説明

直液式筆記具

【課題】ホワイトボード等の垂直な筆記面に対して連続して筆記をする場合においても、筆記線がかすれることのない直液式筆記具を提供する。
【解決手段】ペン芯1と、前記ペン芯1の後端に接続されるインキ吸蔵体2と、前記インキ吸蔵体2の前方に配置され、インキを収容する第1インキタンク3と、前記第1インキタンク3と前記インキ吸蔵体2との間を接続する複数のインキ供給管3bとからなり、前記インキ供給管3bの各々の後端が、前記インキ吸蔵体2の高密度部に前記インキ供給管3bの各々の後端および前記ペン芯1の後端が接続してなる直液式筆記具であって、前記第1インキタンク3の後方に、インキを収容する第2インキタンク6を配置し、前記第1インキタンク3と前記第2インキタンク6との間をインキ移動可能に接続するインキ誘導部を備え、前記インキ誘導部の前端を、前記インキ供給管3bの各々の前端より前方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキタンク内にインキを収容し、前記インキタンクとペン芯との間にインキ吸蔵体を介在させた直液式筆記具に関する。尚、本発明において、「前方」、「前端」とはペン芯側を指し、「後方」、「後端」とは容器側を指す。
【背景技術】
【0002】
インキタンク内にインキを収容し、前記インキタンクとペン芯との間にインキ吸蔵体を介在させた直液式筆記具は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、ペン先と、前記ペン先の後端に接続されるインキ吸蔵体と、前記インキ吸蔵体の後方に配置され、インキを直に貯溜するインキタンクと、前記インキタンクと前記インキ吸蔵体との間を接続する連通管とからなる直液式筆記具であって、前記連通管を複数備え、前記連通管の各々の前端が開口され、前記連通管の各々の前端がインキ吸蔵体内部に位置されてなることを特徴とする直液式筆記具の記載がある。
【特許文献1】特開2006−240281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、インキタンク内のインキがペン先側より漏出するおそれがなく、しかも、初期インキ出し時に迅速に空気とインキが交替し、短時間で筆記可能となり、さらに、簡易な構造にできる記載や、ペン先上向き状態や筆記具本体の水平状態などのインキタンクからのインキ供給が無い場合であっても、インキ吸蔵体の内部に含浸されたインキによって十分に筆記可能となる直液式筆記具の記載がある。
しかし、特にホワイトボード等の垂直な筆記面に対して連続して筆記をする場合は、ペン芯上向き状態が長時間持続されることになり、インキ吸蔵体のインキが消費された後は、筆記線がかすれる不具合が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために完成された第1の発明の直液式筆記具は、ペン芯と、前記ペン芯の後端に接続されるインキ吸蔵体と、前記インキ吸蔵体の前方に配置され、インキを収容する第1インキタンクと、前記第1インキタンクと前記インキ吸蔵体との間を接続するインキ供給管とからなり、前記インキ供給管を複数備え、前記インキ供給管の各々の後端が開口され、前記インキ吸蔵体が高密度部と低密度部を備え、前記高密度部に前記インキ供給管の各々の後端および前記ペン芯の後端が接続してなる直液式筆記具であって、前記第1インキタンクの後方に、インキを収容する第2インキタンクを配置し、前記第1インキタンクと前記第2インキタンクとの間をインキ移動可能に接続するインキ誘導部を備え、前記インキ誘導部の前端を、前記インキ供給管の各々の前端より前方に位置させたことを特徴とする。
また、第2の発明は、前記インキ誘導部を複数備えたことを特徴とする第1の発明の直液式筆記具である。
また、第3の発明は、前記インキ吸蔵体の前端から前記インキ供給管の各々の後端を挿入した際に、前記インキ供給管の各々の後端がインキ吸蔵体の内部を後方に押圧圧縮することによって、前記インキ供給管の各々の後端近傍に前記高密度部が形成されることを特徴とする第1の発明または第2の発明の直液式筆記具である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、特にホワイトボード等の垂直な筆記面に対して、ペン芯上向きで連続して筆記をする場合であっても、インキ吸蔵体に第1インキタンク内のインキが供給され続けるため、第1インキタンク内のインキが全て消費されるまで筆記線がかすれることはない。
また、ペン芯下向きで、第1インキタンクからのインキ供給が無い場合であっても、インキ吸蔵体の内部に含浸されたインキによって筆記可能である。
