説明

直流変換装置

【課題】小型で安価で高効率な直流変換装置。
【解決手段】トランスT1bの1次巻線P1とリアクトルLr1と電流共振コンデンサCriとの第1直列回路と、直流電源Vinの直流電圧を交流電圧に変換して交流電圧を第1直列回路に出力する変換回路と、密結合された第1巻線S20と第2巻線S21,S22とを有するトランスT2と、密結合された第1巻線S30と第2巻線S31,S32とを有するトランスT3と、第1巻線S20と第1巻線S30とリアクトルLcとの閉ループ回路と、トランスT1bの2次巻線S1の両端に、第2巻線S21,S22と第2巻線S31,S32とが直列に接続された第2直列回路と、トランスT2の第2巻線に発生した電圧を整流平滑して第1直流出力を取り出す第1整流平滑回路D3,Co1と、トランスT3の第2巻線に発生した電圧を整流平滑して第2直流出力を取り出す第2整流平滑回路D6,Co2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高効率、小型で安価な直流変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に従来の多出力の直流変換装置を説明するための基本回路である単出力の直流変換装置の回路構成図を示す(特許文献1)。
【0003】
図7に示す直流変換装置は、ハーフブリッジ回路で構成されており、直流電源Vinの両端には、MOSFETからなるスイッチング素子Q1とMOSFETからなるスイッチング素子Q2との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q2のドレインが直流電源Vinの正極に接続され、スイッチング素子Q1のソースが直流電源Vinの負極に接続されている。
【0004】
スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間には、ダイオードD1及び電圧共振コンデンサCrvが並列に接続されるとともに、リアクトルLr1とトランスT1の1次巻線P1と電流共振コンデンサCriとの直列回路が接続されている。リアクトルLr1はトランスT1の1次2次間のリーケージインダクタンスからなり、1次巻線P1には励磁インダクタンスがリアクトルLp1として等価的に接続されている。スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間には、ダイオードD2が並列に接続されている。
【0005】
トランスT1の巻線の巻き始めは、ドット(●)で示している。トランスT1の2次巻線S1の一端(●側)には、ダイオードD3のアノードが接続され、トランスT1の2次巻線S1の他端とトランスT1の2次巻線S2の一端(●側)は平滑用のコンデンサColの一端に接続され、トランスT1の2次巻線S2の他端はダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD3のカソードとダイオードD4のカソードはコンデンサColの他端に接続されている。コンデンサColの両端には負荷Rolが接続されている。
【0006】
制御回路10は、コンデンサColからの出力電圧Voに基づきスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオン/オフさせてPFM制御(周波数制御)を行い、コンデンサColの出力電圧Voが一定になるように制御する。
【0007】
次にこのように構成された従来の直流変換装置の動作を図8に示すタイミングチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図8において、VQ1はスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧、IQ1はスイッチング素子Q1のドレイン電流、VQ2はスイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧、IQ2はスイッチング素子Q2のドレイン電流、VCriは電流共振コンデンサCriの両端電圧、VD3はダイオードD3の両端電圧、ID3はダイオードD3の電流、VD4はダイオードD4の両端電圧、ID4はダイオードD4の電流である。
【0009】
なお、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との両方がともにオフ状態のデットタイムを有し、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが互いにオン/オフ動作するものとする。
【0010】
まず、時刻t0〜時刻t1の期間では、時刻t0において、スイッチング素子Q2がオンからオフになる。スイッチング素子Q2がオンしている状態では、トランスT1の1次側はVin→Q2→Lr1→Lp1→Cri→Vinの経路で電流が流れており、トランスT1の2次側はCo1→Ro1→Co1の経路で電流が流れている。
【0011】
スイッチング素子Q2がオフすると、トランスT1の1次側に流れていた電流は、スイッチング素子Q2から電圧共振コンデンサCrvに転流され、Crv→Lr1→Lp1→Cri→Crvの経路で電流が流れる。
【0012】
従って、電圧共振コンデンサCrvは、スイッチング素子Q2がオンしていた状態ではほぼ直流電源Vinの電圧であったが、0Vまで放電される(以下、直流電源Vinの電圧もVinで示すことにする)。
【0013】
従って、電圧共振コンデンサCrvの電圧はスイッチング素子Q1の電圧VQ1と等しいので、スイッチング素子Q1の電圧VQ1は、Vinから0Vまで減少する。また、スイッチング素子Q2の電圧VQ2は(Vin−VQ1)であるので、0VからVinに上昇する。
【0014】
時刻t1〜時刻t2の期間では、時刻t1において、電圧共振コンデンサCrvの電圧が0Vまで減少すると、ダイオードD1が導通して、D1→Lr1→Lp1(P1)→Cri→D1の経路で電流が流れる。また、トランスT1の2次巻線S2の電圧が出力電圧Voに達し、トランスT1の2次側はCo1→Ro1→Co1の経路の電流とS2→D4→Co1→S2の経路の電流とが流れる。また、時刻t1〜時刻t2の期間において、スイッチング素子Q1のゲート信号をオンすることにより、スイッチング素子Q1はゼロ電圧スイッチング(ZVS)及びゼロ電流スイッチング(ZCS)動作となる。
