説明

相界面を検出する方法および装置、並びにこれらを備えた実験用機器

本発明は、液体タンク(5.1〜5.8)内の相界面を検出する機器(100)に関する。この機器(100)は、液体タンク(5.1〜5.8)内の相界面の方向へ前進できるセンサ(3.1〜3.8)を備える。静電容量(dc/dt)の変化を検出するために、センサ(3.1〜3.8)の出力信号(s(t))を処理する回路(13)が設けられている。回路(13)は、短いパルス幅の第1信号(s1(t))、s1d)を出力信号(s(t))からろ過除去するための第1フィルタモジュールを設けた第1チャネルと、より大きなパルス幅の第2信号(s2(t)、s2d)を出力信号(s(t))からろ過除去するための第2フィルタモジュールを有する第2チャネル(40)とを備えている。コンパレータモジュール(11)を有するコントローラモジュール(8)をさらに使用しており、このコントローラモジュールは第1信号(s1(t)、s1d)が第1閾値に達しているかどうかを決定する。第2信号(s2(t)、s2d)が所定の第2信号基準を満たしているかどうかを決定する処理モジュール(12)をさらに設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相界面を検出する方法と装置と、それぞれを備えた実験用機器とに関する。特に、液体容器内の液位を検出するように配置した実験用機器に関する。
【0002】
2009年12月30日に出願されたスイス特許出願第CH02011/09号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
多くの実験室システムや医薬用機器では、試験管、タイタープレートなどにおける充填レベルを決定することが重要である。また、液液相界面の検出に関連した出願もある。以降の説明において、用語「相界面」は、気体媒体と液体媒体の間の転移(気液相界面)と、異なる液体媒体で間の転移(液液相界面)との両方に使用されている。
【0004】
このような相界面の決定は、特に、測定または試験手順の自動化を考慮した場合に特に意味がある。通常、充填レベルの決定は、液位、すなわち空気と液体の間の相界面の位置を決定する手段によって行われる。この工程は「液位検出」(LLD)としても知られている。
【0005】
液位検出は例えばピペット装置に用いられる。このケースでは、ピペットでアスピレートする場合、試料液の汚染を可能な限り低く抑えるために、ピペット対象の液体に入れるピペット針を可能な限り少なくする必要がある。そのため、ピペット針が十分に浸漬し、かつ空気が引き込まれないようにするには、通常、アスピレーション中にピペット針を液位の下2mmだけ浸漬させる。アスピレーション工程の最中、ピペット針は減少する液位を追随し続けるので、常に液位に対して同一の浸漬深度を保つことができる。アスピレートが終了すると、吸引量と、気液相界面が位置しているはずである液体容器の断面範囲とに基づいて、高さが計算される。ピペットの先端部が液体から出てきた場合には、出現信号を、算出した気液相界面の位置と比較することで、ピペット工程を確認する。気体と液体とでは誘電率が相当に異なるので、気液相界面は静電容量の変化によって決定できる。
【0006】
液液相界面の検出は、例えば液液抽出において重要な役割を果たす。液液抽出では、互いに混和し合わない2つの溶液中に混入させた、溶解度の異なる複数の物質を利用する。1つの親水相(ほぼ水)と、1つの疎水性有機溶液とのそれぞれを溶液として使用する。抽出後に、所望の物質を含んでいる相をピペット操作によって除去する。多くの場合、誤って別の相をピペット除去してしまわないように、水性相と有機相との間の正確な相界面を知ることが重要である。互いに非混和性の液体は明らかに異なる誘電率を有するため、液液相界面は静電容量の変化によって決定できる。これは、例えば中間相を例えばピペット操作によって除去するために使用できる。
【0007】
近年、実験用器具は精度がより向上し、より複雑化した。高度な集積性と、自動化と、並列性とに向かっている傾向がある。これは、各構成部品の高密度な縮小につながる。この高密度化は、機械的およびその他の構造的問題だけでなく、電子評価機能の位置に関連した問題にもつながるため、近接した測定チャネルどうしの相互効果や、その他の局面によって、問題が生じる可能性がある。
【0008】
通常、相界面の検出は、図1に概略的に示すように静電容量式で実行される。図1は、周知の実験用器具100の配列を示し、このケースではこれは液位を検出するように構成されている。このケースでは、静電容量Ctip/liqの変化を観察することで、液体1の存在や、空気と液体1との間の相界面を検出する。充放電電子回路2は、例えばピペット先端部3の形状をしたセンサと、設置したベースプレート4との間の有効静電容量を測定するべく、充電と放電を行えるようにする。信号処理は、例えばコントローラ8に支持された信号処理回路7によって行われる。
【0009】
実験用器具100の動作モードは、静電容量測定方法によって異なる。信号処理回路7とコントローラ8とを用いて信号位相変位を測定するために、充放電回路2で例えば正弦信号による励起が生じる可能性がある。この信号位相変位は、静電容量の大きさを表す。別の充放電回路2を用いて、抵抗器経由で静電容量を充電し、次に、FETトランジスタ(フィールド効果トランジスタ)のようなトランジスタ経由で静電容量を直接放電することもできる。
【0010】
別の静電容量測定方法は、コイルから成る発振回路と静電容量測定部とによって構成され、この方法では、静電容量の増加と共に減少する発振回路の共振周波数を評価する。
【0011】
有効静電容量は、実験用器具100に応じ、漂遊静電容量、センサまたはピペット先端部3による電気結合、液体1の導電性、近接し合う測定チャネル(図1の「次の先端部」)間の漏話、から生じ、また、有効静電容量は非常に低い。通常は、数ピコファラッド(pF)の範囲である。気体から液体内へ浸漬する最中に得られる静電容量の変化Ctip/liqの大きさも、約1/100〜1/1000である。
【0012】
これまで、相界面の検出には、測定した出力信号s(t)の短い跳ね返りを評価する信号処理回路7が使用されていた。この短い跳ね返りは、例えばセンサ3が相界面を貫通する時に得られる(このケースでは、液体1内への浸漬の最中)。
【0013】
このケースでは、給電線を動かすことで、近接したチャネルの漏話から生じた漂遊静電容量(例えばCtip/tip)と、静電容量の変化とが重なり合ってしまうため、測定された出力信号s(t)内で、測定対象である静電容量Ctip/liqの変化をほとんど認識できないことが問題である。
【0014】
実験用器具の増加する自動化に伴い、それぞれ手順を、人間による手作業の必要性を最小限に抑えた形で設けることが望ましい。自動ピペット操作システムまたは器具では、現在の自動ピペット操作システムまたは器具で自動的に解決できない多くの事態が起こり得ることを考慮する必要がある。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の目的は、毎回正確な相界面の検出が可能な、相界面の検出装置および方法を提供することである。本発明はさらに、これに対応した実験用器具の提供に関する。
【0016】
この方法および装置または実験用器具は、危険な状況または特別なケースを自動的に認識するように設けられているので、手作業または機械的な介入を全く必要としないことが望ましい。
【0017】
これらの目的は、請求項1の方法と、請求項10の装置と、請求項18の実験用器具とによって、本発明に従って達成される。
【0018】
本発明の方法は、請求項1の特徴的な要点により特徴付けられる。本発明の装置は、請求項11の特徴的な要点により特徴付けられ、本発明の実験用器具は請求項19の特徴的な要点により特徴付けられる。
【0019】
