説明

直接アドレス指定可能アレイへの自己集合化材料を用いた化学的ピニング

【課題】ナノ構造デバイスを作製する方法を提供する。
【解決手段】方法は、複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板を提供する工程と、基板の少なくとも一部に自己集合化材料を堆積させる工程とを含み、自己集合化材料の実質的に球形又は円筒形のドメインの位置および/又は向きは、ナノ構造パターンを形成するようにアライメント構造によって誘導され、またアライメント構造の周期は、球形又は円筒形ドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある。この方法に従って作製される装置も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造デバイスを作製する方法およびそのような方法を用いて作製されたデバイスに関する。1つの態様で、発明は、自然な状態で自己集合化されるナノ構造において、長距離秩序および正確な位置制御を実現する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ナノメートル・サイズの寸法を持つ要素を有する構造は、光、電子、機械、磁気等の技術分野での利用が検討されている。ナノ構造には、例えば、ナノ粒子、ナノチューブ又は量子ドットと呼ばれる各種構造が含まれ、秩序立った複雑な材料のための構築ブロックとして利用される可能性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ビット・パターン媒体(BPM)および離散トラック媒体(DTM)を含むデータ記憶媒体に関して、25nm以下の短い周期を有する超高密度ドット・アレイ又はライン・アレイのパターニングが望まれている。しかし、光リソグラフィは回折限界によって制限されるため、従来の光リソグラフィの解像度は、通常約50nmハーフピッチに制限される。このように、従来の光リソグラフィは、ビット・パターン化磁気記憶媒体のためのそのようなナノ構造を作製するのに適していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
基板上にナノ構造を形成するために、高い生産性を持つパターニング法が望まれる。自己集合技術は、超高密度のパターニングおよび高い生産性の両方を提供する可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】発明の1つの態様に従った作製プロセスを表す模式図。
【図2】ブロック共重合体の模式図。
【図3】基板の断面図。
【図4】基板の断面図。
【図5】ドット・パターンの模式図。
【図6】ドット・パターンの模式図。
【図7】ドット・パターンの模式図。
【図8】発明の1つの態様に従って構築されたパターン媒体の部分を表す模式図。
【図9】発明の1つの態様に従って構築されたパターン媒体の部分を表す模式図。
【図10】発明の1つの態様に従って構築されたパターン媒体の部分を表す模式図。
【図11】発明の1つの態様に従って構築されたパターン媒体の部分を表す模式図。
【図12】発明の1つの態様に従ったパターン媒体の一部の写真。
【図13】発明の1つの態様に従って構築された別のパターン媒体の一部の模式的断面図。
【図14】発明の1つの態様に従って構築された別のパターン媒体の一部の模式的断面図。
【図15】発明の1つの態様に従った別のパターン媒体の一部の写真。
【図16】図15のパターン媒体の作製で使用できるパターニングされた表面の平面図。
【図17】発明の1つの態様に従って構築された別のパターン媒体の断面の模式図。
【図18】発明の1つの態様に従って構築された別のパターン媒体の断面の模式図。
【図19】発明の1つの態様に従って構築された別のパターン媒体の断面の模式図。
【図20】発明の1つの態様に従ったデータ記憶ディスクのテンプレートを表す模式図。
【図21】発明の1つの態様の方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
1つの態様で、発明は、複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板を提供する工程と、基板の少なくとも一部に自己集合化材料を堆積させる工程とを含み、自己集合化材料の実質的に球形のドメインの位置および向きは、ナノ構造パターンを形成するようにアライメント構造によって誘導され、またアライメント構造の周期は、球形ドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある方法を提供する。
【0007】
別の態様で、発明は、複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板と、基板の少なくとも一部上の自己集合化材料とを含み、自己集合化材料の本質的に球形のドメインの位置および向きは、ナノ構造パターンを形成するようにアライメント構造によって誘導され、またアライメント構造の平均の間隔は、球形ドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある装置を提供する。
