説明

目標部位を治療するための空隙付き多層器具および関連する方法

本発明の実施例により、体内の目標部位を治療するための医療器具と方法が提供される。例えば、医療器具は、外層内に配置された内層を含む多層構成体を含み、内層と外層の各々が、それぞれ内表面と外表面を有している。多層構成体には、更に内層と外層の間に配置されるか、または内層および/または外層に形成された少なくとも1オフセットが含まれることで、両層間に少なくとも1空隙が画成され、その結果、内層の外表面の大部分が外層の内表面から間隔をおいて位置せしめられる。前記多層構成体は、内腔内に留置されるように構成されており、このため、外層の少なくとも一部が内腔に接触するように構成され、かつまた少なくとも1空隙が内層と外層間に血栓形成を促進するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具に関わり、特に、例えば血管異常等の体内目標部位を治療するための器具であって、より効果的に目標部位を治療するために、複数層と複数層間の1つ以上の空隙とを含む形式のものに関わる。
【背景技術】
【0002】
大動脈瘤は、大動脈の、すなわち心臓から他の身体部分へ血液を送る主要な血管の弱い部位である。普通見られる動脈瘤は、動脈硬化によって生じることのある腹大動脈瘤(“AAA”)である。血液が大動脈を流れるさい、弱い血管壁は時間と共に薄くなり、風船のように膨らみ、血管壁が薄くなり過ぎると、場合により破れることがある。最も普通に見られるのは、腎動脈の始端下方の血管部分に生じる大動脈瘤である。動脈瘤は、殿部や腎盂に血液を供給する、腸骨動脈を含む血管に生じることがある。
【0003】
血管外科医は、大動脈瘤を修復する外科手術を行うより、むしろ細長いカテーテルを用いて大動脈瘤部位に血管内ステント・グラフトを送達し、留置する。ステント・グラフトは、血管に関わる種々の異常に使用できるが、最も普通に使用されるのは大動脈瘤の除去のためである。ステント・グラフトは、大動脈瘤を架橋する位置に送入され、その位置に留置され、その部位の大動脈のほぼ正常な直径まで拡径される。時間と共に、ステント・グラフトは内皮化し、ステント・グラフト外壁と大動脈瘤との間の空隙は、最終的には凝固した血液で充填され、それによって大動脈瘤の更なる成長が阻止される。これは、ステント・グラフトが大動脈瘤をバイパス(除外)して、内腔の弱い部分に加わる組織圧および血流を阻止するからである。
【0004】
大動脈瘤が他の血管分枝に対してどの位置にあるかに応じて、異なる種々の治療設計が必要になる。例えば、AAAの治療の場合、ステント・グラフトは、腹大動脈から分かれる腎動脈を通る血液を遮断しないように配置すべきである。加えて、ステント・グラフトは、移動しないように内腔に固定すべきで、例えば内皮化を促進したり、内腔に定着するようにする。ステント周囲を血液が流れる結果、ステント外への血液漏出(endoleaks)が起こり、動脈瘤の部位を更に弱くすることがある。
多層遮断子やステント・グラフト等の医療器具は、また動脈瘤等の血管異常部位の遮断または除去のために開発された。例えば、これらの医療器具には複数層の材料を有する多層器具が含まれており、これらの複数層が、同軸線的に配置され、事実上、血流を緩慢にして血栓形成を生じ易くするように構成される。その場合の考え方は、多層器具を使用することにより、より大きい表面積を得ることで、単層器具に比較して凝血が促進され、かつ単層器具にしばしば含まれるポリエステル織物等の付加材料が不要になるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血管異常を除去するこれらの改善点にもかかわらず、種々の目標部位をより効果的に治療できる多層器具が必要とされている。更に、目標部位に容易に送達でき、適切に固定できる医療器具が必要とされる。加えて、脈管系に与える外傷がより小さくなるように目標部位に送達でき、かつアクセスがより困難な組織に生じる種々の異常の予防処置に使用できる医療器具が必要とされている。更に加えて、動脈瘤その他の血管異常部位の遮断および/または除去のために、血栓形成を促進する医療器具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、従来技術対する改良策を提供し、とりわけ、体内の目標部位を治療するための医療器具と方法を提供する。例えば、一実施例では、目標部位を治療する医療器具(例えばステント・グラフト)が提供されるが、該医療器具には外層内に配置された内層を含む多層構成体が含まれる。これらの複数層が、少なくとも1つのオフセットにより隣接表面積の大部分にわたり互いに間隔をおいて配置されることで、内層と外層との間に少なくとも1つの空隙が画成される。この多層構成体は、内腔内に留置されて、外層の少なくとも一部が内腔に接触し、かつ少なくとも一空隙が、内層と外層との間で血栓形成を促進するように構成される。この多層構成体は、ヒートセットされた拡張形状を有することができるが、この拡張形状より小直径に強制的に縮径したカテーテル内に挿入し、送達されるように構成できる。一実施例によれば、この多層構成体は、動脈瘤の上流と下流とで内腔に接触するように構成される。また、この多層構成体はチューブ状の構成にすることができよう。
【0007】
