説明

相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置

【課題】射出成形に係る物理量の時系列データと成形品質との相関において、相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置を提供する。
【解決手段】サイクルカウンタの値であるNに1を加算した値を、Nとし、1成形サイクルの中の成形サイクルの開始から終了までの期間で、射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出し記憶し、1成形サイクルの中での成形品質データを検出し記憶し、1成形サイクルを終了する(SA100〜SA105)。Nが、所定値より大きいか否か判断し、大きくない場合にはステップSA101へ戻り、次の成形サイクルへ移行し、大きい場合には、ステップSA103で検出し記憶した射出成形に係る物理量と、ステップSA104で検出し記憶した成形品質データとの相関係数をステップSA103で検出し記憶した射出成形に係る物理量に対して所定サンプリング時間間隔の時刻毎に算出し記憶し、処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関し、特に、相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形品の良否判別方法として、スクリュ位置を検出して行うものや、射出圧力を検出して行うものなどが公知である。例えば、スクリュ位置を検出して成形品の良否判別を行う場合においては、射出の最終段階である保圧終了時のスクリュ位置(クッション量)もしくはスクリュ最前進位置(最小クッション量)を検出するものが知られている。また、射出圧力を検出して成形品の良否判別を行う場合においては、主に射出工程のピーク射出圧力を検出するものが知られている。これらは、スクリュ位置や射出圧力を検出するための検出タイミングは固定的なものである。
【0003】
ところが、射出成形作業においては、必ずしも保圧終了時のスクリュ位置、スクリュ最前進位置やピーク射出圧力が成形品の良否を決定するとは限らず、成形品の形状や樹脂の種類によっては、上記とは異なったタイミングにおけるスクリュ位置や射出圧力の値が成形品の良否に多大な影響を与える場合がある。
【0004】
上述した事情に鑑みて、特許文献1には、射出開始から任意のタイミングにおけるスクリュ位置や射出圧力を検出し、検出した射出圧力の値と判別基準値とを比較することによって、成形品の良否判別を行う技術が開示されている。この技術によって、固定的なタイミングではなく、任意のタイミングで検出したスクリュ位置や射出圧力に基づいて成形品の良否判別を行うことが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−78516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、射出開始から任意のタイミングを設定するにあたって、どのタイミングでスクリュ位置や射出圧力を検出すればよいかは、成形技術者の経験や試行錯誤によって決定するより方法がなく、容易ではないという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、射出成形に係る物理量の時系列データと成形品質との相関において、その相関が強くなる成形サイクル内の時刻を特定することが可能な相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置を提供することである。さらに、本発明は、射出圧力やスクリュ位置などの射出成形に係る物理量の時系列データと、成形品質との相関が強くなる成形サイクル内のタイミングを算出することで、成形品の良否判別を行うのに最適なタイミングを特定することを目的とする。さらには、成形品質との相関が強くなるタイミングにおいて、射出圧力やスクリュ位置などの射出成形に係る物理量を制御して安定化することにより、成形品質そのものを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出する物理量検出手段と、該物理量検出手段によって検出した物理量を前記所定サンプリング間隔の時系列データとして複数サイクルにわたって記憶する物理量記憶手段と、成形品質データを検出する成形品質データ検出手段と、該成形品質データ検出手段によって検出した成形品質データを複数サイクルにわたって記憶する成形品質データ記憶手段と、を備えた射出成形機の制御装置であって、前記物理量記憶手段によって記憶した物理量の時系列データのうち、各ショット間の同一時刻における物理量と、前記成形品質データ記憶手段によって記憶した各ショット間の成形品質データとの相関係数を、前記同一時刻における相関係数として算出する相関係数算出手段を備え、前記相関係数算出手段によって前記所定サンプリング時間間隔の時刻ごとに相関係数を逐次算出することを特徴とする射出成形機の制御装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記相関係数算出手段によって逐次算出された相関係数の絶対値が最大となる時刻を求め、該求めた時刻における射出成形に係る物理量に基づいて、成形品の良否判別を行うことを特徴とする射出成形機の制御装置である。
