説明

看板用発光表示体及び、非常灯機能を有する看板用発光表示体システム及び、その照明方法

【課題】 屋外広告看板、及び屋内広告看板に適して用いる内照式看板用積層体において、停電時には、蓄光発光性物質による照明機能を発現し、しかも蓄光発光性物質を使用しながら、それでいて白色蛍光灯に近い眩い照明光を放ち、かつ長時間持続可能な看板用発光表示体と、その照明システム、それと更にその照明方法の提供。
【解決手段】 本発明の看板用発光表示体(1)、及び看板用発光表示体システム(11)は、繊維布帛(3)を基材として、その片面以上に、光伝搬性透光樹脂層(4)を設け、かつ、繊維布帛(3)と光伝搬性透光樹脂層(4)との間に、蛍光増白化合物を含む蓄光発光層(5)を設けてなる表示層(10)付き光拡散性積層体(2)を用い、この光拡散性積層体(2)の端部断面に対向して近紫外線発光ダイオード(6)を配列した照明システムとすることにより、停電時に発光ダイオード(6)をバッテリー発光させて、光伝搬性透光樹脂層(4)の端部断面から照射することによって、蓄光発光層(5)全面を白色蛍光発光させ、これを非常灯照明とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外広告看板、及び屋内広告看板に用いる内照式看板用発光表示体と、その照明方法に関するものであり、更に詳しくは、屋内外設置で使用され、夜間には内照表示される広告看板、屋号看板、店先看板、各種施設の案内標識、及びアート看板に用いる積層体に関するものであり、さらに、これらの看板用途にける停電時の非常灯機能システムと、その非常灯照明方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デパート、スーパーマケットなどの商業施設の屋上、企業の社屋・工場には遠方からの目印にもなる屋号大型看板が設置され、この大型看板は夜間照明によって昼間と同様の目印案内機能を成している。またコンビニエンスストア、ファーストフード店、居酒屋、カラオケ店、ガソリンスタンド、金融ATMなどの各種サービス業の店舗では、店舗の存在を目立たせるために意匠性の屋号看板や店先看板を屋外使用し、昼夜問わず内照表示するシステムが主流である。これらの内照看板は屋号や広告の表示機能と同時に、夜間照明としても有用に機能し、特に住宅地などの所在においては地域の防犯上の役割まで担うなど、24時間型のライフスタイルに欠かせない存在となっている。また一方、終日大勢の人々が利用する駅構内、地下鉄駅構内、地下街、地下連絡通路の壁面は広告効果が高い場所として、様々な広告看板で埋め尽くされている。これらの屋内広告看板は昼夜問わず内照表示することで照明機能を兼用するため、地下鉄駅構内、地下街、地下連絡通路などの地下空間には欠かせない存在である。またショッピングモールのような商業集合施設、ホテル・旅館、各種公共施設などにおいても、屋号表示、館内案内表示、避難誘導などの夜間表示は不可欠である。
【0003】
これらの広告看板の汎用例としては、光拡散性を有するアクリル樹脂板等にプリントを施し、この裏面側に設置した蛍光灯により行燈効果を得るものである。また、建築物に設置される大型看板用途では高い防炎性能と耐衝撃強度が必要であるため、例えば、ポリエステル繊維織物を基材として、その両面を白色の軟質塩化ビニル樹脂フィルムで積層した繊維強化フレキシブル膜材が内照式看板に使用され、特に不燃性能を必要とする用途ではガラス繊維織物によるフレキシブル膜材が使用されている。これらのフレキシブル膜材においては、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、転写印刷など公知の印刷方法の適用が容易であるほか、マーキングフィルムへの適用性にも優れているため、近年、可燃性のアクリル樹脂看板に替わって大小様々な内照式看板用途で使用されている。
【0004】
このような内照式看板が街中に過密集中することによって夜間照明や治安に役立っているが、昨今ではこれらの内照式看板を大規模停電発生時の避難誘導の道標にも活用することが提案されている。停電時の非常灯光源としてはバッテリー発電が好ましいが、内照式看板システム内にバッテリー発電装置を組み入れることは、内照式看板システムの重量増、コスト増となるのみならず、定期メンテナンスの煩わしさも加わることで普及性には乏しかった。一方、無電源、メンテナンスフリーの発光材料として古くから蓄光性顔料(夜光塗料)が知られている。蓄光性顔料は非常口への避難誘導プレートに広く採用され、最近では蛍光灯に蓄光性を付与して消灯直後の蓄光発光により室内を仄かに照らす照明器具も普及している。しかし、蓄光性顔料は発光輝度が時間の経過と共に減衰する発光原理のため、内照式看板に蓄光機能を付与しても停電時の避難誘導道標に活用するには発光輝度の安定維持が課題であった。
【0005】
例えば、特開2005−294105号公報(特許文献1)では、停電時に、しばらくの間視認性を確保できるように蓄光機能を付与した非常用品として、表面光沢に優れ、透過ムラが少なく、かつ残光輝度に優れた照明器具用パネルが提案されている。また特開2008−180989号公報(特許文献2)では、表示部の背後に蓄光性プレートを有する面発光体を設けた内照式サインが提案されている。しかし、このパネルや内照式サインでは、時間の経過と共に発光輝度が減衰する実用上の問題があった。また特開2008−154124号公報(特許文献3)では、停電灯と蓄光樹脂とを配置し、停電灯と蓄光樹脂とが互いに補完しながら光ることにより、停電時の照度を長時間確保できるようにした停電時照明装置が提案されている。しかし、蓄光発光が幻想的な青〜緑の燐光発光であるため、停電灯点灯と蓄光発光を交互とする補完方法では照明環境が一定しない問題があった。これら特許文献1〜3のように蓄光発光性物質を用いた表示体では、非常灯照明色が現世離れした青〜緑の燐光発光であるため、特に災害時においてはパニック心理を煽る恐れが危惧されていた。拠って街中に溢れる内照式看板を大規模停電発生時の非常灯や、避難誘導の道標として活用するには、非常灯発光色が白色蛍光であることが望まれていたが、しかし、蓄光発光性物質を使用した内照式看板で、白色蛍光発光を可能とし、尚且つ長時間の発光持続可能である看板用の積層体は未だ提案されていなかったのである。
【0006】
【特許文献1】特開2005−294105号公報
【特許文献2】特開2008−180989号公報
