説明

相乗的殺微生物配合物

【課題】迅速で且つ長期持続性双方を兼ね備える微生物の有効な全体的抑制を提供する、種々の微生物を抑制する方法の提供。
【解決手段】2−メチル−3−イソチアゾロン及び選択された第二商業的殺微生物の相乗配合物に基づく耐微生物組成物であって、組成物中のハロゲン化3−イソチアゾロンの量が、2−メチル−3−イソチアゾロンとハロゲン化3−イソチアゾロンの合計重量を基準として、0〜3重量%である組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相乗的殺微生物配合物に関し、特に2−メチル−3−イソチアゾロンと1以上の選択された商業的殺微生物剤との相乗的殺微生物配合物に関し、生じた組成物は実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない。
【背景技術】
【0002】
ケーソン(Kathon、商標)CGバイオサイド(3/1比の5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン対2−メチル−3−イソチアゾロン)及びネオロン(Neolone、商標)950殺細菌剤(2−メチル−3−イソチアゾロン)は、非常に有効な防腐剤であり、化粧品及び洗面用品のようなパーソナルケア用途における微生物汚染を防止するため多様な商業的に入手可能な防腐剤との組み合わせで使用され得る(「ケーソンCG化粧品及び洗面用品用防腐剤」ブレティンCS−663、1997年、9月発行、及び「パーソナルケア製品用ネオロン950防腐剤」ブレティンCS−707、2001年、5月発行、ロームアンドハースカンパニー、米国、ペンシルバニア州、フィラデルフィア、参照)。米国特許第5,591,759号は、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン/2−メチル−3−イソチアゾロン(9/1比)のイソチアゾロン混合物を安定化させるために1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンの使用を開示する。特許出願WO01/50855は、アクリルコポリマー添加剤、糖誘導体及び、クエン酸/クエン酸塩の存在下で2−メチル−3−イソチアゾロンをベースとした物を含む抗微生物剤混合物を含有する防腐剤製剤をベースとした、切花の寿命を延長するための防腐剤製剤を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,591,759号明細書
【特許文献2】国際公開第01/50855号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「ケーソンCG化粧品及び洗面用品用防腐剤」ブレティンCS−663、1997年、9月発行 ロームアンドハースカンパニー、米国、ペンシルバニア州、フィラデルフィア
【非特許文献2】「パーソナルケア製品用ネオロン950防腐剤」ブレティンCS−707、2001年、5月発行、ロームアンドハースカンパニー、米国、ペンシルバニア州、フィラデルフィア
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くのその他の殺微生物剤が知られている。これらは、多様な生育場所においての微生物を抑制するために商業的に入手可能である。時々、多くの殺微生物剤は、ある種の微生物に対する弱い活性のために高使用濃度においてでさえ効果的な抗微生物抑制を提供できない。効果的な微生物抑制なくしては、生産物の損失、劣悪な生産物、生産時間の損失、健康障害及びその他の問題が、処理される対象において起こり得る。異なる抗微生物剤の高使用濃度の組み合わせに頼ることなく、しかし尚、迅速で且つ長期持続性双方を兼ね備える微生物の有効な全体的抑制を提供する、種々の微生物を抑制する方法についての必要性が、存在する。
【0006】
本発明が目指す課題は、単独で使用される個々の殺微生物剤よりも効果的で且つ本来の個々の殺微生物濃度と同様な効力を提供しながらより低い全体濃度において使用され得る殺微生物剤の組み合わせを提供することにより前述の殺微生物剤配合物の欠陥を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第一成分が2−メチル−3−イソチアゾロンであり、第二成分が安息香酸、ソルビン酸、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、フェノキシエタノール、亜鉛ピリチオン及びクリンバゾール(climbazole)からなる群から選択される1以上の商業的殺微生物剤である相乗混合物を含む殺微生物組成物を提供する;ここで、第一成分対第二成分の比は1/0.001から1/1000であり;及びここで、組成物は実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない。
【0008】
