説明

省電力通信方法及び省電力通信システム

【課題】必要とされる品質を維持しつつ省電力化を実現できると共に、部品の損傷を引き起こすことなく信号伝送を即座に開始できる省電力通信方法及びシステムを提供する。
【解決手段】第1の送受信装置100が、第1の信号を送信し、第2の送受信装置200が、第1の信号を受信し、該第1の信号の誤り率を計測し、該誤り率に対応する情報を含む第2の信号を送信し、第1の送受信装置100が、第2の信号を受信し、第2の信号に基づいて、第1の信号のエネルギーを調節し、エネルギーの調節は、第1の送受信装置100が、第2の信号に基づいて、第2の送受信装置200によって計測される誤り率が所定の目標誤り率を超えない範囲内で、第1の信号のエネルギーを最小化する調節を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送における省電力化を実現する省電力通信方法及び省電力通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ファイバを用いて光信号を伝送する光通信システムにおいては、送信装置から送信すべきデータ(伝送したい情報)を光信号として送信するデータ伝送期間(第1の期間)だけでなく、第1の期間以外の期間(第2の期間)にも、マーク率が0.5となるように符号化した光信号を送信装置から送信する。ここで、マーク率Rmは、送信装置の発光部が発光している期間(光信号レベルが‘1’の期間)t1と送信装置の発光部が発光していない期間(光信号レベルが‘0’の期間)t0を用いて次式で定義される。
Rm=t1/(t0+t1)
【0003】
データ伝送期間(第1の期間)以外の第2の期間に、符号化した光信号を伝送しないようにすれば、光通信システムの電力消費を削減できるので、第2の期間にマーク率0.5で光信号を伝送することは電力の無駄遣いであるようにも思える。しかし、第2の期間に光信号を伝送し続けることは、以下の理由1〜3により必要である。
【0004】
〔理由1〕一般に、光通信システムを構成する受信装置及び中継器は、光信号を受信できない場合に、伝送線路の不具合(例えば、光ファイバの切断)又は送信装置の故障が発生したと判断して、警報を出力したり又は伝送線路を予備系統に切り替えたりする手段を備えている。
【0005】
〔理由2〕光通信システムの受信装置は、通信開始前に、(動作1)受信する光信号のレベル(‘1’又は‘0’)を判定するために用いる閾値レベルの決定、(動作2)クロック同期、(動作3)フレーム同期、(動作4)通信方式の確認、(動作5)フレームレベルでの通信品質(ビット誤り率)の確認、(動作6)接続相手先機器の確認及び認証、(動作7)伝送フレームのパスIDの確認というような一連の動作を実行するので、受信する光信号がない状態において光信号が入力されたときに、即座に通信を再開できない。
【0006】
〔理由3〕光通信システムの中継器などで用いられる光励起型光増幅器(例えば、EDFA(エルビウム添加ファイバ増幅器)など)は、入力される光信号がない状態において光信号が急に入力されると、光励起型光増幅器に蓄積された励起状態の光子が、外部からの光子の瞬間的な増幅に使用され、極めて強い光を出力する特性があるので、光信号が急に入力されたときに光ファイバや光部品を損傷するおそれがある。
【0007】
また、例えば、特開平6−29927号公報(特許文献1)には、光信号を停止する前に、送信装置が停止予告通知を送信し、次に、受信装置が確認信号(Ack)を送信し、送信装置が確認信号を受信した後に、光信号を停止する光伝送方式が開示されている。このような手順を踏むことで、受信装置は、光入力断(光信号の停止)が障害によるものではないと判断できるので、警報の発報を回避でき、且つ、マーク率0.5で光信号を伝送し続けることによる電力消費を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−29927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、上記理由2で説明した状況、すなわち、受信する光信号がない状態において光信号が入力され始めたときに、即座に通信を再開できないという課題を解決できない。
【0010】
また、特許文献1に開示された技術では、上記理由3で説明した状況、すなわち、中継器などで用いられる光励起型光増幅器が瞬間的に極めて強い光を出力し、光ファイバや光部品を損傷するおそれがあるという課題を解決できない。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、信号伝送に際して必要とされる品質を維持しつつ省電力化を実現できると共に、部品の損傷を引き起こすことなく信号伝送を即座に開始できる省電力通信方法及び省電力通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る省電力通信方法は、第1の送受信装置が、第1の信号を送信するステップと、第2の送受信装置が、前記第1の信号を受信し、該第1の信号の品質を示す値を計測し、該品質を示す値に対応する情報を含む第2の信号を送信するステップと、前記第1の送受信装置が、前記第2の信号を受信するステップと、前記第2の信号に基づいて、前記第1の信号のエネルギーを調節するステップとを有し、前記エネルギーを調節するステップは、前記第1の送受信装置が、前記第2の信号に基づいて、前記第2の送受信装置によって計測される前記品質を示す値が所定の目標品質レベルを満たす範囲内で、前記第1の信号のエネルギーを最小化する調節を行うステップを含むことを特徴としている。
【0013】
本発明に係る省電力通信システムは、第1の信号を送信する第1の送受信装置と、前記第1の信号を受信し、該第1の信号の品質を示す値を計測し、該品質を示す値に対応する情報を含む第2の信号を送信する第2の送受信装置と、前記第2の信号に基づいて、前記第1の信号のエネルギーを調節する調節手段とを有し、前記調節手段は、前記第2の信号に基づいて、前記第2の送受信装置によって計測される前記品質を示す値が所定の目標品質レベルを満たす範囲内で、前記第1の信号のエネルギーを最小化する調節を行う手段であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信号伝送に際して必要とされる品質を維持しつつ省電力化を実現できると共に、信号伝送を即座に開始でき、部品の損傷を引き起こすおそれが少ないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る省電力通信システムの一