【0015】
時刻t2〜時刻t3の期間では、時刻t2において、スイッチング素子Q1がオンしているので、Cri→Lp1(P1)→Lr1→Q1→Criの経路で電流が流れ、電流共振コンデンサCriの電圧VCriは減少していく。また、トランスT1の2次側にはS2→D4→Co1→S2の経路の電流と、Co1→Ro1→Co1の経路の電流とが流れる。2次巻線S2の電圧は出力電圧Voの電圧でクランプされ、1次巻線P1の電圧は、出力電圧Voの巻数比の電圧でクランプされるので、トランスT1の1次側はリアクトルLr1と電流共振コンデンサCriとによる共振電流が流れている。
【0016】
時刻t3〜時刻t4の期間では、時刻t3において、2次巻線S2の電圧は出力電圧Vo以下になり、トランスT1の2次側の電流はなくなり、トランスT1の2次側はCo1→Ro1→Co1の経路で電流が流れる。また、トランスT1の1次側はCri→Lp1→Lr1→Q1→Criの経路で電流が流れ、トランスT1の1次側には、2つのリアクトルLr1,Lp1の和(Lr1+Lp1)と電流共振コンデンサCriとによる共振電流が流れる。
【0017】
時刻t4〜時刻t5の期間では、時刻t4において、スイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1の1次側に流れていた電流は、スイッチング素子Q1から電圧共振コンデンサCrvに転流され、Lp1→Lr1→Crv→Cri→Lp1の経路で電流が流れる。
【0018】
従って、電圧共振コンデンサCrvは、スイッチング素子Q1がオンしていた状態では、略0VであったがVinまで充電される。従って、電圧共振コンデンサCrvの電圧はスイッチング素子Q1の電圧VQ1と等しいので、スイッチング素子Q1は0VからVinまで上昇する。また、スイッチング素子Q2の電圧VQ2は、(Vin−VQ1)であるので、Vinから0Vに減少する。
【0019】
時刻t5〜時刻t6の期間では、時刻t5において、電圧共振コンデンサCrvの電圧がVinまで上昇すると、ダイオードD2が導通して、Lp1(P1)→Lr1→D2→Vin→Cri→Lp1(P1)の経路で電流が流れる。また、トランスT1の2次巻線S1の電圧が出力電圧Voに達し、トランスT1の2次側はCo1→Ro1→Co1の経路の電流とS1→D3→Co1→S1の経路の電流とが流れる。また、時刻t5〜時刻t6の期間において、スイッチング素子Q2のゲート信号をオンすることにより、スイッチング素子Q2はゼロ電圧スイッチング及びゼロ電流スイッチング動作となる。
【0020】
時刻t6〜時刻t7の期間では、時刻t6において、スイッチング素子Q2がオンしているので、Vin→Q2→Lr1→Lp1(P1)→Cri→Vinの経路で電流が流れ、電流共振コンデンサCriの電圧VCriは上昇していく。また、トランスT1の2次側にはS1→D3→Co1→S1の経路の電流と、Co1→Ro1→Co1の経路の電流とが流れる。2次巻線S1の電圧は出力電圧Voの電圧でクランプされ、1次巻線P1の電圧は出力電圧Voの巻数比の電圧でクランプされるので、トランスT1の1次側は、リアクトルLr1と電流共振コンデンサCriによる共振電流が流れている。
【0021】
時刻t7〜時刻t8の期間では、時刻t7において、2次巻線S1の電圧は出力電圧Vo以下になり、トランスT1の2次側はCo1→Ro1→Co1の経路で電流が流れる。また、トランスT1の1次側はVin→Q2→Lr1→Lp1→Cri→Vinの経路で電流が流れ、トランスT1の1次側には、2つのリアクトルLr1、Lp1の和(Lr1+Lp1)と電流共振コンデンサCriによる共振電流が流れる。
【0022】
このように図7に示す従来の直流変換装置では、デューティを略50%としたパルス信号を用いて、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のスイッチング周波数を制御することにより、リアクトルLr1、リアクトルLp1と電流共振コンデンサCriによる共振電流を変化させ、出力電圧Voを制御している。このため、スイッチング周波数を高くすると、出力電圧Voは低くなる。
【0023】
また、図7に示すように、この回路方式の出力平滑手段は、コンデンサインプット方式であるので、トランスT1の2次側を多出力に構成する場合には、図9のようにトランスT1aの2次巻線S11,S12以外に別の2次巻線S13,S14を追加し、2次巻線S13,S14の電圧を整流及び平滑することにより簡単に多出力電源回路を構成できる。また、2次巻線S11,S12と2次巻線S13,S14とは密結合であるので、多出力の各出力電圧は巻数比に比例した電圧が取り出せ、クロスレギュレーションも良好である。
【0024】
このようにトランスT1の2次側の出力電圧Voは2次側の巻数比に比例した電圧となるので、トランスT1の2次側の巻数が多ければ多いほど、細かく出力電圧を設定することができる。
【特許文献1】特開2003−319650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、従来の回路では、図8に示すように、2次側のダイオードD3,D4に流れる電流ID3,ID4は、共振コンデンサCriとリアクトルLr1との共振電流により正弦波状の電流が流れる。この正弦波状の電流は平滑コンデンサCo1にリップル電流として流れるため、出力電流が大きい場合、平滑コンデンサCo1にも大きなリップル電流が流れる。例えば、2つの2次側出力電圧が5V10Aと24V2.1Aと50Wずつの出力容量とした場合、5V出力のコンデンサには24V出力の約5倍のリップル電流が流れる。
【0026】
また、2次巻線の巻数を多くするとそれに比例して1次巻線も増やさなければならないので、共振回路を構成しているリアクトルLr1にトランスT1の1次巻線及び2次巻線間のリーケージインダクタンスを利用する場合に以下のような問題も発生する。