本発明の特に好ましい実施形態では、センサが検出対象の相界面の方向へ向かって前進している間に、充放電が交互に実行される。相界面(例えば液位)到達時に静電容量の変化を取得し、次に、出力信号を処理することでこの変化を評価する。本明細書中で評価または信号評価とも呼ばれるこの処理の範囲内には、第1フィルタと第2フィルタを用いた出力信号の分離が含まれる。第1フィルタは短いパルス幅の第1信号を供給し、第2フィルタはより広いパルス幅の第2信号を供給する。これらの2つの信号に基づいて、第1信号が少なくとも1つの所定の第1信号基準(例えば、閾値、および/またはパルス幅、および/または上昇勾配)を満たしているかどうかが決定される。一方、第2信号が少なくとも1つの所定の第2信号基準(例えば、閾値、および/またはパルス幅、および/または上昇勾配、および/またはいくつかの測定ポイントにかけての単調な上昇勾配)を満たしているかどうかが決定される。第1、第2信号基準が満たされている場合には、液位検出の全ての表示を示す識別子が(例えば、信号または特別なコードの形式にて)出力される。
【0020】
多数の妨害や影響量、例えば現在の浸漬位置の深度は、比較考察の下ではほとんど、または全く影響しないため、本発明は、相対静電容量の測定または評価を実行するように配列される。相対静電容量の測定または評価によって遥かに確固で繰り返し可能な結果が得られる。相界面通過時に、信号の大きさは装置の実静電容量値の数分の一になるので、相界面の検出に絶対静電容量値を決定することが非常に困難である。さらに、絶対ステートメントは、その環境全体が信号処理の観点から「浮いている」ので、さらに困難となる。
【0021】
本発明によれば、低速信号と高速信号とが電子的に評価される。高速信号は「歩行」信号として使用できる。高速信号が第1基準を満たすと(例えば、第1閾値を超えると)、有効な検出がなされたと推定され、その後、さらなる方法ステップが実行される。次に、低速信号の評価/処理に基づいて、より精密な評価が実行される。したがって、静電妨害のケースではより高速な第1信号が発生するが、「実」検出を示す低速第2信号は発生しないので、静電妨害を例えば「ろ過除去」することが可能になる。
【0022】
本発明の利点は、低速信号が、あるいは絶対測定信号からしか取得できなかった多数のステートメントを許可することである。
【0023】
本発明は、幅広い状況下で、また幅広い前提条件下で、信頼性の高い検出結果を提供する万能な装置と実験用器具とを提供する。
【0024】
以降では、本発明による装置と、本発明による実験用器具と、本発明の方法とについて、本発明の範囲を制限することのない概略図に示す例証的な実施形態を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】最新技術による実験用器具の概略側面図を示す。
【図2】本発明による回路を実装した本発明による装置の概略側面図を示す。
【図3】概略的な振幅‐時間のグラフを示し、このグラフでは、第1実施形態による基準の適用の説明を可能にする目的で、本発明による2つの信号を簡素な形式で示している。
【図4】本発明による装置の動作原理を表す概略的なフローチャートを示す。
【図5】本発明による装置の信号評価の動作原理を表す概略的なフローチャートを示す。
【図6】本発明によるさらなる回路を実装した、本発明によるさらなる装置の概略側面図を示す。
【図7】概略的な振幅‐時間のグラフを示し、このグラフでは、さらなる実施形態による基準の適用を説明するために、本発明による2つの信号を簡素な形式で示している。
【図8】本発明による例証的な方法の動作原理の概略的なフローチャートを示す。
【図9】2つのアナログ信号s1(t)およびs2(t)をデジタル信号s1dおよびs2dにそれぞれ変換する様子を示した概略ブロック図を示す。
【図10】本発明による信号処理回路の実施形態の概略ブロック図を示す。
【図11】概略的な振幅‐時間のグラフを示し、このグラフでは、さらなる実施形態による基準の適用を説明するために、本発明による2つの信号を示している。
【図12】概略的な振幅‐時間のグラフを示し、このグラフでは、さらなる実施形態による基準の適用を説明するために、本発明による2つの信号を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以降では、本発明の有利な実施形態を、これに関連した例と共に説明する。これらの実施形態は、本発明の全体の種々の構成と、本発明の組立と個々の部分との両方を備える。記述する様々な実施形態の組立と個々の部分は、主に互いに組み合わせたり、各実施形態の組立と個々の部分とを別の実施形態の組立と個々の部分とで差し替えることができる。こうして形成された組み合わせで、例えば、組立と個々の部分の協働または係合を目的とする微調整が必要であるが、このような微調整は当業者によく知られているのでここでは詳細な説明を省く。
【0027】
用語「相界面」は、誘電率の異なる2つ以上の媒体間の界面に用いられる。特に、液液相界面と気液相界面に関する。
【0028】
用語「モジュール」は、ここではハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせにて実現される機能グループを説明するために用いられる。
【0029】
用語「識別子」は、ここでは、コード、コードワード、信号、メモリエントリ、または設定されたフラグに用いられる。
【0030】
本発明に関連した様々な実験用器具100を参照する。これらは、相界面を決定する手段を装備している機器、システム、設備、装置、処理センターなどに関連する。本発明による装置110は、このような実験用機器100の素子または構成部品である。実験用器具100は、例えばいくつかの同一の装置110、あるいはいくつかの異なる装置110を備えることができる。
【0031】
本発明の装置110は、特に、液体容器5内の液位(例えば、気液相界面)を検出するように配置されている。またこの装置110は、他の相界面の決定にも使用できる。検出を目的として、この装置は、液体容器5の液体1の方向へ前進できるセンサ3(例えば、ピペット先端部またはピペット針の形態)を備えている。相界面への到達時、または相界面の貫通時における静電容量の変化を検出するために、回路ブロック2、7を設けた回路13と、コントローラモジュール8とを、センサ3の出力信号s(t)の処理を行う目的で使用している。回路13は、出力信号s(t)から短いパルス幅の第1信号s1(t)をろ過除去するための第1フィルタを設けた少なくとも1つの第1チャネルを備える。さらに、回路13は、出力信号s(t)からパルス幅の広い第2信号s2(t)をろ過除去するための第2フィルタを設けた第2チャネルを備える。回路13は、コントローラモジュール8をさらに備えている。上記コントローラモジュール8は、第1信号s1(t)が第1閾値T1に達したか否かを決定できるよう構成されたコンパレータモジュールを備える。第1閾値T1は、装置110または実験用器具100によって予め決定される。第1閾値T1に加え、パルス幅P1を決定および/または評価することも可能である。さらに、コントローラモジュール8は処理モジュールを備えている。この処理モジュールは、第2信号s2(t)が少なくとも1つの所定の第2信号基準(例えば、最小の上昇勾配ST)を満たしているかどうかを決定できるように配置されている。
【0032】
図3は、本発明による2つの信号s1(t)およびs2(t)を簡素な様式で示した、振幅‐時間の概略的なグラフを示す。様々な実施形態の主要な動作モードは、この典型的な例を参照して説明される。2つのフィルタを用いて信号s(t)を第1信号s1(t)と第2信号s2(t)に分割することで、遥かに精密な命令文を作成できるようになる。それでも、第1信号s1(t)に基づいて直接応答することもまた可能である。このような直接応答は、必要以上の浸漬を防止するべく、浸漬信号のように見える信号s(t)が検出されたら前進動作Bを停止させるために必要となることがある。その理由は既に上で説明した。浸漬深度は2mmに固定することが好適である。
【0033】
図3は、比較的小さい振幅Aの第1閾値T1を示す。本発明の最も単純な実施形態では、第1信号s1(t)がこの第1閾値T1に達したかどうかのみが決定される。達している場合には、検出のための第1基準は満たされたとみなされる。
【0034】
図3では、振幅Aの第1閾値T1よりも上位に第2閾値T2が設定される。これにより、第2信号s2(t)が少なくとも1つの所定の第2信号基準を満たしているかどうかが決定される。本発明の最も単純な実施形態では、ここで、第2信号s2(t)が第2閾値T2に達したかどうかが決定される。達している場合には、第2検出基準が満たされたとみなされる。