【特許文献3】特開2008−154124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、屋外広告看板、及び屋内広告看板に適して用いる内照式看板用積層体において、停電時には、蓄光発光性物質による照明機能を発現し、しかも蓄光発光性物質を使用しながら、それでいて白色蛍光灯に近い眩い照明光を放ち、かつ長時間持続可能な看板用発光表示体と、その照明システム、それと更にその照明方法の提供をしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の看板用発光表示体は、1).無着色の繊維布帛を基材として、その片面以上に、光伝搬性透光樹脂層を設け、かつ、繊維布帛と光伝搬性透光樹脂層との間に、蛍光増白化合物を含む蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体として、その片面以上に表示層を有すること、2). 1)に記載の光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードを配列した照明システムとすること、3).1)に記載の光拡散性積層体の端部断面に対向して配列した近紫外線発光ダイオードをバッテリー発光させて光伝搬性透光樹脂層の端部断面を照射することによって、光伝搬性透光樹脂層の全面から近紫外線を面放射させ、これを蓄光発光層全面に照射することによって、白色蛍光発光可能な非常灯機能を備えた看板用発光表示体に適した積層体が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明の看板用発光表示体は無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体であって、該光拡散性積層体が片面以上に表示層を有していて、かつ、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含むことが好ましい。本発明の看板用発光表示体は前記蛍光増白化合物が、オキサゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、クマリン誘導体、ナフタル酸誘導体、ヒドロキノリノン誘導体、イミダゾロン誘導体、スピロ化合物誘導体、複素環式化合物置換ピレン誘導体から選ばれた1種以上であることが好ましい。本発明の看板用発光表示体は前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましい。本発明の非常灯機能を有する看板用発光表示体システムは無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、該光拡散性積層体が片面以上に表示層を有し、また、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含み、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードが配列されていることが好ましい。本発明の非常灯機能を有する看板用発光表示体システムは前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましい。本発明の看板用発光表示体の非常灯照明方法は無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有する光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、該光拡散性積層体が片面以上に表示層を有し、また、前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用し、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して配列した近紫外線発光ダイオードをバッテリー発光させ、前記光伝搬性透光樹脂層の端部断面を照射することによって、前記光伝搬性透光樹脂層全面から近紫外線を面放射し、これによって前記蓄光発光層全面を白色蛍光発光させることが好ましい。本発明の看板用発光表示体の非常灯照明方法は前記蓄光発光層が前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の本発明の看板用発光表示体(システム)によれば、通常は屋外広告看板、及び屋内広告看板として、優れた内照効果を発揮し、不慮の停電時にはバッテリーによる発光ダイオードの補助併用によって、蓄光発光性物質の燐光発光による照明機能が速やかに起動し、白色蛍光灯に近い眩い照明光を省電力にて長時間放つことを可能とする看板用発光表示体と、そのシステムを提供することができる。従って、本発明の看板用発光表示体(システム)を、デパート、スーパーマケットなどの商業施設、コンビニエンスストア、ファーストフード店、居酒屋、カラオケ店、ガソリンスタンド、金融ATMなどの各種サービス業の店舗、さらには地下鉄駅構内、地下街、地下連絡通路などの地下空間、ショッピングモールのような商業集合施設、ホテル・旅館、各種公共施設などに利用することによって、不慮の災害による大規模停電発生の際には看板用発光表示体そのものを非常灯として利用でき、また避難誘導の道標としても利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の看板用発光表示体は、無色の繊維布帛を基材として、その片面以上に、光伝搬性透光樹脂層を設け、かつ、繊維布帛と光伝搬性透光樹脂層との間に、蛍光増白化合物を含む蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体であり、この端部に発光ダイオードを配列した発光表示体システムである。本発明に用いる光伝搬性透光樹脂層は、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂(PET・PBT)、ビニルエステル樹脂、半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂などからなる厚さ1〜15mm、特に厚さ4〜10mmの透明、または乳濁半透明の熱可塑性樹脂板、あるいは上記熱可塑性樹脂に光拡散性微粒子を配合した樹脂板、白色充填剤(難燃性粉体を含む)を含む光拡散性の樹脂板などであってもよい。本発明においてはアクリル樹脂(メタクリレート樹脂)板、及びポリカーボネート樹脂、半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂からなる合成樹脂板が最も好ましい。
【0012】
また、本発明に用いる光伝搬性透光樹脂層は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系共重合樹脂などの熱可塑性樹脂から得られた厚さ、0.1〜0.5mmのフィルム、または0.5〜2.0mmのシートであり、必要に応じて有機系顔料や無機系顔料を少量含んで乳濁半透明化したフィルムまたはシート、あるいは上記熱可塑性樹脂に光拡散性微粒子を配合したフィルムまたはシート、白色充填剤(難燃性粉体を含む)を含む光拡散性のフィルムまたはシートなどであってもよい。
【0013】
