説明

相変化メモリ装置

【課題】集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することが可能な相変化メモリ装置を提供する。
【解決手段】相変化メモリ装置は、複数の第1の配線と、第1の配線上に配置された複数のメモリセルと、複数のメモリセル上にそれぞれ配置された複数の第2の配線と、複数の第1の配線と複数の第2の配線との間に形成され、複数の第1の配線と複数の第2の配線とを絶縁する層間絶縁膜と、を備える。メモリセルは、電流が流れることにより発熱する熱源素子と、熱源素子による加熱後の冷却速度に応じて非晶状態または結晶状態の何れかの状態に遷移することにより抵抗値が変化する相変化素子と、を有し、隣接するメモリセル間の層間絶縁膜中に、空隙が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶状態または結晶状態の何れかの状態に遷移して抵抗値が変化する相変化素子を有する相変化メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング構造体である相変化メモリ装置のメモリセルは、熱源素子と、この熱源素子の上部に配置された相変化素子と、により構成される。
【0003】
該熱源素子は電流が流れることにより発熱し、該熱源素子の上部に位置する相変化素子の結晶状態が変化する。具体的には、相変化素子は、非晶質状態と結晶状態との2状態を遷移する。
【0004】
相変化素子は、例えば、加熱し冷却すると、非晶質状態から結晶状態になり、再加熱し温度を急激に下げると、結晶状態から非晶質状態に戻る。この変化により、相変化素子の抵抗値が変化する。相変化素子の抵抗値は、非晶質状態では高く、結晶状態では低くなる。
【0005】
この相変化素子の抵抗値は、例えば、ビット値“0”、“1”に割り当てられた2つの記憶状態を規定する。すなわち、該メモリセルは、電源を切ってもデータが保持される不揮発性メモリとなる。
【0006】
しかし、該メモリセルを同一面内において高集積化すると、熱源素子が発した熱が隣接するメモリセル間で干渉してしまう。
【0007】
これにより、書き込み対象とする相変化素子以外の相変化素子の結晶状態をも変化させてしまい、書き込み対象ではないメモリセルで記憶していたデータが破壊されてしまうという問題があった。
【0008】
ここで、従来の相変化メモリ装置には、メモリセルを構成する相変化材料を加熱するヒータの両側に、熱伝導性が低い多孔質酸化膜を配置したものがある。これにより、該ヒータ近傍の相変化材料の端部からの熱放散を低減する(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
しかし、上記従来の相変化メモリ装置においては、1つのメモリセルの領域に関してのみ検討している。すなわち、該メモリセルの該ヒータの発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化材料に与える影響については、言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−530790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することが可能な相変化メモリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る相変化メモリ装置は、
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線上に配置された複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセル上にそれぞれ配置された複数の第2の配線と、
前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線との間に形成され、前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを絶縁する層間絶縁膜と、を備え、
前記メモリセルは、電流が流れることにより発熱する熱源素子と、前記熱源素子による加熱後の冷却速度に応じて非晶状態または結晶状態の何れかの状態に遷移することにより抵抗値が変化する相変化素子と、を有し、
隣接する前記メモリセル間の前記層間絶縁膜中に、空隙が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一の態様に係る相変化メモリ装置の製造方法は、
第1の配線を含む領域上に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜を選択的にエッチングすることにより、前記第1の層間絶縁膜を貫通し前記第1の配線に到達する複数のコンタクトホールを形成する工程と、
少なくとも前記複数のコンタクトホール内に熱源材料を堆積する工程と、
前記コンタクトホール内の規定の高さまで、前記コンタクトホール内に堆積された前記熱源材料をエッチングすることにより、複数の熱源素子を形成する工程と、
前記コンタクトホール内の前記熱源素子上に相変化材料を形成することにより、複数の相変化素子を形成する工程と、
前記相変化素子の側面の全部および前記熱源素子の側面の一部が露出する高さまで、前記第1の層間絶縁膜の上部を選択的にエッチングする工程と、