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る省電力通信システムの一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る省電力通信システムの他の例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図4】多重フレームフォーマットの一例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る省電力通信システムの一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る省電力通信システムの一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る省電力通信システムの一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る省電力通信システム(第1の実施形態に係る省電力通信方法を実施することができるシステム)の一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。なお、第1の実施形態に係る省電力通信方法は、光通信システム以外の無線又は有線の通信システムにも適用可能である。
【0017】
図1に示されるように、第1の実施形態に係る光通信システムは、少なくとも、第1の送受信装置100と、第2の送受信装置200とを有するシステムである。第1の送受信装置100と第2の送受信装置200は、伝送線路311及び中継増幅手段312を経由して、又は、伝送線路321及び中継増幅手段322を経由して、通信を行う。ただし、伝送線路321が十分短い場合には、中継増幅手段312及び中継増幅手段322を備える必要はない。
【0018】
第1の送受信装置100は、第1の送信部110と、第1の受信部120と、伝送信号入力手段111とを有している。第1の送信部110は、送信制御手段112と、符号化手段113と、光信号送信手段114とを有している。符号化手段113は、伝送するデータの入力元である伝送信号入力手段111と、使用すべき符号情報の入力元である送信制御手段112と、符号化された信号の出力先である光信号送信手段114とに接続される。ここで、送信制御手段112と符号化手段113とは、信号線115で接続される。ただし、第1の送受部110に符号化された信号が入力される場合には、符号化手段113を備える必要はない。光信号送信手段114は、符号化手段113と、出力する光信号の波形(強度や変調方法など)に関する制御情報の入力元である送信制御手段112と、変調した光信号を出力する伝送線路311とに接続される。ここで、送信制御手段112と光信号送信手段114とは、信号線116で接続される。
【0019】
第2の送受信装置200は、第2の送信部210と、第2の受信部220と、伝送信号出力手段221とを有している。第2の受信部220は、受信制御手段222と、復号化手段223と、光信号受信手段224とを有している。また、受信制御手段222は、受信した信号の品質を示す値を計測する品質計測手段の一例である誤り率計測手段225を有している。誤り率計測手段225は、受信制御手段222の一部でもよいが、受信制御手段222とは別個の構成であってもよい。また、誤り率計測手段225は、第2の受信部220が受信する信号の品質を示す値を計測できる他の手段に置き替え可能である。
【0020】
第2の受信部220は、光信号の入力元である伝送線路311と、受信に必要な変調方法などの制御情報の入力元である受信制御手段222と、受信したデータを出力する復号化手段223とに接続される。復号化手段223は、光信号受信手段224と、符号情報などのような復号に必要な情報の入力元であり、復号した伝送情報の一部又は全部を出力する受信制御手段222と、復号した伝送情報を出力する伝送信号出力手段221とに接続される。受信制御手段222は、光信号受信手段224と、復号化手段223と、伝送情報の誤り率を計測し、計測した誤り率に関する情報(誤り率に対応する情報であり、以下「誤り率情報」ともいう。)を出力する第2の送信部210とに接続される。
【0021】
第2の送信部210は、伝送線路321を介して第1の受信部120に接続される。第1の受信部120は、第2の送信部210から、光信号送信手段114から光信号受信手段224までの伝送区間の品質情報として、例えば、誤り率情報を受信して、送信制御手段112に出力する。なお、伝送線路321の途中には、中継増幅手段322を備えてもよい。第1の受信部120及び第2の送信部210はそれぞれ、第2の受信部220及び第1の送信部110と同様の構成を有してもよい。ただし、第1の受信部120及び第2の送信部210は、第2の受信部210で計測された誤り率情報を、第1の送信部110に伝達できる構成であれば、異なる構成であってもよい。なお、第1の送信部110及び第2の受信部220を構成する各手段は、図示の構成に限定されず、種々の変形が可能である。
【0022】
従来の光通信システムは、誤り率を最小にすることを、目標関数とする制御や符号化を行い、送信手段からの光信号の出力強度を調節し、中継増幅手段による光信号増幅率を調節していた。第1の実施形態に係る光通信システムは、誤り率などの品質に関する目標値(以下「目標誤り率」とも言う)を満たす品質で入力された信号を伝送して出力することを条件とするが、従来とは異なり、誤り率を最小化する制御ではなく、許容される誤り率の範囲で消費電力を最小化する制御を行う。したがって、第1の実施形態に係る光通信システムは、許容される誤り率の範囲で消費電力最小化を目標とする動作を実現するのに必要な構成を有している。なお、光通信システムにおいて指定される目標誤り率は、マージンを含めて設定された値であってもよい。
【0023】
次に、第1の実施形態に係る光通信システムの動作と、そのような動作によって省電力化が実現できる理由を説明する。図1において、伝送信号入力手段111から入力された信号は、符号化手段113により符号化処理される。符号化手段113の符号化処理によって生成された信号列は、受信側(図1においては、第2の受信部220)で誤り率を評価できる符号となっていることが必要である。入力時に、何らかの符号化が既に行われている場合、符号化手段113は省略可能である。ただし、その場合であっても、既に行われている符号化によって、受信側(図1における第2の受信部220)で誤り率を評価できる符号となっていることが必要である。
【0024】
