説明

相対速度計測装置および相対変位計測装置

【課題】本発明は、衛星航法系を構成する航行衛星の相対速度と相対変位とをそれぞれ求める相対速度計測装置および相対変位計測装置に関し、航行衛星の相対速度の値域が制限されている場合であっても、所望の航行衛星の相対速度や相対変位を効率的にかつ精度よく求めることを目的とする。
【解決手段】衛星航法系を構成する1つの航行衛星について求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y、…、yと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対してE=y+w・h=…=y+w・hが所定の精度で成立する相対速度Eを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星航法系を構成する航行衛星の相対速度と相対変位とをそれぞれ求める相対速度計測装置および相対変位計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願明細書と、本願の国内優先権の主張の基礎となる先の出願(特願2010−076995号…平成22年3月30日)の出願当初の明細書との対応関係は、以下の通りである。
(1) 本願明細書の段落0001、0013〜0016(発明が解決しようとする課題の末尾の文および課題を解決するための手段、発明の効果の各欄)の記述については、本願の特許請求の範囲との整合のため、先の出願におけるこれらの段落0001、0013〜0016の記述とは異なる。
(2) 本願明細書の段落0002〜0012、0017〜0041に記載された事項は、上記先の出願の出願当初の明細書の段落0002〜0012、0017〜0041にそれぞれ記載された事項に段落単位で対応し、これらの段落の大半に何らかの修正点が含まれるが、先の出願時に記載された技術的事項を本質的に変更するものではない。
(3) 本願の特許請求の範囲には、上記先の出願の段落0002〜0012、0017〜0041に記載された技術的事項でサポートされる構成に併せて、本願明細書の段落0042〜0159として追加された技術的事項でサポートされる構成が記載されている。
従来から、衛星航法系であるGNSS(Global Navigation Satellite System)におけるGPS(Global Positioning System)等によって、航行衛星の搬送波位相を利用した速度計測が行われている。
【0003】
従来の速度計測は、GNSS受信機の外部に配置され、かつ速度計算部を備えた機器が、データ通信用のインタフェース部を介してGNSS受信機と接続される構成を有する速度計測装置によって行われていた。このような速度計測装置では、GNSS受信機で得られた搬送波位相等の各種データが通信路を介してGNSS受信機の外部に配置された機器に送られ、GNSS受信機の速度が算出される。このとき、通信コストを削減するため、あるいは限られた通信速度の中で通信可能な搬送波位相データのサンプル数を増加して精度や追従性を向上させるため、搬送波位相データの1サンプル当たりのサイズが縮小化される場合がある。
【0004】
GNSS受信機で観測された搬送波位相データが所定の上位桁を除いた下位桁に制限される場合、その搬送波位相データから算出される速度成分の値域には当該制限に基づく範囲制限が発生する。このような場合には、当該値域を超える速度成分は求められず、当該速度計測装置は速度を算出することが困難となる。
【0005】
例えば、40msec間隔で観測されたGPS衛星のL1搬送波位相(周波数:1575.42MHz/波長:約19cm)について、その観測データが、整数部を省略した小数部のみのデータである場合には、そのL1搬送波位相が検出されるべき無線信号が到来するアンテナ(以下、「受信点」という。)と衛星との相対速度によるL1搬送波位相の速度成分の測定範囲は、正数で表現すると0.0[km/h]から約17.1[km/h](以下の(1)式参照)までとなる。
0.19[m]/0.04[sec]=4.75[m/s]=17.1[km/h] ・・・(1)
【0006】
したがって、受信点の速度が搬送波位相の速度成分データに反映されたとしても、当該速度成分データには、搬送波位相のデータサイズまたは時間間隔に基づいて約17.1[km/h]の範囲制限が存在することになる。よって、乗用車等の移動体において計測を行う場合、実用範囲(0〜180[km/h]など)の速度計測は困難となる。
【0007】
ところで、本発明に関連する先行技術である特許文献1には、上記のような値域に制限を有する搬送波位相データが用いられる場合でも新たに定義する不定値に基づく不定性の概念を利用することにより、搬送波位相の速度成分および受信点の速度を求めることができる速度計測装置が開示されている。
【0008】
以下、特許文献1に記載された「新たに定義する不定値に基づく不定性の概念」について説明する。
特許文献1には、搬送波位相の速度成分データの値域が、搬送波位相の「データサイズ」および「使用データ時間間隔」(例えば観測時間間隔)に応じて制限されるという特性に着目し、当該特性を有する「値域の制限」を利用して本来の速度成分の値(値域に制限がないときの値)を求める方法および装置が開示されている。
上記特性を利用した方法は、計測対象の速度範囲、要求精度、頻度、および通信速度などの状況に応じて上記特性に基づき、データサイズや使用データ間隔を意図的に設定することにより、制限される速度成分の値域の幅(特許文献1での「値域の大きさ」または「データ単位」と同義)を用い、あるいは、既存の機器構成において予め制限される速度成分の値域の幅を用い、その一定値を1単位とする整数倍のオフセット量を各衛星毎に算出し、各衛星の元のデータ値(値域が制限される速度成分のデータ値)に加算することにより、観測した全ての衛星について、本来の速度成分の値を求め受信点の速度を算出する、という一連の処理である。
【0009】
なお、特許文献1における既述の処理の過程では、上記オフセット量を算出するための整数値が不明であるため、別途、当該整数値を求める必要がある。特許文献1では、不明な整数値が「不明整数値」と定義され、不確定な速度成分のオフセット量の値が「速度成分の不定値」と定義されている。
このような定義および特許文献1によれば、『各衛星毎に不明整数値の解が求められ、かつ既述の「速度成分の値域の幅」と、求められた「不明整数値の解」との積による「速度成分の不定値の解」が各衛星の元のデータ値に加算されることにより、本来の値が求められる』という具体的な解法を導くことができる。このとき、各衛星毎の不明整数値の解は、「受信点の概略速度」あるいは「受信点の概略速度の推定値」を用いることによって算出可能である。
すなわち、特許文献1は、本発明に関連した先行技術であって、データサイズまたは時間間隔に応じた制限が値域に課された搬送波位相データと、受信点の概略速度とを用いることにより受信点の速度を計測することができる速度計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-2258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1では、上記「不明整数値の解」の算出には、「受信点の概略速度」あるいは「受信点の概略速度の推定値」が必要であった。したがって、これらの「受信点の概略速度」あるいは「受信点の概略速度の推定値」の信頼性が低下した場合、あるいは、求めることができない場合には、上記「不明整数値の解」を算出できないため搬送波位相の速度成分の計測および受信点速度の計測が困難となる。
例えば、「受信点の概略速度」は「受信点の概略位置」の単位時間あたりの変化量から算出されているが、「受信点の概略位置」すなわちGNSS受信機による測位結果について異常が発生して信頼性が低下した場合、あるいは、取得できない場合には、当該「受信点の概略速度」を求めることができない。
【0012】
また、「受信点の概略速度の推定値」は「過去の受信点の概略速度」に「過去から計測タイミングまでの連続する受信点加速度の積算値」を加算することにより算出されるが、「過去の受信点の概略速度」あるいは「過去から計測タイミングまでの連続する受信点加速度」の信頼性が低下した場合、あるいは、取得できない場合には、当該「受信点の概略速度の推定値」を求めることができない。
【0013】
本発明は、航行衛星の相対速度の値域が制限されている場合であっても、所望の航行衛星の相対速度や相対変位を効率的にかつ精度よく求めることができる相対速度計測装置および相対変位計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明では、衛星航法系を構成する1つの航行衛星について求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y、…、yと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対してE=y+w・h=…=y+w・hが所定の精度で成立する相対速度Eを得る。
すなわち、相対速度y、…、yの値域r、…、rがそれぞれ制限されている場合であっても、その制限の下で相対速度y、…、yに付帯する誤差および不確定性は、これらの値域r、…、rと上記幅w、…、wとに基づいて圧縮され、かつ上記相対速度Eはこのような誤差や不確定性の圧縮の下で得られる。
請求項2に記載の発明では、衛星航法系を構成する1つの航行衛星について求められ、かつ値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位x、…、xと、前記値域g、…、gの幅u、…、uと、前記幅u、…、uに対応する整数j、…、jとに対してF=x+u・j=…=x+u・jが所定の精度で成立する相対変位Fを得る。
すなわち、相対変位x、…、xの値域g、…、gがそれぞれ制限されている場合であっても、その制限の下で相対変位x、…、xに付帯する誤差および不確定性がこれらの値域g、…、gと上記幅u、…、uとに基づいて圧縮され、かつ上記相対変位Fはこのような誤差や不確定性の圧縮の下で得られる。
請求項3に記載の発明では、衛星航法系を構成する第一の航行衛星について求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y1、…、y1と、前記衛星航法系を構成する第二の航行衛星について求められ、かつ前記値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y2、…、y2との前記値域r、…、r毎に対応した差である複数pの速度差Δy、…、Δyと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対して、ΔE=Δy+w・h=…=Δy+w・hが所定の精度で成立する値ΔEとして前記第一および第二の航行衛星の相対速度の差を得る。