前記第1の層間絶縁膜上および前記相変化素子上に、隣接する前記相変化素子間に空隙が形成されるように、第2の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記相変化素子の上面が露出するように、前記第2の層間絶縁膜の上部を平坦化する工程と、
各々の前記相変化素子上に第2の配線を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のさらに他の態様に係る相変化メモリ装置の製造方法は、
複数の第1の配線を含む領域上に熱源材料層を形成する工程と、
前記熱源材料層上に相変化材料層を形成する工程と、
前記相変化材料層および前記熱源材料層を選択的にエッチングすることにより、熱源素子および相変化素子を形成する工程と、
隣接する前記相変化素子間に空隙が形成されるように、前記第1の配線を含む領域上に、層間絶縁膜を形成する工程と、
前記相変化素子の上面が露出するように、前記層間絶縁膜の上部を平坦化する工程と
各々の前記相変化素子上に第2の配線を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る相変化メモリ装置によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る相変化メモリ装置100の複数のメモリセルMが配置されたメモリセル領域近傍の構成を示す図である。
【図2】図1のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す断面図である。
【図3】図1に示す相変化メモリ装置100のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図4】図3に続く、図1に示す相変化メモリ装置100のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図5】図4に続く、図1に示す相変化メモリ装置100のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図6】実施例2に係る相変化メモリ装置200の複数のメモリセルMが配置されたメモリセル領域近傍の構成を示す図である。
【図7】図6のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す断面図である。
【図8】図6に示す相変化メモリ装置200のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図9】図8に続く、図6に示す相変化メモリ装置200のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図10】図9に続く、図6に示す相変化メモリ装置200のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図11】図10に続く、図6に示す相変化メモリ装置200のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図12】実施例3に係る相変化メモリ装置300の複数のメモリセルMが配置されたメモリセル領域近傍の構成を示す図である。
【図13】図12のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す断面図である。
【図14】図12に示す相変化メモリ装置300のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【図15】図14に続く、図12に示す相変化メモリ装置300のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した各実施例について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施例では、一例として、ビット線(配線)BLの上方にワード線(配線)WLが位置する構成について説明する。しかし、本発明は、ワード線(配線)WLの上方にビット線(配線)BLが位置する構成も、同様に適用される。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1に係る相変化メモリ装置100の複数のメモリセルMが配置されたメモリセル領域近傍の構成を示す図である。また、図2は、図1のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す断面図である。なお、簡単のため、図1において、図2に示す層間絶縁膜は省略されている。また、図1において、ビット線BL、ワード線WLは、簡略化して表示されている。
【0019】
図1および図2に示すように、相変化メモリ装置100は、複数のビット線(配線)BLと、複数のメモリセルMと、複数のワード線(配線)WLと、層間絶縁膜4、5、6と、を備える。
【0020】
複数のビット線(配線)BLは、例えば、半導体基板(図示せず)上に形成された絶縁膜(図示せず)上に、互いに平行に配置されている。
【0021】