本発明の看板用発光表示体用基材として用いる繊維布帛は、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維・ポリブチレンテレフタレート繊維・ポリエチレンナフタレート繊維)、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ガラス繊維などのモノフィラメント糸条、もしくはマルチフィラメント糸条を用いることができ、これらの糸条は100〜1000デニールであり、これら糸条の交絡によって得られる、粗目、目抜け、非目抜け組織の織布、または編布である。これらの繊維布帛を構成するモノフィラメント糸条、及びマルチフィラメント糸条は、光透過性を損なわないように無着色(染料・顔料で着色していない糸条)であることが好ましい。本発明の看板用発光表示体に用いる光拡散性積層体は不燃性付与の観点から、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ガラス繊維などの無機系繊維による空隙率5%以下、目付質量150〜500g/mの非目抜け平織織布を繊維布帛に用いることが好ましい。
【0014】
本発明の看板用発光表示体は、特に光透過性に優れているガラス繊維織布(目付質量200〜300g/m、空隙率1%以下の非目抜け平織)を基材として、この1面以上に蓄光発光層を設け、この蓄光発光層上に0.1〜0.5mmの軟質ポリ塩化ビニル樹脂、軟質フッ素樹脂、またはシリコーン樹脂などによる光伝搬性透光樹脂層を、接着剤、または熱ラミネートの手段によって積層して、厚さ0.5〜2.0mm、目付質量400〜2000g/mの光拡散性積層体とすることが不燃性能に関して好ましい。特に軟質ポリ塩化ビニル樹脂層においては、可塑剤、顔料、安定剤、充填剤、難燃剤、耐候安定剤等、公知のPVC用配合剤を任意で添加することができるが、特に酸化アンチモン、酸化モリブデン、水酸化アルミニウム、ハロゲン化有機化合物、縮合リン酸エステル化合物などの難燃剤を含み、得られる光拡散性積層体(看板用発光表示体)が建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する不燃性を有することが好ましい。また光拡散性積層体(看板用発光表示体)の光透過度はJIS規格 Z8722試験法にて25〜90%、好ましくは50〜90%である。光透過度が25%未満だと暗闇環境で非常照明灯機能が不満足となることがある。
【0015】
また、本発明の看板用発光表示体に用いる光拡散性積層体は、上述の繊維布帛の1面以上に、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂(PET・PBT)、ビニルエステル樹脂、半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂による厚さ1〜15mm、特に厚さ4〜10mmの光伝搬性透光樹脂層を接着して積層して得られる積層体を用いることもでる。特にアルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ガラス繊維などの無機系繊維による空隙率5%以下、目付質量150〜500g/mの非目抜け平織織布を繊維布帛に用い、この1面以上に蓄光発光層を設け、この蓄光発光層上に半〜硬質ポリ塩化ビニル樹脂による光伝搬性透光樹脂層を設けることにより、耐炎性と耐炎貫通性に優れた看板用発光表示体を得ることができる。
【0016】
本発明の看板用発光表示体において、蓄光発光層は、1).繊維布帛/蓄光発光層/光伝搬性透光樹脂層、2).光伝搬性透光樹脂層/繊維布帛/蓄光発光層/光伝搬性透光樹脂層、3).光伝搬性透光樹脂層/蓄光発光層/繊維布帛/蓄光発光層/光伝搬性透光樹脂層のいずれかの態様として設けることができる。これら1)〜3)の蓄光発光層は、蓄光発光性材料を含有する熱可塑樹脂からなる厚さ、0.01〜2.0mm、好ましくは0.05〜0.5mmの、フィルム、シート、または熱可塑樹脂溶液からなるコーティング組成物による塗工膜(固化物・硬化物)である。熱可塑性樹脂としては、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系共重合樹脂などである。蓄光発光層に含む蓄光発光性材料は20〜60質量%であり、蓄光発光層の厚さ設定に応じて、単位面積中に含む蓄光発光性材料の濃度を、薄い膜に対しては高濃度に、厚い膜に対してはやや低い濃度として発光輝度を適宜設定可能である。
【0017】
蓄光発光性粒子としては公知の蓄光性夜光体(蓄光顔料・夜光顔料)粒子で、緑系の燐光発光色タイプ、青系の燐光発光色タイプの粒子が使用できる。青系の燐光発光色タイプとしては、二価金属アルミン酸塩(例えば、アルミン酸ストロンチウム)の母体結晶に、希土類元素を賦活剤として二価の金属に対し、0.001〜10モル%加えた粒子である。二価の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などであり、希土類元素としてはセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマルウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどであり、具体的には、SrAl:Eu,Dy、SrAl1425:Eu,Dy、CaAl:Eu,Nd、SrAl141425:Eu,Dy等を例示できるが、特に酸化アルミナストロンチウム(SrAl:Eu,Dy)系の蓄光性夜光体粒子が好ましい。また、硫化カルシウム/ビスマス系[CaS:Bi(紫青色発光)]、硫化カルシウム・ストロンチウム/ビスマス系[CaSrS:Bi(青色発光)]、硫化亜鉛/銅系[ZnS:Cu(緑色発光)]、硫化亜鉛・カドミウム/銅系[ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)]等の硫化物系蓄光性蛍光体も使用することができる。
【0018】
また、本発明の看板用発光表示体において、蓄光発光層の発光輝度をより高くするために、蓄光発光層には蓄光発光性粒子と併用して蛍光増白化合物を含むことが好ましい。蓄光発光層に蛍光増白化合物を含むことによって相乗的に発光輝度が高くなると同時に、蓄光発光性粒子そのものの燐光発光色が緑や青であるにもかかわらず、近紫外線の補助照射条件によって蓄光発光層を白色蛍光に発光させることを可能とする。蛍光増白化合物は、近紫外側(波長:400〜450nm)に最大吸収を持ち、紫青〜青色の蛍光を発する無色〜淡黄色の有機化合物であり、これらは例えば、2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン、4,4’−ビス(ベンズオキサゾール−2−イル)スチルベン等のベンズオキサゾール誘導体、1,3−ジアリル−ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、4,4’−ジアミノ−2,2’−スチルベンジスルホン酸等のスチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、クマリン誘導体、ナフタル酸誘導体、ヒドロキノリノン誘導体、イミダゾロン誘導体、スピロ化合物誘導体、複素環式化合物置換ピレン誘導体等であるが、特にベンズオキサゾール誘導体が蓄光発光の相乗効果に優れ好ましい。蓄光発光層には、蓄光発光性粒子と蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含むことが好ましく、蓄光発光層中に含む蛍光増白化合物量は0.01〜1質量%、特に0.05〜0.3質量%である。0.01質量%を下回ると非常灯照明として十分な発光輝度が得られないだけでなく、蓄光発光色が青または緑の燐光発光のままであることがある。また1重量%を超えると、蛍光増白化合物がブリードして看板用発光表示体の表面外観を曇らせてしまうことがある。