【0027】
即ち、トランスT1の1次巻線を増やすと、リーケージインダクタンスは巻数の二乗に比例して増加する。また、トランスT1の2次側に送る電力はCri/Lr1の平方根に比例し、動作周波数はCri×Lr1に比例する。
【0028】
従って、動作周波数が一定の場合、出力電力は電流共振コンデンサCriに比例する。出力容量が大きな電源回路を構成する場合、電流共振コンデンサCriを大きくする必要があるが、動作周波数を一定にする場合は、電流共振コンデンサCriを大きくするに伴ってリアクトルLr1を小さくする必要がある。リアクトルLr1を小さくするには、1次巻線を減少する必要があり、出力電力が大きい電源回路を構成しようとすると2次巻線が小さくなり、精度良く2次側巻数比を選ぶことが困難になる。
【0029】
このため、従来回路構成では、ゼロボルトスイッチング(ZVS)及びゼロカレントスイッチング(ZCS)により、高効率で低ノイズの電源が構成でき、2次側を他出力電源とした電源回路も構成できる。
【0030】
しかしながら、リアクトルLr1にトランスT1の1次巻線及び2次巻線間のリーケージインダクタンスを使用し、2次側トータル電力が大きな多出力電源回路を構成した場合には、平滑コンデンサCo1に流れる電流が正弦波状であるため、平滑コンデンサCo1に流れるリップル電流が大きく、出力電流が大きな出力に対して平滑コンデンサCo1のESRによる発熱やリップル電圧が大きくなる問題が発生する。この問題を解決するため、平滑コンデンサCo1の容量を大きくしたり、平滑コンデンサCo1の本数を増やして問題を解決する。しかし、コストがアップしたり、2次巻線の巻数が少なくなり精度良く巻数比が設定できないという問題があった。従って、低電圧の出力電圧を含む多出力電源回路に対応することができないという課題を有していた。
【0031】
本発明の課題は、低電圧の出力電圧を含む多出力電源回路を構成し、小型で安価で高効率な直流変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、1次巻線と2次巻線とを有する第1トランスと、前記第1トランスの1次巻線と第1リアクトルと電流共振コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、直流電源の直流電圧を交流電圧に変換して該交流電圧を前記第1直列回路に出力する変換回路と、密結合された少なくとも第1巻線と第2巻線とを有する第2トランスと、密結合された少なくとも第1巻線と第2巻線とを有する第3トランスと、前記第2トランスの第1巻線と前記第3トランスの第1巻線と第2リアクトルとが閉ループを構成する閉ループ回路と、前記第1トランスの2次巻線の両端に、前記第2トランスの第2巻線と前記第3トランスの第2巻線とが直列に接続された第2直列回路と、前記第2トランスの第2巻線に発生した電圧を整流平滑して第1直流出力を取り出す第1整流平滑回路と、前記第3トランスの第2巻線に発生した電圧を整流平滑して第2直流出力を取り出す第2整流平滑回路とを備えることを特徴とする。
【0033】
請求項2の発明は、請求項1記載の直流変換装置において、前記第1リアクトルは、前記第1トランスのリーケージインダクタンスからなることを特徴とする。
【0034】
請求項3の発明は、1次巻線と2次巻線とを有する第1トランスと、前記第1トランスの1次巻線と第1リアクトルと電流共振コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、直流電源の直流電圧を交流電圧に変換して該交流電圧を前記第1直列回路に出力する変換回路と、密結合された少なくとも1巻線からなる第1の2次巻線と密結合された少なくとも1巻線からなる第2の2次巻線とを有し、前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線とが互いに疎結合されている第2トランスと、前記第1トランスの2次巻線の両端に、前記第2トランスの第1の2次巻線と前記第2トランスの第2の2次巻線とが直列に接続された第2直列回路と、前記第2トランスの第1の2次巻線に発生した電圧を整流平滑して第1直流出力を取り出す第1整流平滑回路と、前記第2トランスの第2の2次巻線に発生した電圧を整流平滑して第2直流出力を取り出す第2整流平滑回路とを備えることを特徴とする。
【0035】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置において、前記変換回路は、一端が前記直流電源の負極に接続された第1スイッチング素子と、一端が前記第1スイッチング素子の他端に接続され、他端が前記直流電源の正極に接続された第2スイッチング素子と、を備え、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオン/オフして前記直流電源の直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧を前記第1スイッチング素子の両端又は前記第2スイッチング素子の両端に接続された前記第1直列回路に出力することを特徴とする。
【0036】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置において、前記変換回路は、一端が前記直流電源の負極に接続された第1スイッチング素子と、一端が前記第1スイッチング素子の他端に接続され、他端が前記直流電源の正極に接続された第2スイッチング素子と、一端が前記直流電源の負極に接続された第3スイッチング素子と、一端が前記第3スイッチング素子の他端に接続され、他端が前記直流電源の正極に接続された第4スイッチング素子と、を備え、前記第1スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子と、を交互にオン/オフして前記直流電源の直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧を前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点と前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との接続点に接続された前記第1直列回路に出力することを特徴とする。