他の態様において本発明は、第一成分が2−メチル−3−イソチアゾロンであり、第二成分がクエン酸及びベンジルアルコールからなる群から選択される1以上の商業的殺微生物剤である相乗混合物を含む殺微生物組成物を提供する;ここで、第二成分がクエン酸であるとき第一成分対第二成分の比は1/8から1/24であり;ここで、第二成分がベンジルアルコールであるとき第一成分対第二成分の比は1/0.13から1/32又は1/80から1/1600であり;及びここで、組成物は実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない。
【0009】
本発明は、更に、前述の相乗混合物の微生物阻止量をその対象の中に、対象において又は対象の上に導入することを含む対象における微生物の増殖を阻止する方法を提供し;及びここで、相乗的混合物の量は0.から10,000ppmの活性成分である。
【0010】
好ましい態様において、本発明は、上記したような微生物の増殖を阻止する方法を提供し、ここで、微生物は、1以上の細菌及び真菌微生物から選択される。
【0011】
我々は、2−メチル−3−イソチアゾロン(MI)が、選ばれた商業的殺微生物剤と配合されて、組み合わされた個々の3−イソチアゾロン又は商業的殺微生物剤の有効使用濃度より低い配合活性成分濃度において向上した殺微生物効力を提供することを見出した;ここで、得られた組成物は実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない。好ましくは、殺微生物組成物は、また、実質的に硝酸塩又はマグネシウム塩のような金属塩安定剤を含まず;これらの「ソルトフリー」殺微生物組成物は微生物汚染に対してパーソナルケア組成物を保護するのに特に有用である。
【0012】
1/0.001から1/1000の比率の本発明のMIと1以上の商業的殺微生物剤との混合物は、広範囲な微生物に対して相乗的殺微生物活性をもたらすことが見出された。相乗性は、二つの化合物の共同により処理される有機物についての阻害的相互作用が、単独で使用される場合における両化合物の斯かる相互作用の合計より大きいときに、生じる。斯かる相乗性は、一緒に添加されるとき成分の予測された活性からは起こらない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書においては、次の用語は明確に別段の断りのない限り指示された定義を有する。用語「殺微生物剤」は、対象において微生物の増殖を阻止するか又は抑制することができる化合物を意味する;殺微生物剤は殺細菌剤、殺真菌剤及び殺藻剤を含む。用語「微生物」は、例えば、真菌(酵母及び黴等)、細菌及び藻を含む。用語「対象」は、微生物による汚染に曝される工業的系又は生産物を意味する。次の略語が本明細書の全体に亘り使用される:ppm=パーツパーミリオン(重量/重量)、mL=ミリリットル、ATCC=米国菌株収集センター、及びMIC=最低阻止濃度。別に特定されない限り、掲げられた範囲は、両端の数字を含み、組み合わせ可能であると理解され、温度は摂氏度(℃)及びパーセンテージの引用は重量による。「ソルトフリー」は、組成物が組成物の重量を基準にして0又は0.5%まで、好ましくは0又は0.1%まで及びより好ましくは0又は0.01%まで金属塩を含有することを意味する。
【0014】
本発明の殺微生物組成物は、実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない;即ち、ハロゲン化3−イソチアゾロン及び2−メチル−3−イソチアゾロンの配合された重量を基準にして0又は3%まで、好ましくは0又は1%まで及びより好ましくは0又は0.5%までのハロゲン化3−イソチアゾロンが含まれ得る。ハロゲン化3−イソチアゾロンの存在に依存する殺微生物組成物は、化学的劣化を受けやすく、上記金属塩安定剤のような追加の安定剤成分を要求することができる;塩安定剤は時々最終製剤に許容できない特性を生み出す。この理由に対しては、実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない殺微生物製剤を提供することが望ましいが、尚ハロゲン化3−イソチアゾロンによって提供される程度の抗微生物的保護を提供することが望ましい;そのようなものは、金属安定剤を必要としない2−メチル−3−イソチアゾロンに基づいた本発明の殺微生物組成物である。
【0015】
MIは、本発明の相乗混合物において「そのまま」使用され得るか、又は最初に溶媒又は固体担体と配合され得る。好適な溶媒としては、例えば、水;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのようなグリコール類;グリコールエーテル;メタノール、エタノール、プロパノール、フェネチルアルコール及びフェノキシプロパノールのようなアルコール類;アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、クエン酸トリアセチル及びトリ酢酸グリセロール等のエステル類;炭酸プロピレン及び炭酸ジメチル等の炭酸塩;及びこれらの混合物が挙げられる。溶媒は、水、グリコール類、グリコールエーテル類、エステル類及びこれらの混合物から選択されるのが好ましい。好適な固体担体としては、例えば、シクロデキストリン、シリカ、珪藻土、ワックス、セルロース物質及びチャコールが挙げられる。MIは、水と配合されるのが好ましい。
