説明

直動案内ユニット

【課題】 この直動案内ユニットは,小形の長尺なケーシングに対して保持器を固定バンドで堅固に確実に固定する。
【解決手段】この直動案内ユニットは,ケーシング3の長手方向に対向して軌道路14に沿って延び且つ軌道路14を転走するローラ5を保持する保持器7,及び保持器7をケーシング3に固定するための固定バンド10を有する。固定バンド10は,保持器7を構成する保持板9に対向して長手方向に沿って所定間隔で凸部18に折り曲げられた折曲部19を多数備えた保持部20と,両端がエンドキャップ4に係止されるフック部21とから構成されている。保持器7は,固定バンド10の多数の凸部18によりケーシング3側に弾性的に押圧されてケーシング3に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,軌道溝を備えた軌道レール及び該軌道レール上を転動体を介して相対移動するスライダから成る直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,直動案内ユニットは,工作機械,半導体製造装置,測定装置,組立装置等の各種機械装置に組み込まれて使用される不可欠な機械要素になっており,用途に合わせて種々の構造形式のものや種々の大きさのものが商品化されている。また,各種の機械装置では,更に高精度,高剛性で且つ小形のものが求められており,それに伴って直動案内ユニットについても同様に更に高精度,高剛性,且つ小形のものが望まれている。
【0003】
従来の直動案内装置について,本出願人に係る直動転がり案内ユニットが知られている。該直動転がり案内ユニットは,特許文献1の図1及び図3に示されるように,円筒ころを保持する保持板5をケーシング3にワンタッチで確実に固定できる固定バンド6が構成され,固定バンド6は,スチール等の弾性金属板から作製され,保持板5の長手方向に形成された係合溝29に嵌合する保持部31,保持部31から軌道レール1から離れる方向に屈曲し且つエンドキャップ4の長手方向に形成された係合溝に嵌入する屈曲部32,及び屈曲部32の先端からエンドキャップ4側へ延びる係止爪33から構成されている(例えば,特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−91446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,上記従来例の直動転がり案内ユニットにおける固定バンドは,保持部が直線状又は一つの凹湾曲状に形成されたものになっている。従って,従来のケーシングの1.5倍以上の長尺なものに固定バンドを適用した場合には,固定バンドの中央部又は両端部が広い範囲に浮き上がってしまい,保持板の全長にわたりケーシングに保持板をしっかりと押え付けて固定できない状態になっていた。
【0005】
近年,直動案内ユニットは,機械装置の摺動部に組み込まれて使用される不可欠な機械要素になっており,用途に合わせて,種々の形式のものや種々の大きさのものが商品化されている。しかしながら,近年の工作機械,半導体製造装置,測定装置,組立装置等の各種の装置では,直動案内ユニットに対して更にサブミクロン(1/10000mm)レベルの走行精度・位置決め精度でなる高精度が求められ,直動案内ユニットが小形な形式であっても高剛性のものが求められている。
【0006】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,本出願人に係る上記直動転がり案内ユニットを更に発展させたものであり,上記要望に対応して,特に,高剛性であるローラ形式の直動案内ユニットにあって,小形化したものになっており,小形化する上で,ローラを保持する保持板を固定するための固定バンドの構成に特徴を有するものになっており,小形であって,走行精度が高精度でなり,新たに小形で長尺なスライダでなる直動案内ユニットを実現するために,上記従来の技術を踏襲して,さらに1.5倍以上に長尺なケ−シングにあっても保持板をケーシングに確実に固定できる固定バンドを開発したことを特徴とする直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は,両側面の長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに対して相対摺動自在なスライダを備え,前記スライダが,前記軌道レールの前記第1軌道面に対向する第2軌道面が形成され且つ前記第1と第2軌道面間に形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面にそれぞれ取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の転動体,前記ケーシングの長手方向に対向して前記軌道路に沿って延び且つ前記軌道路を転走する前記転動体を保持する保持器,及び前記保持器を前記ケーシングに固定するための固定バンドを有することから成る直動案内ユニットにおいて,