この医療器具の種々の態様によれば、内層および外層が、遮断材料または複数層の編組ストランド(例えば弾性的な合金)を含んでいる。内層は外層内に同軸線的に配置される。多層構成体の近位端と遠位端との間には、複数の空隙が画成される。更に、少なくとも1オフセットは、例えば、収縮可能なチューブまたは環状リング等のスペーサでよい。また、この少なくとも1オフセットは、一方または両方の層の表面に形成される表面変形部でよく、それにより隣接層の表面積のかなりの部分に間隔が設けられる。例えばこの表面変形部は、内層の外表面または外層の内表面に形成される波形または溝または隆起部でよい。この医療器具の付加的態様は、内層と外層との間に複数オフセットを有する多層構成体を含んでいる。これらの複数オフセットは、内層および/または外層に形成される複数表面変形部を有し、その場合、内層が外層内に、重なる形で配置され、両層間に複数空隙が形成される。
【0008】
本発明の付加的実施例では、内腔内の血管異常の治療方法が提供される。この方法は、カテーテル内に医療器具を配置する作業を含んでおり、その場合、医療器具には、内層および外層と少なくとも1オフセットとを含む多層構成体が含まれ、該オフセットは、内側層と外側層との間に配置されるか、内層および/または外層に形成されるかすることにより、内層と外層とが、隣接表面積の大部分にわたって互いから間隔をおいて位置せしめられ、両層間に少なくとも1空隙が画成される。この方法は、更に、内腔内の血管異常の直近に医療器具を送達し、留置する作業を含み、それにより外層の少なくとも一部が内腔に接触するように構成され、かつまた前記少なくとも1空隙が、内層と外層との間に血栓形成を促進するように構成される。
【0009】
この方法の変化形には、医療器具が動脈瘤の上流と下流の内腔に接触するように、医療器具を留置する作業が含まれる。この位置決め段階は、医療器具を、ヒートセットされた拡張形状よりも例えば伸長させて強制的に縮径させる作業を含んでいる。留置段階は、医療器具が、強制縮径状態から解放され自己拡径し、ヒートセットされた拡張形状に復元されるように、医療器具を留置する作業を含んでいる。加えて、留置段階は、内腔内に外層を留置し、次いで外層内に内層を留置する作業を含んでいる。この位置決め段階は、内層と外層とが軸線方向に互いに整線するように、カテーテル内に医療器具を位置づける作業を含んでいる。
以上本発明を一般的な用語で説明したが、以下では添付図面を参照して説明する。図面は、必ずしも尺度通りには描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例によるステント・グラフトの側断面図。
【図2】本発明の付加実施例による複数オフセットを有するステント・グラフトの側断面図。
【図3】本発明の一実施例による複数オフセットを有するステント・グラフトの斜視図。
【図4】本発明の付加実施例による複数オフセットを有するステント・グラフトの側断面図。
【図5】本発明の一実施例による複数オフセットを有するステント・グラフトの端面図。
【図6】本発明の一実施例によるステント・グラフトの側断面図。
【図7】本発明の付加実施例による複数溝または隆起部を有するステント・グラフトの側断面図。
【図8】本発明の付加実施例による複数溝または隆起部を有するステント・グラフトの側断面図。
【図9】本発明の付加実施例による複数溝または隆起部を有するステント・グラフトの側断面図。
【図10】本発明の一実施例による波形内層を有するステント・グラフトの側断面図。
【図11】本発明の一実施例による複数の長手方向オフセットを有するステント・グラフトの端面図。
【図12】本発明の別の実施例による複数長手方向オフセットを有するステント・グラフトの端面図。
【図13】本発明の一実施例による複数オフセットを画成する折り返し部を有する端部グラフトの部分断面図。
【図14】本発明の別の実施例によるオフセットを画成するために折り返された一端を有するグラフトの部分断面図。
【図15】本発明の一実施例によるステント・グラフトの送達システムの側面図。
【図16】本発明の一実施例によるステント・グラフトの送達システムの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で、添付図面を参照して本発明をより十分に説明する。図面には、本発明の実施例の幾つかが示されているのみで、すべては示されていない。実際には、本発明は多くの異なる形式で具体化でき、ここに示した実施例に限定されると考えるべきではない。むしろ、ここに示した実施例は、本明細書による開示が、適用される法的要求を満足させることを示すべく提示されたものである。すべての図面を通して等しい部材には等しい符号が付されている。
【0012】
本発明の実施例では、体内の目標部位の治療に使用する医療器具、例えば動脈瘤を含む種々の血管異常を排除するためのステント・グラフトが提供される。この医療器具は、また遮断子、流量制限器またはシャント、フィルタその他の種類の血管系内配置用の器具、同じく血管内腔の内張り用のグラフト等々としても使用できる。「目標部位」という用語は制限的意味で用いられていないことを理解されたい。なぜなら、この医療器具は、例えば体内のどこかに存在するどのような目標部位でも、例えばそれが何らかの異常部位であれば、血管・脈管・輸送管、器官、開口、室・房、経路・通路・溝、穴、腔・空洞のどこであっても治療するように構成されているからである。例えば、この異常には、生来の内腔の形状または機能を冒すどのような異常も含まれ、例えば動脈瘤、病変部、血管の解離、流れの異常、腫瘍等も含まれる。更に、「内腔」という用語も、また制限的意味のものではない。なぜなら、この異常は、血管系の種々の個所、例えば血管、動脈、静脈、通路、器官、腔・空洞、付属器等に存在し得るからである。