符号化手段113による符号化としては、例えば、SDH(同期デジタルハイアラーキー)など、既存のフレーミングを用いた符号化を用いることができる。なお、本願において、「符号化処理」という用語は、フレーミングをも含む処理を意味する。また、第1の実施形態に係る光通信システムは、第1の送受信装置100として、伝送信号入力手段111を複数備え、複数の伝送信号を多重化する手段を備え、多重化された信号を符号化(フレーミングを含む)するSDH多重装置を用いてもよい。符号化手段113からの信号は、光信号送信手段114で光信号に変調されて出力され、光ファイバ及び光素子などからなる伝送線路311を通って第2の受信部220に送られる。伝送距離が送受信可能な距離を越える場合には、中継増幅装置311で光信号の信号強度が増幅される。
【0025】
第2の受信部220においては、光信号受信手段224で光信号を受信し、復号化手段223で復号化を行った後、復号化された信号が伝送信号出力手段221から出力される。なお、光信号受信手段224が受信する光信号が多重化された信号である場合には、第2の受信部220には、多重化された信号を分離する手段を備える必要がある。復号された信号の全部又は制御に必要な情報は、受信制御手段222に送られる。受信制御手段222内に備えられた誤り率計測手段225は、品質指標の1つである誤り率を計測する。誤り率は、光信号受信手段224で受信されたすべての信号についての誤り率、又は、受信された信号の一部についての誤り率であってもよい。受信制御手段222は、計測された誤り率に関する情報である誤り率情報を第2の送信部210に送る。第2の送信部210は、誤り率情報を伝送線路321を介して第1の受信部120に送り、第1の受信部120は、受信した誤り率情報を第1の送信部110の送信制御手段112に送る。送信制御手段112は、誤り率情報に基づいて光信号送信手段114などを制御する。
【0026】
送信制御手段112は、例えば、受信側(第2の送受信装置200)から通知された誤り率情報を参照し、目標品質レベルを満たす(目標誤り率を超えない)範囲内で、消費電力を最小にするように光信号送信手段114を制御する。具体的な制御方法としては、送信制御手段112は、第2の受信部220で計測された誤り率が、目標誤り率より低い場合、光信号送信手段114の発光部(図示せず)からの発光出力の強度を僅かに(例えば、所定値だけ)低下させ、このような調節動作を繰り返し行い、計測された目標品質レベルから外れた(誤り率が目標誤り率を超えた)場合、光信号送信手段114の発光部(図示せず)からの発光出力の強度を上げる。光送信出力強度を調節する上記制御は、光信号送信手段114が、光送信信号に周波数チャープを与えて送信するプリチャープ送信を実行する場合にも、適用できる。
【0027】
また、入力トラヒックが少ない場合には、本来定められた帯域以外の空いた帯域を用いることができるので、符号化手段113で誤り訂正符号における冗長度を上げることによって誤り訂正性能を高めた上で、光信号を冗長度を上げる前に比べてより低い強度(出力光パワー)で、本来定められた帯域及び空いていた帯域の両方を用いて送信し、受信側で誤り訂正符号を用いて誤り訂正を施すことで所望の品質を得るようにしてもよい。この制御では、例えば、伝送信号入力手段111にてトラヒック量を計測し、その情報を送信制御手段112に転送する。そして、送信制御手段112で利用可能な帯域に応じた適切な冗長度を求められ、それに従った誤り訂正符号で符号化を行うように、誤り訂正符号の冗長度を変更する制御信号が、信号線115を経由して符号化手段113に送られる。同時に、送信制御手段112から、送信光強度を調整する(冗長度を上げた場合、光強度を下げる)制御信号が、信号線116を経由して光信号送信手段114の光信号送信手段114に送られる。復号化方法や冗長度に関する制御情報は、送信制御手段112と受信制御手段222の間で直接的に通信を行う方法をとっても良いし、誤り訂正符号の中にそれらの情報を埋め込んでも構わない。なお、使用する空き帯域に関して、伝送する信号と同一のペイロードを用いるだけでなく、例えば、後述する図4及び図4に関する説明文のように、複数のチャネルの信号を多重して送信する場合、他のチャネルに空き帯域があれば、これを用いても良い。また、このような制御の実現に当たっては、第1の送信部110だけでなく、第2の受信部220に含まれる前置型光増幅手段(図示せず)や、光信号受信手段における電気的増幅手段、復号化手段の誤り訂正制御、中継増幅手段312の制御手段は光信号受信手段における出力を制御し、これらの消費電力も含めたトータルの消費電力を最小化することが望ましい。すなわち、光信号送信手段114及び中継増幅手段312の出力光パワーを下げる組合せと、出力光パワーを下げた各場合における誤り率との関係を示す情報を、例えば、マトリクスとして予め作成してシステム内に記憶しておき、誤り率が目標誤り率以下となる範囲で合計の消費電力を最小とする組合せで動作させる。消費電力を最小とする組合せは、実験結果に基づいて、及び/又は、シミュレーションに基づいて求めることができる。
【0028】
また、受信制御手段222が計測する品質を示す値は、誤り率に限らず、波形モニタなどで測定される光信号のS/N比やアイ開口比、誤り訂正符号による誤り訂正を行う前の誤り率などの、別の指標であってもよい。このように、誤り率を上昇させている原因を把握して、制御の最適化を図ることが、省電力の最大化を実現する上で望ましい。
【0029】
誤り率が、目標誤り率を僅かに下回る値である場合、例えば、波形モニタで計測して、光信号のパワーが不足してS/Nが劣化していることが原因で送信側の強度を上げるべきなのか、出力光パワーを下げたことによって非線形効果が弱まったため、設計時の予測波形よりも波形が崩れたことが原因でプリチャープ波形を修正すべきであるのかに応じて、誤り率を向上させるための制御方法を切替えてもよい。また、受信制御手段222の計測データを、第1の送信部110に誤り率情報として送る代わりに、他の品質情報(例えば、誤り率情報に基づく指令信号など)を送信してもよい。
【0030】
また、送信制御手段112が信号線115を介して行う符号化手段113の制御は、使用する符号を指示する制御だけでなく、第1の送信部110から第2の受信部220に各種制御情報を転送するための制御をも含む。さらに、第1の実施形態における省電力化のための制御方法は、単独で利用することができるが、従来の省電力化のための制御方法と組み合わせて利用することもできる。
【0031】
以上に説明したように、第1の実施形態に係る省電力通信方法及び省電力通信システムを用いれば、信号伝送に際して必要とされる品質を維持しつつ省電力化を実現できる。
【0032】
第2の実施形態.
