説明

真空アーク蒸発源、及び真空アーク蒸発源を有するアーク蒸発チャンバ

本発明は、カソード32の蒸発表面33上でアーク放電を生成するために、リング形状の磁場源2と、カソード32としての蒸発材料31を備えたカソード本体3とを有する真空アーク蒸発源1に関する。カソード本体3は、軸線方向において、カソード底部34によって第1の軸線方向に、また蒸発表面33によって第2の軸線方向に制限されており、リング形状の磁場源2は、蒸発表面33の面法線300に平行又は反平行に極性を有するように、且つ蒸発表面33の面法線300に同心になるように配置されている。本発明によれば、磁場振幅リング4が、蒸発表面33から遠い側で、カソード底部34の正面に、第2の予め指定された距離A2に配置される。さらに、本発明は、アーク蒸発源1を有するアーク蒸発チャンバ10に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空アーク蒸発源に関し、また独立請求項1及び24の前段部分による、真空アーク蒸発源を有する真空アーク蒸発チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の真空アーク蒸発設備が従来技術から知られており、それらの設備では、カソードとして形成された蒸発材料を用いたアーク放電が真空チャンバ内で生成され、それにより、蒸発材料が、アークのエネルギーによって蒸発され、完全に又は部分的にイオン化されて、基板上に薄膜を堆積する。
【0003】
この構成では、そのようにして堆積された膜が、まったく異なった機能を実現することができる。それらの膜は、純粋に装飾の目的を満たすことができ、摩耗又は腐食に対する保護を提供することができ、或いは過剰な熱の影響から加工物の表面を守ることができる。アーク蒸発によって塗布された層は、同時に2つ以上の、しばしば異なる機能を満たすことが多い。したがって、同じ又は異なる組成の多層の層システムを塗布することも長きにわたって知られている。
【0004】
したがって、例えば複数組成層の製造のための方法及び装置がDD293145号公報に開示されており、そこでは、複数の作業表面を有するカソードが使用され、そのカソードに、場所と時間とに関して変更することができる磁場が提供され、それにより、カソード・スポット(陰極点)が、必要とされる層組成に従って様々な加工表面上に向けられる。
【0005】
これに関連する方法、及び対応する装置もまたDD285463号公報に示され、カソードのより一様な侵食を保証し、これはまた、有利には、例えば単純な単層の層システムの塗布に使用することもできる。
【0006】
多層の層システムの単層が塗布されるかどうかにかわらず、従来技術から知られているこの種の、又は同様の真空アーク蒸発施設はすべて、様々な決定的な欠点を有する。
【0007】
即ち、既知のアーク蒸発器では、最大で数マイクロメートルの直径を有する溶融粒子が不可避的に生成され、これらは、実際に望まれる小さな、蒸発されてイオン化された粒子よりもかなり大きい。これらのかなり大きな粒子は、次いで層又は薄膜内に混入され、これが膜の表面構造、強度、接着強度、摩擦学的特性などの劣化をもたらし、単層及び多層化された層において、塗布される層のイレギュラーの組成をもたらすことがある。
【0008】
これを防止するために、JP2194167号公報で、蒸発表面と基板との間に空気コアを有するように蒸発表面に同軸にコイルを配置することが提案されている。このようにすると、プラズマ中の電子は、コイルによって発生される磁力線の周りに向けられ、磁力線に沿って流れ、同時に、電子は回転運動を行い、それによりプラズマが基板に達する。当然、この誘導効果は、中性溶融粒子には作用しない。この構成のさらなる決定的な欠点は、コイルが基板と蒸発表面との間の中間位置に配置されることであり、これは、コイルによって生成される磁場を、蒸発表面に関して半径方向内側に向ける。その結果、アークがカソードのより中央付近に導かれる傾向が生じ、それによりカソードが不均等に使用される。さらに、例えば多層の層又は複雑な組成の層を製造するために特定の場合には追加としてチャンバ内に配置されることがあるさらなる蒸発源が、磁気コイルによって悪影響を及ぼされ、これは当然、望ましくない影響をもたらすことがある。
【0009】
したがって、欧州特許出願EP0495447号で、カソード本体の裏側に追加の磁場源を提供することが提案されており、この磁場源はモータに結合され、それにより、追加の磁場源から生成される磁場を、場所に関して且つ時間に関して変更することができ、したがってアークを意図的に蒸発表面に誘導することができ、それによりカソードのより一様な侵食を保証することができる。この構成の欠点は、当然、組立て、動作、及び保守の面で構造が非常に複雑であることである。さらに、散乱場が同様に生成され、この散乱場はさらに、場所に関して且つ時間に関して変わり、隣接する蒸発カソードを望ましくない影響にさらすことがある。