【0013】
以下で更に詳細に説明する通り、本発明の一実施例による医療器具は、目標部位を治療するためのステント・グラフト等の医療器具を含んでおり、しかも、該ステント・グラフトは、内層と外層とを有する多層構成体を含んでいる。内層と外層との間に少なくとも1オフセットが設けるか、内層および/または外層の表面の一部に半径方向に突出する変形部を設けることで、隣接層表面の大部分にわたり両層の間に少なくとも1空隙が画成される。この少なくとも1つの空隙は、空隙内や空隙周囲に乱流を生じさせて、両層間での血栓形成を促進させるように構成され、それにより空隙内での血栓の生成や集積が容易になることで、更に内腔が遮断または除外され、動脈瘤内への血流が事実上または完全に阻止されるが、血管を通る血流は維持される。
【0014】
本発明の医療器具を形成するため一実施例によれば、該器具は、予め決められた相対配向を有する複数ワイヤストランドにより形成された編組物を含んでいる。加えて、該器具は、編組物または遮断材料の1つ以上の層を含み、それにより該器具は、通過する血流を少なくとも部分的に阻止可能な種々の遮断材料とすることができ、それにより該器具周囲での血栓形成および内皮化が容易になる。各層は、金属材料、ポリマー材料、これらの材料の組み合わせのいずれかでよい。
ここで言う「ストランド」という用語は限定的な意味のものではない。なぜなら、編組物は、1本以上のワイヤ、コード、繊維、紡績糸(yarn)、フィラメント、ケーブル、撚り糸(thread)等を含み、したがって、これらの用語が交互に使用されるからである。
【0015】
この医療器具は、1つ以上の遮断材料層を含み、しかも、各層が、血栓形成を容易にするように、血流を事実上阻止または遮断するように構成された何らかの材料から成っている。ここで用いた「血流を事実上阻止または遮断する」という用語は、機能上、血流が短時間生じるが、遮断材料への身体の凝固機序または蛋白その他の身体沈着物の付着の結果、この短時間の血流発生後に、血流の遮断または停止が生じることを意味する。例えば、遮断は、臨床的には、器具上流の内腔内への造影剤注入により示され、予め定めた時間後に、器具壁を通して造影剤が僅かに流れるか、または全く流れない場合には、器具の位置および遮断は適切であり、このことは、通常の熟練した技術によって認めることができる。
ここで用いる「近位」という用語は、操作者に最も近い(体内へはあまり進入していない)位置を意味し、「遠位」とは操作者から最も遠い(体内の奥へ進入している)位置を意味する。下流のアクセス点から医療器具の位置決めを行う場合、遠位は、アクセス点より上流、近位は、アクセス点より下流となる
【0016】
一実施例によれば、遮断材料は金属編組物であり、複数のストランド、例えば実質的に平行な概して螺旋状のストランドを2組含み、一方の組のストランドは、一方の「方向」を有し、つまり他方の組の回転方向とは逆の回転方向を有している。ストランドは組成、編成、そのほか組合わせで作られた概してチューブ状の編組物である。
ストランドのピッチ(ストランドの巻きと編組物の軸線とのなす角度)と、編組物のピック(つまり単位長さ当たりのワイヤストランドの交差の数)とは、具体的な用途に望ましいように調節できる。本発明の方法の一実施例で用いられる金属編組物のワイヤストランドの材料は、弾性的であると同時に、目標形状に事実上セットされるように熱処理できる。ワイヤストランドに適した材料選択の一要因は、ワイヤが、予め定めた熱処理を受け、かなりの変形後に成形形状に弾性的に複元するさい、成形表面(後述する)により誘起される適当量の変形が維持されることである。
【0017】
これらの条件づけにかなう一組の材料は、いわゆる形状記憶合金である。本発明の方法に使用するのに特に好適な形状記憶合金は、ニチノールである。NiTi合金は、極めて弾性的でもあり、「超弾性的」または「擬弾性的」と呼ばれる。この弾性により、器具は、送入カテーテルを変形状態で通過した後に、留置用の予めセットされた拡張形状に復元できる。また、器具は、ニチノール以外の、弾性特性を有する種々の材料および材料の組み合わせ、例えば、ばねステンレス鋼、合金、例えばエルジロイ(Elgiloy)(登録商標),ハステロイ(Hastelloy)(登録商標),CoCrNi合金(例えば商標名フィノックス),MP35N(登録商標),CoCrMo合金、ポリマー材料を含むことができる。選択された個別の材料に応じて、ワイヤストランドの直径と数、ピッチを変えることで、器具の所期の特性を達成できる。加えて、その他の適当な材料には、磁気共鳴画像法(MRI)に適合する材料が含まれるが、MRIの実施の結果、トルクまたは熱を発生する材料もあれば、MRIの画像を歪める材料もある。したがって、MRIを用いる結果生じ得るこれらの問題点を減少または阻止できる金属および/または非金属の材料を使用する。
【0018】