【0035】
第1信号基準と第2信号基準が説明のとおりに満たされた場合には、例えば、識別子の出力(図5の工程208)を行うことができる(例えば信号またはコードの形式)。上記識別子は、装置110が液位検出を実行したことを示す。
【0036】
本発明の様々な実施形態では、2つの閾値T1およびT2の絶対値は、回路が行うさらなる処理の選択に応じて異なる点に留意すべきである。T1はT2より小さくても、これと等しくても、または大きくてもよい。例示をより明確にするために、図中ではT2は常にT1よりも大きく選択される。
【0037】
オプションで、第1信号s1(t)の評価/処理は、第1閾値T1のレベルでのパルス幅P1にさらに関連していてよい。このケースでは、第1信号基準は、第1閾値T1とパルス幅P1を備える。1または複数の基準を追加することで誤検出の危険が減少する。このような誤検出は、例えば静電気放電によって生じる。図3では、パルス幅P1は、第1閾値T1のレベルの信号s1(t)の電流パルス幅に関連している。このケースでは、パルス幅P1全体が検出されるまで長い時間待つ必要があり得るため、好ましい実施形態では、パルス幅P1をより短い時間ウィンドウとして設定している。これに関連して、図11は、このようなより短い時間ウィンドウがP1として明記されたことを示す。この時間ウィンドウはポイントX2において終了する。
【0038】
第1信号s1(t)を評価する場合、また、1つまたは複数の第1基準のそれぞれを定義する場合、この評価を可能な限り迅速に実行できるようにすることで、速答を可能にしている点に留意する。
【0039】
オプションで、1または複数の以下の追加の第2信号基準は、第2閾値T2のレベルの第2信号s2(t)の評価/処理に関連していてよい:
‐ 閾値T2内の、または信号s2(t)の別のポイントにおける、第2信号s2(t)の上昇勾配ST、および/または
‐ 閾値T2内の、または信号s2(t)の別のポイントにおける、第2信号s2(t)のパルス幅P2、および/または、
‐ いくつかの測定点にわたる、または1つの時間ウィンドウにわたる、信号s2(t)の単調な上昇勾配。
【0040】
あるいは、第2信号s2(t)の上昇勾配ST、またはパルス幅P2を考慮し、曲線の別の時点(例えば、閾値T1のレベルにおいて)評価することができる。
【0041】
既述の第1信号基準と第2信号基準を、随意に、要求されたとおりに互いに組み合わせることができる。
【0042】
検出の決定は、1またはいくつかの追加の信号基準を考慮することによって向上する。
【0043】
本発明の装置110動作原理について、概略的なフローチャートを示す図4を参照しながら説明する。さらに、本発明による装置110の信号評価の動作原理の詳細について、図5を参照しながら説明する。
【0044】
装置110は、時間tまたは小さい時間単位dtにわたる相対静電容量dcに変化があるかどうかを認識できるようにするために、回路2の出力信号s(t)を評価する。上記工程201は、図4中で問合せdc/dtにより示されている。出力信号s(t)の評価は、図4中に工程202によって示されている。この評価は、図4中の工程200に示すセンサ3の前進中に実行される。前進動作Bは、相対静電容量dcに変化が生じない限り継続する。しかし、最大限の所定浸漬深度Z−Maxに達した時には、前進動作Bは装置110または実験用器具100によって明らかに中断され得る。
【0045】
図5に、信号s(t)の評価方法202の詳細を示す。第1工程203にて、信号s(t)をろ過すると、前述の2つの信号s1(t)とs2(t)が得られる。その後、工程204と工程205で示すように、1または複数の第1信号基準が第1信号s1(t)に適用され、1または複数の第2信号基準が第2信号s2(t)に適用される。これは、本発明の全ての実施形態で同時に行われることが好ましい。1または複数の第1信号基準が満たされると、意思決定工程206がこれに対応した(成功)信号を発行する。意思決定工程207でも、これと同じ動作が適用される。この工程207は、1または複数の第2信号基準が満たされると、(成功)信号を発行する。このケースでは、工程208は識別子(例えば、信号またはコード)を発行することができる。1または複数の第1信号基準が満たされていない場合には、工程は開始へと戻る。1または複数の第2信号基準が満たされていない場合にも、工程は開始へ戻る。第1信号または第2信号基準のどちらも満たされていない場合にも、工程は開始へ戻る。実施形態によっては、このシーケンスを繰り返し実行することができる。
【0046】
本発明による、液体容器5内の相界面を検出する方法は、以下のように進行する。センサ3を液体容器5内で液体1に向かう方向に移動させるために、連続的または段階的な前進動作B(工程200)を実行する。この前進Bの最中、静電容量の変化dc/dtを検出するために、センサ3の出力信号s(t)の評価202が行われる。評価202の最中に、出力信号s(t)が、第1フィルタと第2フィルタを用いて分割される(工程203)。信号のろ過は、共通のフィルタモジュールにおいても実現することができる。これにより、短いパルス幅の第1信号s1(t)と、広いパルス幅の第2信号s2(t)とができる。
【0047】
次に、第1信号s1(t)が所定の1または複数の第1信号基準(例えば、閾値T1、または閾値T1とパルス幅P1)に対応するかどうかが決定される(工程204、工程206)。さらに、第2信号s2(t)が所定の1または複数の第2信号基準(例えば、閾値T2、または閾値T2とパルス幅P2、あるいは閾値T2と上昇勾配ST)に対応するかどうかが決定される(工程205、工程207)。1または複数の第1信号と1または複数の第2信号基準とが満たされると、相界面の検出を表すまたは示す識別子(例えば信号またはコード)が出力される(工程208)。
【0048】
図6は、本発明によるさらなる回路を備えた、本発明によるさらなる装置110の概略側面図を示す。上述した詳細はこの実施形態にも適用できる。そのため、以下では主に図2の装置110との相違点について説明する。このケースでは、実験用器具100はいくつかのチャネルを備える(ここでは8本のチャネル)。各チャネルは前進手段10.1〜10.8を備え、これらの手段はここでは簡素化された方法により歯車として示されている。前進手段10.1〜10.8は、矢印が示すように下方に向いたそれぞれの前進動作B1〜B8を生じる。センサ3.1〜3.8が、前進手段10.1〜10.8によって個別または一緒に前進させられる。センサ3.1〜3.8は、液体1.1〜1.8で全て充填された液体容器5.1〜5.8内に浸漬される。各々の相界面はグレイの範囲で示されている。例示した瞬間において、センサ3.8が液体容器5.8の液体1.8内に浸けられる。ここでは、これによって装置110の8番目のチャネルで得られた静電容量の相対的変化をフラッシュ記号によって示している。各チャネルのセンサ3.1〜3.8は、ライン14(好ましくはシールド線)を介して信号処理回路7と接続している。上記信号処理回路7は、各チャネルの信号s(t)を個別に処理する。各チャネルの各信号s(t)はろ過されて、第1信号s1(t)と第2信号s2(t)のそれぞれを得る。これは、測定周期ごとに、8個の第1信号s1(t)と8個の第2信号s2(t)が合計で得られることを意味する。センサ3.1〜3.8は適切な周波数で充放電される。
【0049】
図示するように、装置110はコントローラモジュール8を備えている。コントローラモジュール8はコンパレータモジュールを備え、この実施形態では、コンパレータモジュールは第1マイクロプロセッサ11によって実現されている。コンパレータモジュールは、各チャネルの第1信号s1(t)が第1閾値T1に達したかどうかを決定するように配置され、また、第1マイクロプロセッサはこれと同様にプログラムされている。この原理については既に上で述べた。このケースでは、コンパレータモジュールまたは第1マイクロプロセッサ11は、8本のチャネルの全ての第1信号s1(t)を、時差方式で連続的に処理する。
【0050】