【0008】
別の態様で、発明は、複数の離散した化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板を提供する工程と、複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造の少なくとも一部の上に自己集合化材料を堆積させる工程とを含み、自己集合化材料の実質的に円筒形のドメインの位置および/又は向きは、薄層状パターンを形成するようにアライメント構造によって誘導され、またアライメント構造の周期は、円筒形ドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある方法を提供する。
【0009】
別の態様で、発明は、複数の離散した化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板と、複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造の少なくとも一部の上の自己集合化材料とを含み、自己集合化材料の本質的に円筒形のドメインの位置および/又は向きは、薄層状パターンを形成するようにアライメント構造によって誘導され、またアライメント構造の平均の間隔は、円筒形ドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある装置を提供する。
【0010】
別の態様で、発明は、基板のサーボ・エリアに第1の複数の間隔を置いたドットを形成する工程と、リソグラフィ・プロセスを用いて基板のビット・エリアに第2の複数の間隔を置いたドットを形成する工程と、ビット・エリアの少なくとも一部に自己集合化材料を堆積させる工程とを含み、自己集合化材料のドメインの位置および/又は向きは、ビット・エリアにナノ構造パターンを形成するように第2の複数の間隔を置いたドットによって誘導される方法を提供する。
【0011】
発明はデータ記憶媒体の作製に利用できる。データ記憶媒体は、一般にサーボ・エリアおよびビット・エリアを含む。サーボ・エリアは、記録ヘッドの位置と読み書き操作のタイミングとを制御するために用いられる情報を含む。ビット・エリアは、メディアとの間で読み書きされる情報を記憶するために用いられる。1つの態様で、発明は、高密度の周期的ドット・パターンを有するビット・エリアおよび中密度から高密度の周期的/非周期的ドット/ライン・パターンを有するサーボ・エリアの両方に対するBPMのナノインプリントのテンプレート作製へ自己集合化プロセスを統合させる。
【0012】
別の態様で、発明は、ナノ構造のアレイの自己集合、あるいは自己組織化を誘導するために利用できる化学コントラスト表面パターンを有する基板構造を使用する。ここでの説明で使用されるように、化学コントラスト基板は、ブロック共重合体の異なる要素に対して異なる化学的優先性又は親和性を示す領域又は材料を有する基板を意味する。領域又は材料は、トポグラフィ的な差異をほとんど有しない。領域又は材料は、ナノ構造の自己集合化を誘導するアライメント構造として働く。自己集合は、ブロック共重合体およびナノ粒子のような自己集合化材料の周期的ナノ構造の形成を意味する。周期的ナノ構造は、熱力学的性質に従って比較的広い領域で自発的に形成される。
【0013】
化学コントラストを有する基板は、ビット・パターン媒体(BPM)のテンプレート作製に望ましい0.155テラ・ドット/平方センチメートル(1テラ・ドット/平方インチ)以上の面密度に対応する、25nm以下のドメイン周期を持つブロック共重合体球形又は円筒形ナノドメインの位置を誘導するために利用できる。図面を参照すると、図1は発明の1つの態様に従う作製プロセスを模式的に示す。
【実施例】
【0014】
図1で、ディスク10は基板12を含み、基板上に形成された表面パターン14を有する。表面パターンには、表面18の内部又は上に複数の領域16を有する化学コントラスト表面パターンが含まれる。領域16は、後に堆積されるナノ構造のためのアライメント構造として働く。分かりやすくするために、図1には数個の領域16しか示されていないが、実際のデバイスではもっと多くの領域16が用いられることを理解されよう。領域と表面とは、後に基板上に堆積される材料に対して異なる親和性を有し、ナノ構造の位置および/又は向きを誘導するように働く。領域16は、電子ビーム・リソグラフィ、ナノインプリンティング、極端紫外(EUV)リソグラフィ、193nmリソグラフィ、248nmリソグラフィ、X線リソグラフィなどの従来のリソグラフィによって生成できる。
【0015】
表面パターン14のハーフピッチは、例えば数十ないし数百ナノメートルでよい。この例で、領域16は表面18の面内で実質的に円形をしている。領域16はまたドットとも呼ばれる。
【0016】