また、ペン芯下向きの状態では、第1インキタンクからのインキの供給が停止されるため、直液式筆記具において従来から課題とされてきた、ペン芯下向きでのペン先からのインキ漏れを防止することができる。ペン芯上向きの状態では、インキは下向きに供給されるため、ペン先からのインキ漏れをおこすことはない。
また、ペン芯を下向きにすると、第1インキタンクには、第2インキタンクからインキが供給されるため、筆記により消費されたインキを、補充可能である。また、第2インキタンクを交換可能なカートリッジ式とすれば、第1、第2インキタンクのインキを全て消費した後も、インキ交換により再使用が可能となる。
また、インキ誘導部の前端を、インキ供給管の各々の前端より前方に位置させたため、第1インキタンクに移動したインキが第2インキタンクに戻ることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を、図1、図2に基づいて詳細に説明する。
ペン芯1は、例えばアクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維を原料とし、該原料を樹脂で固めたり、或いは焼結させた繊維質ペン芯を使用できる。
【0007】
インキ吸蔵体2は、毛細間隙を備えるものであればよく、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、フェルトのニードルパンチ加工体、合成樹脂の多孔質気泡体等の多孔質材料、または軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。その材質は、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維樹脂を使用できる。また、前記インキ吸蔵体2は、その外周面に合成樹脂フィルム等よりなる外皮を備える構成でもよい。
インキ吸蔵体2は、密度を高く設定した高密度部2aと、密度を低く設定した低密度部2bとを備える。高密度部2aと、低密度部2bの設定は、インキ吸蔵体2を製造する際に繊維量を調節する方法や、繊維量を同一にした場合は、インキ吸蔵体2の体積を部分的に減らすことで設定する方法や、高密度部2aを形成するインキ吸蔵体と、低密度部2bを形成するインキ吸蔵体との二部品を接触させてインキ吸蔵体2を形成する方法等が考えられる。ここで、インキ吸蔵体2の体積を部分的に減らす方法とは、例えば、インキ吸蔵体の外周面の一部を径方向内方に押圧圧縮することにより形成する方法や、前端又は後端から内方に向かって押圧圧縮する方法が考えられる。
【0008】
第1インキタンク3は、前端が開口した有底筒体の略中央を前後方向に貫通するペン芯誘導管3aを備え、前記第1インキタンク3の底部から後方に向かってインキ供給管3bを複数設け、前記インキ供給管3bは前記底部を貫通する。インキは、前記筒体内部3cに収容される。
前記インキ供給管3bの外周面及び内周面の横断面形状は、例えば、円形、楕円、または3角形、4角形等の多角形等、いずれであってもよい。また、前記インキ供給管3bの本数は、複数本(即ち2本以上)であればよく、例えば、2本、3本、4本、5本または6本等が挙げられる。また、前記インキ供給管3bの各々の後端は、ペン芯1を中心とする同一円周上に等間隔に位置することが好ましい。また、前記インキ供給管3bの各々の後端は、前後方向後方に向かって開口してもよいし、径方向外方に開口してもよい。前記インキ供給管3bの各々の後端の形状は、例えば、傾斜カット面、垂直面、円錐面、凸曲面等が挙げられる。
【0009】
ペン芯ホルダー4は、後端が開口した有底筒体の略中央を前後方向に貫通するペン芯嵌合部を備える。前記ペン芯ホルダー4の後端開口部は、前記第1インキタンク3の前端開口部に被嵌する。ここで、ペン芯ホルダー4と第1インキタンク3は、水密嵌合される。前記ペン芯嵌合部には、前記ペン芯1が嵌合される。
【0010】
容器5は前端が開口した有底筒体で、容器5の前端と、前記ペン芯ホルダー4の後端とが嵌合固定される。嵌合方法は螺嵌でもよい。容器5の略前方には、前記インキ吸蔵体2が収納される。
【0011】
前記容器5内に収納されたインキ吸蔵体2の後方に第2インキタンク6を収納する。前記第2インキタンク6は、前端が開口した有底筒体で、前端に蓋体7を嵌着させる。蓋体7の前端面には、インキ誘導部8を備える。第2インキタンク6内には、インキが収容される。
【0012】
前記インキ誘導部8は、誘導管81で構成される。前記誘導管81の外周面及び内周面の横断面形状は、例えば、円形、楕円、または3角形、4角形等の多角形等、いずれであってもよい。前記誘導管81は、前記第1インキタンクの底部に嵌挿され、誘導管81の前端は、前記筒体内部3c内に配置する。ここで、嵌挿とは、挿入して嵌めることを意味し、前記第1インキタンクの底部と、前記誘導管81は水密嵌合される。