コントローラモジュール8はさらに処理モジュールを備え、この実施形態では、処理モジュールは第2マイクロプロセッサ12によって実現されている。処理モジュールは、第2信号s2(t)が所定の第2信号基準を満たしているかどうかを決定するように配置され、また、第2マイクロプロセッサ12はこれと同様にプログラムされている。この原理については既に上で述べた。このケースでは、処理モジュールまたは第2マイクロプロセッサ12は、8本のチャネルの全ての第2信号s2(t)を、時差方式で連続的に処理する。両方の信号s1(t)およびs2(t)が8本のチャネルのうち1本の基準に合えば、センサ3がこのチャネル内の液体1との相界面に達したものとみなされる。このケースでは、センサ3.8は容器5.8内の液体1.8に浸ったばかりであるので、8番目のチャネルに対して識別子(例えば、信号またはコードの形式のもの)が出力される。この識別子は、例えばインターフェース(cLLD)15経由で出力することができる。実験用器具100は、例えばこの識別子に基づいて、意思決定、反応の開始などを行うことが可能である。
【0051】
様々な実施形態では、2つの別々のマイクロプロセッサ11、12の代わりに、共通の非常にパワフルなプロセッサを使用することも可能である。
【0052】
本発明の様々な実施形態において、適切なソフトウェアにより意思決定を行うことが好ましい。この目的のために、ソフトウェアは情報(例えば、前述したコントローラモジュール8からの識別子と、メモリからの信号値)を受信する。次に、予め決められている規則に基づいて意思決定が行われる。例えばセンサ3(例えば、針またはピペット先端部の形態)が汚染されたと本発明に従って特徴付けられたことによって、例えばソフトウェアがこれを洗浄する必要があるかどうかを決定できる(例えば図8における工程214または工程218を参照)。ソフトウェアは、チャネルをオフにするかどうか、または、例えば緊急の事態において操作者を呼ぶべきかどうかを決定することもできる。
【0053】
図6では、回路7は充放電電子回路2を備えられることを示している。充放電電子回路2を異なる場所に設けることも可能である。さらに、この回路2の配列は、最初に説明した静電容量測定方法のうち具体的にどれが適用されるかによって異なる。
【0054】
図7はさらに概略的な振幅/時間グラフであり、本発明による2つの信号s1(t)およびs2(t)を簡素化した形で示している。この例証的な図は、さらなる実施形態の動作の基本的原理を説明するために用いられる。このケースでも、共通のフィルタモジュールを用いて、または2つのフィルタモジュールを用いて、信号s(t)を第1信号s1(t)と第2信号s2(t)とに分割する。
【0055】
図7においても、第1閾値T1は比較的低い振幅Aに設定されている。本発明の最も単純な実施形態では、ここで、第1信号s1(t)が上記第1閾値T1に達しているかどうかが決定される。達している場合には、第1検出基準が満たされたとみなされる。
【0056】
図7では、第2閾値T2が振幅Aに設定され、この振幅は第1閾値T1よりも上位にある。ここで、決定される第2信号基準を第2信号s2(t)が満たすかどうかが決定される。本発明の最も単純な実施形態では、ここで、第2信号s2(t)が時間ウィンドウF2において上記第2閾値T2を超えるかどうかが決定される。時間ウィンドウF2は□t=c遅れた後に開始する。この図示の例では、第2信号s2(t)は、「x」の印が付いた交点Pxにて閾値T2を超えている。この交点Pxは時間ウィンドウF2内にあるので、第2検出基準は満たされたとみなされる。
【0057】
1または複数の第1信号基準と1または複数の第2信号基準とが説明どおりに満たされている場合には、識別子(例えば、信号またはコードの形式)が出力され(図5の工程208)、例えば下方移動を停止することができる。この識別子は、装置110が相界面の決定を実行したことを示す。
【0058】
本発明によるさらなる方法は図8に示すとおりに実行される。前進動作Bを実行する(工程200)。この工程では、各センサ3が、開始点(Z開始)で開始し、少なくとも最大の(浸漬した)位置(Zmax)で終了する動作を実行する。ここで動作プロフィールを提供することができるが、提供されない場合には、動作は一定速度で均等に継続する。センサ3の絶対Z位置を常に決定できるようにするための手段を用いることが好ましい。これにより、Z開始地点からZ最大までの範囲が常に確保される。
【0059】
工程210は、液位検出(LLD)がここから開始することを示す。ノードK1で、高速信号s1(t)が検出されたかどうかを決定する。検出されていれば、次に、この方法は工程211の方向へ分岐する。工程211にて、前進動作Bが現浸漬位置Z1(例えば、相界面の下2mmの浸漬位置)において即座に中止され、その後、工程205にて低速信号s2(t)が評価される。ノードK1で低速信号s2(t)が検出されると、方法は工程212の方向へ分岐する。上記の工程212はなめらかな停止(なめらかな制動)として示されている。このケースでは、急な停止動作は実行されない。ノードK2にて、これが低速信号s2(t)のみについての1回限りの検出に関連するのかどうかが決定または検証される。ノードK2はカウンタに関連することが好ましい。このケースでは、工程213が適用される。工程213は、センサ3が以前の位置へと少しだけ戻されると予め決める。次に、再び工程210が実行される。ここでもやはり低速信号s2(t)のみが検出された場合には、方法はK1から工程212へ再び分岐する。ノードK2にて、方法は工程214へ分岐する。工程214は、エラーE1を(例えば、エラーコードの形式で)出力する。オプションで、工程214の一部として、決定されたデータをメモリに格納し、および/または、それぞれの液体容器5内および/またはセンサ3内の試料液1をマークし、スキップできる(またはスイッチを切る)。工程212、213は、第2低速信号s2(t)のみが検出された状況に合わせて調節される特別な工程またはシーケンスの一部である。
【0060】
K1の方法の主経路に工程211と工程205とが続く時には、ノードK3で、1または複数の第1基準が第1の高速信号s1(t)によって満たされたどうか、さらに、1または複数の第2基準が低速の第2信号s2(t)によって満たされたかどうかの意思決定が行われる。満たされている場合には、ノードK3にて方法が「OK」の方向へ分岐する。ノードK4で、センサ3にフラグ立てされたかどうかが問合せされる。このようなセンサ3のフラグ立ては、先行の別の工程で行うこともできる。したがって、センサ3は、例えば汚染されているとしてフラグ立てされているかもしれない。その場合には、方法はノードK4から工程215の方向へ分岐する。工程215は、センサ3の(手動または自動による)チェックを提供することができる。センサ3にフラグ立てされていない場合には、この方法は検出の成功をもって終了するが(工程216)、オプションで、工程208へ進むこともできる(同じく図5を参照)。
【0061】
ノードK3で検出がOKでなかった場合には、方法はノードK3からノードK5の方向へ分岐する。ノードK5はカウンタとして設けることができる。図8によるこの方法がノードK3からノードK5の方向へ1〜2回連続して分岐した場合には、その後、工程217へ進む。工程213と同様に、またはその他の任意の様式で、定義されたセンサ3の引き上げを行い、その後、方法を工程210から再び繰り返すことができる。ノードK3にて方法が3回連続してノードK5の方向へ分岐した場合は、工程218でエラーE2を出力することができる。工程218はエラーE2を出力する(例えば、エラーコードの形式にて)。オプションで、工程218の一部として、決定されたデータをメモリに格納し、および/または、各液体容器5内および/またはセンサ3内の試料液1をマークし、スキップできる(または、スイッチを切る)。
【0062】
図8によるフローチャートは一例であることが理解されるだろう。例示したこの方法は、実験用器具100、測定方法、状況に応じて改良することが可能である。また、例えば、特別なケースを扱うためにブランチやルーチンを増やすこともできる。
【0063】
