説明

直線状電極アレイを有するカテーテルおよびその使用方法

アレイの電極を使用して周辺組織または体液の特性を検知することができるように、直線状電極アレイが、組織を貫通するカテーテル上に配置される、カテーテル装置、システム、および方法。本発明は、ヒトまたは動物対象の体内の特定の標的位置への物質、物品、または装置の送達を含む、様々な目的に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、医学的治療のための方法および装置に関し、さらに詳細には、電極アレイを使用して周辺組織または体液の特性を検知できるように、直線状電極アレイが組織を貫通するカテーテルに配置されているカテーテル装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標的物質の送達
様々な状況において、治療物質または診断物質(例えば、薬剤、生物製剤、細胞、遺伝子、充填剤、組織接着剤等)、物品(例えば、インプラント、ビーズ、コイル、ペレット等)、または装置(例えば、ガイドワイヤ、センサ等)を、ヒトまたは動物の体内の特定の位置に送ることが望まれている。物質、物品、および/または装置が送られる標的位置の例には、臓器、体腔、心筋組織、梗塞または壊死組織、脳組織、骨格筋、神経、血管壁、腫瘍、および他の正常組織または病的組織が含まれる。また、一部の例において、カテーテルを、事前に埋め込まれた装置(例えば、詰め替え可能な薬物送達容器、人工装具、液体で充填されたインプラント等)内、またはそれに隣接して前進させ、物質(例えば、薬剤または液体の補充量、潤滑剤、充填剤等)、物品(例えば、小型電池または他の商品)、またはいくつかの補助装置(例えば、電力供給ワイヤ等)を、その事前に埋め込まれた装置に送ることが望ましい場合がある。
【0003】
ある種のカテーテルおよび埋め込み可能な物質送達装置(例えば、薬剤溶出ステント)を使用して、所望の標的位置に、隣接する血管の管腔内の薬剤を放出し、薬剤を血管壁を通って拡散させる、または下流の毛細血管を通って分布させることで、薬剤または物質を体内の特定の標的位置に間接的に送ることが行なわれている。
【0004】
従来の技術には、血管の管腔に貫通型カテーテルを誘導的に前進させ、カテーテルが設置される血管壁の内、又はそれを通って、および任意の媒介組織を通って、カテーテルから中空針等の貫通器を標的部位に実質的に前進させることで、物質、物品、または装置を間質性の標的位置に直接送るように使用することができるカテーテル装置も含まれる。次いで、所望の物質、物品、または装置が、送達され得る。
【0005】
心筋虚血、固形腫瘍種の癌、パーキンソン病、糖尿病等の疾患の治療を意図する間質性の標的位置への、薬物(例えば、化学療法剤)、遺伝子治療組成物(例えば、プラスミド、ウイルスベクター、遺伝子組み換え細胞、裸のDNA)、生物学的因子(例えば、血管新生因子、神経成長因子、他の細胞成長因子、他のタンパク質)、モノクローナル抗体、または特定の細胞種(例えば、幹細胞または他の前駆細胞、膵島細胞、ドパミン分泌神経細胞、内皮細胞、心筋細胞、他の筋細胞等)等の物質の制御送達または標的送達のための方法において特に興味が深まっている。
【0006】
特に、心筋虚血の治療では、ある血管新生物質の心筋の虚血性虚血領域への導入により、臨床的に有意な冠動脈疾患に罹患する患者に治療的血管形成がもたらされることが研究によって示されている。一般的に言えば、「血管形成」という用語は、臓器の柔組織内、腫瘍内、または組織領域(例えば、心筋)内に、新たな毛細血管および/または血管を形成することを指す。血管形成は、内皮細胞がそれらの基底膜を通って局所的に分解および侵入する、間質基質を通って血管新生刺激に遊走する、遊走性の先端付近に急速に増加する、血管に構成する、および、新たに合成された基底膜に再付着するという多段階のプロセスとして生じると考えられている。「治療的血管形成」という用語は、一般的には、以前に十分な血流が欠乏していた組織内に新たな血管または血管細胞の形成を促進するための血管形成物質の投与または治療を指す。
【0007】
これまで、血管新生物質を心筋に送るために様々な手法が用いられてきた。一手法は、レーザ等の組織貫通型装置を使用して、心臓の心外膜(外側)表面または心内膜(内側)表面のいずれかから延びる貫通経路または心筋内(TMR)チャネルを形成し、それから、多量の血管新生物質をこれらのTMRチャネル内に注入する。本手法の実施例は、米国特許第5,925,012号明細書(Murphy−Chutorianら)、第5,999,678号明細書(Murphy−Chutorianら)および第6,106,520号明細書(Lauferら)に記載されている。
【0008】
組織の特性を検知するための電極を有するカテーテル
従来の技術では、様々な電気生理学的診断カテーテルが周知である。典型的な電気生理学的診断カテーテルには、冠動脈および/または心臓の心室を通って前進することができる可撓性カテーテルが含まれ、カテーテル上の1つ以上の電極を使用して、カテーテルが設置される特定の冠動脈の周辺組織内の電気生理学的信号を検知する。次いで、カテーテルに載置された電極により検知された電気生理学的信号を使用して、既定の心筋領域内の電気生理学的活動をマッピングし、電気的アブレーション治療により修復することができる伝導路内の催不整脈性の病巣または病変を診断する。マッピングおよび診断に使用可能な市販の電気生理学的カテーテルの例には、TORQR(登録商標)シリーズ固定曲線診断カテーテル、MARINR(登録商標)シリーズ冠状静脈洞診断カテーテル、SOLOIST(登録商標)シリーズ固定曲線診断カテーテル、およびSTABLEMAPR(登録商標)診断カテーテル(メドトロニック社、ミネソタ州ミネアポリス)、並びにBiosense−Webster固定曲線カテーテル、CRISTA CATH偏光可能な診断カテーテル、HALO XP20ポール偏光可能なマッピングカテーテル、およびLASSO円形マッピングカテーテル(ジョンソン&ジョンソン社、ニュージャージー州ニューブランズウィック)が含まれるが、それらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術の電気生理学的診断およびマッピングカテーテルは、典型的に、組織を貫通するために使用されておらず、周辺組織を貫通することなく血管腔および心臓の心室内で移動するように設計されている。
