目標検出方法
目標を識別するためにレーダーシステムのようなセンサーからの反射を処理する方法が提供される。本方法は、よりよい識別能力を与えるために、数回の走査からのデータを集積するために、検出前トラックルーチンを使用する。しかながら、検出前トラックルーチンの実行においては、多数の目標の動きが仮定され、この様な動きを説明するために、データが組み合わせられる。閾値以上の結果は、目標が存在し、仮定された速度で移動することを示す可能性がある。正確な目標動き仮定で組み合わされたデータは、一時的な雑音および反射妨害よりもより持続性があるので、本方法は、より正確な目標検出を提供する。一旦目標が識別されると、それは、別の探索においてデータセットから取り除かれることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標を検出する方法、特にレーダーの目標を発見する方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
レーダーシステムは様々な適用において良く知られている。目標を検出するための洗練された機構を有する高価で複雑なレーダーが知られている。しかしながら、多くの適用において、複雑で高価格のレーダーシステムの費用は正当化されない。例えば、低価格のレーダーが、小さなボートなどの上でのような海事適用においてしばしば使用される。比較的単純なレーダーシステムを備えたそのような適用では、海面および土面の反射妨害(クラッター)中での小さな目標の検出は多くの場合極めて困難である。速く移動する目標は、正確に検出するのが難しい。
【0003】
レーダー情報の処理によって目標検出を改善する既知の方法があるが、しかしながら、低価格レーダーシステムからの信号でできる処理の量は、多かれ少なかれ制限されている。
【0004】
拡張カルマンフィルターは、システム動力学の線形近似を使用し、前のデータおよび新しい測定からの情報を使用して、目標位置の推定を更新する。拡張カルマンフィルターは非線形のシステムに作用するが、ガウス型の雑音を仮定している。レシーバーの形態に依存して、雑音は必ずしもガウス型だとは限らない。多くの場合、反射妨害は、雑音で無い、限定的な問題であり、反射妨害は多くの場合ガウス型ではない。
【0005】
粒子フィルタ(Particle filter)は、重みが加えられた粒子の雲によって、目標が特別の位置にある確率を表わす。これらの粒子の各々は、目標動力学の推定によって決定された方法で、時間ステップ毎に位置を変更する。時間とともに、いくつかの粒子の重みは0に成る傾向がある。再サンプリング・ステップで、最低の重みを有する粒子は削除される。また、新しい粒子が、最も重い重みが加えられた粒子の近くに生成される。粒子フィルタは、非ガウスの雑音の問題を解決する。しかし、それは大きなデータセット上では実行速度が遅くなる。リアル・タイム・システムが、要求される。
【0006】
ビタビ・アルゴリズムは、1組の仮説のパスに対するログ尤度比率に基づいたスコアリング関数を生成し、最も適当なパスを選択する。検出前コヒーレントトラック(Coherent Track Before Detect)スキームは、目標速度を推定するためにドップラー情報を使用する。これはトラッキングを援助するために他のアルゴリズムの中で使用することができる。検出前コヒーレントトラックは、リアルタイムで実行することができるが、コヒーレントレーダーを必要とする。これはコヒーレントでないものに比べて高価になりえる。
【0007】
3次元マッチドフィルタは、時間-2次元空間での3次元フーリエ変換を行い、1組の速度ベクトルに対する運動エネルギーを評価するためにこれを使用する。最大エネルギーを備えたベクトルは、目標トラッキングに選択される。
【0008】
場面(シーン)に渡って統計ウィンドウを通過させ、分布のパラメーターを推定することにより、アダプティブ・コンスタント・フォールス・アラーム・レート(CFAR)閾値設定が働く。その後、反射妨害拒絶閾値は、フォールス・アラームの分布および確率(PFA)に基づいて設定される。しかしながら、CFAR閾値設定で使用される統計は、必ずというわけではないが、レーリー又はガウス型であるとしばしば仮定される。
【0009】
英国特許出願1,605,307は、同じ方向から時間に渡って受信された信号を記憶するレーダー用の目標検出システムを開示している。記憶された信号は、次に、特定の仕方で移動する目標を示す要素を含むように選択された種々の組合せで、集積される。目標が存在し、且つ選択された組合せの内の一つと同じ仕方で移動する場合は、集積された信号は、閾値を越える。従って、改良された目標検出を達成することができる。しかしながら、この方法は、異なる速度で動く2つの目標を識別することに難渋する。
【0010】
したがって本発明の目的は、目標検出の改善された方法を提供することにある。
本発明に従うと、場面からデータ内の目標を検出する方法が提供される。この方法は、
i) 場面の一連の走査を含むメインのデータセットを取得し、各走査は、場面の異なる部分に対応する複数のデータ・ポイントを含んでおり、
ii) 第1走査を行い、この第1走査の各データ・ポイント毎に、あらかじめ設定された数の仮定された目標速度の各々における集積データ値を計算し、各集積データ値が、仮定された目標速度で移動する目標に対応する第1走査のデータ・ポイントおよび他の走査のデータ・ポイントを使用して計算され、
iii) 最大集積データ値を識別し、最大集積データ値に寄与する如何なるデータ点も除外した残りの集積データ値を再計算し、
iv) 第1走査内の各データ点毎に、集積データ値が閾値以上であることを識別し、
v) 所定の閾値以上の集積データを、目標の指標として使用するステップを含む。
【0011】
メインのデータセットは、センサーの出力から取得され、場面の一連の走査からなる。走査は、スターリングアレイから取得されたフレーム又は走査センサーから捕らえられたデータとすることができる。例えば、センサーはレーダー・アンテナとすることができる。データ・ポイントは、場面の或るポイントから測定された信号に対応する。センサーが検出器アレイである場合、データ・ポイントはアレイ中の特別の要素からの出力とすることができる。レーダーにとって、データ・ポイントは、異なる範囲のセルに対する反射信号である。
【0012】
本発明の本質は、目標が場面内に存在する場合、それが、一連の走査中に信号を生じさせるという事実にある。ランダム雑音およびスプリアス効果が存在するが、それらは、自然界においては一時的であり、目標からの反射は持続性(コンシステント)がある傾向があるであろう。したがって、数回の走査に渡って受け取られた信号を取得し、且つ信号を集積することは、一時的効果を、目標の持続的効果から区別することを助成することになる。
【0013】
目標が移動しない場合、集積は、場面内の同じ位置からの反射を集積することを単に含むであろう。しかしながら、目標は場面内で移動しているかもしれなく、したがって、目標の反射が、異なる時刻で場面の異なる部分で発生する場合がある。場面内の目標の位置は、その速度に依存する。目標速度が既知である場合、一連の走査において目標の位置を仮定することができる。
【0014】
本発明は、目標が存在し、且つそれが特定の速度で移動することを前提としている。目標が存在し、仮定された速度で移動しているとすると、反射が期待されているこれらのデータ・ポイントは、次に、集積される。このことは、考慮中の走査中の各データ・ポイントおよび多くの仮定とされた速度に対して行われる。
【0015】
考慮中の走査(第1走査)における各データ・ポイント毎の結果は、特定の仮定された速度に対応する一連の集積データ値である。目標が存在し、これが、第1走査で考慮中のデータ・ポイントに寄与したと想像する。目標速度が正確に仮定されると、考慮した他の走査中の各対応するデータ・ポイントは、目標からの反射を同様に含む。従って、仮定された速度での集積データ値は、基本的に目標に対応するデータ・ポイントの和である。しかしながら、仮定された速度が正しくない場合、考慮された他の走査中のデータ・ポイントはアレイの間違った部分から取得され、したがって、その目標からの反射を含まないであろう。
【0016】
これらのデータ・ポイントはランダム雑音からの寄付、又は場面内の反射妨害からの反射を有する場合もあるが、これは、目標反射ほど持続性を有していない。したがって、正確な速度で計算された集積値は、他の仮定された速度でのものよりも大きいであろう。
【0017】