本発明による装置100は、図6に示したように2つのマイクロプロセッサ11および12を設けていることが好ましい。信号s(t)の信号処理の一部は、本発明の全ての実施形態で類似の様式で行われることが好ましい。最大で2つのフィルタモジュールを用いた、信号s1(t)とs2(t)とを提供する信号処理を、類似の様式で設けることが好ましい。信号はここで、図9に概略ブロック図で示すようにマイクロプロセッサ11、12の前に配置されている2つの別個のアナログ/デジタル変換器16、17によって、デジタルに変換される。上記のアナログ/デジタル変換器16、17は、第1のアナログの第1信号s1(t)から第1デジタル化信号s1dを、また、アナログの第2信号s2(t)から第2デジタル化信号を生成する。次に、上記信号s1dおよびs2dはコントローラモジュール8によって処理される。装置110または実験用器具100が数本のチャネルを備えている場合には、これに応じてアナログ/デジタル変換器16、17を配列する。
【0064】
図10は、本発明による信号処理回路7の実施形態の概略ブロック図を示す。上記回路7は、センサ3からタップされた信号s(t)を処理する。オプションで、測定方法と装置110の全体概念とに応じて、回路2をセンサ3と回路7の間に配列することができる。回路7は、出力信号s(t)の評価(工程202)のために準備しておくタスクを推定する。これには、第1フィルタモジュール30と第2フィルタモジュール40を用いて、出力信号s(t)を短いパルス幅の第1信号s1(t)と広いパルス幅の第2信号s2(t)とに分割すること(工程203)が含まれる。信号s(t)は、上記分割(工程203)以前に前処理を施されることが好ましい。このケースでは、例えば、信号s(t)を基準電圧Vrefに関連して配置するコンパレータ19を使用することが可能である。コンパレータ19の出力部にてPWM(パルス幅変調)信号が提供される。PWM信号は、センサ3における瞬間的な静電容量への依存度を示す。上記PWM信号はフィルタモジュール20によって処理される(例えば、3次ベッセルフィルタ)。次に、参照符号21で表す記号が示すように、オフセットへのシフトが生じる。最後に、主増幅器22が好ましい方法で用いられる。主増幅器22の出力部に信号(ここでは、増幅された信号s*(t)として示される)が提供される。上記の増幅された信号s*(t)は、次に、2つの並列フィルタモジュール30および40を介して、または共通のフィルタモジュールを介して案内される。両方のフィルタモジュール30および40とも、デカップラ31および41と、帯域幅フィルタ32および42、ブースタ増幅器33および43を備える(入力側から出力側に向かって示す)。第1デカップラ31は入力側にコンデンサCxを、第2デカップラ41は入力側にコンデンサCyを備えている。2つのデカップラ31および41は、交互の電圧分離(alternating voltage decoupling)を生じるように配列される。この目的のために、それぞれのデカップラは、図示するように、2つの抵抗器を設けた分圧器を備えている。第1帯域幅フィルタ32は、2つの周波数、すなわちf1=60Hzおよびf2=1.8kHzによって特徴付けられる。第1ブースタ増幅器33の増幅定数は10〜20であってよい。第2帯域幅フィルタ42は、2つの周波数、すなわちf1=2.5Hzおよびf2=18Hzによって特徴付けられる。第2ブースタ増幅器43の増幅定数は例えば11〜15であってよい。
【0065】
図9による回路は、例えば図10による回路に従っていてよい。
【0066】
本発明による方法のシーケンス制御の少なくとも一部はソフトウェアによって実行されることが好ましい。このソフトウェアは、ファームウェアの形式のものを予め決めておくことができる。シーケンス制御だけでなく、信号処理と評価もソフトウェアによって実現されることが好ましい。このケースでは、それぞれのモジュールは、ソフトウェアを実装したパワフルなプロセッサによって実施される。
【0067】
様々な実施形態において、シーケンス制御は、Z軸方向への前進動作Bをこれが相界面に達した時点で停止させる(図8「Z1にて停止」を参照)。これは、第1信号s1(t)またはs1dの検出が成功しており(工程211を参照)、次いで、シーケンス制御(工程211)が各センサ3の前進動作Bを即座に停止させることが好ましいことを意味する。センサ3は、絶対に必要な度合いを超えて浸漬してしまうことを防止するために、工程211によって即座に停止される。装置110は、第2信号s2(t)またはs2dも成功と決定されたかどうかが決定されるまで、この位置Z1で待つ。第2信号s2(t)またはs2dについて1または複数の第2基準が満たされると、全ての検出が成功したとみなされる(工程216)。
【0068】
識別子の生成(工程208を参照)を第2マイクロプロセッサ12によって実行したり、または上位プロセッサ(図示せず)を使用することができる。上記の上位プロセッサは、例えばその他のタスクも想定できる。
【0069】
装置110はバス9(例えば、コントローラ・エリア・ネットワーク・バス:CANバス)を備えているか、または、装置110をこのようなバス9に接続できることが好ましい。
【0070】
本発明による検出方法を適用する前、または、装置110を使用する前に、多数のパラメータを事前に決めておくことが好ましい(実施形態と各用途とに応じて、次のパラメータのうち1またはいくつかを定義できる):
‐ 感度を設定する(例えば、検出対象である液体に応じて)。
‐ 第1および/または第2基準を決定する。
‐ 特別な工程(例えば、図8中の工程209)または検出モードを使用するかどうかを事前に決定しておく。オプションで、1またはいくつかのノードに、検査を繰り返す頻度を事前に決定しておく。図8の説明では、ノードK2での繰り返しは1回だけであった。この回数は、例えば違った形でも選択できる。
‐ 応答を決定する(例えば、成功した検出に対する応答:工程216)。
【0071】
これらは単に例証でしかない。上述のリストは拡張が可能である。検出後の事後処理についての態様を決定することも可能である。
【0072】
図11は、さらなる振幅‐時間のグラフを示し、このグラフでは、本発明による2つの信号s1(t)およびs2(t)の特定の液体検出を示す。さらなる実施形態の態様はこの図を参照して説明される。
【0073】
図11では、比較的低い振幅Aの第1閾値T1を導入している。本発明の最も単純な実施形態では、第1信号s1(t)がこの第1閾値T1に達したかどうかのみが決定される。達した場合には、第1検出基準は満たされたとみなされる。オプションで、この実施形態と他の全ての実施形態とにおいて、パルス幅P1、および/または、その他のあらゆる適切な基準を、第1基準として評価および考慮することが可能である。好ましい実施形態では、図11に示すようにより短い時間ウィンドウとしてのパルス幅P1を導入している。したがって、図11は、このようなより短い時間ウィンドウがP1として決定されたことを示す。この時間ウィンドウはポイントX2において終了する。この時間ウィンドウでは、信号s1(t)が常に閾値T1よりも上にあるかどうかが検査される。そうである場合には、この基準も満たされている。
【0074】
さらに、信号s1(t)がこのような時間ウィンドウ内で最大となるかどうかを検査することもできる。図11では、この条件またはこの基準も満たされている。
【0075】
図11では、振幅Aに第2閾値T2が導入されており、第2閾値T2は、このケースでは第1閾値T1よりも上位にある(絶対値が関連している場合)。次に、第2信号s2(t)が所定の第2信号基準を満たしているかどうかが決定される。本発明の最も単純な実施形態では、ここで、第2信号s2(t)が上記の第2閾値T2に達したかどうかを決定する。達している場合は、第2検出基準が満たされたとみなされる。
【0076】
1または複数の第1信号基準と1または複数の第2信号基準が説明したとおりに満たされた場合には、識別子(例えば、信号またはコード形式)を出力することができる(図5または図8中の工程208)。上記の識別子は、装置110が界面の検出を実行したことを示す。
【0077】