【0010】
当該技術において、組織を貫通する、またはそれを通って前進可能であり、特定の間質性の標的位置に物質、物品、または機器を送る目的で周辺環境の情報を提供することができる、新たなカテーテルの開発の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、カテーテルが前進する組織または体液の特性を検知するために使用できる直線状電極アレイを取付けられたカテーテルが提供される。一般的に、そのようなカテーテル装置は、i)ルーメンおよび組織を貫通する遠位端を有する細長いカテーテル本体(剛性または可撓性)と、ii)カテーテル本体上またはその内部の直線状電極アレイ(例えば、離間した位置に直線に配設された複数の電極)であって、そのような電極アレイは、組織または体液の特性を検知し、検知した特性に応答して信号を発生するように動作する電極アレイと、iii)検知された特性の兆候を表示するための表示装置と、を備える。電極により検知された組織または体液の特性は、あらゆる所望の電気的、化学的、熱的、生理学的、または他の特性であり得る。一部の実施形態において、電極は、組織内の電気生理学的信号を検知し、それにより、異なる種類の組織を識別する、および/または健康な組織(例えば、正常な心筋、脳、または他の組織)と、病変組織(例えば、心筋、脳、または他の組織の虚血、壊死、または梗塞領域)とを識別する。
【0012】
さらに、本発明によれば、物質、物品、または装置をヒトまたは動物対象の体内の所望の標的位置に送るためのシステムが提供される。概略的には、そのようなシステムは、別の組織貫通型カテーテル装置と組み合わせて、直前の段落で要約された種類の直線状電極アレイを備えたカテーテルを備える。他の組織貫通型カテーテル装置は、体腔(例えば、血管、尿道、リンパ管または他の自然あるいは人工の体内の管腔構造)内に設置することができ、組織貫通型部材(例えば、中空針または鋭利な先端部を有するワイヤ)は、カテーテルから、カテーテルが設置される体腔の外側の第1の位置に前進可能である。次いで、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置は、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置が組織または体液に前進し、直線状電極アレイの電極が組織または体液の特性を検知するように、組織貫通部材を通って、またはその上を前進可能である。
【0013】
本明細書に記載される一部の実施形態では、他の組織貫通型カテーテルは、カテーテルの回転配向、および/または組織貫通型部材が前進する、予測される軌道または経路を決定するための配向装置(例えば、造影可能なマーカー、センサ、搭載画像装置等)を取付けることができ、操作者が体腔内の他の組織貫通型カテーテルの位置および/または回転配向を調節し、組織貫通型部材の前進により、組織貫通型部材を他の位置ではなく意図する第1の位置(例えば、標的位置の方向)に前進させることを実質的に保証し得る。
【0014】
そのような配向装置を搭載する組織貫通型カテーテルの実施例には、米国特許第5,830,222号明細書(Makower)、第6,068,638号(Makower)、第6,159,225号明細書(Makower)、第6,190,353号明細書(Makowerら)、第6,283,951号明細書(Flahertyら)、第6,375,615号明細書(Flahertyら)、第6,508,824号明細書(Flahertyら)、第6,544,230号明細書(Flahertyら)、第6,579,311号明細書(Makower)、第6,602,241号明細書(Makowerら)、第6,655,386号明細書(Makowerら)、第6,660,024号明細書(Flahertyら)、第6,685,648号明細書(Flahertyら)、第6,709,444号明細書(Makower)、第6,726,677号明細書(Flahertyら)、および第6,746,464号明細書(Makower)に記載される実施例が含まれるが、それらに限定されず、米国特許のそれぞれの全体の開示を、本明細書に援用する。
【0015】
またさらに、本発明によれば、物質、物品、または装置を、ヒトまたは動物対象の標的位置に送るための方法が提供される。概略的には、本方法は、i)上記に要約する直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を提供するステップと、ii)直線状電極アレイの電極が、組織または体液の特性を検知し、表示装置がそれぞれの電極により検知された特性の兆候を表示するように、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を対象の体内に挿入し、組織または体液を通して、それを前進させるステップと、iii)カテーテル本体のルーメンを介する物質、物品または装置の導入が、物質、物品または装置の標的位置への送達をもたらすように、カテーテル本体が、いつ位置決めされたかを、表示装置によって表示された兆候に基づいて判断するステップと、iv)カテーテル本体のルーメンを介して、物質、物品または装置を標的位置に送るステップと、を含む。