また、前記誘導管81の前端は、前記インキ供給管3bの各々の前端より前方に位置させる。
【0013】
前記誘導管81の本数は、1本でも複数本でもよい。1本の場合(図示しない)は、インキと空気の置換を行うために、誘導管81の径は比較的大きくする必要がある。径の大きさは、使用インキの表面張力から算出し、インキの表面張力が大きい程、径を大きくしなければならない。
一方、前記誘導管81の本数が複数本の場合は、例えば1本から空気が移動し、他の誘導管からインキが移動することで、第2インキタンクから、第1インキタンクへのインキの移動をスムーズに行うことができる。
【0014】
ここで、第1インキタンク3、第2インキタンク6、ペン芯ホルダー4、容器5、蓋体7、誘導管81の材質には合成樹脂製のプラスチックを使用することができる。
また、本発明のインキとしては、水性、油性、染料系、顔料系、を適宜採用することができる。
【0015】
本発明の第1の実施形態は、インキを収容した第2インキタンクの前端に蓋体7を嵌着した状態で容器5内に収納し、前記蓋体7の前方に吸蔵体2を収納する。その後、蓋体7の前端面に設けた誘導管81を、第1インキタンクの底部に嵌挿させた状態で、第1インキタンクを、前記容器5の前端開口部に嵌着させる。そして、ペン芯1を取付けたペン芯ホルダー4を前記第1インキタンクの前端開口部に被嵌するとともに、容器5に嵌合固定する。また、図示しないが、ペン芯ホルダー4をキャップで被嵌する。ここで、第1インキタンクには、予めインキを収容しておいてもよいし、収容しておかなくてもどちらでもよい。
【0016】
本発明の第1の実施形態は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
前記インキ供給管3bは、その各々が、第1インキタンク3内のインキをインキ吸蔵体2の内部に供給する機能と、外気を第1インキタンク3内に供給する機能とを備える。第1インキタンク3内のインキをインキ吸蔵体2に供給する際、ペン芯1を上向き状態にすると、重力により第1インキタンク3内のインキが、少なくとも一つのインキ供給管3bを通って、インキ吸蔵体2の高密度部2aに供給される。それと同時に、外気が他のインキ供給管3bを通って第1インキタンク3内に取り込まれる。即ち、n本のインキ供給管3bの場合(nは2以上の整数)、1本以上かつ(n−1)本以下のインキ供給管3bがインキ供給を行い、他の残りのインキ供給管3bが外気の供給を行う。
したがって、ペン芯上向きで連続して筆記をする場合であっても、インキ吸蔵体2にはインキ供給管3bからインキが供給され続けるため、第1インキタンク3内のインキを全て消費するまで筆記線がかすれることはない。
【0017】
前記インキ吸蔵体2の高密度部2aに含浸されたインキが一定量になると、前記外気を取り込んでいた他のインキ供給管3bの後端開口部が、前記含浸インキによる液シール状態となり一時的に閉鎖され、第1インキタンク3内への外気の供給は停止される。それと同時に、前記インキ供給を行っていたインキ供給管3bによる第1インキタンク3からインキ吸蔵体2へのインキ供給も停止され、その結果、インキ供給管3bの各々の後端開口部が液シール状態となり一時的に閉鎖され、第1インキタンク3からのインキ流出と第1インキタンク3への空気流入(即ちインキと空気の置換)が停止される。
【0018】
前記インキ吸蔵体2が、インキ供給管3bの各々の後端近傍の密度を高く設定した部分(高密度部2a)と、インキ供給管3bの各々の後端近傍以外の部分の密度を低く設定した部分(低密度部2b)とを備える。そのため、インキ吸蔵体2内部におけるインキを、低密度部2bよりも高密度部2aに、優先して含浸させることができる。それにより、インキ供給管3bの各々の後端開口部を含浸インキによって、確実に液シールできる。その結果、温度低下等により第1インキタンク3内の圧力が減少した際、インキ吸蔵体2内に含浸されたインキが、インキ吸蔵体2内に残留することがなく、インキ吸蔵体2の高密度部2aからインキ供給管3bを通って、適正に第1インキタンク3内に戻される。
【0019】
前記インキ供給管3bの各々の後端がインキ吸蔵体2の高密度部2aに接続する構成であるため、インキ供給管3bの各々の後端開口部の全てを、インキ吸蔵体2の内部に含浸されたインキの液シールによって容易に閉鎖することができる。その結果、第1インキタンク3からインキ吸蔵体2に過剰のインキを供給することがなく、ペン芯1側より外部にインキが漏出するおそれがない。