パターン20を作製するために自己集合化材料が用いられ、それの長距離秩序および位置の精度は、表面パターン14によって誘導される。一例では、自己集合化パターンは、ブロック共重合体を用いて作製される。ブロック共重合体の要素は、基板表面上で、基板の化学コントラスト・パターンによって誘導されるパターン状にそれら自身を位置決めする。ブロック共重合体の1つのドメインは取り除くことができて、パターン20中にドメイン22が残される。一例では、残るドメイン22は実質的に球形をしている。
【0017】
基板パターンとブロック共重合体パターンとの間の周期比率は、1:1から10:1の間で変化させることができる。更に、基板の化学コントラスト・パターン中の格子構造は、ブロック共重合体パターンのそれと必ずしも同じである必要はない。更に、化学コントラスト・パターンは周期的でなくてもよい。
【0018】
一例で、アライメント・ドット16の大きさは、横方向に測定したときに、ブロック共重合体ドメイン22の大きさよりも小さく、またアライメント・ドットの体積も、ブロック共重合体ドメインのそれよりもずっと小さい。
【0019】
図2はブロック共重合体30を表す模式図である。ブロック共重合体は主要素32と副要素34とを含む。
【0020】
図3は化学的にパターニングされた基板40の一部の断面図である。基板の表面44に重合体ブラシ層42が形成される。この例で、重合体ブラシ層に開口部46、48が形成される。基板は、ブロック共重合体の第1要素に対して親和性を有する材料を含み、また重合体ブラシ層42は、ブロック共重合体の第2要素に対して親和性を有する材料を含む。後に基板に対してブロック共重合体が塗布されるときに、ブロック共重合体のドメインの位置は、基板および重合体ブラシ層に対するブロック共重合体要素の親和性によって制御される。図3の例は凹型の基板パターンを含む。
【0021】
図4は、化学的にパターニングされた基板50の一部の断面図である。基板の表面54に重合体ブラシ層52が形成される。この例で、重合体ブラシ層の上にはナノポスト56、58が形成される。重合体ブラシ層は、ブロック共重合体の第1要素に対して親和性を有する材料を含み、またナノポストは、ブロック共重合体の第2要素に対して親和性を有する材料を含む。後に基板に対してブロック共重合体が取り付けられるときに、ブロック共重合体のドメインの位置は、重合体ブラシ層およびナノポスト対するブロック共重合体要素の親和性によって制御される。図4の例は凸型の基板パターンを含む。
【0022】
ここで述べた例で、重合体ブラシ層はポリスチレンを含むことができる(主ブロックとしてポリスチレンを含む共重合体用として)。図4の例で、ナノポストは、SiOxや、各種金属、例えばタンタル、クロム、チタンなどを含むことができる。
【0023】
パターンを形成するために、トルエンなどの汎用溶剤に溶かした希釈液からスピン塗布によってパターニングされた表面上にブロック共重合体の堆積を行い、単分子層の球(球形のブロック共重合体の場合)又は下方へ延びる円筒(円筒形ブロック共重合体の場合)を形成し、いくつかの既知の方法の1つを用いてブロック共重合体の1つのドメインを取り除いて、ドット(又は孔)又はライン(又はトレンチ)の形の複数のナノ構造を残すことができる。
【0024】
ブロック共重合体のナノ構造を用いて、約5nmから約50nmオーダのハーフピッチ・サイズのドメインを有する構造を形成できる。しかし、これらのブロック共重合体ナノ構造は、通常長距離秩序を持たない。1つの態様で、本発明は、ブロック共重合体ナノ構造において長距離秩序を促進するための化学コントラストを持つ表面パターンを有する基板を用いることによって、長距離秩序欠如の問題に対処する。
【0025】
ブロック共重合体は、2つの有機ブロック(例えば、ポリスチレン−ブロック−ポリメチルメタクリレート)、あるいは、1つの有機ブロックと1つの無機ブロック(例えば、ポリスチレン−ブロック−ポリジメチルシロキサン)を含むことができる。ドメインの1つは、UV分解とそれに続くウェット・リンスによって取り除くことができる。例えば、UV照射によってポリメチルメタクリレートは劣化し、他方、ポリスチレンは交差結合を起こす。別の例では、酸素プラズマを用いて有機成分を除去することができる。ポリジメチルシロキサンは酸素プラズマに対して良好な耐性を有する。
【0026】
化学コントラストを持つ基板パターンおよび特別に設計されたパターン・レイアウトを用いて、25nm以下(0.155テラ・ドット/平方センチメートル(1テラ・ドット/平方インチ)以上)のドメイン周期を持つ自己集合化されたナノドメインの位置を誘導できる。この基板の化学パターンは、電子ビーム、ナノインプリント、EUV、193nm、248nm、X線など各種の進歩したリソグラフィ技術によって生成できる。ここでの例としてブロック共重合体が用いられたが、自己集合化材料はブロック共重合体に限定されず、例えば、化学的に機能を付与されたナノ粒子およびナノチューブなど、少なくとも2つの化学的に区別される要素を持つ任意の自己集合化材料でよい。化学的に機能を付与されたナノ粒子には、有機のナノ粒子内核のほかに内核と比べて区別される化学的性質を有する有機重合体鎖を含む外核がある。化学的に機能を付与されたナノ粒子の一例は、3アミノプロピル(3オキソブタン酸)で機能化されたシリカ・ナノ粒子である。