【0019】
本発明の看板用発光表示体において、光伝搬性透光樹脂層に光乱反射パターンまたは光乱反射粒子を有するか、あるいは光乱反射パターンと光乱反射粒子とを有することが、蓄光発光層の発光輝度向上の観点において好ましい。光伝搬性透光樹脂層端部断面から侵入した光は、光乱反射パターンまたは光乱反射粒子の存在によって光伝搬性透光樹脂層の面方向に散乱されることによって光拡散性積層体が面発光する。光乱反射パターンは、蓄光発光層と光伝搬性透光樹脂層との間の位置に設けられ、光伝搬性透光樹脂層面側に形成されたドット状パターンで、このドット状パターンは光反射性と光透過性を有する塗料(インク)によりスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法により形成するか、エンボスにより立体凹凸賦型することにより形成することができる。光反射性と光透過性を有する塗料は光伝搬性透光樹脂層に用いる樹脂と屈折率差0.1以上を有する熱可塑性樹脂をバインダーとして含むクリア塗料、クリア塗料にシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、合成雲母などの無機顔料粒子を含む半透明塗料である。またドットは円、楕円、四角、六角形、星型、アメーバ、及びこれらの混用等、特に形状の制限はない。例えば円形ドットの場合、全てのドットを同一サイズ(同一面積)としてもよく、あるいはドットサイズ(面積)を段階的に大きくして用いてもよい。本発明の看板用発光表示体において光乱反射パターンを構成するドットは光伝搬性透光樹脂層の端部から中央部に向かって、ドットサイズが段階的に大きくなるように配置することが光伝搬性と面発光性の観点において好ましい。また同一サイズ(面積)のドットを配置する場合は、光伝搬性透光樹脂層の端部から中央部に向かって、ドット配置の密度を大きくすることによっても良好な光伝搬性と面発光性を得ることができる。光伝搬性透光樹脂層に占める光乱反射パターン面積(全ドットの総和面積)の占有率は、蓄光発光層の発光の透過率を30%以上減衰させないことを条件に、25〜75%、特に40〜60%とすることが好ましい。
【0020】
また、光伝搬性透光樹脂層には、ドット状パターンを配置せずに光伝搬性透光樹脂層全体に光乱反射粒子を分散して含んでいてもよい。光乱反射粒子はシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの粒子径0.01〜3μmの無機顔料、及び粒子径0.1〜30μmのモンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母などの鉱物系化合物、及びシリコーン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの粒子径10〜50μの樹脂ビーズ、及び(中空)ガラスビーズなどから選ばれた1種以上を、蓄光発光層の発光の透過率を30%以上減衰させないことを条件に、光伝搬性透光樹脂層に対して1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%の含有量で用いることが好ましい。
【0021】
本発明の看板用発光表示体において、光伝搬性透光樹脂層の表面に、防汚層が設けられていることが美観持続性の観点において好ましい。防汚層は看板用発光表示体の煤塵汚れ固着を抑制する効果を附帯させるものであり、この防汚層は透明塗膜、もしくは透明フィルムの積層によって形成される。防汚層は具体的に、アクリル樹脂、アクリル−シリコン共重合体樹脂、アクリル−フッ素共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、架橋型ウレタン樹脂の1種以上を溶解して含む溶液の塗布・乾燥によって得られる、0.001〜0.1mm厚さの透明な塗膜、もしくはこれらの樹脂の1種以上を熱溶融して成型した厚さ0.01〜0.5mmの単層透明フィルム、もしくは複層化透明フィルムである。さらにこれらの防汚層表面に微粒子シリカ(特にコロイダルシリカ)、光触媒物質(特に二酸化チタン)、有機シリケート化合物(特にメチル、またはエチルシリケートの加水分解縮合物)から選ばれた1種以上による薄膜防汚層を形成することによっても本発明の看板用発光表示体の美観を長期間持続することができる。
【0022】
本発明の看板用発光表示体は消防法、または建築基準法に規定される難燃性、または不燃性を有することが好ましく、このため看板用発光表示体システムに用いる光拡散性積層体は、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことを満足する不燃性を有することが好ましい。このような不燃性の光拡散性積層体は、ガラス繊維織布(目付質量200〜300g/m、空隙率1%以下の非目抜け平織)を基材として、この1面以上に蓄光発光層を設け、この蓄光発光層上に0.1〜0.5mmの、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層、または軟質フッ素樹脂層、またはシリコーン樹脂層、またはこれらの併用による光伝搬性透光樹脂層を積層して得ることができる。
【0023】
本発明の看板用発光表示体システムは、無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、繊維布帛と光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、光拡散性積層体が片面以上に表示層を有し、さらに光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードが配列されており、光伝搬性透光樹脂層が光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含んでいる。発光ダイオード(LED)は300〜400nmの近紫外線を放射可するブラックライトLEDが特に好ましく、光拡散性積層体の端部断面に放射された近紫外線は光伝搬性透光樹脂層内部を伝って蓄光発光層面方向に導光散乱し、面放射することによって蓄光発光層全面の燐光発光を励起する。この励起と同時に蓄光発光層に含む蛍光増白化合物に対しても蛍光発光を励起する作用によって、本発明の看板用発光表示体システムは眩い白色蛍光を持続して放つことを可能とする。
【0024】