図2は、本発明の第2の実施形態に係る省電力通信システム(第2の実施形態に係る省電力通信方法を実施することができるシステム)の一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。図2において、図1に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。第2の実施形態に係る光通信システムは、第1の送受信装置100aの第1の送信部110aの符号化手段113aが、省電力を実現する手段として送信制御手段112からの制御でマーク率を変更可能なマーク率変更手段117を有している点が、第1の実施形態に係る光通信システムと相違する。なお、第2の実施形態に係る省電力通信方法は、光通信システム以外の無線又は有線の通信システムにも適用可能である。
【0033】
光ファイバを用いて光信号を伝送する多くの光通信システムにおいては、第1の送受信装置100aから送信すべきデータ(伝送したい情報)を光信号として送信するデータ伝送期間(第1の期間)だけでなく、第1の期間以外の期間(第2の期間)にも、マーク率が0.5となるように符号化した光信号を送信装置から送信する。第1の実施形態においては、第2の受信部220が受信信号の品質を示す値である誤り率を計測し、目標誤り率を満たす範囲で、第1の送信部110a、中継増幅手段312、第2の受信部220における前置増幅手段(図示せず)のいずれか1つ以上の消費電力を下げる方法、例えば、第1の送信部110が出力する光信号強度を下げる方法を説明した。これに対し、第2の実施形態においては、第1の送信部110aの消費電力(エネルギー)を低下させる方法として、送信する光信号のマーク率を0.5未満とする方法を採用する。
【0034】
多くの光通信用符号は、ビット同期の安定性、閾値電圧の一定化、雑音帯域をローパスフィルタで削除する、直流成分の力ツトなどを目的として、目標マーク率を0.5とする伝送が行われている。入力データがなく、符号化データとして‘1’又は‘0’が続く場合であっても、マーク率が0.5となるように、スクランブルが行われている。
【0035】
しかし、マーク率が0.5よりも小さい符号で送信できるならば、より少ないエネルギーで送信可能となる。そこで、第2の実施形態に係る光通信システムの第1の送受信装置100aは、マーク率が0.5未満となる符号を用いて送信する、又は、入力がないときにスクランブルをかけずにデータ‘0’を送信する。この場合の課題は、一般にマーク率が0.5未満では、伝送時の誤り率がマーク率0.5の場合より高くなるということである。
【0036】
そこで、第2の実施形態においては、受信側(第2の受信装置220)で誤り率を計測し、計測された誤り率情報を送信側(第1の送信装置110a)に通知して、必要な品質(例えば、目標誤り率)を満たす範囲でマーク率を調整し、消費電力を下げた通信を行う。具体的には、第1の送信装置110aは、誤り率が目標誤り率を超えない範囲内で、マーク率変更手段117において、マーク率を少しずつ下げる。マーク率を下げることによって消費電力を下げることができるが、マーク率の減少量に応じて、第2の受信部220の誤り率計測手段225で計測される誤り率が上昇(悪化)すると考えられる。誤り率計測手段225で計測された誤り率に関する情報は、伝送線路321及び第1の受信部120経由で第1の送信部110aに伝えられ、第1の送信部110aは、受信側で計測される誤り率が、要求品質を下回らないように(目標誤り率を超えないように)でマーク率を下げる。第1の送信部110aに伝えられる情報は、誤り率そのものではなく、マーク率を操作するのに必要な情報であれば、マーク率そのもの以外の情報(例えば、制御命令)であってもよい。
【0037】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る省電力通信システムの他の例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。図3において、図2に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。市販されている既存の多重伝送装置などにおいては、スクランブル機能を外すことができないものがある。図3においては、既存の送受信装置に、既存の符号化機能手段が内蔵されており、自動的にスクランブルされている。そこで、図3に示す構成の符号化手段113aにおいては、既存符号化機能による符号化が行われると、マーク率が0.5より小さくなるような変換の符号化を行い、マーク率を0.5未満としている。
【0038】