前記固定バンドが,前記保持器に対向して長手方向に沿って所定間隔で凸部に折り曲げられた折曲部を多数備えた保持部と,両端が前記エンドキャップに係止されるフック部とから構成され,前記保持器が,前記固定バンドの多数の前記凸部により前記ケーシング側に弾性的に押圧されて前記ケーシングに固定されることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0008】
また,前記固定バンドは,ばね性を有する断面矩形の細板で形成され,前記保持部の前記折曲部は,160°〜175°の範囲の鈍角にV字状に折り曲げられて形成され,前記フック部は,角形フックに形成されている。
【0009】
また,前記固定バンドは,スチール等の弾性金属板で形成されている。
【0010】
また,前記保持器は,前記ケーシングの内側側面に形成された一対の前記第2軌道面間に配設された保持板で形成され,前記保持板には,前記ケーシングの前記第2軌道面間の断面が直角角部に合致して長手方向に延びる嵌合溝が形成され,前記嵌合溝の反対面には前記固定バンドが嵌合する凹溝が形成されている。
【0011】
また,前記固定バンドの前記フック部は,前記保持部の両端が直角に屈折して前記エンドキャップの端面に形成された端面嵌合溝に嵌入する第1フック部と,前記第1フック部の先端が直角に屈折して前記エンドキャップの外面に形成された外面嵌合溝に係止する第2フック部とから構成されている。
【0012】
また,前記固定バンドの前記保持部は,前記エンドキャップへの係止前の自由状態で弓形に反っており,前記エンドキャップへ係止して弾性変形して真直状態になって前記保持器を前記ケーシングに押圧保持する。
【0013】
また,前記ケーシングは,全長が前記軌道レールの長手方向と直交する幅寸法の4倍以上の長尺のロングタイプであり,前記固定バンドの前記保持部は,前記ケーシングと前記ケーシングの両端面に固定された前記エンドキャップとの全長にわたって延びている。
【0014】
また,前記転動体は,ローラ及びボールのいずれか一方である。
【発明の効果】
【0015】
この直動案内ユニットは,上記のように構成されており,特に,ローラ形式に形成されると,小形に形成できると共に,超高剛性に形成されるものであり,具体的には,従来の小形に形成されているものの断面形状を同一に形成して,更に高剛性で,高精度を実現するために,スライダのケーシング長さを従来の1.5倍以上にして効率的に実施可能な長さに長く延ばした構成,好ましくは,1.65〜1.82倍のケーシング長さの直動案内ユニットに構成されている。この直動案内ユニットは,長尺な保持板を固定するための固定バンドに特徴を有しており,固定バンドは,保持部の自由状態で弓形形状を,フック部をエンドキャップに係止した状態で保持部がほぼ真直形状にまで弾性変形させられ,その弾性力によって保持板をケーシングに押圧して固定するものであり,また,ローラ形式の直動案内ユニットに限らず,転動体がボールのものであっても長尺な保持器を固定するのに有効に適用することが可能なものになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この直動案内ユニットは,実施例では,高剛性でなり,工作機械等に使用されて好適な転動体がローラでなるローラ形式の直動案内ユニットにおいて実施したものになっている。この直動案内ユニットは,従来の小形に形成されたローラ形式のものに対して断面形状は同一にして,且つスライダ2のケーシング長さが従来の1.5倍以上,実際には,1.65〜1.82倍に形成された直動案内ユニットに適用されている。この直動案内ユニットは,特に,上記のような長尺なケ−シング3に対応して長尺になる保持器7を構成する保持板9をケーシング3に確実に強固に固定できる固定バンド10に特徴を有している。
【0017】
図1及び図2に示すように,この直動案内ユニットは,両側面13の長手方向に沿って軌道面11(第1軌道面)がそれぞれ形成された長尺状の軌道レール1,及び軌道レール1に跨架して転動体であるローラ5を介して摺動自在なスライダ2から構成されている。軌道レール1の軌道面11は,両側面13に一対ずつ形成されており,軌道面11間は,逃げ溝8に形成されている。スライダ2は,軌道面11に対向して形成された軌道面12(第2軌道面)及び軌道面11,12間の軌道路14に平行なリターン路15が形成されたケーシング3,ケーシング3の両端面36にそれぞれ固着され且つ軌道路14とリターン路15とを連通する方向転換路16(図13)が袖部53に形成されたエンドキャップ4,エンドキャップ4の端面37に配置され且つ軌道レール1とスライダ2との隙間をシールするエンドシール6,軌道路14とリターン路15と一対の方向転換路16とからなる循環路を転走する複数の転動体であるローラ5,軌道路14にてケーシング3の長手方向に対向して延び且つローラ5を保持する保持板9,及び保持板9をケーシング3に固定するための固定バンド10を有している。ケーシング3の軌道面12は,ケーシング3の対向する両側の袖部41の内側側面30に一対ずつそれぞれ形成されている。エンドキャップ4は,エンドキャップ本体34と,エンドキャップ本体34の凹部に嵌入して方向転換路16を形成するスペーサ(図示せず)とから構成されている。また,軌道レール1には,ベース等に固定するための取付け用孔38が形成され,また,ケーシング3の上部40には,ワーク,機器等の部材に取り付けるための取付けねじ孔39が形成されている。更に,スライダ2には,軌道レール1のと隙間をシールするための下面シール42が取り付けられている。