【0027】
図5、6および7は、各種の周期格子構造を持つ基板ドット・パターンを表す模式図であり、ここでLsは基板パターンの周期(すなわち、アライメント・ドット間の距離)で、Lsxは直交座標系のX方向での周期、LsyはY方向での周期である。
【0028】
図5は、Lsy=0.866Lsxとなるように配置されたアライメント・ドットの六角形パターンを示す。図6は、Lsy=Lsxとなるように配置されたアライメント・ドットのスタガー・パターンを示す。図7は、Lsy=Lsxとなるように配置されたアライメント・ドットの四角形パターンを示す。
【0029】
基板パターンの周期は、自然なブロック共重合体パターンのドメイン周期(1×)と必ずしも等しい必要はなく、そのことが、例えば電子ビーム・リソグラフィや光リソグラフィなど、基板パターンを生成するために用いられる従来のリソグラフィ技術という重圧を解放する助けとなる。自己集合化材料の自然なパターンというのは、基板トポグラフィ・パターンや化学コントラスト・パターンなど外部場の誘導なしで形成される自己集合化ナノ構造を意味する。ここに述べる方法によれば、従来のリソグラフィによって疎な基板パターン(例えば化学コントラスト)を生成させるだけでよく、それを用いて密な自己集合化パターンを誘導できる。このように、自己集合は従来のリソグラフィの解像度という重圧を解放する。
【0030】
パターン倍率(すなわち、基板パターン周期とブロック共重合体パターン周期との比率)は約1から約10までの範囲にある。例えば、任意の表面誘導なしに自然なブロック共重合体ナノパターン中に、従ってマルチ・グレイン構造の形に10×10のブロック共重合体ドメインの単一グレインを一般的に形成できるのであれば、比率10を用いることができる。
【0031】
そのようなパターン倍率は、0.155−0.31テラ・ドット/平方センチメートル(1−2テラ・ドット/平方インチ)以上のドット面密度を有するパターン媒体作製に有用である。この方法のパターニング解像度は、利用できる自己集合化材料の性質によってのみ制限され、これは、0.155−7.75テラ・ドット/平方センチメートル(1−50テラ・ドット/平方インチ)の面密度に対応しており、ブロック共重合体について約4nmから約50nm、ナノ粒子について約3nmから約10nm、ナノチューブについて約1nmから約5nmのハーフピッチ寸法を有する。
【0032】
図8、9および10は、同一又は異なる格子構造を持つ周期的な基板パターンによって誘導されるブロック共重合体パターンを表す模式図である。
【0033】
図8は、参照番号60によって示される場所にアライメント・ドットを有する基板上に形成されたナノ構造パターンを示す。アライメント・ドットは、Lsy=0.866Lsxとなるように配置されている。図8は、Loを自然な(すなわち誘導されていない)ブロック共重合体パターンの周期としたとき、n=1,2,...,10についてLs=nLo(±10%)として、3倍(3×)の倍率のアライメント・ドットの六角形パターンを示す。しかし、図8のアライメント・ドットのパターンは、3×の倍率に限定されない。
【0034】
図9は、参照番号62によって示される場所にアライメント・ドットを有する基板上に形成されたナノ構造パターンを示す。アライメント・ドットは、Lsy=Lsxとなるように配置されている。図9は、n=1,2,...,10についてLs=nLo(±10%)として、3倍(3×)の倍率のアライメント・ドットのスタガー・パターンを示す。しかし、図9のアライメント・ドットのパターンは、3×の倍率に限定されない。
【0035】
図10は、参照番号64によって示される場所にアライメント・ドットを有する基板上に形成されたナノ構造パターンを示す。アライメント・ドットは、Lsy=Lsxとなるように配置されている。
【0036】
図10は、n=1,2,...,5についてLs=2nLo(±10%)として、4倍(4×)の倍率のアライメント・ドットの四角形パターンを示す。しかし、図10のアライメント・ドットのパターンは、4×の倍率に限定されない。
【0037】
図8、9および10の構造で、10×10の自然な格子構造は、基板の誘導なしでブロック共重合体パターン中に得られるものと仮定されている。
【0038】
基板パターンの格子構造は、また自然に自己集合化される構造のそれと異なることもできる。例えば、六角形、スタガー又は四角形のアレイを持つ基板パターンは、すべてブロック共重合体の球形/円筒形ドメインを自然な六角形格子と揃えることができる。更に、基板パターンは、いくつかのブロック共重合体ナノドメインを下層の基板に対していくつかのスポットにおいてピニングすることによってブロック共重合体ドメイン構造の長距離秩序を誘導できる限り、周期的でなくてもよい。
【0039】
図11は、参照番号66によって示される場所にアライメント・ドットを有する非周期的な基板パターンによって誘導されるブロック共重合体パターンを表す模式図である。この例で、Lsについての平均寸法は、<Ls>であって、<Ls>は、約2Loから約10Loの範囲にある。