複数のメモリセルMは、複数のビット線BL上に配置され、このビット線BLに電気的に接続されている。このメモリセルMは、熱源素子1と、相変化素子2と、を有する。メモリセルMは、コンタクトホール内に形成されるため、円柱状の形状を有する。
【0022】
熱源素子1は、ビット線BL上に配置され、ビット線BLと電気的に接続されている。この熱源素子1は、ビット線BLとワード線WLとの間の電位差に応じた電流が流れ、この電流が流れることにより発熱するようになっている。この熱源素子1の発熱により、相変化素子2が加熱される。
【0023】
相変化素子2は、熱源素子1上に配置され、熱源素子1による加熱後の冷却速度に応じて非晶状態または結晶状態の何れかの状態に遷移することにより、その抵抗値が変化するようになっている。すなわち、相変化素子2は、例えば、加熱し、ゆっくりと温度を下げると、非晶質状態から結晶状態になる。一方、相変化素子2は、再加熱し過冷却すると、結晶状態から非晶質状態に戻る。この変化により、相変化素子2の抵抗値が変化する。相変化素子の抵抗値は、非晶質状態では高く、結晶状態では低くなる。相変化素子2は、例えば、カルコゲナイドや、カルコゲンを含んでいない材料等の相変化材料により構成される。なお、カルコゲナイドには、例えば、GeSbTe、AgInSbTe等が選択される。また、カルコゲンを含んでいない材料には、例えば、GeSb、GaSb、GeGaSb等が選択される。
【0024】
この相変化素子2の抵抗値は、例えば、ビット値“0”、“1”に割り当てられた2つの記憶状態を規定する。すなわち、該メモリセルは、電源を切ってもデータが保持される不揮発性メモリとなる。
【0025】
また、複数のワード線(配線)WLは、複数のメモリセルM上にそれぞれ配置され、互いに平行である。このワード線WLは、メモリセルMの相変化素子2に電気的に接続されている。上述のように、このワード線WLとビット線BLとの間の電位差に応じて、熱源素子1および相変化素子2に電流が流れるようになっている。
【0026】
層間絶縁膜4、5は、複数のビット線BLと複数のワード線WLとの間に形成され、複数のビット線BLと複数のワード線WLとを絶縁するようになっている。層間絶縁膜6は、層間絶縁膜5上およびワード線WL上に形成されている。なお、層間絶縁膜4、5、6は、例えば、シリコン酸化膜で構成される。
【0027】
ここで、隣接するメモリセル間110の層間絶縁膜4中に、空隙(ボイド)3が形成されている。特に、本実施例1では、隣接するメモリセルM間であって、隣接する相変化素子2間および隣接する熱源素子1の上部間の層間絶縁膜4中に、空隙3が形成されている。この空隙3は、隣接する相変化素子2間から隣接する熱源素子1の上部間に連続して形成されている。通常は、層間絶縁膜はウェハ面内で均一に形成されるので、空隙3は、隣接するメモリセル最短距離を二等分しメモリセルに平行な線分を含んで形成される。
【0028】
この空隙3は、或るメモリセルMの熱源素子1が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子2に伝わるのを抑制する。これにより、或るメモリセルMの熱源素子2が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子2に対して与える影響(相変化素子2の抵抗値の変化)を低減することができる。したがって、例えば、書き込み対象になっていないメモリセルMへのデータの誤書き込みや、消去対象になっていないメモリセルMへのデータの誤消去を抑制することができる。
【0029】
すなわち、相変化メモリ装置100によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【0030】
なお、図1では、空隙3が最近接のメモリセル(同一のビット線またはワード線で接続される隣接メモリセル)間のみに存在している。しかし、メモリセルの間隔と層間絶縁膜のカバレッジとの関係によっては、互いに対角線上で隣接するメモリセルの間にも空隙3を形成することが可能である。互いに対角線上で隣接するメモリセルからの影響を低減するために、そのような構造でもよい。
【0031】
次に、以上のような構成を有する相変化メモリ装置100の製造方法の一例について、説明する。
【0032】
図3〜図5は、図1に示す相変化メモリ装置100のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。なお、図3〜図5は、図2と同様に、図1のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す。
【0033】
先ず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法等により、互いに平行な複数のビット線BLを含む領域上に、例えば、シリコン酸化膜で構成される層間絶縁膜4を形成する。そして、例えばフォトレジスト(図示せず)をマスクとして、この層間絶縁膜4を選択的にエッチングする。これにより、層間絶縁膜4を貫通しビット線BLに到達する複数のコンタクトホール4aを形成する(図3(a))。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、コンタクトホール4a内および層間絶縁膜4上に、電流が流れることにより発熱する熱源材料1aを、例えば、CVD法、PVD法等により、堆積する。
【0035】