【0037】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の直流変換装置において、前記第1整流平滑回路の出力電圧に基づき発振周波数を変化させて、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオン/オフさせる制御回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、密結合された第2トランスの第1巻線と密結合された第3トランスの第1巻線と第2リアクトルとの閉ループ回路と、第1トランスの2次巻線の両端に、第2トランスの第2巻線と第3トランスの第2巻線とが直列に接続された第2直列回路とを設けたので、平滑コンデンサに流れる電流を矩形波状にでき、平滑コンデンサに流れるリップル電流を少なく抑え、平滑コンデンサの容量を小さくでき、平滑コンデンサの本数を減らすことができる。
【0039】
また、第1トランスの2次巻線に発生する電圧と出力電圧の関係が、従来の回路より改善されるので、第1トランスの1次巻線及び2次巻線間のリーケージインダクタンスを電流共振リアクトルとして利用でき、低電圧の出力電圧を含む多出力電源回路を構成する場合に、小型で安価で高効率な直流変換装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の直流変換装置のいくつかの実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0041】
図1は本発明の実施例1の直流変換装置の回路構成図である。図1に示す実施例1の直流変換装置は、図7に示す直流変換装置と同様に、ハーフブリッジ回路で構成されている。
【0042】
トランス(第1トランス)T1bは、1次巻線P1と2次巻線S1とを有する。トランス(第2トランス)T2は、結合巻線S20(第1巻線)と変圧巻線S21,S22(第2巻線)とが密結合して構成される。トランス(第3トランス)T3は、結合巻線S30(第1巻線)と変圧巻線S31,S32(第2巻線)が密結合して構成される。
【0043】
結合巻線S20の巻数n20と結合巻線S30の巻数n30との巻数比は、1:1である。変圧巻線S21の巻数n21と変圧巻線S31の巻数n31との巻数比は、1:1である。変圧巻線S22の巻数n22と変圧巻線S32の巻数n32との巻数比は、1:1である。変圧巻線S21の巻数n21と変圧巻線S22の巻数n22との巻数比、及び変圧巻線S31の巻数n31と変圧巻線S32の巻数n32との巻数比は、m:n(m,nは1ではない)である。
【0044】
トランスT1bの2次巻線S1の両端には、トランスT2の変圧巻線S21,S22とトランスT3の変圧巻線S31,S32との第2直列回路が接続されている。トランスT2の結合巻線S20とトランスT3の結合巻線S30とリアクトルLcとが閉ループを構成している。
【0045】
トランスT1bの1次巻線P1とリアクトル(第1リアクトル)Lr1と電流共振コンデンサCriとからなる第1直列回路が設けられている。この第1直列回路、及び電圧共振コンデンサCrvは、MOSFETからなるスイッチング素子(第1スイッチング素子)Q1のドレイン−ソース間に接続されている。MOSFETからなるスイッチング素子(第2スイッチング素子)Q2とスイッチング素子Q1とは直列に接続され、直流電源Vinの両端に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2のドレイン−ソース間には、それぞれダイオードD1,D2が接続されている。
【0046】
なお、第1直列回路、及び電圧共振コンデンサCrvは、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に接続される構成であっても良い。また、ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1.Q2のドレイン−ソース間の寄生容量であっても良く、電圧共振コンデンサCrvは、スイッチング素子Q1,Q2のドレイン−ソース間の寄生容量であっても良い。
【0047】
リアクトルLr1はトランスT1bの1次2次間のリーケージインダクタンスからなり、1次巻線P1には励磁インダクタンスがリアクトルLp1として等価的に接続されている。
【0048】
スイッチング素子Q1,Q2は、変換回路を構成し、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオン/オフして直流電源Vinの直流電圧を交流電圧に変換し、スイッチング素子Q1のソースに接続された電流共振コンデンサCriを介してこの交流電圧を1次巻線P1にリアクトルLr1を介して印加する。なお、電流共振コンデンサCriは、スイッチング素子Q1のドレインに接続される構成であっても良い。
【0049】
トランスT2の出力変圧巻線S21の一端(●側)には、ダイオードD3のアノードが接続され、トランスT2の変圧巻線S21の他端とトランスT3の変圧巻線S31の一端(●側)は平滑用のコンデンサColの一端及び平滑用のコンデンサCo2の一端に接続され、トランスT3の変圧巻線S31の他端及びトランスT3の変圧巻線S32の一端はダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD3のカソードとダイオードD4のカソードはコンデンサColの他端に接続されている。コンデンサColの両端には負荷Rolが接続されている。ダイオードD3、ダイオードD4、及びコンデンサCo1は、変圧巻線S21,S31に発生した電圧(第1電圧)を整流及び平滑して第1直流出力Vo1を取り出す第1整流平滑回路を構成している。
【0050】