すなわち、相対速度y1、…、y1の値域r、…、rと、相対速度y2、…、y2の値域r、…、rとの何れもが制限されている場合であっても、その制限によって相対速度y1、…、y1と相対速度y2、…、y2とに付帯する誤差および不確定性は、これらの値域r、…、rと上記幅w、…、wとに基づいて圧縮され、かつ上記相対速度の差ΔEはこのような誤差や不確定性の圧縮の下で得られる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、衛星航法系を構成する第一の航行衛星について求められ、かつ値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位x1、…、x1と、前記衛星航法系を構成する第二の航行衛星について求められ、かつ前記値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位x2、…、x2との前記値域g、…、g毎に対応した差である複数qの変位差Δx、…、Δxと、前記値域g、…、gの幅u、…、uと、前記幅u、…、uに対応する整数j、…、jとに対して、ΔF=Δx+u・j=…=Δx+u・jが所定の精度で成立する値ΔFとして前記第一および第二の航行衛星の相対変位の差を得る。
すなわち、相対変位x1、…、x1の値域g、…、gと、相対変位x2、…、x2の値域g、…、gとの何れもが制限されている場合であっても、その制限の下で相対変位x1、…、x1と相対変位x2、…、x2とに付帯する誤差および不確定性は、これらの値域g、…、gと上記幅u、…、uとに基づいて圧縮され、かつ上記相対変位の差ΔFはこのような誤差や不確定性の圧縮の下で得られる。
請求項5に記載の発明では、衛星航法系を構成する1つの航行衛星から無線信号が到来する第一のサイトについて求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度yI、…、yIと、前記無線信号が到来する第二のサイトについて求められ、かつ前記値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度yII、…、yIIとの前記値域r、…、r毎に対応した差である複数pの速度差Δy、…、Δyと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対して、ΔE=Δy+w・h=…=Δy+w・hが所定の精度で成立する値ΔEとして前記第一および第二のサイトの相対速度の差を得る。
すなわち、相対速度yI、…、yIの値域r、…、rと、相対速度yII、…、yIIの値域r、…、rとの何れもが制限されている場合であっても、その制限の下で相対速度yI、…、yIと相対速度yII、…、yIIとに付帯する誤差および不確定性がこれらの値域r、…、rと上記幅w、…、wとに基づいて圧縮され、かつ上記相対速度の差ΔEはこのような誤差や不確定性の圧縮の下で得られる。
請求項6に記載の発明では、衛星航法系を構成する1つの航行衛星から無線信号が到来する第一のサイトについて求められ、かつ値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位xI、…、xIと、前記無線信号が到来する第二のサイトについて求められ、かつ前記値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位xII、…、xIIとの前記値域g、…、g毎に対応した差である複数qの変位差Δx、…、Δxと、前記値域g、…、gの幅u、…、uと、前記幅u、…、uに対応する整数j、…、jとに対して、ΔF=Δx+u・j=…=Δx+u・jが所定の精度で成立する値ΔFとして前記第一および第二のサイトの相対変位の差を得る。
すなわち、相対変位xI、…、xIの値域g、…、gと、相対変位xII、…、xIIの値域g、…、gとの何れもが制限されている場合であっても、その制限の下で相対変位xI、…、xIと相対変位xII、…、xIIとに付帯する誤差および不確定性がこれらの値域g、…、gと上記幅u、…、uとに基づいて圧縮され、かつ上記相対変位の差ΔFはこのような誤差や不確定性の圧縮の下で得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、衛星航法系を構成する航行衛星の相対速度や相対変位の値域が制限されている場合であっても、従来例で行われていた次の処理i),ii),iii)の何れもが行われることなく、上記値域が制限されている相対速度または相対変位に基づいて以下の項目(1)〜(3)が精度よく効率的に求められる。
i) 「受信点の概略速度もしくはその推定値」と「受信点の概略変位もしくはその推定値」とに基づく算術演算
ii) 2つの航行衛星の相対速度または相対変位を航行衛星毎に個別に求める処理
iii) 航行衛星から無線信号が到来する2つのサイトの相対速度または相対変位をサイト毎に個別に求める処理
〔本発明によって求められる項目〕
(1) 航行衛星に対する相対速度または相対変位
(2) 2つの航行衛星の間における相対速度の差または相対変位の差
(3) 特定の航行衛星を基準として求められる所望の2つのサイトの間における相対速度の差または相対変位の差
すなわち、本発明では、航行衛星から到来する無線信号を受信する受信系とその受信系に連係して相対速度や相対変位の計測を実現する装置との間で通信路を介して引き渡され、かつ個々の航行衛星の相対速度や相対変位を示す語の語長や総合的な情報量の制約に阻まれることなく、しかも、実時間性が無用に低下することなく、相対速度や相対変位の計測が安価に所望の精度で実現される。
したがって、本発明が適用された衛星航法系では、総合的な信頼性が高く維持され、かつ価格性能比および付加価値が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0019】
図1において、前処理部1a〜1dの出力は、それぞれ相対速度計測部3a〜3dの入力に接続される。相対速度計測部3a〜3dの出力は、それぞれ速度算出部6の対応する入力に接続される。
なお、前処理部1a〜1dおよび相対速度計測部3a〜3dは、相対速度計測ユニット3を構成する。
【0020】
速度算出部6には各航行衛星の位置が与えられ、その速度算出部6の出力には、上記相対速度計測ユニット3の速度が出力される。
なお、相対速度計測ユニット3に含まれる前処理部と相対速度計測部との対の数については、「4」に限定されず、「5」以上であってもよい。
【0021】
図2は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
以下、図1を参照しつつ、図2に示す手順に沿って、既述の値域を個別に有する複数の相対速度と値域とに基づいて整数の不確定性が排除される相対速度および速度の算出方法を説明する。
なお、前処理部1a〜1d、相対速度計測部3a〜3dおよび速度算出部6は、データの読み書きが可能な揮発性または不揮発性のメモリを内部に備えており、使用されるデータをメモリに格納し、そのデータを適宜メモリから読み出すことにより後述する演算を実行する。
また、これらの前処理部1a〜1d、相対速度計測部3a〜3dおよび速度算出部6は、図2に示す各ステップで得られた演算結果をメモリに格納し、かつ後続するステップでは、先行して得られた演算結果を適宜メモリから読み出することにより、演算を行う。
【0022】
(ステップS100)
まず、前処理部1a〜1dは、各航行衛星の搬送波位相および時刻を取得する。
【0023】
(ステップS110)
前処理部1a〜1dは、各航行衛星に基づき、値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を含む)を算出する。
例えば、搬送波位相を用いる場合、同一衛星について取得される搬送波位相([cycle])が、複数の個別の周波数(GPSのL1、L2、L5など)を有し、かつ、何れも小数部に制限される場合、各周波数に応じて波長を掛けた搬送波位相([m])はそれぞれ異なる値域を取るため、当該搬送波位相の速度成分([m/s])は異なる値域の幅を有する。
したがって、以下の(2)式〜(4)式が示すように、ステップS100で取得した搬送波位相の時間差分によって、値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を含む)を得る。
なお、ここで当該複数の相対速度は、値域の幅を1単位とする整数の不確定性を有する。
また、本発明における値域の数は2つ以上の複数であればよいが、本実施形態では、以下一例として、第1と第2との周波数に基づく2つの値域を個別に有する搬送波位相を用いて説明する。
Φ1iv(t)=(Φ1i(t)−Φ1i(tk−1))/Δt ・・・(2)
Φ2iv(t)=(Φ2i(t)−Φ2i(tk−1))/Δt ・・・(3)
Δt=t−tk−1 (k=1,2,3,・・・) ・・・(4)
Φ1i(t):時刻tにおいて観測した航行衛星iの第1の値域を有する搬送波位相
Φ2i(t):時刻tにおいて観測した航行衛星iの第2の値域を有する搬送波位相
Φ1iv(t):時刻tにおける航行衛星iの第1の値域を有する搬送波位相の速度成分
Φ2iv(t):時刻tにおける航行衛星iの第2の値域を有する搬送波位相の速度成分
:搬送波位相の観測時刻
Δt:観測時間間隔
【0024】
(ステップS120)
前処理部1a〜1dは、誤差成分を求める。誤差成分を求める方法は、まず、搬送波の伝搬時間と、航法メッセージから得られる航行衛星の軌道情報とを用いて、観測される搬送波位相が航行衛星から送信されたときの航行衛星の位置を算出する。この航行衛星の位置と相対速度計測ユニット3の概略位置とに基づいて、前処理部1a〜1dは、下式(5)〜(10)が示すように、上記航行衛星の位置と上記概略位置との距離について時間差分をとることにより、航行衛星の移動による成分として、航行衛星と概略位置との相対速度を算出する。
上記時間差分がとられるときの時刻は、ステップS110で用いた時刻に基づく。なお、搬送波の伝搬時間は、光路差方程式から算出される。
iv(t)=(D(t)−D(tk−1))/Δt ・・・(5)
(t)=|P’(t)−Q| ・・・(6)
(tk−1)=|P’(tk−1)−Q| ・・・(7)
P’(t)=P(t−τ(t)) ・・・(8)