しかしながら、第1走査内のデータ・ポイントが、目標自体には対応していなく、不正確な速度仮定でのそのポイントに対する集積データ値が、目標からの反射を実際には含む場合があると理解される。従って、そのポイントに対する集積データ値は、比較的高いが、しかしながら、第1走査における正しいポイントに対する正しい速度仮定での集積データ値ほど高くはない。しかし、この間違った記録効果は、誤りを引き起し、実際の目標の存在の検出をより困難にする。
【0018】
従って、本発明の方法は、最大集積データを識別して、次に、最大値に寄与するデータ・ポイントを除去して、他の集積データ値を再計算する。換言すると、最大集積値は、目標に最も関係していると理解される。この場合、その値に寄与する各走査におけるデータ・ポイントは、全て、その存在しうる目標に対応する可能性がある。従って、それらは、他の集積データ値の計算から除去し、その存在しうる目標の影響を減少するようにすることができる。
【0019】
従って、本方法は、第1走査内の目標に最も関係する可能性があるデータ・ポイントを効果的に識別し、これらポイントを考慮から除去して、再計算する。これは、最大データ・ポイントが、目標であるか又はないかの最終決定を援助する。例えば、コンスタント・フォールス・アラーム・レート処理ステップが使用される場合に、近くのデータ・ポイントで誤った読取が存在すると、信頼性が低下する。
【0020】
更に、識別された存在しうる第1の目標の影響を除去すると、他の目標の識別が改善される。このことは、第1の目標が、大きな信号を与え、第2の目標からの信号が弱い場合は、特に当てはまる。第1の目標からの反射を偶然含む誤った仮定の影響は、第2の目標の存在を隠す場合がある。しかしながら、存在しうる第1の目標の影響を除去すると、最大値の次に大きい値は、正しい速度仮定で、より弱い第2の目標である場合がある。
【0021】
集積データ値の再計算は、最大値への寄与を含まない何らかの集積値の代替を含む必要はない。
好適には、最大集積値を識別し、そして残りのデータ・ポイントに対する集積データ値を再計算するステップが、逐次的に達成される。逐次は、ある所定の回数達成することができる。例えば、予期される目標の最大個数回可能である。代替的に、この方法は、目標を識別するのに使用される閾値とすることができる閾値以上に集積値が存在しなくなるまで、繰り返される。即ち、この方法は、全ての目標が識別されるまで、操作される。
【0022】
用語「より大きな」そして用語「或る閾値以上の」は、集積データ値が目標をより明瞭に示し且つ目標信号を非目標信号から識別する閾値を越えていることを意味することに留意されたい。いくつかのセンサーについては、目標の存在は、実際にセンサーからの出力を減少する場合がある。例えば、センサーが、背景場面を見ている場合は、高出力であり、目標が存在する場合は、低出力である場合を想定している(或る検出器アレイが、或る波長において、周囲の背景に対するコントラストを探し求める場合がこの場合に当たる)。この場合、全てのデータ・ポイントが目標に対応している場合の集積データ値は、データ・ポイントの少なくとも幾つかが目標反射からのものではない場合に計算されたものよりも小さいであろう。従って、或る閾値以上のとの用語は、或る閾値が、それが、目標でない可能性の信号から、目標である可能性の信号を識別するように設定されることを意味している。特定の集積値は、それが目標の可能性があることを示す閾値の側にある。用語「より大きい」は同じ仕方で読まれるべきである。従って、本発明は、最小のデータ操作を必要とし、目標検出を、小さく高速な移動目標であっても著しく支援することができる、簡単で高速な処理スキームを提供する。
【0023】
好適には、仮定された速度に従った他の走査における対応するデータ・ポイントを識別するためのベースとして使用される第1走査は、得られた最新の走査である。第1走査におけるどのデータ・ポイントが目標に対応するかを識別するので、識別が行われる場所は、最も最近に取得された走査であることが好ましい。メインのデータセットは、好適には、所定の数の前の走査からなるのが好ましい。本方法は、記憶内に保持される或る数の走査で、実時間で動作することができる。新しい走査が得られる場合、本方法は、格納されたデータおよび識別された(新しい走査中の)任意の目標の位置を使用して、それについて実行される。新しい走査が処理された後、それは、取得されるべき次の走査の処理のために使用されるために、記憶装置内に置かれる。
【0024】
集積データ値を発生するのに使用される走査の数が大きいほど、(直線目標運動を仮定すると)本方法はより正確になるが、計算負荷は、より大きくなる。都合の良いことに、使用される走査の数は3と20の間に、あるいは3と14の間にある。しかしながら、比較的速い走査時間を有するレーダーシステムは20を越える走査を使用する場合がある。
【0025】
速度仮定は、実際には、速度変化を仮定することができる。つまり、本方法は、目標の加速を仮定することができる。速度が本方法において言及される限り、加速は、速度を追加するのに使用することができる。明らかに、仮定された運動数が増加すると、計算上の負荷も増加する。本方法において使用される走査の数及び各走査の取得間の時間が、目標が移動した期間の或るウインドゥを定める。このウインドゥが比較的小さい場合、目標速度が著しく変化する尤度は、同様に低い。
【0026】
都合の良いことに、集積データ値は、閾値レベルと比較する前に、平均される。平均値は、使用されるデータ・ポイントの数を変更することを可能にするが、使用されている閾値レベルを変更する必要なく、速度仮定に従って集積することを可能にする。
【0027】
データが一度処理されると、閾値は、場面内の目標と反射妨害とを区別するために適用される。閾値は、使用される検出器によって受信される信号に影響を及ぼす多数の因子を考慮に入れる必要がある。誤り警報の確率のようなこれらの因子の幾つかは、事前に決定することができる。第1走査における各データ・ポイントは、異なる閾値レベルと関係することができ、即ち、場面の異なる部分は、それ自身の関連する閾値を有している。都合の良いことに、閾値レベルは、場面からの反射妨害信号のアレイから、具体的には、反射妨害信号に対する特定の統計モデルを仮定するメインのデータセットから計算される。都合良くは、ガンマ分布統計モデルが使用される。
【0028】
都合良くは、メインのデータセット内のデータ・ポイントを正規化する初期ステップを含む。
本方法は、識別される各目標毎に、目標と関連する仮定された速度の表示を提供することができる。説明された様に、多数の異なる仮定された速度は、第1走査内の各データ・ポイントに対して試みられる。これらの何れもが、閾値以上の場合、最大値が選択される。従って、本方法は、本質的に目標の位置だけでなくさらにその速度の指標も識別する。この情報は、目標のトラッキングを支援するために、トラッキングシステムに提供することができる。
【0029】
メインのデータセットは、レーダーシステムからのデータからなるのが有効な場合がある。各データ・ポイントは、当業者によって理解されるように、特定の範囲のセルに対して、ゲード制御された反射信号からなることができる。走査は、方位角方向のような異なる方向からの一連の読取からなることができ、各方向からの複数の範囲セルが含まれる。本方法は、簡単なレーダーシステムに使用することができ、実時間目標位置及び速度情報を比較的限られた処理で与える。
【0030】
データがレーダーシステムから来る場合、本方法は、ビーム内集積(WBI)ステップをデータに適用するのが好ましい。当業者に理解され得るように、WBIは、僅かに異なる方位角における一連の読取からの反射と、適当な重みを組み合わせる。ここで、ビーム幅は、読取が重なるようなものである。
【0031】
本発明は、コンピュータプログラムで実行することができ、本発明の別形態は、記述された方法を実行するようにプログラムされたコンピュータから成る。
本発明の別の形態において、場面の異なる部分からの信号を受信するための検出手段、場面の一連の走査からのデータを記憶する記憶手段、及び上述された方法を達成するために適応されたプロセッサ手段から成る目標検出用センサーが提供される。
【0032】
従って、センサーは、場面の一連の走査を捕えて、そのデータを記憶する。記憶されたデータは、次に、新たに取得された走査の処理に使用することができる。センサーは、レーダーアンテナから成り、センサーは、検出された目標の位置を表示するためのディスプレイを有することができる。追加的に又は代替的に、目標の位置及び速度は、トラッキング手段への出力とすることができる。
ここで、本発明が、図面を参照しつつ、実施例により説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
