説明

相変化メモリのプログラミングのためのセットパルス

【課題】相変化メモリをプログラムするための単一パルスアルゴリズムを提供する。
【解決手段】相変化メモリ(PCM)セルを融解させるために第1の特定の信号値レベルで電子信号を印加させることと、前記PCMセルが融解した後、0ではない第2の特定の信号値レベルに到達するまで、印加されている前記電子信号の前記信号値レベルを低下させることと、を含み、前記信号値レベルは、前記第1の特定の信号値レベルと前記第2の特定の信号値レベルとの間で、信号値レベルの実質的に垂直な降下が起きないように低下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、メモリデバイスに関し、特に、相変化メモリをプログラムするための単一パルスアルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリ(PCM)は、例を少しだけ挙げると、カルコゲナイドガラス又はゲルマニウム・アンチモン・テルル化合物(GST)等の1つ以上の特定の相変化材料の挙動又は特性に、少なくとも部分的に基づいて動作し得る。このような材料の結晶状態又はアモルファス状態の電気抵抗率は互いに異なることがあり、結果として、情報を記憶することのできるベースを提供し得る。アモルファスの高抵抗状態は、記憶された第1のバイナリ状態を表すことがあり、結晶の低抵抗状態は、記憶された第2のバイナリ状態を表すことがある。勿論、記憶された情報のこのようなバイナリ表現は単に例示である。すなわち、相変化メモリは更に、例えば、相変化材料の抵抗率の大きさを変化させることによって表される複数のメモリ状態を記憶するために用いられてよい。
【0003】
PCMセルにおいて、アモルファス状態から結晶状態への遷移は、比較的高速なPCM書き込み動作を提供するには十分短いが、アモルファス状態から結晶状態へ遷移させるのには十分長い遷移期間を伴うことがある。従って、遷移期間が短すぎると、例えば、アモルファス状態と結晶状態の材料の混合を含むPCMセルをもたらし、これにより、メモリセル状態が不確定になって、PCMセルに障害をもたらす場合がある。
【0004】
非限定的かつ非網羅的な実施形態について、以下の図を参照して記載する。特に明示がない限り、類似の番号は様々な図を通して類似の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、相変化メモリの実施形態の一部を示す概略図である。
【図2】図2は、メモリシステムの実施形態における相変化メモリの一部の断面図である。
【図3】図3は、メモリシステムの実施形態における電子信号波形の特性のプロット図である。
【図4】図4は、PCMの実施形態におけるメモリセルの集合に対するセット速度(set rate)の分布を示しているプロット図である。
【図5】図5は、メモリシステムの実施形態における電子信号波形の特性のプロット図である。
【図6】図6は、メモリシステムの実施形態における電子信号のセット部分を発生する電子回路の概略図である。
【図7】図7は、メモリシステムの実施形態における電子信号のセット部分のコンポーネントの特性のプロット図である。
【図8】図8は、メモリシステムの実施形態における電子信号のセット部分の特性のプロット図である。
【図9】図9は、メモリシステムの実施形態におけるメモリセルに、電子信号のセット部分を印加する処理の流れ図である。
【図10】図10は、コンピュータシステムの実施形態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「実施形態」を参照することは、ある実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、特性が、請求項に記載された主題の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。それゆえ、本明細書を通して様々な箇所における「一実施形態において」又は「実施形態」という語句の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を参照しているものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において組み合わされてよい。
【0007】
相変化メモリ(PCM)セルは、バイナリ論理値を記憶するために用いた場合、2つの状態のうちの1つにセット(set)又はリセット(reset)され得る。例えば、アモルファスの高抵抗状態は、記憶された第1のバイナリ状態を表し得て、結晶性の低抵抗状態は、記憶された第2のバイナリ状態を表し得る。PCMセルは、自体の相変化材料を融解させ、次いで比較的急速にクエンチさせるように、比較的高振幅で比較的短い持続期間の電気プログラミングパルス又は信号を印加することによって、アモルファス状態にリセットすることができる。リセット状態において、相変化材料の活性領域は、実質的にドーム型で、PCMセル内の抵抗性ジュールヒータエレメントに隣接して配置されたアモルファス領域を含むことがある。結晶化された相変化材料は、相変化材料のアモルファス領域を囲むことができる。リセット状態において、PCMセルは、比較的高い電気抵抗を有することがある。続く処理において、PCMセルは、相変化材料の実質的に全領域が結晶になり得るように、ドーム型のアモルファス領域を結晶化することによって、結晶状態にセットされてよい。相変化材料を結晶化させるために、PCMセルに印加される電子信号の信号レベル値を低下させる処理を含むことがある。セット状態において、PCMセルは、比較的低い電気抵抗を有してよい。ドーム型のアモルファス領域を結晶化させる処理は、PCMセルの動作性能(例えば、プログラミング速度)に役立つように比較的急速に実行することができる。しかしながら、結晶化を急速に実行し過ぎると、相変化材料において非結晶化アモルファス領域又は欠陥がもたらされて、所期より高い電気抵抗となり得る。所期の結晶化処理は、不都合にアモルファス領域又は欠陥を生成することなく、ドーム型のアモルファス領域を結晶化させる時間を与えるために、電子信号を低下させることを含んでよい。PCMセルをセットする電子信号の低下率を選択する処理は、例えば、PCMの書き込む速度と、相変化材料の比較的高い割合が結晶化されることを確実にすることとの間のトレードオフを伴うことがある。