P’(tk−1)=P(tk−1−τ(tk−1)) ・・・(9)
Δt=t−tk−1 (k=1,2,3,・・・) ・・・(10)
iv(t):時刻tにおける航行衛星iと概略位置Qとの相対速度
(t):時刻tにおける航行衛星iと概略位置Qとの距離
P’(t):時刻tにおいて観測した航行衛星iの搬送波位相が発射されたときの航行衛星iの位置
(t):時刻tにおける航行衛星iの位置
τ(t):時刻tにおいて観測した航行衛星iの搬送波の伝搬時間
Q:搬送波位相を観測した概略位置
:搬送波位相の観測時刻
Δt:観測時間間隔
【0025】
さらに、前処理部1a〜1dは、各衛星の衛星クロック誤差と、概略位置における各衛星の方向の対流圏遅延量とを算出する。なお、衛星クロック誤差については、GPSのインターフェース仕様IS-GPS-200記載の方法により算出する。また、対流圏遅延量については、既存の対流圏遅延モデルによって推定値を算出する。
【0026】
さらに、前処理部1a〜1dは、上述した衛星クロック誤差と対流圏遅延量とについて、それぞれの時間差分をとることにより、衛星クロック誤差の速度成分と、対流圏遅延量の速度成分とを算出する。時間差分がとられるときの時刻は、ステップS110で用いた時刻に基づく。
以上のように各航行衛星について算出される、航行衛星と概略位置との相対速度、衛星クロック誤差の速度成分、対流圏遅延量の速度成分を誤差成分として得る。
【0027】
(ステップS130)
前処理部1a〜1dは、ステップS110で算出された値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を含む)について、ステップS120で求められた誤差成分をそれぞれ除去し、さらに、各値域の幅にそれぞれ正規化することによって、値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を除去)を得る。
さらに、前処理部1a〜1dは、値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を除去)を相対速度計測部3a〜3dに引き渡す。
なお、以下では、誤差成分が除去されて正規化された後の相対速度を、図1に示す前処理部1a〜1dの出力とする。また、このような値域を個別に有する複数の相対速度は、対応する値域の幅に基づく整数の不確定性を有する。
【0028】
(ステップS140)
相対速度計測部3a〜3dは、値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を除去)について、複数の確定値を算出する。
以下、このような確定値の算出方法を説明する。
まず、相対速度計測部3a〜3dは、ステップS130で算出された、値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を除去)に対して、値域の幅と整数値(・・・,−2,−1,0,1,2,・・・)との乗算値を加算することによって、所定の計測範囲における複数の候補値を算出する。さらに、相対速度計測部3a〜3dは、上記複数の候補値の内、異なる値域毎の差分の大きさが所定の閾値以下となる候補値の組合せを選択し、これらの選択された各候補値を確定値として得る。
例えば、第1と第2との周波数に基づく2つの値域を個別に有する場合には、第1の値域に基づく複数の候補値と、第2の値域に基づく複数の候補値との差分の大きさが最小となる組み合わせの2つの候補値がそれぞれ確定値となる。
【0029】
(ステップS150)
相対速度計測部3a〜3dは、ステップS140で算出された複数の確定値の一部もしくは全部を用いて、値域に基づく整数の不確定性が排除される相対速度を算出する。
例えば、第1と第2との周波数に基づく2つの値域を有する2つの確定値の場合には、その内の何れかの確定値または2つの確定値の平均値を、上記整数の不確定性が排除される相対速度とする。
なお、これらの相対速度については、周波数に応じて異なる電離層遅延量の速度成分が確定値から除去されてもよい。
このようにして求められた相対速度は、速度算出部6に引き渡される。
【0030】
(ステップS160)
速度算出部6は、ステップS150で算出された4つ以上の航行衛星について、値域に基づいて整数の不確定性が排除された相対速度と、前述の概略位置における航行衛星の方向余弦と、未知数(3次元の速度およびGNSS受信機のクロックドリフト)とに基づく方程式(以下の(11)式)により、速度を算出する。
=H・X ・・・(11)
:整数の不確定性が排除された相対速度行列
H:方向余弦を含む観測行列
:速度(3次元)およびクロックドリフト
【0031】
(ステップS170)
速度算出部6は、ステップS160で算出された速度にローパスフィルタを適用して雑音成分を除去し、かつ上記のステップS100〜S170の処理を時刻の更新とともに繰り返すことにより、速度を算出する。なお、ステップS170の処理は、適宜省略してもよい。
【0032】
上述したように、本実施形態によれば、既述の通りに相対速度の値域に制限がある場合であっても、「概略速度」および「概略速度の推定値」を用いることなく、整数の不確定性を排除することにより、速度を求めることができる。
したがって、「概略速度」および「概略速度の推定値」の信頼性が低下した場合や、取得できないタイミングでも、速度の計測が可能となる。
また、データサイズを低減することができ、外部機器で速度の算出を行う場合には、より高いサンプリング周波数で取得したデータを外部機器へ伝送することができる。その結果、従来よりも計測の追従性が向上し、また、データ数が増えることから精度も向上する。あるいは、従来と同じ頻度のデータを伝送する場合には、データサイズの低減により通信コストを削減することができる。
【0033】
さらに、本実施形態によれば、搬送波位相を利用することにより、高精度に計測を行うことができる。
また、本実施形態では、連続する2時刻による観測で速度を求めることができるため、短い観測時間で計測を行うことができる。
さらに、本実施形態では、別途装置による相対速度の基準値を必要としないため、速度計測装置単体によるローコストな計測システムを構成することができる。
また、本実施形態では、計測した速度を積分し、必要に応じてバンドパスフィルタ等が適用されることにより、高精度な受信点変位を求めることができる。
【0034】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
本実施形態では、航行衛星の相対速度の誤差成分の1つである「航行衛星の移動による成分」について、航行衛星と概略位置との相対速度を用いて説明を行ったが、地球固定座標系での航行衛星の位置の変化率として求められる速度について、上述の概略位置方向の成分が「衛星の移動による成分」として用いられてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、航行衛星の数について、4つ以上として説明しているが、速度算出部6は、前述の未知数のひとつであるクロックドリフトを別途取得するか、または、別途取得されるクロックバイアスもしくはその推定値を用いてクロックドリフトを算出することによって未知数を1つ減らし、3つ以上の航行衛星に基づいて速度を算出してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、値域を個別に有する複数の相対速度について、搬送波位相の時間差分によって得ているが、これに代えて、ドップラー周波数偏移としてもよい。なお、ドップラー周波数偏移が用いられる場合は、時間差分をとる必要はない。
【0037】
さらに、本実施形態では、GNSSにおける航行衛星および周波数について、一例としてGPS衛星のL1、L2、L5を挙げて説明しているが、GLONASSあるいはGalileo等のGPS以外の航行衛星、および、当該衛星における複数の周波数を用いてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、値域を個別に有する複数の相対速度について、一例として第1と第2との異なる周波数に基づいて説明しているが、同一の周波数で、かつ、異なる3つ以上の値域を有する複数の搬送波位相またはドップラー周波数偏移に基づく相対速度が用いられてもよい。
【0039】
さらに、本実施形態では、相対速度の値域に基づく整数の不確定性の排除について、第1と第2との異なる値域を有する相対速度を直接利用しているが、第1の値域を有する相対速度と第2の値域を有する相対速度との線形結合による第3の値域を有する相対速度と、さらに同一の航行衛星について当該第3の値域以外の値域を有する相対速度とを用いて、値域に基づく整数の不確定性を排除してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、速度の算出について説明しているが、加速度の算出においても、「概略加速度」および「概略加速度の推定値」を用いることなく値域に基づく整数の不確定性を排除することが可能である。このとき、搬送波位相を用いる場合は、搬送波位相の2重の時間差分から相対加速度を算出すればよい。また、ドップラー周波数偏移を用いる場合は、ドップラー周波数偏移の時間差分から相対加速度を算出すればよい。
【0041】
さらに、本発明の構成は上述した実施形態の構成に限定されず、以下に列記するように、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
(a) 本実施形態に係る速度計測装置は、GNSS受信機の外部に配置されているが、GNSS受信機の内部に配置されてもよい。
【0042】
(b) 既述の誤差成分は、本実施形態では、航行衛星と概略位置との相対速度、衛星クロック誤差の速度成分、対流圏遅延量の速度成分について求められているが、例えば、当該航行衛星に基づく相対速度の計測について必要とされる精度に応じて、誤差成分の一部もしくは全部が省略され、あるいは当該誤差成分にその誤差成分以外の誤差要素が追加されてもよい。
【0043】
(c) 本実施形態では、相対速度計測部3a〜3dは、対応する航行衛星毎に複数の異なる値域に制限される当該複数の相対速度(以下、二重カギ括弧が付された『複数の相対速度』と称する。)に基づいて、該当する航行衛星に対する相対速度を求めているが、以下の各項(c-1)〜(c-11)に示す演算が行われることにより、相対速度、またはその相対速度に代わる相対変位が求められてもよい。
(c-1) 既述の『複数の相対速度』に代えて、航行衛星毎に値域が複数通りに制限された複数の相対変位を用いることにより、該当する航行衛星に対する相対変位を求める。