【0010】
従来技術から知られているこれらの問題を解決するために、DE60019821号公報で、磁場発生源が蒸発材料を取り囲み、蒸発表面が磁場発生源のN極とS極との間に提供されるように、リング形状の磁場発生源を構成することが提案されている。このために、2つの磁場発生源、即ち1つの内側磁場発生源と1つの外側磁場発生源とが、アーク放電源の周りでグループ化される。この構成では、磁場発生源の磁力線は、垂線に関して+/−30°の角度で蒸発表面に交差すべきである。
【0011】
これに関連して、円板状の磁場源が、蒸発表面から遠い蒸発カソードの側で、カソード本体の下側で中央に提供され、それによりリング形状の磁場発生源の磁力線は変更されるように意図され、それにより蒸発表面の一様でない侵食又はアブレーションを妨げるようにアークが蒸発表面上に誘導される。しかし、経験上、中央での磁石の位置決めが、正確にカソード表面の中央での磁場強化をもたらすことが分かっている。
【0012】
このシステムは、その構成により、融通性がない。これは、特に永久磁石源が使用される場合に、カソードでの磁場強度及び磁場強度分布を実際上もはや変更することができないことを意味する。したがって、システムは、例えば隣接する磁気源による外的影響、様々なカソード材料、或いはカソードでのコーティング・プロセス又は侵食プロセスを決定する他の影響に対応できないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって本発明の目的は、改良された真空アーク蒸発源、及び改良されたアーク蒸発チャンバを利用可能にすることであり、これらは、特に基板に向かう方向で磁場増強を実現し、同時に内側カソード表面での磁場の増強を保証し、それにより、一方で、カソード侵食によって均質な経路を実現することができ、磁場の有利な経路がカソード表面で実現され、それによりアークの最適な加速が可能である。
【0014】
カソード表面の中央での過剰な磁場増強は、この構成では回避されるべきである。
【0015】
同時に、この構成では、改良されたシステムは、磁場幾何形状の変化の可能性に関して非常に融通性があるはずであり、したがって単純で経済的な様式で、アーク蒸発源、或いはそれを装備されたアーク蒸発チャンバを、任意の時点で、変化する要件に理想的に適合させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的を満たす本発明の主題は、独立請求項1及び24の構成によって特徴付けられる。
【0017】
それぞれの従属請求項は、本発明の特に有利な実施例に関する。
【0018】
したがって本発明は、カソードの蒸発表面上でアーク放電を発生させるために、リング状の磁場源と、カソードとしての蒸発材料を含むカソード本体とを有する真空アーク蒸発源に関する。この構成では、カソード本体は、軸線方向において境界を画定されており、特にカソード底部によって第1の軸線方向に、蒸発表面によって第2の軸線方向に境界を画されており、またリング状磁場源は、蒸発表面の面法線に平行又は反平行に極性を示すように、且つ蒸発表面の面法線に同心になるように配置される。本発明によれば、磁場増強リングは、蒸発表面から遠い側において、カソード底部の正面に、予め規定可能な第2の間隔で配置される。
【0019】
したがって本発明において重要なのは、蒸発表面から遠い側にある磁場増強リングと、蒸発表面の領域内に配置されるリング状磁場源との組合せである。
【0020】
この構成では、磁場源は、蒸発表面が磁場源のN極とS極との間に位置するように、面法線に同心に配置することができる。即ち、非常に特別な実施例では、例えば蒸発表面がリング状磁場源のN極に対するのとほぼ同じ距離をリング状磁場源のS極に対して有するように、リング状磁場源がカソードの蒸発表面を取り囲む。
【0021】
しかし実用上非常に重要な一実施例では、リング状磁場源は、カソード底部から遠いカソード本体の側で、予め規定可能な第1の間隔だけ蒸発表面から間隔を空けられる。
【0022】
即ち、驚くべきことに、蒸発表面がリング状磁場源のN極とS極との間に配置されず、リング状磁場源から予め規定可能な距離だけ間隔を空けられている場合に、カソード本体の領域内で、特に蒸発表面の領域内でさらに理想的な磁場分布を実現することができることが示された。それにもかかわらず、リング状磁場源のN極とS極との間での蒸発源の構成が好ましい特別な使用実施例も存在しうる。
【0023】
大多数の用途に関して、驚くべきことに、一方で、蒸発表面がリング状磁場源のN極とS極との間に配置されず、リング状磁場源から予め規定可能な距離だけ間隔を空けられ、他方で、カソード本体の下で中央に配置された既知の円板状の磁気源ではなく、リング状の磁場増強リングが提供されることにより、カソード本体の領域内、特に蒸発表面の領域内での理想的な磁場分布を実現することができることが示され、これは、従来技術から知られている欠点を示さない。
【0024】
本発明による構成により、特にカソードの中央の領域で、従来技術と比較してかなり一様な磁場が生成される。その結果、カソードは非常に一様に使用され、即ち蒸発表面全体にわたって侵食し、この好適な効果は、蒸発表面に平行な磁場成分の損失を生じず、主にアークの移動の加速に寄与する。これは最終的に、蒸発表面上でのアークの誘導がかなり改良され、これがとりわけ、カソードのさらに一様な侵食、及びかなり良いコーティング結果をもたらすことを意味する。
【0025】
また同時に、基板に向かう方向で磁場が増加され、これは最終的に、基板のコーティング中にコーティング品質に非常に好適な効果を有する。
【0026】
これは、カソード表面内に、又はカソード表面から基板の方向で特定の距離に、磁場源を位置決めすることによって実現される。
【0027】
さらに、本発明によるアーク蒸発源、或いはアーク蒸発チャンバは、その構成のために非常に融通性がある。これは、永久磁石源が使用される場合でさえ、カソードでの磁場強度及び磁場強度分布を非常に単純に変えることができることを意味する。したがって本発明によるシステムは、例えば隣接する磁気源による外的影響の変化、アーク内の他の電流密度、様々なカソード材料、或いはカソードでのコーティング・プロセス又は侵食プロセスを決定する他の影響に簡単に適合させることができる。
【0028】
これに関係して、本発明によるアーク蒸発源の構成のモジュール方法は特に有利である。本発明によるアーク蒸発源は、好ましくは内側磁石の個別システムと、第2の磁石システムを有する蒸発器底部プレートとからなり、それにより磁石システムは互いに別個に且つ独立して操作又は変更又は交換することができる。
【0029】
好ましい一実施例では、磁場増強リングが面法線に平行(parallel)又は反平行(anti−parallel)に、且つ/又は面法線に同心に配置される。
【0030】
実用上特に重要な一実施例では、磁場増強リングに加えて、少なくとも1つの磁気補正リングを、蒸発表面から遠い側で、カソード底部の正面に、予め規定可能な第3の距離で配置することができる。磁気補正リングによって、磁場分布の幾何形状の精密な調整を行うことが可能であり、それにより、蒸発表面上でのアークの理想的な誘導が、複雑な場合でさえ保証される。
【0031】
所望の磁場分布、又は磁場の経路の空間分布に応じて、磁気補正リングは、面法線に平行又は反平行に極性を有するように、且つ/又は好ましくは面法線に同心になるように配置され得ることを理解されたい。
【0032】
また、いくつかの特別な場合に関して、磁場増強リング及び/又は磁気補正リングは、面法線と同心には位置合わせされず、且つ/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングは、非円形の断面領域を有することも可能である。このような構成を使用して、非常に複雑な磁場幾何形状をカソード本体の領域内に構成することができ、したがって、例えば複数の基板を被覆するときに、異なる基板に向かう方向で磁場を異なる強度にすることができ、それにより、異なる基板を異なる条件の下で同じ源から同時に被覆することができる。或いは、例えばカソードは異なるコーティング材料を有する異なる領域を含むことができ、したがって、それに対応して蒸発表面上でのアークの複雑な誘導が必要であるときに有利に使用することができる。
【0033】
また、第1の距離及び/又は第2の距離及び/又は第3の距離を調節すること、特に蒸発材料に応じて及び/又はカソードの侵食の状態に応じて、且つ/又は真空アーク蒸発源の別の動作パラメータに応じて制御及び/又は調整することができる本発明による真空アーク蒸発源の実施例も実用上非常に重要であり、その結果、この真空アーク蒸発源はすべての取り得る動作条件及びプロセスに対する要求に関して従来知られていない融通性をもつ。
【0034】
第1の距離及び/又は第2の距離及び/又は第3の距離は、好ましくは、これに関連して0mm〜200mmの間の範囲内でありうる。
【0035】
既に上述したように、本発明に関して、この構成では、蒸発表面が、使用される磁場源の1つのN極とS極との間に直接位置しないことが重要であり、これはなぜなら、間に位置すると本発明による理想的な磁場分布幾何形状を実現することができないからである。