請求項3に係る発明は、前記相関係数算出手段によって逐次算出された相関係数の絶対値が最大となる時刻を求め、該求めた時刻における射出成形に係る物理量に基づいて、射出保圧切替位置または射出速度切替位置を補正することを特徴とする射出成形機の制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記相関係数算出手段によって逐次算出された相関係数の絶対値を所定値と比較し、該逐次算出された相関係数の絶対値が所定値以上となる区間を求め、該区間において射出成形に係る物理量のフィードバック制御を行うことを特徴とする射出成形機の制御装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記射出成形に係る物理量は、射出圧力、スクリュ位置、スクリュ速度、型内圧力、エジェクタ位置、エジェクタ推力、型盤位置、型盤推力、金型パーティング面間隔、型締め力、金型温度のうち何れか一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記成形品質データは、成形品そのものから検出された直接的に成形品質を評価可能なデータ、あるいは、成形プロセス中の物理量から検出され、間接的に成形品の品質を評価可能なデータであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置である。
請求項7に係る発明は、前記逐次算出された相関係数を波形として画面に表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、射出成形に係る物理量の時系列データと成形品質との相関において、その相関が強くなる成形サイクル内の時刻を特定することが可能な相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置を提供できる。
さらに、本発明により、射出圧力やスクリュ位置などの射出成形に係る物理量の時系列データと、成形品質との相関が強くなる成形サイクル内にタイミングを算出することで、成形品の良否判別を行うのに最適なタイミングを特定することができる。
さらには、成形品質との相関が強くなるタイミングにおいて、射出圧力やスクリュ位置などの射出成形に係る物理量を制御して安定化することにより、成形品質そのものを向上することができる。
なお、特開平3−199025号公報には、連続自動運転時における各ショット毎に、予め定められた複数のモニタ項目の測定データを取り込んで記憶し、前記取り込んだ複数のモニタ項目の中の任意の2つのモニタ項目の相関関係を演算し、この演算処理結果に基づく相関関係のグラフを出力する技術が開示されている。
また、特開2007−196480号公報には、ショット毎の動作状態に係る複数の異なる検出項目に対応する物理量を順次検出し、検出した複数の物理量(検出データ)から統計データを求めて表示するに際し、任意の異なる二つの検出項目Hx,Hy,・・・に対応する検出データ間の相関係数R・・・を一又は二以上求めるとともに、求めた相関係数R・・・を所定の表示条件により順次定量的に表示し、かつ検出項目Hx,Hy,・・・を相関係数R・・・に対応させて表示する技術が開示されている。
これら特許文献に開示された技術は、複数のモニタ項目の中の任意の2つのモニタ項目の相関関係を演算して相関関係グラフを出力したり、相関係数の高い順番に並べかえたりすることで、どの項目が相関が強いかを知ることができるものであるが、何れも固定的なタイミングで測定したデータに対して相関係数を計算することであり、成形サイクル内において成形品質との相関が強くなるタイミングを特定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態である射出成形機および該射出成形機を制御する制御装置の概略構成図である。
【図2】各ショット毎に射出成形に係る物理量である射出圧力を時系列データとして測定することを説明する図である。
【図3】各ショット毎に成形サイクルにおける射出圧力の時系列データをグラフに表した図である。
【図4】各ショット毎に、間接的に成形品の品質を評価可能なデータである最小クッション量を測定することを説明する図である。
【図5】射出圧力と最小クッション量の相関係数を時刻ごとに計算することを説明する図である。
【図6】各ショット毎に成形サイクルにおける射出圧力の時系列データをグラフに表し、さらに、時刻ごとに計算した射出圧力と最小クッション量の相関係数をグラフに表した図である。
【図7】相関係数の絶対値が大きい場合の例として、時刻t1における各ショット毎の射出圧力と最小クッション量の関係を説明する図である。
【図8】相関係数の絶対値が小さい場合の例として、相関係数R(t2)の場合の時刻t2における各ショット毎の射出圧力と最小クッション量の関係を説明する図である。
【図9】逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における圧力に基づく良否判別を説明する図である。
【図10】逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における圧力に基づく良否判別を行う処理のアルゴリズムを説明する図である。