【0016】
本方法の一部の用途において、別の組織貫通型カテーテル装置は、初めに、体腔内に設置することができ、貫通器は、その腔内カテーテルからカテーテルが設置される体腔の外側の第1の位置に前進可能である。その後、直線状電極アレイを備えたカテーテルは、直線状電極アレイによって提供された情報を使用して、意図した標的位置に、介在組織を通って組織貫通器を通って、またはその上を前進し、意図した物質、物品、または装置を送るために、直線状電極アレイを備えたカテーテルが、いつ適切に位置決めされたかを判断する。
【0017】
本発明のさらなる様態、詳細および実施形態は、以下の発明の詳細な説明および添付の図面を読めば、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の直線状電極アレイを備えた送達カテーテルの一実施形態の斜視図である。
【図1A】直線状電極アレイを備えた送達カテーテルが前進し得る貫通器を有する経皮的組織貫通型カテーテルと組み合わせて、図1の直線状電極アレイを備えた送達カテーテルを備える本発明のシステムの側面図である。
【図2】図1Aの領域2の拡大図である。
【図3】本発明の直線状電極アレイを備えた送達カテーテルを連結することができる信号処理および表示装置の一実施例の拡大回路図である。
【図4】図2のカテーテルシステムが挿入および設置され、治療または診断物質が対象の心臓の心筋内の標的位置に送られる治療が実施されるヒト対象の図を示す。
【図4A】図4に示すヒト対象の心臓の拡大図である。
【図4B】図1Aのシステムを使用して、物質、物品または装置を対象の心臓の心筋内の標的位置に送るための方法のステップを示す図4Aの領域4Bを介する貫壁性の断面図である。
【図4C】図1Aのシステムを使用して、物質、物品または装置を対象の心臓の心筋内の標的位置に送るための方法のステップを示す図4Aの領域4Bを介する貫壁性の断面図である。
【図4D】本発明の直線状電極アレイを備えたカテーテルを使用して、心臓の異なる領域(例えば、心筋、心内膜、心室)を識別することができる方法のステップを示す、図4Aの領域4Bを介する貫壁性の断面図である。
【図4E】本発明の直線状電極アレイを備えたカテーテルを使用して、心臓の異なる領域(例えば、心筋、心内膜、心室)を識別することができる方法のステップを示す、図4Aの領域4Bを介する貫壁性の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の発明を実施するための形態および添付の図面は、必ずしも、本発明の全ての実施例または実施形態ではなく、一部を説明することを意図とする。発明を実施するための形態の内容および添付の図面は、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0020】
図1および図2は、本発明の直線状電極アレイを備えたカテーテル装置10およびシステム13を示す。直線状電極アレイを備えたカテーテル装置10は、遠位側が開口遠位端部42で終端するルーメンを有する細長く、可撓性のカテーテル本体24を備える。直線状アレイの電極50は、カテーテル本体24の長手方向軸と略平行に、カテーテル本体24の上またはその内部に取付けられる。本実施形態では、直線状アレイの電極50は、7つの電極50を備える。最遠位の電極(つまり、電極#1)は、カテーテル本体24の遠位端42、およびカテーテル本体24の遠位端42から約2mm離間して設置される。近位ハブ部材25は、カテーテル本体24の近位端に取り付けられる。ポート/ルアーコネクターが、カテーテルのルーメンと連通して、ハブ25の近位端部上に形成され、注射器26または他の装置がポート/ルアーコネクター55に取り付けることができ、カテーテル本体24のルーメンを通して、開口遠位端部42から、物質、物品、または装置を遠位方向に送る、または、物質、物品、または装置の近位方向に吸引あるいは引き抜きを促進するために使用される。
【0021】
コネクターケーブル54もまた、近位ハブ25から延び、プラグ等のコネクター56で終端し、直線状アレイの電極50を電源/表示装置52に連結する。一部の実施形態では、電極50は、組織内の電気生理学的信号を検知するように動作し、電源/表示装置52は、電極50に電流を供給し、それぞれの電極により検知された電気生理学的信号の兆候を受信し、処理し、表示することができる。例えば、図3に見られるように、電源/表示装置52は、アレイ内のそれぞれの電極に個別の表示インジケーターを提供し、任意の時点でそれぞれの電極により検知された電気生理学的信号の定性的兆候または定量的兆候を表示する。例えば、図3の例では、個別のインジケーターライト53が、7つのそれぞれの電極に提供される。それぞれのインジケーターライト53は、電気生理学的信号のある既定の種類、周波数、または強度がその電極により検出された際に、光を放出する。
【0022】
一部の実施形態では、個別のインジケーターライト53は、異なる色または強度の光を放出し、その電極により受信された電気生理学的信号の強度、周波数、波形、またはその他のパラメータにおける量的な変化を示す。図3に示す例では、電極1、2、3、および4に関連したインジケーターライト53は、点灯され、それにより、ある既定の基準を満たす電気生理学的信号がそれらの電極と隣接する組織内で検知されることを示す一方で、さらに遠位に設置された電極5、6、および7に関連するインジケーターライト53は、点灯されず、それにより、いかなる既定の基準を満たす電気生理学的信号も、これらの電極により検知されていないことを示す。非心筋梗塞に関連する電気生理学的信号を選択するように、既定の基準が定義されているならば、これは、現在、電極1、2、3、および4が、非心筋梗塞組織内に設置される一方で、遠位に位置する電極5,6、および7は、心筋梗塞組織内に設置されていることを示すことになる。したがって、それが現位置にある状態で、治療剤(例えば、血管新生剤、筋細胞、筋芽細胞等)がカテーテル10を介して注入された場合は、この物質は心筋梗塞に送られる。