【0018】
この直動案内ユニットは,スライダ2にかかる大きな負荷を受けながら転動体のローラ5が軌道面11,12間に形成された軌道路14を転動するので,ローラ5と軌道レール1及びケーシング3とが金属接触して異常摩耗や損傷が生じないように,潤滑剤(グリース,潤滑油)を給油することが不可欠なものになっており,エンドキャップ4の上部54には,給油するためのグリースニップルを取り付ける給油口17及び給油口17から方向転換路16へと延びる油溝49が設けられている。また,エンドキャップ4には,エンドシール6に対向する端面37側が凹部50に形成され,凹部50には,給油装置になる潤滑剤含浸部材35が内蔵されている。従って,この直動案内ユニットは,方向転換路16に開口する貫通開口部52を通じて潤滑剤含浸部材35によりローラ5に潤滑剤が常に供給され,潤滑のメンテナンスフリーに構成されている。
【0019】
図2に示すように,ケーシング3の両袖部41には,それぞれ一対の軌道路14を構成するための軌道面12が一対ずつ形成されている。従って,スライダ2には,一対の循環路がスライダ2の袖部にそれぞれ形成されることになる。一対の循環路の内,一方のローラ5は,スライダ2の下方向の負荷を受ける下側の軌道路14からケーシング3の上側のリターン路15に循環し,また,他方のローラ5は,スライダ2の上方向負荷を受ける上側の軌道路14からケーシング3の下側のリターン路15に循環して構成されている。図13に示すように,エンドキャップ4の袖部53に形成された方向転換路16は,エンドキャップ4の両袖部53にたすき掛けに交差状態にそれぞれ形成されている。エンドキャップ4の方向転換路16は,連結凸部51によって,ケーシング3の嵌合孔に挿通されたスリーブ55に形成されたリターン路15に連通している。
【0020】
図3に示すように,ケーシング3の袖部41には,一対の軌道面12が形成され,一方の軌道面12が断面上向き45°に傾斜して形成され,他方の軌道面12が断面下向き45°に傾斜して形成されており,両軌道面12間は,断面で見て,それぞれの軌道面12が延びて直交して交わり,直角角部29になる突出部28に形成されている。ケーシング3の突出部28には,各軌道面12を転走するそれぞれのローラ5を転走案内し且つローラ5がスライダ2から脱落しないように保持するために保持器7を構成する保持板9が配設されている。ローラ5は,軌道レール1の軌道面11とケーシング3の軌道面12との間の軌道路14を転動する転動面43と,ケーシング3の案内面31と保持板9の案内面32との間で案内される両端面44とを備えている。
【0021】
保持板9は,図7及び図8に示すように,ケーシング3の突出部28に対向して突出部28に合致して嵌合するように直角なV字状の嵌合溝26が長手方向全長にわたって形成され,嵌合溝26の反対側の面に嵌合溝26と平行して固定バンド10を嵌入する凹溝27が長手方向全長にわたって形成されている。即ち,保持板9は,固定バンド10の取付け変形で発生する弾性力で,保持板9の嵌合溝26がケーシング3の突出部28に密接嵌合することによって,ケーシング3に対して強固に固定されることになる。保持板9の嵌合溝26の両側には,それぞれのローラ5を案内するためにローラ5の端面44に対向して案内面32が形成され,案内面32に沿った外側にはローラ5の角部を保持するために爪状に突出した保持部33が形成され,案内面32と保持部33との間に凹部45が形成されている。保持部33の外周形状(又は断面形状)は,図3に示すように,断面で見て軌道面12間の逃げ溝8内に接触することなく僅かな隙間を有して収まる形状に形成されている。また,ローラ5は,一方の端面44が保持板9の案内面32に対向し,他方の端面44がケーシング3の案内面31に対向して,両案内面31,32によりローラ5が傾くことなく,即ちスキュすることなく長手方向の軌道面11,12に沿って転走案内されるものになっている。
【0022】
この直動案内ユニットは,特に,固定バンド10の構造に特徴を有するものである。固定バンド10は,図5及び図6に示すように,断面矩形の細板になる線材を折り曲げて形成したものであり,全体的にばね性を有した弾性材料,例えば,スチール等の弾性金属板で作製されている。固定バンド10は,保持板9をケーシング3に密接して固定させるため,長手方向に沿って保持板9に対向する弾性力を付勢する保持部20と,両端部をエンドキャップ4に係止するための角形フック形状のフック部21とで構成されている。固定バンド10のフック部21は,保持部20から延びる端部をエンドキャップ4の外側の端面37に形成された端面嵌合溝24に嵌入するように直角に折り曲げられた第1フック部である屈折部22と,エンドキャップ4の外面に形成された外面嵌合溝である係止溝25に係止するように屈折部22から先端部分を直角に折り曲げられた第2フック部の先端部23とで角形フックの形状に形成されている。
