形性を向上させるために可塑剤としての機能を発揮できる酢酸ビニル系重合体をハロゲン化ゴムとともに使用することが好ましい。そのような酢酸ビニル系重合体としては、ポリ酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体等が用いられる。この酢酸ビニル系重合体は、酢酸ビニルの含有率によって異なった性質を示すが、柔軟性及びゴム弾性が良好であり、溶融時の流動性にも優れている。酢酸ビニル系重合体中の酢酸ビニルの含有率は、通常5〜50質量%程度である。
【0016】
この酢酸ビニル系重合体の配合量は、目的とする成形性等の物性に応じて決定されるが、ハロゲン化ゴム100質量部当たり5〜50質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。この配合量が5質量部未満の場合には、可塑化作用の発現が不十分であり、成形性を十分に発揮させることができなくなる。その一方、50質量部を越える場合には、外装部16の柔軟性が高くなり過ぎる傾向がある。
【0017】
前記ガスケット本体15と外装部16とは別々に製造した後、接着剤で接着して形成することもできるが、ガスケット本体15を形成する原料に加硫剤を配合し、外装部16を形成する原料にも加硫剤を配合してそれらを共押出法によって一体的に押出し、共加硫させて成形することが望ましい。この共押出法は、ガスケット本体15を形成する加硫剤入りの原料と外装部16を形成する加硫剤入りの原料とを加熱、加圧しながら一定速度で連続的に押出成形することにより行われる。この方法により、ガスケット本体15と外装部16とを化学的に結合させて一体化でき、両者間の接着性を高めることができる。
【0018】
前記加硫剤としては、硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、ジチオジカプロラクタム、エチレンチオウレア、m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。この加硫剤に加えて加硫促進剤を配合することが好ましい。そのような加硫促進剤としては、ジベンゾチアゾルジスルフィド、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0019】
前記ガスケット本体15及び外装部16を形成するゴムの原料には、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等の充填剤のほか、ステアリン酸等の加工助剤、酸化カルシウム等の消泡剤、軟化剤、老化防止剤、加硫促進助剤等のゴム分野で通常配合される添加剤を配合することができる。
【0020】
前記耐候性の塗膜17は、外装部16の表面を保護し、耐候性を向上させるためのものである。この塗膜17を形成する塗料としては、フッ素樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料等も用いられるが、特に耐候性及び外装部16との接着性の観点からシリコーンアクリルエマルション系塗料が好ましい。シリコーンアクリルエマルション系塗料は、例えばアクリル樹脂と、オルガノポリシロキサン化合物と、アニオン界面活性剤とを含むエマルションに塩化白金酸等のヒドロシリル化触媒等を配合したものである。具体的には、ヒドロシリル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン化合物、(メタ)アクリル酸アリル、重合開始剤としての過硫酸塩及びアニオン界面活性剤を水に分散させ、加熱して重合させることにより、シリコーンアクリルエマルションが得られる。このシリコーンアクリルエマルションに塩化白金酸水溶液、造膜助剤としてのブチルセロソルブ等を配合することによりシリコーンアクリルエマルション系塗料が得られる。得られるシリコーンアクリルエマルション系塗料を外装部16の外面に塗工し、加熱してヒドロキシル化反応(付加反応)させることで、硬化された塗膜17が形成される。このようにして形成されるシリコーンアクリルエマルション系塗料の塗膜17は、優れた耐候性、耐水性、耐熱性及び機械的強度を発揮することができる。
【0021】
塗膜17の色は、外壁パネル12と同色に、或いは透明(クリア)に設定される。塗膜17の厚さは、好ましくは10〜50μmに設定される。塗膜17の厚さが10μm未満の場合には塗膜17が薄くなり過ぎてその耐久性が低下し、50μmを越える場合には耐候性の向上は見込めず、均一な肉厚の塗膜17を形成するための塗工作業性が悪くなりやすい。
【0022】
さて、本実施形態の作用を説明すると、目地用ガスケット14は、ガスケット本体15を形成するポリオレフィン系材料と外装部16を形成するハロゲン化ゴムを含有する材料とを共押出法によって共加硫させて押出成形することで一体的に成形される。この場合、外装部16を形成するハロゲン化ゴムを含有する材料には可塑剤が含まれておらず、可塑剤の移行が見られないことから、ガスケット本体15に対する外装部16の接着性を高めることができる。その後、外装部16の外表面には耐候性のある塗料が塗工されて塗膜17が形成される。この塗膜17に対しても外装部16からの可塑剤の移行がないので、塗膜17の劣化を抑えることができるとともに、外装部16に対する塗膜17の接着性を高めることができ、ガスケット14の性能を長期に渡って維持することができる。