本発明の方法のシーケンスは次のとおりであってよい。検出工程はポイントX1から開始する(工程210)。装置110または実験用器具100のメモリまたはレジスタの各々をゼロに設定する。新たな高速A/D値(デジタル信号s1dとしても知られる)をこの例では250μ秒毎に読み出し、また、第1基準をチェックする。少なくとも、信号s1(t)または関連するデジタル信号s1dが閾値T1に達したかどうかをチェックする。オプションで、さらに第1基準(例えば、パルス幅P1および/または上昇勾配STなど)をチェックする。この工程中に、高速デカップラメモリ(シフトレジスタ)にデジタル信号s1dが充填される。新たな低速A/D値(このケースでは、デジタル信号s2dとしても知られる)をこの例では5m秒毎に並列方式で読み出し、1または複数の第2基準をチェックする。少なくとも、信号s2(t)または関連するデジタル信号s2dが閾値T2に達したかどうかをチェックする。オプションで、さらに第2基準(例えば、パルス幅P2および/または上昇勾配ST)をチェックする。この工程中に、関連するさらなるデカップラメモリ(例えばシフトレジスタ)にデジタル信号s2dが充填される。
【0078】
ポイントX2で、高速信号s1(t)またはs1dのさらなる検出基準が満たされたことが決定する(工程206)。すると、前進動作を位置Z1で(当分の間)停止させるために、停止信号が送られる(工程211;「Z1にて停止」)。次に、高速信号s1(t)またはs1dのそれぞれの振幅値が高速デカップラメモリにおいて定義またはマークされる。高速デカップラメモリのリマインダを、例えば各々の記憶域から上書きすることができる。低速信号s2(t)またはs2dの値をさらなるデカップラメモリにおいて定義及びマークすることができる。このさらなるデカップラメモリの残りの部分を、例えばこの記憶域から上書きすることができる。この時点で、オフラインのオプション値を「検出継続中」に設定できる。ここで、方法は図8の工程211、205、およびノードK3の領域内にある。
【0079】
第2の低速信号s2(t)またはs2dの1または複数の基準が満たされたかどうかを決定するために、低速信号s2(t)またはs2dが説明したとおりに評価される(工程205)。ポイントX3にて、低速信号s2(t)またはs2dが閾値T2を超える。この検出方法はポイントX4において完了したとみなすことができる。
【0080】
図11の双方向矢印A1はさらなる基準を示し、この基準は第2信号s2(t)またはs2dに適用できる。例えば、信号s2(t)またはs2dが、第1測定値(A1の開始点)から第4測定ポイント(A1内のポイント)まで単調に上昇することを、前もって決めておくことができる。ここでは測定ポイントを、信号s2(t)またはs2dの信号曲線上の小さな菱形として示している。
【0081】
図12は、成功しなかった検出方法の例を示す。第1高速信号s1(t)またはs1dは小さ過ぎるため、どの時点においても第1閾値T1を超えない。この例では、それでも低速信号s2(t)またはs2dが生成される。この低速信号は、ポイントX2にて閾値T3を超えるので原則として第2基準を満たす。前進動作Bを中断するために、遅くとも時間X2において、なめらかな制動工程の場合の停止信号(例えば工程212)を設定するか、移行してくることができる。図8のフローチャートでは、方法はノードK1にて特別工程209の方向へ分岐する。
【0082】
デジタル信号s1d、s2dを記憶(格納)するための時間ウィンドウDRTは、図11および図12に示す例では1秒間である。図示の例では、振幅方向Aへのステップ幅は4.2mVであり、第1時間軸上のステップ幅は250μ秒、第2時間軸上では5m秒である。
【0083】
実施形態によっては、第1マイクロプロセッサ1によって第1閾値T1との比較を実施できる。したがってこのケースでは、比較は、デジタル化された第1信号s1dに基づいて行われる。さらに、アナログ信号s1(t)を用いて比較を行い、これを第1フィルタモジュール30に機能ブロックとして集積することもできる。
【0084】
特に好ましい実施形態では、フィルタモジュール30、40の一方または両方が、ソフトウェアアルゴリズムを用いて(例えばソフトフィルタ)によって実現される。これにより、適用するフィルタ関数を調整できるという利点が得られる。図10に示すようにフィルタモジュール30、40をハードウェアの形式で実施すると、これらのフィルタモジュール30、40が特に高速に動作するという利点が伴う。
【0085】
特に好ましい実施形態では、2つの信号s1d、s2dが一時的または永久的に格納されることで、これらの信号の処理を格納された値に基づいて実行できるようにしている。
【0086】
実施形態によっては、例えば低速第2信号が過剰な上昇勾配STを有する場合に、前進動作Bの停止を発動することもできる。
【0087】
方法または装置110は、工程の実行中または実行後に、工程のシーケンスに関する情報を含んだレポートを送信することができる。このレポートは、個々のイベントをプロトコル形式の時間値t、振幅値Aなどと共に出力することができる。
【0088】
特に好ましい実施形態では、信号s1dおよび/またはs2dは永久的に、または特別イベントのケースにおいてのみ格納される(例えば、エラーE1またはE2の一方が発生している間)。後者のケースでは、「消費される」メモリ空間が相当に縮小される。
【0089】
特に好ましい実施形態では、両方の負信号s1(t)、s2(t)と、さらに正信号とが評価される。先行の負符号を持った信号(例えば図11、図12を参照)が、例えばセンサ3の浸漬中に発生したり、一方、先行の正符号を持った信号が面モデリングの最中に発生することが可能である。相界面を通って移動している時には、正信号と負信号との考慮も有意義である(動作の方向によって異なる)。図8に示したものと類似の方法で面モデリング信号の評価を行うことが好ましい。しかし、これに関連する反応と分岐とは図8とは異なっていてよい。さらに、面モデリング信号の評価/処理に、信号処理のその他の基準を適用することが好ましい。
【0090】
例えば、液体容器5から液体1を吸引し、本発明による相界面の検出を実行する実験用器具100が関連する場合には、先行の符号を考慮することで重要な情報も得られる。吸引中、液体容器5内の液位が降下し、針またはセンサ3がこの液位の降下を追随する。針またはセンサ3の追随速度が遅すぎると、針またはセンサ3が液体1から急に再出現する特別なケースが発生する。面モデリングの最中に実行される信号s(t)の評価の結果と、この信号s(t)の先行符号を考慮することとによって、装置110は予期しなかった面モデリングが発生したことを知得できる。この特別なケースでは、関連する対抗策を開始することができる。
【0091】
特に好ましい実施形態では、準備ステップにおいて、センサ3と回路2、7、8とを用いて、感度測定方法を適用することで、このようにして決定された液性(例えば導電性および/または誘電率)に基づくパラメータおよび/または基準を自動設定できるようにすることが好ましい。装置110および/または実験用器具100の自動設定は、検出される液性に応じて(例えば、導電性に従って)、この方法により実行できる。そのため、この実施形態では、事前定義されたあらゆるタイプの設定と、液体1、センサ3、ボード3器具100などの組み合わせとを実行することができる。液性を調整した結果、実信号を妨害信号や干渉と上手く区別できるようになる。これによって、検出精度が向上する。さらに、人による手作業の介入の必要性が減少する。
【0092】
本発明による感度測定方法では、ほとんどの液体を群に等級分けすることができ、これらの液体群の各々は特性を有するという点を利用している。このケースでは閾値T1である第1基準が、本発明の感度測定方法に基づいて、設定されていると決定されることが好ましい。次に、第1信号s1(t)および/または第2信号s2(t)を評価/処理するためのその他の基準を、閾値T1から自動的に導出するか、あるいはテーブルから問い合せすることができる。
【0093】
本発明の検出方法を本発明の感度測定方法と組み合わせることの1つの利点は、装置110または実験用器具100の使用者が行う入力を最小にしながら、信頼性が高く高感度な測定が可能になることである。これまで、導電性は例えば導電性測定機器を用いて手作業で決定されていた。多くの場合、導電性の測定は別の容器内で実施されるので、往々にして非常に高価な試薬の消費が増えることになる。