単純なレーダーシステムがRF放射パルスを放射し、アンテナはどんな返された信号も検出する。受信された信号は、異なる範囲、即ち範囲セルでの測定に対応する複数の異なる時刻に、反射信号を測定するように一般的にゲート制御される。アンテナもそれ自身走査され、例えば、アンテナは異なる方向からの反射を測定するために回転していることができる。完全な1つの走査が異なる方位角の方向あるいはセルに対応する複数のデータ信号を生成すると、個々の方位角の方向の信号は複数の範囲セルに対応する複数のデータ信号を含む。したがって、1つの任意の走査からの反射は、範囲及び方位角についてのデータの2次元アレイになる。
【0034】
場面の目標の存在は、特定の範囲内に反射信号を生成し、目標が位置する特定の範囲および方位角セルの中で反射信号を作成する。しかしながら、場面における反射妨害および一般的な雑音は、目標反射信号を不明瞭にする。例えば、海洋環境において、海面反射妨害は、目標検出の信頼性を低下する。
【0035】
本発明は、幾つかの走査データを使用して、目標検出を改善する方法を提供する。図1は、本方法の原理を図示するフローチャートを示す。
一般に2で示したレーダーシステムからのデータは、方位角、北マーカーおよびGPS情報の様な追加的情報をヘッダーおよびフッターに含んでいる特別のブロック構造4に格納される。
データは、メディアン・フィルタによって、事前処理され、受信された信号を規格化する。
【0036】
規格化されたデータは次に、ビーム内集積(WBI)ステップ8で処理される。WBIは、信号の反射を改善するための既知の技術である。レーダーシステムが或るビーム幅を持つことは当業者によって理解されるであろう。典型的に、1つの方位角でレーダーシステムによって受け取られた信号は、測定された次の方位角で受け取られた信号と重なるであろう。その後、一連の方位角に対して同じ範囲で受信された信号は、適当な重付けを有して、ビーム内で集積されて、より良い信号対雑音比を有する集積信号を与えることができる。
【0037】
WBI処理されたデータは、次にサンプルされ、パルスの数を管理可能な量に減少する。WBI集積パルスは、一般的にビーム幅よりも十分に狭い方位角で分離されるので、それらパルスは、例えば、5パルス毎に、サンプルすることができる。典型的には、ある程度の重なり、おそらくはビーム幅の1/4が、許容され、目標が2つのパルス間の中間に存在することを可能にする。
【0038】
検出前トラック(TDB)ルーチン10が次にデータに適用される。TBDルーチンは、一連の走査中の同じ方位角および範囲セルからの信号を集積する。目標からの反射が反射妨害からの信号より持続性を有しているので、TBDルーチンは目標検出を改善する。
しかしながら、目標が移動している場合、目標は、一連の走査間で、範囲あるいは方位角か、両方を変更する場合がある。したがって、TBDルーチンは幾つかの可能な目標速度を仮定し、以下に説明される様にデータを結合する。
【0039】
TBDルーチンの後、データは閾値処理12される。TBDルーチンがガウス、レーリーおよびガンマ型を含む様々な分布を有するランダム雑音に適用される場合、出力は、一般化されたガンマ分布によって近似された傾斜(非対称)分布である。分布のパラメーターを評価するために、統計ウィンドウは全体のイメージ上で移動され、そのウィンドウについて、平均、標準偏差およびフィッシャーの非対称度が測定される。所定のフォールス・アラーム確率(PFA)に対して、閾値は、各範囲および方位角セルに対して設定することができる。これは、逐次スキームを介して行なうことができ、所定の非対称及びPFAに対する閾値を計算する逆ガンマ関数を近似する。すべての有用な非対称性およびPFAに対する閾値の一般的な値は、実時間利用のために参照テーブル14に格納される。その後、平均及び標準偏差はこの一般的な閾値を取り扱っている特定の場合に対するものに変換するために使用される。もし目標が正確に検出されていれば、それらは閾値以上に現われ、背景反射妨害は退けられる。
【0040】
検出された目標の位置は、ディスプレイ16に送ることができる。
検出前トラックルーチン10は、適切な仕方で、一連の走査からのデータを組合せ、目標の運動の影響を効果的に除去する。第1段階は、適当な運動に対するデータセットを形成することにある。図2は、特定の方位角での一連の走査で得られる範囲データから形成された、アレイ又はメインのデータを示す。
【0041】
TBDルーチンの第1段階は、既知の目標に対する特定の速度を仮定し、仮定された速度に対応するようにデータをシフトすることである。速度仮定がその時選ばれ、前の逐次計算で計算された速度あるいは必要とされる目標の特定の形態の様な他の情報に基づくことができる。あるいは、速度仮定情報が事前に決定され、参照テーブルに格納することができる。
【0042】
目標が範囲中で移動している場合、データをシフトしただけでも、範囲内での一連のデータ走査のシフトを有効に含む。図3は、範囲シフトが適用された後の、幾つかのプロフィールを示す。
図3aは、毎秒-2範囲セル(r/s)の仮定された放射方向速度を示す。図3bは、仮定された速度が無いことを示している(従って、摂動されていないデータセットである)、および図3cは、+2r/sの仮定された速度に対するプロフィールを示す。
仮定された速度に従ってデータセットをシフトすることによって、基礎の走査(現在の走査)におけるデータ・ポイントに(その速度で)対応する他の走査におけるデータ・ポイントが、識別され且つ整合される。
【0043】
以上は目標に対して放射方向速度成分だけを仮定する。いくつかの状況では、目標への実際の距離は、目標が方位角方向で認めうる程度に移動しなく、範囲ついての移動のみが、考慮する必要のある移動である様なものである。この場合、速度仮定は、範囲軸に沿って一連の走査に対応するデータをシフトすることによって適応することができることは理解されるであろう。しかしながら、方位角方向の運動も考慮することができる。この場合、仮定されたプロフィールは、他の方位角からの信号を含む複合データセットである。
【0044】
次に、各仮定は、多数の走査に渡って平均される。仮定された速度がそのとき真の目標速度と等しければ、目標からのエネルギーのすべてが、最新の目標位置に対応する範囲セルに現われるであろう。仮定された速度がそのとき真の目標速度と等しくなければ、そのエネルギーは幾つかの範囲セルに渡って印を付けるであろう。
図4は、範囲の関数として3つの仮定された速度に対するエネルギー・プロットを示す。図4aが1個の範囲セルの中に全てのエネルギーが集中する単一のピークを有し、図4bおよび4cが一連の範囲セル中のエネルギーを示していることが分かる。
【0045】
典型的に、システムに依存して、3〜14、あるいは、可能性として20走査が平均されるが、その数はシステムに依存して変化する場合がある。より多くの走査を使用すると、処理負荷が増加し、目標の動力学、即ち、速度が変化する尤度を増加する。高速走査レーダーシステムを、より多くの走査を考慮して、使用することができる。
【0046】
すべての速度仮定からの範囲プロフィールを平均したものが、図5で示されるような範囲-速度エリア(シフトマトリックス)としてプロットすることができる。その後、各範囲セルについて、最大値、およびその最大値を引き起こした速度仮定が決定される。しかしながら、最も明るい目標に対する範囲プロフィールを示す図6から見ることができるように、最も明るい目標をシフトする影響は、他の近くの範囲セル内でも依然として見られ、ゴーストと呼ばれる。目標速度の正しくない仮定から発生するこの拡散効果は、他の範囲セル内により大きな望まれない背景を生じる。
【0047】
従って、この効果を弱めるために、最も明るい目標が識別されると、それはシフトマトリックスから取り除かれる、つまり、最も明るい目標に対応するデータ・ポイントはシフトマトリックスを計算する際に削除される。したがって、新しく作成されたシフトマトリックスは、他の目標からの反射を有するだけである。これは一連の目標に対して、目標が無くなるまで、行われ、真の最大値が得られることを可能にする。
【0048】
代替的に、走査又は走査における或る範囲セルにおいて最大とおぼしき数の目標を探索することができ、処理は、目標の数に到達するか、又は次に最も明るい目標が閾値以下になる時に、停止される。
最も明るい目標を有する範囲プロフィールが、図7で示される。最も明るい目標の削除は、周囲の範囲セルに対する影響を弱める。図8は他のセルに対する範囲が、最も明るい目標が除去されたマトリックスから得られる場合の範囲プロフィールを示す。ピークのまわりの肩が縮小したことが理解できる。したがって、閾値が適用される時、実際の目標に対応するピークだけが閾値以上にあり、閾値として識別される。
【0049】