図4は、多重フレームフォーマットの一例を示す図である。図4に示されるように、市販されている既存のSDH多重伝送装置(例えば、図4の符号401)においては、例えば、2.5Gbit/secの信号4入力(CH1〜CH4)を、10Gbit/secの信号1出力となるように多重して出力する構成を採用している。このような多重伝送装置においては、CH1〜CH4の4ch中の1chが未使用となる場合が頻繁に発生する。そのような場合、未使用CH成分のマーク率を0.5よりも小さくして送信することで、消費電力を下げることができる。具体的には、図4に示されるように、8ビット毎にCH1〜CH4の信号を多重して伝送するが、CH3とCH4の入力がない場合、CH3の全ビットとCH4の前半4ビットを‘0000’として、CH4の後半4ビットを‘1010’の固定パターンとしている。最後の4ビットを‘1010’としているのは、送信すべきデータが存在するCH1のデータ列の直前のビット列(CH4の後半4ビット)のマーク率を0.5とすることで、CH4の後半4ビットに続くCH1のデータ列の信号を安定的に受信できる。詳細に言えば、送信すべきデータが存在するCH1のデータ列の直前のビット列(CH4の後半4ビット)のマーク率を0.5とすることで、受信する光信号がない状態において光信号が入力され始めたときに、即座に通信を再開できないという従来の課題、及び、中継器などで用いられる光励起型光増幅器が瞬間的に極めて強い光を出力し、光ファイバや光部品を損傷するおそれがあるという課題を解決できる。
【0039】
また、STM(同期転送モジュール)1信号を64多重するSTM64信号を用いるシステムの場合には、マーク率を0.5未満にする方法として、使用していないSTM1信号のペイロード部分をマーク率が低い信号とする方法を用いてもよい。
【0040】
以上に説明したように、第2の実施形態に係る省電力通信方法及び省電力通信システムを用いれば、マーク率を下げても誤り率などの要求品質を満たす通信が可能であり、必要とされる品質の通信を行いながら消費電力を最小化することが可能となる。また、第2の実施形態に係る省電力通信方法及び省電力通信システムを用いれば、信号伝送を即座に開始でき、部品の損傷を引き起こすおそれが少ないという効果もある。
【0041】
第3の実施形態.
図5は、本発明の第3の実施形態に係る省電力通信システム(第3の実施形態に係る省電力通信方法を実施することができるシステム)の一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。図5に示されるように、第3の実施形態に係る光通信システムは、第1又は第2の実施形態に係る光通信システムと同様のシステムを2系統(501及び502)用意し、その前段に複製機能手段503を配置し、後段に制御手段504と選択手段505を配置した構成を有している。なお、第3の実施形態に係る省電力通信方法は、光通信システム以外の無線又は有線の通信システムにも適用可能である。
【0042】
第3の実施形態に係る光通信システムは、1+1プロテクション伝送方式を採用する1+1プロテクションシステムと呼ばれる高信頼伝送方式のシステムである。1+1プロテクションシステムにおいては、送信元から、受信先への伝送線路と送受信装置を2系統用意し、通常は2系統で情報を伝送する。また、1+1プロテクションシステムの一方の系統と他方の系統とは、独立に送信のエネルギーを調節する手段(図示せず)を有する。そのため、伝送線路又は送受信装置の1個に障害(故障)が発生した場合であっても、制御手段504で障害を検出し次第、正常に動作している他の系統を使用するように選択手段505を切り替えることで、あたかも障害が発生しなかったかのように動作させることができる。また、このとき、選択した系統の誤り率を目標誤り率以下になるように調節することもできる。第3の実施形態においては、1+1プロテクションシステムにおいて、例えば、以下の2種類の方法1及び2を用いることで、信号伝送における省電力化を実現することもできる。
【0043】
(方法1)図5に示されるように、システム501のA1系をデータ送信に使用する系統としているとき(すなわち、A1系が運用系統であるとき)に、予備系統であるシステム502のA2系においてはマーク率や光信号強度を下げてデータを送信し、運用系統であるシステム501のA1系における障害を制御手段504が検出し次第、運用系統をシステム502のA2系に切り替えて、運用系統になったシステム502のA2系におけるマーク率や光信号強度を上げる。なお、システム501のA1系及びシステム502のA2系の品質として、システム501のA1系が運用系統として信号送信をしているときに、
・システム501のA1系における送信信号を最高品質とし、システム502のA2系における送信信号は要求品質を僅かに超える品質(目標誤り率を僅かに下回る誤り率)とする方法と、
・システム501のA1系における送信信号が要求品質を僅かに超える品質(目標誤り率を僅かに下回る誤り率)とし、システム502のA2系における送信信号を要求品質を下回る品質(目標誤り率を僅かに超える)とする方法とがある。
【0044】
(方法2)図5に示されるように、システム501のA1系における送信信号及びシステム502のA2系における送信信号のいずれも、目標誤り率を僅かに上回る、又は、目標誤り率を僅かに下回る目標誤り率を僅かに下回る誤り率とし、システム501のA1系で誤りがあった場合、システム502のA2系の情報を転送することで、送信を実現できるようにする方法がある。
【0045】
以上に説明したように、第3の実施形態に係る省電力通信方法及び省電力通信システムを用いれば、1+1プロテクションシステムにおいて、必要とされる品質の通信を行いながら消費電力を最小化することが可能となる。
【0046】
第4の実施形態.