【0044】
(c-2) 2つの航行衛星の双方に関して値域が共通の複数通りに制限された相対速度の内、これらの2つの航行衛星間で値域が同じである個々の相対速度の差を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、上記2つの航行衛星に対する相対速度の差を求める。
【0045】
(c-3) 2つの航行衛星の双方に関して値域が共通の複数通りに制限された相対変位の内、これらの2つの航行衛星間で値域が同じである個々の相対変位の差を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、上記2つの航行衛星に対する相対変位の差を求める。
【0046】
(c-4) 値域が共通の複数通りに制限され、かつ2つのサイトの1つの航行衛星に対する相対速度の内、これらの2つのサイト間で値域が同じである個々の相対速度の差を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、該当する航行衛星に対する上記2つのサイトの相対速度の差を求める。
【0047】
(c-5) 値域が共通の複数通りに制限され、かつ2つのサイトの1つの航行衛星に対する相対変位の内、これらの2つのサイト間で値域が同じである個々の相対変位の差を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、該当する航行衛星に対する上記2つのサイトの相対変位の差を求める。
【0048】
(c-6) 既述の『複数の相対速度』に代えて、航行衛星毎に値域が複数通りに制限された複数の相対変位の変化率として、該当する航行衛星に対する相対速度を求める。
【0049】
(c-7) 既述の『複数の相対速度』に代えて、航行衛星毎に値域が複数通りに制限された複数の相対速度の積分値として、該当する航行衛星に対する相対変位を求める。
【0050】
(c-8) 値域が共通の複数通りに制限された2つの航行衛星の相対変位の内、これらの2つの航行衛星間で値域が同じである個々の相対変位の差の変化率を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、上記2つの航行衛星に対する相対速度の差を求める。
【0051】
(c-9) 値域が共通の複数通りに制限された2つの航行衛星の相対速度の内、これらの2つの航行衛星間で値域が同じである個々の相対速度の差の積分値を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、上記2つの航行衛星に対する相対変位の差を求める。
【0052】
(c-10) 値域が共通の複数通りに制限された2つのサイトの1つの航行衛星に対する相対変位の内、これらの2つのサイト間で値域が同じである個々の相対変位の差の変化率を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、該当する航行衛星に対する上記2つのサイトの相対速度の差を求める。
【0053】
(c-11) 値域が共通の複数通りに制限された2つのサイトの1つの航行衛星に対する相対速度の内、これらの2つのサイト間で値域が同じである個々の相対速度の差の積分値を既述の『複数の相対速度』に代えて用いることにより、該当する航行衛星に対する上記2つのサイトの相対変位の差を求める。
【0054】
(d) 上記(c-1)、(c-7)項の何れかと同様にして相対変位を求め、さらに、その相対変位の変化率として該当する航行衛星に対する相対速度を得る。
【0055】
(e) 本実施形態または上記(c-6)項と同様にして相対速度を求め、さらに、その相対速度の積分値として該当する航行衛星に対する相対変位を得る。
【0056】
(f) 上記(c-3)、(c-9)項の何れかと同様にして2つの航行衛星に対する相対変位の差を求め、さらに、その相対変位の差の変化率として上記2つの航行衛星に対する相対速度の差を得る。
【0057】
(g) 上記(c-2)、(c-8)項の何れかと同様にして2つの航行衛星に対する相対速度の差を求め、さらに、その相対速度の差の積分値として上記2つの航行衛星に対する相対変位の差を得る。
【0058】
(h) 上記(c-5)、(c-11) 項の何れかと同様にして2つのサイトの相対変位の差を求め、さらに、その相対変位の差の変化率として該当する航行衛星に対する上記2つのサイトの相対速度の差を得る。
【0059】
(i) 上記(c-4)、(c-10) 項の何れかと同様にして2つのサイトの相対速度の差を求め、さらに、その相対速度の差の積分値として該当する航行衛星に対する上記2つのサイトの相対変位の差を得る。
【0060】
(j) 本実施形態では、まず、相対速度計測部3a〜3dによって、航行衛星毎に複数の異なる値域に制限された相対速度に基づいて各航行衛星に対する相対速度がそれぞれ求められ、次に、速度算出部6によって、その相対速度から相対速度計測ユニット3の速度が求められているが、このような速度は以下の各項(j-1)〜(j-6)に列記する演算により求められてもよい。
(j-1) 上記相対速度計測部3a〜3dによって求められた相対速度に代えて、上記(c-6)、(d)項の何れかに記載の通りに求められた相対速度を用いることにより、上記相対速度計測ユニット3の速度を求める。
【0061】
(j-2) 上記相対速度計測部3a〜3dによって求められた相対速度に代えて、上記(c-1)、(c-7)、(e)項の何れかに記載の通りに求められた相対変位を用いることにより、上記相対速度計測ユニット3に代わる相対変位計測ユニットの変位を求める。
【0062】
(j-3) 上記相対速度計測部3a〜3dによって求められた相対速度に代えて、上記(c-2)、(c-8)、(f)項の何れかに記載の通りに求められた航行衛星の相対速度の差を用いることにより、上記相対速度計測ユニット3の速度を求める。
【0063】
(j-4) 上記相対速度計測部3a〜3dによって求められた相対速度に代えて、上記(c-3)、(c-9)、(g)項の何れかに記載の通りに求められた航行衛星の相対変位の差を用いることにより、上記相対速度計測ユニット3に代わる相対変位計測ユニットの変位を求める。
【0064】
(j-5) 上記相対速度計測部3a〜3dによって求められた相対速度に代えて、上記(c-4)、(c-10)、(h)項の何れかに記載の通りに求められた2つのサイトの相対速度の差を用いて、その2つのサイト間の相対速度を求める。
【0065】
(j-6) 上記相対速度計測部3a〜3dによって求められた相対速度に代えて、上記(c-5)、(c-11)、(i)項の何れかに記載の通りに求められた2つのサイト間の相対変位の差を用いることにより、その2つのサイト間の相対変位を求める。
【0066】
(k) 速度算出部6に代わる変位算出部によって、上記(j-2)、(j-4)項の何れかと同様にして相対速度計測ユニット3に代わる相対変位計測ユニットの変位が求められ、さらに、その変位の変化率として該当する相対変位計測ユニットの速度が求められる。
【0067】
(l) 速度算出部6によって、上記(j-1)、(j-3)項の何れかと同様にして相対速度計測ユニット3の速度が求められ、さらに、その速度の積分値として該当する相対速度計測ユニット3の変位が求められる。
【0068】
(m) 上記(j-6)項の何れかと同様にして2つのサイト間の相対変位を求め、さらに、当該相対変位の変化率としてその2つのサイト間の相対速度を得る。
【0069】
(n) 上記(j-5)項の何れかと同様にして2つのサイト間の相対速度を求め、さらに、当該相対速度の積分値としてその2つのサイト間の相対変位を得る。
【0070】
(o) 本実施形態では、値域を個別に有する複数の相対速度は、誤差成分が除去された後で上記値域の相違に応じた整数の不確定性が排除されているが、このような誤差成分は、先に整数の不確定性が排除された後に除去されてもよい。
【0071】
(p) 本実施形態では、航行衛星に対する値域を個別に有する複数の相対速度は、すべての値域の幅に制限を有するが、複数の値域の内、少なくとも1つ以上の値域が相対速度の測定範囲に対して十分大きな幅を持つ場合には、当該測定結果として信頼できる相対速度を参照することによって、その信頼できる相対速度以外の値域の幅に制限を有する相対速度について、整数の不確定性が排除されてもよい。
【0072】
(q) 本実施形態では、相対速度計測ユニット3の速度は、速度算出部6によって、衛星航法に基づいて、前述の航行衛星の方向余弦を含む観測行列Hを用いて算出されている。しかし、(j-3)、(j-4)項に記載の通りに相対速度計測ユニット3の速度または既述の相対変位計測ユニットの変位が求められる場合には、上記方向余弦に代えて、該当する航行衛星の複数の対に対応する航行衛星の方向余弦の差が用いられ、また、用いられる航行衛星の相対速度の差または相対変位の差に関して、本実施形態での未知数のひとつであったGNSS受信機のクロックドリフトまたはクロックバイアス(変位に対する成分)は相殺されているため、未知数は速度(3次元)もしくは変位(3次元)のみに設定されてもよい。
【0073】
(r) 本実施形態では、誤差成分は、前処理部1a〜1dによって算出され、かつ値域を個別に有する複数の相対速度(誤差成分を含む)から除去されている。しかし、(j-5)、(j-6)項の何れかに記載の通りに2つのサイト間の相対速度または相対変位が求められるときに該当する2つのサイト間の距離がサイト-衛星間の距離より十分に小さい場合には、これらの2つのサイトの相対速度の差または相対変位の差は、上記誤差成分が相殺されるため、前処理部1a
〜1dによる誤差成分の算出および除去が行われなくてもよい。
【0074】
(s) 本実施形態(上記(c-1)〜(c-11)、(d)〜(i)、(j-1)〜(j-6)、(k)〜(r)項に既述の演算の下で実現される相対速度計測装置、相対変位計測装置、速度計測装置、変位計測装置を含む。)では、航行衛星から到来して値域の幅が異なる複数の搬送波位相が既述の演算の対象となっているが、このような複数の搬送波位相は、必ずしも本実施形態に組み込まれたGNSS受信機によって与えられなくてもよく、例えば、該当する航行衛星から到来する信号を模擬するシミュレータ、実際に航行衛星から到来した信号が記録されたデータレコーダその他の如何なる装置によって与えられてもよい。
【0075】
以下、本願に開示された発明の内、「特許請求の範囲」に記載しなかった発明の構成、作用および効果を「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0076】