トランスT2の出力変圧巻線S22の一端(●側)には、ダイオードD5のアノードが接続され、トランスT2の変圧巻線S22の他端はダイオードD5のアノードに接続されている。
【0051】
トランスT3の変圧巻線S32の他端はダイオードD6のアノードに接続されている。ダイオードD5のカソードとダイオードD6のカソードはコンデンサCo2の他端に接続されている。コンデンサCo2の両端には負荷Ro2が接続されている。ダイオードD5、ダイオードD6、及びコンデンサCo2は、変圧巻線S22,S32に発生した電圧(第2電圧)を整流及び平滑して第2直流出力Vo2を取り出す第2整流平滑回路を構成している。
【0052】
制御回路10は、コンデンサCo1からの出力電圧Vo1に基づきスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを交互にオン/オフさせてPFM制御(周波数制御)を行い、コンデンサCo1の出力電圧Vo1が一定になるように制御する。
【0053】
(実施例1の特徴部分の説明)
次に、実施例1の直流変換装置の特徴部分を説明する。実施例1では、図9に示す従来回路と比較して、絶縁トランスであるトランスT1bの2次巻線S1が2次巻線の1回路となっている。
【0054】
従来回路では、図9に示すように、スイッチング素子Q2がオンのときに2次巻線S11に電流が流れ、スイッチング素子Q2がオフのときに2次巻線S12に電流が流れていた。
【0055】
これに対して、実施例1では、トランスT1bの2次巻線S1には、図2に示すように、交流電流INsが流れている。従って、実施例1の2次巻線S1の平均電流密度は従来回路の平均電流密度の1/2になる。
【0056】
また、従来回路では、ダイオードD3,D4に正弦波状の電流が流れていたが、実施例1では、ダイオードD3〜D6に略矩形波状の電流が流れる。このため、電流の実効値では1/√2となり、損失を大きく減少させることができる。
【0057】
また、例えば、トランスT2の結合巻線S20の巻数と変圧巻線S21と変圧巻線S22の巻数比をn20:(n21+n22)=1:1とした場合に、図2の時刻t7〜t8の期間において、スイッチング素子Q2がオン状態、スイッチング素子Q1がオフ状態である。この状態で、2次巻線S1に流れる電流INsとダイオードD3に流れる電流ID3との関係と、2次巻線S1に発生する電圧VNsと出力電圧Vo2との関係について説明すると、時刻t7〜t8の期間では、2次巻線S1の巻始め(●側)に正電圧VNsが発生している。
【0058】
このとき、トランスT1bの2次側では、S1→D5→Co2→S31→S32→S1の経路で電流が流れる。従って、変圧巻線S31の両端電圧と変圧巻線S32の両端電圧との合計電圧VT3=VNs−Vo2である。
【0059】
トランスT2とトランスT3はそれぞれの結合巻線S20,S30によりリアクトルLcを介して結合しているので、トランスT3の変圧巻線S31,S32に流れる電流は、トランスT3の結合巻線S30を介してトランスT2の結合巻線S20に流れ、トランスT2の変圧巻線S21,S22に流れる。従って、S30→S20→Lc→S30の経路の電流と、S21→S22→D5→Co2→S21の経路の電流が流れる。このため、2次巻線S1に流れる電流の2倍の電流がダイオードD5に流れることになる。
【0060】
また、トランスT2の変圧巻線S21,S22に発生する電圧VT2は出力電圧Vo2となる。従って、リアクトルLcに印加される電圧VLcは、
VLc=VT3−VT2=(VNs−Vo2)−Vo2=VNs−2・Vo2
となる。このため、2次巻線S1(巻数Ns)の電圧と出力電圧Vo2との関係は、
VNs=2・Vo2+VLc
となる。
【0061】
このため、2次巻線S1に発生する電圧VNsは、2次側出力電圧Vo2の2倍以上になる。従って、2次巻線S1は、従来方式に比べて、2倍以上の巻数を巻回でき、低い電圧を出力として取り出すことができる。
【0062】
また、時刻t2〜t3の期間、時刻t3〜t4の期間、時刻t6〜t7の期間、時刻t7〜t8の期間では、リアクトルLcにVLc=VNs−2・Vo2の電圧が印加される。リアクトルLcの電流ILcは、リアクトル値により制限されて流れる。そして、ダイオードD3〜D6を流れる電流は、リアクトルLcによって制限されるため、図2に示すようなピークのない略矩形波に近い形の電流になる。
【0063】
従って、平滑コンデンサCo1,Co2のリップル電流は、大幅に減少し、大電流出力回路における平滑コンデンサの容量や平滑コンデンサの本数を大幅に減少できる。
【0064】
また、この期間では、電流共振コンデンサCriと、リアクトルLr1と1次側換算したリアクトルLcとの合計リアクトルと、による共振電流が流れているとも言える。また、多出力のクロスレギュレーションは、密結合した変圧巻線S21,S22,S31,S32の結合によって決まるので、多出力の各出力電圧のクロスレギュレーションは、非常に良好になる。
【0065】
次にこのように構成された実施例1の直流変換装置の動作を図2に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0066】
まず、時刻t0〜時刻t1の期間1では、時刻t0において、スイッチング素子Q2がオンからオフになる。スイッチング素子Q2がオンしている状態では、トランスT1bの1次側はVin→Q2→Lr1→Lp1→Cri→Vinの経路で電流が流れており、トランスT1bの2次側はCo1→Ro1→Co1の経路と、Co2→Ro2→Co2の経路とで電流が流れている。
【0067】
また、2次巻線S1からS1→D5→Co2→S31→S32→S1の経路の電流が流れている。トランスT3の変圧巻線S31,S32に流れる電流は、結合巻線S30に流れている電流、S30→S20→Lc→S30と等しい電流が流れる。従って、リアクトルLcに制限された電流ILcが流れている。
【0068】
また、S30→S20→Lc→S30の電流によりトランスT2の変圧巻線S21,S22にも電流が流れる。即ち、S21→S22→D5→Co2→S21の経路の電流も流れている。
【0069】