【0016】
本発明の配合物の第二殺微生物成分は公知であり、一般に商業的に入手可能な殺微生物剤であり、安息香酸、クエン酸、ソルビン酸、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、亜鉛ピリチオン及びクリンバゾールが含まれる。MI対第二殺微生物成分の比率は、典型的には1/0.001から1/1000、及び好ましくは1/0.05から1/100である。これらの殺微生物剤は、本発明の相乗混合物において「そのまま」使用され得るか、又は最初に溶媒、固体担体と又はディスパーションとして一緒に配合され得る。好適な溶媒及び固体担体は、MIについて上記されたものである。
【0017】
水不溶性第二殺微生物成分が溶媒中で配合されるとき、配合物は任意に界面活性剤を含むことができる。斯かる配合物が界面活性剤を含有するとき、それらは、一般にエマルション乳剤、エマルション、マイクロエマルション乳剤又はマイクロエマルションである。エマルション乳剤は、充分量の水の添加によりエマルションを形成する。マイクロエマルション乳剤は、充分量の水の添加によりマイクロエマルションを形成する。斯かるエマルション又はマイクロエマルション乳剤は、一般に当分野でよく知られており;斯かる配合物は界面活性剤を含まないのが好ましい。米国特許第5,444,078号により、種々のマイクロエマルション及びマイクロエマルション乳剤の調製に関して更なる一般的及び具体的な詳細を調べることができる。
【0018】
如何なるMI製剤も、本発明の相乗混合物において第二殺微生物成分製剤と共に使用され得る。MI及び第二殺微生物成分はそれぞれ最初に溶媒と配合されるとき、MI用に使用される溶媒は、他の商業的殺微生物剤を配合するのに使用される溶媒と同一であるか又は異なってもよい。その二つの溶媒は、混和性であるのが好ましい。代替においては、MI及びその他の殺微生物剤は直接配合され、次に溶媒が混合物に添加されてもよい。
【0019】
当業者は、本発明のMI及び第二殺微生物剤成分は、順に、又は同時に対象に添加され又はその対象に添加される前に配合され得ることを認識するであろう。MI及び第二殺微生物剤成分は、同時に対象に添加され、又は対象に添加される前に配合されるのが好ましい。殺微生物剤が対象に添加される前に配合されるとき、斯かる組み合わせは、任意に、例えば、溶媒、増粘剤、凍結防止剤、着色剤、金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、イミノ二コハク酸及びそれらの塩)、分散剤、界面活性剤、安定剤、スケール防止剤及び腐蝕防止剤のような補助剤を含有することができる。
【0020】
本発明の殺微生物組成物は、微生物による攻撃に曝される対象の上に、対象中に又は対象に殺微生物的に有効量の組成物を導入することにより微生物の増殖を阻止するのに使用され得る。好適な対象としては、例えば、冷却塔;空気清浄器;ボイラー;鉱物スラリー;廃水処理;観賞用噴水;逆浸透濾過;限外濾過;バラスト水;蒸発凝縮器;熱交換器;パルプ及び紙加工液;プラスチック;エマルション;ディスパーション;塗料;ラテックス;ワニス等のコーティング;マスチック材、コーキング材及びシーラント等の建築製品;セラミック接着剤、カーペット裏地接着剤、及び積層体用接着剤等の建築用接着剤;工業用又は消費者用接着剤;写真用薬品;印刷用液;浴室及び台所クリーナー等の家庭用製品;化粧品;洗面用品;シャンプー;石鹸;洗剤;工業用クリーナー;フロアポリッシュ;洗濯すすぎ水;金属工作液;コンベヤー潤滑剤;作動液;皮革及び皮革製品;繊維;繊維製品;合板、チップボード、フレークボード、積層ビーム、配向ストランドボード、ハードボード及びパーティクルボード等の木材及び木材製品;石油加工液;燃料;注入水、フラクチャー液及び掘削泥水のような油田用液体;農業用補助剤保存剤;界面活性剤保存剤;医療機器;診断試薬保存剤;プラスチック又はペーパー食品包装のような食品保存剤;プール;及び温泉等が挙げられる。
【0021】
好ましくは、本発明の殺微生物組成物は、1以上のエマルション、ディスパーション、塗料、ラテックス、家庭用製品、化粧品、洗面用品、シャンプー、石鹸、洗剤及び工業用クリーナーから選択される対象において微生物の増殖を阻止するのに使用される。特に、殺微生物組成物はヘアケア(例えば、シャンプー及び染料)及びスキンケア(例えば、日焼け止め、化粧品、石鹸、ローション及びクリーム)製剤のようなパーソナルケア用途に有用である。
【0022】