[請求項7] 請求項1に記載の相対速度計測装置において、
前記相対速度y、…、yと、前記幅w、…、wと、前記整数h、…、hとに対して与えられる前記相対速度Eの候補値C=y+w・h、…、C=y+w・hの内、所定の精度で一致する複数n(≦p)の前記候補値の確定値K、…、Kを得る整数h、…、hの不確定性排除手段を備えた
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0077】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項1に記載の相対速度計測装置において、不確定性排除手段は、前記相対速度y、…、yと、前記幅w、…、wと、前記整数h、…、hとに対して与えられる前記相対速度Eの候補値C=y+w・h、…、C=y+w・hの内、所定の精度で一致する複数n(≦p)の前記候補値の確定値K、…、Kを得る。
【0078】
すなわち、上記確定値K、…、Kは、上記候補値の内、所定の精度で一致する一部もしくは全部として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する航行衛星の相対速度の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、その相対速度に基づいて前記航行衛星に対する相対速度が求められる。
【0079】
[請求項8] 請求項7に記載の相対速度計測装置において、
前記確定値K、…、Kの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対速度Eを推定する相対速度推定手段を備えた
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0080】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項7に記載の相対速度計測装置において、相対速度推定手段は、前記確定値K、…、Kの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対速度Eを推定する。
【0081】
すなわち、上記相対速度Eは、上記確定値を用いて推定される。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する航行衛星の相対速度の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、その相対速度に基づいて前記航行衛星に対する相対速度が求められる。
【0082】
[請求項9] 請求項2に記載の相対変位計測装置において、
前記相対変位x、…、xと、前記幅u、…、uと、前記整数j、…、jとに対して与えられる前記相対変位Fの候補値A=x+u・j、…、A=x+u・jの内、所定の精度で一致する複数m(≦q)の前記候補値の確定値B、…、Bを得る整数j、…、jの不確定性排除手段を備えた
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0083】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項2に記載の相対変位計測装置において、不確定性排除手段は、前記相対変位x、…、xと、前記幅u、…、uと、前記整数j、…、jとに対して与えられる前記相対変位Fの候補値A=x+u・j、…、A=x+u・jの内、所定の精度で一致する複数m(≦q)の前記候補値の確定値B、…、Bを得る。
【0084】
すなわち、上記確定値B、…、Bは、上記候補値の内、所定の精度で一致する一部もしくは全部として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する航行衛星の相対変位の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、その相対変位に基づいて前記航行衛星に対する相対変位が求められる。
【0085】
[請求項10] 請求項9に記載の相対変位計測装置において、
前記確定値B、…、Bの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対変位Fを推定する相対変位推定手段を備えた
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0086】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項9に記載の相対変位計測装置において、相対変位推定手段は、前記確定値B、…、Bの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対変位Fを推定する。
【0087】
すなわち、上記相対変位Fは、上記確定値を用いて推定される。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する航行衛星の相対変位の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、その相対変位に基づいて前記航行衛星に対する相対変位が求められる。
【0088】
[請求項11] 請求項3に記載の相対速度計測装置において、
前記速度差Δy、…、Δyと、前記幅w、…、wと、前記整数h、…、hとに対して与えられる前記相対速度の差ΔEの候補値ΔC=Δy+w・h、…、ΔC=Δy+w・hの内、所定の精度で一致する複数n(≦p)の前記候補値の確定値ΔK、…、ΔKを得る不確定性排除手段を備えた
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0089】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項3に記載の相対速度計測装置において、不確定性排除手段は、前記速度差Δy、…、Δyと、前記幅w、…、wと、前記整数h、…、hとに対して与えられる前記相対速度の差ΔEの候補値ΔC=Δy+w・h、…、ΔC=Δy+w・hの内、所定の精度で一致する複数n(≦p)の前記候補値の確定値ΔK、…、ΔKを得る。
【0090】
すなわち、上記確定値ΔK、…、ΔKは、上記候補値の内、所定の精度で一致する一部もしくは全部として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する2つの航行衛星の相対速度の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対速度が個別に求められることなく、上記2つの航行衛星の相対速度に基づいてこれらの2つの航行衛星に対する相対速度の差が求められる。
【0091】
[請求項12] 請求項11に記載の相対速度計測装置において、
前記確定値ΔK、…、ΔKの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対速度の差ΔEを推定する相対速度推定手段を備えた
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0092】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項11に記載の相対速度計測装置において、相対速度推定手段は、前記確定値ΔK、…、ΔKの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対速度の差ΔEを推定する。
【0093】
すなわち、上記相対速度の差ΔEは、上記確定値を用いて推定される。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する2つの航行衛星の相対速度の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対速度が個別に求められることなく、上記2つの航行衛星の相対速度に基づいてこれらの2つの航行衛星に対する相対速度の差が求められる。
【0094】
[請求項13] 請求項4に記載の相対変位計測装置において、
前記変位差Δx、…、Δxと、前記幅u、…、uと、前記整数j、…、jとに対して与えられる前記相対変位の差ΔFの候補値ΔA=Δx+u・j、…、ΔA=Δx+u・jの内、所定の精度で一致する複数m(≦q)の前記候補値の確定値ΔB、…、ΔBを得る不確定性排除手段を備えた
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0095】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項4に記載の相対変位計測装置において、不確定性排除手段は、前記変位差Δx、…、Δxと、前記幅u、…、uと、前記整数j、…、jとに対して与えられる前記相対変位の差ΔFの候補値ΔA=Δx+u・j、…、ΔA=Δx+u・jの内、所定の精度で一致する複数m(≦q)の前記候補値の確定値ΔB、…、ΔBを得る。
【0096】
すなわち、上記確定値ΔB、…、ΔBは、上記候補値の内、所定の精度で一致する一部もしくは全部として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する2つの航行衛星の相対変位の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対変位が個別に求められることなく、上記2つの航行衛星の相対変位に基づいてこれらの相対変位の差が求められる。
【0097】
[請求項14] 請求項13に記載の相対変位計測装置において、
前記確定値ΔB、…、ΔBの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対変位の差ΔFを推定する相対変位推定手段を備えた
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0098】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項13に記載の相対変位計測装置において、相対変位推定手段は、前記確定値ΔB、…、ΔBの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対変位の差ΔFを推定する。
【0099】
すなわち、上記相対変位の差ΔFは、上記確定値を用いて推定される。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する2つの航行衛星の相対変位の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対変位が個別に求められることなく、上記2つの航行衛星の相対変位に基づいてこれらの相対変位の差が求められる。