【0040】
基板パターンは光リソグラフィによって生成できる。化学コントラスト面を有する基板は、共重合体中の異なるブロックに対して異なる親和性を有する、交互に並んだ疎水性と親水性の領域又は交互に並んだ有極性と無極性の領域を含むことができる。
【0041】
自己集合化ナノドット・アレイは、ナノドット・アレイのピッチよりずっと大きいパターン・ピッチを持つ基板化学パターンによって誘導できる。注意深く設計された自己集合システム、すなわち表面凹凸の小さい化学コントラストを持つ基板の六角形ドット・パターン上に自己集合化された球形ブロック共重合体を用いることによって、24nm/48nm/72nm/96nmの周期を持つ基板ドット・アレイによって誘導される24nmピッチ(0.20テラ・ドット/平方センチメートル(1.3テラ・ドット/平方インチ))を持つ高度にアドレス指定可能なブロック共重合体ドット・アレイが作製された。更に、誘導による0.31テラ・ドット/平方センチメートル(2テラ・ドット/平方インチ)よりも高密度のドット・アレイが実証された。この例で、ドットは図5のアレイ・フォーマット状に配置されている。
【0042】
垂直を向いた円筒形のブロック共重合体についても研究がなされているが、円筒形のブロック共重合体の場合には、基板/共重合体界面および共重合体/空気界面の両方に対して垂直なドメイン方向を実現するために、中性の表面ウェット状態が必要とされる。1つの態様で、本発明は、アドレス指定可能なドット・アレイを生成するために中性の表面ウェット条件を気にすることなしに球形のブロック共重合体を含み、それは熱力学的平衡状態にあって本質的に低い欠陥密度を持ち、長時間の安定性を持つ。
【0043】
図12は、発明の1つの態様に従うパターン媒体の一部の顕微鏡写真である。図12は、3×の周期を持つ六角形の基板パターンによって誘導された0.2テラ・ドット/平方センチメートル(1.3テラ・ドット/平方インチ)の球形PS−PDMSブロック共重合体パターンを示している。
【0044】
図13は、図12に示されたものと類似のパターン媒体の一部の模式的断面図である。図13の例で、化学的にコントラスト付けされた表面72を持つ基板70は、重合体ブラシ層74と、重合体ブラシ層中の開口部76、78とを含む。ブロック共重合体80は、化学的にコントラスト付けされた表面上に堆積される。ブロック共重合体は、第2の要素90中に、第1の要素の本質的に球形の複数のドメイン82、84、86および88を含む。ドメイン82および88は基板に対して親和性を持ち、そのためブラシ重合体層の開口部の場所に形成される。
【0045】
図14は、第2の要素を実質的に除去したあとの、図13のパターン媒体の一部の模式的断面図である。
【0046】
発明の別の態様では、基板の化学パターンを円筒形ブロック共重合体と組み合わせることによって、高度に秩序立った高密度のライン・パターンを作製できる。図15は、基板ドット・パターンによって誘導された円筒形のポリ(スチレン−ジメチルシロキサン)(PS−PDMS)ブロック共重合体パターンの顕微鏡写真である。図15は、下層の基板パターンなしでの、パターニングされた部分92とパターニングされていない部分94とを示している。パターニングされていないエリアには、明瞭なドメインの配向がない。
【0047】
基板上の化学コントラスト・パターンには、図16に示されるような複数のドット96が含まれている。図16のパターンで、n=1,2,...,5についてLs=n√3Lo(±10%)であり、ここでLoは自然な(すなわち、未誘導の)ブロック共重合体パターンの周期である。パターン化された表面に円筒形のブロック共重合体が堆積されると、円筒はパターンのドットに付着し、パターン化表面に対して実質的に平行に並ぶ。
【0048】
図17、18および19は、発明の1つの態様による、円筒形のブロック共重合体によって構築されたパターン媒体の断面の模式図である。
【0049】
図17は、トラックに交差する方向の断面模式図を示す。図17の例で、化学的にコントラスト付けされた表面102を持つ基板100は、重合体ブラシ層104と、重合体ブラシ層中の開口部106とを含む。円筒形ブロック共重合体108は、化学的にコントラスト付けされた表面上に堆積される。ブロック共重合体は、第2の要素116中に、第1の要素の実質的に円筒形の複数のドメイン110、112および114を含む。ドメイン110および114は基板に対して親和性を有し、従ってブラシ重合体層の開口部の場所に形成される。
【0050】
図18は、第2の要素を実質的に除去したあとの図17のパターン媒体の一部の模式的断面図である。
【0051】
図19は、トラックの下流方向での図18の構造の断面模式図である。
【0052】