【0094】
特に好ましい実施形態では、基準電圧を、例えばセンサ3のそれぞれのZ位置に従って設定する。前進した位置への依存度を予め決定しておいたり、補正することができる。この設定は、継続的に段階を追って行うことも可能である。また、この設定は液体容器5の形状および/または液体1の性質に応じて選択してもよい。例えば少量(残余量)の精密な検出を可能にするために、感度をZ位置の関数として設定することが好ましい。さらに、増加する前進深度と共に変化する基準、閾値、またはパラメータを提供することで、最初に感度を過剰に高くしたことによる障害が生じる可能性がある。
【0095】
さらなる実施形態では、2つのみのフィルタモジュール30、40だけでなく、3つ以上使用している。これにより、性質の異なるさらに多くの信号を利用できるようになるので、これらを評価することで、液体検出に関するさらなる情報が提供されるようにある。
【0096】
本発明の検出方法の1つの利点は、実検出信号s(t)と、例えば静電放電(例えば、寄生誘導の結果生じたもの)により生じた人工信号とを区別できることである。
【0097】
試験は、アナログ信号s1(t)とs2(t)、デジタル信号s1dとs2dがそれぞれ自己相似している、つまり信号形状が相似していることを示した。この特性を、予測される信号の曲線を(例えば、補外法によって)事前に計算するために使用できる。このケースでは、信号の最後まで待つ必要はない。その代わりに、もっと前の時点で結果を得ることができる。これは、図11の、パルス幅P1または短縮された時間ウィンドウの形によって表されている。このケースでは、信号s1(t)が例えば時間ウィンドウ内で上昇を続ける場合、この信号は高い確率で「実」検出信号であるという知識を利用する。
【0098】
信号の自己相似によって、信号のさらなるデジタル評価も可能になる。検出の成功を迅速に(例えば、早い時点で)認識するために、その時に決定された信号と格納されている設定ポイント信号とを高速比較することができる。
【0099】
信号の自己相似により、さらに、例えば第2信号ノードs2(t)またはs2dの改善されたデジタル評価も可能になる。信号s1(t)またはs1dの曲線によって、第2信号s2(t)またはs2dの予測される特性に結論を出すことができる。これにより、第2フィルタモジュール44(の設定)の例の調整が可能となる。
【0100】
信号s1dおよびs2dのデジタル評価に基づいて、特別なケースを認識および処理することもできる。
【0101】
特に好ましい実施形態では、実験用器具100または装置110がアクセスできる、いわゆるライブラリが作成されている。この目的のために、デジタル化された信号(例えば、s1dおよび/またはs2d)を格納することができる。自己学習タイプの、または少なくとも適応可能な解決法を、この方法で実現することができる。
【0102】
特に好ましい実施形態では、生データ(例えば、信号s1dおよび/またはs2d)と、オプションでその他のデータ(例えば、Z位置など)が保存される。その他の工程および装置(例えば、実験用器具100)を、このデータにアクセスできるように配列することが可能である。
【0103】
前述が適用される別の実施形態では1:1、充放電回路2の代わりに発振回路を使用して、その周波数がセンサ3における変化する有効静電容量に伴って変化するか、または、この変化する静電容量(dc/dt)を、位相、電圧、または電流の変化に基づいて検出するために回路を使用するかのいずれかである。
【0104】
様々な実施形態を設けた本発明は、単一チャンネル実験用器具100、そして多重チャンネル実験用器具100に適用できる。
【0105】
装置110は、状況に応じてさらに処理されるようエラーコード(例えばE1およびE2)を出力できるようにするエラーコード生成器を備えていることが好ましい。
【0106】
この出力(図5、工程208)は、別の工程や、装置110または実験用器具100の別の素子(例えば、制御系統またはコンピュータ)によってさらに処理されることが可能となる形で行われる。
【符号の説明】
【0107】
1 液体
1.1−1.8 各チャネルの液体
2 電子充放電回路
3、3.1−3.8 前進可能なセンサ(例えばピペット先端部)
4 ベースプレート
5 液体容器
5.1−5.8 個々のチャネルの液体容器
6 入力側
7 信号処理回路
8 コントローラモジュール
9 バス
10、10.1−10.8 前進手段(例えば直流モータ)
11 第1マイクロプロセッサ
12 第2マイクロプロセッサ
13 回路
14 ライン
15 インターフェース
16 第1アナログ/デジタル変換器
17 第2アナログ/デジタル変換器
18 (CAN)バス
19 コンパレータ
20 フィルタモジュール
21 オフセットシフト
22 主増幅器
30 第1フィルタモジュール
31 第1デカップラ
32 第1帯域幅フィルタ
33 第1ブースタ増幅器
40 第2フィルタモジュール
41 第2デカップラ
42 第2帯域幅フィルタ
43 第2ブースタ増幅器
100 実験用器具
110 装置
200 前進動作
201 問合せdc/dt
202 出力信号の評価
203 s(t)ろ過
204 s1(t)に第1信号基準を適用する
205 s2(t)に第2信号基準を適用する
206 基準が満たされたかどうかをチェックする
207 基準が満たされたかどうかをチェックする
208 識別子の出力
209 低速信号s2(t)によるなめらかな制動
210 検出開始
211 浸漬位置Z1で停止
212 停止
213 引き上げる
214 エラーコードE1を出力する
215 センサをチェックする
216 検出OK
217 引き上げる
218 エラーコードE2を出力する
A 振幅
A1 さらなる基準
B 前進動作
B1−B8 個々のチャネルの前進動作
c パラメータ
meas 静電容量の変化
tip/tip 漂遊静電容量
coupl 結合コンデンサ
tip/liq センサと液体の間の静電容量
tip/liq−in 浸漬中におけるセンサと液体の間の静電容量
tip/liq−out センサが浸漬していない状態での、センサと液体の間の静電容量
coupl 結合コンデンサ
tip/worktable センサとワークテーブルの間の静電容量
cable ケーブルの静電容量
filter フィルタ回路の静電容量
total 総静電容量
□C or dc/dt 静電容量の変化
dc 相対静電容量
dt 相対時間または時間単位
DRT データ記録時間ウィンドウ
E1、E2 エラー
f1、f2 フィルタの周波数
F2 時間ウィンドウ
K1、K2、K3、K4、K5 ノード
P1、P2 パルス幅
Px 交点
s(t) 出力信号
t 増幅された信号
s1(t) 第1信号
s1d デジタル化された第1信号
s2(t) 第2信号
s2d デジタル化された第2信号
ST 上昇勾配
Vref 基準電圧
V+ 動作電圧
X1、X2、X3、X4 ポイント
z 軸
Z1 浸漬位置
Z−Start 開始点
Z−Max 最大(浸漬)点
□t 遅延
t 時間
T1 第1閾値
T2 第2閾値
T3 さらなる閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器(5)内の2つの媒体間の相界面を、前記相界面に達すると静電容量(dc/dt)に変化を生じさせるセンサ(3)によって検出する方法であって、前記方法は、
a.前記センサ(3)を前記相界面(1)の方向へ移動させるために、前進動作(B)を実行する(200)工程と、
b.静電容量(dc/dt)の変化を検出するために、前記センサ(3)の出力信号(s(t))を評価する(202)工程とを備え、
c.前記出力信号(s(t))を評価(202)した直後に、前記出力信号(s(t))を、第1フィルタ方法を用いて、短い帯域幅の第1信号(s1(t)、s1d)に、および、第2フィルタ方法を用いて、より広いパルス幅の第2信号(s2(t)、s2d)に分割する(203)工程と、
d.前記第1信号(s1(t)、s1d)が所定の第1信号基準(T1、P1)を満たしているかどうかを決定する(204、206)工程と、