【0023】
この実施例では,固定バンド10の保持部20は,全長の中心位置P0 に180°より僅かに小さい角度になる鈍角θ,例えば,160°〜175°,好ましくは173°程度でV字状に折り曲げられた折曲部19がV字状の先端部分即ち凸部18が保持板9に対向する面に形成され,続いて中心位置P0 から両側に所定間隔Pの右側位置P1R,P2R,P3R,と左側位置P1L,P2L,P3Lの等間隔の各3ヶ所にも同様に鈍角θでV字状に折り曲げた折曲部19が形成されている。従って,固定バンド10は,全体として自由状態で凹曲線状の弓形に形成され,エンドキャップ4に取り付けて真直に弾性変形させることによって保持弾性力を発生させる折曲部19に形成されている。図4に示すように,固定バンド10のフック部21の先端フック部23をエンドキャップ4の係止溝25に係止することによって,固定バンド10は折曲部19の各凸部18が保持板9に接触して各折曲部19間がなだらかな山形になって弾性を付勢された状態に変形して全体的に波状になって配設される。保持板9は,長手方向に沿って形成された固定バンド10の折曲部19の凸部18(実施例では7ヶ所)によりケーシング3側に押圧されてケーシング3に固定されるものになっている。
【0024】
固定バンド10は,保持部20に多数の折曲部19を形成したものであり,断面矩形線材を折り曲げるだけで簡単に製作でき,コストも安価なものになっている。好ましくは,固定バンド10の保持部20は,全体が保持板9に密着して保持板9をケーシング3に押圧して固定できればよいが,超高剛性の直動案内ユニットにおける長尺なスライダ2,即ち長尺なケ−シング3では,上記のように構成された固定バンド10が有効になっている。例えば,図15に示すように,従来の固定バンド46の形状により長尺なケーシング3へ保持板を取り付ける場合は,保持部が半径Rで一つの凹曲線状に反り返りに曲げられた固定バンド46(一点鎖線)を取り付けると,保持部の両側部分(両端側)が広い範囲で浮き上がってしまい保持板の全体を押え込むことができない現象が発生する,また,図示していないが,固定バンドの保持部が曲げ部の無いストレートのものでは,保持部の中央部分が浮き上がってしまう等,保持板を全体的にケーシングに密接に固定することが難しいものになっている。
【0025】
また,固定バンド10は,保持部20が7点の折曲部19で形成されているが,保持部20の長さ,断面形状,ばね性などにより最適な折曲部19の形状や数を設定すればよいものになっている。また,固定バンド10は,転動体がローラ5でなるローラ形式の直動案内ユニットに最適なものになっているが,転動体がボールでなる直動案内ユニットにも適用できるものになっている。また,実施例の保持板9の形状だけでなく種々,転動体を保持する保持器7に適用できるものになっている。固定バンド10が効果を発揮できる直動案内ユニットは,図9〜図14に示すように,小形であって超剛性なローラ形式の直動案内ユニットになっている。
【0026】
ローラ形式の直動案内ユニットは,軌道レール1の幅Wが,例えば,10〜30mmになる小形の形式において,図11に示すように,端面形状の大きさ,即ち断面形状は変らず同一形状になっており,ケーシング3の長さの全長L1 を大きくしたものになっている。ケーシング3の全長L1 は,どのように長いものかを表現することが難しいものになっているが,例えば,従来と同一の大きさである軌道レール1の幅W(長手方向と直交する幅寸法)に対して,実施例では,L1 =4.3〜4.7×Wになり,4倍以上の長尺に形成されている。又は,スライダ2は,従来と同様の方向転換路が形成され,同一の長さになっているエンドキャップ4の長さEに対して,ケーシング3の全長L1 は,実施例では,L1 =6.51〜7.24×Eになり,約7倍程度の長尺に形成されている。或いは,スライダ2は,従来の標準のケーシング長さに対しては,ケーシング3の全長L1 は,実施例で,1.65〜1.82倍に形成されている。固定バンド10は,上記のような長尺なケーシング3(全長L1 )を有する直動案内ユニットにあって,保持板9をケーシング3に確実に堅固に固定できるものになっている。従って,この直動案内ユニットは,小形で超剛性,高精度でなる性能を実現したものになっている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この直動案内ユニットは,工作機械,半導体製造装置,精密測定装置,組立装置等の各種の装置に組み込んで使用され,高精度として高走行精度であり,高速・高加減速における高耐久性に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明によるローラ形式の直動案内ユニットを断面部分を含んだ状態で示す斜視図である。
【図2】図1の直動案内ユニットにおけるA−A平面で断面した横断面図である。
【図3】図2の横断面におけるB部分のスライダ側を拡大して示す拡大図である。
【図4】図3の横断面に示すC−Cで断面した断面図である。
【図5】図1の直動案内ユニットにおける固定バンドの組立前の自由状態を示す正面図である。
【図6】図5の固定バンドに示すD−Dで断面した断面図である。