図6は、本発明の第4の実施形態に係る省電力通信システム(第4の実施形態に係る省電力通信方法を実施することができるシステム)の一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。図6に示されるように、第4の実施形態に係る光通信システムは、第1の実施形態に係る光通信システムに示される第1の送信部110及び第2の受信部210の組を1波長の光信号の送受信に使用し、この組をN組(Nは正の整数)並べて各々異なる光波長の信号で送受信する波長多重伝送システムである。なお、第4の実施形態に係る省電力通信方法は、光通信システム以外の無線又は有線の通信システムにも適用可能である。
【0047】
第4の実施形態に係る省電力通信システムの基本的な動作は第1の実施形態に係る省電力通信システムの動作と同様である。第4の実施形態においては、波長多重伝送を実現するため、各送信部A1〜ANに内蔵される光送信デバイス(図示せず)が出力する光信号の波長は互いに異なる波長とする。また、各送信部A1〜ANに内蔵される送信デバイス(図示せず)が出力波長可変式のデバイスである場合には、互いに異なる波長となるように設定する。出力された光信号は光合波手段801で合波し、1本の光ファイバ802,804で伝送する。ただし、プロテクションシステムを構成する場合には、光ファイバを2系統以上使用してもよい。また、必要に応じて、中継増幅手段803を備えてもよい。受信側においては、光分離手段805を用いて、多重された光信号を波長毎に分離し、分離された各波長の光信号を第2の受信部B1〜BNに導く。第2の受信部B1〜BNにおいては信号の品質を示す値である誤り率を計測し、計測結果を誤り率情報として、第2の送信部210から伝送線路321を経由して、第1の受信部120に送信する。この情報は、第1の送信部A1〜ANに送られ、要求品質を下回らない(すなわち、目標誤り率を超えない)範囲で、出力光強度を下げる制御、及び/又は、マーク率を下げる制御を行い消費電力を最小化する。
【0048】
また、光波長によって、光ファイバでの吸収特性や、増幅器における増幅特性が異なるので、同一の品質(誤り率)を達成する消費電力は異なる。そこで、データを送信する際には、消費電力を最も少なくできる波長の送信部及び受信部の組を優先的に使用し、消費電力を2番目に少なくできる波長の送信部及び受信部の組を次に使用し、以下同様に、消費電力をより少なくできる波長の送信部及び受信部の組を優先的に使用する。この制御は、送信部及び受信部の各組ごとの消費電力を計測する手段(図示せず)と、この計測結果に基づいて、優先的に使用する送信部及び受信部の組を選択する手段(図示せず)とによって実行される。
【0049】
図6の構成においては、第2の受信部B1〜BNで受信されたすべての誤り率情報を集約して、第2の送信部210と第1の受信部120の1つの組で送受信しているが、第2の送信部と第1の受信部の複数の組を用いて伝送するように構成してもよい。また、第2の受信部B1〜BN側から第1の送信部A1〜AN側に送信する情報は、誤り率情報そのものではなく、光強度やマーク率を上げる/下げるというような制御情報であってもよい。なお、このことは、すべての実施形態について当てはまる。また、第4の実施形態は、光波長多重ではなく、光符号多重(OCDMA)伝送でもよく、その場合には、送信部A1〜AN、受信部B1〜BN、光合波手段801や光分波手段805を光符号多重用のものに置き換える必要がある。
【0050】
以上に説明したように、第4の実施形態に係る省電力通信方法及び省電力通信システムを用いれば、光波長多重伝送系において、必要とされる品質の通信を行いながら消費電力を最小化することが可能となる。
【0051】
第5の実施形態.
図7は、本発明の第5の実施形態に係る省電力通信システム(第5の実施形態に係る省電力通信方法を実施することができるシステム)の一例としての光通信システムの構成を概略的に示す図である。図7に示されるように、第5の実施形態に係る省電力通信システムは、複数の送受信装置901〜905(送信部及び受信部の両方を含む装置であって、第1〜第4の実施形態における送受信装置に対応する。)と、複数のクロスコネクト手段(XC)911〜915と、これらの構成を制御及び管理するネットワークエレメント制御管理手段(例えば、NE−OpS:Network Elements Operation System手段)920とを有している。なお、図7には、光中継増幅手段を図示していないが、必要に応じて各手段を結ぶ光ファイバ上、及び/又は、クロスコネクト手段や送受信装置の前後に、光中継増幅手段を実装してもよい。また、図7には、複数の送受信装置901〜905の伝送信号入力手段(図1における符号111)及び伝送信号出力手段(図1における符号221)を図示していないが、実際には、送受信装置の前後、又は、送受信装置内に備えられている。
【0052】
また、図7には、第5の実施形態に係る省電力通信システムの理解を助けるため、伝送信号入出力手段の先に接続される装置であるルータ手段931〜935と、ルータ手段931〜935の先に接続される装置である家庭用のPC端末941〜944及び企業LAN951〜954と、通販サーバ961や動画配信サーバ962とが図示されている。これらのサーバ、PC、LANは、専用線、ADSL回線、光アクセス回線などで接続される。
【0053】