次に、図3(c)に示すように、ドライエッチング法等により、コンタクトホール4a内の規定の高さ4a1まで、コンタクトホール4a内に堆積された熱源材料1aをエッチングする。これにより、熱源素子1を形成する。
【0036】
次に、図4(a)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、層間絶縁膜4上およびコンタクトホール4a内の熱源素子1上に、例えば、GeSbTe、AgInSbTe等の相変化材料2aを堆積する。さらに、ドライエッチング法等により、層間絶縁膜4上の相変化材料2aを除去する。これにより、相変化素子2をコンタクトホール4a内の熱源素子1上に形成する(図4(b))。
【0037】
次に、図4(c)に示すように、 相変化素子2の側面の全部および熱源素子1の側面1bの一部が露出する高さまで、層間絶縁膜4の上部を選択的にエッチングする。
【0038】
次に、図5(a)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、隣接する相変化素子間110および隣接する熱源素子1の上部間110に空隙(ボイド)3が形成されるように、層間絶縁膜4上および相変化素子2上に、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料を堆積する。これにより、空隙3を含む層間絶縁膜5を形成する。既述のように、この空隙3は、或るメモリセルMの熱源素子1が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子2に伝わるのを抑制する。
【0039】
次に、図5(b)に示すように、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などにより、相変化素子2の上面が露出するように、層間絶縁膜5の上部を平坦化する。
【0040】
次に、例えば、フォトリソグラフィ技術により、各々の相変化素子2上に互いに平行な複数のワード線WLを形成する。さらに、例えば、CVD法、PVD法等により、層間絶縁膜5上およびワード線WL上に、層間絶縁膜6を形成する。これにより、図1、図2に示す相変化メモリ装置100のメモリセル領域近傍の構成が完成する。
【0041】
以上のように、本実施例に係る相変化メモリ装置100によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【0042】
また、層間絶縁膜の空隙を用いることは、多孔質酸化膜に比較して、熱伝導率がより低い、ウェット工程等に起因する欠陥性の不良が出にくい、メモリセル間の電気的耐圧が高い、等の利点がある。
【実施例2】
【0043】
実施例1では、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に伝導するのを抑制するための構成の一例について説明した。
【0044】
本実施例2では、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に伝導するのを抑制するための構成の他の例について述べる。
【0045】
図6は、実施例2に係る相変化メモリ装置200の複数のメモリセルMが配置されたメモリセル領域近傍の構成を示す図である。また、図7は、図6のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す断面図である。なお、簡単のため、図6において、図7に示す層間絶縁膜は省略されている。また、図6において、ビット線BL、ワード線WLは、簡略化して表示されている。また、図6、7において、図1、2の符号と同じ符号が示す構成は、実施例1と同様の構成を示す。
【0046】
図6および図7に示すように、相変化メモリ装置200は、複数のビット線(配線)BLと、複数のメモリセルMと、複数のワード線(配線)WLと、層間絶縁膜204〜207と、を備える。
【0047】
この相変化メモリ装置200の構成は、空隙(ボイド)203が形成されている位置が異なる以外は、実施例1の相変化メモリ装置100と同様の構成を有する。なお、相変化メモリ装置200の層間絶縁膜204、205、206は、実施例1の相変化メモリ装置100の層間絶縁膜4、5に相当する。また、相変化メモリ装置200の層間絶縁膜207は、実施例1の相変化メモリ装置100の層間絶縁膜6に相当する。
【0048】
ここで、隣接するメモリセルM間であって、隣接する熱源素子1の上部間210の層間絶縁膜205中に、空隙203が形成されている。すなわち、熱源素子1の上面の高さから相変化素子の上面の高さにわたる空隙203が形成されている。
【0049】
この空隙203は、或るメモリセルMの熱源素子1が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子2に伝わることを抑制する。これにより、或るメモリセルMの熱源素子2が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子2に対して与える影響(相変化素子2の抵抗値の変化)を低減することができる。したがって、例えば、書き込み対象になっていないメモリセルMへのデータの誤書き込みや、消去対象になっていないメモリセルMへのデータの誤消去を抑制することができる。