図9が、異なるスタート範囲および速度を有する同じ方位角の2つの目標に対して形成されたシフトマトリックスを示す。図9aは、全てのデータを使用して形成されたシフトマトリックスを示す。図9bは、シフトマトリックスから最初の目標を取り除いた後の結果を示し、図9cは、両方の目標が削除された、残りのシフトマトリックスを示す。シフトマトリックスから連続的に目標を取り除いて目標を見つけることの利点が、図10で示される最終の範囲プロフィールの中で示されている。図10aは、目標削除前の範囲プロフィール、図10bは、削除の後の状況を示す。この技術は、特別の状況に対して予期される最大値までの目標の任意の数に対して使用することができる。
【0050】
本発明に従った方法は、簡単なレーダーシステムで作動することができる検出スキームを提供し、目標検出を改善する。本方法は非ガウス雑音に対処することができ、また、したがって、閾値はより正確である。本スキームは大きなデータセットに対して実時間で実行することができ、コヒーレントでないレーダーに対処することができる。この方法は、本質的に、目標速度の表示を与える。
【0051】
本スキームは、海洋監視用の特定用途を持っている。沿岸の水域で作動する快速ボートのような小型ボートは、海面および地面反射妨害により検出することが現在困難である。本発明は検出を改善し、沿岸警備に使用することができる。しかしながら、当業者が気付くように、本方法は、他のレーダーシステム、例えば位相アレイレーダーで使用することができ、またレーダー以外のセンサーで使用することができる。
【0052】
例えば、ライダー(Lidar)システム(光検出および測距装置)は容易にこの方法を使用することができる。実際、データセットは、一次元または二次元であって、走査されるかまたは走査されないイメージングアレイか音響アレイの出力であり得る。イメージングアレイでは、フレーム時間は走査を表わし、また、アレイ中の各要素の出力はデータ・ポイントを構成する。基礎走査中のデータ・ポイントが目標を表わすことを仮定し、可能性のある目標速度を仮定し、閾値を適用する時よりも適当に前の時の他の走査からのデータを組み合わせれば、基本的方法は同じになるであろう。
【0053】
本方法は、図11で示されるレーダー装置を使用して極めて簡単に実施することができる。一般に2で示されたレーダーは、走査アンテナ22に接続され、方位角エンコーダを含む送信機/受信機20を含む。レーダーシステムの出力は、アナログ・ディジタル変換器(ADC)を含むパーソナルコンピュータ(PC)26用のレーダー・インターフェース・カード24に接続される。レーダーデータは、特別のブロック構造で格納され、本方法に従ってPCによって処理される。プロセッサからの出力は、任意の従来のレーダーディスプレイ28に出力することができる。
【0054】
上述された様に、範囲内の仮定された運動の影響は、範囲軸に対する一連の走査で得られるデータを単純にシフトすることによって決めることができる。これは、コンピュータ、特にデジタル処理で達成することは極めて簡単である。二次元での運動の影響も、容易に仮定することができる。データが、場面のx-y視野に対応している場合、運動は、x及びy両方向でデータをシフトし、異なる速度を仮定することにより、仮定することができる。異なる範囲及び方位角セルからデータを取得するレーダーシステムに対して、範囲及び/又は方位角での運動を考慮することができる。データが、二次元x-y形態のデータアレイに記憶される場合、場面内の直線運動が、異なる座標系による、データセルを介しての目標の直線進行に変換する必要はないことが理解されるであろう。起こり得る運動を推定するために一連の走査に加えられるデータシフトは、運動を推定する時に、この事実を考慮することができる。代替的に、取得されたデータが、極座標系からx−yデータ記憶への座標変換を受けて、データの線形シフトを起こり得る運動を推定することを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】レーダーシステムに適用された本発明の方法のステップを示す。
【図2】複数の走査からの特別の方向の異なる範囲のセルでの反射を有するレーダーデータアレイを示す。
【図3】或る速度仮定を適用するためにシフトされた図2のレーダーデータアレイを示す。
【図4】図3で示されるシフトマトリックスに対する平均された範囲プロフィールを示す。
【図5】幾つかの速度仮定に対して平均された範囲プロフィールを示す。
【図6】図5の範囲速度エリアで最も明るい目標に対する範囲プロフィールを示す。
【図7】削除される最も明るい目標に対応するポイントを有しての、幾つかの速度仮定に対して平均された範囲プロフィールを示す。
【図8】最も明るい目標の影響がシフトマトリックから除去された時の最も明るい目標に対する範囲プロフィールを示す。
【図9】2つの目標を有する場面に対するレーダーデータアレイシフトマトリックスを示す。
【図10】目標が削除される前および削除の後の平均範囲プロフィールを示す。
【図11】レーダーシステム上で本発明を実施するための装置の概略を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標を検出する方法、特にレーダーの目標を発見する方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
レーダーシステムは様々な適用において良く知られている。目標を検出するための洗練された機構を有する高価で複雑なレーダーが知られている。しかしながら、多くの適用において、複雑で高価格のレーダーシステムの費用は正当化されない。例えば、低価格のレーダーが、小さなボートなどの上でのような海事適用においてしばしば使用される。比較的単純なレーダーシステムを備えたそのような適用では、海面および土面の反射妨害(クラッター)中での小さな目標の検出は多くの場合極めて困難である。速く移動する目標は、正確に検出するのが難しい。
【0003】
レーダー情報の処理によって目標検出を改善する既知の方法があるが、しかしながら、低価格レーダーシステムからの信号でできる処理の量は、多かれ少なかれ制限されている。
【0004】
拡張カルマンフィルターは、システム動力学の線形近似を使用し、前のデータおよび新しい測定からの情報を使用して、目標位置の推定を更新する。拡張カルマンフィルターは非線形のシステムに作用するが、ガウス型の雑音を仮定している。レシーバーの形態に依存して、雑音は必ずしもガウス型だとは限らない。多くの場合、反射妨害は、雑音で無い、限定的な問題であり、反射妨害は多くの場合ガウス型ではない。
【0005】
粒子フィルタ(Particle filter)は、重みが加えられた粒子の雲によって、目標が特別の位置にある確率を表わす。これらの粒子の各々は、目標動力学の推定によって決定された方法で、時間ステップ毎に位置を変更する。時間とともに、いくつかの粒子の重みは0に成る傾向がある。再サンプリング・ステップで、最低の重みを有する粒子は削除される。また、新しい粒子が、最も重い重みが加えられた粒子の近くに生成される。粒子フィルタは、非ガウスの雑音の問題を解決する。しかし、それは大きなデータセット上では実行速度が遅くなる。リアル・タイム・システムが、要求される。
【0006】
ビタビ・アルゴリズムは、1組の仮説のパスに対するログ尤度比率に基づいたスコアリング関数を生成し、最も適当なパスを選択する。検出前コヒーレントトラック(Coherent Track Before Detect)スキームは、目標速度を推定するためにドップラー情報を使用する。これはトラッキングを援助するために他のアルゴリズムの中で使用することができる。検出前コヒーレントトラックは、リアルタイムで実行することができるが、コヒーレントレーダーを必要とする。これはコヒーレントでないものに比べて高価になりえる。
【0007】
3次元マッチドフィルタは、時間-2次元空間での3次元フーリエ変換を行い、1組の速度ベクトルに対する運動エネルギーを評価するためにこれを使用する。最大エネルギーを備えたベクトルは、目標トラッキングに選択される。
【0008】
場面(シーン)に渡って統計ウィンドウを通過させ、分布のパラメーターを推定することにより、アダプティブ・コンスタント・フォールス・アラーム・レート(CFAR)閾値設定が働く。その後、反射妨害拒絶閾値は、フォールス・アラームの分布および確率(PFA)に基づいて設定される。しかしながら、CFAR閾値設定で使用される統計は、必ずというわけではないが、レーリー又はガウス型であるとしばしば仮定される。
【0009】