【図11】相関係数を算出する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図12−1】逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における圧力に基づく射出保圧切替位置の補正を行う処理のアルゴリズムを説明する図である(その1)。
【図12−2】逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における圧力に基づく射出保圧切替位置の補正を行う処理のアルゴリズムを説明する図である(その2)。
【図13−1】逐次算出した相関係数の絶対値によって射出保圧切替位置の補正を行う処理のアルゴリズムを説明する図である(その1)。
【図13−2】逐次算出した相関係数の絶対値によって射出保圧切替位置の補正を行う処理のアルゴリズムを説明する図である(その2)。
【図14−1】逐次算出した相関係数の絶対値によって保圧区間を制御することを説明する図である(その1)。
【図14−2】逐次算出した相関係数の絶対値によって保圧区間を制御することを説明する図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、射出成形機および該射出成形機を制御する制御装置の概略構成図である。スクリュ3が挿入されたシリンダ1の先端にはノズル2が装着され、シリンダ1の後端部には樹脂ペレットをシリンダ1に供給するホッパ4が取り付けられている。スクリュ3は、スクリュ3をその軸方向に駆動する駆動手段としての射出用サーボモータM1、伝動機構7及びボールネジ/ナット等の回転運動を直線運動に変換する変換機構8によって軸方向に駆動され、射出及び背圧制御がなされるように構成されている。また、スクリュ3は、回転駆動手段としてのスクリュ3を回転させるためのサーボモータM2と、ベルト、プーリ等で構成される伝動機構6により回転駆動されるようになっている。
【0014】
射出用サーボモータM1、スクリュ回転用のサーボモータM2には、それぞれ、その回転位置・速度を検出する位置・速度検出器Penc1、位置・速度検出器Penc2が取り付けられている。これら位置・速度検出器Penc1,Penc2によって、スクリュ3の位置(スクリュ軸方向の位置)、移動速度(射出速度)、スクリュ3の回転速度を検出できる。また、スクリュ3に加わる溶融樹脂からのスクリュ軸方向の圧力を検出するロードセル等の圧力センサ5が設けられている。
【0015】
PMCCPU17には、射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続されている。CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラム等を記憶したROM21および演算データの一時記憶等に用いられるRAM22が接続されている。
【0016】
サーボCPU15には、位置ループ、速度ループ、電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM13やデータの一時記憶に用いられるRAM14が接続されている。更に、サーボCPU15には、サーボCPU15からの指令に基づいて、スクリュ回転用のサーボモータM2を駆動するサーボアンプ12や、スクリュ3を軸方向に駆動し射出等を行う射出用サーボモータM1を駆動するサーボアンプ11が接続されている。
【0017】
各サーボモータM1,M2には、前述したように、それぞれ位置・速度検出器Penc1,Penc2が取り付けられている。これら位置・速度検出器Penc1,Penc2からの出力が、サーボCPU15にフィードバックされる。
【0018】
サーボCPU15は、CNCCPU20から指令される各軸(射出用サーボモータM1、または、スクリュ回転用のサーボモータM2)への移動指令と位置・速度検出器Penc1、位置・速度検出器Penc2からフィードバックされる検出位置と検出速度に基づいて、位置、速度のフィードバック制御を行うとともに、電流フィードバック制御も実行して、各サーボアンプ11,12を駆動制御する。また、位置・速度検出器Penc1からの位置フィードバック信号により、スクリュ3の前進位置(軸方向位置)を求める現在位置レジスタが設けられており、該現在位置レジスタによりスクリュ位置を検出できるように構成されている。
【0019】
また、サーボCPU15には、圧力センサ5での検出信号をA/D変換器16でデジタル信号に変換した樹脂圧力(スクリュにかかる樹脂圧力)が入力されている。
【0020】
液晶表示装置などで構成される表示装置を有する表示装置付き入力装置25は、表示回路24を介してバス26に接続されている。さらに、不揮発性メモリで構成される成形データ保存用RAM23もバス26に接続されている。この成形データ保存用RAM23には射出成形作業に関する成形条件と各種設定値、パラメータ、マクロ変数等を記憶する。
【0021】
以上の構成により、PMCCPU17が射出成形機全体のシーケンス動作を制御し、CNCCPU20がROM21の運転プログラムや成形データ保存用RAM23に格納された成形条件等に基づいて各軸のサーボモータM1,M2に対して移動指令の分配を行ない、サーボCPU15は、各軸(射出用サーボモータM1やスクリュ3の回転用のサーボモータM2)に対して分配された移動指令と、位置・速度検出器Penc1,Penc2で検出された位置および速度のフィードバック信号等に基づいて、従来と同様に位置ループ制御、速度ループ制御、さらには電流ループ制御のサーボ制御を行い、いわゆるデジタルサーボ処理を実行する。