【0008】
メモリデバイスは、アレイ状に整列され得る複数のPCMセルを含んでよい。例えば、少なくとも部分的には、ロットごと又は半導体ウェハ上の領域ごとの製造条件のばらつきのために、PCMセルの特性又は物理パラメータがPCMセル間でばらつくことがある。物理パラメータには、例を少しだけ挙げると、PCMセル内の相変化材料の体積又は寸法、相変化材料と抵抗性ヒータとの間の接触面積、抵抗性ヒータの抵抗が含まれることがある。勿論、いくつかの状況又はイベントのうちのいずれかにより、ばらつきがもたらされることがある。他の例として、回路内のPCMの物理的位置が、PCMセルの物理パラメータに影響を与えること、又はPCMセルの物理パラメータを修正することがある。特に、キャパシタンス、磁場もしくは電場、又は熱が、ばらつきに寄与し得る。従って、PCMアレイ内のPCMセルの一部分が、PCMセルの他の部分とは異なって挙動することがある。例えば、特定の電子信号がいくつかのPCMセルに影響を与える速度は、他のPCMセルと異なってよい。PCMセル間の物理パラメータ又は材料パラメータのばらつきは、所定の電子信号が様々なPCMセルに影響を与える速度のばらつきをもたらすいくつかの条件に含まれることがある。
【0009】
実施形態において、PCMセルを動作させる方法は、PCMセル内の相変化材料を融解させるために電子信号を印加することを含んでよい。例えば、電子信号は、メモリコントローラによって実行される書き込み動作中に、PCMセルの抵抗性ヒータに印加されてよいが、請求項の主題はそのように限定されるものではない。電子信号は、相変化材料を融解させるために、第1の特定の信号値レベルで印加されてよい。印加されている電子信号の信号値レベルは、相変化材料が融解した後、0ではない第2の特定の信号値レベルに到達するまで引き続き低下させることができる。信号値レベルは、第1の特定の信号値レベルと第2の特定の信号値レベルとの間で、信号値レベルの実質的垂直降下が生じないように低下させることができる。例えば、信号値レベルの低下速度は、ナノ秒あたり約0.3マイクロアンペア未満から約12.0マイクロアンペアまで(例えば、結晶化速度)であってよいが、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0010】
上に記載されたような方法は、例えば、PCMセルアレイに含まれ得る、複数のPCMセルに適用されてよい。複数のPCMセルの場合において、電子信号は、2つ以上のPCMセルの相変化材料を融解させるために、第1の特定の信号値レベルで、2つ以上の抵抗性ヒータに印加されてよい。PCMセルの相変化材料を融解させることに続いて、信号値レベルは、以下に更に詳細に記載されるように、相変化材料がPCMセルの外周から内側に結晶化されるように低下させることができる。一実装例において、信号値レベルは、融解した相変化材料に対応する第1の特定の信号値レベルと第2の特定の信号値レベルとの間の近似的に直線の傾斜に従って低下させることができる。一実装例において、第2の特定の信号値レベルは、複数のPCMセルのうち最も低い結晶化温度を有するPCMセルの温度以下の相変化材料の温度に対応してよい。
【0011】
実施形態において、PCMセルを動作させる方法は、温度の実質的な垂直降下がアレイのセルのプログラミング中に生じないようにPCMセルのアレイ内のPCMセルをプログラムする抵抗性ヒータを備えるデバイスを含んでよい。抵抗性ヒータは、例えば、リセット温度レベルからセット温度レベルまで温度を低下させることによって、PCMセルアレイのセルをプログラムしてよい。リセット温度は、アレイの任意のセルの最も高い融解温度以上の温度を含んでよい。他方で、セット温度レベルは、アレイの任意のセルの最も低い結晶化温度以下の温度を含んでよい。
【0012】
PCMセルを動作させる方法は、単一信号パルスを含む電子信号をPCMセルに印加することを含んでよい。複数のPCMセルをリセットした後にセットするように、単一信号パルスを印加することができるが、いくつかのPCMセルは、他とは異なる時間に結晶化温度レベルに到達する。単一信号パルスは、PCMセルの加熱要素に印加される電流パルスを含んでよい。単一信号パルスは、PCMセル自身が加熱要素を含む、自己発熱セルアーキテクチャのPCMセルに印加される電流パルスを含んでよい。単一信号パルスは、複数のPCMセルのうち最高融解温度を有するPCMセルの融解温度に相当するか又はそれを超える温度をもたらすように初期レベルで印加されてよい。単一信号パルスは、複数のPCMセルが実質的に完全に結晶化されるようになり得るように印加されてよい。温度の変化が、複数のPCMセルのうち最も遅いPCMセルが実質的に完全に結晶化されることが可能な速度に対応する速度以下になるように、単一信号パルスが印加されてよい。単一信号パルスは、複数のPCMセルのうち最も低い結晶化温度を有するPCMセルの温度以下である副次温度をもたらしてよい。
【0013】
PCMセルを動作させる方法は、一実装例において、複数のPCMメモリセルを備えるメモリアレイを含む集積回路を用いて実行されてよい。複数のPCMメモリセルは、単一パルスの印加中に複数のPCMメモリセルのうちのどれも状態検証することなく、この単一パルスを介して実質的に完全に融解した後に実質的に完全に結晶化することができる。反対の例として、PCMセルを特定の状態にプログラムする処理は、これらPCMセル又はそれの一部がこの特定の状態にプログラムされたかどうかを検証する処理によって分離される複数のパルスを用いて実行されてよい。
【0014】