本発明の相乗組成物がパーソナルケア組成物に使用されるとき、配合組成物は、また、UV線吸収剤、界面活性剤、レオロジー変性剤又は増粘剤、香料、加湿化剤、保湿剤、皮膚軟化薬、コンディショニング剤、乳化剤、静電防止補助剤;顔料;染料;ティント;着色剤、酸化防止剤、還元剤及び酸化剤から選択される1以上の成分を含むことができる。
【0023】
好適なUV線吸収剤(化学的吸収剤及び物理的遮断剤を含む)としては、例えば、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、スリソベンゾン、アントラニル酸メチル、パラ−アミノ安息香酸、アミルパラ−ジメチルアミノ安息香酸、オクチルパラ−ジメチルアミノベンゾエート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、ポリエチレングリコール(PEG−25)パラ−アミノベンゾエート、ジエタノールアミンパラ−メトキシ桂皮酸エステル、2−エトキシエチルパラ−メトキシ桂皮酸エステル、エチルヘキシルパラ−メトキシ桂皮酸エステル、オクチルパラ−メトキシ桂皮酸エステル、イソアミルパラ−メトキシ桂皮酸エステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチル、グリセリルアミノベンゾエート、サリチル酸トリエタノールアミン、トリオレイン酸ジガロイル、ジヒドロキシアセトンとのローソン(lawsone)、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、4−メチルベンジリジンカンファー、アボベンゾン、二酸化チタン及び酸化亜鉛が挙げられる。代替的に、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ビニル基含有アミド、桂皮酸アミド、及びスルホン化ベンズイミダゾールのようなUV線吸収剤が、また、使用され得る。
【0024】
好適な界面活性剤としては、例えば、非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び両性界面活性剤及びこれらの混合物が挙げられる;PPG28ブテス(Buteth)35,PEG75ラノリン、ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、オクトキシノール−9、PEG−25水素化ひまし油、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレングリコール25グリセリルトリオレート、oleth−3ホスフェート、PPG−5−ceteth−10ホスフェート、PPG−20−メチルグルコースエーテル、グリセレス(glycereth)−7−トリアセテート及びN−アルキル置換ラクタム(N−オクチルピロリドン等)等である。
【0025】
好適な増粘剤又はレオロジー変性剤としては、例えば、疎水的変性非イオン性エトキシル化ウレタン、アクリレート/ステアレス(steareth)−20メタクリレートコポリマー、カルボマー、アクリレートコポリマー及びアクリレートC10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーのようなポリカルボン酸増粘剤が挙げられる。
【0026】
本発明の方法により改良されたパーソナルケア組成物としては、例えば次のものが含まれる:(a)シャンプー、毛髪染料、ヘアコンディショナー、ゲル、ムース及びヘアスプレー等のヘアケア配合物;及び(b)ネイルコーティング、化粧品、アストリンゼン、脱毛剤、フェイシャルメイキャップ製剤、サンスクリーン及びサンブロック、プレモイステンドワイプス、ハンドクリーム、ハンド及びボディーソープ、及びハンド及びボディーローション等のスキンケア及びネイル配合物。
【0027】
化粧品配合物は、典型的には水、フィルム形成材、乳化剤、軟化剤、皮膚軟化薬、オイル、安定剤、増粘剤、中和剤、香水、着色剤、顔料及びこれらの配合物を含有する。サンスクリーン製剤としては、例えば、典型的には、UV線吸収剤、水、フィルム形成材、乳化剤、皮膚軟化薬、防水剤、オイル、安定剤、増粘剤、防腐剤、香水、着色剤、殺虫剤、保湿剤及びこれらの配合物が挙げられる。
【0028】
任意に、追加のフィルム形成剤、可塑剤、抗発泡剤、レベリング助剤、賦形剤、ビタミン剤、天然抽出物、蛋白、金属イオン封鎖剤、分散剤、酸化防止剤、懸濁剤及び溶媒のような他の添加剤が、上記のパーソナルケア製剤に添加され得る。好適な溶媒には、例えば、エタノール、イソプロパノール又はプロパノールのようなC〜C12直鎖又は分岐鎖アルコール;酢酸エチルのようなアルキルエステル;ケトン;及びこれらの混合物が含まれる。
【0029】
対象において微生物の増殖を阻害し又は抑制するに必要な相乗配合物の特定量は、配合物中の具体的な化合物及び保護される具体的な対象に依存する。典型的には、対象で微生物の増殖を抑制する本発明の相乗配合物の量は、それが対象中で0.1から10,000ppmの相乗混合物の活性成分を与えるならば充分である。相乗混合物は、対象において0.5から5000ppm及び好ましくは1から3000ppmの量で存在するのが好ましい。