【0022】
上述した構成は従来の電動式射出成形機の制御装置と変りなく、従来と異なる点は、本発明の実施形態が、射出成形に係る物理量の時系列データと成形品質との相関において、その相関が強くなる成形サイクル内の時刻を特定することが可能な相関係数算出機能を備えていることである。
【0023】
図2は、ショット毎に射出成形に係る物理量である射出圧力を時系列データとして測定することを説明する図である。図2では、射出成形に係る物理量として射出圧力をショット毎に所定サンプリング時間間隔ごとの時刻t0,t1,t2,・・・tn−1,tnに測定し、各サイクルの開始からの時系列データとして射出圧力のデータを取得することを示している。以下の説明では、射出成形に係る物理量として射出圧力を例として説明する。
【0024】
なお、射出成形に係る物理量として、射出圧力の他に、たとえば、スクリュ位置、スクリュ速度、型内圧力、エジェクタ位置、エジェクタ推力、型盤位置、型盤推力、金型パーティング面間隔、型締め力、金型温度がある。前記各物理量は、射出成形機において、従来から射出成形機の制御に用いられている。また、各物理量の測定方法・手段は公知であることから、説明を省略する。
【0025】
図3は、成形サイクルにおける射出圧力の時系列データをショット毎にグラフに表した図である。図3は、物理量(図3では射出圧力を例としている)を縦軸とし、横軸を時刻t0,t1,t2,・・・tn−1,tnとし、ショット毎に図示したものである。
【0026】
次に、成形品質を評価可能なデータについて説明する。
成形品質を評価可能なデータは、成形品そのものから検出され直接的に成形品質を評価可能なデータ(例えば、製品重量、製品寸法、製品強度、光学特性など)、あるいは、成形プロセス中の物理量から検出され間接的に成形品の品質を評価可能なデータ(例えば、最小クッション量、ピーク圧、計量時間、計量トルク、型内圧のピーク値、バックフロー値など)を、成形品質データとして各ショット毎に測定する。図4は、ショット毎に、間接的に成形品の品質を評価可能なデータである最小クッション量を測定することを説明する図である。
【0027】
前記測定した物理量の時系列データのうち、各ショット間の同一時刻における物理量とショット毎の成形品質データとの相関係数を、前記同一時刻における相関係数として前記所定サンプリング間隔の時刻ごとに逐次計算する。
【0028】
相関係数は、例えば、数1式によって算出することができる。
【0029】
【数1】

【0030】
図5は、射出圧力と最小クッション量の相関係数を時刻ごとに計算することを説明する図である。数1式により図5に示されるように、所定のサンプリング時間間隔毎の各時刻t0,t1,t2,・・・,tn−1,tnにおける射出圧力と最小クッション量の相関係数が、それぞれ、R(t0),R(t1),R(t2),・・・,R(tn−1),R(tn)として算出される。
【0031】
数1式により算出された相関係数の波形において、相関係数の絶対値が最大となる時刻を算出する。図6は、各ショット毎に成形サイクルにおける射出圧力の時系列データをグラフに表し、さらに、時刻ごとに計算した射出圧力と最小クッション量の相関係数をグラフに表した図である。図6では、時刻t1において相関係数の絶対値が最大となる。そして、時刻t1での相関係数はR(t1)である。なお、負相関の場合は相関係数がマイナスの値となるので、相関係数の絶対値をとる。
【0032】
図7は、相関係数が大きい場合の例として、時刻t1における各ショット毎の射出圧力と最小クッション量の関係を説明する図である。また、図8は、相関係数が小さい場合の例として、時刻t2における各ショット毎の射出圧力と最小クッション量の関係を説明する図である。
以上のように、射出成形に係る物理量と成形品質データとの相関が最も強くなるサイクル内の時刻を特定することができる。
【0033】
従来、成形品の良否判別は ピーク圧力などの固定的なタイミングにおける物理量に基づいて行っており、必ずしも、成形品質を評価するのに最適なタイミングではなかった。上述の本発明の実施形態によれば、前記求めた相関係数の絶対値が最も大きくなる時刻における射出成形に係る物理量に基づいて成形品の良否判別を行うようにすることができ、成形品質を評価するのに最適なタイミングで良否判別を行うことができる(図9、図10、および図12参照)。
【0034】
また、本発明の他の実施形態によれば、前記求めた相関係数の絶対値が最大となる時刻における物理量に基づいて、射出速度切替位置や射出保圧切替位置などを補正するようにしてもよい(図13参照)。従来、所定時刻における射出圧力などの物理量に基づいて、射出速度切替位置や射出保圧切替位置などを補正する技術が知られていたが、どの時刻における物理量に基づいて補正を行えばよいかは、成形技術者の経験や試行錯誤によって決定するより方法がなく、容易でないという問題があった。本発明によれば、成形品質と相関の強い時刻における物理量に基づいて補正することができる。
【0035】