【0050】
すなわち、相変化メモリ装置200によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【0051】
なお、図6では、空隙203が最近接のメモリセル(同一のビット線またはワード線で接続される隣接メモリセル)間のみに存在している。しかし、メモリセルの間隔と層間絶縁膜のカバレッジとの関係によっては、互いに対角線上で隣接するメモリセルの間にも空隙203を形成することが可能である。互いに対角線上で隣接するメモリセルからの影響を低減するために、そのような構造でもよい。
【0052】
次に、以上のような構成を有する相変化メモリ装置200の製造方法の一例について、説明する。
【0053】
図8〜図11は、図6に示す相変化メモリ装置200のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。なお、図8〜図11は、図7と同様に、図6のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す。
【0054】
先ず、例えば、CVD法、PVD法等により、互いに平行な複数のビット線BLを含む領域上に、例えば、シリコン酸化膜で構成される層間絶縁膜204を形成する。そして、例えばフォトレジスト(図示せず)をマスクとして、この層間絶縁膜204を選択的にエッチングする。これにより、層間絶縁膜204を貫通しビット線BLに到達する複数のコンタクトホール204aを形成する(図8(a))。
【0055】
次に、図8(b)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、複数のコンタクトホール204a内および層間絶縁膜204上に、電流が流れることにより発熱する熱源材料1aを、堆積する。
【0056】
次に、図8(c)に示すように、ドライエッチング法等により、層間絶縁膜204の上面が露出するまで、層間絶縁膜204上に堆積された熱源材料1aをエッチングする。これにより、複数のコンタクトホール204a内に複数の熱源素子1を形成する。
【0057】
次に、図9(a)に示すように、層間絶縁膜204の上部を、熱源素子1の側面1bの一部が露出する高さまで、選択的にエッチングする。
【0058】
次に、図9(b)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、隣接する熱源素子間210に空隙(ボイド)203が形成されるように、層間絶縁膜204上および熱源素子1上に、シリコン酸化膜等の絶縁材料を堆積する。これにより、熱源素子間210に空隙203を含む層間絶縁膜205が形成される。既述のように、この空隙203は、或るメモリセルMの熱源素子1が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子2に伝わるのを抑制する。
【0059】
次に、図9(c)に示すように、例えば、CMP法等により、熱源素子1の上面が露出するように、層間絶縁膜205の上部を平坦化する。
【0060】
次に、図10(a)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、熱源素子1上および層間絶縁膜205上に、シリコン酸化膜等の絶縁材料を堆積する。これにより、熱源素子1上および層間絶縁膜205上に、層間絶縁膜206を形成する。
【0061】
次に、図10(b)に示すように、例えばフォトレジスト(図示せず)をマスクとして、層間絶縁膜206を選択的にエッチングする。これにより、層間絶縁膜206を貫通し熱源素子1の上面に到達する複数のコンタクトホール206aを形成する。
【0062】
次に、図10(c)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、層間絶縁膜206上および複数のコンタクトホール206a内に、例えば、GeSbTe、AgInSbTe等の相変化材料2aを堆積する。
【0063】
次に、図11に示すように、例えば、ドライエッチング法等により、層間絶縁膜206上の相変化材料2aを除去する。これにより、複数のコンタクトホール206a内の熱源素子1上に相変化素子2を形成する。
【0064】
ここで、本実施例2では、上述のように、熱源素子1を形成した後に、熱源素子1間に絶縁材料205aを堆積し、空隙203を形成する。そして、空隙203を形成した後に、相変化素子2を形成する。これにより、熱源素子および相変化素子を形成した後に空隙を形成する場合と比較して、熱源素子上の相変化素子が倒壊するのを抑制することができる。
【0065】
次に、例えば、フォトリソグラフィ技術により、各々の相変化素子2上に互いに平行な複数のワード線WLを形成する。さらに、例えば、CVD法、PVD法等により、層間絶縁膜206上およびワード線WL上に、層間絶縁膜207を形成する。これにより、図6、図7に示す相変化メモリ装置200のメモリセル領域近傍の構成が完成する。
【0066】
以上のように、本実施例に係る相変化メモリ装置によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【0067】
また、層間絶縁膜の空隙を用いることは、多孔質酸化膜に比較して、熱伝導率がより低い、ウェット工程等に起因する欠陥性の不良が出にくい、メモリセル間の電気的耐圧が高い、等の利点がある。