図1は、相変化メモリ100の実施形態の一部分を示す図である。こうした部分が2つのメモリセルを含むように示しているが、説明する目的のために、各メモリセルを異なるメモリ状態にしている。半導体基板150は、N−ドープ領域155を含んでよいが、例えば、P−ドープ領域の使用を含めて、他の構成が用いられてよい。相変化メモリ100は、ワード線105、ビット線120、又はワード線コンタクト110を含んでよい。1つのメモリ状態を示すために、相変化材料125の一部分と接触しているヒータ145が、相変化材料125の部分140を加熱して融解させることができ、例えば、次いで、部分140を、アモルファスのゲルマニウム・アンチモン・テルル化合物(GST)を含むように比較的急速に冷却することができる。アモルファス材料は、相対的に高抵抗にすることができ、これにより、ビット線コンタクト120との高抵抗な接続がもたらされる。他のメモリ状態を示すために、相変化材料115の一部分に接触しているヒータ135が、相変化材料115の一部分を加熱して融解させることができ、次いで、この部分を、結晶性又は多結晶性の低抵抗材料を含むように比較的ゆっくりと冷却することができる。したがって、多結晶性の相変化材料115は、その後、コンタクト120との低抵抗接続をもたらすことができる。勿論、PCMのこのような部分についての詳細は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0015】
上で示したように、多結晶性の相変化材料115は、結晶化処理を急速に実行し過ぎたことによる非結晶化アモルファス領域を含み得る1つ以上の欠陥130を発生させる場合がある。欠陥130は、不利益なことに、ビット線コンタクト120への接続の抵抗を増加させる場合があり、メモリセルの動作不良となり得る。例えば、欠陥のあるメモリセルは、低抵抗状態によって表されるバイナリ値を読みそこなう場合がある。
【0016】
図2は、メモリシステムの実施形態における多結晶性相変化材料の部分210の断面図である。相変化材料の部分210は、例えば、図1に示された相変化材料125に類似してよい。特定の時間内に、電子信号の信号値レベルの低下に応答して、ドーム型のアモルファス領域220がより小さな部分230に収縮することができ、これにより、上に記載されたように、ドーム型のアモルファス領域220を結晶化させることができる。電子信号の信号値レベルが低下し続けるのとともに、より小さな部分230は、アモルファス領域220の実質的に全体部分が結晶化されるまで縮小し続けることができる。このような収縮又は結晶化の速度は、例えば、ドーム型アモルファス領域220の高さ240の低下に関して定量化することができる。複数のPCMセルに印加される電子信号が特定の低下レートの場合、上で言及されたように、収縮又は結晶化の速度はそれぞれのPCMセル間でばらつくことがある。例えば、1つのPCMセル内に含まれるドーム型アモルファス領域220が、他のPCMセルのアモルファス領域より急速に結晶化することができるが、これは、たとえ両PCMに同一の電子信号レートがもたらされる場合があってもそうである。勿論、相変化材料の結晶化についてのこのような詳細は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0017】
図3は、メモリシステムの実施形態における、時間に対してプロットされた減少傾斜(decreasing ramp)を含み得るセット部分310を含んでいる、セットパルス又は電子信号300の特性を示すプロット図である。電子信号300は、たとえば、複数のPCMセルをプログラムするために印加される時間依存信号パルスを含むことがある。電子信号300は、開始電流から終了電流までの、途切れのないスムーズな信号パスを含んでよい。例えば、電子信号300のパラメータは、複数のPCMセルのうち最も高い融解温度を有するPCMセルの融解温度に相当するか又はそれを超える温度をもたらす開始電流を含んでよい。電子信号300の他のパラメータは、複数のPCMセルのうち最も低い結晶化温度を有するPCMセルの温度に相当するか又はそれより低い温度をもたらす終了電流を含んでよい。
【0018】
例えば、時間T0から時間T1までは、PCMセルをリセットする処理中に、PCMセルに印加される電子信号300を、相変化材料の融解温度に対応する融解レベルに傾斜上げすることができる。温度が十分に高いと、PCMセルの相変化材料のアクティブボリュームを溶融相までもたらすことができる。時間T1から時間T2までは、このようなアモルファスの抵抗相が、電子信号300は実質的に一定のままである一方で、相変化材料のアクティブボリュームの安定状態を含むことがあるが、請求項の主題はそのように限定されるものではない。続いて、時間T2から時間T3までは、セット処理が、層変化材料のアクティブボリュームを結晶化させる下り傾斜の電子信号310を含むことがある。相対的に高速な動作性能を実現するには、比較的高速で相変化材料を結晶化させるために、セット処理が、比較的急勾配の下り傾斜スロープ320を有する電子信号を印加することを含んでよい。しかしながら、上で議論されたように、電子信号の下り傾斜レートが特定の量より大きい場合、このようなレートにより、セット状態のPCMセルにおいて未結晶化相変化材料の欠陥又はポケット領域がもたらされることがある。他方で、下り傾斜スロープ330等の電子信号の下り傾斜レートが特定の量よりも小さい場合、このようなレートが、PCMセルの性能低下(例えば、プログラム速度の低下)を導き得る。従って、電子信号300の下り傾斜部分は、セット状態のPCMセルに対して相変化材料の実質的に完全な結晶化を実現しながら、所期の動作性能のPCMセルに対するスロープを有するように選択されてよい。例えば、プログラミング速度、プログラミングの信頼度、又はプログラミングの歩留まりの間でトレードオフを取った後に初期の動作性能を選択することができる。また、電子信号310を複数のPCMセルに印加することができるが、こうした印加は、温度変化により温度が、これら複数のPCMセルのうちこの温度変化に応答するのが最も遅いPCMセルが実質的に完全に結晶化されることが可能な速度に相当する速度以下になるように行われる。