また、さらに本発明の他の実施形態によれば、前記求めた相関係数の絶対値と所定値とを比較し、前記求めた相関係数の絶対値が所定値以上となる区間を求め、該区間において前記射出成形に係る物理量が安定化するようにフィードバック制御をかけるようにしてもよい(図14参照)。一般に、射出保圧の制御方法として、射出開始から所定のスクリュ位置に到達するまではスクリュ位置・速度制御を行い、所定のスクリュ位置(射出保圧切替位置)に到達した後は圧力制御に切替えて、保圧を行う制御方法が広く採用されている。
【0036】
ここで、射出保圧切替位置の適正値は、成形技術者の経験や試行錯誤によって決定する他に方法がなく、容易でないという問題があった。本発明の実施形態によれば、例えば、射出圧力と成形品質との相関係数を求め、該相関係数が所定値以上となる時刻を求め、該時刻で射出保圧切替を行うことで、成形品質との相関が弱い区間では射出制御(スクリュ位置・速度制御)を行ない、成形品質との相関が強くなる区間で保圧制御(圧力制御)を行うことができる。
【0037】
さらに、保圧制御中に射出圧力と成形品質との相関が再び弱くなった場合は、その時刻においてゲートがシールしたとみなすことができ、即ち、それ以上保圧をかけてもキャビティに圧力が伝わらず、保圧をかける意味が無いため、前記時刻において保圧制御を打ち切るようにしてもよい(図14−1,図14−2参照)。
【0038】
また、金型内に圧力センサ(図示せず)を設け、型内圧を制御する方法が公知である。本発明の実施形態によれば、型内圧と成形品質との相関係数を求め、該相関係数が所定値以上となる区間で型内圧制御を行うことができる。
【0039】
また、射出保圧の途中でエジェクタを突き出すことによって、キャビティ内の樹脂を圧縮する制御方法が知られている(エジェクタ圧縮)。本発明によれば、エジェクタ位置またはエジェクタ推力と成形品質との相関係数を求め、該相関係数が所定値以上となる区間でエジェクタ圧縮制御を行うことができる。
【0040】
また、射出開始時点で金型を所定量だけ開けておき、射出工程の途中で型盤を閉じることによってキャビティ内の樹脂を圧縮する制御方法が公知である(型盤圧縮)。本発明の実施形態によれば、型盤位置または型盤推力と成形品質との相関係数を求め、該相関係数が所定値以上となる区間で型盤圧縮制御を行うことができる。
【0041】
また、前記型盤圧縮制御において、金型のパーティング面間隔を近接センサを用いて検出し、該検出値が所定間隔となるように制御する方法も公知である。本発明の実施形態によれば、金型パーティング面間隔の検出値と成形品質との相関係数を求め、該相関係数が所定値以上となる区間で金型パーティング面間隔の制御を行うことができる。
【0042】
また、前記求めた相関係数を波形として画面に表示するようにしてもよい。オペレータは画面に表示された相関係数の波形を参考にして、良否判別の設定や射出保圧切替位置を設定することができる。
【0043】
なお、上述した本発明の実施形態では、射出成形に係る物理量の時系列データのうち、各ショット間のサイクル開始からの同一時刻における物理量とショット毎の成形品質データとの相関係数を、前記サイクル開始からの同一時刻における相関係数として前記所定サンプリング間隔の時刻ごとに逐次計算する例について記載したが、射出成形に係る物理量によっては、サイクル開始からの時刻でなく、例えば射出開始からの時刻、保圧開始からの時刻、計量開始からの時刻、エジェクト開始からの時刻、型開開始からの時刻などに基いて相関係数を逐次計算するようにしてもよい。例えば、計量背圧の時系列データと各ショット毎の成形品質データとの相関係数を求める場合においては、各ショット間の計量開始からの同一時刻における相関係数として、前記所定サンプリング間隔ごとに逐次計算するようにしてもよい。
【0044】
なお、上述した本発明の実施形態では、射出成形に係る物理量の時系列データのうち、各ショット間の同一時刻における物理量とショット毎の成形品質データとの相関係数を、前記同一時刻における相関係数として前記所定サンプリング間隔の時刻ごとに逐次計算する例について記載したが、スクリュ位置ごとに相関係数を逐次計算するようにしてもよい。即ち、射出成形にかかる物理量とあわせてスクリュ位置を同時に測定しておき、各ショット間の同一スクリュ位置における物理量と各ショット毎の成形品質データとの相関係数を、前記同一スクリュ位置における相関係数としてスクリュ位置ごとに逐次計算するようにしてもよい。
【0045】
なお、射出成形に係る物理量と成形品質データとの組み合わせを変えて、上記の手順を繰り返し行うことで、数ある射出成形に係る物理量の中から、成形品質との相関が強い物理量を抽出して特定することができる。よって、前記良否判別、切替位置の補正、物理量の制御を行うにあたっては、数ある射出成形に係る物理量の中から、成形品質との相関が強い物理量を特定した後に、該特定した物理量に基づいて良否判別、切替位置の補正、物理量の制御を行うようにしてもよい。
【0046】
次に、フローチャートを用いて相関係数を算出する処理、算出された相関係数に基づいて、成形品の良否判別、射出保圧の切り替え、射出保圧切替位置の補正、保圧区間の制御を説明する。
【0047】
図11は、所定サンプリング時間間隔毎の時刻毎に相関係数を算出する処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA100]サイクルカウンタの値であるNを初期値0とする。