また、変圧巻線S21,S22に印加される電圧VT2によって、トランスT2の変圧巻線S21に、VT2・n21/(n22+n21)の電圧が発生する。このため、S21→D3→Co1→S21の経路で電流が流れている。
【0070】
スイッチング素子Q2がオフすると、トランスT1の1次側に流れていた電流は、スイッチング素子Q2から電圧共振コンデンサCrvに転流され、Crv→Lr1→Lp1→Cri→Crvの経路で電流が流れる。
【0071】
従って、電圧共振コンデンサCrvは、スイッチング素子Q2がオンしていた状態ではほぼVinであったが、0Vまで放電される(以下、直流電源Vinの電圧もVinで示すことにする)。
【0072】
従って、電圧共振コンデンサCrvの電圧はスイッチング素子Q1の電圧VQ1と等しいので、スイッチング素子Q1の電圧VQ1は、Vinから0Vまで減少する。また、スイッチング素子Q2の電圧VQ2は(Vin−VQ1)であるので、0VからVinに上昇する。
【0073】
時刻t1〜時刻t2の期間では、時刻t1において、電圧共振コンデンサCrvの電圧が0Vまで減少すると、ダイオードD1が導通して、D1→Lr1→Lp1→Cri→D1の経路で電流が流れる。また、S1→D5→Co2→S31→S32→S1の経路、S21→S22→D5→Co2→S21の経路に流れていた電流、即ちダイオードD5の電流ID5は、S1→D6→Co2→S21→S22→S1の経路の電流、S31→S32→D6→Co2→S31の経路の電流、即ちダイオードD6の電流ID6に移る期間となる。従って、ダイオードD5の電流ID5とダイオードD6の電流ID6がともに流れるので、2次巻線S1の両端電圧は0ボルトになっている。
【0074】
時刻t2では、ダイオードD5に流れていた電流ID5は、全てダイオードD6に移る。また、同様にS21→D3→Co1→S21に流れていた電流ID3もD4に移動する。
【0075】
時刻t2〜時刻t3の期間では、トランスT1bの1次側はLr1→Lp1→Cri→D1→Lr1の経路で電流が流れており、トランスT1bの2次側は、S1→D6→Co2→S21→S22→S1の経路の電流、S31→S32→D6→Co2→S31の経路の電流が流れている。
【0076】
また、トランスT2の変圧巻線S21,S22に流れる電流は、結合巻線S20に流れている電流、S20→Lc→S30→S20と等しい電流が流れる。従って、リアクトルLcに制限された電流Ilcが流れる。
【0077】
また、S20→Lc→S30→S20の電流はトランスT3の変圧巻線S31,S32にも流れるため、S31→S32→D6→Co2→S31の経路の電流も流れる。また、変圧巻線S31,S32に印加される電圧VT3によって、トランスT3の変圧巻線S31に、VT3・n31/(n32+n31)の電圧が発生し、S31→D4→Co1→S31の経路で電流が流れている。
【0078】
また、時刻t0〜時刻t2の期間で、スイッチング素子Q1のゲート信号をオンすることにより、スイッチング素子Q1はゼロ電圧スイッチング(ZVS)及びゼロ電流スイッチング(ZCS)動作となる。
【0079】
時刻t3〜時刻t4の期間4では、スイッチング素子Q1がオンしているので、1次電流はCri→Lp1→Lr1→Q1→Criの経路で電流が流れるようになる。2次側の電流は、時刻t2〜時刻t3の期間と同様に流れている。
【0080】
時刻t4〜時刻t5の期間では、スイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1の1次側に流れていた電流は、スイッチング素子Q1から電圧共振コンデンサCrvに転流され、Lr1→Crv→Cri→Lp1→Lr1の経路で電流が流れる。
【0081】
従って、電圧共振コンデンサCrvは、スイッチング素子Q1がオンしていた状態では略0Vであったが、Vinまで充電される。従って、電圧共振コンデンサCrvの電圧はスイッチング素子Q1の電圧VQ1と等しいので、スイッチング素子Q1の電圧VQ1は、0VからVinまで上昇する。また、スイッチング素子Q2の電圧VQ2は(Vin−VQ1)であるので、Vinから0Vに減少する。
【0082】
時刻t5〜時刻t6の期間6では、時刻t5において、電圧共振コンデンサCrvの電圧がVinまで上昇すると、ダイオードD2が導通して、Lr1→D2→Vin→Cri→Lp1→Lr1の経路で電流が流れる。また、S1→D6→Co2→S21→S22→S1の経路、S31→S32→D6→Co2→S31の経路に流れていた電流、即ちダイオードD6の電流ID6は、S1→D5→Co2→S31→S32→S1の経路、S21→S22→D5→Co2→S21の経路の電流、即ちダイオードD5の電流ID5に移る期間となる。
【0083】
従って、ダイオードD6の電流ID6とダイオードD5の電流ID5がともに電流が流れているので、2次巻線S1の両端は0ボルトになっている。時刻t6でダイオードD6に流れていた電流ID6は全てダイオードD5に移る。また、同様に、S31→D4→Co1→S31の経路に流れていた電流ID4もダイオードD3に移動する。
【0084】
時刻t6〜時刻t7の期間では、トランスT1bの1次側はLr1→D2(Q2)→Vin→Cri→Lp1→Lr1の経路で電流が流れており、トランスT1bの2次側は、S1→D5→Co2→S31→S32→S1の経路、S21→S22→D5→Co2→S21の経路の電流が流れている。
【0085】
また、トランスT3の変圧巻線S31,S32に流れる電流は、結合巻線S30に流れている電流、S30→S20→Lc→S30と等しい電流が流れる。従って、リアクトルLcに制限された電流ILcが流れる。
【0086】
また、S30→S20→Lc→S30の経路の電流はトランスT2の変圧巻線S21,S22にも流れるため、S21→S22→D5→Co2→S21の経路の電流も流れる。また、変圧巻線S21,S22に印加される電圧VT2によって、トランスT2の変圧巻線S21に、VT2・n21/(n22+n21)の電圧が発生し、S21→D3→Co1→S21の経路で電流が流れている。
【0087】