英国特許出願1,605,307は、同じ方向から時間に渡って受信された信号を記憶するレーダー用の目標検出システムを開示している。記憶された信号は、次に、特定の仕方で移動する目標を示す要素を含むように選択された種々の組合せで、集積される。目標が存在し、且つ選択された組合せの内の一つと同じ仕方で移動する場合は、集積された信号は、閾値を越える。従って、改良された目標検出を達成することができる。しかしながら、この方法は、異なる速度で動く2つの目標を識別することに難渋する。
【0010】
したがって本発明の目的は、目標検出の改善された方法を提供することにある。
本発明に従うと、場面からデータ内の目標を検出する方法が提供される。この方法は、
i) 場面の一連の走査を含むメインのデータセットを取得し、各走査は、場面の異なる部分に対応する複数のデータ・ポイントを含んでおり、
ii) 第1走査を行い、この第1走査の各データ・ポイント毎に、あらかじめ設定された数の仮定された目標速度の各々における集積データ値を計算し、各集積データ値が、仮定された目標速度で移動する目標に対応する第1走査のデータ・ポイントおよび他の走査のデータ・ポイントを使用して計算され、
iii) 最大集積データ値を識別し、最大集積データ値に寄与する如何なるデータ点も除外した残りの集積データ値を再計算し、
iv) 第1走査内の各データ点毎に、集積データ値が閾値以上であることを識別し、
v) 所定の閾値以上の集積データを、目標の指標として使用するステップを含む。
【0011】
メインのデータセットは、センサーの出力から取得され、場面の一連の走査からなる。走査は、スターリングアレイから取得されたフレーム又は走査センサーから捕らえられたデータとすることができる。例えば、センサーはレーダー・アンテナとすることができる。データ・ポイントは、場面の或るポイントから測定された信号に対応する。センサーが検出器アレイである場合、データ・ポイントはアレイ中の特別の要素からの出力とすることができる。レーダーにとって、データ・ポイントは、異なる範囲のセルに対する反射信号である。
【0012】
本発明の本質は、目標が場面内に存在する場合、それが、一連の走査中に信号を生じさせるという事実にある。ランダム雑音およびスプリアス効果が存在するが、それらは、自然界においては一時的であり、目標からの反射は持続性(コンシステント)がある傾向があるであろう。したがって、数回の走査に渡って受け取られた信号を取得し、且つ信号を集積することは、一時的効果を、目標の持続的効果から区別することを助成することになる。
【0013】
目標が移動しない場合、集積は、場面内の同じ位置からの反射を集積することを単に含むであろう。しかしながら、目標は場面内で移動しているかもしれなく、したがって、目標の反射が、異なる時刻で場面の異なる部分で発生する場合がある。場面内の目標の位置は、その速度に依存する。目標速度が既知である場合、一連の走査において目標の位置を仮定することができる。
【0014】
本発明は、目標が存在し、且つそれが特定の速度で移動することを前提としている。目標が存在し、仮定された速度で移動しているとすると、反射が期待されているこれらのデータ・ポイントは、次に、集積される。このことは、考慮中の走査中の各データ・ポイントおよび多くの仮定とされた速度に対して行われる。
【0015】
考慮中の走査(第1走査)における各データ・ポイント毎の結果は、特定の仮定された速度に対応する一連の集積データ値である。目標が存在し、これが、第1走査で考慮中のデータ・ポイントに寄与したと想像する。目標速度が正確に仮定されると、考慮した他の走査中の各対応するデータ・ポイントは、目標からの反射を同様に含む。従って、仮定された速度での集積データ値は、基本的に目標に対応するデータ・ポイントの和である。しかしながら、仮定された速度が正しくない場合、考慮された他の走査中のデータ・ポイントはアレイの間違った部分から取得され、したがって、その目標からの反射を含まないであろう。
【0016】
これらのデータ・ポイントはランダム雑音からの寄付、又は場面内の反射妨害からの反射を有する場合もあるが、これは、目標反射ほど持続性を有していない。したがって、正確な速度で計算された集積値は、他の仮定された速度でのものよりも大きいであろう。
【0017】
しかしながら、第1走査内のデータ・ポイントが、目標自体には対応していなく、不正確な速度仮定でのそのポイントに対する集積データ値が、目標からの反射を実際には含む場合があると理解される。従って、そのポイントに対する集積データ値は、比較的高いが、しかしながら、第1走査における正しいポイントに対する正しい速度仮定での集積データ値ほど高くはない。しかし、この間違った記録効果は、誤りを引き起し、実際の目標の存在の検出をより困難にする。
【0018】
従って、本発明の方法は、最大集積データを識別して、次に、最大値に寄与するデータ・ポイントを除去して、他の集積データ値を再計算する。換言すると、最大集積値は、目標に最も関係していると理解される。この場合、その値に寄与する各走査におけるデータ・ポイントは、全て、その存在しうる目標に対応する可能性がある。従って、それらは、他の集積データ値の計算から除去し、その存在しうる目標の影響を減少するようにすることができる。
【0019】
従って、本方法は、第1走査内の目標に最も関係する可能性があるデータ・ポイントを効果的に識別し、これらポイントを考慮から除去して、再計算する。これは、最大データ・ポイントが、目標であるか又はないかの最終決定を援助する。例えば、コンスタント・フォールス・アラーム・レート処理ステップが使用される場合に、近くのデータ・ポイントで誤った読取が存在すると、信頼性が低下する。
【0020】
更に、識別された存在しうる第1の目標の影響を除去すると、他の目標の識別が改善される。このことは、第1の目標が、大きな信号を与え、第2の目標からの信号が弱い場合は、特に当てはまる。第1の目標からの反射を偶然含む誤った仮定の影響は、第2の目標の存在を隠す場合がある。しかしながら、存在しうる第1の目標の影響を除去すると、最大値の次に大きい値は、正しい速度仮定で、より弱い第2の目標である場合がある。
【0021】
集積データ値の再計算は、最大値への寄与を含まない何らかの集積値の代替を含む必要はない。
好適には、最大集積値を識別し、そして残りのデータ・ポイントに対する集積データ値を再計算するステップが、逐次的に達成される。逐次は、ある所定の回数達成することができる。例えば、予期される目標の最大個数回可能である。代替的に、この方法は、目標を識別するのに使用される閾値とすることができる閾値以上に集積値が存在しなくなるまで、繰り返される。即ち、この方法は、全ての目標が識別されるまで、操作される。
【0022】
用語「より大きな」そして用語「或る閾値以上の」は、集積データ値が目標をより明瞭に示し且つ目標信号を非目標信号から識別する閾値を越えていることを意味することに留意されたい。いくつかのセンサーについては、目標の存在は、実際にセンサーからの出力を減少する場合がある。例えば、センサーが、背景場面を見ている場合は、高出力であり、目標が存在する場合は、低出力である場合を想定している(或る検出器アレイが、或る波長において、周囲の背景に対するコントラストを探し求める場合がこの場合に当たる)。この場合、全てのデータ・ポイントが目標に対応している場合の集積データ値は、データ・ポイントの少なくとも幾つかが目標反射からのものではない場合に計算されたものよりも小さいであろう。従って、或る閾値以上のとの用語は、或る閾値が、それが、目標でない可能性の信号から、目標である可能性の信号を識別するように設定されることを意味している。特定の集積値は、それが目標の可能性があることを示す閾値の側にある。用語「より大きい」は同じ仕方で読まれるべきである。従って、本発明は、最小のデータ操作を必要とし、目標検出を、小さく高速な移動目標であっても著しく支援することができる、簡単で高速な処理スキームを提供する。
【0023】
好適には、仮定された速度に従った他の走査における対応するデータ・ポイントを識別するためのベースとして使用される第1走査は、得られた最新の走査である。第1走査におけるどのデータ・ポイントが目標に対応するかを識別するので、識別が行われる場所は、最も最近に取得された走査であることが好ましい。メインのデータセットは、好適には、所定の数の前の走査からなるのが好ましい。本方法は、記憶内に保持される或る数の走査で、実時間で動作することができる。新しい走査が得られる場合、本方法は、格納されたデータおよび識別された(新しい走査中の)任意の目標の位置を使用して、それについて実行される。新しい走査が処理された後、それは、取得されるべき次の走査の処理のために使用されるために、記憶装置内に置かれる。
【0024】
