説明

直接トロンビン阻害剤に関する新規適応

本発明は、CNS及び他の分野における、直接トロンビン阻害剤、例えばダビガトランエテキシレートに関する新規適応に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、直接トロンビン阻害剤(DTI)に関する新規適応、前記病気を治療するための医薬組成物の調製方法及びその治療方法に関する。
【0002】
本発明の直接トロンビン阻害剤は;
(1)以下の構造を有するダビガトラン(dabigatran)として知られる1-メチル-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-ヒドロキシカルボニルエチル)-アミド;
【化1】


(2)以下の構造を有するダビガトランエテキシレート(dabigatran etexilate)として知られる、エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート;
【化2】

【0003】
(3)以下の構造を有する、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド;
【化3】

(4)メラガトラン(melagatran)(イノガトラン(inogatran))、
(5)キシメラガトラン(ximelagatran)、
(6)ヒルジン(hirudin)、
(7)ヒロログ(hirolog)及び
(8)アルガトロバン(argatroban)、
及び任意でこれらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグを含む。
【0004】
好ましい直接トロンビン阻害剤は、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート及び1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、及びこれらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物及びプロドラッグである。
より好ましくは、ダビガトラン及びダビガトランエテキシレート、及びこれらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物及びプロドラッグである。
最も好ましくは、ダビガトランエテキシレート、及びこれらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物及びプロドラッグであり、特に、メタンスルホン酸との酸付加塩である。
【0005】
全ての活性成分は、治療効量で使用されるべきである。
活性化合物(1)から(3)は、先行技術、例えばWO98/37075及びWO04/014894で開示されている。ダビガトランエテキシレートとメタンスルホン酸の酸付加塩が、WO03/074056に記載されている。ダビガトランエテキシレートの付加塩は、実験の項目に記載されている。ダビガトランエテキシレートとメタンスルホン酸の酸付加塩の具体的な多形体及び半水化物が、WO2005/028468で記載されている。ダビガトランエテキシレートを含んだ医薬組成物の例が、WO 03/074056、WO 2005/018615及びWO 2005/023249で開示されている。
上記医薬品のプロドラッグは、例えばインビボで開裂することができる1以上の基、特にインビボでカルボキシ基に転換できる基及び/又はインビボでイミノ又はアミノ基から開裂できる基を含んだ誘導体である。インビボで開裂できる2つの基を含んだ化合物は、いわゆるダブルプロドラッグ(double prodrug)である。インビボでカルボキシ基に転換できる基及びインビボでイミノ又はアミノ基から開裂できる基は、参照により本明細書に取り込まれるWO98/37075、さらに、具体的な抗トロンビン剤との関係で前に参照した他のWO公報で開示されている。
【0006】
本発明の直接トロンビン阻害剤は、それぞれの化合物に起因して、このような形体が存在する限り、互変異性体、光学異性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物又は水和物から選択される形体で使用して良いと解される。多数のエナンチオマーが存在する場合、実質的に純粋なエナンチオマーの形体で使用することが好ましい。
上で列挙した直接トロンビン阻害剤の薬理学的に許容される酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩から成る群より選択され、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩から成る群より選択される塩を含む。
いくつかの直接トロンビン阻害剤は、1より多い当量の酸、例えば2当量の酸を添加して良い。塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、安息香酸及び酢酸の塩が、とりわけ好ましい。
【0007】
好ましい態様は、ダビガトランエテキシレートと、塩酸、マレイン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホ酸及びマロン酸の塩、これらのエナンチオマー、混合物及び水和物である。特に好ましくは、酒石酸、サリチル酸、メタンスルホン酸及びクエン酸、加えてこれらのエナンチオマー、混合物及び水和物である。最も好ましい塩は、ダビガトランエテキシレートのメタンスルホン酸付加塩である。
以下の用語は、同義的に使用される:
塩酸との塩−塩酸塩、
マレイン酸との塩−マレイン酸塩、
酒石酸との塩−酒石酸塩、
サリチル酸との塩−サリチル酸塩、
クエン酸との塩−クエン酸塩、
マロン酸との塩−マロン酸塩、
メタンスルホン酸との塩−メタンスルホン酸塩。
【0008】
本発明の範囲内にある直接トロンビン阻害剤に対するいかなる参照も、前記(1)から(8)の化合物から選択されるいかなる具体的な直接トロンビン阻害剤に対する参照として理解されるべきである。
本発明の好ましい態様は、活性物質であるエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート、その塩、エナンチオマー、混合物及び水和物の新規適応に関する。この活性物質は以下の化学式を有し;
【0009】
【化4】