【0100】
[請求項15] 請求項5に記載の相対速度計測装置において、
前記速度差Δy、…、Δyと、前記幅w、…、wと、前記整数h、…、hとに対して与えられる前記相対速度の差ΔEの候補値ΔC=Δy+w・h、…、ΔC=Δy+w・hの内、所定の精度で一致する複数n(≦p)の前記候補値の確定値ΔK、…、ΔKを得る不確定性排除手段を備えた
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0101】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項5に記載の相対速度計測装置において、不確定性排除手段は、前記速度差Δy、…、Δyと、前記幅w、…、wと、前記整数h、…、hとに対して与えられる前記相対速度の差ΔEの候補値ΔC=Δy+w・h、…、ΔC=Δy+w・hの内、所定の精度で一致する複数n(≦p)の前記候補値の確定値ΔK、…、ΔKを得る。
【0102】
すなわち、上記確定値ΔK、…、ΔKは、上記候補値の内、所定の精度で一致する一部もしくは全部として得られる。
したがって、本発明では、航行衛星から無線信号がそれぞれ到来する2つのサイトの相対速度の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対速度が個別に求められることなく、上記2つのサイトの相対速度の差が求められる。
【0103】
[請求項16] 請求項15に記載の相対速度計測装置において、
前記確定値ΔK、…、ΔKの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対速度の差ΔEを推定する相対速度推定手段を備えた
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0104】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項15に記載の相対速度計測装置において、相対速度推定手段は、前記確定値ΔK、…、ΔKの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対速度の差ΔEを推定する。
【0105】
すなわち、上記相対速度の差ΔEは、上記確定値を用いて推定される。
したがって、本発明では、航行衛星から無線信号がそれぞれ到来する2つのサイトの相対速度の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、航行衛星に対する相対速度が個別に求められることなく、上記2つのサイトの相対速度の差が求められる。
【0106】
[請求項17] 請求項6に記載の相対変位計測装置において、
前記変位差Δx、…、Δxと、前記幅u、…、uと、前記整数j、…、jとに対して与えられる前記相対変位の差ΔFの候補値ΔA=Δx+u・j、…、ΔA=Δx+u・jの内、所定の精度で一致する複数m(≦q)の前記候補値の確定値ΔB、…、ΔBを得る不確定性排除手段を備えた
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0107】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項6に記載の相対変位計測装置において、不確定性排除手段は、前記変位差Δx、…、Δxと、前記幅u、…、uと、前記整数j、…、jとに対して与えられる前記相対変位の差ΔFの候補値ΔA=Δx+u・j、…、ΔA=Δx+u・jの内、所定の精度で一致する複数m(≦q)の前記候補値の確定値ΔB、…、ΔBを得る。
【0108】
すなわち、上記確定値ΔB、…、ΔBは、上記候補値の内、所定の精度で一致する一部もしくは全部として得られる。
したがって、本発明では、航行衛星から無線信号がそれぞれ到来する2つのサイトの相対変位の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、航行衛星に対する相対変位が個別に求められることなく、上記2つのサイトの相対変位の差が求められる。
【0109】
[請求項18] 請求項17に記載の相対変位計測装置において、
前記確定値ΔB、…、ΔBの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対変位の差ΔFを推定する相対変位推定手段を備えた
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0110】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項17に記載の相対変位計測装置において、相対変位推定手段は、前記確定値ΔB、…、ΔBの内、一部もしくは全部に基づいて前記相対変位の差ΔFを推定する。
【0111】
すなわち、上記相対変位の差ΔFは、上記確定値を用いて推定される。
したがって、本発明では、航行衛星から無線信号がそれぞれ到来する2つのサイトの相対変位の値域が制限されている場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、かつ、航行衛星に対する相対変位が個別に求められることなく、上記2つのサイトの相対変位の差が求められる。
【0112】
[請求項19] 請求項1、7、8の何れか1項に記載の相対速度計測装置において、
前記相対速度y、…、yは、
前記1つの航行衛星に対する複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0113】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項1、7、8の何れか1項に記載の相対速度計測装置において、前記相対速度y、…、yは、前記1つの航行衛星に対する複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる。
【0114】
すなわち、上記相対速度y、…、yは、上記複数pの相対変位から算出され、かつ相対速度Eを得るために供される。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する航行衛星の相対速度が直接的には与えられずあるいは算出されない場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、その航行衛星に対する相対速度が求められる。
【0115】
[請求項20] 請求項2、9、10の何れか1項に記載の相対変位計測装置において、
前記相対変位x、…、xは、
前記1つの航行衛星に対する複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0116】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項2、9、10の何れか1項に記載の相対変位計測装置において、前記相対変位x、…、xは、前記1つの航行衛星に対する複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる。
【0117】
すなわち、上記相対変位x、…、xは、上記複数qの相対速度から算出され、かつ相対変位を得るために供される。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する航行衛星の相対変位が直接的には与えられずあるいは算出されない場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、その航行衛星に対する相対変位が求められる。
【0118】
[請求項21] 請求項3、11、12の何れか1項に記載の相対速度計測装置において、
前記相対速度y1、…、y1は、
前記第一の航行衛星に対する複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられ、
または、前記相対速度y2、…、y2は、
前記第二の航行衛星に対する複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0119】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項3、11、12の何れか1項に記載の相対速度計測装置において、前記相対速度y1、…、y1は、前記第一の航行衛星に対する複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられ、または、前記相対速度y2、…、y2は、前記第二の航行衛星に対する複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる。
【0120】
すなわち、上記相対速度y1、…、y1または相対速度y2、…、y2は、上記複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる。
したがって、本発明では、第一の航行衛星または第二の航行衛星の相対速度が直接的には与えられずあるいは算出されない場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、これらの航行衛星の相対速度の差が求められる。
【0121】
[請求項22] 請求項4、13、14の何れか1項に記載の相対変位計測装置において、
前記相対変位x1、…、x1は、
前記第一の航行衛星に対する複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられ、
または、前記相対変位x2、…、x2は、
前記第二の航行衛星に対する複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0122】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項4、13、14の何れか1項に記載の相対変位計測装置において、前記相対変位x1、…、x1は、前記第一の航行衛星に対する複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられ、または、前記相対変位x2、…、x2は、前記第二の航行衛星に対する複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる。
【0123】