【0023】
他の実施形態では、インジケーターライト52は、現在、プログラム化され、それぞれの電極50と接触する組織または体液の種類を示すことが可能である。この点に関して、例えば、それぞれのインジケーターライトは、そのインジケーターライトに関連する電極50が心筋組織内にある場合に、赤色光を放出し、そのインジケーターライト53に関連する電極50が心臓内組織内にある場合に、緑色光を放出し、そのインジケーターライト53に関連する電極50が血液により包囲されるように心臓の心室に前進した場合に、青色光を放出し得る。さらに、図3に示すインジケーターライト53は、表示装置52に取付けることが可能な多くの可能性のあるインジケーターの種類の1つにすぎない。例えば、一部の実施形態では、表示装置52は、それぞれの電極50により受信された実際の電気生理学的波形を示す、複数のスクリーン(または、単一の分割スクリーン)を提供することができる。あるいは、さらなる例として、表示装置52は、一連のバーインジケーターを提供し、それぞれの電極50により検知された電気信号の相対強度を示す。
【0024】
図1Aに示すとおり、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置10は、カテーテル本体12に形成されたサイドポート41から外側に前進する外側に配置可能な組織貫通器30である遠位端部DEを有する細長いカテーテル本体12を備える経皮的組織貫通型カテーテル13と組み合わせて、任意に使用することができる。この組織貫通器30は、直線状電極アレイを備えたカテーテル30が前進し得るルーメンを有する中空針を備えることができる。この組織貫通器30は、弾性または超弾性材料(例えば、ニッケルチタン合金)等の任意の適切な材料により形成することができ、図示のとおり、曲線構造に付勢し得る。
【0025】
図1に示すとおり、ハンドピース14は、カテーテル本体12の近位端部に設けられる。組織貫通器30は、それがカテーテル本体12内に実質的に引き込まれる引込位置と、カテーテル本体12から離れた軌道または経路上に延びるように、それがサイドポート41から長手方向に前進した伸長位置との間で移動可能である。ハンドピース14は、貫通器30を遠位方向に押して、引込位置からその伸長位置に前進させ、貫通器30を近位方向に引いて、その伸長位置からその引込位置に引き込むことが可能な前進/引込ノブ15を備える。調節可能なストップ部材17は、前進/引込ノブ15の遠位前進の範囲を制限し、それにより、貫通器30が完全に延びる際に、サイドポート32から貫通器30の遠位端部の長さを制御する。
【0026】
図面に示す具体的な実施形態では、近位サイドアーム22は、図1Aに見られるように、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置10のカテーテル本体24が、貫通器の開口遠位端部を通って挿入され、そこから前進するように、組織貫通器30のルーメンの近位端部に連結される。一部の用途においては、任意のガイドワイヤGWを、貫通器30のルーメンを通って挿入することが可能であり、それから、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置10の本体24は、このようなガイドワイヤGWの上を前進することが可能である。
【0027】
図示した実施形態において、腔内貫通型カテーテル13は、その遠位端に開口部、およびカテーテル本体12通って、およびカテーテル本体12のそのような開口遠位端を通って、ハンドピース14上のポート16から延びる直通のルーメンを有する。ガイドワイヤGWは、本カテーテル装置13のオーバーザワイヤ式前進のために、このルーメンを通って通過することが可能である。一部の代替的な実施形態において、ルーメンは、カテーテル本体12内の側面の開口部に近接して終端し得、それにより、急速交換タイプのガイドワイヤルーメンを提供することができることが理解されるであろう。また、示された実施形態では、注入ポート18が、注入装置20(例えば、注射器、点滴用チューブ、ポンプ、注入器等)を使用して、ルーメンを通って、および端位部材46の開口遠位端から液体(例えば、食塩、放射線撮影造影剤等)を注入できるように、直通のルーメンと連通するハンドピース14上に任意に定設される。弁(例えば、Tuohi−Borst弁)を、近位ポート16上に提供することができ、所望の際、ガイドワイヤGWを固定する、および/または液体が注入ポート18を介して注入される際に、近位ポート16に流体密封シートを形成する。
【0028】
典型的に、貫通器30は、第1の位置に前進する。典型的に、第1の位置は、貫通型カテーテル13が設置される体腔と、所望の物質、物品または装置が送られる意図した標的位置との間である。上述したように、腔内組織貫通型カテーテル13の一部の実施形態は、カテーテルの回転配向および/または組織貫通型部材が前進する予測される軌道または経路を決定するための配向装置(例えば、造影可能なマーカー、センサ、画像装置等)を取付けることができ、操作者が管腔内の他の組織貫通型カテーテルの位置および/または回転配向を調節し、組織貫通型部材のその後の前進により、組織貫通型部材を他の位置ではなく意図する第1の位置(標的位置の方向)に前進させることを実質的に保証し得る。そのような実施形態では、貫通器30のその後の前進により、貫通器が他の意図しない方向ではなく意図する標的位置に移動するように、配向装置を使用し、管腔内のカテーテル本体12を設置および回転配向することができる。