通常のアクリル樹脂看板のLED照明システムは、透明なアクリル樹脂板を導光板として、導光板の一辺に過密配置した白色、または有色のLEDの蛍光をアクリル樹脂板の中を拡散・乱反射させることによって得られる面発光体である。このような看板のLED照明システムに対して、本発明の看板用発光表示体システムに装備する近紫外線発光ダイオードによる近紫外線放射は輝度を有さないので、光伝搬性透光樹脂層内を放射・拡散して光伝搬性透光樹脂層の表面に面反射されたとしても照明作用を有さないものである。本発明の看板用発光表示体システムでは、この面反射した輝度を有さない近紫外線を光伝搬性透光樹脂層に隣接する蓄光発光層に作用させることによって、蓄光発光層に含有する蓄光発光性粒子を光励起して燐光発光させる作用機能であり、特に蓄光発光層に400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含むことによって、蓄光発光性粒子の燐光発光の輝度を劇的に向上させる効果を得るものである。近紫外線発光ダイオードの装備位置は、本発明の看板用発光表示体システムユニットの少なくとも1辺以上、好ましくは左右対向、もしくは上下対向、さらにはシステムユニットの大型化に応じて左右対向と上下対向の併用で、いずれも近紫外線発光ダイオードの発光照射方向は、光伝搬性透光樹脂層断面である。近紫外線発光ダイオードの配列と配置数は、看板用発光表示体システム1ユニット当たりのサイズ及び、非常灯機能として必要な照度レベルに応じて任意設定とすることができる。また近紫外線発光ダイオードは非常灯機能に補助作用するためにバッテリーを電源とし、バッテリー及びバッテリー切替装置とを装備する。また、本発明の看板用発光表示体システムは上記システムユニットを複数、任意に組み合わせて光天井を構成するものである。
【0025】
本発明の看板用発光表示体の非常灯照明方法は、近紫外線発光ダイオード、及びバッテリーを装備してなる上述の看板用発光表示体システムにおいて、停電と同時に近紫外線発光ダイオードによる近紫外線を、光伝搬性透光樹脂層内を放射・拡散させて光伝搬性透光樹脂層の表面に面反射させて、この面反射した近紫外線を光伝搬性透光樹脂層に隣接する蓄光発光層に作用させることによって、蓄光発光層に含有する蓄光発光性粒子を光励起して燐光発光させる方法であり、特に蓄光発光層が400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物を併用して含むことによって、蓄光発光性粒子による燐光発光輝度を飛躍的に向上させると同時に、蓄光発光性粒子では従来、得られなかった白色発光を光源とする非常灯照明を得ることを可能とするものである。
【0026】
本発明の看板用発光表示体における光拡散性積層体の表面には、絵画、写真、文字、屋号、模様などの表示層を付与することによってデザインや広告を任意とする。これらは光拡散性積層体を構成する蓄光発光層、または光伝搬性透光樹脂層上に形成された、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、転写印刷、カッティングシート貼付、筆書き、のいずれか1種以上の手段によるものであるが、本発明の看板用発光表示体においては特にコンピューターで処理された画像データの出力によるインクジェット印刷が光透過性を損なわないので好適である。
【0027】
以下、本願発明の看板用発光表示体を具体的に説明する。図1〜4は、本願発明の看板用発光表示体(1)に用いる光拡散性積層体(2)例の断面を表すもので、各々とも表示層(10)を外観面として有する。図1の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4)を設け、かつ、繊維布帛(3)と光伝搬性透光樹脂層(4)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図2の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4a)を、もう一方の繊維布帛面側に光伝搬性透光樹脂層(4b)を設け、かつ、繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4a)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図3の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4a)を、もう一方の繊維布帛面側に光伝搬性透光樹脂層(4b)を設け、かつ、繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4b)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図4の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光伝搬性透光樹脂層(4a)を、もう一方の繊維布帛面側に光伝搬性透光樹脂層(4b)を設け、かつ、繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4a)との間に蓄光発光層(5a)を設け、さらに繊維布帛(3)との光伝搬性透光樹脂層(4b)との間に蓄光発光層(5b)を設けてなる。
【0028】
図5、及び図6の光拡散性積層体(2)は、光伝搬性透光樹脂層(4)に附帯する光乱反射パターン(6)、及び光乱反射粒子(7)の用例を図1の態様を例に説明するが、この光乱反射パターン(6)と光乱反射粒子(7)の用例は、図2、図3、図4、図7、及び図8の態様においても同様に適用されるものである。図5の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光乱反射パターン(6)を最外層に有する光伝搬性透光樹脂層(4c)を設け、かつ繊維布帛(3)と、この光伝搬性透光樹脂層(4c)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。図6の光拡散性積層体(2)は、無着色の繊維布帛(3)を基材として、この繊維布帛の片面に、光乱反射粒子(7)を有する光伝搬性透光樹脂層(4d)を設け、かつ繊維布帛(3)と、この光伝搬性透光樹脂層(4d)との間に蓄光発光層(5)を設けてなる。
【0029】
図7、及び図8は本願発明の看板用発光表示体システム(11)と、及びその非常灯照明方法を示すものである。図7、及び図8の光拡散性積層体(2)は、図1の態様を例に説明するが、本願発明の看板用発光表示体システムの用例は、図2、図3、図4の態様においても同様に適用されるものである。図7は図1の光拡散性積層体(2)を照明シェ−ドに用いた態様を表し、図1の光拡散性積層体(2)において光伝搬性透光樹脂層(4)側面を蛍光灯(9)に向け、看板用発光表示体システムの内側となるように構成し、繊維布帛(3)側の面、及び表示層(10)は看板用発光表示体システムの外側面とする。また、図1の光拡散性積層体(2)の対向する端部には、端部断面に向けて発光ダイオード(8)が図10のように配列されている。図7の看板用発光表示体システムでは、点灯蛍光灯(9a)が光拡散性積層体(2)を透過・拡散して光拡散性積層体(2)自体が均一かつ鮮明に発光する状態を示した図で、発光ダイオードはOFFの状態である。(8a) 図8は、図7の看板用発光表示体システム(11)において、蛍光灯OFF(9b)とした停電状態を示す図である。この時、光拡散性積層体(2)の蓄光発光層(5)は無電力で燐光発光しているが、本願発明の看板用発光表示体システム(11)においては、光拡散性積層体(2)の端部に設けた発光ダイオードの点灯(8b)により、発光ダイオード(8b)から放射されて、光伝搬性透光樹脂層(4)内を反射・拡散する近紫外線を蓄光発光層(5)全面に照射することによって蓄光発光層(5)を発光させ、これにより光拡散性積層体(2)が発光して非常灯照明機能する状態を示した図である。