集積データ値を発生するのに使用される走査の数が大きいほど、(直線目標運動を仮定すると)本方法はより正確になるが、計算負荷は、より大きくなる。都合の良いことに、使用される走査の数は3と20の間に、あるいは3と14の間にある。しかしながら、比較的速い走査時間を有するレーダーシステムは20を越える走査を使用する場合がある。
【0025】
速度仮定は、実際には、速度変化を仮定することができる。つまり、本方法は、目標の加速を仮定することができる。速度が本方法において言及される限り、加速は、速度を追加するのに使用することができる。明らかに、仮定された運動数が増加すると、計算上の負荷も増加する。本方法において使用される走査の数及び各走査の取得間の時間が、目標が移動した期間の或るウインドゥを定める。このウインドゥが比較的小さい場合、目標速度が著しく変化する尤度は、同様に低い。
【0026】
都合の良いことに、集積データ値は、閾値レベルと比較する前に、平均される。平均値は、使用されるデータ・ポイントの数を変更することを可能にするが、使用されている閾値レベルを変更する必要なく、速度仮定に従って集積することを可能にする。
【0027】
データが一度処理されると、閾値は、場面内の目標と反射妨害とを区別するために適用される。閾値は、使用される検出器によって受信される信号に影響を及ぼす多数の因子を考慮に入れる必要がある。誤り警報の確率のようなこれらの因子の幾つかは、事前に決定することができる。第1走査における各データ・ポイントは、異なる閾値レベルと関係することができ、即ち、場面の異なる部分は、それ自身の関連する閾値を有している。都合の良いことに、閾値レベルは、場面からの反射妨害信号のアレイから、具体的には、反射妨害信号に対する特定の統計モデルを仮定するメインのデータセットから計算される。都合良くは、ガンマ分布統計モデルが使用される。
【0028】
都合良くは、メインのデータセット内のデータ・ポイントを正規化する初期ステップを含む。
本方法は、識別される各目標毎に、目標と関連する仮定された速度の表示を提供することができる。説明された様に、多数の異なる仮定された速度は、第1走査内の各データ・ポイントに対して試みられる。これらの何れもが、閾値以上の場合、最大値が選択される。従って、本方法は、本質的に目標の位置だけでなくさらにその速度の指標も識別する。この情報は、目標のトラッキングを支援するために、トラッキングシステムに提供することができる。
【0029】
メインのデータセットは、レーダーシステムからのデータからなるのが有効な場合がある。各データ・ポイントは、当業者によって理解されるように、特定の範囲のセルに対して、ゲード制御された反射信号からなることができる。走査は、方位角方向のような異なる方向からの一連の読取からなることができ、各方向からの複数の範囲セルが含まれる。本方法は、簡単なレーダーシステムに使用することができ、実時間目標位置及び速度情報を比較的限られた処理で与える。
【0030】
データがレーダーシステムから来る場合、本方法は、ビーム内集積(WBI)ステップをデータに適用するのが好ましい。当業者に理解され得るように、WBIは、僅かに異なる方位角における一連の読取からの反射と、適当な重みを組み合わせる。ここで、ビーム幅は、読取が重なるようなものである。
【0031】
本発明は、コンピュータプログラムで実行することができ、本発明の別形態は、記述された方法を実行するようにプログラムされたコンピュータから成る。
本発明の別の形態において、場面の異なる部分からの信号を受信するための検出手段、場面の一連の走査からのデータを記憶する記憶手段、及び上述された方法を達成するために適応されたプロセッサ手段から成る目標検出用センサーが提供される。
【0032】
従って、センサーは、場面の一連の走査を捕えて、そのデータを記憶する。記憶されたデータは、次に、新たに取得された走査の処理に使用することができる。センサーは、レーダーアンテナから成り、センサーは、検出された目標の位置を表示するためのディスプレイを有することができる。追加的に又は代替的に、目標の位置及び速度は、トラッキング手段への出力とすることができる。
ここで、本発明が、図面を参照しつつ、実施例により説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
単純なレーダーシステムがRF放射パルスを放射し、アンテナはどんな返された信号も検出する。受信された信号は、異なる範囲、即ち範囲セルでの測定に対応する複数の異なる時刻に、反射信号を測定するように一般的にゲート制御される。アンテナもそれ自身走査され、例えば、アンテナは異なる方向からの反射を測定するために回転していることができる。完全な1つの走査が異なる方位角の方向あるいはセルに対応する複数のデータ信号を生成すると、個々の方位角の方向の信号は複数の範囲セルに対応する複数のデータ信号を含む。したがって、1つの任意の走査からの反射は、範囲及び方位角についてのデータの2次元アレイになる。
【0034】
場面の目標の存在は、特定の範囲内に反射信号を生成し、目標が位置する特定の範囲および方位角セルの中で反射信号を作成する。しかしながら、場面における反射妨害および一般的な雑音は、目標反射信号を不明瞭にする。例えば、海洋環境において、海面反射妨害は、目標検出の信頼性を低下する。
【0035】
本発明は、幾つかの走査データを使用して、目標検出を改善する方法を提供する。図1は、本方法の原理を図示するフローチャートを示す。
一般に2で示したレーダーシステムからのデータは、方位角、北マーカーおよびGPS情報の様な追加的情報をヘッダーおよびフッターに含んでいる特別のブロック構造4に格納される。
データは、メディアン・フィルタによって、事前処理され、受信された信号を規格化する。
【0036】
規格化されたデータは次に、ビーム内集積(WBI)ステップ8で処理される。WBIは、信号の反射を改善するための既知の技術である。レーダーシステムが或るビーム幅を持つことは当業者によって理解されるであろう。典型的に、1つの方位角でレーダーシステムによって受け取られた信号は、測定された次の方位角で受け取られた信号と重なるであろう。その後、一連の方位角に対して同じ範囲で受信された信号は、適当な重付けを有して、ビーム内で集積されて、より良い信号対雑音比を有する集積信号を与えることができる。
【0037】
WBI処理されたデータは、次にサンプルされ、パルスの数を管理可能な量に減少する。WBI集積パルスは、一般的にビーム幅よりも十分に狭い方位角で分離されるので、それらパルスは、例えば、5パルス毎に、サンプルすることができる。典型的には、ある程度の重なり、おそらくはビーム幅の1/4が、許容され、目標が2つのパルス間の中間に存在することを可能にする。
【0038】
検出前トラック(TDB)ルーチン10が次にデータに適用される。TBDルーチンは、一連の走査中の同じ方位角および範囲セルからの信号を集積する。目標からの反射が反射妨害からの信号より持続性を有しているので、TBDルーチンは目標検出を改善する。
しかしながら、目標が移動している場合、目標は、一連の走査間で、範囲あるいは方位角か、両方を変更する場合がある。したがって、TBDルーチンは幾つかの可能な目標速度を仮定し、以下に説明される様にデータを結合する。
【0039】
TBDルーチンの後、データは閾値処理12される。TBDルーチンがガウス、レーリーおよびガンマ型を含む様々な分布を有するランダム雑音に適用される場合、出力は、一般化されたガンマ分布によって近似された傾斜(非対称)分布である。分布のパラメーターを評価するために、統計ウィンドウは全体のイメージ上で移動され、そのウィンドウについて、平均、標準偏差およびフィッシャーの非対称度が測定される。所定のフォールス・アラーム確率(PFA)に対して、閾値は、各範囲および方位角セルに対して設定することができる。これは、逐次スキームを介して行なうことができ、所定の非対称及びPFAに対する閾値を計算する逆ガンマ関数を近似する。すべての有用な非対称性およびPFAに対する閾値の一般的な値は、実時間利用のために参照テーブル14に格納される。その後、平均及び標準偏差はこの一般的な閾値を取り扱っている特定の場合に対するものに変換するために使用される。もし目標が正確に検出されていれば、それらは閾値以上に現われ、背景反射妨害は退けられる。
【0040】
検出された目標の位置は、ディスプレイ16に送ることができる。
検出前トラックルーチン10は、適切な仕方で、一連の走査からのデータを組合せ、目標の運動の影響を効果的に除去する。第1段階は、適当な運動に対するデータセットを形成することにある。図2は、特定の方位角での一連の走査で得られる範囲データから形成された、アレイ又はメインのデータを示す。
【0041】