【0019】
上で議論されたように、製造条件のばらつきのために、例えば、PCM内のPCMセルの特性又は物理的パラメータはばらつくことがある。例えば、特定の電子信号が、いくつかのPCMセルに対して他のPCMセルとは異なって影響を与えることがある。従って、PCM内のPCMセルの一部分は、特定の下り傾斜スロープを有する印加された電子信号に応答して、PCMセルの他の部分とは異なって挙動することがある。例えば、下り傾斜スロープ320を用いる結晶化処理は、PCMセルの他の部分に対しては(例えば、相変化材料内の欠陥を導くほど)速過ぎる場合でありながら、PCMセルの一部分に対しては望ましい場合がある。同様に、下り傾斜スロープ330を用いる結晶化処理は、PCMセルの他の部分に対しては必要より遅い(例えば、メモリ性能速度に悪影響をもたらす)場合でありながら、PCMセルの一部分に対して望ましい場合がある。従って、電子信号310の下り傾斜部分のような中程度の下り傾斜スロープは、いくつかのPCMセルには速過ぎ、他のPCMセルには遅過ぎ、かつ、更に他のPCMセルには望ましい結晶化速度となる場合がある。PCMセルのばらつきを考慮に入れ得る下り傾斜スロープの選択は、後に詳細に議論される。
【0020】
図4は、実施形態に係る、PCM内のメモリセルの集合400に対して望ましいセット速度の分布405を示しているプロット図である。「望ましい」とは、厳密な条件を表すことが意図されるものではない。従って、「望ましいセット速度」とは、例えば、比較的高速なメモリ性能を提供するのに十分速さでありながら、特定のPCMセル(又は、類似するPCMセルの集合)内の相変化材料の実質的に完全な結晶化を行うのに十分遅い電子信号のセット速度のことを漠然と指す。上で議論されたように、PCMデバイスは、例えば、それぞれのPCMセルの製造条件のばらつきのために、セット速度にばらつきのあるPCMセルを含むことがある。例えば、上に記載されたように、特定の電子信号がいくつかのPCMセルに影響を与える速度は、他のPCMセルとは異なることがある。図3において電子信号300を用いる実施例を説明するために、PCMセル420をセットする処理は、下り傾斜スロープ320に対応する特定のレートで電子信号を傾斜下げすることを含んでもよく、PCMセル430をセットする処理は、下り傾斜スロープ330に対応する特定のレートで電子信号を傾斜下げすることを含んでもよく、かつ、PCMセル410をセットする処理は、電子信号310の下がり傾斜部分に対応する特定のレートで電子信号を傾斜下げすることを含んでよい。PCMセルの特定の集合435は、下り傾斜のバイアス信号の比較的小さな又は緩やかなスロープに対応してよい。他のPCMセルの集合に比較して、特定の集合435は、最も遅い結晶化速度を有してよい。このことはとりわけ、例えば、比較的体積の大きな相変化材料を有するPCMセル又はヒータと相変化材料との接触面積が比較的小さいPCMセルの場合にあてはまることがある。勿論、このようなPCMセルの分布は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0021】
図5は、例えば、図4に表された集合を含み得る複数のPCMセルに印加され得る電子信号500の概略図である。電子信号500は、時間に対してプロットされたセット部分510を含んでよい。時間T0から時間T1までは、電子信号500が、相変化材料の融解温度に対応する融解レベル505に傾斜上げされてよい。時間T0から時間T1までは、電子信号500を複数のPCMセルに印加して、これら複数のPCMセルうち最も高い融解温度を有するPCMセルに対する融解温度に相当するか又はそれを超える温度をもたらすことができる。続いて、時間T2から時間T3までは、セット処理が、相変化材料のアクティブボリュームを結晶化させるために、下り傾斜の電子信号500を含んでよい。特定の実現例において、電子信号500は、時間T2と時間T3間で電子信号500を低下させるスロープを有する、実質的に直線の部分510を含んでよい。実質的に直線の部分510を含む下り傾斜の電子信号を印加することにより、PCMセルの集合がセット状態に結晶化することのできる速度を改善することに対する利点をもたらすことができる。具体的には、結晶化は、最終的なセット構造における相変化材料の欠陥又はアモルファス領域を実質的に生み出すことなく実行され得る。一実現例において、電子信号の線形部分510は、例えば、図4に示されたような、望ましいセット速度の分布を有するPCMセルの集合に印加されてよい。ある応用例では、実質的に直線の部分510のスロープを、特定の集合435に対応するように選択することがあるが、この特定の集合435は、他の集合のPCMセルにと比較して最も遅い結晶化速度を有し得る。例えば、実質的に直線の部分510のスロープは、特定の集合435のPCMセルの結晶化速度に実質的に等しい、これらPCMセルの相変化材料の温度変化速度に対応するように選択されてよい。電子信号500は、セット処理中の結晶化速度が、PCMセル内の相変化材料のドーム型活性領域の高さに関して線形であり得るように、PCMセルに印加されてよい。
【0022】
実質的に直線の部分510は、時間T3における結晶化レベルに及ぶことがあるが、このT3以降、電子信号500のスロープ530を、プログラム速度を改善するように増大させることができる。ある結晶化レベルは、PCMセルの実質的に全集合の相変化材料が結晶化され得る温度に対応することがある。すなわち、ある結晶化レベルは、全てのPCMセルの相変化材料を結晶化することができる可能性が比較的高いことがある温度に対応することがある。電子信号500の結晶化レベルは、PCMセルの実質的に全集合の読み出しバイアス(read bias)に実質的に等しくてよい。例えば、カルコゲナイドガラスの場合、読み出しバイアスが約1.3ボルトを含んでよいが、請求項の主題はそのように限定されるものではない。電子信号500が、0ではない信号値レベル535に到達して、PCMセルをセットする処理を終了させることがあるが、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0023】