【0023】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態における目地用ガスケット14は、外装部16に可塑剤が含まれていないことから、可塑剤がガスケット本体15や塗膜17へ移行することを回避することができる。従って、目地用ガスケット14は、耐久性が良好であるとともに、外装部16と塗膜17との間の接着性及び外装部16とガスケット本体15との間の接着性に優れている。
【0024】
・ また、外装部16をハロゲン化ゴムと酢酸ビニル系重合体との混合物よりなる材料で形成することにより、酢酸ビニル系重合体が可塑剤としての機能を奏することから、成形性を向上させることができる。
【0025】
・ さらに、ガスケット本体15と外装部16とは共加硫によって一体化することにより、ガスケット本体15と外装部16との間の接着性を向上させることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
目地用ガスケット14の外装部16は、下記に示す組成の原料を表1に示す組成で用い、ガスケット本体15を形成するEPDMは下記に示す組成の原料を用い、共押出成形法により押出成形し、ガスケット本体15の外面に外装部16を一体的に形成した。表1における部数は質量部を表す。また、外装部16の厚さを2mmとした。
(外装部16を形成するための原料)
CSM:クロロスルホン化ポリエチレン、東ソー(株)製、TS−430
CPE:塩素化ポリエチレン、ダイソー(株)製、H−135
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニルの含有量は14質量%、東ソー(株)製、ウルトラセン685
DOP:ジオクチルフタレート、大八化学工業(株)製
塩素化パラフィン:味の素ファインテクノ(株)製、エンパラ40
ポリブテン:出光興産(株)製、ポリブテンHV15
タルク:日本ミストロン(株)製、ミストロンべーパー
酸化チタン:バイエル(株)製、トロノックスR−FD−1
ペンタエリスリトール:三菱瓦斯化学(株)製
酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製、MgO#150
エチレンチオウレア:ラインケミー社製、レノグランETU−80
ジベンゾチアジルジスルフィド:三新化学工業(株)製、サンミックスDM−75
(EPDMの原料組成)
EPDM100質量部、カーボンブラック130質量部、鉱油70質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、酸化カルシウム7質量部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛2質量部、ジベンゾチアジルジスルフィド0.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド0.7質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド0.7質量部及び硫黄0.3質量部。
【0027】
これら各成分の商品名を以下に示す。
EPDM:住友化学(株)製、エスプレン512F
カーボンブラック:旭カーボン製、旭60G
鉱油:出光興産(株)製、PS−430
酸化亜鉛:ハクスイテック(株)製、酸化亜鉛二種
ステアリン酸:新日本理化(株)製、ステアリン酸#50S
酸化カルシウム:近江化学工業(株)製、CML#21
ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛:大内新興化学工業(株)製、ノクセラーBZ
ジベンゾチアジルジスルフィド:大内新興化学工業(株)製、ノクセラーDM
テトラメチルチウラムジスルフィド:三新化学工業(株)製、サンセラーTT
ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド:三新化学工業(株)製、サンセラーTRA
硫黄::ラインケミー社製、レノグランS−80
また、共押出成形は、次の条件に従って行った。
【0028】
ガスケット本体15を形成する原料と外装部16を形成する原料を押出ヘッド(口金)に供給し、それらを一体的に押出し、押出された一体化物を一次加熱及び二次加熱して成形品を成形した。
【0029】
押出ヘッドの圧力:14MPa、押出ヘッドの温度:65℃、一次加熱〔電磁波加熱(UHF加熱)〕温度:200℃、速度6.0m/分、二次加熱〔ホットエア加熱(HAV加熱)〕温度:215℃、速度6.0m/分。
【0030】
ここで、比較例1〜3においては、CSMにそれぞれ従来の異なる可塑剤を配合した例である。
次に、前記外装部16の外面に、耐候性の塗料であるシリコーンアクリルエマルション塗料を塗工し、硬化させて外装部16の外面に塗膜17を形成した。シリコーンアクリルエマルション塗料は建築用の高耐候性塗料で、日本ペイント(株)製の商品名オーデパワーを使用した。また、塗膜17の厚さは30μmであった。
【0031】