TBDルーチンの第1段階は、既知の目標に対する特定の速度を仮定し、仮定された速度に対応するようにデータをシフトすることである。速度仮定がその時選ばれ、前の逐次計算で計算された速度あるいは必要とされる目標の特定の形態の様な他の情報に基づくことができる。あるいは、速度仮定情報が事前に決定され、参照テーブルに格納することができる。
【0042】
目標が範囲中で移動している場合、データをシフトしただけでも、範囲内での一連のデータ走査のシフトを有効に含む。図3は、範囲シフトが適用された後の、幾つかのプロフィールを示す。
図3aは、毎秒-2範囲セル(r/s)の仮定された放射方向速度を示す。図3bは、仮定された速度が無いことを示している(従って、摂動されていないデータセットである)、および図3cは、+2r/sの仮定された速度に対するプロフィールを示す。
仮定された速度に従ってデータセットをシフトすることによって、基礎の走査(現在の走査)におけるデータ・ポイントに(その速度で)対応する他の走査におけるデータ・ポイントが、識別され且つ整合される。
【0043】
以上は目標に対して放射方向速度成分だけを仮定する。いくつかの状況では、目標への実際の距離は、目標が方位角方向で認めうる程度に移動しなく、範囲ついての移動のみが、考慮する必要のある移動である様なものである。この場合、速度仮定は、範囲軸に沿って一連の走査に対応するデータをシフトすることによって適応することができることは理解されるであろう。しかしながら、方位角方向の運動も考慮することができる。この場合、仮定されたプロフィールは、他の方位角からの信号を含む複合データセットである。
【0044】
次に、各仮定は、多数の走査に渡って平均される。仮定された速度がそのとき真の目標速度と等しければ、目標からのエネルギーのすべてが、最新の目標位置に対応する範囲セルに現われるであろう。仮定された速度がそのとき真の目標速度と等しくなければ、そのエネルギーは幾つかの範囲セルに渡って印を付けるであろう。
図4は、範囲の関数として3つの仮定された速度に対するエネルギー・プロットを示す。図4aが1個の範囲セルの中に全てのエネルギーが集中する単一のピークを有し、図4bおよび4cが一連の範囲セル中のエネルギーを示していることが分かる。
【0045】
典型的に、システムに依存して、3〜14、あるいは、可能性として20走査が平均されるが、その数はシステムに依存して変化する場合がある。より多くの走査を使用すると、処理負荷が増加し、目標の動力学、即ち、速度が変化する尤度を増加する。高速走査レーダーシステムを、より多くの走査を考慮して、使用することができる。
【0046】
すべての速度仮定からの範囲プロフィールを平均したものが、図5で示されるような範囲-速度エリア(シフトマトリックス)としてプロットすることができる。その後、各範囲セルについて、最大値、およびその最大値を引き起こした速度仮定が決定される。しかしながら、最も明るい目標に対する範囲プロフィールを示す図6から見ることができるように、最も明るい目標をシフトする影響は、他の近くの範囲セル内でも依然として見られ、ゴーストと呼ばれる。目標速度の正しくない仮定から発生するこの拡散効果は、他の範囲セル内により大きな望まれない背景を生じる。
【0047】
従って、この効果を弱めるために、最も明るい目標が識別されると、それはシフトマトリックスから取り除かれる、つまり、最も明るい目標に対応するデータ・ポイントはシフトマトリックスを計算する際に削除される。したがって、新しく作成されたシフトマトリックスは、他の目標からの反射を有するだけである。これは一連の目標に対して、目標が無くなるまで、行われ、真の最大値が得られることを可能にする。
【0048】
代替的に、走査又は走査における或る範囲セルにおいて最大とおぼしき数の目標を探索することができ、処理は、目標の数に到達するか、又は次に最も明るい目標が閾値以下になる時に、停止される。
最も明るい目標を有する範囲プロフィールが、図7で示される。最も明るい目標の削除は、周囲の範囲セルに対する影響を弱める。図8は他のセルに対する範囲が、最も明るい目標が除去されたマトリックスから得られる場合の範囲プロフィールを示す。ピークのまわりの肩が縮小したことが理解できる。したがって、閾値が適用される時、実際の目標に対応するピークだけが閾値以上にあり、閾値として識別される。
【0049】
図9が、異なるスタート範囲および速度を有する同じ方位角の2つの目標に対して形成されたシフトマトリックスを示す。図9aは、全てのデータを使用して形成されたシフトマトリックスを示す。図9bは、シフトマトリックスから最初の目標を取り除いた後の結果を示し、図9cは、両方の目標が削除された、残りのシフトマトリックスを示す。シフトマトリックスから連続的に目標を取り除いて目標を見つけることの利点が、図10で示される最終の範囲プロフィールの中で示されている。図10aは、目標削除前の範囲プロフィール、図10bは、削除の後の状況を示す。この技術は、特別の状況に対して予期される最大値までの目標の任意の数に対して使用することができる。
【0050】
本発明に従った方法は、簡単なレーダーシステムで作動することができる検出スキームを提供し、目標検出を改善する。本方法は非ガウス雑音に対処することができ、また、したがって、閾値はより正確である。本スキームは大きなデータセットに対して実時間で実行することができ、コヒーレントでないレーダーに対処することができる。この方法は、本質的に、目標速度の表示を与える。
【0051】
本スキームは、海洋監視用の特定用途を持っている。沿岸の水域で作動する快速ボートのような小型ボートは、海面および地面反射妨害により検出することが現在困難である。本発明は検出を改善し、沿岸警備に使用することができる。しかしながら、当業者が気付くように、本方法は、他のレーダーシステム、例えば位相アレイレーダーで使用することができ、またレーダー以外のセンサーで使用することができる。
【0052】
例えば、ライダー(Lidar)システム(光検出および測距装置)は容易にこの方法を使用することができる。実際、データセットは、一次元または二次元であって、走査されるかまたは走査されないイメージングアレイか音響アレイの出力であり得る。イメージングアレイでは、フレーム時間は走査を表わし、また、アレイ中の各要素の出力はデータ・ポイントを構成する。基礎走査中のデータ・ポイントが目標を表わすことを仮定し、可能性のある目標速度を仮定し、閾値を適用する時よりも適当に前の時の他の走査からのデータを組み合わせれば、基本的方法は同じになるであろう。
【0053】
本方法は、図11で示されるレーダー装置を使用して極めて簡単に実施することができる。一般に2で示されたレーダーは、走査アンテナ22に接続され、方位角エンコーダを含む送信機/受信機20を含む。レーダーシステムの出力は、アナログ・ディジタル変換器(ADC)を含むパーソナルコンピュータ(PC)26用のレーダー・インターフェース・カード24に接続される。レーダーデータは、特別のブロック構造で格納され、本方法に従ってPCによって処理される。プロセッサからの出力は、任意の従来のレーダーディスプレイ28に出力することができる。
【0054】
上述された様に、範囲内の仮定された運動の影響は、範囲軸に対する一連の走査で得られるデータを単純にシフトすることによって決めることができる。これは、コンピュータ、特にデジタル処理で達成することは極めて簡単である。二次元での運動の影響も、容易に仮定することができる。データが、場面のx-y視野に対応している場合、運動は、x及びy両方向でデータをシフトし、異なる速度を仮定することにより、仮定することができる。異なる範囲及び方位角セルからデータを取得するレーダーシステムに対して、範囲及び/又は方位角での運動を考慮することができる。データが、二次元x-y形態のデータアレイに記憶される場合、場面内の直線運動が、異なる座標系による、データセルを介しての目標の直線進行に変換する必要はないことが理解されるであろう。起こり得る運動を推定するために一連の走査に加えられるデータシフトは、運動を推定する時に、この事実を考慮することができる。代替的に、取得されたデータが、極座標系からx−yデータ記憶への座標変換を受けて、データの線形シフトを起こり得る運動を推定することを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】レーダーシステムに適用された本発明の方法のステップを示す。
【図2】複数の走査からの特別の方向の異なる範囲のセルでの反射を有するレーダーデータアレイを示す。
【図3】或る速度仮定を適用するためにシフトされた図2のレーダーデータアレイを示す。
【図4】図3で示されるシフトマトリックスに対する平均された範囲プロフィールを示す。
【図5】幾つかの速度仮定に対して平均された範囲プロフィールを示す。