図6は、メモリシステムの実施形態における電子信号のセット部分を発生させるための電子回路600の概略図である。回路600は、例えば、様々な特性を有する電子信号のセット部分を発生させるか又は生成する多くの技術のうちの1つを含むにすぎないが、請求項の主題は特定の技術に限定されるものではない。回路600は、トランジスタM1、キャパシタC1、電流源I1、2つのスイッチS11、S12、電圧V1を含むサブ回路610と、トランジスタM2、キャパシタC2、電流源I2、2つのスイッチS21、S22、電圧V2を含むサブ回路620と、トランジスタM3、キャパシタC3、電流源I1、2つのスイッチS31、S32、電圧V3を含むサブ回路630とを備えることができる。供給電圧Vsupは、サブ回路610、620、及び630に供給されてよい。回路600は、例えば、セット処理中にPCMに印加されるべき電圧Voutを発生してよい。Voutは、電子信号500に類似する信号を含んでよい。このような場合、Voutは、区分的に継続することのある実質的に直線の部分510を含み、これにより、レジスタ‐キャパシタ(RC)コンビネーション650によって時間とともに平均化され得る1つ以上のスロープを含むことがある。本明細書中で回路600は3つのサブ回路610、620、及び630を含むように記載されているが、波形発生回路は任意数のサブ回路を含んでよい。例えば、回路600は、追加のサブ回路を含んでよい。従って、回路600についての詳細は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0024】
図7及び図8は、例えば、回路600によって発生され得る電子信号のセット部分のコンポーネントの特性のプロット図である。電子信号は、例えば、メモリコントローラによる読み出し又は書き込み動作中にPCMセルに印加されてよい。特に、波形700及び800は、実施形態によれば、時間の関数としてプロットされるVoutを含んでよい。図6に戻ると、最初に、3つのスイッチS11、S21、及びS31が閉じており、一方で、3つのスイッチS12、S22、及びS32が開いていることがある。ある機器構成では、電圧Vg1、Vg2、及びVg3が、それぞれ電圧V1、V2、及びV3に初期化されることがある。V1はV2より大きく、V2はV3より大きいことがある。ある状況では、t0とt1間に初期状態710及び810が含まれることがある。t1の前に、3つのスイッチ、S11、S21、及びS31は開かれ、3つのキャパシタC1、C2、及びC3は、それらのそれぞれの電圧を蓄えることができる。t1では、3つのスイッチS12、S22、及びS32が閉じて、3つの独立した電流源I1、I2、及びI3をキャパシタC1、C2、及びC3に接続することができる。一実現例において、I1はI2よりも大きく、I2はI3よりも大きいことがある。キャパシタC1、C2、及びC3は、互いに異なる速度で放電し始めてよい。つまり、最も高い電圧V1で開始するVg1は、最も速いスロープ730で、Vg2はより遅い速度740で、かつ、Vg3は最も遅い750で放電されてよい。M1、M2、及びM3は、Voutがゲート電圧のうちの1つからVtnを引いたものに近似的に従い得るようにソースホロワを含むことがあり、ここで、VtnはN−チャネルMOSFETの閾値電圧を含むことがある。Voutが従うゲートは、回路600内の最も高い電位におけるゲートを含んでよい。例えば、t1の直後かつt2の前では、開始電圧V2及びV3がV1よりも小さいので、M1は、Voutが近似的にVg1−VtnとなるようにVoutを決定することがある。最初にM2及びM3は、例えば、それらのソース電圧Voutが、Vg2−Vtn又はVg3−Vtnより高い場合、オフであってよい。最終的に、t2において、M1のゲート電圧は、M2のゲート電圧下を横切りその下に来ることがある。ここで、M2がオンになり、M1は閾値より下の状態に遷移してオフになることがある。従って、Voutはその後、より遅い傾斜(より小さいスロープ)でVg2によって決定されてよい。t3では、Vg2がVg3の下で交差するので、M2はオフになり、M3はオンになり、かつ、Voutはその後、更に遅い傾斜レートでM3に従うことがある。勿論、回路600についての詳細は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0025】
図8は、例えば、セット傾斜(set ramp)の減少部分に近似する、3部分の区分線形の出力電圧Voutを示す。区分線形の曲線は、出力電圧が図7に個々に示されているサブ回路610、620、及び630の結果となり得る。区分線形の出力電圧は、例えば、回路600の追加のサブ回路を介して、又はRCコンビネーション650を用いて、いっそう連続的(例えば、スムーズに)にすることができる。サブ回路の数の選択は、少なくとも部分的に、結果として起こる出力電圧の所期の分解能に基づき得る。電子信号の分解能は増加し得るが、追加されるサブ回路が更なるスペースを占有して、回路600が望ましくないほど大きなサイズを有する場合がある。
【0026】
波形700又は800は、例えば、図7及び図8に示したように、t4で開始する比較的急速な電圧降下を含むことがある。任意選択のことではあるが、実質的0への急速な遷移を有する電圧をPCMセルに印加することにより、それより低い場合には更なるプログラミングのない電圧でセット処理を終了することによりPCMセルの動作性能を改善することを含めた利点をもたらすことができる。すなわち、0ボルトまで完全に傾斜するのではなく、セット処理は、例えば、近似的に1.3Vで停止してよい。
【0027】