本発明の一実施例による医療器具を構成するには、編組物の適当な寸法の一片を、より大きな編組物からカットする。このより大きい編組物は、例えばワイヤストランドを編組加工して作った長いチューブ状の編組物でよい。この編組物を目標寸法にカットするさい、編組物がほぐれないように注意せねばならない。そのためには、目標長さの端部は、ヒートセット、はんだ付け、ろう付け、溶接、コーティング、接着、クランプ、結着、その他の仕方で固着させることができる。一実施例によれば器具の各層は、形状記憶合金製、例えばニチノール製の直径約0.00254〜0.01524cm(0.001〜0.006in.)のワイヤストランド36〜144本を含み、これらのワイヤストランドが、約0.0009676〜0.09676cm(0.00015〜0.015in)の面積の開口部が画成されるように編組され、該開口部は、器具壁を血流がゆっくり通過し、かつ開口部に血栓が容易に形成されるのに十分な小ささである。内側と外側の編組層のピッチ角度は、所期の収縮および拡張特性、例えば一様な全長の維持等を得るのにほぼふさわしいピッチ角度である。
【0019】
金属編組物の適宜の寸法片が得られると、その編組片は、成形部材の表面に概して合致するように変形される。編組片の変形により、金属編組物の複数ワイヤストランドの相対位置が、それらの初期位置から、第2の再配向位置へ再編される。成形部材の形状は、拘束を解かれた時に編組物が医療器具の事実上目標形状に復元されるように選択される。成形部材が、その成形表面に合致するように金属編組片を組み付けられると、編組片は熱処理を加えられ、その間、成形表面に接触したままにされる。熱処理が終わると、編組片は、成形部材から解離され、ヒートセットされた変形形状に事実上保持される。図示の実施例を参照して更に詳しく後述するが、医療器具は、体内の種々の部位に適合するように、異なる形状に成形し、ヒートセットすることができる。
【0020】
当業者には理解されようが、血管の遮断または動脈瘤の除去を迅速にするために、医療器具を適当な血栓形成作用物質でコーティングするか、ポリエステル・ファイバーまたはポリエステル織物で充填するか、ワイヤストランド数を増して編組することができる。
医療器具が予め定めた形状に成形されると、患者の生理学的異常を治療するのに使用できる。医療器具は、異常の治療に適したものが選択されるが、それは、事実上、以下に概説する実施例の一つによる器具である。適切な医療器具が選択されると、カテーテルその他の適切な送入用具が、患者の体内の通路に内挿され、目標治療部位に隣接して、例えば動脈瘤の直近に、送入用具の遠位端が位置決めされる。
【0021】
医療器具は、縮径形状に拘束して、カテーテルの内腔内へ挿入できる。医療器具の収縮形状は、医療器具がカテーテルの内腔を容易に通過してカテーテルの遠位端から送出され適正に留置されるのに適した形状である。例えば、医療器具は、比較的細長い収縮形状を有し、その場合、医療器具は軸線方向に延伸する。この収縮形状は、例えば医療器具の両端を手でつまんで引き離し、器具を概して軸線方向に延伸させることで簡単に達せられるが、その場合、器具の拡径部分が器具の軸線へ向かって内方へ縮径する。この点で、該医療器具は、軸線方向に引っ張ることで直径が収縮する「中国風指捕り具」(Chinese handcuffs)に似ていなくもない。
【0022】
患者の体内の動脈瘤永久的に除去するのに使用する場合は、例えば、送入カテーテルを簡単に引き出せる一方、医療器具の位置は保持でき、器具が留置された後、留置用具とカテーテルが外され、患者の体内から取り出される。これにより、患者の血管系内に医療器具が留置されたままとなり、その結果、動脈瘤が除去できる。事情によって、医療器具は、送入用具端部に医療器具を固定する形式の送入システムに付加取り付けすることもできる。このようなシステムの場合、カテーテルを取り出す前に送入用具から医療器具を取り外し、その後でカテーテルと送入用具とを取り出さねばならない。医療器具を送入用具に取り付けたままにすることによって、操作者は、医療器具が適正に位置決めされていないことが検出された場合、異常な開口に対して再位置決めするために器具を引っ込めることができる。医療器具に取り付けられる送入用具の場合、操作者は、医療器具を留置する作業をカテーテル遠位端で制御できる。
【0023】
医療器具は、当初の拡張形状、つまりカテーテルを通すために収縮させる前の形状に弾性的に復元する傾向を有するが、常に完全に当初の形状に戻ることはできない点は理解されたい。例えば、器具の拡張状態での最大外径は、留置が必要な開口の内径と少なくとも等しいか、好ましくはより大きいことが望ましい。例えば、器具の外径は開口内径より約10〜30%大きくすることができる。このような器具が、小さい内腔を有する血管または異常な開口の内部に留置される場合、内腔に接触することで、器具が拡張形状に完全に戻ることが妨げられる。それにもかかわらず、器具が適切に留置されると思われるのは、器具が内腔内壁に接触し、そこに座着し保持されるだろうからである。
【0024】
医療器具が患者の体内に留置されると、血栓がストランド表面に集積しやすくなろう。本発明の多層構造により、ストランド密度が高く、かつストランド間の通過流量が少ないために、ストランドの全表面積と流れ抵抗とが増大して、器具の血栓形成活動が高まり、かつ器具の留置された血管を通る血流の比較的急速な制限または短絡が可能になり、あるいはまた、グラフトの場合には、ステント・グラフト壁を遮断することで、動脈瘤は除去されるが血管は閉塞されない。
医療器具は、2次元ICE,MRI、経食道心エコー法、血管造影法、カラー・ドップラー法の出現により、異常部位のほぼ正確な解剖学的な組織が可視化できる。使用される医療器具は、器具が配置される血管や異常部位のおおよその寸法に基づいて用いられる。