また、時刻t5〜時刻t7の期間で、スイッチング素子Q2のゲート信号をオンすることにより、スイッチング素子Q2はゼロ電圧スイッチング及びゼロ電流スイッチング動作となる。
【0088】
時刻t7〜時刻t8の期間では、スイッチング素子Q2がオンしているので、1次側はVin→Q2→Lr1→Lp1→Cri→Vinの経路で電流が流れるようになる。2次側は、時刻t6〜時刻t7の期間と同様に流れている。
【実施例2】
【0089】
図3は本発明の実施例2の直流変換装置のトランスの巻線構造を示す図である。実施例2では、図3(a)〜図3(c)に示すような構造のトランスを用いることで、図1に示す第2トランスT2と第3トランスT3とリアクトルLcを1つの一体化されたトランスで構成できる。以下、一体化されたトランスの構成について説明する。
【0090】
図3(a)に示すトランスは、側脚30a,30bと中央脚30cとを有した日の字型のコア30を有し、中央脚30cには、密結合された変圧巻線S21,S22と密結合された変圧巻線S31,322とが所定距離離して巻回されている。これにより、変圧巻線S21,S22と変圧巻線S31,322とが疎結合されている。
【0091】
図3(b)に示すトランスは、側脚31a,31bを有した口の字型のコア31を有し、脚31bには、密結合された変圧巻線S21,S22が巻回され、脚31aには、密結合された変圧巻線S31,S32とが巻回されている。変圧巻線S21,S22と変圧巻線S31,S32とが疎結合されている。
【0092】
図3(c)に示すトランスは、側脚32a,32b及び中央脚32cを有した日の字型のコア32を有し、脚32bには、密結合された変圧巻線S21,S22が巻回され、脚32aには、密結合された変圧巻線S31,S32とが巻回されている。これにより、変圧巻線S21,S22と変圧巻線S31,S32とが疎結合されている。中央脚32cにはギャップ32dが形成されている。
【0093】
図4は本発明の実施例2の直流変換装置のトランスの回路図及びその等価回路を示す図である。図4(a)はトランスT4の回路図であり、図4(b)はトランスT4の等価回路である。トランスT4は、変圧巻線S21,S22と変圧巻線S31,S32とが疎結合されている。図4に示すT4の短い〓〓は、疎結合を表している。
【0094】
密結合された変圧巻線S21,S22と密結合された変圧巻線S31,S32が疎結合となるように巻回されているため、密結合された変圧巻線S21,S22nと密結合された変圧巻線S31,S32のリーケージインダクタンスは、LS1,LS2となり、結合されたインダクタンスがLMである。通常、インダクタンスLMはインダクタンスLS1,LS2より大きいので、等価回路は図4(c)に示す回路となる。
【0095】
従って、図4(c)に示すトランスT4の等価回路は、図1に示すトランスT2とトランスT3とを組み合わせたものと同じとなる。即ち、図1に示すトランスT2とトランスT3とリアクトルLcを1つの一体化されたトランスT4で構成できる。このため、部品を大幅に削減できる。
【0096】
図5は図3に示す構造のトランスT4を用いた場合の実施例2の直流変換装置の回路構成図である。なお、実施例2の直流変換装置の動作は、図1及び図2で説明した動作と同様であり、同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0097】
図6は本発明の実施例3の直流変換装置の回路構成図である。図6に示す実施例3の直流変換装置は、フルブリッジ回路で構成されていることを特徴とする。即ち、図1に示すハーフブリッジ構成のスイッチング素子Q1,Q2に、さらにスイッチング素子Q3,Q4を設け、直流電源Vinの両端にスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との直列回路が接続されている。
【0098】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点に、電圧共振コンデンサCrvの一端が接続され、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との接続点に、電圧共振コンデンサCrvの他端が接続されている。
【0099】
制御回路10aは、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q4と、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q3と、を交互にオン/オフして直流電源Vinの直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧を電圧共振コンデンサCrvに出力する。
【0100】
このように実施例3のフルブリッジ構成の直流変換装置であっても、実施例1の直流変換装置の効果と同様な効果が得られる。
【0101】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではない。図6に示す実施例3では、フルブリッジでトランスT2とトランスT3とを用いた直流変換装置を示したが、例えば、図5に示す実施例2のトランスT2とトランスT3とを一体化したトランスT4を用いた直流変換装置を、フルブリッジに変更しても、実施例3の効果と同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、DC−DC変換型の電源回路やAC−DC変換型の電源回路に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施例1の直流変換装置の回路構成図である。
【図2】本発明の実施例1の直流変換装置の各部の信号を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例2の直流変換装置のトランスの巻線構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例2の直流変換装置のトランスの回路図及びその等価回路を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の直流変換装置の回路構成図である。