【実施例1】
【0030】
1).厚さ5mmの透明アクリル平板(1.5m×1.5m正方形サイズ)を光伝搬性透光樹脂層(4)として、この片面にセイコーアドバンス社製の紫外線硬化型スクリーンインキHUG(エポキシアクリレート系)の標準色クリアーをベースにイージーブライト社製の蓄光発光性粒子:品番EZCB−50E(SrAl1425:EU,Dy)を、インキ固形分に対し40質量%配合し、さらに蛍光増白化合物(商標:Uvitex OB:チバ・スペシャルティケミカルズ社製 2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン]をインキ固形分に対し、0.2質量%配合した組成物を用いてスクリーン印刷にて厚さ0.5mmの蓄光発光層(5)を形成した。(蓄光発光性粒子:蛍光増白化合物の併用は100:0.5の質量比である。)
2).この蓄光発光層(5)を形成した光伝搬性透光樹脂層(4)の反対面側に、シリカ微粒子含有インキにて光乱反射パターン(6)を全面形成した。光乱反射パターン(6)は、φ3.5mmの円形ドットで、横方向のドット間隔3.5mm、縦方向のドット間隔3.5mmである。光伝搬性透光樹脂層に占める光乱反射パターン面積(全ドットの総和面積)の占有率は64%とした。
3).675dtexの無着色ガラス繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度45本/インチ、675dtexのガラス繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度35本/インチで平織した質量205g/m、目抜度合1%以下であるガラス繊維布帛(3)を基材として使用した。ガラス繊維布帛(3)全体にはアクリル酸パーフルオロアルキルエステル共重合樹脂とγ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン処理を1g/m施して撥水性を付与した。このガラス繊維布帛(3)の片面に、上記1)2)により得た光伝搬性透光樹脂層(4)における蓄光発光層(5)面側を接着面として積層一体化し、図1に示す光拡散性積層体(2)を得た。
4).上記3)で得た光拡散性積層体(2)のガラス繊維布帛(3)面にスクリ−ン印刷により会社屋号ロゴ(HIRAOKA)20cm×140cmの帯状で光拡散性積層体(2)の中央部に表示層(10)を形成した。
5).上記4)で得た光拡散性積層体(2)の側端部と、その側端部に対向する側端部に、近紫外線発光ダイオード(8)(日亜化学工業(株)製 NSPU510CS:直径φ5mm:ピーク波長375nm)を7mm間隔で、光拡散性積層体(2)の側端部の1辺当たり125個配置し、非常用バッテリーと接続したものを看板用発光表示体システム1ユニットとして、1ユニットにつき4本の蛍光灯(9)(36W・40型)を実装した。この看板用発光表示体システム(11)は、ガラス繊維布帛(3)を外装とし、内装の蛍光灯点灯により、外観観察において光拡散性積層体(2)全面が均一に発光することにより、看板用発光表示体(1)として「HIRAOKA」の表示及び照明効果を発揮した。蛍光灯照明を1時間継続した後、蛍光灯照明をOFFにして停電状態とした瞬間に、蓄光発光層(5)が燐光発光すると同時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光が、光伝搬性透光樹脂層(4)を乱反射しながら導光して蓄光発光層(5)を面照射し、これによって蓄光発光層(5)に含有する蓄光発光性粒子を光励起させると同時に、蛍光増白化合物も光励起させることによって蓄光発光層は相乗的に発光輝度を増し、しかも省エネルギーにて長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有していた。停電直後の発光輝度は830mcd/mであり、30分後発光輝度は810mcd/mであった。
【実施例2】
【0031】
実施例1の光伝搬性透光樹脂層(4)を、10〜50μのスチレン系樹脂ビーズを光乱反射粒子(7)として20wt%含有する、5mm厚の透明アクリル平板(1.5m×1.5m正方形サイズ)に変更した代わりに光乱反射パターン(6)の形成を省略した。それ以外は全て実施例1と同一として看板用発光表示体(1)を得、これを実施例1と同一の看板用発光表示体システムに供した結果、停電直後の発光輝度は808mcd/mであり、30分後発光輝度は784mcd/mのごとく、長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有していた。
【実施例3】
【0032】
1).実施例1と同じ撥水性を付与した無着色のガラス繊維布帛(3)を基材として使用した。このガラス繊維布帛の片面に、0.15mm厚のポリ塩化ビニル樹脂組成物層(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)を形成した。この光伝搬性透光樹脂層上に実施例1と同じ光乱反射パターン(6)を全面形成した。
2).次にガラス繊維布帛(3)のもう一方の面に、0.1mm厚のポリ塩化ビニル樹脂組成物層(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部、イージーブライト社製の蓄光発光性粒子:品番EZCB−50E(SrAl1425:EU,Dy)40質量部、蛍光増白化合物(商標:Uvitex OB:チバ・スペシャルティケミカルズ社製 2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン]0.2質量部)を設け蓄光発光層(5)を形成した。(蓄光発光性粒子:蛍光増白化合物の併用は100:0.5の質量比である。)
3).次に蓄光発光層(5)上に、0.1mm厚のポリ塩化ビニル樹脂組成物層(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)をさらに形成し、図2、または図3に示す光拡散性積層体(2)を得た。(幅1m×長さ2m)
4).上記3)で得た光拡散性積層体(2)のガラス繊維布帛(3)面にインクジェット印刷により会社屋号ロゴ(HIRAOKA)20cm×140cmの帯状を光拡散性積層体(2)の中央部に表示層(10)を形成した。