【0030】
本発明の組成物による抑制の有効性について評価される微生物は、細菌(P.aeruginosa及びS.aureus)及び真菌(A.nigerおよびC.albicans)微生物、特にグラム(−)細菌及びグラム(+)細菌並びに酵母及びカビを含む。
【0031】
MIとソルビン酸、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン又はフェノキシエタノールとの配合物は、特にグラム(−)及びグラム(+)細菌に対し有効である。MIと安息香酸、亜鉛ピリチオン又はベンジルアルコールとの配合物は、特にグラム(−)細菌に対し有効である。MIとクエン酸又はクリンバゾールとの配合物は、特にグラム(+)細菌に対し有効である。MIとフェノキシエタノール、亜鉛ピリチオン又はベンジルアルコールとの配合物は、特に酵母及びカビに有効である。MIと安息香酸、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン又はクリンバソールとの配合物は、特に酵母に有効である。MIとソルビン酸との配合物は、特にカビに有効である。MIと安息香酸、ソルビン酸、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、フェノキシエタノール、亜鉛ピリチオン、クリンバソール又はベンジルアルコールとの配合物は、特に細菌及び真菌微生物双方に対し有効である。
【0032】
安息香酸が本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対安息香酸の比は1/0.1から1/100であり及びより好ましくは1/0.13から1/67である。クエン酸が本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対クエン酸の比は1/8から1/40及びより好ましくは1/8から1/24である。ソルビン酸が本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対ソルビン酸の比は1/2から1/150、より好ましくは1/4から1/133及び最も好ましくは1/4から1/67である。1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンが本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンの比は1/0.4から1/100が好ましい。1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントインが本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントインの比は1/0.05から1/100が好ましく、より好ましくは1/0.06から1/80である。フェノキシエタノールが本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対フェノキシエタノールの比は1/1から1/1000が好ましく、より好ましくは1/2から1/800である。亜鉛ピリチオンが本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対亜鉛ピリチオンの比は1/0.001から1/20が好ましく、より好ましくは1/0.0013から1/13である。クリンバゾールが本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対クリンバゾールの比は1/0.03から1/30が好ましく、より好ましくは1/0.05から1/24である。ベンジルアルコールが本発明の相乗混合物に使用されるときは、MI対ベンジルアルコールの比は1/0.13から1/32又は1/80から1/1600が好ましく、より好ましくは1/80から1/400である。
【実施例】
【0033】
本発明の幾つかの態様は、下記の実施例で詳細に記載されている。全ての比率、部及びパーセンテージは、断りのない限り重量で表され、使用される全ての試薬は、断りのない限り良好な商業的品質のものである。実施例及び表で使用される略語は、下記に掲載され、相当する意味を有する。
MI=2−メチル−3−イソチアゾロン
SI=相乗指数
MIC=最小阻止濃度
【0034】
本発明の配合物の相乗作用は、広範囲な濃度及び比率の化合物を試験することにより実証される。
【0035】
相乗作用は、下記式により決定される比率を使用して、クル、F.C.;アイスマン、P.C.;シルビストロビッチ、H.D及びメイヤー、R.L.、によりApplied Microbiology 第9巻;538〜541頁(1961年)に記載された工業的に許容された方法により測定された:
【0036】
【数1】