第5の実施形態に係る光通信システムは、基本的には第1〜第4の実施形態と同様の動作をさせるが、送受信装置間を接続する経路が複数存在する点が異なる。例えば、送受信装置901と送受信装置904とが通信する際には、途中の経路として、クロスコネクト手段であるXC911とXC914とXC913を結ぶ径路や、XC911とXC915とXC914とXC912とXC913とを結ぶ径路など、多数の経路が存在する。また、送受信装置901内に複数の送受信部が存在し、一方の送受信部は送受信装置902と通信し、他方の送受信部は送受信装置903と通信することも可能である。また、送受信装置901と送受信装置904の間では直接的な通信が行われておらず、送受信装置901と送受信装置903との間、送受信装置903と送受信装置905との間で通信が行われている場合、送受信装置901と送受信装置905との間の通信を、送受信装置903に接続されているルータ手段933経由で通信することも可能である。このような網においては、通信する送受信装置の組、及び、通信経路によって、通過するXC911〜915や中継増幅手段(図7には図示せず)の段数が異なり、消費電力が異なる。そこで、実際にユーザ信号を送信する前に、各送受信装置間で通信すべきトラヒック量を計算したり、シミュレーションによって予測したり、実測したりして、それらの結果に基づいて、必要なトラヒックを転送するために予備系統に必要な資源も含めて、どの送受信ノード間で、どの経路で通信するのが、消費電力最小となるかを判断する。そして、制御管理手段920は、これらの判断結果に基づいて、通信に使用する径路を決定して、決定された径路で通信を行う。通信トラヒックは常に変動しているため、制御管理手段920は、通信トラヒックは、常に変動しているため、トラヒック量に応じて送受信装置の組と通信経路を変更(あるいは、削除又は追加)し、省電力に最適な資源割当を行う。また、使用する送受信装置に第1〜第4の実施形態のものが含まれる場合には、各送受信装置による省電力化の能力を生かすように、制御管理手段920は、各送受信装置の情報を蓄積し、計算に使用することが望ましい。
【0054】
具体的な運用方法の例としては、制御管理手段920が、ルータ手段931〜935で観測したトラヒック量のデータを収集・集計し、最適な利用資源を算出する。算出結果に基づいて、ルータ手段931〜935、送受信装置901〜905、XC911〜915の設定を変更する、という方法を用いることができる。第5の実施形態は、消費電力が最小となる資源を使用するだけでなく、使用する送受信装置901〜905を第1〜第4の実施形態のいずれかに示された装置とすることによって、消費電力をさらに低下させることができる。
【0055】
以上に説明したように、第5の実施形態に係る省電力通信方法及び省電力通信システムを用いれば、必要なトラヒックを収容して通信することが可能で、かつ、必要な通信品質を満たし(目標誤り率を超えず)、より少ない消費電力で運用可能な光ネットワークを実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
100,100a 第1の送受信装置、 110,110a 第1の送信部、 111 伝送信号入力手段、 112 送信制御手段、 113,113a 符号化手段、 114 光信号送信手段、 117 マーク率変更手段、 120 第1の受信部、 200 第2の送受信装置、 210 第2の送信部、 220 第2の受信部、 221 伝送信号出力手段、 222 受信制御手段、 223 復号化手段、 224 光信号受信手段、 225 誤り率計測手段、 311,321 伝送線路、 312,322 中継増幅手段、 501,502 光通信システム、 503 複製機能手段、 504 制御手段、 505 選択手段、 901〜905 送受信装置、 911〜915 クロスコネクト手段(XC)、 920 制御管理手段、 931〜935 ルータ手段、 941〜944 PC端末、 951〜954 企業LAN、 961 通販サーバ、 962 動画配信サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送受信装置が、第1の信号を送信するステップと、
第2の送受信装置が、前記第1の信号を受信し、該第1の信号の品質を示す値を計測し、該品質を示す値に対応する情報を含む第2の信号を送信するステップと、
前記第1の送受信装置が、前記第2の信号を受信するステップと、
前記第2の信号に基づいて、前記第1の信号のエネルギーを調節するステップと
を有し、
前記エネルギーを調節するステップは、前記第1の送受信装置が、前記第2の信号に基づいて、前記第2の送受信装置によって計測される前記品質を示す値が所定の目標品質レベルを満たす範囲内で、前記第1の信号のエネルギーを最小化する調節を行うステップを含む
ことを特徴とする省電力通信方法。
【請求項2】
前記品質を示す値は、誤り率であることを特徴とする請求項1に記載の省電力通信方法。
【請求項3】
前記第1の送受信装置が、前記第1の信号を、誤り訂正符号を含む信号として生成するとともに、該誤り訂正符号の誤り訂正性能に応じたレベルに前記目標品質レベルを低下させるステップをさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の省電力通信方法。
【請求項4】
前記エネルギーを調節するステップは、前記第1の信号をマーク率0.5未満の信号にするステップを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の省電力通信方法。
【請求項5】
前記第1の信号がスクランブルされた信号列であるときに、前記エネルギーを調節するステップは、前記スクランブルされたデータ列をマーク率0.5未満の信号にすることを特徴とする請求項4に記載の省電力通信方法。
【請求項6】
前記第1の信号として、複数チャンネルを順次切替えて信号を送信する場合に、前記エネルギーを調節するステップは、送信すべきデータ列を送信するチャンネルの直前のチャンネルのデータ列の内の、最初の所定範囲のデータ列を値0のビットとし、前記最初の所定範囲のデータ列の次の最後の所定数ビットのデータ列のマーク率を0.5とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の省電力通信方法。
【請求項7】
前記第1の信号として、多重信号を送信する場合、前記エネルギーを調節するステップは、使用していないチャンネルのペイロード部分をマーク率が低い信号とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の省電力通信方法。
【請求項8】
前記第1の信号を送信するステップは、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置を含むシステムを2系統有する1+1プロテクションシステムの両方の系統で信号を送信するステップであり、