●[ステップSA101]射出成形機の成形サイクルを開始する。
●[ステップSA102]Nに1を加算し値を、Nとする。
●[ステップSA103]1成形サイクルの中の成形サイクルの開始から終了までの期間で、射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出し記憶する。
●[ステップSA104]1成形サイクルの中での成形品質データを検出し記憶する。
●[ステップSA105]1成形サイクルを終了する。
●[ステップSA106]サイクルカウンタNが、所定値より大きいか否か判断し、大きくない場合にはステップSA101へ戻り、次の成形サイクルへ移行し、大きい場合にはステップSA107へ移行する。
●[ステップSA107]ステップSA103で検出し記憶した射出成形に係る物理量と、ステップSA104で検出し記憶した成形品質データとの相関係数を、ステップSA103で検出し記憶した射出成形に係る物理量に対して所定サンプリング時間間隔の時刻毎に算出し記憶し、処理を終了する。
【0048】
一つの射出成形サイクルは、型閉じ・型締め、射出、冷却、可塑化・計量、型開き、取り出しの各工程からなる。上述したフローチャートでは、ステップSA101は型閉じ・型締め工程から始まることを意味し、ステップSA105では成形品の取り出しを行うことをサイクル終了で表している。
【0049】
なお、相関係数の算出は、前記所定サンプリング時間間隔を内挿し、サンプリング時間間隔より短い時間間隔で行ったり、射出成形に係る物理量を間引くことによって、所定サンプリング時間間隔より長い時間間隔で行ったりすることも可能である。
【0050】
図9は、逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における射出圧力に基づく良否判別を説明する図である。図9では、射出圧力などの射出成形に係る物理量と最小クッション量などの成形品質データとの相関係数を逐次算出すると、時刻t1において、物理量と該成形品質データの相関が強いことが判明する。したがって、成形品の良否判別の基準を、時刻t1における物理量のデータに基づいて設定するとよい。
【0051】
図10は、逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における圧力に基づく良否判別を説明する図である。図9を用いて説明したように、図10では時刻t1における物理量のデータに基づいて設定していることを示している。良否判別の上限値と下限値とが設定され、各成形サイクルにおけるt1の時刻において検出された物理量が、該上限値を上回ったか、あるいは該下限値を下回った場合に、不良品と判別することができる。
【0052】
図12−1,図12−2は、逐次算出した相関係数の絶対値が最大になる時刻における物理量に基づく良否判別の処理のアルゴリズムを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。なお、ステップSB100〜ステップSB107は、成形品の良否判別の基準となる上限値と下限値と比較する物理量の1サイクルの中で検出される時刻を特定するために実行される予備サイクルである。予備サイクルの後、本サイクルに移行する。
●[ステップSB100]サイクルカウンタの値であるNを初期値0とする。
●[ステップSB101]射出成形機の成形サイクルを開始する。
●[ステップSB102]Nに1を加算し値を、Nとする。
●[ステップSB103]1成形サイクルの中の成形サイクルの開始から終了までの期間で、射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出し記憶する。
●[ステップSB104]1成形サイクルの中での成形品質データを検出し記憶する。
●[ステップSB105]1成形サイクルを終了する。
●[ステップSB106]サイクルカウンタNが、所定値より大きいか否か判断し、大きくない場合にはステップSB101へ戻り、次の成形サイクルへ移行し、大きい場合にはステップSB107へ移行する。
●[ステップSB107]ステップSB103で検出し記憶した射出成形に係る物理量と、ステップSB104で検出し記憶した成形品質データとの相関係数を、ステップSB103で検出し記憶した射出成形に係る物理量に対して所定サンプリング時間間隔の時刻毎に算出し記憶する。
●[ステップSB108]ステップSB107で逐次算出した相関係数の絶対値が最大となる時刻を算出する。算出した時刻をtxとする。
●[ステップSB109]サイクルを開始する。
●[ステップSB110]ステップSB108で算出した時刻txにおける射出成形に係る物理量P(tx)を検出する。
●[ステップSB111]射出成形に係る物理量P(tx)は上限値以下であるか否か判断し、以下である場合にはステップSB112へ移行し、以下でない場合にはステップSB114へ移行する。
●[ステップSB112]射出成形に係る物理量P(tx)は下限値以上であるか否か判断し、以上である場合にはステップSB113へ移行し、以上でない場合にはステップSB114へ移行する。
●[ステップSB113]良品信号を出力し、ステップSB115へ移行する。良品信号は図1の表示装置付き入力装置25の表示装置に表示するようにしてもよい。