得られた目地用ガスケット14について、耐久性(接着性)、ガスケット本体15に対する外装部16の接着性及び成形性を下記の方法に従って測定した。それらの結果を表1に示した。
【0032】
耐久性:JIS K 6266(1996)のSA法に準拠して実施し、下記に示す基準で評価した。その場合、人工光源としてキセノンアーク及びオープンフレームカーボンアークを用いて5000時間照射し、ブラックパネル温度(サンプル表面温度)を63℃に設定し、60分中に12分間散水を行った。
【0033】
○;良好であった。×;可塑剤の移行が起きたり、塗膜17に亀裂が入ったりした。
接着性:JIS K 6256 5項に準拠して90度剥離試験を行い、次の基準にて評価した。
【0034】
○;外装部16の母材が破壊した。×;ガスケット本体15と外装部16の境界で破壊した。
成形性:成形時(共押出成形時)における外装部16の原料の流動性、成形状態、成形品の外観を見て次の基準で評価した。
【0035】
○;良好であった。△;成形性が若干低下したが、問題はなかった。×;成形性が悪かった。
【0036】
【表1】

表1に示した結果から、実施例1〜4においては、目地用ガスケット14の耐久性(外装部16に対する塗膜17の接着性を含む)、ガスケット本体15に対する外装部16の接着性及び成形性のいずれも良好であった。さらに、実施例4では可塑剤として機能するEVAを配合したことから、EVAを配合しなかった実施例1〜3に比べて成形性を向上させることができた。これに対し、比較例1〜3ではジオクチルフタレート等の従来の可塑剤を配合したため、成形性は良好であったが、可塑剤の移行により耐久性及びガスケット本体15に対する外装部16の接着性が不良であった。
【0037】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ ガスケット14の塗膜17を形成するに当たり、外装部16に対する塗膜17の接着性を向上させるために、外装部16の外面を前処理(プライマー処理)しておくこともできる。
【0038】
・ ガスケット本体15におけるリップ部20の数を2対又は4対以上にすることもできる。また、ガスケット本体15における基部18の外面を凹状に形成することも可能である。
【0039】
・ 外装部16を形成するハロゲン化ゴムとして、塩素化ポリプロピレン等を用いることもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0040】
・ 前記酢酸ビニル系重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の目地用ガスケット。このように構成した場合、請求項2又は請求項3に係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
【0041】
・ 前記酢酸ビニル系重合体の含有量は、ハロゲン化ゴム100質量部当たり5〜50質量部であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の目地用ガスケット。このように構成した場合、請求項2又は請求項3に係る発明の効果を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を具体化した実施形態における目地用ガスケットを建築用外壁パネル間に挿着した状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0043】
12…外壁パネル、13…目地空間、14…目地用ガスケット、15…ガスケット本体、16…外装部、17…塗膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用外壁パネル間の目地空間に配設され、建築用外壁パネル間をシールするための目地用ガスケットであって、
目地空間に位置するガスケット本体と、該ガスケット本体の外面に接合される外装部と、該外装部の外面に形成される耐候性の塗膜とにより構成され、前記ガスケット本体がポリオレフィン系材料で形成されるとともに、外装部が可塑剤を含まないハロゲン化ゴムを含有する材料で形成されていることを特徴とする目地用ガスケット。
【請求項2】
前記外装部は、ハロゲン化ゴムに酢酸ビニル系重合体が配合された材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の目地用ガスケット。
【請求項3】
前記ガスケット本体と外装部とは共加硫によって一体化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の目地用ガスケット。

【図1】
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【公開番号】特開2007−107354(P2007−107354A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302197(P2005−302197)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(596004761)イノアックエラストマー株式会社 (33)
【Fターム(参考)】