ブロック共重合体材料は、2つの(あるいはそれよりも多い)高度に不混和性のブロック/要素、AおよびB(あるいはそれより多い)を持つ任意の球形(ナノ構造のドット・アレイに対して)又は円筒形(ナノ構造のドット又はライン・アレイに対して)のブロック共重合体でよく、それは、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)(〜20−25nmまでの小ささ)、ポリ(スチレン−ジメチルシロキサン)(PS−PDMS)(〜10nmまでの小ささ)、ポリスチレン−ポリ(エチレン酸化物)(PS−PEO)(〜15nmまでの小ささ)、PS−P2VP(〜12nmまでの小ささ)、ポリスチレン−ブロック−ポリ(4−ビニルピリジン)(PS−P4VP)(〜15nmまでの小ささ)等、25nm以下のドメイン間隔を持つナノ構造を形成することができる。
【0053】
一例で、ブロック共重合体ナノ構造は、1つの要素/ブロックがコバルト、鉄などの磁性元素を含む場合、そのまま記録媒体として利用できる。
【0054】
自己集合化ナノドメインは、図20に示されるように、規則的なビット・パターンと不規則なサーボ・パターンの両方を含むBPMナノインプリントのテンプレート作製に統合できる。
【0055】
図20は、発明の1つの態様に従うデータ記録用ディスク・テンプレート120の模式図である。ディスク・テンプレートは複数のトラック122を含むが、そのうちの1つだけが示されている。各トラックは複数のデータ・ビット・エリア124および複数のサーボ・エリア126を含む。データ・ビット・エリアはここに説明したプロセスを用いて作製できる。サーボ・エリアは電子ビーム描画などのリソグラフィ・プロセスを用いて作製できる。
【0056】
図21は、ビット・パターンとサーボ・パターンの両方を含むBPMテンプレート作製において、誘導された自己集合化ブロック共重合体ナノ構造を用いる方法を示すプロセス・フロー図である。この方法で、サーボ・エリアのサーボ・パターンを生成するために電子ビーム描画(EBW)が用いられ、また自己集合材料/プロセスを用いてビット・エリアに高密度のドット・アレイが作製された。ブロック130は、その方法が基板を薄い重合体ブラシ層で被覆することからスタートすることを示している。一例では、薄い重合体ブラシ層は約1nmから約10nmの厚さを有することができる。
【0057】
薄い重合体ブラシ層は、次に例えば、約20nmから約50nmの厚さを有するフォトレジスト層で被覆される。フォトレジストは、規則的なドット・パターン(ビット・エリアにおいて)および不規則なサーボ・パターン(サーボ・エリアにおいて)を含むように、既知の方法を用いてパターニングできる。フォトレジストは、例えば電子ビーム・リソグラフィ、光リソグラフィ等を用いてパターニングできる(ブロック132)。
【0058】
次に、第1の蒸着およびリフトオフ・プロセスを用いて、ビットおよびサーボ・エリアの両方に第1のハード・マスク・パターンを形成できる(例えば、クロム、タンタル等を用いて)。
【0059】
ビット・エリアの規則的なドット・パターンは、後に取り付けられるブロック共重合体パターンを誘導するための基板パターンとして利用され、またサーボ・エリアの不規則なサーボ・パターンは最終的なサーボ・パターンとして利用される(ブロック134)。
【0060】
ブロック136は、ブロック共重合体が被覆され、アニールされて(例えば、熱的/溶解プロセスを介して)、先に形成されたハード・マスク・ドット・パターンによって誘導されたビット・エリアの高度に秩序化されたブロック共重合体パターンを形成することを示す。
【0061】
ブロック138は、第2の蒸着およびリフトオフ・プロセスを用いて、ビット・エリアに第2のハード・マスク・パターンを形成することを示しているが、これはいくつかのスポットにおいて第1のハード・マスク・パターンと部分的に重なり合う。
【0062】
次に、ビット・パターン(第2のハード・マスク・パターンから)およびサーボ・パターン(第1のハード・マスク・パターンから)を含む最終的なハード・マスク・パターンがエッチング(又はその他の方法)によって基板(これは、紫外(UV)インプリントについては石英でよい)に転送され、そしてすべてのハード・マスク・パターンは、ブロック140に示されるようにウェット・エッチングによって除去できる。
【0063】
図21に示された方法は、ビット・パターン(規則的な周期、高いパターン密度、単一形状、密なサイズ/位置シグマを有する)およびサーボ・パターン(これは不規則又は規則的のいずれでもよく、中程度から高程度のパターン密度、柔軟な形状等を有する)の両方を含むBPMナノインプリント・マスタ・テンプレートの作製と統合できる。誘導される自己集合化パターンをビット・エリアに利用することができ、また電子ビームで定義されるパターンをサーボ・エリアに利用することができる。
【0064】
ブロック共重合体は、2つの有機ブロック(例えばポリスチレン−ブロック−ポリメチルメタクリレート)、あるいは1つの有機ブロックと1つの無機ブロック(例えばポリスチレン−ブロック−ポリジメチルシロキサン)を含むことができる。ドメインの1つは、UV分解とそれに続くウェット・リンスによって除去できる。例えば、UVに露光されると、ポリメチルメタクリレートは劣化し、他方ポリスチレンは交差結合を起こす。別の例では、有機および無機のハイブリッド・ブロック共重合体において有機成分を除去するために酸素プラズマを利用することができる。無機ブロック(すなわち、ポリジメチルシロキサン)は酸素プラズマに対して良好な耐性を有する。