●[ステップSB114]不良品信号を出力し、ステップSB115へ移行する。不良品信号は図1の表示装置付き入力装置25の表示装置に表示するようにしてもよい。また、金型から突き落とされた成形品を不良品回収箱に収容するようにしてもよい。
●[ステップSB115]サイクル終了する。
●[ステップSB116]本サイクル回数終了か否か判断し、本サイクル回数終了でない場合にはステップSB109へ戻り次の回の成形サイクルに進み、本サイクル回数終了の場合には処理を終了する。
【0053】
上述したアルゴリズムの処理を図1に示される射出成形機で実行することにより、射出圧力やスクリュ位置などの射出成形に係る物理量と、成形品質との相関が強くなる成形サイクル内のタイミングを算出することで、成形品の良否判別を行うのに最適なタイミングを特定することが可能な、相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置を提供することができる。
【0054】
図13−1,図13−2は、逐次算出した相関係数の絶対値によって射出保圧切替位置の補正する処理のアルゴリズムを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。なお、ステップSC100〜ステップSC107は、射出保圧切替位置の補正処理に用いられる設定位置を求めるために実行される予備サイクルである。予備サイクルの後、本サイクルに移行する。
●[ステップSC100]サイクルカウンタの値であるNを初期値0とする。
●[ステップSC101]射出成形機の成形サイクルを開始する。
●[ステップSC102]Nに1を加算し値を、Nとする。
●[ステップSC103]1成形サイクルの中の成形サイクルの開始から終了までの期間で、射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出し記憶する。
●[ステップSC104]1成形サイクルの中での成形品質データを検出し記憶する。
●[ステップSC105]1成形サイクルを終了する。
●[ステップSC106]サイクルカウンタNが、所定値より大きいか否か判断し、大きくない場合にはステップSC101へ戻り、次の成形サイクルへ移行し、大きい場合にはステップSC107へ移行する。
●[ステップSC107]ステップSC103で検出し記憶した射出成形に係る物理量と、ステップSC104で検出し記憶した成形品質データとの相関係数を、ステップSC103で検出し記憶した射出成形に係る物理量に対して所定サンプリング時間間隔の時刻毎に算出し記憶する。
●[ステップSC108]ステップSC107で逐次算出した相関係数の絶対値が最大となる時刻を算出する。算出した時刻をtxとする。
●[ステップSC109]サイクル開始する。
●[ステップSC110]射出開始する。
●[ステップSC111]ステップSC108で算出した時刻txにおける射出成形に係る物理量P(tx)を検出する。
●[ステップSC112]ステップSC111で検出した物理量P(tx)に基づいて射出保圧切替位置の補正量Xを算出する。補正量X=(P(tx)−β)*α ただし、X:補正量、α:補正係数、β:基準値である。
●[ステップSC113]スクリュ位置は、(設定位置+補正量X)より小さいか否か判断し、小さい場合にはステップSC114へ移行し、小さくない場合には、小さくなるまで待ち、ステップC114へ移行する。
●[ステップSC114]保圧を開始する。
●[ステップSC115]サイクルを終了する。
●[ステップSC116]本サイクル回数終了か否か判断し、本サイクル回数終了でない場合にはステップSC109へ戻り次の回の成形サイクルに進み、本サイクル回数終了の場合には処理を終了する。
【0055】
図14−1,図14−2は、逐次算出した相関係数の絶対値によって保圧区間を制御することを説明する図である。以下、各ステップに従って説明する。なお、ステップSD100〜ステップSD107は、保圧の開始時刻と終了時刻を求める予備サイクルである。予備サイクルの後、本サイクルに移行する。
●[ステップSD100]サイクルカウンタの値であるNを初期値0とする。
●[ステップSD101]射出成形機の成形サイクルを開始する。
●[ステップSD102]Nに1を加算し値を、Nとする。
●[ステップSD103]1成形サイクルの中の成形サイクルの開始から終了までの期間で、射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出し記憶する。
●[ステップSD104]1成形サイクルの中での成形品質データを検出し記憶する。
●[ステップSD105]1成形サイクルを終了する。
●[ステップSD106]サイクルカウンタNが、所定値より大きいか否か判断し、大きくない場合にはステップSD101へ戻り、次の成形サイクルへ移行し、大きい場合にはステップSD107へ移行する。
●[ステップSD107]ステップSD103で検出し記憶した射出成形に係る物理量と、ステップSD104で検出し記憶した成形品質データとの相関係数を、ステップSD103で検出し記憶した射出成形に係る物理量に対して所定サンプリング時間間隔の時刻毎に算出し記憶する。
●[ステップSD108]相関係数の絶対値が第一の所定値以上となる時刻を算出する。
●[ステップSD109]時刻tx1以降で、相関係数の絶対値が第二の所定値以下となる時刻を算出する。
●[ステップSD110]サイクル開始する。