【0020】
第1インキタンク3には、第2インキタンク6からインキを供給することができる。ペン芯を下向きにすると、第2インキタンク6内のインキは、インキ誘導部8を介して、第1インキタンク3内および、ペン芯ホルダー4内に移動する。その後、ペン芯を上向きにすると、インキは第1インキタンク3内に収容される。ここで、前記誘導管81の前端は、前記インキ供給管3bの各々の前端より前方に位置させているため、ペン芯を上向きにした際、第1インキタンク3内に収容されたインキが、第2インキタンク6内に全て戻ることはなく、所定量のインキが収容される。
そして、第1インキタンク3内に収容されたインキが、インキ供給管3bを介してインキ吸蔵体2に供給される作用は、前記した通りである。
【0021】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、図3、図4に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施形態と異なる点のみを説明する。
第1インキタンク31の外周側面に誘導溝82を設け、底部から後方に向かってインキ供給管31bを複数設ける。誘導溝82の数は、1本でも複数本でもよく、第1インキタンク31の外周側面の前後方向に向かって設ける。
蓋体71は、第1の実施例と同様、その後方を第2インキタンク61前端に嵌着させる。前記蓋体71の前方は、略二重筒構造をとり、内側の筒体内にインキ吸蔵体21を収納する。
内側の筒体と外側の筒体との間に、第2インキタンク61内のインキが流入できるように、流入部71aを設ける。
前記内側の筒体の前端に、前記第1インキタンク31の後端を嵌着するとともに、前記第1インキタンク31の外周面と、蓋体71の外側の筒体の内周面とを摺接させる。これにより、前記誘導溝82は、インキ誘導部8として機能する。
前記誘導溝82の前端は、前記インキ供給管31bの各々の前端より前方に位置させる。
ここで、前記誘導溝82が1本の場合(図示しない)は、インキと空気の置換を行うために、誘導溝82の径は比較的大きくする必要がある。径の大きさは、使用インキの表面張力から算出し、インキの表面張力が大きい程、径を大きくしなければならない。
一方、前記誘導溝82の本数が複数本の場合は、例えば1本から空気が移動し、他の誘導溝からインキが移動することで、第2インキタンクから、第1インキタンクへのインキの移動をスムーズに行うことができる。
【0022】
本発明の第2の実施形態は、インキを収容した第2インキタンク61の前端に蓋体71を嵌着し、蓋体71内に前方からインキ吸蔵体21を収納した状態で、第1インキタンク31の後端を、蓋体71の内側の筒体前端に嵌着する。その後、蓋体71を容器51内に嵌挿するとともに、ペン芯11を取付けたペン芯ホルダー41を前記蓋体71の外側の筒体前端開口部に被嵌する。
【0023】
第1インキタンク31には、第2インキタンク61からインキを供給することができる。ペン芯を下向きにすると、第2インキタンク61内のインキは、前記流入部71aと前記誘導溝82を介して、第1インキタンク31内および、ペン芯ホルダー41内に移動する。その後、ペン芯を上向きにすると、インキは第1インキタンク31内に収容される。ここで、前記誘導溝82の前端は、前記インキ供給管31bの各々の前端より前方に位置させているため、ペン芯を上向きにした際、第1インキタンク31内に収容されたインキが、第2インキタンク61内に全て戻ることはなく、所定量のインキが収容される。
そして、第1インキタンク31内に収容されたインキが、インキ供給管31bを介してインキ吸蔵体21に供給される作用は、第1の実施例に記載した通りである。
【0024】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、図5、図6に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施形態と異なる点のみを説明する。
第1インキタンク32は、前端が開口した有底筒体で、前端外周面には鍔部32aを設ける。前記鍔部32aには、前後方向に貫通する誘導孔83を設ける。誘導孔83の数は、1個でも複数個でもよい。前記誘導孔83は、インキ誘導部8として機能する。
前記誘導孔83が1個の場合(図示しない)は、インキと空気の置換を行うために、誘導孔83の径は比較的大きくする必要がある。径の大きさは、使用インキの表面張力から算出し、インキの表面張力が大きい程、径を大きくしなければならない。
一方、前記誘導孔83の本数が複数本の場合は、例えば1本から空気が移動し、他の管体からインキが移動することで、第2インキタンクから、第1インキタンクへのインキの移動をスムーズに行うことができる。