波形700又は800は、本明細書中では、3つの分離したスロープ830、840、及び850を含むように記載されるが、電子信号波形のセット部分は、任意数の分離したスロープ値又は任意数の連続的スロープ値範囲を含んでよい。従って、波形700又は800についての詳細は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0028】
図9は、電子信号を複数のPCMセルに印加する処理900の流れ図である。処理900は、他の可能な特性の中で、様々な融解温度、結晶化速度、又は結晶化温度を有するPCMセルの集合を含む、複数のPCMセルを伴うことがある。上で議論されたように、特性が様々であることは、例えば、PCMセルの製造条件のばらつき、電子システム内のPCMセルの様々な配置、又は、いくつかの他の可能性のいずれかに起因する場合がある。従って、1つのPCMセルの集合は、他のPCMセルの集合と異なって挙動することがある。ブロック910では、信号を、第1の値で複数のPCMセルに印加することができる。第1の値は、PCMセルの複合集合のうち最も高い融解温度を有するPCMセルに含まれる特定のPCMセル集合の融解温度に対応してよい。信号の第1の値は更に、例えば、この特定のPCMセル集合をRESET状態に遷移させるリセットパルスの大きさと近似的に同じであってよい。
【0029】
続いて、ブロック920では、信号を、PCMセルの複合集合のうち結晶化速度の最も低いPCMセルに含まれる他の特定のPCMセル集合の結晶化速度に対応する速度で低下させることができる。例えば、図4に関して上で言及されたように、特定の集合435は、PCMセルの複合集合400の中で最も遅い結晶化速度を有してよい。次に、ブロック930では、信号を、第2の値で複数のPCMセルに印加することができる。第2の値は、PCMセルの複合集合のうち最も低い結晶化温度を有するPCMセルに含まれる更に他の特定のPCMセル集合の結晶化温度に対応してよい。信号の第2の値は更に、例えば、読み出し動作中にPCMセルを読み出すために用いられる読み出しバイアスの大きさと近似的に同じであってよい。勿論、処理900についてのこのような詳細は単に例示であって、請求項の主題はそのように限定されるものではない。
【0030】
図10は、メモリデバイス1010を含むコンピュータシステム1000の実施形態を説明するための概略図である。例えば、コンピュータシステム1000は、複数のPCMセルをプログラムすることが可能な装置を駆動することができ、かつ、これら複数のPCMセルをプログラムするために印加される単一パルスのパラメータを調整することができる。パラメータは、例えば、開始電流、終了電流、及び、時間に依存し、途切れがなく、スムーズな、開始電流から終了電流までの信号パスを含んでよい。コンピュータシステム1000は、以下のどれか、すなわち、プログラミング速度、プログラミングの信頼度、又はプログラミングの歩留まりの間のトレードオフをもたらすようにパラメータを調整する機能を含んでよい。コンピュータシステム1000は、複数のPCMセルが殆ど完全に結晶化しているのを著しく弱めることなくプログラミング速度を低下させるように、パラメータを調整する機能を含んでよい。
【0031】
コンピュータデバイスは、例えば、アプリケーション又は他のコードを実行するために、1つ以上のプロセッサを備えてよい。例えば、メモリデバイス1010は、図1に示したPCM100を含むメモリを備えてよい。コンピュータデバイス1004は、メモリデバイス1010を管理するように構成されてよい任意のデバイス、装置、又は機械の典型としてよい。メモリデバイス1010は、メモリコントローラ1015及びメモリ1022を含んでよい。例示であって制限されるものではないが、コンピュータデバイス1004は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、サーバデバイス等の1つ以上のコンピュータデバイス又はプラットフォームと、例えば、PDA、モバイル通信デバイス等の1つ以上のパーソナルコンピュータデバイスもしくは装置又は1つ以上の通信デバイスもしくは装置と、例えば、データベース又はデータ記憶サービスプロバイダ/システム等のコンピュータシステム及び/又は関連するサービスプロバイダ機能とを含むことがあり、又はこれらの要素の任意の組み合わせを含むことがある。
【0032】
システム1000に示した様々なデバイスの全部又は一部、及び本明細書に更に記載されたような処理及び方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの任意の組み合わせを用いるかあるいは含むように実装されてよいことが理解される。ゆえに、例示であって限定されるものではないが、コンピュータデバイス1004は、バス1040及びホスト又はメモリマイクロコントローラ1015を通してメモリ1022に動作的に連結される、少なくとも1つの処理ユニット1020を含んでよい。処理ユニット1020は、データコンピューティング手順又はデータコンピューティング処理の少なくとも一部を実行するように構成可能な1つ以上の回路の典型である。例示であって限定されるものではないが、処理ユニット1020は、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、デジタル信号プロセッサ、プログラマブル論理デバイス、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ等を含んでよく、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。処理ユニット1020は、メモリコントローラ1015と通信するように構成されたオペレーティングシステムを含んでよい。このようなオペレーティングシステムは、例えば、バス1040上でメモリコントローラ1015に送信されるトランザクションコマンドを生成してよい。このようなコマンドは、例えば、読み出しコマンド及び/又は書き込みコマンドを含んでよい。書き込みコマンドに応答して、例えば、メモリコントローラ1015は、上記の電子信号500等の電子信号を提供してよい。