【0037】
ここで:
=終点(化合物AのMIC)を提示する、単独で作用する、ppmでの化合物A(第一化合物)の濃度。
=終点を提示する、混合物で作用する、ppmでの化合物Aの濃度。
=終点(化合物BのMIC)を提示する、単独で作用する、ppmでの化合物B(第二化合物)の濃度。
=終点を提示する、混合物で作用する、ppmでの化合物Bの濃度。
【0038】
/Q及びQ/Qの合計が1より大きいとき拮抗作用が示される。合計が1に等しいとき加成性が示され、1未満のとき、相乗作用が示される。SIが低ければ低いほど、特定混合物で示される相乗作用は大きい。最低阻止濃度(MIC)は、加えられた微生物の増殖を阻止する特定の組み合わせ条件下で試験される最低濃度である。
【0039】
相乗試験は、試験微生物の最適増殖用に計画された媒体で標準マイクロタイタープレート検定法を使用して行われた。0.2%グルコース及び0.1%酵母抽出物(M9GY培地)で補填された最小塩培地が、細菌を試験するため使用された;ポテトデキストロースブロス(PDB培地)が、酵母及びカビを試験するため使用された。この方法において、種々の濃度のMI存在下で高分解MIC検定を遂行することにより微生物の広範囲の組み合わせが試験された。高分解MICでは種々の濃度の微生物をマイクロタイタープレートの一カラムに添加して、それから2ppmから10,000ppm活性成分を範囲とする一連の終点を得るための自動液体取り扱い系を使用して10倍希釈を実施する。本発明の配合物の相乗性は二つの細菌、Staphylococcus aureus(S.aureus−−ATCC#6538)又はPseudomonas aeruginosa(S.aeruginosa−−ATCC#9027)、酵母、Candida albicans(C.albicans−−ATCC10231)及びカビ、Aspergillus niger(A.niger−−ATCC16404)について測定された。細菌は1mL当たり約5×10の細菌、及び1mL当たり約5×10の酵母及びカビにおいて使用された。これらの微生物は、多くの消費者及び工業的用途における自然汚染の代表例である。プレートは、25℃(酵母及びカビ)又は30℃(細菌)において種々のインキュベーション時間の後でMICを決定するため微生物の増殖を視覚により評価された。
【0040】
本発明の殺微生物剤配合物の相乗性を実証するための試験結果は、下記の表1乃至表9において示されている。各試験において、第一成分(A)はMIであり、及び第二成分(B)は他の商業的殺微生物剤であった。各表は、MI及び第二成分の具体的な配合物;インキュベーション時間と共に試験される微生物に対する結果;MI単独の(Q)、第二成分単独(Q)、混合物(Q)中のMI及び混合物(Q)中の第二成分についてのMICによって測定されるppmでの終点活性;計算SI値;及び試験される各配合物についての相乗比率の範囲(MI/第二成分又はA/B)を表す。
【0041】
【表1】