1-メチル-2-[N-[4-(N-n-ヘキシルオキシカルボニルアミジノ)フェニル]-アミノ-メチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-N-(2-ピリジル)-N-(2-エトキシカルボニルエチル)-アミドの名称の下、トロンビン阻害及びトロンビンの活性を遅延させる化合物を開示するWO98/37075で既に知られている。式Iの化合物は、以下の化合物のダブルプロドラッグであり;
【化5】

すなわち、式Iの化合物は、体内において最初に実際に活性な化合物に、すなわち式IIの化合物に転換される。化学式Iの化合物に関する適応の主なタイプは、深部静脈血栓症の術後の予防及び脳梗塞の予防である。
【0010】
驚くべき事に、直接トロンビン阻害剤、例えばダビガトランエテキシレートは、深部静脈血栓症の術後の予防及び脳梗塞の予防に対して効果的に使用できるだけでなく、他の病気の予防及び/又は治療のために適切でもある。
従って、本発明は、任意でその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの形態であっても良い、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、メラガトラン(イノガトラン)、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ及びアルガトロバンから成る群より選択される化合物の、以下から成る群より選択される病気の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための使用に関する:
神経変性病、特にアルツハイマー病、脳の毛細血管(brain micro vessel)の病気、PAR1からPAR4受容体を介して誘導される病気及びトロンビンにより誘発される酸化的ストレス。
【0011】
他の好ましい態様において、本発明は、血液病、ヘパリンが誘導する血小板減少症(thrombocythompenia)、播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、血栓症、癌に罹患した患者における多剤化学療法における血栓症から選択される病気の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、ガン、特に肺ガン、膵臓ガンの治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、中心静脈血栓症(CVT)の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した患者におけるHIV脳炎の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
【0012】
他の好ましい態様において、本発明は、リウマチ様疾患(rheumatoid disorder)、特に関節リウマチ及び全身性エリテマトーデス(SLE)の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、耳鳴りの治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
他の好ましい態様において、本発明は、腎臓病、特に、慢性腎臓病患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)及び糖尿病及びタンパク尿症患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
これらの病気の治療及び/又は予防に加えて、上記トロンビン阻害剤は、上記病気(例えばVTE、PE)により引き起こされる事象の予防及び/又は治療に対して有用であり、器官又は部位に対する血流を最適化し、及び/又は病気の直接的な治療のために適切である。
【0013】
好ましい態様は、上記及び(resp.)以下の病気のいずれか1つに関連するVTEの治療又は予防用の医薬品を調製するための、本発明による直接トロンビン阻害剤の使用である。
好ましい適応は以下のものである:
1)CNS-分野
a.神経変性病 (例えば、アルツハイマー病)
b.脳の毛細血管の病気
c.PAR1からPAR4受容体を介して誘導される病気
d.トロンビンにより誘発される酸化的ストレス
2)血液学
a.ヘパリンが誘導する血小板減少症
b.上昇した血液凝固パラメーターを有する患者(例えば、PAI1)
3)ガン
a.ガン、特に肺ガン又は膵臓ガンの治療及び/又は予防及び/又は二次的な予防
b.多剤化学療法における血栓症の予防、
c.ガン患者、特に肺ガン患者又は膵臓ガン患者における血栓症の予防
d.ガン患者、特に肺ガン患者又は膵臓ガン患者における血栓症の治療
e.単独治療又は抗ガン剤と組み合わせた治療としての死亡率の低下
【0014】
4)オフタモロジー(ophtamology)
a.中心静脈血栓症(CVT)、
5)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)患者
a.HIV脳炎
6)リューマチ様疾患
a.関節リューマチ
b.全身性エリテマトーデス(SLE)
7)移植を受けた患者
8)耳鳴り
9)腎臓病
a.慢性腎臓病患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)
b.糖尿病及びタンパク尿症患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)
【0015】
他の態様において、本発明は、VTEに関連した上記病気の1又はいくつかのものの治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための、上記化合物の使用に関する。
任意でその薬理学的に許容される酸付加塩の形態で使用しても良い直接トロンビン阻害剤は、固体、液体又はスプレー形態の通常の医薬品に取り込んで良い。組成物は、例えば、経口、局所、舌下、直腸、非経口的投与又は鼻腔吸引に適切な形態で存在して良い:好ましい形態は、例えば、カプセル、錠剤、被覆錠剤、アンプル、坐剤及び鼻腔スプレーを含む。