【図6】本発明の実施例3の直流変換装置の回路構成図である。
【図7】従来の多出力の直流変換装置の回路構成図である。
【図8】図7に示す従来の単出力の直流変換装置の各部の信号を示すタイミングチャートである。
【図9】従来の多出力の他の直流変換装置の回路構成図である。
【符号の説明】
【0104】
Vin 直流電源
Lr1,Lp1 リアクトル
Ro1,Ro2 負荷
Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子
T1,T1a,T1b,T2,T3,T4 トランス
P1 1次巻線
S1,S2 2次巻線
S20,S30 結合巻線
S21,S22,S31,S32 変圧巻線
10,10a 制御回路
D1,D2,D3,D4,D5,D6 ダイオード
Cri 電流共振コンデンサ
Crv 電圧共振コンデンサ
Co1,Co2 平滑コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次巻線と2次巻線とを有する第1トランスと、
前記第1トランスの1次巻線と第1リアクトルと電流共振コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
直流電源の直流電圧を交流電圧に変換して該交流電圧を前記第1直列回路に出力する変換回路と、
密結合された少なくとも第1巻線と第2巻線とを有する第2トランスと、
密結合された少なくとも第1巻線と第2巻線とを有する第3トランスと、
前記第2トランスの第1巻線と前記第3トランスの第1巻線と第2リアクトルとが閉ループを構成する閉ループ回路と、
前記第1トランスの2次巻線の両端に、前記第2トランスの第2巻線と前記第3トランスの第2巻線とが直列に接続された第2直列回路と、
前記第2トランスの第2巻線に発生した電圧を整流平滑して第1直流出力を取り出す第1整流平滑回路と、
前記第3トランスの第2巻線に発生した電圧を整流平滑して第2直流出力を取り出す第2整流平滑回路と、
を備えることを特徴とする直流変換装置。
【請求項2】
前記第1リアクトルは、前記第1トランスのリーケージインダクタンスからなることを特徴とする請求項1記載の直流変換装置。
【請求項3】
1次巻線と2次巻線とを有する第1トランスと、
前記第1トランスの1次巻線と第1リアクトルと電流共振コンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
直流電源の直流電圧を交流電圧に変換して該交流電圧を前記第1直列回路に出力する変換回路と、
密結合された少なくとも1巻線からなる第1の2次巻線と密結合された少なくとも1巻線からなる第2の2次巻線とを有し、前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線とが互いに疎結合されている第2トランスと、
前記第1トランスの2次巻線の両端に、前記第2トランスの第1の2次巻線と前記第2トランスの第2の2次巻線とが直列に接続された第2直列回路と、
前記第2トランスの第1の2次巻線に発生した電圧を整流平滑して第1直流出力を取り出す第1整流平滑回路と、
前記第2トランスの第2の2次巻線に発生した電圧を整流平滑して第2直流出力を取り出す第2整流平滑回路と、
を備えることを特徴とする直流変換装置。
【請求項4】
前記変換回路は、
一端が前記直流電源の負極に接続された第1スイッチング素子と、
一端が前記第1スイッチング素子の他端に接続され、他端が前記直流電源の正極に接続された第2スイッチング素子と、を備え、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオン/オフして前記直流電源の直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧を前記第1スイッチング素子の両端又は前記第2スイッチング素子の両端に接続された前記第1直列回路に出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置。
【請求項5】
前記変換回路は、
一端が前記直流電源の負極に接続された第1スイッチング素子と、
一端が前記第1スイッチング素子の他端に接続され、他端が前記直流電源の正極に接続された第2スイッチング素子と、
一端が前記直流電源の負極に接続された第3スイッチング素子と、
一端が前記第3スイッチング素子の他端に接続され、他端が前記直流電源の正極に接続された第4スイッチング素子と、を備え、
前記第1スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子と、を交互にオン/オフして前記直流電源の直流電圧を交流電圧に変換し、該交流電圧を前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点と前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との接続点に接続された前記第1直列回路に出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置。
【請求項6】
前記第1整流平滑回路の出力電圧に基づき発振周波数を変化させて、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子とを交互にオン/オフさせる制御回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の直流変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−289295(P2008−289295A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132705(P2007−132705)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】