●[ステップSD111]射出開始する。
●[ステップSD112]1サイクル中の現在の時刻は、時刻tx1より大きいか否か判断し、大きい場合にはステップSD113に移行し、tx1より大きくない場合には大きくなるまで待ってステップSD113へ移行する。
●[ステップSD113]保圧開始する。
●[ステップSD114]1サイクル中の現在の時刻は、時刻tx2より大きいか否か判断し、大きい場合にはステップSD115へ移行し、大きくない場合には大きくなるまで待ってステップSD115へ移行する。
●[ステップSD115]保圧を終了する。
●[ステップSD116]サイクルを終了する。
●[ステップSD117]本サイクル回数終了か否か判断し、本サイクル回数終了でない場合にはステップSD110へ戻り次の回の成形サイクルに進み、本サイクル回数終了の場合には処理を終了する。
【0056】
上述したアルゴリズムの処理を図1に示される射出成形機において実行することによって、成形品質との相関が強くなるタイミングにおいては、射出圧力やスクリュ位置などの射出成形に係る物理量を制御して安定化することにより、成形品質そのものを向上することが可能な、相関係数算出機能を有する射出成形機の制御装置を提供することができる。
なお、上述したステップSB108およびステップSC108において相関係数の絶対値が最大となる時刻を算出したが、相関係数の絶対値が最大となる値として例えば、ピーク値を選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 シリンダ
2 ノズル
3 スクリュ
4 ホッパ
5 圧力センサ
6,7 伝動機構
8 変換機構
10 制御装置
11 サーボアンプ
12 サーボアンプ
13 ROM
14 RAM
15 サーボCPU
16 A/D変換器
17 PMCCPU
18 ROM
19 RAM
20 CNCCPU
21 ROM
22 RAM
23 成形データ保存用RAM
24 表示回路
25 表示装置付き入力装置
26 バス
Penc1 位置・速度検出器
Penc2 位置・速度検出器
M1 射出用サーボモータ
M2 スクリュ回転用サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形に係る物理量を所定サンプリング時間間隔で検出する物理量検出手段と、該物理量検出手段によって検出した物理量を前記所定サンプリング間隔の時系列データとして複数サイクルにわたって記憶する物理量記憶手段と、成形品質データを検出する成形品質データ検出手段と、該成形品質データ検出手段によって検出した成形品質データを複数サイクルにわたって記憶する成形品質データ記憶手段と、を備えた射出成形機の制御装置であって、
前記物理量記憶手段によって記憶した物理量の時系列データのうち、各ショット間の同一時刻における物理量と、前記成形品質データ記憶手段によって記憶した各ショット間の成形品質データとの相関係数を、前記同一時刻における相関係数として算出する相関係数算出手段を備え、
前記相関係数算出手段によって前記所定サンプリング時間間隔の時刻ごとに相関係数を逐次算出することを特徴とする射出成形機の制御装置。
【請求項2】
前記相関係数算出手段によって逐次算出された相関係数の絶対値が最大となる時刻を求め、該求めた時刻における射出成形に係る物理量に基づいて、成形品の良否判別を行うことを特徴とする射出成形機の制御装置。
【請求項3】
前記相関係数算出手段によって逐次算出された相関係数の絶対値が最大となる時刻を求め、該求めた時刻における射出成形に係る物理量に基づいて、射出保圧切替位置または射出速度切替位置を補正することを特徴とする射出成形機の制御装置。
【請求項4】
前記相関係数算出手段によって逐次算出された相関係数の絶対値を所定値と比較し、該逐次算出された相関係数の絶対値が所定値以上となる区間を求め、該区間において射出成形に係る物理量のフィードバック制御を行うことを特徴とする射出成形機の制御装置。
【請求項5】
前記射出成形に係る物理量は、射出圧力、スクリュ位置、スクリュ速度、型内圧力、エジェクタ位置、エジェクタ推力、型盤位置、型盤推力、金型パーティング面間隔、型締め力、金型温度のうち何れか一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項6】
前記成形品質データは、成形品そのものから検出された直接的に成形品質を評価可能なデータ、あるいは、成形プロセス中の物理量から検出され、間接的に成形品の品質を評価可能なデータであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置。
【請求項7】
前記逐次算出された相関係数を波形として画面に表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の射出成形機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【公開番号】特開2011−152700(P2011−152700A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15347(P2010−15347)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】