【0029】
貫通器30が第1の位置に前進した後、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置10のカテーテル本体24は、最初に、貫通器30のルーメンを通って遠位端に前進し、標的位置に到達するまで、貫通器30の遠位端を超えた部分にある組織をさらに通って前進する。カテーテル本体24の遠位端部42は、組織を通って貫通することが可能である。一部の実施形態では、カテーテル本体24の遠位端部42は、2006年4月14日に出願された、発明の名称「Micro Catheter Device And Method For Targeted Substance Delivery」と題する、同時係属の米国特許第200/0173440号明細書(シリアル番号第11/279,771号)、および米国特許第6、602、241号明細書に記載されるもの等の分散組織貫通型遠位端部材を備えることができ、それらの全体の開示は、参照することにより明確に組み込まれる。一部の実施形態では、出口開口部は、遠位端42内に形成された開口部の代わり、またはそれに加えて、カテーテル本体24の側壁に形成される。
【0030】
図4〜図4Cは、図1Aに示すシステムを使用して、物質、物品、または装置をヒト対象の心臓の心筋内の標的位置に送る手段の一実施例を示す。図示のとおり、経皮組織貫通型カテーテル13のカテーテル本体12は、大腿動脈血管内に経皮的に導入され、血管系を通って意図する標的位置付近に位置する冠状動脈血管CV内のある位置に経皮的に前進する。その後、図4Bに見られるとおり、貫通型カテーテル本体12が適切に設置および回転配向された後、貫通器30は、冠状動脈血管CVの壁、および心筋Mの一部を通って、冠状動脈血管CVと標的位置TLとの間にある第1の位置に前進する。
【0031】
図4Cに示されているように、直線状電極アレイを備えたカテーテル10は、貫通器30の遠位端から、心筋組織を通って標的位置に前進する。本カテーテル10が前進すると、電極50は、電気生理学的信号を検知し、操作者は、表示装置52に表示される検知した信号を使用して、カテーテル本体24の遠位端42が、いつ標的位置に進入したかを判断する。例えば、標的位置が心筋梗塞である場合は、操作者は、最遠位の電極50(つまり、電極#1または恐らく複数の最遠位の電極)が、少ししか、または全く電気生理学的信号を検知しなくなるまで、カテーテル本体24をゆっくりと前進させ、それにより、カテーテル本体24の遠位端42が、梗塞内の壊死地帯に進入したことが示される。残りの電極は、冠状動脈管CVと梗塞の標的位置TLとの間に位置する健康な心筋と一致する電気生物学的活性を示す。次いで、所望の物質(例えば、筋芽細胞、筋細胞、血管新生剤等)を、カテーテル10のルーメンを介し梗塞に直接送ることができる。
【0032】
図4Dおよび図4Eは、特定の位置へのカテーテル本体24の配設、心筋壁の厚さを測定することを試みる、または他の目的のために、望ましい場合がある、電極50を使用する組織の種類を識別する方法を示す。図4Dの実施例では、カテーテル本体24は、心筋Mを通って心内膜Eに前進している。結果として、最遠端の電極50(つまり、電極#1、または場合により、複数の最遠端の電極)は、心内膜組織の電気生理学的信号を検知し、残りの電極50は、心筋組織の電気生理学的信号を検知する。
【0033】
図4Eの実施例では、カテーテル本体24が、その遠位端42が心臓の心室V内にあるように、さらに前進する際、最遠位端の電極50(つまり、電極#1、または場合により、複数の最遠端の電極)は、心室腔内の血液を示す電気生理学的信号を検知し、カテーテル本体50に沿って中間に位置する電極(例えば、電極3および4)は、心内膜Eを示す電気生理学的信号を検知し、残りの近位電極(例えば、電極#5、6および7)は、心筋Mの電気生理学的信号を検知する。
【0034】
物質がカテーテル10を介して送られる用途においては、そのように送られる物質の種類の例には、標的位置の向上した画像を提供する造影剤または他の薬剤、物質が標的位置から離れて分布する、あるいはその位置で不活性化する速度、薬物動態または生体内分布パラメータ、あるいは変数を決定するために使用可能な透写可能な物質、薬剤、タンパク質、細胞(例えば、幹細胞、神経細胞、前駆細胞、筋芽細胞、筋細胞、分泌細胞、膵島細胞、ドパミン分泌細胞、内皮細胞、肝細胞、クローン細胞、細胞培養で培養された細胞、遺伝子組み換え細胞、およびそれらの組み合わせ)、血管新生物質(例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HFG)、または散乱因子、アデノシン受容体作動薬と化合したヘパリン、神経細胞成長因子(NGF)およびそれらの組み合わせ)、虚血標的部位の血管を増加する他の薬剤、筋原性物質、神経性物質、遺伝子、遺伝子治療組成物、ベクター(例えば、ウイルス)と組み合わせた遺伝物質、現在不完全である種類の細胞へと本来の場所で成熟する種類の幹細胞、壊死である、または生筋細胞の欠乏を特徴とする細胞内の筋細胞の成長を促進する物質、不足する物質(例えば、ドパミン、インスリン、特定の神経伝達物質)を分泌する分泌細胞、インスリン分泌細胞を含むステップF、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、神経成長因子、神経イムノフィリンリガンド、ポリADPリボースポリメラーゼ、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0035】
物品がカテーテル10を介して送られる用途においては、そのように送達され得る物品の種類の例には、物質溶出インプラント、放射性インプラント、塞栓性部材、マーカー、放射線不透過性マーカー等が含まれるがそれらに限定されない。
【0036】
装置がカテーテル10を介して送られる用途においては、そのように送達され得る装置の種類の例には、カテーテル、カニューレ、ガイドワイヤ、ワイヤ、電極、センサ、マイクロリザーバ、埋め込み可能な装置、物質溶出または送達装置等が含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
本発明は、本発明の特定の実施例または実施形態を参照して上記に記載されるが、本発明の意図した思想および範囲から逸脱することなく、これらの実施例および実施形態に様々な追加、削除、修正および変更が行われることを理解されたい。例えば、一実施形態または一実施例の任意の要素または特質は、その意図した使用に対して不適切な実施形態または実施例を生み出さない限り、別の実施形態または実施例に組み込まれる、またはそれと共に使用することが可能である。また、方法またはプロセスのステップが特定の順序で記載、列挙または請求される場合、そのようなステップは、新規ではない、当業者とって分りきった、またはその意図した使用に不適切な実施形態または実施例を生み出さない限り、任意の他の順序で実行され得る。全ての合理的な追加、削除、変更および修正は、記載された実施例および実施形態の同等物として考えられ、以下の請求項の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状電極アレイを備えたカテーテル装置であって、
ルーメンおよび組織を貫通する遠位端を有する細長いカテーテル本体と、
カテーテル本体の上、又はその中にある直線状電極アレイであって、前記電極アレイは、離間した位置に一列に配設された複数の電極を備え、前記電極のそれぞれは、組織または体液の特性を検知し、検知した特性に応答して信号を発生するように動作する直線状電極アレイと、
検知した特性の兆候を表示するための表示装置と、を備えている、
ことを特徴とする直線状電極アレイ。
【請求項2】
前記直線状電極アレイは、略一直線に配置された複数の電極を備える、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項3】
前記電極で検知した特性は、電気生理学的信号を含む、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項4】
前記電極アレイは、虚血または梗塞組織の領域を位置確認するために使用することができる、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項5】
前記カテーテル本体は、実質的に柔軟である、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項6】
前記カテーテル本体は、物質、物品、または装置が、それを通して送達され得る遠位端部の開口部の遠位側で終端するルーメンを有する、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項7】
組織貫通型遠位端部材は、前記カテーテル本体の前記遠位端部上に載置される、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項8】
信号伝送装置は、前記電極アレイと前記特性表示装置との間の有線通信のための1つ以上のワイヤを備える、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項9】
前記信号伝送装置は、前記電極アレイと前記特性表示装置との間の無線通信のための装置を備える、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項10】
前記カテーテル本体は、24/1000インチ未満の外径を有するマイクロカテーテル本体を備える、
請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項11】
体腔内に設置可能であり、その体腔の外側の第1の位置に前進可能な組織貫通型部材を有する、組織貫通型カテーテル装置と組み合わせた、直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を備えるシステムであって、
前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置は、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置が、組織または体液に前進し、前記直線状電極アレイの電極が、その組織または体液の特性を検知するように、その後、前記組織貫通型部材を通って、またはその上に前進可能である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記組織貫通型カテーテルの前記組織貫通型部材は、中空ルーメンを有する針を備え、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置は、前記組織貫通型部材の前記ルーメンを通って前進可能である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記組織貫通型カテーテル装置は、体腔の外側の標的位置に対する前記体腔内での、その回転配向を示す装置を備え、それによって、操作者が、必要に応じて、前記体腔内の前記組織貫通型カテーテル装置の回転および位置を調節し、前記組織貫通型部材のその後の前進により、前記組織貫通型部材を所望の第1の位置に移動させ、前記組織貫通型部材を介する、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置のさらにその後の前進により、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を他の位置ではなく前記標的位置に進入させることを実質的に保証し得る、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記組織貫通型カテーテル装置は、前記組織貫通型部材がその後前進する経路を示す装置を備え、それにより、操作者が、必要に応じて、体腔内の前記組織貫通型カテーテル装置の回転および位置を調節し、前記組織貫通型部材のその後の前進により、前記組織貫通型部材を所望の第1の位置に移動させ、前記組織貫通型部材を介する、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置のさらにその後の前進により、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を他の位置ではなく前記標的位置に進入させることを実質的に保証し得る、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
物質、物品または装置を、ヒトまたは動物の体内の標的位置に送るための方法であって、
(A)i)遠位端およびルーメンを有する細長いカテーテル本体と、ii)前記カテーテル本体上または本体内の直線状電極アレイであって、前記電極アレイは、離間した位置に一列に配設された複数の電極を備え、前記電極のそれぞれは、組織または体液の特性を検知し、検知した特性に応答して信号を発生するように動作する、直線状電極アレイと、iii)検知した特性の兆候を表示する表示装置と、を備える直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を提供するステップと、
(B)前記直線状電極アレイの電極が前記組織または体液の特性を検知し、前記表示装置がそれぞれの電極によって検知された特性の兆候を表示するように、前記直線状電極を備えたカテーテル装置を対象の体内に挿入し、組織または体液を通して前記直線状電極を備えたカテーテル装置を前進させるステップと、
(C)前記カテーテル本体のルーメンを介する前記物質、物品または装置の導入が、前記物質、物品、または装置の前記標的位置への送達をもたらすように、前記カテーテル本体が、いつ位置決めされたかを、前記表示装置によって表示された前記兆候に基づいて判断するステップと、
(D)前記物質、物品、または装置を、前記カテーテル本体のルーメンを通して前記標的位置に送るステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
ステップAで提供される直線状電極アレイを備えたカテーテル装置は、組織貫通型遠位端を有する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置の前記組織貫通型遠位端は、それを通って物質、機器、または装置が通過し得る開口部を有し、
ステップCは、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置の遠位端が、いつ、前記標的位置内またはそれに隣接して位置決めされたかを、前記表示装置によって表示された兆候に基づいて判断するステップを含み、
ステップDは、前記物質、物品または装置が前記標的位置に送られるように、前記物質、物品または装置を前記遠位端の開口部から排出するステップを含む、
請求項15に記載の方法
【請求項18】
ステップBは、前進可能および引込可能な組織貫通器を有する組織貫通型カテーテルを提供するステップと、
前記対象の身体の体腔内に前記組織貫通型カテーテルを設置するステップと、
前記組織貫通器を、前記組織貫通型カテーテルを介して前記組織貫通型カテーテルが位置する体腔の外側の第1の位置まで前進させるステップと、
その後、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置を、前記組織貫通器を通って、またはその上を前進させるステップと、を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記組織貫通型カテーテルは、標的位置に対する、体腔内の前記組織貫通型カテーテルの回転配向の表示を提供する装置をさらに備え、
ステップBは、必要に応じて、前記回転配向の表示を使用し、少なくとも体腔内の前記組織貫通型カテーテルの回転配向を調節し、前記組織貫通型部材のその後の前進により、前記組織貫通型部材を、他の位置ではなく所望の第1の位置に移動させることを実質的に保証するステップをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記組織貫通型カテーテルは、前記組織貫通型部材が後に前進する経路の表示を提供する装置をさらに含み、
ステップBは、必要に応じて、前記組織貫通型部材が後に前進する経路の前記表示を使用して、体腔内の前記組織貫通型カテーテルの回転配向または位置を調節し、前記組織貫通型部材を他の位置ではなく所望の第1の位置に移動させることを実質的に保証するステップをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記直線状電極アレイの電極は、電気生理学的信号を検知するように動作し、
ステップCは、前記カテーテル本体のルーメンを介した物質、物品、または装置の導入により、前記物質、物品、または装置の前記標的位置への送達をもたらすように、前記直線状電極アレイを備えたカテーテル装置の前記カテーテル本体が、いつ位置決めされたかを、それぞれの電極により検知された電気生理学的信号に基づいて判断するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記標的位置は、領域または虚血性または梗塞組織を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記標的位置は、心筋内である、
請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記標的位置は、臓器内である、
請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記標的位置は、病変内である、
請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記病変は、腫瘍を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ステップDは、薬剤、タンパク質、細胞、血管新生物質、筋原性物質、神経性物質、遺伝子、遺伝子治療組成物、および遺伝物質を細胞内の位置に送るためのベクターと組み合わせた前記遺伝物質から成る群から選択される物質を送るステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、虚血性組織のかん流を改善するように実施され、
ステップDで送達された前記物質は、虚血性組織の血管を増加する血管新生剤を含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップDで送られる前記血管新生剤は、血管内皮成長因子(VEGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HFG)、または散乱因子、アデノシン受容体作動薬と組み合わせたヘパリン、神経細胞成長因子(NGF)およびそれらの組み合わせから成る血管新生剤の群から選択される、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ステップDで送られる前記物質は、幹細胞、前駆細胞、筋芽細胞、筋細胞、分泌細胞、膵島細胞、ドパミン分泌細胞、内皮細胞、肝細胞、クローン細胞、細胞培養で増殖した細胞、遺伝子組み換え細胞、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される細胞を含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、通常、幹細胞から生体内で成長する一種の細胞の欠乏を特長とする状態を治療するために実行され、
ステップDは、その欠乏する全細胞型に成長する種の幹細胞を送るステップを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、生筋細胞の欠乏を特長とする状態を治療するために実行され、
ステップDは、筋芽細胞、または筋細胞を送るステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、パーキンソン病を治療するために実行され、ステップDは、ドパミン分泌細胞を送るステップを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ドパミン分泌細胞は、胎児のドパミン分泌細胞を含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記方法は、糖尿病を治療するために実行され、
ステップDは、インスリン分泌細胞を送るステップを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記インスリン分泌細胞は、膵島β細胞を含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、神経生成または神経障害を治療するために実施され、ステップDは、神経細胞を送るステップを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、神経生成または神経障害を治療するために実施され、
ステップDは、神経成長を促進する物質を送るステップを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項39】
ステップDで送達された前記物質は、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、神経成長因子、神経イムノフィリンリガンド、ポリADPリボースポリメラーゼ、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップDは、遺伝子を、前記遺伝子が所望の治療効果を有する細胞内の位置に前記遺伝子の進入を促進するためのベクターと組み合わせて送るステップを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記ベクターはウイルスである、
請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公表番号】特表2010−512845(P2010−512845A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541487(P2009−541487)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/086633
【国際公開番号】WO2008/076653
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(502129357)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】