ペン芯ホルダー42は、両端が開口した筒体内にペン芯を嵌合させ、後端に鍔状部42aを有する。前記鍔状部42aの後端から後方に向かって、インキ供給管42bを複数設け、前記インキ供給管42bは前記鍔状部42aを貫通する。
【0025】
本発明の第3の実施形態は、インキ吸蔵体22を収納した第1インキタンク32の前方に、ペン芯12を取付けたペン芯ホルダー42をインキ供給管42b側から嵌挿する。このとき、前記誘導孔83の前端は、前記インキ供給管42bの各々の前端より前方に位置させるように嵌挿する。インキは、前記鍔状部42aと鍔部32aの間に形成される筒体内部32cに収容される。ペン芯ホルダー42および前記鍔部32aには、容器52が嵌着され、前記鍔部32a後端には第2インキタンク62が嵌着される。
【0026】
第1インキタンク32には、第2インキタンク62からインキを供給することができる。ペン芯を下向きにすると、第2インキタンク62内のインキは、誘導孔83を介して、第1インキタンク32内および、容器52内に移動する。その後、ペン芯を上向きにすると、インキは第1インキタンク32内に収容される。ここで、前記誘導孔83の前端は、前記インキ供給管42bの各々の前端より前方に位置させているため、ペン芯を上向きにした際、第1インキタンク32内に収容されたインキが、第2インキタンク62内に全て戻ることはなく、所定量のインキが収容される。
そして、第1インキタンク32内に収容されたインキが、インキ供給管42bを介してインキ吸蔵体22に供給される作用は、第1の実施例に記載した通りである。
【0027】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を、図7、図8に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施形態と異なる点のみを説明する。
第1インキタンク33は、後端が開口した有底筒体の略中央を前後方向に貫通するペン芯嵌挿部33aを備え、底部後端から後方に向かってインキ供給管33bを複数設け、前記インキ供給管33bは前記底部を貫通する。前記底部は、筒体33c前端から後方へ下がった位置に配設される。筒体33c前端から、前記底部の間には、筒体内部33eが形成される。
前記第1インキタンク33は、容器53内に嵌挿される。容器53は両端が開口した筒体で、内周面に段部53aを有する。段部53aには誘導スリット84を設ける。前記誘導スリット84の数は、1個でも複数個でもよい。前記筒体33c前端と、前記段部53a後端は当接する。前記誘導スリット84は、インキ誘導部8として機能する。
ここで、前記誘導スリット84が1個の場合(図示しない)は、インキと空気の置換を行うために、誘導スリット84の幅を比較的大きくする必要がある。前記幅は、使用インキの表面張力から算出し、インキの表面張力が大きい程、幅を大きくしなければならない。
一方、前記誘導スリット84の個数が複数個の場合は、例えば1個から空気が移動し、他の誘導スリットからインキが移動することで、第2インキタンクから、第1インキタンクへのインキの移動をスムーズに行うことができる。
筒体33c外周面と容器53との間には隙間33dが生じるように設計する。
前記第1インキタンク33の後端には、蓋体73を嵌着させる。蓋体73の後端には、第2インキタンク63を嵌着する。蓋体73の後端外周面は、前記容器53内周面に対して水密嵌合させる。蓋体73の略中央部には、インキ流入部73aを設け、第2インキタンク63内のインキが、前記隙間33dに流入できるように構成する。前記隙間33dに流入したインキは、前記誘導スリット84からのみ、筒体内部33eに流入することができる。
【0028】
本発明の第4の実施形態は、前方にペン芯13を取付けた第1インキタンク33の後端からインキ吸蔵体23を収納し、その後端に、蓋体73を嵌着させる。前記蓋体73の後端に、インキを収容した第2インキタンク63の前端を嵌着する。その後、前記容器53の後方から、第1インキタンク33を嵌挿する。
【0029】
第1インキタンク33には、第2インキタンク63からインキを供給することができる。ペン芯を下向きにすると、第2インキタンク63内のインキは、インキ流入部73aから前記隙間33dに流入し、誘導スリット84を介して、第1インキタンク33内の筒体内部33eおよび容器53内に移動する。その後、ペン芯を上向きにすると、インキは筒体内部33eに収容される。ここで、前記筒体33c前端は、前記インキ供給管33bの各々の前端より前方に位置させているため、ペン芯を上向きにした際、第1インキタンク33内に収容されたインキが、第2インキタンク63内に全て戻ることはなく、所定量のインキが収容される。