すなわち、上記相対変位x1、…、x1または相対変位x2、…、x2は、上記複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる。
したがって、本発明では、第一の航行衛星または第二の航行衛星の相対変位が直接的には与えられずあるいは算出されない場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、これらの航行衛星の相対変位の差が求められる。
【0124】
[請求項23] 請求項5、15、16の何れか1項に記載の相対速度計測装置において、
前記相対速度yI、…、yIは、
前記1つの航行衛星に対する第一のサイトの複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられ、
または、前記相対速度yII、…、yIIは、
前記1つの航行衛星に対する第二のサイトの複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0125】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項5、15、16の何れか1項に記載の相対速度計測装置において、前記相対速度yI、…、yIは、前記1つの航行衛星に対する第一のサイトの複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられ、または、前記相対速度yII、…、yIIは、前記1つの航行衛星に対する第二のサイトの複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる。
【0126】
すなわち、上記相対速度yI、…、yIまたは相対速度yII、…、yIIは、上記複数pの相対変位のそれぞれの変化率として与えられる。
したがって、本発明では、第一のサイトまたは第二のサイトの相対速度が直接的には与えられずあるいは算出されない場合であっても、受信点の概略速度もしくはその推定値が参照されることなく、これらのサイトの相対速度の差が求められる。
【0127】
[請求項24] 請求項6、17、18の何れか1項に記載の相対変位計測装置において、
前記相対変位xI、…、xIは、
前記1つの航行衛星に対する第一のサイトの複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられ、
または、前記相対変位xII、…、xIIは、
前記1つの航行衛星に対する第二のサイトの複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0128】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項6、17、18の何れか1項に記載の相対変位計測装置において、前記相対変位xI、…、xIは、前記1つの航行衛星に対する第一のサイトの複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられ、または、前記相対変位xII、…、xIIは、前記1つの航行衛星に対する第二のサイトの複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる。
【0129】
すなわち、上記相対変位xI、…、xIまたは相対変位xII、…、xIIは、上記複数qの相対速度のそれぞれの積分値として与えられる。
したがって、本発明では、第一のサイトまたは第二のサイトの相対変位が直接的には与えられずあるいは算出されない場合であっても、受信点の概略変位もしくはその推定値が参照されることなく、これらのサイトの相対変位の差が求められる。
【0130】
[請求項25] 請求項1、7、8、19の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する複数sの航行衛星の相対速度E、…、Eを個別に求める複数の相対速度計測装置と、
前記相対速度E、…、Eと、前記衛星航法系における前記複数sの航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対速度計測装置の速度を求める速度算出手段と、
を備えたことを特徴とする速度計測装置。
【0131】
このような構成の速度計測装置では、複数の相対速度計測装置は、請求項1、7、8、19の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する複数sの航行衛星の相対速度E、…、Eを個別に求める。速度算出手段は、前記相対速度E、…、Eと、前記衛星航法系における前記複数sの航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対速度計測装置の速度を求める。
【0132】
すなわち、上記複数の相対速度計測装置の速度は、衛星航法に基づき、上記相対速度E、…、Eと、上記複数sの航行衛星の位置とを用いて求められる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、「複数の相対速度計測装置」の速度が求められる。
【0133】
[請求項26] 請求項2、9、10、20の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する複数zの航行衛星の相対変位F、…、Fを個別に求める複数の相対変位計測装置と、
前記相対変位F、…、Fと、前記衛星航法系における前記複数zの航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対変位計測装置の変位を求める変位算出手段と、
を備えたことを特徴とする変位計測装置。
【0134】
このような構成の変位計測装置では、複数の相対変位計測装置は、請求項2、9、10、20の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する複数zの航行衛星の相対変位F、…、Fを個別に求める。変位算出手段は、前記相対変位F、…、Fと、前記衛星航法系における前記複数zの航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対変位計測装置の変位を求める。
【0135】
すなわち、上記複数の相対変位計測装置の変位は、衛星航法に基づき、上記相対変位F、…、Fと、上記複数zの航行衛星の位置とを用いて求められる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることことなく、「複数の相対変位計測装置」の変位が求められる。
【0136】
[請求項27] 請求項3、11、12、21の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する航行衛星の異なる複数sの対毎に、航行衛星間の相対速度の差ΔE、…、ΔEを個別に求める複数の相対速度計測装置と、
前記差ΔE、…、ΔEと、前記衛星航法系において前記複数sの対を構成する航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対速度計測装置の速度を求める速度算出手段と、
を備えたことを特徴とする速度計測装置。
【0137】
このような構成の速度計測装置では、複数の相対速度計測装置は、請求項3、11、12、21の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する航行衛星の異なる複数sの対毎に、航行衛星間の相対速度の差ΔE、…、ΔEを個別に求める。速度算出手段は、前記差ΔE、…、ΔEと、前記衛星航法系において前記複数sの対を構成する航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対速度計測装置の速度を求める。
【0138】
すなわち、上記複数の相対速度計測装置の速度は、衛星航法に基づき、上記相対速度の差ΔE、…、ΔEと、上記複数sの対を構成する航行衛星の位置とを用いて求められる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対速度および相対変位が個別に求められることなく、「複数の相対速度計測装置」の速度が求められる。
【0139】
[請求項28] 請求項4、13、14、22の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する航行衛星の異なる複数zの対毎に、航行衛星間の相対変位の差ΔF、…、ΔFを個別に求める複数の相対変位計測装置と、
前記差ΔF、…、ΔFと、前記衛星航法系において前記複数zの対を構成する航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対変位計測装置の変位を求める変位算出手段と、
を備えたことを特徴とする変位計測装置。
【0140】
このような構成の変位計測装置では、複数の相対変位計測装置は、請求項4、13、14、22の何れか1項に記載され、かつ衛星航法系を構成する航行衛星の異なる複数zの対毎に、航行衛星間の相対変位の差ΔF、…、ΔFを個別に求める。変位算出手段は、前記差ΔF、…、ΔFと、前記衛星航法系において前記複数zの対を構成する航行衛星の位置とに基づいて前記複数の相対変位計測装置の変位を求める。
【0141】
すなわち、上記複数の相対変位計測装置の変位は、衛星航法に基づき、上記相対変位の差ΔF、…、ΔFと、上記複数zの対を構成する航行衛星の位置とを用いて求められる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、かつ、各航行衛星に対する相対速度および相対変位が個別に求められることなく、「複数の相対変位計測装置」の変位が求められる。
【0142】
[請求項29] 請求項5、15、16、23の何れか1項に記載され、かつ異なる複数sのサイトの対毎に、それぞれ異なる複数sの航行衛星を基準としてサイト間の相対速度の差ΔE、…、ΔEを個別に求める複数の相対速度計測装置と、
前記差ΔE、…、ΔEと、前記衛星航法系における前記複数sの航行衛星の位置とに基づいて前記サイト間の相対速度を求める相対速度算出手段と、
を備えたことを特徴とする相対速度計測装置。
【0143】
このような構成の相対速度計測装置では、複数の相対速度計測装置は、請求項5、15、16、23の何れか1項に記載され、かつ異なる複数sのサイトの対毎に、それぞれ異なる複数sの航行衛星を基準としてサイト間の相対速度の差ΔE、…、ΔEを個別に求める。相対速度算出手段は、前記差ΔE、…、ΔEと、前記衛星航法系における前記複数sの航行衛星の位置とに基づいて前記サイト間の相対速度を求める。