5).上記4)で得た光拡散性積層体(2)の側端部と、その側端部に対向する側端部に、近紫外線発光ダイオード(8)(日亜化学工業(株)製 NSPU510CS:直径φ5mm:ピーク波長375nm)を7mm間隔で、光拡散性積層体(2)の側端部の1辺当たり125個配置し、非常用バッテリーと接続したものを看板用発光表示体システム1ユニットとして、1ユニットにつき4本の蛍光灯(9)(36W・40型)を実装した。この看板用発光表示体システム(11)は、図2または図3の向きで用い、内装の蛍光灯点灯により、外観観察において光拡散性積層体(2)全面が均一に発光することにより、看板用発光表示体(1)として「HIRAOKA」の表示、及び照明効果を発揮した。蛍光灯照明を1時間継続した後、蛍光灯照明をOFFにして停電状態とした瞬間に、蓄光発光層(5)が燐光発光すると同時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光が、光伝搬性透光樹脂層(4)を乱反射しながら導光して蓄光発光層(5)を面照射し、これによって蓄光発光層に含有する蓄光発光性粒子を光励起させると同時に、蛍光増白化合物も光励起させることによって蓄光発光層は相乗的に発光輝度を増し、停電直後の発光輝度は841mcd/mであり、30分後発光輝度は823mcd/mであり、省エネルギーにて長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【実施例4】
【0033】
実施例3における0.15mm厚の光伝搬性透光樹脂層(4)の配合を、(PVC100質量部、フタル酸系可塑剤45質量部、芳香族リン酸エステル20質量部、バリウム系複合金属安定剤2質量部、光乱反射粒子(7)として10〜50μのスチレン系樹脂ビーズ20質量部)に変更した代わりに光乱反射パターン(6)の形成を省略した。それ以外は全て実施例3と同一として看板用発光表示体(1)を得、これを実施例3と同一の看板用発光表示体システムに供した結果、停電直後の発光輝度は840mcd/mであり、30分後発光輝度は816mcd/mのごとく、長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【実施例5】
【0034】
1).実施例1と同じ撥水性を付与した無着色のガラス繊維布帛(3)を基材として使用した。このガラス繊維布帛の片面に、0.15mm厚のフッ化ビニリデン樹脂層(PVDFフィルム)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)を形成した。この光伝搬性透光樹脂層上に実施例1と同じ光乱反射パターン(6)を全面形成した。
2).次にガラス繊維布帛(3)のもう一方の面に、0.1mm厚のフッ素系樹脂組成物層(PVDF100質量部、イージーブライト社製の蓄光発光性粒子:品番EZCB−50E(SrAl1425:EU,Dy)40質量部、蛍光増白化合物(商標:Uvitex OB:チバ・スペシャルティケミカルズ社製 2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン]0.2質量部)を設け蓄光発光層(5)を形成した。(蓄光発光性粒子:蛍光増白化合物の併用は100:0.5の質量比である。)
3).次に蓄光発光層(5)上に、0.1mm厚のフッ化ビニリデン樹脂組成物層(PVDFフィルム)を設け、光伝搬性透光樹脂層(4)をさらに形成し、図2、または図3に示す光拡散性積層体(2)を得た。(幅1m×長さ2m)
4).上記3)で得た光拡散性積層体(2)のガラス繊維布帛(3)面にインクジェット印刷により会社屋号ロゴ(HIRAOKA)を20cm×140cmの帯状を光拡散性積層体(2)の中央部に表示層(10)を形成した。
5).上記4)で得た光拡散性積層体(2)の側端部と、その側端部に対向する側端部に、近紫外線発光ダイオード(8)(日亜化学工業(株)製 NSPU510CS:直径φ5mm:ピーク波長375nm)を7mm間隔で、光拡散性積層体(2)の側端部の1辺当たり125個配置し、非常用バッテリーと接続したものを看板用発光表示体システム1ユニットとして、1ユニットにつき4本の蛍光灯(9)(36W・40型)を実装した。この看板用発光表示体システム(11)は、図2または図3の向きで用い、内装の蛍光灯点灯により、外観観察において光拡散性積層体(2)全面が均一に発光することにより、看板用発光表示体(1)として「HIRAOKA」の表示、及び照明効果を発揮した。蛍光灯照明を1時間継続した後、蛍光灯照明をOFFにして停電状態とした瞬間に、蓄光発光層(5)が燐光発光すると同時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光が、光伝搬性透光樹脂層(4)を乱反射しながら導光して蓄光発光層(5)を面照射し、これによって蓄光発光層(5)に含有する蓄光発光性粒子を光励起させると同時に、蛍光増白化合物も光励起させることによって蓄光発光層は相乗的に発光輝度を増し、停電直後の発光輝度は833mcd/mであり、30分後発光輝度は818mcd/mであり、省エネルギーにて長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【実施例6】
【0035】
実施例5における0.15mm厚の光伝搬性透光樹脂層(4)の配合を、(フッ化ビニリデン樹脂100質量部、光乱反射粒子(7)としてフッ素雲母20質量部)に変更した代わりに光乱反射パターン(6)の形成を省略した。それ以外は全て実施例5と同一として看板用発光表示体(1)を得、これを実施例5と同一の看板用発光表示体システムに供した結果、停電直後の発光輝度は842mcd/mであり、30分後発光輝度は833mcd/mのごとく、長時間に渡り眩い白色蛍光発光を放つ程の充分な非常灯機能を有し、更にASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法に適合する不燃性を有していた。
【比較例1】
【0036】
実施例1の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例1と同様とした。蛍光増白化合物の配合を省略したことによって得られた看板用発光表示体(1)は、蛍光灯消灯時に、バッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線補助光によって蓄光発光層の発光輝度を増すものの、照明距離の短い青緑の燐光発光であり、停電直後の発光輝度は464mcd/mであり、30分後発光輝度は293mcd/mに減衰し、暗闇と発光体との格差が大きくなるため非常灯光源としては不適切なものであった。
【比較例2】
【0037】
実施例2の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例2と同様とした。
【比較例3】
【0038】
実施例3の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例3と同様とした。
【比較例4】
【0039】
実施例4の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例4と同様とした。
【比較例5】
【0040】
実施例5の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例5と同様とした。