【図7】図1の直動案内ユニットにおける保持板を示す平面図である。
【図8】図7の保持板を示す側面図である。
【図9】図1の直動案内ユニットを示す正面図である。
【図10】図9の直動案内ユニットを示す平面図である。
【図11】図9の直動案内ユニットを示す側面図である。
【図12】エンドキャップから潤滑剤含浸部材及びスペーサを取り外した状態であるエンドキャップ本体を示す正面図である。
【図13】図12のエンドキャップ本体を示す背面図である。
【図14】図12のエンドキャップ本体を示す側面図である。
【図15】図4の断面図に相当する従来の固定バンドを示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 ローラ(転動体)
7 保持器
9 保持板
10 固定バンド
11 軌道面(第1軌道面)
12 軌道面(第2軌道面)
13 側面
14 軌道路
15 リターン路
16 方向転換路
18 凸部
19 折曲部
20 保持部
21 フック部
22 屈折部(第1フック部)
23 先端部(第2フック部)
24 端面嵌合溝
25 係止溝(外面嵌合溝)
26 嵌合溝
27 凹溝
29 直角角部
30 内側側面
36 端面
37 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面の長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに対して相対摺動自在なスライダを備え,前記スライダが,前記軌道レールの前記第1軌道面に対向する第2軌道面が形成され且つ前記第1と第2軌道面間に形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面にそれぞれ取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の転動体,前記ケーシングの長手方向に対向して前記軌道路に沿って延び且つ前記軌道路を転走する前記転動体を保持する保持器,及び前記保持器を前記ケーシングに固定するための固定バンドを有することから成る直動案内ユニットにおいて,
前記固定バンドが,前記保持器に対向して長手方向に沿って所定間隔で凸部に折り曲げられた折曲部を多数備えた保持部と,両端が前記エンドキャップに係止されるフック部とから構成され,前記保持器が,前記固定バンドの多数の前記凸部により前記ケーシング側に弾性的に押圧されて前記ケーシングに固定されることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項2】
前記固定バンドは,ばね性を有する断面矩形の細板で形成され,前記保持部の前記折曲部は,160°〜175°の範囲の鈍角にV字状に折り曲げられて形成され,前記フック部は,角形フックに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記固定バンドは,スチール等の弾性金属板で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記保持器は,前記ケーシングの内側側面に形成された一対の前記第2軌道面間に配設された保持板で形成され,前記保持板には,前記ケーシングの前記第2軌道面間の断面が直角角部に合致して長手方向に延びる嵌合溝が形成され,前記嵌合溝の反対面には前記固定バンドが嵌合する凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記固定バンドの前記フック部は,前記保持部の両端が直角に屈折して前記エンドキャップの端面に形成された端面嵌合溝に嵌入する第1フック部と,前記第1フック部の先端が直角に屈折して前記エンドキャップの外面に形成された外面嵌合溝に係止する第2フック部とから構成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記固定バンドの前記保持部は,前記エンドキャップへの係止前の自由状態で弓形に反っており,前記エンドキャップへ係止して弾性変形して真直状態になって前記保持器を前記ケーシングに押圧保持することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記ケーシングは,全長が前記軌道レールの長手方向と直交する幅寸法の4倍以上の長尺のロングタイプであり,前記固定バンドの前記保持部は,前記ケーシングと前記ケーシングの両端面に固定された前記エンドキャップとの全長にわたって延びていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記転動体は,ローラ及びボールのいずれか一方であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−236152(P2009−236152A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80242(P2008−80242)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】