【0025】
使用される送入用具は適切な形状であればどのようなものでもよく、例えば医療器具を拘束するように構成された細長でフレキシブルな軸、またはハイポチューブ、または金属入り編組ポリマーチューブでよい。送入用具は、医療器具をカテーテルまたはシースの内腔を通して患者の体内の通路内に留置するのに使用できる。医療器具がカテーテルの遠位端から送出されて留置されても、送入用具は未だ医療器具を拘束したままでいることができる。以下で更に詳しく説明するが、具体的な送出方法は、体内に留置されねばならない具体的な医療器具に左右される。
【0026】
以下で、図面を参照して本発明の種々の医療器具の実施例を説明する。図1には、目標部位を治療するための医療器具10の第1実施例が示されている。例えば、医療器具10は、種々の体内の管腔治療、例えば動脈瘤治療に使用されるステント・グラフトでよい。医療器具10は、内層12と外層14と、両層間に画成される少なくとも1空隙とを含んでいる。したがって、内層12と外層14との少なくとも一部は互いに間隔をおいて位置することで両層間に1つ以上の空隙16が画成される。単数または複数の空隙16が、内層12の外表面と外層14の内表面との大部分(例えば約50%以上)にわたって画成できる。
【0027】
加えて、両層間の空隙16は、種々の間隔、例えば1つの層の厚さの1〜3倍にすることができる。このように隣接層の表面積のかなりの部分が互いに間隔をおいて位置している。更に詳しくは後述するが、1つ以上の空隙16が、内層12と外層14との間に画成されることで、両層間での血栓形成が容易になる。単数または複数の空隙16は、通常、治療される部位、例えば動脈瘤の直近に位置せしめられよう。それによって、医療器具10は、より迅速に例えば動脈瘤等の目標部位を閉塞し、器具の近位端18と遠位端20との間の血流を容易にできる。
【0028】
内層12と外層14とは、目標部位を治療するために内腔内に配置可能な適当な材料であればどのような材料でもよく、例えば既述の編組物でよい。内層12は外層14内に配置され、両層は互いに同軸線的に配置できる。内層12と外層14とは、チューブ状の構成および/または少なくとも部分的に互いに重なり合うような構成でよい。加えて、内層12と外層14とは、器具10の近位端18と遠位端20との間の異なる個所で互いに間隔をおいて位置するか(例えば図10参照)、または器具10の近位端18と遠位端20との間で完全に互いに間隔をおいて位置している(例えば図1参照)。更に、内層12と外層14とは、互いに異なる個所で結合され、例えば近位端18と遠位端20のほぼ中間で縫合されてもよい。内層12と外層14とは、詳しくは後述するように、カテーテルを通じて挿入される場合に一緒に収縮するように類似の拡張および伸び特性を有するようにすることができる。
【0029】
本発明の代表的な実施例によれば、空隙16が、両層12,14間に配置した1つ以上のオフセット22、例えばリング、チューブ、類似のスペーサ等を介して画成され、両層の少なくとも一部に互いに間隔が設けられる。あるいはまた、オフセット22は、内層12および/または外層14の半径方向の表面変形部、例えば1つ以上のくぼみ、半径方向または環状の隆起部、波形、溝、その他所期の表面変形部のいずれかとして形成することもできる。オフセット22は、内層12および/または外層14と一体形成でき、既述の目標形状にヒートセットすることができる。オフセットは、内層12と外層14との間に1つ以上の空隙16を形成するように構成され、それにより両層間の表面積の大部分が間隔を有している。
【0030】
オフセット22は、長手方向、周方向、螺旋形、その他どのような目標形状に形成されてもよい。また、内層12および外層14の近位端18と遠位端20との間には、所期のオフセット22が幾つあってもよい。更に、一実施例によれば、図6に見られるように、近位端18および/または遠位端20には空隙が存在せず、それにより動脈瘤の両側の血管壁に対する閉塞性が高くなり、局所的な高い圧力点を生じさせる表面変形部に比較して、一様の外方への圧力が加わって両端が固定される。加えて、内層と外層の一方の層が、内層と外層の他方の層より長く、端部のところで外方へ広がるかまくれるかして、血管壁に対するシールが補助される。
【0031】
例えば図2に示す一実施例には、複数オフセット22が内層12と外層14との間に設けられ、内層12と外層14との少なくとも一部が互いに間隔を保って、空隙16が画成される。オフセット22は、図3に見られるように、環状のリンク形状24を有することもでき、医療器具の近位端18と遠位端20との間に長手軸線に沿って互いに軸線方向に間隔をおいて両層間に配置されている。各オフセット22の外径は、外層14の内径とほぼ等しくすることができ、オフセット22の内径は内層12の外径とほぼ等しくすることができる。したがって、オフセット22の寸法は、内層12と外層14との寸法に応じて変更できる。
【0032】
しかし、オフセット22は、内層12と外層14との空隙16を画成できる他の形状であってもよく、例えば両層間に、かつまた両層の周囲に少なくとも部分的に配置できる何らかのスペーサでもよい。例えば、各オフセット22の幅は、所期の空隙16の寸法と数とに応じて変更できる。オフセットの数は所期の空隙16の数と、両層の相互間隔を維持するのに必要な支持体の数とに応じて変更できる。代表的な実施例によれば、オフセット22は、スポンジ材料、例えば幾つかの生体適合性ポリマー材料による収縮可能な連続気泡フォウムか、または収縮可能なチューブ、例えば生体適合性のポリマーまたはエラストマー材料から作られた薄壁の収縮可能な環状部材でよい。