e.同時に前記所定の第1信号基準(T1、P1)を前記第1信号(s1(t)、s1d)に、所定の第2信号基準(T2、P2、ST、A1)を前記第2信号(s2(t)、s2d)に適用しながら、前記第2信号(s2(t)、s2d)が前記所定の第2信号基準(T2、P2、ST、A1)を満たしているかどうかを決定する(205、207)工程と、
f.前記第1信号基準(T1、P1)と前記第2信号基準(T2、P2、ST、A1)とが満たされている場合には、相界面の検出を表すまたは示す識別子を出力する(208)工程と、によって特徴付けられる方法。
【請求項2】
前記センサ(3)は、少なくとも前記工程a(200)の実行中に、繰り返し電気的に充放電されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程b〜eの繰り返しの最中にさらなる前記前進動作(B)が実行されている状態で、前記工程fにおいて前記第1信号基準(T1、P1)と前記第2信号基準(T2、P2、ST、A1)とが満たされたと決定されるまで、前記工程b〜eが繰り返されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記工程eで、前記第2信号基準(T2、P2、ST、A1)として、前記第2信号(s2(t)、s2d)が継続的に上昇するかどうかが決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程eで、さらなる第2信号基準(T2、P2、ST、A1)として、前記第2信号(s2(t)、s2d)が所定の時間(F2)内に閾値(T2)に達するかどうかが決定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程dで、前記第1信号基準(T1、P1)として、
前記第1信号(s1(t)、s1d)が第1閾値(T1)に達するかどうか、および/または、
前記第1信号(s1(t)、s1d)のパルス幅が最小パルス幅(p1)に達するかどうか、および/または、
前記第1信号(s1(t)、s1d)が、所定の時間ウィンドウ中に上昇するかどうかが、前記工程dが所定の第1時間間隔にて繰り返されている状態で決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程dで前記第1信号(s1(t)、s1d)が前記第1信号基準(T1、P1)を満たしていない状態で、前記工程eで、前記第2信号(s2(t)、s2d)がさらなる信号基準(ST;T3)を満たす場合には、前記センサ(3)の前記前進動作(B)がなめらかに制動されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程dと工程eとの最中に、前記第1信号(s1(t)、s1d)および/または前記第2信号(s2(t)、s2d)の先行の符号も決定され、その後に、さらなる工程において、前記先行符号に基づき、前記センサ(3)の前記液体(1)内への浸漬、または、前記液体(1)からの前記センサ(3)の面モデリング、または相界面の通過を識別することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
かくして決定された液性に基づき、前記回路(2;7、8)の閾値、パラメータ、基準の自動事前設定をさらなる工程において実行するために、好ましくは準備工程において、前記センサ(3)と前記回路(2;7、8)とを用い、感度測定工程が実行されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記閾値、パラメータ、基準の設定は、前記センサ(3)の現位置に基づいて実行されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
液体容器(5)内の2つの媒体の間の相界面を検出する装置(110)であって、
前記相界面の方向へ前進できるセンサ(3)と、
静電容量(dc/dt)の変化を検出するために、前記センサ(3)の出力信号(s(t))を処理する回路(2;7、8)とを備え、
前記回路(2;7、8)は、
前記出力信号(s(t))からの短いパルス幅の第1信号(s1(t)、s1d)をろ過する第1フィルタモジュール(30)を設けた第1チャネルと、
前記出力信号(s(t))からのより広いパルス幅の第2信号(s2(t)、s2d)をろ過する第2フィルタモジュール(40)を設けた第2チャネルと、
コントローラモジュールとを備え、前記コントロールモジュールは、
前記第1信号(s1(t)、s1d)が第1閾値(T1)に達したかどうかを決定できるように配列されたコンパレータモジュール(11)を備え、さらに、
前記第2信号(s2(t)、s2d)が少なくとも1つの所定の第2信号基準(T2、P2、ST、A1)を満たしているかどうかを決定できるように配列された処理モジュール(12)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項12】
前記第1フィルタモジュール(30)と前記第2フィルタモジュール(40)とはハードウェアにおいて実現されており、デジタル化された第1信号(s1d)とデジタル化された第2信号(s2d)とを前記コントローラモジュール(8)によって処理する前に、前記第1信号(s1(t))と前記第2信号(s2(t))とを別々にデジタル化するための、2つのアナログ/デジタル変換器(16、17)が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の装置(110)。
【請求項13】
前記コントローラモジュール(8)は2つのマイクロプロセッサ(11、12)を備え、前記2つのマイクロプロセッサの最初の1つ(11)は前記デジタル化された第1信号(s1d)を処理するように配列されており、前記2つのマイクロプロセッサの他の1つ(12)は前記デジタル化された第2信号(s2d)を処理するように配列されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置(110)。
【請求項14】
前記液性を決定するモジュールを備えており、前記モジュールは、前記回路(2;7、8)の自動感度設定の実行を可能にするために、前記回路(2;7、8)に接続できるようになっていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項15】
前記コントローラモジュール(8)は、前記デジタル化された第1信号(s1d)と前記デジタル化された第2信号(s2d)とを中間的に格納するために、2つのバッファメモリを備えていることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項16】
状況に応じてさらに処理されるエラーコード(E1、E2)を出力できるようにするために、エラーコード生成器を備えていることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項17】
前記センサ(3)を数回、充放電するために切り替え素子を備えていることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項18】
センサ(3)の有効静電容量の変化に応じて頻度が変化する発振回路を備え、または
前記位相、電圧、または電流の変化に基づいて静電容量(dc/dt)の変化を検出するための回路を備えることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項19】
請求項11〜18のいずれか1項にかかる少なくとも1つの装置(110)を備える、実験用器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2013−516600(P2013−516600A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546421(P2012−546421)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070599
【国際公開番号】WO2011/080199
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】