【比較例6】
【0041】
実施例6の光拡散性積層体(2)において、蓄光発光層(5)から、蛍光増白化合物(2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン])0.2質量%(固形分比)の配合を省略した以外は全て実施例6と同様とした。
【0042】
比較例2〜6で得られた看板用発光表示体(1)は、蛍光灯消灯時にバッテリー装置の起動により点灯するダイオード(8)から放射された近紫外線によって蓄光発光層の発光輝度を増すものの、照明距離の短い青緑の燐光発光であり、停電直後の発光輝度は400mcd/mレベルが、30分後発光輝度は300mcd/mレベルに減衰し、暗闇と発光体との格差が大きくなるため非常灯光源としては不適切なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上記実施例1〜6、及び比較例1〜6によって明らかなように、本願発明の看板用発光表示体、及び看板用発光表示体システムは、停電時には、特別な蓄光発光層による天井照明機能を速やかに起動し、しかも蓄光発光性物質を使用しながら、従来に例の無い白色蛍光灯に近い眩い照明光を放ち、かつ省エネルギーにて長時間持続可能であるので、デパート、スーパーマケットなどの商業施設、コンビニエンスストア、ファーストフード店、居酒屋、カラオケ店、ガソリンスタンド、金融ATMなどの各種サービス業の店舗、さらには地下鉄駅構内、地下街、地下連絡通路などの地下空間、ショッピングモールのような商業集合施設、ホテル・旅館、各種公共施設などに利用することによって、不慮の災害による大規模停電発生の際には看板用発光表示体そのものを非常灯として利用でき、また避難誘導の道標としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】看板用発光表示体用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図2】看板用発光表示体用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図3】看板用発光表示体用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図4】看板用発光表示体用の光拡散性積層体の構成例を示す図
【図5】光拡散性積層体において、光伝搬性透光樹脂層に付与する光乱反射作用部の形成例を示す図
【図6】光拡散性積層体において、光伝搬性透光樹脂層に付与する光乱反射作用部の形成例を示す図
【図7】本発明の看板用発光表示体システムにおいて、蛍光灯ONの通常使用状態を示す図
【図8】本発明の看板用発光表示体システムにおいて、停電時の非常灯機能を示す図
【図9】光拡散性積層体において、光伝搬性透光樹脂層に付与する光乱反射作用部の形成例を示す図
【図10】本発明の看板用発光表示体システムにおいて、発光ダイオードの配置を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 看板用発光表示体
2 光拡散性積層体
3 繊維布帛(基材)
4 光伝搬性透光樹脂層
4a 蓄光発光層と積層する光伝搬性透光樹脂層
4b 繊維布帛と積層する光伝搬性透光樹脂層
4c 光乱反射作用部を設けた光伝搬性透光樹脂層
4d 光乱反射作用部を設けた光伝搬性透光樹脂層
5 蓄光発光層
6 光乱反射パターン
7 光乱反射性粒子
8 発光ダイオード
8a OFF状態
8b ON状態
9 蛍光灯(またはその他の照明)
9a ON状態
9b 停電状態
10 表示層
11 看板用発光表示体システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体であって、該光拡散性積層体が片面以上に表示層を有していて、かつ、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含む、ことを特徴とする看板用発光表示体。
【請求項2】
前記蛍光増白化合物が、オキサゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、クマリン誘導体、ナフタル酸誘導体、ヒドロキノリノン誘導体、イミダゾロン誘導体、スピロ化合物誘導体、複素環式化合物置換ピレン誘導体から選ばれた1種以上である、請求項1に記載の看板用発光表示体。
【請求項3】
前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含む、請求項1または2に記載の看板用発光表示体。
【請求項4】
無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、該光拡散性積層体が片面以上に表示層を有し、また、前記光伝搬性透光樹脂層が、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有し、さらに前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用して含み、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して発光ダイオードが配列されていることを特徴とする、非常灯機能を有する看板用発光表示体システム。
【請求項5】
前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含む、請求項4に記載の非常灯機能を有する看板用発光表示体システム。
【請求項6】
無着色の繊維布帛を基材として、該繊維布帛の片面以上に、光乱反射パターンおよび/または光乱反射粒子を有する光伝搬性透光樹脂層が設けられ、かつ、前記繊維布帛と前記光伝搬性透光樹脂層との間に、少なくとも1層の蓄光発光層を設けてなる光拡散性積層体において、該光拡散性積層体が片面以上に表示層を有し、前記蓄光発光層が、有色燐光発光性の蓄光発光性粒子と、400〜450nmの近紫外線領域に最大吸収を有する蛍光増白化合物とを併用し、さらに前記光拡散性積層体の端部断面に対向して配列した近紫外線発光ダイオードをバッテリー発光させ、前記光伝搬性透光樹脂層の端部断面を照射することによって、前記光伝搬性透光樹脂層全面から近紫外線を面放射し、これによって前記蓄光発光層全面を白色蛍光発光させることを特徴とする、看板用発光表示体の非常灯照明方法。
【請求項7】
前記蓄光発光層が、前記蓄光発光性粒子と、前記蛍光増白化合物とを100:0.01〜100:5の質量比で併用して含む、請求項6に記載の看板用発光表示体の非常灯照明方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−151876(P2010−151876A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326964(P2008−326964)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000239862)平岡織染株式会社 (81)
【Fターム(参考)】