【0033】
図4および図5に示す付加実施例では、複数のチューブ26が内層12と外層14間に配置されている。該チューブは、カテーテルを通して送入されるさいには収縮可能であり、金属または非金属の材料、例えばポリマーまたはエラストマーの連続気泡フォウム、ポリマーまたは金属の編組フィラメントのチューブ状部材、固体部材のいずれか製であり、内層および/または外層と類似の伸び特性を有することができる。チューブ26は、所望とあれば、通過する血流を遮断するように構成でき、このため、これらのチューブは、閉塞材料製か、または血流に対し横方向の一つ以上の遮断平面を含むことができる。
【0034】
チューブ26は、その長さにわたって一定の直径(例えば円筒形状)を有するか、または変化する直径(例えばベンチュリ管形状)を有することができる。既述のように、チューブ26の寸法は、内層と外層との寸法付けおよび両層間の相対間隔に応じて変更できる。図4に示す一実施例では、不連続の複数チューブが互いに間隔をおいて空隙を画成している。チューブ26は医療器具10の長手軸線と概して平行に配置され、異なる位置に幾つかの数のチューブが配置できる。特に、図5に示す一実施例では、4個のチューブが、内層12と外層14の周方向に等間隔に配置されている。
【0035】
図7から図10に示したオフセットの付加実施例は、内層12と外層14との間に空隙16を画成するのに使用できる。つまり、図7および図8に示した実施例では、複数の隆起部32が内層12の外表面に形成されている。隆起部32は内層12の外表面から突出しているため、空隙16は各隆起部の両側に形成されている。隆起部32は、螺旋状に延びるか(例えば図7参照)、内層の周囲に環状に延びることができるが、また、所望の場合は、内層長さに沿って長手方向に延びてもよい。空隙16は、また図9に示すように、複数の溝34によっても画成される。溝34は、内層12の外表面から内方へ突入することで、各溝34と内層14との間に空隙16が形成される。隆起部32と同じように、溝34は、図9に示すように、内層の周囲に環状に延びるか、または医療器具10の長さに沿って螺旋状にまたは長手方向に延びてもよい。図10に示す本発明の別の実施例では、内層12が、内層長さにわたって延びる複数波形部36を有する波形面を含んでいる。このため、内層12が外層16内に重なるように配置されると、空隙16が各波形部36の両側に形成される。
【0036】
波形36の数と寸法は、内層12および外層16の寸法に応じて変更でき、各波形は内層の周囲に環状に延びることができる。注意すべき点は、内層12の外表面から突出するように描かれているオフセットは、外表面から内方へ突入していてもよく、あるいはまた両方、すなわち外表面から内方へ突入し、かつ内表面から外方へ突出していてもよい。加えて、一方の層の突出部が他方の層からの突入部と接触して、内外の層の表面間に空隙が形成されてもよい。例えば、内層12に、一方のねじれ方向で外方向きの螺旋溝が設けられ、この螺旋溝が、外層14の逆に内方へ向いた螺旋溝に相会してもよい。その場合、外層14の螺旋溝は反対方向のねじれを有し、両方の溝が協働して、隣接両層表面の大部分にわたり両層間に空隙が形成される。
【0037】
図11と図12には、本発明の付加実施例が示されている。図11には、内層12と外層14との間に空隙16を画成するために、複数のT字形変形部を有する内層12が示されている。空隙16は、内層12の内表面および/または外表面と、外層14の内表面との間に形成できる。また、図12には、内層12の周部にわたり波形の変形部が形成されることで、内層と外層間に複数空隙16が形成できることが示されている。図11と図12のいずれの場合も、空隙16が、内層12および外層14の軸線に沿って長手方向に各層の全長にわたって、または両層間のかなりの部分にわたって延びている。
【0038】
図13に示す別の実施例の場合、内層12は外層14内へ折り返されることで形成される。したがって、内層12と外層14とが同じチューブ状部材で形成でき、該チューブ状部材の一部が波形表面または他の変形表面を有しており、それにより内層が外層内へ折り返されると、両層間に波形空隙が画成される。図14に示す更に別の実施例では、内層12の端部38が外層14内へ折り返されるか反転させられることで、両層間に空隙16が画成されている。加えて、内層の一部が波形表面または他の変形表面を含み、付加空隙16が内層12と外層14間に画成できる。
【0039】
使用時、医療器具10は、図15に示すようなヒートセットされた直径より小直径でカテーテル40により送入される。通常、医療器具10は、例えば、軸線方向に伸長させて縮径し、編組ワイヤの遠位端をカテーテル内に配置することで、目標部位へ送達される。医療器具10の近位端18は、図15に見られるように、送入用具42に挿入される。カテーテル40、医療器具10、送入用具42は、一緒に、例えば導入シースを介して患者の体内へ導入され、セルディンガー法を用いて血管に内挿される(例えば大腿動脈を介して)。医療器具10は、次いで血管系を介して案内され、カテーテル40の遠位端が治療の目標部位の直近に到達する。医療器具10と送入用具42とを不動に保って、カテーテル40を近位方向へ引き出し、医療器具の一部をカテーテル遠位端から送出する。最終的には医療器具が完全に送出され、自己拡張して内腔に接触する。
【0040】
医療器具10は、カテーテル40から送出されると、その自然的傾向により、ヒートセットされた拡張形状に戻る。医療器具10がカテーテル40から送出されて完全に留置されると、送入用具42が医療器具10の近位端18から取り外され、近位端18は自己拡張できる。一実施例によれば、医療器具10は、内腔内に配置され、動脈瘤の上流と下流の内腔に接触することによって動脈瘤を架橋または排除できる。医療器具の送入技術の更なる実例の詳細に関し、出願人は米国特許出願公告第2006/0253184号(2005何3月4日提出)、米国特許出願公告第2007/0118207A1号(2007年1月提出)の全体を本明細書に取り入れるものである。
【0041】
図16に示す医療器具10の送入用具の付加実施例では、内層12と外層14とが別個に、しかし同一カテーテル40で送入される。内層12と外層14とは、カテーテル40内に互いに動軸線的に配置されて送入される。このため、内層12と外層14とは、分離してカテーテル40で送入するように構成できる。加えて、内層12と外層14とは、単一層の材料で作り、折り返して互いに重なるようにするか、または完全に別個に形成し、同一カテーテル40で別個に送入してもよいだろう。内層12と外層14とを別個に送入する一実施例では、1つ以上のオフセットが両表面に形成されることにより、外層内への内層の留置後、該オフセットによって両層間の軸線方向相対運動が防止できる。例えば、内層12と外層14の各々が、軸線方向で複数位置に複数半径方向リングを有し、該リングが互いに軸線方向移動を防止または制限されるように配置できる。
【0042】
医療器具10が単一のチューブ状部材で形成される実施例の場合、医療器具が、単一層としてカテーテル内に配置される2層以上の層、例えば3層を含み、この3層の器具の場合、単一チューブ状部材で形成され中間層が、内層12と外層14間に配置され、かつ波形、または内層と外層間のスペーサとして役立つ他のオフセット形状を有している。
【0043】
医療器具10は、ヒートセットされた元の拡張形状に復元する自然的な傾向を有するとはいえ、カテーテルから送出された時に、医師の或る程度の介入が必要であり、内層および外層が単一のチューブ状部材で作られている場合には、医師の介入により外層内での内層の位置決めが行われる。医療器具10の外層が留置されると、医師は、送入用具42および/またはカテーテル40を遠位で操作し、医療器具をそれ自体の内部へ強制的に折り込むことで内層12を形成し始める。送入用具42の遠位への前進および/またはカテーテル10の近位への引き戻しの結果、内層12は、ヒートセットされた形状に復元され、留置される。別個に送入する場合は、外層14が先ず目標部位へ送達され、次いでカテーテル40と送入用具42とを外層の内腔内へ進入させて、内層および外層の遠位端をそろえ、次いでカテーテルを引き戻し、送入用具から取り外すことにより内層を留置する。
【0044】
本発明の実施例には幾つかの利点がある。例えば、この医療器具は、動脈瘤をより効果的に除去可能なステントグラフトでよい。特に、この医療器具は1つ以上の空隙を有し、該空隙が内層と外層との間および周囲に渦流境界層を生じさせることにより血栓形成を容易にし、空隙内に血栓を生じさせ、かつ閉じ込める。空隙は、種々の技術を用いて画成でき、例えば、1つ以上のオフセットを、内層と外層の間に設けるか、または1つ以上の隣接層の表面に形成することで画成でき、これらの空隙は異なる目標部位に適合するように注文に応じて構成できる。加えて、医療器具は種々の技術を用いて送達でき、この技術には、内層と外層とを別々に送入することで、多層医療器具を器具より小さい直径を有するカテーテルに挿入して送達する技術が含まれるが、他の技術では別個に送達することはできない。加えて、この医療器具は除去、遮断、シャント、血管の流量制限、通路、内腔、キャビティ、血管系またはどの器官にも使用できる。
【0045】
本発明が属する技術分野の当業者には、以上開示した本発明について多くの変更態様および別の実施例が思いつかれよう。それらは、既述の説明および添付図面に示された本発明の教説の恩典を有している。したがって、本発明はここに開示した特定実施例に限定されるものではなく、他の実施例および変更態様もまた、特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。具体的な用語が、本明細書で使用されているとしても、それらは一般的な、かつまた説明的な意味で用いられたにすぎず、限定目的で使用されたのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔内で血管異常を治療するための医療器具(10)において、
多層構成体が含まれ、該多層構成体が、外層(14)内に配置された内層(12を含み、かつ近位端および遠位端(18,20)を有しており、内挿および外層(12,14)の各々が、それぞれ内表面と外表面とを有しており、
前記多層構成体が、更に内層と外層との間に配置されるか、内層または外層の少なくとも一方に形成されるかする少なくとも1オフセットを含み、それにより内層と外層との間に少なくとも1空隙(16)が画成される結果、内層の外表面の大部分が、外層内表面から間隔をおいて位置せしめられ、