そして、第1インキタンク33内に収容されたインキが、インキ供給管33bを介してインキ吸蔵体23に供給される作用は、第1の実施例に記載した通りである。
【0030】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について詳細に説明する。ここでは、前記した実施形態と異なる点のみを説明する。
本実施の形態は、前記インキ吸蔵体2の前端から前記インキ供給管3bの各々の後端を挿入した際に、前記インキ供給管3bの各々の後端がインキ吸蔵体2の内部を後方に押圧圧縮することによって、前記インキ供給管3bの各々の後端近傍のインキ吸蔵体2の内部に高密度部2aが形成されることを特徴とする。
この場合、インキ吸蔵体2に高密度部2aと低密度部2bを設定するための手段を別途必要とせず有用である。すなわち、本発明において、インキ吸蔵体2にインキ供給管3bを挿入することは必須構成であるため、この構成を高密度部2aの形成手段として併用できる点で効率が上がり有用である。また、インキ供給管3bの各々の後端と高密度部2aとの接続不良の発生を抑えることができる点でも有用である。
前記インキ吸蔵体と、前記インキ供給管の関係は、第2の実施形態から第4の実施形態においても同様である。
【0031】
以上、本発明を前記実施形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1の実施形態の正面中央縦断面図(左図)及び右側面中央縦断面図(右図)
【図2】第1の実施形態の要部斜視図
【図3】第2の実施形態の正面中央縦断面図(左図)及び右側面中央縦断面図(右図)
【図4】第2の実施形態の要部斜視図
【図5】第3の実施形態の正面中央縦断面図(左図)及び右側面中央縦断面図(右図)
【図6】第3の実施形態の要部斜視図
【図7】第4の実施形態の正面中央縦断面図(左図)及び右側面中央縦断面図(右図)
【図8】第4の実施形態の要部斜視図
【符号の説明】
【0033】
1 ペン芯
2 インキ吸蔵体
2a 高密度部
2b 低密度部
3 第1インキタンク
3a ペン芯誘導管
3b インキ供給管
3c 筒体内部
4 ペン芯ホルダー
5 容器
6 第2インキタンク
7 蓋体
8 インキ誘導部
81 誘導管
11 ペン芯
21 インキ吸蔵体
31 第1インキタンク
31bインキ供給管
41 ペン芯ホルダー
51 容器
61 第2インキタンク
71 蓋体
71a流入部
82 誘導溝
12 ペン芯
22 インキ吸蔵体
32 第1インキタンク
32a鍔部
32c筒体内部
42 ペン芯ホルダー
42a鍔状部
42bインキ供給管
52 容器
62 第2インキタンク
83 誘導孔
13 ペン芯
23 インキ吸蔵体
33 第1インキタンク
33aペン芯嵌挿部
33bインキ供給管
33c筒体
33d隙間
33e筒体内部
53容器
53a段部
63 第2インキタンク
73 蓋体
73aインキ流入部
84 誘導スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン芯と、前記ペン芯の後端に接続されるインキ吸蔵体と、前記インキ吸蔵体の前方に配置され、インキを収容する第1インキタンクと、前記第1インキタンクと前記インキ吸蔵体との間を接続するインキ供給管とからなり、前記インキ供給管を複数備え、前記インキ供給管の各々の後端が開口され、前記インキ吸蔵体が高密度部と低密度部を備え、前記高密度部に前記インキ供給管の各々の後端および前記ペン芯の後端が接続してなる直液式筆記具であって、
前記第1インキタンクの後方に、インキを収容する第2インキタンクを配置し、前記第1インキタンクと前記第2インキタンクとの間をインキ移動可能に接続するインキ誘導部を備え、
前記インキ誘導部の前端を、前記インキ供給管の各々の前端より前方に位置させたことを特徴とする直液式筆記具。
【請求項2】
前記インキ誘導部を複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の直液式筆記具。
【請求項3】
前記インキ吸蔵体の前端から前記インキ供給管の各々の後端を挿入した際に、前記インキ供給管の各々の後端がインキ吸蔵体の内部を後方に押圧圧縮することによって、前記インキ供給管の各々の後端近傍に前記高密度部が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直液式筆記具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate