説明

直角位置決め装置、ロッキングプライヤーとFクランプ

【課題】治具の調整機構を調整するだけで、独立の2つの被工作物を位置決め及び締め付けができる直角位置決め装置及び該直角位置決め装置を含むロッキングプライヤーとFクランプを提供する。
【解決手段】作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金11と、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金8とを含む直角位置決め装置であって、作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直角位置決め装置、ロッキングプライヤーとFクランプに関わり、特に、互いに直交する独立の2つの被工作物に関する直角位置決め装置、ロッキングプライヤーとFクランプに関わる。
【背景技術】
【0002】
従来、手動治具としては、例えばロッキングプライヤー、コンビネーションプライまたは、ベンチバイス、パイプレンチ、スパナ等のように、一般の1つの被工作物または独立の2つの被工作物を挟んで平行に固定することができる。例えば、代表的なロッキングプライヤーは、固定ハンドルと、固定アームと、可動ハンドルと、可動アームと、連結機構と、調整機構とを含み、可動アームと固定アームの作業面が対向し、調整機構を調整することによって、可動ジョーと固定ジョーの開口角度を調整ができ、また、被工作物を置き入れする場合、開口角度を大きく、被工作物を締め付けする場合、開口角度を小さく調整する。
【0003】
しかし、半田付け、加工、処理等の作業の場合、独立の2つの被工作物を“L”または“T”字のように配置する必要があり、通常の手動治具では、単独で作業することが困難であり、同時に複数の位置決めツールを使用し、治具に合わせて作業させることによって、独立の2つの被工作物を締め付け、固定をしなければならず、面倒になってしまう。
【0004】
調整可能なジョー内には、様々な締め付けに対応することができる。例えば、特許US4,134,578号の米国特許において、V字状の浮動半円形状のジョーは、クリップアプライヤーに用いられ、平面、円柱及び角度のある被工作物を挟持するためのものであることが開示されており、また、特許US4,305,575号の米国特許において、木枠ラチェットのL字状ジョーが開示されており、また、特許US4,483,059号の米国特許において、冶具や位置決めツールで円形パイプを位置決めするためのV字状ジョーが開示されており、及び特許US4,673,174号の米国特許において、角度の異なる治具で平面被工作物を挟持するための角度調整可能なV字状ジョーが開示されている。
【0005】
しかし、これらのジョーは、何れも比較的に小さいクリップアプライヤー表面しか与えられなく、被工作物を固く締め付けるため、被工作物に対して強い挟持力を与える必要がある。クリップアプライヤー表面が小さ過ぎると、例え十分強いネジ締め力でも被工作物をきちんと締め付けることができなく、またネジ締め力が強すぎると、より強い挟持力を加えたと同時に、被工作物表面へダメージを与える恐れがある。一方、従来の技術では、ジョーが小さいため、治具の使用を制限してしまう。また、従来の技術によるジョーの多くは、締め付け位置での調整が不可能であるため、治具が各種の被工作物の厚さまたはサイズに合わせるクリップアプライヤーの有効な開口(押え金の開口の大きさ)を速やかに容易に調整することができないと共に、広範囲に対する治具の利用が制限されてしまう。
【0006】
【特許文献1】特許US4,134,578号
【特許文献2】特許US4,305,575号
【特許文献3】特許US4,483,059号
【特許文献4】特許US4,673,174号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、様々な治具、例えば一治具に合わせて利用される場合、該治具は、該治具の調整機構を調整するだけで、独立の2つの被工作物への位置決めと締め付けを達成することができる、直角位置決め装置及びそれを有するロッキングプライヤー、Fクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金と、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金とを含み、作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができることを特徴とする直角位置決め装置である。
【0009】
前記直角位置決め装置の凹面押え金が2つの凹面押え金アーム、凸面押え金が2つの凸面押え金アームを有し、さらに、凹面押え金アームと凸面押え金アームに作業平面が形成されるため、大きい挟持表面を与えることができる。これによって、ロッキングプライヤー、Fクランプ等強い挟持力を与える治具に適用し、作業時に、凹面押え金の作業平面が凸面押え金の作業平面と対向することによって、被工作物を挟持するためのV字状ジョーが形成される。ロッキングプライヤー、Fクランプ等の治具に合わせて利用される場合に、該治具の調整機構を調整して該V字状ジョーの開口角度または挟持力を調整するだけで、独立の被工作物を位置決めと挟み付けを完成できる。
【0010】
また、本発明は、可動アームと、固定アームと、固定ハンドルと、可動ハンドルと、該可動アームと、固定アームの開閉角度または挟持力を調整するための調整機構とを含むロッキングプライヤーにおいて、さらに、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金と、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金とを含む直角位置決め装置を含み、可動アームと固定アームのうちの一方が凹面押え金に連結され、他方が凸面押え金に連結されており、作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、互いに垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができることを特徴とするロッキングプライヤーである。直角位置決め装置のキャリアとしてロッキングプライヤーを使用するため、挟持が簡易になり、高所作業にも寄与する。
【0011】
前記ロッキングプライヤーの直角位置決め装置の、凹面押え金が2つの凹面押え金アーム、凸面押え金が2つの凸面押え金アームを有し、さらに、凹面押え金アームと凸面押え金アームに作業平面が形成されているため、直角位置決め装置により大きい挟持表面を与えることができる。ロッキングプライヤーによる作業時に、凹面押え金の作業平面が凸面押え金の作業平面と対向することによって、被工作物を挟持するためのV字状ジョーが形成され、そのため、前記ロッキングプライヤーは、独立の互いに直交する2つの被工作物を挟持する場合、前記ロッキングプライヤーの調整機構だけで該V字状ジョーの開口角度または挟持力を調整すれば良い。
【0012】
また、本発明は、プラティパスロッドと移動アームとを含むFクランプにおいて、さらに、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金と、作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金とを含む直角位置決め装置を含み、凹面押え金はプラティパスロッドに連結され、凸面押え金は移動アームに連結され、作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、互いに垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができることを特徴とするFクランプである。
【0013】
前記Fクランプの直角位置決め装置の、凹面押え金が2つの凹面押え金アーム、凸面押え金が2つの凸面押え金アームを有し、さらに、凹面押え金アームと凸面押え金アームに作業平面が形成されているため、直角位置決め装置により大きい挟持表面を与えることができる。Fクランプによる作業時に、凹面押え金の作業平面が凸面押え金の作業平面と対向することによって、被工作物を挟持するためのV字状ジョーが形成され、そのため、前記Fクランプは、独立の互いに直交する2つの被工作物を挟持する場合、前記Fクランプの移動アームだけで該V字状ジョーの開口角度または挟持力を調整すれば良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面と具体的な実施形態に合わせて、本発明の前述した目的、技術的手段及び効果を詳しく説明する。
【0015】
同時に、図3、図4、図5及び図12を参照する。本発明のロッキングプライヤー1は、固定アーム3と、固定ハンドル2と、可動アーム6と、可動ハンドル5とを含み、更に、調整スクリュー4と、クランクハンドル16とを含む。調整スクリュー4の自由端にクランクハンドル16を差し込むためのスルーホールが設置され、クランクハンドル16は、主として、調整スクリュー4を回転させる場合、作業者が可動アーム6と固定アーム3によって生じた挟持力を楽に調整するように、レバレッジの役割を果たす。クランクハンドル16の回転によって、固定クランクハンドル2に対して調整スクリュー4を進退させ、更に、可動アーム6と固定アーム3の開口角度を調整することによって、被工作物への挟持に寄与する。以上のように、調整スクリューしか有しないロッキングプライヤーと比べ、ロッキングプライヤー1は、調整スクリュー4の自由端にクランクハンドル16が設置されているため、被工作物への開口による挟持力を速やかで便利に調整する手段を提供することができる。被工作物への挟持が終了し、ハンドル7が解放された時、ロッキングプライヤー1は、バネ60による復帰力によって、初期の常時開放状態に復帰される。
【0016】
ロッキングプライヤー1には、本発明の直角位置決め装置が配置されていない場合、該可動アーム6と固定アーム3で1つまたは2つの平行する被工作物を挟持するなど一般のロッキングプライヤーとして機能するが、本発明の直角位置決め装置が配置されている場合、独立の直角になっている2つの被工作物を挟持することもできる。
【0017】
以下、本発明の直角位置決め装置について、詳しく説明する。
【0018】
図6に示すように、直角位置決め装置が凸面押え金8と凹面押え金11を含む。独立の2つの被工作物91、92を挟持することを例とする。被工作物91と被工作物92は、図6(a)または図6(b)に示すように“L”字状に配置されても良く、また、図6(c)に示すように“T”字状に配置されても良い。説明の便宜上のため、以下では、凸面押え金8の被工作物寄りの側を“外側”、被工作物離れの側を“内側”、凹面押え金11の被工作物寄りの側を“内側”、被工作物離れの側を“外側”と定義する。
【0019】
図1に示すように、直角位置決め装置の凸面押え金8が対称的に設置されている2つの凹面押え金アーム80、81を含む。凹面押え金アーム80の外側に作業平面82、凹面押え金アーム81の外側に作業平面83があり、作業平面82と作業平面83とが互いに直交になり、作業平面82と作業平面83の連接部分において円弧曲面84により連接される。図2に示すように、凸面押え金8の内側にはピン軸孔90が形成される取付部81を設置している。図10と図11に示すように、ピン軸93は、ピン軸孔90に挿入し、ピン軸93またはピン軸孔90の軸線が作業平面82または作業平面83とは45度になるのが最も好ましい。図10では、凸面押え金8と挟持装置による第1の連結構成を示している。図11では、凸面押え金8と挟持装置による第2の連結構成を示している。凸面押え金8に連結された挟持装置は多種であり、そのうちのロッキングプライヤーとFクランプを後述する。
【0020】
図10に示すように、ピン軸93は、ボルト41の端部にも挿入され、ボルト41とは遊びを持たせながら係合されている。そのため、図10における凸面押え金8が、ピン軸93をピボットとし、ボルト41に対して浮動することができる。後述のように、凸面押え金は、ボルト41とナット45により挟持装置に連結されている。
【0021】
図11に示すように、ピン軸93に設置されたユニバーサルジョイント43は、インナーボールを備え、このインナーボールがなべボルト42のなべ部との係合にとって、図11における凸面押え金8がなべボルト42とジンバルの方式にて連結され、凸面押え金8が、なべボルト42のなべ部を中心としてボルト42の回りを回転される。後述のように、凸面押え金8は、ボルト42とナット45によって挟持装置に連結される。
【0022】
図3に示すように、図10におけるボルト41をストレートハンドル9、ナット45をレバレッジリンク機構13と置き換えることができる。
【0023】
図3に示すように、直角位置決め装置の凹面押え金11が対称的に設置されている2つの凹面押え金アーム110、111を含む。凹面押え金アーム110の内側に作業平面112、凹面押え金アーム111の内側に作業平面113があり、作業平面112と作業平面113とが互いに直交になり、凹面押え金アーム110と凹面押え金アーム111とが、U字状の連結部114を介して連結されている。図4に示すように、独立の2つの被工作物21、22を位置決めする場合、凹面押え金アーム111、110の作業平面113、112を凸面押え金アーム80、81の作業平面82、83と平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物21、22は、それぞれ平行になっている凹面押え金アームの作業平面113と凸面押え金アームの作業平面82の間、平行になっている凹面押え金アームの作業平面112と凸面押え金アームの作業平面83の間に位置決められる。
【0024】
図3、図4及び図5では、前記直角位置決め装置が前記ロッキングプライヤー1に配置された構成を示している。ロッキングプライヤー1の固定アーム3に対する凸面押え金8の連結は非常に容易である。図10と図11に示すような連結構成の場合、固定アーム3にスルーホールを設けるだけで良いが、図10におけるボルト41をストレートハンドル9に置き換えた場合、固定アーム3に正方形スルーホールを設け、固定アーム3に1つのレバレッジリンク機構13を連結すれば良い。即ち、凸面押え金8はどのような連結構成で凸面押え金8と連結されても、固定アーム3を実質的に構成を変更する必要がない。凹面押え金11が可動アーム6との連結も、可動アーム3を実質的に構成を変更する必要がないことについて、以下後述する。即ち、ロッキングプライヤー1から、前記直角位置決め装置を外した場合、平行になっている被工作物または1つの被工作物を挟持することができる従来の機能を果たす。ロッキングプライヤーが図10と図11に示すような構成で凸面押え金に連結されるのは、凸面押え金を凹面押え金に対して浮動させることによって、広い範囲において凸面押え金と凹面押え金との取付誤差が許容されることになり、それに、図11に示す凸面ジョーのジンバルの連結構成と図10に示す軸線回りの浮動構成が、異なる厚さの被工作物を挟持する場合の大きい挟持面に適応でき、安定性を向上させると共に、両押え金による力が同一直線に位置しない場合にも適応できる。このような浮動は、V字状のジョーにおける挟持力を同一直線に位置させることができる。
【0025】
ロッキングプライヤー1が作動している場合に、凸面押え金8の作業平面82と作業平面83はそれぞれ凹面押え金11の作業平面113と作業平面112と平行になっている。図4に示すように、独立の2つの被工作物22、21は、それぞれ平行になっている作業平面82と作業平面113の間、また、平行になっている作業平面83と作業平面112の間に位置決められ、且つ、被工作物22と被工作物21は“L”字状の配置になっている。可動ハンドル5に固定ハンドル2への力を加える場合に、凸面押え金8と凹面押え金11が“L”字状の配置になっている被工作物22と被工作物21とをしっかり挟持する。図5に示すように、独立の被工作物32、被工作物31は、それぞれ平行になっている作業平面82と作業平面113の間、また、平行になっている作業平面83と作業平面112の間に位置決められ、被工作物32と被工作物31は“T”字状の配置になっている。図5から、凹面押え金11と凸面押え金8によって、“T”字状配置になっている独立の2つの被工作物を位置決めする時、被工作物31に対して位置精度が求められ、実際に使用する時、作業者が被工作物31を移動することにより、凹面押え金11に対応させるため、高所作業者に非常に不便である。
【0026】
図7は、凹面押え金40であって、本発明の直角位置決め装置の凹面押え金の他の構成を示す。図7(a)に示すように、凹面押え金40は、作業平面43を有する凹面押え金アーム41と、作業平面44を有する凹面押え金アーム42とを含み、作業平面43が作業平面44と直交になっている。凹面押え金アーム41は、凹面押え金アーム42と交差している。凹面押え金40は、作業平面44を貫通するアーク状開口45を有する。凹面押え金と凸面押え金との間ののど厚が被工作物の大きさに影響または制限を与えることを回避するために、凹面押え金40をロッキングプライヤーに固定した位置決め溝が異なる角度または方向をなすように構造され、図7(b)に示すように、凹面押え金40は、取付孔400と、位置決め溝401、402、403とを有し、位置決め溝401、402、403が凹面押え金アーム41における作業平面と反対する側に設けられ、取付孔400の径方向に延在し、取付孔400との位置決め溝401、402、403とが凹面押え金40を治具に連結するのに用いられる。図8に示すように、凹面押え金40は、該取付孔及び択一的に選択された該位置決め溝によってロッキングプライヤー1の可動アーム6に連結されている。凸面ジョーのジンバルによる連結は、この多方向の位置決め溝とよく係合されるように構成されることにより、凸面ジョーと凹面ジョーによって挟持された被工作物の移動方向が1つの方向に限定されない。ここで、図7(b)に示す凹面押え金40の取付孔と位置決め溝の設計は、図3〜図5における凹面押え金11の外側に応用してもよいのが分かる。
【0027】
図8と図9は、図7における凹面押え金40をロッキングプライヤー1に適用したことを示す。凹面押え金40がアーク状開口45を有するため、被工作物61は、作業平面44と平行すると共に作業平面43と直交するように配置することができる。凹面押え金40におけるアーク状開口45によって、被工作物6を互いに当接されたままの2つの被工作物61、62を締め付けている状態でV字状ジョーを通り抜けさせるのに対して、従来の技術の、このような位置決め装置の場合、ステージ面または作業面等において、挟持された被工作物を移動放置することによって位置決め装置に合わせ、即ち被工作物を位置決め装置に合わせさせるのは一般的であるが、図8と図9の実施例において、被工作物に合わせるようにプライヤーの本体や直角位置決め装置を移動することで、ロッキングプライヤーが、特に高所での半田付けの場合の挟持による位置決め等の領域において幅広く利用される。また、アーク状開口45によってロッキングプライヤーが大工作業においてエアツールを挟持して穴あけ、釘打ちに好適であり、半田付けにもより大きい作業空間を与える。
【0028】
図14は、凸面押え金の押え金ケース86を示す。同時に図1または図2を参考すると、押え金ケース86は、凸面押え金の押え金アーム80または押え金アーム81を被覆することができ、薄い被工作物を挟む時のパッドの機能を果たす。
【0029】
図13は、前記直角位置決め装置がFクランプに配置された構成を示す。図13に示すように、本発明によるFクランプは、プラティパスロッド131と移動アーム132とを含み、更に直角位置決め装置130を含む。該直角位置決め装置130は、図8における直角位置決め装置の構造とほぼ同様に、図8における凹面押え金40の構成と類似した凹面押え金134と、図8における凸面押え金8と類似した凸面押え金133とで構成される。換言すれば、凹面押え金134は、対称的に設置されている2つの凹面押え金アーム1340、1341を含み、凹面押え金アーム1340、凹面押え金アーム1341にそれぞれ作業平面1342、1343が形成され、互いに直交になっており、凸面押え金133は、対称的に設置されている2つの凸面押え金アーム1330、1331を含み、凸面押え金アーム1330、1331に、それぞれ作業平面1332、1333が形成され、互いに直交になっている。プラティパスロッド131にネジ穴が形成されていることにより、凹面押え金134がプラティパスロッド131にスクリュー135で連結される。移動アーム132にネジ穴が形成されていることにより、凸面押え金133が移動アーム132にスクリュー136のネジ締めで連結される。作業時に、作業平面1342、1343を作業平面1332、1333に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物が(図示せず)それぞれ互いに平行になっている作業平面1342と作業平面1332、また、作業平面1343と作業平面1333の間に位置決め・挟持される。ピン軸138は、凸面押え金133の凸面押え金アームの作業平面1332、1333と反対する側の取付部1335に設置され、軸線が作業平面1332、1333と45度に成し、スクリュー136を貫通し、且つ、スクリュー136に対して遊びを持たせながら係合されることによって、凸面押え金133が該ピン軸138を中心軸として浮動することができるが、無論凸面押え金133が浮動するようにスクリューにジンバルの方式で連結されることもできる。スクリュー136の自由端には、レバレッジ効果によりスクリュー136を回転させるクランクハンドル137が設けられると、容易に挟持力の調整を達成する。
【0030】
以上のように、本発明において、好ましい実施例を開示しているが、但し本発明を限定するものではなく、当業者のものであれば、本発明の主旨と範囲を逸脱しない限り、種々な同等の変更、入れ替え、または適用することができる。例えば、図3、4、5、8及び12において、凸面押え金と凹面押え金の位置は、作業者の使用好みに合わせて置き換えをしてもよく、即ち、固定アームと可動アームのうちの一方が凸面押え金に連結され、他方が凹面押え金に連結されるようにしても良いことから、本発明における保護範囲が特許請求の範囲によって解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一実施例における直角位置決め装置の凸面押え金の1つの方向における斜視図であり、主として凸面押え金の外側の構成を示している。
【図2】図2は、図1における凸面押え金のもう1つの方向における斜視図であり、主として凸面押え金の内側の構成を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施例におけるロッキングプライヤーの斜視図である。
【図4】図4は、図3におけるロッキングプライヤーが“L”字状配置された被工作物を挟持する場合を示す斜視図。
【図5】図5は、図3におけるロッキングプライヤーが“T”字状配置された2つの被工作物を挟持する場合を示す斜視図。
【図6】図6は、本発明の一実施例における直角位置決め装置の作業時において、被工作物、凸面押え金、凹面押え金の位置を示しており、但し、図6(a)は第一の位置、図6(b)が第二の位置、図6(c)は第三の位置を示している。
【図7】図7は、本発明の一実施例における直角位置決め装置の凹面押え金の構成を示しており、但し、図7(a)は1つの方向における斜視図であり、主として凹面押え金の内側の構成を示しており、図7(b)はもう1つの方向における斜視図であり、主として凹面押え金の外側の構成を示している。
【図8】図8は、図7における凹面押え金を含むロッキングプライヤーを示す斜視図である。
【図9】図9は、図8における作業時のロッキングプライヤーを示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明における凸面押え金と固定アームの第1連結構成を示す。
【図11】図11は、本発明における凸面押え金と固定アームの第2連結構成を示す。
【図12】図12は、本発明の一実施例におけるロッキングプライヤーの正面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施例におけるFクランプの斜視図である。
【図14】図14は、本発明による凸面押え金ケースであり、図1における凸面押え金の凸面押え金アームを被覆するものを示す。
【符号の説明】
【0032】
1 ロッキングプライヤー
2 固定ハンドル
3 固定アーム
6 可動アーム
8、133 凸面押え金
11、40 凹面押え金
42、80、81、41、110、111、1340、1341 凹面押え金アーム
43,44,82、83、43、112,113、1332、1333、1342、1343 作業平面
45 アーク状開口
80、81、1330、1331 凸面押え金アーム
130 直角位置決め装置
131 プラティパスロッド
132 移動アーム
135 スクリュー
138 ピン軸
400 取付孔
401、402、403 位置決め溝
1335 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立の2つの被工作物を位置決めするための直角位置決め装置において、
作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金と、
作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金と
を含み、
作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができることを特徴とする直角位置決め装置。
【請求項2】
凹面押え金アームは、該作業平面を貫通するアーク状開口を有し、作業時に、独立の2つの被工作物のうちの一方が、該アーク状開口を通り抜けることができることを特徴とする請求項1に記載の直角位置決め装置。
【請求項3】
凹面押え金は、取付孔と、何れかの凹面押え金アームにおける作業平面と反対する側に設けられ、該取付孔の径方向に延在する位置決め溝とを有し、前記凹面押え金を治具と連結させることを特徴とする請求項1に記載の直角位置決め装置。
【請求項4】
該取付孔の軸線が何れかの凹面押え金アームにおける作業平面と45度になることを特徴とする請求項3に記載の直角位置決め装置。
【請求項5】
凹面押え金は、複数の該位置決め溝を有し、該取付孔及び択一的に選択された該位置決め溝によって、治具に連結されることを特徴とする請求項3に記載の直角位置決め装置。
【請求項6】
凸面押え金は、軸線が何れかの凸面押え金アームにおける作業平面と45度になるピン軸が設けられ、何れかの凸面押え金アームにおける作業平面と反対する側に設置される取付部を含むことを特徴とする請求項1に記載の直角位置決め装置。
【請求項7】
可動アームと、固定アームと、固定ハンドルと、可動ハンドルと、可動アームと固定アームの開閉角度または挟持力を調整するための調整機構とを含むロッキングプライヤーにおいて、さらに、
作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金と、
作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金とを含む直角位置決め装置を含み、
可動アームと固定アームのうちの一方が凹面押え金に連結され、他方が凸面押え金に連結されており、
作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができることを特徴とするロッキングプライヤー。
【請求項8】
凹面押え金アームは、該作業平面を貫通するアーク状開口を有し、作業時に、独立の2つの被工作物のうちの一方が、該アーク状開口を通り抜けることができることを特徴とする請求項7に記載のロッキングプライヤー。
【請求項9】
凹面押え金は、取付孔と、何れかの凹面押え金アームにおける作業平面と反対する側に設けられ、該取付孔の径方向に延在する位置決め溝とを有し、可動アームは、該位置決め溝に係合し、かつ、凹面押え金と可動アームまたは固定アームとは、該取付孔及びボルトを介して固定されることを特徴とする請求項7に記載のロッキングプライヤー。
【請求項10】
該取付孔の軸線が何れかの凹面押え金アームにおける作業平面と45度になることを特徴とする請求項9に記載のロッキングプライヤー。
【請求項11】
凹面押え金は、複数の該位置決め溝を有し、該取付孔及び択一的に選択された該位置決め溝によって、可動アームまたは固定アームに連結されることを特徴とする請求項9に記載のロッキングプライヤー。
【請求項12】
凸面押え金は、1つのリフターを介して固定アームまたは可動アームに連結され、何れかの凸面押え金アームにおける作業平面と反対する側に設置されている取付部を有し、前記リフターが該取付部と固定アームまたは可動アームとを連結させることを特徴とする請求項7に記載のロッキングプライヤー。
【請求項13】
前記リフターは、凹面押え金に対する凸面押え金の位置が調整可能になるように、前記固定アームまたは可動アームに設置される取付孔に挿入され、位置調整装置により前記取付孔に対して移動または固定を行うことを特徴とする請求項12に記載のロッキングプライヤー。
【請求項14】
前記取付部と前記リフターとは、凸面押え金が浮動できるように回転自在に連結されることを特徴とする請求項13に記載のロッキングプライヤー。
【請求項15】
前記凸面押え金を前記リフターとジンバル構造で連結するように、前記取付部と前記リフターに1対のユニバーサルジョイントを設けていることを特徴とする請求項12〜14の何れかに記載のロッキングプライヤー。
【請求項16】
前記リフターの本体は、スクリューであり、前記位置調整装置は、ナットであることを特徴とする請求項13に記載のロッキングプライヤー。
【請求項17】
前記リフターの本体に鋸歯が形成され、前記位置調整装置は、くさびとレバレッジリンク機構であることを特徴とする請求項13に記載のロッキングプライヤー。
【請求項18】
調整機構は、固定ハンドルに設置される調整スクリューを有し、該調整スクリューの端末にレバレッジ効果により調整スクリューを回転させるクランクハンドルが設けられることによって、前記可動アームと固定アームの開閉角度や挟持力を調整することを特徴とする請求項7に記載のロッキングプライヤー。
【請求項19】
凸面押え金の凸面押え金アームは、押え金ケースで被覆されることを特徴とする請求項7に記載のロッキングプライヤー。
【請求項20】
プラティパスロッドと移動アームとを含むFクランプにおいて、さらに、
作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凹面押え金アームを有する凹面押え金と、
作業平面が互いに直交するように形成され、対称的に設置されている2つの凸面押え金アームを有する凸面押え金とを含む直角位置決め装置を含み、
凹面押え金はプラティパスロッドに連結され、凸面押え金は移動アームに連結され、作業時に、凹面押え金アームにおける作業平面を凸面押え金アームにおける作業平面に対して平行させることによって、V字状ジョーが形成され、独立の2つの被工作物を、垂直するように、該V字状ジョー内に位置決めすることができることを特徴とするFクランプ。
【請求項21】
プラティパスロッドと移動アームに、それぞれネジ穴が形成され、プラティパスロッドが、その上の前記ネジ穴により凹面押え金と連結し、移動アームがその上の前記ネジ穴とスクリューにより、凸面押え金と連結し、前記スクリューが移動アームの前記ネジ穴を貫通し、凸面押え金が浮動できるように、凸面押え金の凸面押え金アームの作業平面と反対する側の取付部と回転可能に連結されることを特徴とする請求項20に記載のFクランプ。
【請求項22】
凹面押え金アームは、該作業平面を貫通するアーク状開口を有し、作業時に、独立の2つの被工作物の一方が、そのアーク状開口を通り抜けることができることを特徴とする請求項20に記載のFクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−290238(P2008−290238A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136321(P2008−136321)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(508156410)バルトラ・(シャンハイ)・マシーナリー・カンパニー・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VALTRA (SHANGHAI) MACHINERY CO., LTD
【Fターム(参考)】