前記多層構成体が、内腔内に留置されるように構成されることにより、外層の少なくとも一部が内腔に接触するように構成され、かつ前記少なくとも1空隙が、内層と外層との間に血栓形成を促進させるように構成されている、内腔内で血管異常を治療するための医療器具(10)。
【請求項2】
前記内層と外層(12,14)が遮断材料を含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項3】
前記内層と外層(12,14)が各々複数層の編組ストランドを含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項4】
内層と外層(12,14)の一方の層の前記編組ストランドが弾性合金を含み、内層と外層(12,14)の他方の層の前記編組ストランドが非金属材料を含む、請求項3記載の医療器具(10)。
【請求項5】
前記内層と外層(12,14)が各々弾性合金の編組ストランドを含む、請求項3記載の医療器具(10)。
【請求項6】
前記多層構成体がヒートセットされた拡張形状を有し、かつまた前記多層構成体が、ヒートセットされた拡張形状より小さい直径に縮径されてカテーテル(40)に内挿され送入されるように構成されている、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項7】
前記多層構成体がチューブ状の形状を有し、かつまた前記内層(12)が外層(14)内に同軸線的に配置される、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1空隙(16)が多層構成体の近位端と遠位端(18,20)の間を長手方向に延びている、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項9】
更に、前記多層構成体の近位端と遠位端(18,20)間に画成される複数空隙(16)を含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1オフセット(22)が内層と外層(12,14)との間に配置されるスペーサを含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項11】
前記スペーサが収縮可能であり、かつまた初期形状を有しており、また前記スペーサが収縮形状で拘束され、かつ拘束が解かれた場合、初期形状に弾性的に復元するように構成されている、請求項10記載の医療器具(10)。
【請求項12】
前記少なくとも1オフセット(22)が内層と外層(12,14)の間に配置されたチューブ(26)または環状リングを含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項13】
前記少なくとも1オフセット(22)が内層と外層(12,14)の少なくとも一方に形成された表面変形部を含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項14】
前記少なくとも1表面変形部が、内層(12)の外表面または外層(14)の内表面に形成された波形部(36)である、請求項13記載の医療器具(10)。
【請求項15】
前記少なくとも1表面変形部が、内層(12)の外表面または外層(14)の内表面に形成された隆起部(32)を含む、請求項13記載の医療器具(10)。
【請求項16】
前記少なくとも1表面変形部が、内層と外層(12,14)の少なくとも一方の層の周部に螺旋状に形成されている、請求項13記載の医療器具(10)。
【請求項17】
前記少なくとも1表面変形部が、内層と外層(12,14)の少なくとも一方の層の周部に環状に形成されている、請求項13記載の医療器具(10)。
【請求項18】
更に、前記内層(12)と外層(14)の間に配置されるか、または内層と外層の少なくとも一方に形成された複数オフセット(22)を含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項19】
前記複数オフセット(22)が、内層または外層(12,14)の少なくとも一方に形成された表面変形部を含み、かつまた前記内層(12)が重なるように外層(14)内に配置されることで、両層間に複数空隙(16)が画成される、請求項18記載の医療器具(10)。
【請求項20】
前記医療器具が、更に内層と外層(12,14)間に配置された遮断材料を含む、請求項1記載の医療器具(10)。
【請求項21】
前記多層構成体が動脈瘤の上流と下流の内腔に接触するように構成されている、請求項1記載の医療器具(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−506726(P2012−506726A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533214(P2011−533214)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058747
【国際公開番号】WO2010/051121
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(506226692)エイジーエイ メディカル コーポレイション (21)
【Fターム(参考)】