活性成分は、医薬組成物に通常使用される賦形剤又はキャリアー、例えばタルク、アラビアゴム、ラクトース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、水性又は非水性ビヒクル、ポリビニルピロリドン、脂肪酸の半合成グリセリド、塩化ベンザルコニウム、ナトリウムホスフェート、EDTA、ポリソルベート80中に取り込んで良い。組成物は、投与単位に有利に処方され、各投与単位を調節して活性成分の一回投与量を供給する。1日あたりの適用可能な投与範囲は、0.1mgから600mg、好ましくは50mgから300mg/日である。各投与単位は、0.1mgから200mg、好ましくは50mgから150mgを便利に含んで良い。
【0016】
適切な錠剤は、例えば、活性物質と公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース、錠剤分解物質、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸、結合剤、例えばデンプン又はゼラチン、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク及び/又は遅延放出のための薬剤、例えばカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート又はポリビニルアセテートを混合することにより得て良い。さらに錠剤はいくつかの層から成って良い。
被覆錠剤は、錠剤と同じように製造したコアを、錠剤を被覆するために通常使用される物質、例えばコリドン又はシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することにより調製して良い。遅延放出を達成し又は不適合を避けるため、コアは多くの層から成っても良い。同様に、錠剤の被覆は場合により上記錠剤用の賦形剤を用いて多くの層から成り、遅延放出を達成しても良い。
【0017】
本発明の活性物質又はその組み合わせを含んだシロップ又はエリキシルは、付加的に甘味料、例えばサッカリン、チクロ、グリセロール又は糖、及び香りを向上させる物質、例えば香料、例えばバニリン又はオレンジエキスを含んでも良い。これらは更に、懸濁助剤又は増粘剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、湿潤剤、例えば脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、又は防腐剤、例えばp-ヒドロキシベンゾエートを含んでも良い。
注射のための溶液は通常の方法、例えば防腐剤、例えばp-ヒドロキシベンゾエート、又は安定化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩を添加して調製し、次いで注射バイアル又はアンプルに移す。
1以上の活性物質又はこれらの組み合わせを含んだカプセルは、例えば、活性物質と不活性なキャリアー、例えばラクトース又はソルビトールを混合し、次いでゼラチンカプセルに充填することにより調製して良い。
適切な坐剤は、例えばこの目的で提供されるキャリアー、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はその誘導体と混合することにより製造して良い。
【0018】
以下の例は、本発明の範囲を制限することなく本発明を説明する:
出発材料であるダビガトランエテキシレート(エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート)は、例えば、国際出願WO98/37075実施例113に記載されているように調製して良い。
【0019】
実施例1
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの塩酸塩
125mg(1.59mmol)の塩化アセチルを、攪拌しながら5mlエタノールに添加した。次いで、結果得られた溶液を、1.0g(1.59mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの溶液に対して室温で滴下して添加し、次いで更に2時間攪拌した。次いで、混合物を完全に蒸発させ、残渣をまず第一に約5mlの酢酸エチルを添加した後に粉砕し、吸引濾過し
次いで約10mlのアセトン中で一晩攪拌し、吸引濾過し、少量のアセトン及びジエチルエーテルで洗浄し、次いで60℃で真空乾燥した。
収率:理論上86%
融点:135℃
【0020】
実施例2
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのクエン酸塩
10mlの酢酸エチルに溶解させた210mg(1.0mmol)のクエン酸水和物を、45mlの酢酸エチル中の628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの溶液に対して攪拌しながら室温で滴下して添加した。黄色の沈殿物が形成した。混合物を一晩攪拌し、次いで生成物を吸引濾過し、少量の酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、次いで約50℃で真空乾燥した。
収率:理論上83%
融点:約170℃(分解を伴う)
【0021】
実施例3
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの酒石酸塩
5mlの無水エタノールに溶解させた150mg(1.0mmol)のL(+)-酒石酸を、50mlの酢酸エチル中の628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの溶液に対して攪拌しながら室温で滴下して添加した。微細な沈殿物が形成した。懸濁液を更に2時間攪拌し、次いで生成物を吸引濾過し、少量の冷やした酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、約50℃で真空乾燥した。
収率:理論上72%
融点:約160℃(分解を伴う)
【0022】
実施例4
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのマロン酸塩
10mlの酢酸エチルに溶解させた104mg(1.0mmol)のマロン酸を、50mlの酢酸エチル中の628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの溶液に対して攪拌しながら室温で滴下して添加した。約1時間後、微細な沈殿物が形成した。懸濁液を更に3時間攪拌し、次いで生成物を吸引濾過し、少量の冷やした酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、次いで約50℃で真空乾燥させた。
収率:理論上79%
融点:100℃
【0023】
実施例5
エチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのマレイン酸塩
10mlの酢酸エチルに溶解させた116mg(1.0mmol)のマレイン酸を、50mlの酢酸エチル中の628mg(1.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(アミノ-ヘキシルオキシカルボニルイミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートの溶液に対して攪拌しながら室温で滴下して添加した。沈殿物が形成した。懸濁液をさらに3時間攪拌し、次いで生成物を吸引濾過し、少量の冷やした酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、次いで約50℃で真空乾燥させた。
収率:理論上93%
融点:120℃
【0024】
実施例6
エチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネートのサリチル酸塩
20mlの酢酸エチル中の1.38g(10.0mmol)のサリチル酸溶液を、45mlのアセトン中の6.28g(10.0mmol)のエチル3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオネート塩基(WO98/37075で記載されるように調製した)の溶液に対して35-40℃で攪拌しながら滴下して添加した。数分の後、生成物が結晶化し、次いでこれを65mlのアセトンで希釈した。30分以内に、混合物を室温まで冷却し、次いで沈殿物を吸引濾過し、約40mlのアセトンで洗浄し、次いで40℃の循環空気乾燥機中で乾燥させた。
収率:理論上94%
融点:155℃
【0025】
実施例7
10mlあたり75mgの活性物質を含んだドライアンプル
組成:
活性物質 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射のための水 10.0mlを添加
調製:
活性物質及びマンニトールを、水に溶解させる。充填後、溶液を凍結乾燥させる。すぐに注射のために使える溶液を製造するため、生成物を水に溶解させる。
【0026】
実施例8
2mlあたり35mgの活性物質を含んだドライアンプル
組成:
活性物質 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射のための水 2.0mlを添加
調製:
活性物質及びマンニトールを水に溶解させる。充填後、溶液を凍結乾燥させる。すぐに注射のために使える溶液を製造するため、生成物を水で溶解させる。
【0027】
実施例9
50mgの活性物質を含んだ錠剤
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)ラクトース 98.0mg
(3)トウモロコシデンプン 50.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を共に混合し、(4)の水溶液を用いて粒にする。(5)を乾燥させた粒にした材料に添加する。この混合物から、2平面で、両側をカットされ、一側面に分割の切り込みを有した錠剤を圧縮する。
錠剤の直径:9mm
【0028】
実施例10
350mgの活性物質を含んだ錠剤
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)ラクトース 136.0mg
(3)トウモロコシデンプン 80.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 30.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
600.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を共に混合し、(4)の水溶液を用いて粒にする。(5)を乾燥させた粒にした材料に添加する。この混合物から、2平面で、両側をカットされ、一側面に分割の切り込みを有した錠剤を圧縮する。
錠剤の直径:12mm
【0029】
実施例11
50mgの活性物質を含んだカプセル
組成:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乾燥させたトウモロコシデンプン 58.0mg
(3)粉末にしたラクトース 50.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
調製:
(1)を(3)と共に粉砕する。この粉砕物を、激しく混合しながら(2)と(4)の混合物に添加する。この粉末混合物をサイズ3硬ゼラチンカプセル中にカプセル充填器で充填させる。
【0030】
実施例12
350mgの活性物質を含んだカプセル
組成:
(1)活性物質 350.0mg
(2)乾燥させたトウモロコシデンプン 46.0mg
(3)粉末にしたラクトース 30.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
430.0mg
調製:
(1)を(3)と共に粉砕する。この粉砕物を、激しく混合しながら(2)と(4)の混合物に添加する。この粉末混合物をサイズ0硬ゼラチンカプセル中にカプセル充填器中で充填させる。
【0031】
実施例13
100mgの活性物質を含んだ坐剤
1つの坐剤が以下を含む:
活性物質 100.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.1500) 600.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.6000) 460.0mg
ポリエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
【0032】
実施例14

【0033】
実施例15

実施例14及び15のペレットの処方及び構造は、WO03/074056に詳細に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意でその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの形態であっても良い、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、メラガトラン(イノガトラン)、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ及びアルガトロバンから成る群より選択される化合物の、以下から成る群より選択される病気の治療及び/又は予防用の医薬品を調製するための使用:
神経変性病、
脳の毛細血管の病気、
PAR1からPAR4受容体を介して誘導される病気、
トロンビンにより誘発される酸化的ストレス、
血液病、
ヘパリンが誘導する血小板減少症、
ガンの病気、
多剤化学療法における血栓症、
中心静脈血栓症(CVT)、
HIV脳炎、
リューマチ性疾患(rheumatoid disorder)、
耳鳴り、
腎臓病。
【請求項2】
神経変性病が、アルツハイマー病である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ガンの病気が、肺ガン及び膵臓ガンである、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
リューマチ性疾患が、関節リューマチ及び全身性エリテマトーデス(SLE)から成る群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
腎臓病が、慢性腎臓病患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)又は糖尿病及びタンパク尿症患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
病気がVTEに関係する、請求項1から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
化合物が、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート及び1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミドから成る群より選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
化合物が、ダビガトラン及びダビガトランエテキシレート又はこれらの薬理学的に許容される酸付加塩から成る群より選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
化合物が、ダビガトランエテキシレート又はその薬理学的に許容される酸付加塩である、請求項1から8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
化合物が、ダビガトランエテキシレートとメタンスルホン酸の酸付加塩である、請求項1から9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
化合物が、1日あたり0.1mgから600mgの投与範囲で適用される、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
以下から成る群より選択される病気の治療及び/又は予防方法であって、任意でその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの形態であっても良い、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート、1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミド、メラガトラン(イノガトラン)、キシメラガトラン、ヒルジン、ヒロログ及びアルガトロバンから成る群より選択される化合物の治療効量を、必要とする患者に対して投与する工程を含む方法;
神経変性病、
脳の毛細血管の病気、
PAR1からPAR4受容体を介して誘導される病気、
トロンビンにより誘発される酸化的ストレス、
血液病、
ヘパリンが誘導する血小板減少症、
ガンの病気、
多剤化学療法における血栓症、
中心静脈血栓症(CVT)、
HIV脳炎、
リューマチ性疾患(rheumatoid disorder)、
耳鳴り、
腎臓病。
【請求項13】
神経変性病がアルツハイマー病である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
リューマチ性疾患が、関節リューマチ及び全身性エリテマトーデス(SLE)から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ガンの病気が、肺ガン及び膵臓ガンから成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
腎臓病が、慢性腎臓病患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)又は糖尿病及びタンパク尿症患者におけるタンパク尿(尿アルブミン排出)である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
病気がVTEに関係する、請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
化合物が、ダビガトラン、ダビガトランエテキシレート及び1-メチル-2-[4-(N-ヒドロキシアミジノ)-フェニルアミノメチル]-ベンズイミダゾール-5-イル-カルボン酸-(N-2-ピリジル-N-2-エトキシカルボニルエチル)-アミドから成る群より選択される、請求項12から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
化合物が、ダビガトラン及びダビガトランエテキシレート又はこれらの薬理学的に許容される酸付加塩から成る群より選択される、請求項12から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
化合物が、ダビガトランエテキシレート又はその薬理学的に許容される酸付加塩である、請求項12から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
化合物が、ダビガトランエテキシレートとメタンスルホン酸の酸付加塩である、請求項12から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
化合物が、1日あたり0.1mgから600mgの投与範囲で適用される、請求項12から21のいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2009−543843(P2009−543843A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519955(P2009−519955)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057256
【国際公開番号】WO2008/009639
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】