前記エネルギーを調節するステップは、前記1+1プロテクションシステムの一方の系統と他方の系統とで独立に送信のエネルギーを調節するステップであり、
前記1+1プロテクションシステムの一方の系統又は他方の系統のいずれかに切替えるステップを有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の省電力通信方法。
【請求項9】
前記系統を切替えるステップにおいて、前記一方の系統において誤り率の低い系統を選択し、選択した系統の誤り率を目標誤り率以下になるように調節することを特徴とする請求項8に記載の省電力通信方法。
【請求項10】
前記第1の信号を送信するステップは、波長多重された信号を送信するステップであり、
前記エネルギーを調節するステップは、伝送による光損失が最も少ない光波長を選択して前記第1の信号の送信に用いるステップを含む
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の省電力通信方法。
【請求項11】
前記第1の信号を送信するステップは送受信を行う経路が複数存在する、光パス網を経由して送信するステップであり、
前記エネルギーを調節するステップは、要求される通信トラヒックを伝送するのに、必要なエネルギーが最も少なくなる経路を選択するステップを含む
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の省電力通信方法。
【請求項12】
前記第1の信号が誤り訂正符号により符号化された信号であり、前記誤り訂正符号の冗長度を変更するステップを含む
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の省電力通信方法。
【請求項13】
第1の信号を送信する第1の送受信装置と、
前記第1の信号を受信し、該第1の信号の品質を示す値を計測し、該品質を示す値に対応する情報を含む第2の信号を送信する第2の送受信装置と、
前記第2の信号に基づいて、前記第1の信号のエネルギーを調節する調節手段と
を有し、
前記調節手段は、前記第2の信号に基づいて、前記第2の送受信装置によって計測される前記品質を示す値が所定の目標品質レベルを満たす範囲内で、前記第1の信号のエネルギーを最小化する調節を行う手段である
ことを特徴とする省電力通信システム。
【請求項14】
前記品質を示す値は、誤り率であることを特徴とする請求項13に記載の省電力通信システム。
【請求項15】
前記第1の送受信装置は、
前記第1の信号を、誤り訂正符号を含む信号として生成する符号化手段と
該誤り訂正符号の誤り訂正性能に応じたレベルに前記目標品質レベルを低下させる送信制御手段と
を有することを特徴とする請求項13又は14に記載の省電力通信システム。
【請求項16】
前記調節手段は、前記第1の信号をマーク率0.5未満の信号にするマーク率変更手段を含むことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の省電力通信システム。
【請求項17】
前記第1の信号がスクランブルされた信号列であるときに、前記マーク率変更手段は、前記スクランブルされたデータ列をマーク率0.5未満の信号にすることを特徴とする請求項16に記載の省電力通信システム。
【請求項18】
前記第1の送受信装置は、前記第1の信号を順次送信チャンネルを切替えて送信する手段を有し、
前記マーク率変更手段は、送信すべきデータ列を送信するチャンネルの直前のチャンネルのデータ列の内の、最初の所定範囲のデータ列を値0のビットとし、前記最初の所定範囲のデータ列の次の最後の所定数ビットのデータ列のマーク率を0.5とする
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の省電力通信システム。
【請求項19】
前記第1の信号として多重信号を送信する場合、前記マーク率変更手段は、使用していないチャンネルのペイロード部分をマーク率が低い信号とすることを特徴とする請求項16又は17に記載の省電力通信システム。
【請求項20】
前記省電力通信システムは、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置を含むシステムを2系統有する1+1プロテクションシステムであり、
前記調節手段は、
前記1+1プロテクションシステムの一方の系統と他方の系統とで独立に送信のエネルギーを調節する手段と、
前記1+1プロテクションシステムの一方の系統又は他方の系統のいずれかに切替える手段とを有する
ことを特徴とする請求項13に記載の省電力通信システム。
【請求項21】
前記系統を切替える手段は、選択した系統の誤り率を目標誤り率以下になるように調節することを特徴とする請求項20に記載の省電力通信システム。
【請求項22】
前記第1の送受信手段は、前記第1の信号として、波長多重された信号を送信する手段を有し、
前記調節手段は、伝送による光損失が最も少ない光波長を選択して前記第1の信号の送信に用いる手段を含む
ことを特徴とする請求項13乃至21のいずれか1項に記載の省電力通信システム。
【請求項23】
前記第1の送受信手段は、送受信を行う経路が複数存在する光パス網を経由して第1の信号を送信し、
前記調節手段は、要求される通信トラヒックを伝送するのに、必要なエネルギーが最も少なくなる経路を選択する管理制御手段を含む
ことを特徴とする請求項13乃至22のいずれか1項に記載の省電力通信システム。
【請求項24】
前記第1の信号が誤り訂正符号により符号化された信号であり、前記調節手段が前記誤り訂正符号の冗長度を変更する
ことを特徴とする請求項13乃至23のいずれか1項に記載の省電力通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−77757(P2011−77757A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226095(P2009−226095)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】