【0144】
すなわち、上記サイト間の相対速度は、衛星航法に基づき、上記相対速度の差ΔE、…、ΔEと、上記複数sの航行衛星の位置とを用いて求められる。
したがって、本発明では、上記複数sのサイトの対毎に含まれるサイトの相対速度の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」を用いることなく、かつ、航行衛星と各サイトとの相対速度および相対変位が個別に求められることなく、かつ、各サイトの速度が個別に求められることなく、上記毎のサイト間における相対速度が求められる。
【0145】
[請求項30] 請求項6、17、18、24の何れか1項に記載され、かつ異なる複数zのサイトの対毎に、それぞれ異なる複数zの航行衛星を基準としてサイト間の相対変位の差ΔF、…、ΔFを個別に求める複数の相対変位計測装置と、
前記差ΔF、…、ΔFと、前記衛星航法系における前記複数zの航行衛星の位置とに基づいて前記サイト間の相対変位を求める相対変位算出手段と、
を備えたことを特徴とする相対変位計測装置。
【0146】
このような構成の相対変位計測装置では、複数の相対変位計測装置は、請求項6、17、18、24の何れか1項に記載され、かつ異なる複数zのサイトの対毎に、それぞれ異なる複数zの航行衛星を基準としてサイト間の相対変位の差ΔF、…、ΔFを個別に求める。相対変位算出手段は、前記差ΔF、…、ΔFと、前記衛星航法系における前記複数zの航行衛星の位置とに基づいて前記サイト間の相対変位を求める。
【0147】
すなわち、上記サイト間の相対変位は、衛星航法に基づき、上記相対変位の差ΔF、…、ΔFと、上記複数zの航行衛星の位置とを用いて求められる。
したがって、本発明では、上記複数zのサイトの対毎に含まれるサイトの相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」を用いることなく、かつ、航行衛星と各サイトとの相対速度および相対変位が個別に求められることなく、かつ、各サイトの変位が個別に求められることなく、上記毎のサイト間における相対変位が求められる。
【0148】
[請求項31] 請求項26、28の何れか1項に記載の変位計測装置によって求められる複数の相対変位計測装置の前記変位の変化率として、前記複数の相対変位計測装置の速度を得る
ことを特徴とする速度計測装置。
【0149】
このような構成の速度計測装置では、請求項26、28の何れか1項に記載の変位計測装置によって求められる複数の相対変位計測装置の前記変位の変化率として、前記複数の相対変位計測装置の速度を得る。
【0150】
すなわち、上記複数の相対変位計測装置の速度は、上記変位計測装置によって求められる上記変位の変化率として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、さらに、各航行衛星に対する相対速度および相対変位が個別に求められない場合であっても、「複数の相対変位計測装置」の速度が求められる。
【0151】
[請求項32] 請求項25、27の何れか1項に記載の速度計測装置によって求められる複数の相対速度計測装置の前記速度の積分値として、前記複数の相対速度計測装置の変位を得る
ことを特徴とする変位計測装置。
【0152】
このような構成の変位計測装置では、請求項25、27の何れか1項に記載の速度計測装置によって求められる複数の相対速度計測装置の前記速度の積分値として、前記複数の相対速度計測装置の変位を得る。
【0153】
すなわち、上記複数の相対速度計測装置の変位は、上記速度計測装置によって求められる上記速度の積分値として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、さらに、各航行衛星に対する相対速度および相対変位が個別に求められない場合であっても、「複数の相対速度計測装置」の変位が求められる。
【0154】
[請求項33] 請求項30に記載の相対変位計測装置によって求められるサイト間の相対変位の変化率として、前記サイト間の相対速度を得る
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【0155】
このような構成の相対速度計測装置では、請求項30に記載の相対変位計測装置によって求められるサイト間の相対変位の変化率として、前記サイト間の相対速度を得る。
【0156】
すなわち、上記サイト間の相対速度は、上記相対変位計測装置によって求められる上記相対変位の変化率として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、さらに、各サイトの各航行衛星に対する相対速度および相対変位が個別に求められない場合であっても、上記サイト間の相対速度が求められる。
【0157】
[請求項34] 請求項29に記載の相対速度計測装置によって求められる前記サイト間の相対速度の積分値として、前記サイト間の相対変位を得る
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【0158】
このような構成の相対変位計測装置では、請求項29に記載の相対速度計測装置によって求められる前記サイト間の相対速度の積分値として、前記サイト間の相対変位を得る。
【0159】
すなわち、上記サイト間の相対変位は、上記相対速度計測装置によって求められる上記相対速度の積分値として得られる。
したがって、本発明では、衛星航法系を構成する複数の航行衛星の相対速度または相対変位の値域が制限されている場合であっても、「受信点の概略速度もしくはその推定値」および「受信点の概略変位もしくはその推定値」が参照されることなく、さらに、各サイトの各航行衛星に対する相対速度および相対変位が個別に求められない場合であっても、上記サイト間の相対変位が求められる。
【符号の説明】
【0160】
1a,1b,1c,1d 前処理部
3 相対速度計測ユニット
3a,3b,3c,3d 相対速度計測部
6 速度算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星航法系を構成する1つの航行衛星について求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y、…、yと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対して、E=y+w・h=…=y+w・hが所定の精度で成立する相対速度Eを得る
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【請求項2】
衛星航法系を構成する1つの航行衛星について求められ、かつ値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位x、…、xと、前記値域g、…、gの幅u、…、uと、前記幅u、…、uに対応する整数j、…、jとに対して、F=x+u・j=…=x+u・jが所定の精度で成立する相対変位Fを得る
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【請求項3】
衛星航法系を構成する第一の航行衛星について求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y1、…、y1と、前記衛星航法系を構成する第二の航行衛星について求められ、かつ前記値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度y2、…、y2との前記値域r、…、r毎に対応した差である複数pの速度差Δy、…、Δyと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対して、ΔE=Δy+w・h=…=Δy+w・hが所定の精度で成立する値ΔEとして前記第一および第二の航行衛星の相対速度の差を得る
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【請求項4】
衛星航法系を構成する第一の航行衛星について求められ、かつ値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位x1、…、x1と、前記衛星航法系を構成する第二の航行衛星について求められ、かつ前記値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位x2、…、x2との前記値域g、…、g毎に対応した差である複数qの変位差Δx、…、Δxと、前記値域g、…、gの幅u、…、uと、前記幅u、…、uに対応する整数j、…、jとに対して、ΔF=Δx+u・j=…=Δx+u・jが所定の精度で成立する値ΔFとして前記第一および第二の航行衛星の相対変位の差を得る
ことを特徴とする相対変位計測装置。
【請求項5】
衛星航法系を構成する1つの航行衛星から無線信号が到来する第一のサイトについて求められ、かつ値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度yI、…、yIと、前記無線信号が到来する第二のサイトについて求められ、かつ前記値域r、…、rを個別に有する複数pの相対速度yII、…、yIIとの前記値域r、…、r毎に対応した差である複数pの速度差Δy、…、Δyと、前記値域r、…、rの幅w、…、wと、前記幅w、…、wに対応する整数h、…、hとに対して、ΔE=Δy+w・h=…=Δy+w・hが所定の精度で成立する値ΔEとして前記第一および第二のサイトの相対速度の差を得る
ことを特徴とする相対速度計測装置。
【請求項6】
衛星航法系を構成する1つの航行衛星から無線信号が到来する第一のサイトについて求められ、かつ値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位xI、…、xIと、前記無線信号が到来する第二のサイトについて求められ、かつ前記値域g、…、gを個別に有する複数qの相対変位xII、…、xIIとの前記値域g、…、g毎に対応した差である複数qの変位差Δx、…、Δxと、前記値域g、…、gの幅u、…、uと、前記幅u、…、uに対応する整数j、…、jとに対して、ΔF=Δx+u・j=…=Δx+u・jが所定の精度で成立する値ΔFとして前記第一および第二のサイトの相対変位の差を得る
ことを特徴とする相対変位計測装置。

【図1】
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【図2】
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