【0065】
一例では、球形のブロック共重合体は、非常に高いパターン密度を持つ高度に秩序立った高密度のドット・アレイを生成するために、特別に設計されたドット・パターン・レイアウトを持つ化学コントラスト基板パターンによって誘導される。
【0066】
別の例では、円筒形のブロック共重合体は、高いパターン密度を持つ高度に秩序化されたライン・アレイを生成するために、特別に設計されたドット・パターン・レイアウトを持つ化学コントラスト基板パターンによって誘導される。
【0067】
1つの態様では、上で述べた誘導式の自己集合法を用いて生成された高度に秩序立ったドット・アレイは、サーボ・パターンおよびビット・パターンの両方を含むフル・ディスクのBPMテンプレートを作製するための電子ビーム・リソグラフィ・プロセスと統合できる。
【0068】
別の態様では、本発明はここに述べた方法の1つを用いて作製された装置を提供する。
【0069】
発明についていくつかの例を挙げて説明してきたが、当業者には明らかなように、以下の請求項によって定義される発明の範囲から外れることなく、各種変更を開示された例に対して施すことが可能である。上で述べた実施およびその他の実施は請求項の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10 ディスク
12 基板
14 表面パターン
16 領域
18 表面
20 パターン
22 ドメイン
30 ブロック共重合体
32 主要素
34 副要素
40 化学的にパターニングされた基板
42 重合体ブラシ層
44 表面
46,48 開口部
50 基板
52 重合体ブラシ層
54 表面
56,58 ナノポスト
70 基板
72 化学的にコントラスト付けされた表面
74 重合体ブラシ層
76,78 開口部
80 ブロック共重合体
82,84,86,88 第1要素のドメイン
90 第2要素
92 パターニングされた部分
94 パターニングされていない部分
96 ドット
100 基板
102 化学的にコントラスト付けされた表面
104 重合体ブラシ層
106 開口部
110,112,114 第1要素の円筒形ドメイン
116 第2要素
120 データ記録ディスク・テンプレート
122 トラック
124 データ・ビット・エリア
126 サーボ・エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板を提供する工程と、
基板の少なくとも一部に自己集合化材料を堆積させる工程であって、該自己集合化材料の実質的に球形のドメインの位置および/又は向きは、ナノ構造パターンを形成するように前記アライメント構造によって誘導され、前記アライメント構造の周期は前記球形のドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある工程と、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記アライメント構造は前記球形のドメインよりも小さい前記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記アライメント構造は周期Lsで配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、n=1,2,...,10についてLs=nLo(±10%)である前記方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記アライメント構造は周期Lsで配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、n=1,2,...,5についてLs=n√3Lo(±10%)である前記方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記アライメント構造は平均周期<Ls>で配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、<Ls>は約2Loから約10Loの範囲にある前記方法。
【請求項6】
複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板と、
基板の少なくとも一部上の自己集合化材料であって、該自己集合化材料の実質的に球形のドメインの位置および/又は向きは、ナノ構造パターンを形成するように前記アライメント構造によって誘導され、前記アライメント構造の平均間隔は前記球形のドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある自己集合化材料と、