【実施例3】
【0068】
実施例1、2では、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に伝導するのを抑制するための構成の一例について説明した。
【0069】
本実施例3では、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に伝導するのを抑制するための構成のさらに他の例について述べる。
【0070】
図12は、実施例3に係る相変化メモリ装置300の複数のメモリセルMが配置されたメモリセル領域近傍の構成を示す図である。また、図13は、図12のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す断面図である。なお、簡単のため、図12において、図13に示す層間絶縁膜は省略されている。また、図12において、ビット線BL、ワード線WLは、簡略化して表示されている。また、図12、13において、図1、2の符号と同じ符号が示す構成は、実施例1と同様の構成を示す。
【0071】
図12および図13に示すように、相変化メモリ装置300は、複数のビット線(配線)BLと、複数のメモリセルMと、複数のワード線(配線)WLと、層間絶縁膜304、305と、を備える。
【0072】
この相変化メモリ装置300の構成は、メモリセルMの形状が異なる以外は、実施例1の相変化メモリ装置100と同様の構成を有する。すなわち、相変化メモリ装置300のメモリセルMは、直方体状の形状を有する。
【0073】
なお、相変化メモリ装置300の層間絶縁膜304は、実施例1の相変化メモリ装置100の層間絶縁膜4、5に相当する。また、相変化メモリ装置300の層間絶縁膜305は、実施例1の相変化メモリ装置100の層間絶縁膜6に相当する。また、相変化メモリ装置300のメモリセルMの熱源素子301は、実施例1の相変化メモリ装置100のメモリセルMの熱源素子1に相当する。また、相変化メモリ装置300のメモリセルMの相変化素子302は、実施例1の相変化メモリ装置100のメモリセルMの相変化素子2に相当する。
【0074】
ここで、隣接するメモリセルM間であって、隣接する熱源素子1および相変化素子2の間310の層間絶縁膜304中に、空隙303が形成されている。
【0075】
この空隙303は、或るメモリセルMの熱源素子301が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子302に伝わるのを抑制する。これにより、或るメモリセルMの熱源素子302が発する熱が、隣接する他のメモリセルMの相変化素子302に対して与える影響(相変化素子2の抵抗値の変化)を低減することができる。したがって、例えば、書き込み対象になっていないメモリセルMへのデータの誤書き込みや、消去対象になっていないメモリセルMへのデータの誤消去を抑制することができる。
【0076】
すなわち、相変化メモリ装置300によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【0077】
なお、図12では、空隙303が最近接のメモリセル(同一のビット線またはワード線で接続される隣接メモリセル)間のみに存在している。しかし、メモリセルの間隔と層間絶縁膜のカバレッジとの関係によっては、互いに対角線上で隣接するメモリセルの間にも空隙303を形成することが可能である。互いに対角線上で隣接するメモリセルからの影響を低減するために、そのような構造でもよい。
【0078】
次に、以上のような構成を有する相変化メモリ装置300の製造方法の一例について、説明する。
【0079】
図14、図15は、図12に示す相変化メモリ装置300のメモリセル領域近傍の製造方法の各工程の断面を示す断面図である。なお、図14、図15は、図13と同様に、図12のビット線BLに沿ったメモリセルMを含む領域の縦断面を示す。
【0080】
先ず、図14(a)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、互いに平行な複数のビット線BLを含む領域上に、電流が流れることにより発熱する熱源材料を堆積することにより、熱源材料層301aを形成する。
【0081】
次に、図14(b)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、熱源材料層301a上に、例えば、GeSbTe、AgInSbTe等の相変化材料を堆積することにより、熱源材料層301a上に相変化材料層302aを形成する。
【0082】
次に、図14(c)に示すように、例えば、フォトレジスト(図示せず)をマスクとして、相変化材料層302aおよび熱源材料層301aをドライエッチング等により選択的にエッチングすることにより、熱源素子301を形成するとともにこの熱源素子301上に相変化素子302を形成する。
【0083】
次に、図15(a)に示すように、例えば、CVD法、PVD法等により、隣接する熱源素子301および相変化素子302の間310に、空隙303が形成されるように、ビット線BLを含む領域上に、シリコン酸化膜等の絶縁材料を堆積する。これにより、隣接する熱源素子301および相変化素子302の間310に、空隙303を含む層間絶縁膜304を形成する。