【0042】
MI/安息香酸の相乗比率は、1/0.13から1/67の範囲である。MI/安息香酸配合物は、グラム(−)細菌及び酵母について向上した抑制を示した。
【0043】
【表2】

【0044】
MI/クエン酸の相乗比率は、1/8から1/40、好ましくは1/8から1/24の範囲である。MI/クエン酸配合物は、グラム(+)細菌について向上した抑制を示した。
【0045】
【表3】

【0046】
MI/ソルビン酸の相乗比率は、1/4から1/133、好ましくは1/41から1/67の範囲である。MI/ソルビン酸配合物は、カビ及びグラム(−)細菌及びグラム(+)細菌について向上した抑制を示した。
【0047】
【表4】

MI/1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンの相乗比率は、1/0.4から1/100の範囲である。MI/1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン配合物は、酵母、グラム(+)及びグラム(−)細菌双方について向上した抑制を示した。
【0048】
【表5】

【0049】
MI/1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントインの相乗比率は、1/0.06から1/80の範囲である。MI/1,3−ジジメチロ−ル−5,5−ジメチルヒダントイン配合物は、グラム(+)及びグラム(−)細菌双方について向上した抑制を示した。
【0050】
【表6】

【0051】
MI/フェノキシエタノールの相乗比率は、1/2から1/800の範囲である。MI/フェノキシエタノール配合物は、グラム(+)及びグラム(−)細菌並びに酵母及びカビについて向上した抑制を示した。
【0052】
【表7】

【0053】
【表8】

【0054】
MI/亜鉛ピリチオンの相乗比率は、1/0.0013から1/13の範囲である。MI/亜鉛ピリチオン配合物は、グラム(−)細菌及び酵母とカビ双方について向上した抑制を示した。
【0055】
【表9】

【0056】
MI/クリンバゾールの相乗比率は、1/0.05から1/24の範囲である。MI/クリンバゾール配合物は、グラム(+)細菌及び酵母について向上した抑制を示した。
【0057】
【表10】

【0058】
【表11】

【0059】
MI/ベンジルアルコールの相乗比率は、1/0.1から1/1600、好ましくは1/0.13から1/32又は1/80から1/1600、及びより好ましくは1/80から1/400の範囲である。MI/ベンジルアルコール配合物は、グラム(+)及びグラム(−)細菌並びにカビ及び酵母について向上した抑制を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分が2−メチル−3−イソチアゾロンであり、第二成分がクエン酸である相乗混合物を含む殺微生物組成物;ここで、第一成分対第二成分の重量比(第一成分/第二成分)は1/8から1/24であり;及びここで、組成物は実質的にハロゲン化3−イソチアゾロンを含まない。

【公開番号】特開2010−229158(P2010−229158A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156858(P2010−156858)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【分割の表示】特願2007−41207(P2007−41207)の分割
【原出願日】平成15年1月22日(2003.1.22)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】