【0033】
メモリ1022は、任意のデータストレージ機構の典型である。メモリ1022は、例えば、一次メモリ1024又は二次メモリ1026を含んでよい。一次メモリ1024は、例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ等を含んでよい。この例示は処理ユニット1020から離れているものとして説明したが、一次メモリ1024の全部又は一部は処理ユニット1020内に備えられていてよく、あるいは処理ユニット1020と同じ場所に設置されているか、又は処理ユニット1020に連結されてよいと理解されるべきである。
【0034】
二次メモリ1026は、例えば、一次メモリと同一形式のメモリもしくは類似形式のメモリ、又は、例えば、ディスクドライブ、光学ディスクドライブ、テープドライブ、固体メモリドライブ等の1つ以上のデータ記憶装置もしくはシステムを含んでよい。所定の実装例において、二次メモリ1026は動作可能的にコンピュータ可読媒体1028から受信可能であってよく、もしくは、コンピュータ可読媒体1028に連結するように構成可能であってよい。コンピュータ可読媒体1028は、例えば、データ、コード、又はシステム1000内のデバイスのうちの1つ以上に対する命令を送ることができ、かつ/又は、こうしたデータ、コード、及び/又はシステム1000内のデバイスのうちの1つ以上に対する命令をアクセス可能にすることができる任意の媒体を含んでよい。
【0035】
コンピュータデバイス1004は、例えば、入力/出力1032を含んでよい。入力/出力1032は、人又は機械の入力を受入れるように構成可能な、又は導入するように構成可能な1つ以上のデバイス又は機能、あるいは、人又は機械の出力を送達させるように構成可能な、又は提供するように構成可能な1つ以上のデバイス又は機能の典型である。例示であって限定されるものではないが、入力/出力デバイス1032は、動作可能に構成されたディスプレイ、スピーカー、キーボード、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、データポート等を含んでよい。
【0036】
特定の実施形態が記載されてきたが、請求項の主題は特定の実施形態又は実装に範囲が限定されるものではないことが当然理解されるであろう。例えば、一実施形態は、例えばデバイス又はデバイスの組合せ上に組み込まれる等したハードウェア内のものであってよい。同様に、請求項の主題はこの点に範囲が限定されるものではないが、一実施形態は、例えば、結果として、先に記載された実施形態の1つ等の請求項の主題に従った方法の実施形態の性能となるように、特定の又は特別な目的のシステム又は装置によって実行されることが可能な命令を記憶することのできる1つの記憶媒体又は複数の記憶媒体等の1以上の物品を含んでよい。ただし当然、請求項の主題は、記載した実施形態のうちの1つに必ずしも限定されない。更に、特定の又は特別な目的のプラットフォームが、1つ以上の処理ユニット又はプロセッサか、ディスプレイ、キーボード、又はマウス等の1つ以上の入力/出力デバイスか、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、又はハードドライブ等の1つ以上のメモリを含むことがあるが、やはり、請求項の主題はこの実施例に範囲が限定されるものではない。
【0037】
先の記載において、請求項の主題の様々な態様が記載されてきた。説明する目的のために、特別な数値、システム、又は機器構成を、請求項の主題の完全な理解をもたらすために示したこともあった。しかしながら、この開示内容により恩恵を受ける当業者には、請求項の主題はそれらの特定の詳細なしに実行することができることが明らかなはずである。他の例では、当業者によって理解されるべき特徴は、請求項の主題を不明瞭にしないために省略をするか、あるいは簡略化を行った。所定の特徴が本明細書中で説明あるいは記載されてきたが、当業者は、多くの変更、置換、変形、又は均等物を今や見出すことができる。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、請求項の主題の真の趣旨の範囲に属するような全ての変更又は変形を包括するように意図されることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化メモリ(PCM)セルを融解させるために第1の特定の信号値レベルで電子信号を印加させることと、
前記PCMセルが融解した後、0ではない第2の特定の信号値レベルに到達するまで、印加されている前記電子信号の前記信号値レベルを低下させることと、を含み、
前記信号値レベルは、前記第1の特定の信号値レベルと前記第2の特定の信号値レベルとの間で、信号値レベルの実質的に垂直な降下が起きないように低下する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電子信号が、抵抗性ヒータに印加されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子信号を印加することは、2つ以上のPCMセルを融解させるために、2つ以上の抵抗性ヒータに、前記第1の特定の信号値レベルを印加することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2つ以上のPCMセルは、PCMセルアレイを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記信号値レベルは、前記2つ以上のPCMセルの相変化材料が外側のセル外周から内側に結晶化するように低下することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記抵抗性ヒータは、物理的に前記PCMセルの表面に接触することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記電子信号は、自己発熱構成のPCMセルに印加されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電子信号を印加することは、2つ以上のPCMセルを融解させるために2つ以上のPCMセルに、前記第1の特定の信号値レベルを印加することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記信号値レベルを低下させることは、前記第1の特定の信号値レベルと前記第2の特定の信号値レベルとの間に、近似的に直線の傾斜を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電子信号は、電流信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記信号値レベルは、前記PCMセルの相変化材料が前記PCMセルの外側のセル外周から内側に結晶化するように低下することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数のPCMセルをリセットした後にセットするように単一信号パルスを印加することであって、いくつかのPCMセルが他とは異なる時間に結晶化温度レベルに到達することを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記単一信号パルスは、加熱要素に印加される電流パルスを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記単一信号パルスは、自己発熱セルアーキテクチャのPCMセルに印加される電流パルスを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記単一信号パルスは、前記複数のPCMセルのうち最も高い融解温度を有するPCMセルに対する融解温度に相当するか又はそれを超える温度を生み出すような初期レベルで印加されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記単一信号パルスは、前記複数のPCMセルが実質的に完全に結晶化されるように印加されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
温度変化が結果として、前記複数のPCMセルのうちの最も遅いPCMセルが実質的に完全に結晶化されることが可能な速度に対応する速度以下になるように、前記単一信号パルスが印加されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記単一信号パルスは、前記複数のPCMセルのうち最も低い結晶化温度を有するPCMセルに対する温度に相当するか又はそれより低い温度になる後レベルを生み出すことを特徴とる請求項15に記載の方法。
【請求項19】
複数のPCMセルをプログラムすることができる機器を駆動するコンピュータプラットフォームを備え、
前記コンピュータプラットフォームは、前記複数のPCMセルをプログラムするために印加される単一パルスのパラメータを調整することができ、
前記パラメータは、開始電流、終了電流、及び、時間に依存し、途切れがなく、スムーズな、前記開始電流から前記終了電流までの信号パスを含む、
ことを特徴とする装置。
【請求項20】
前記コンピュータプラットフォームは、プログラミング速度、プログラミングの信頼度、又はプログラミングの歩留まりのいずれかの間でトレードオフをもたらすように、前記パラメータを調整する機能を含むことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記コンピュータプラットフォームは、前記複数のPCMセルの殆ど完全な結晶化を著しく劣化させることなくプログラミング速度を低下させるように、前記パラメータを調整する機能を含むことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項22】
複数のPCMメモリセルを含むメモリアレイを備える集積回路であって、
前記メモリアレイの前記複数のPCMメモリセルは、単一パルスの印加中に前記複数のPCMメモリセルのうちどれも状態検証することなく、前記単一パルスを介して実質的に完全に融解された後に実質的に完全に結晶化される、ことを特徴とする集積回路。
【請求項23】
前記複数のPCMメモリセルは、ジュール・ヒータでプログラムされたメモリセルを含むことを特徴とする請求項22に記載の集積回路。
【請求項24】
抵抗性ヒータを備えるデバイスであって、
前記抵抗性ヒータは、温度の実質的な垂直降下が前記アレイの前記セルの結晶化中に起きないようにPCMセルのアレイをプログラムし、
前記抵抗性ヒータは、リセット温度レベルからセット温度レベルに温度を低下させることによって前記アレイの前記セルをプログラムする、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項25】
前記リセット温度は、前記アレイの任意のセルの最も高い融解温度以上の温度を含むことを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記セット温度レベルは、前記アレイの任意のセルの最も低い結晶化温度以下の温度を含むことを特徴とする請求項24に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−256410(P2012−256410A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−108094(P2012−108094)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(595168543)マイクロン テクノロジー, インク. (444)
【Fターム(参考)】