【0084】
次に、図15(b)に示すように、CMP法等により、相変化素子302の上面が露出するように、層間絶縁膜304の上部を平坦化する。
【0085】
次に、例えば、フォトリソグラフィ技術により、各々の相変化素子302上に互いに平行な複数のワード線WLを形成する。さらに、例えば、CVD法、PVD法等により、層間絶縁膜304上およびワード線WL上に、層間絶縁膜305を形成する。これにより、図12、図13に示す相変化メモリ装置300のメモリセル領域近傍の構成が完成する。
【0086】
ここで、上述のように、本実施例3においては、熱源素子と相変化素子をドライエッチングなどによりパターニングした後に、メモリセル間に空隙を形成する。すなわち、メモリセルの間の層間絶縁膜を掘り戻さない。これにより、大幅に工程数を削減することができる。
【0087】
また、以上のように、本実施例に係る相変化メモリ装置によれば、集積度を向上させつつ、或るメモリセルの熱源素子が発する熱が、隣接する他のメモリセルの相変化素子に対して与える影響を低減することができる。
【0088】
さらに、層間絶縁膜の空隙を用いることは、多孔質酸化膜に比較して、熱伝導率がより低い、ウェット工程等に起因する欠陥性の不良が出にくい、メモリセル間の電気的耐圧が高い、等の利点がある。
【符号の説明】
【0089】
1、301 熱源素子
1a 熱源材料
301a 熱源材料層
2、302 相変化素子
2a、 相変化材料
3、203、303 空隙(ボイド)
4、5、6、204、205、206、207、304、305 層間絶縁膜
4a、204a、206a コンタクトホール
110、210、310 領域
100、200、300 相変化メモリ装置
BL ビット線
M メモリセル
WL ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線上に配置された複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセル上にそれぞれ配置された複数の第2の配線と、
前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線との間に形成され、前記複数の第1の配線と前記複数の第2の配線とを絶縁する層間絶縁膜と、を備え、
前記メモリセルは、電流が流れることにより発熱する熱源素子と、前記熱源素子による加熱後の冷却速度に応じて非晶状態または結晶状態の何れかの状態に遷移することにより抵抗値が変化する相変化素子と、を有し、
隣接する前記メモリセル間の前記層間絶縁膜中に、空隙が形成されていることを特徴とする相変化メモリ装置。
【請求項2】
前記隣接する前記メモリセル間の前記層間絶縁膜中に、前記熱源素子の上面の高さから前記相変化素子の上面の高さにわたる空隙が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ装置。
【請求項3】
前記空隙は、前記メモリセル間の最短距離を二等分する線分を含んで形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の相変化メモリ装置。
【請求項4】
第1の配線を含む領域上に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜を選択的にエッチングすることにより、前記第1の層間絶縁膜を貫通し前記第1の配線に到達する複数のコンタクトホールを形成する工程と、
少なくとも前記複数のコンタクトホール内に熱源材料を堆積する工程と、
前記コンタクトホール内の規定の高さまで、前記コンタクトホール内に堆積された前記熱源材料をエッチングすることにより、複数の熱源素子を形成する工程と、
前記コンタクトホール内の前記熱源素子上に相変化材料を形成することにより、複数の相変化素子を形成する工程と、
前記相変化素子の側面の全部および前記熱源素子の側面の一部が露出する高さまで、前記第1の層間絶縁膜の上部を選択的にエッチングする工程と、
前記第1の層間絶縁膜上および前記相変化素子上に、隣接する前記相変化素子間に空隙が形成されるように、第2の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記相変化素子の上面が露出するように、前記第2の層間絶縁膜の上部を平坦化する工程と、
各々の前記相変化素子上に第2の配線を形成する工程と、を備える
ことを特徴とする相変化メモリ装置の製造方法。
【請求項5】
複数の第1の配線を含む領域上に熱源材料層を形成する工程と、
前記熱源材料層上に相変化材料層を形成する工程と、
前記相変化材料層および前記熱源材料層を選択的にエッチングすることにより、熱源素子および相変化素子を形成する工程と、
隣接する前記相変化素子間に空隙が形成されるように、前記第1の配線を含む領域上に、層間絶縁膜を形成する工程と、
前記相変化素子の上面が露出するように、前記層間絶縁膜の上部を平坦化する工程と
各々の前記相変化素子上に第2の配線を形成する工程と、を備える
ことを特徴とする相変化メモリ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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