【図6】図5の範囲速度エリアで最も明るい目標に対する範囲プロフィールを示す。
【図7】削除される最も明るい目標に対応するポイントを有しての、幾つかの速度仮定に対して平均された範囲プロフィールを示す。
【図8】最も明るい目標の影響がシフトマトリックから除去された時の最も明るい目標に対する範囲プロフィールを示す。
【図9】2つの目標を有する場面に対するレーダーデータアレイシフトマトリックスを示す。
【図10】目標が削除される前および削除の後の平均範囲プロフィールを示す。
【図11】レーダーシステム上で本発明を実施するための装置の概略を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
場面からデータ内の目標を検出する方法であり;
i) 場面の一連の走査を含み、各走査が、場面の異なる部分に対応する複数のデータ・ポイントを含む、メインのデータセットを取得するステップ、
ii) 第1走査を行い、第1走査の各々のデータ・ポイント毎に、所定数の仮定された目標速度における集積データ値を計算し、集積データ値の各々が、第1走査におけるデータ・ポイント及び仮定された目標速度で移動する目標に対応する他の走査におけるデータ・ポイントを使用して、計算されるステップ、
iii) 最大集積データ値を識別し、最大集積データ値に寄与したデータ・ポイントを除去した残りの集積データ値を再度計算するステップ、
iv) 集積データ値の何れかが閾値以上であるか否かを、第1走査における各データ・ポイント毎に、識別するステップ、且つ
v) 閾値以上の集積データ値を目標の指標として使用するステップ、から成る方法。
【請求項2】
第1走査が、取得された最新の走査である請求項1記載の方法。
【請求項3】
メインのデータセットが3乃至20回の走査からのデータを含む請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
集積データ値は、閾値レベルと比較する以前に、平均される請求項1乃至3何れかに記載の方法。
【請求項5】
最大集積データ値を識別する前記ステップ及び集積データ値を再度計算するステップが、閾値以上の集積データが無くなるまで、逐次的に達成される請求項1乃至4何れかに記載の方法。
【請求項6】
閾値レベルが、第1走査で各データ・ポイント毎に独立して計算される請求項1乃至5何れかに記載の方法。
【請求項7】
閾値は、メインのデータセットに適用された逆ガンマ分布に基づく請求項6記載の方法。
【請求項8】
メインのデータセット中のデータ・ポイントを正規化する初期ステップをさらに含む請求項1乃至7何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、識別された各目標毎に、目標と関連する仮定された速度の指標を与える請求項1乃至8記載の方法。
【請求項10】
メインのデータセットがレーダーシステムからのデータを含む請求項1乃至9記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(i)に先立って、ビーム内集積ステップが達成される請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載される方法を達成するためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れかに記載される方法を達成するようにプログラムされたコンピューター。
【請求項14】
場面の異なる部分から信号を受信するための検出手段、
場面の一連の走査からのデータを記憶するための記憶手段、及び
請求項1乃至13に従う方法を達成するように適合された処理手段を含む目標検出センサー。
【請求項15】
前記センサーがレーダー・アンテナである請求項14記載のセンサー。
【請求項16】
前記センサーが、識別された目標を表示するためのディスプレイを含む請求項14または15記載のセンサー。
【請求項17】
前記センサーが、トラッキング手段を含み、処理手段が、目標の位置及び速度の指標をトラッキング手段に出力する請求項14乃至16何れか記載のセンサー。
【請求項1】
場面からデータ内の目標を検出する方法であり;
i) 場面の一連の走査を含み、各走査が、場面の異なる部分に対応する複数のデータ・ポイントを含む、メインのデータセットを取得するステップ、
ii) 第1走査を行い、第1走査の各々のデータ・ポイント毎に、所定数の仮定された目標速度における集積データ値を計算し、集積データ値の各々が、第1走査におけるデータ・ポイント及び仮定された目標速度で移動する目標に対応する他の走査におけるデータ・ポイントを使用して、計算されるステップ、
iii) 最大集積データ値を識別し、最大集積データ値に寄与したデータ・ポイントを除去した残りの集積データ値を再度計算するステップ、
iv) 集積データ値の何れかが閾値以上であるか否かを、第1走査における各データ・ポイント毎に、識別するステップ、且つ
v) 閾値以上の集積データ値を目標の指標として使用するステップ、から成る方法。
【請求項2】
第1走査が、取得された最新の走査である請求項1記載の方法。
【請求項3】
メインのデータセットが3乃至20回の走査からのデータを含む請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
集積データ値は、閾値レベルと比較する以前に、平均される請求項1乃至3何れかに記載の方法。
【請求項5】
最大集積データ値を識別する前記ステップ及び集積データ値を再度計算するステップが、閾値以上の集積データが無くなるまで、逐次的に達成される請求項1乃至4何れかに記載の方法。
【請求項6】
閾値レベルが、第1走査で各データ・ポイント毎に独立して計算される請求項1乃至5何れかに記載の方法。
【請求項7】
閾値は、メインのデータセットに適用された逆ガンマ分布に基づく請求項6記載の方法。
【請求項8】
メインのデータセット中のデータ・ポイントを正規化する初期ステップをさらに含む請求項1乃至7何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、識別された各目標毎に、目標と関連する仮定された速度の指標を与える請求項1乃至8記載の方法。
【請求項10】
メインのデータセットがレーダーシステムからのデータを含む請求項1乃至9記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(i)に先立って、ビーム内集積ステップが達成される請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載される方法を達成するためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れかに記載される方法を達成するようにプログラムされたコンピューター。
【請求項14】
場面の異なる部分から信号を受信するための検出手段、
場面の一連の走査からのデータを記憶するための記憶手段、及び
請求項1乃至13に従う方法を達成するように適合された処理手段を含む目標検出センサー。
【請求項15】
前記センサーがレーダー・アンテナである請求項14記載のセンサー。
【請求項16】
前記センサーが、識別された目標を表示するためのディスプレイを含む請求項14または15記載のセンサー。
【請求項17】
前記センサーが、トラッキング手段を含み、処理手段が、目標の位置及び速度の指標をトラッキング手段に出力する請求項14乃至16何れか記載のセンサー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−516728(P2006−516728A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502197(P2006−502197)
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000302
【国際公開番号】WO2004/068163
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501297550)キネティック リミテッド (57)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000302
【国際公開番号】WO2004/068163
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501297550)キネティック リミテッド (57)
【Fターム(参考)】
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