を含む装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記アライメント構造は前記球形のドメインよりも小さい前記装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記アライメント構造は周期Lsで配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、n=1,2,...,10についてLs=nLo(±10%)である前記装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、前記アライメント構造は周期Lsで配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、n=1,2,...,5についてLs=n√3Lo(±10%)である前記装置。
【請求項10】
請求項6に記載の装置であって、前記アライメント構造は平均周期<Ls>で配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、<Ls>は約2Loから約10Loの範囲にある前記装置。
【請求項11】
複数の分離した化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板を提供する工程と、
前記複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造の少なくとも一部に自己集合化材料を堆積させる工程であって、該自己集合化材料の実質的に円筒形のドメインの位置および/又は向きは、薄層状パターンを形成するように前記アライメント構造によって誘導され、前記アライメント構造の周期は前記円筒形のドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある工程と、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記アライメント構造は少なくとも1つの方向において前記円筒形のドメインよりも小さい前記方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記アライメント構造は周期Lsで配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、n=1,2,...,5についてLs=n√3Lo(±10%)である前記方法。
【請求項14】
複数の分離した化学的にコントラスト付けされたアライメント構造を有する基板と、
前記複数の化学的にコントラスト付けされたアライメント構造の少なくとも一部の上の自己集合化材料であって、該自己集合化材料の実質的に円筒形のドメインの位置および/又は向きは、薄層状パターンを形成するように前記アライメント構造によって誘導され、前記アライメント構造の平均間隔は前記円筒形のドメインの周期の約2倍から約10倍の間にある前記自己集合化材料と、
を含む装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記アライメント構造は少なくとも1つの方向において前記円筒形のドメインよりも小さい前記装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、前記アライメント構造は周期Lsで配置されており、前記自己集合化材料は自然な周期Loを有し、n=1,2,...,5についてLs=n√3Lo(±10%)である前記装置。
【請求項17】
基板のサーボ・エリアに第1の間隔を置いた複数のドットを形成する工程と、
リソグラフィ・プロセスを用いて基板のビット・エリアに第2の間隔を置いた複数のドットを形成する工程と、
前記ビット・エリアの少なくとも一部に自己集合化材料を堆積させる工程であって、該自己集合化材料のドメインの位置および/又は向きは、前記ビット・エリアにナノ構造パターンを形成するように第2の間隔を置いた複数のドットによって誘導される工程と、
を含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、リソグラフィ・プロセスを用いて基板のビット・エリアに第2の間隔を置いた複数のドットを形成する前記工程は、基板を重合体ブラシ層によって被覆し、該重合体ブラシ層をパターニングすることによって実施される前記方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記自己集合化材料のドメインは、球形のドメインを含む前記方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、自己集合化材料のドメインは円筒形のドメインを含み、前記ナノ構造パターンは、薄層状パターンを含む前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図12】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−123239(P2010−123239A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−264096(P2009−264096)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】