【0036】
上で既に詳細に説明した様々な磁場源は、この構成において、異なる概念によって実現することができる。特に好ましい一実施例では、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングが、面法線に本質的に平行に整列された複数の永久磁石を含むことができる。これに関連して、本質的に平行とは、蒸発表面の面法線と永久磁石の磁性方向との間の角度が、例えば0°〜20°の間、しかし好ましくは0°であることを意味する。
【0037】
この構成では、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングは、リング磁石を含むこともでき、これは、好ましくは、蒸発表面の面法線に本質的に平行に極性を向けられる。
【0038】
別の実施例では、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングは電磁石を含むことができる。電磁石を使用するとき、磁力線の強度及び幾何形状は、当然、特に融通性をもって特別な要件に調節することができる。
【0039】
一般的に、実用上非常に重要な実施例では、リング状磁場源の磁場強度及び/又は磁場増強リングの磁場強度及び/又は磁気補正リングの磁場強度が、特に蒸発材料に応じて及び/又はカソードの侵食状態に応じて、変更及び/又は制御及び/又は調整することができ、且つ/又は真空アーク蒸発源の別の動作パラメータに応じて制御又は調整することができる。
【0040】
特別な用途によっては、磁場強度は、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングの電磁石による電流の制御及び/又は調整によって、制御及び/又は調整することができる。
【0041】
リング磁石が使用される場合、磁場強度は、リング磁石の交換によって、且つ/又は追加のリング磁石によって、且つ/又はリング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングのリング磁石の除去によって、調節することができる。
【0042】
本発明によるそのような実施例は、多くの実用上の用途に特に有利であることが分かっており、ここで、磁場強度は、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングの面法線に平行に整列された複数の永久磁石の数の変更によって調節することができる。
【0043】
様々な磁場の磁気極性方向に関して、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングは、面法線に関して同方向に極性を向けられることができ、或いは別の場合には、リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングを、面法線に関して逆方向に極性を向けられることができる。
【0044】
従来技術からそれ自体知られているように、アーク蒸発源の冷却のために、冷却システム、特に水冷システムが提供される。
【0045】
リング状磁場源及び/又は磁場増強リング及び/又は磁気補正リングは、特に高温磁石、特にSmCoからなる高温磁石を含むことができ、それによりアーク蒸発源を使用してかなり高い動作温度を実現すること、或いは低減された冷却パワーを使用して蒸発カソードに対して作業を行うことができる。特別な場合には冷却をなくすことさえできる。
【0046】
リング状磁場源は、好ましくは、それ自体知られている様式で取付けブロックに、特に銅からなる取付けブロックに配置され、カソードの蒸発表面へのアーク放電の制限のために、BN絶縁体が取付けブロックとカソードとの間に提供される。
【0047】
これに関連して、取付けブロックは、アーク放電の点火及び維持のために一次アノードを含むことができ、一次アノードは、取付けブロックに関して電気的に絶縁することができる。しかし他の実施例では、取付けブロックに関して電気的に絶縁する必要は必ずしもない。
【0048】
BN絶縁体はアーク放電の点火及び維持のためにカソードと接触していてよく、これは従来技術からそれ自体知られている構成である。
【0049】
アークの改良された点火を実現するために、アーク蒸発源は、アーク放電の点火のための枢動可能なトリガ・デバイスを含むことができ、このデバイスは、特に直線運動可能に又は回転可能に構成される。
【0050】
さらに、本発明は、さらに上述されたように、且つ図面を用いて以下に説明するように、アーク蒸発源を含むアーク蒸発チャンバに関する。
【0051】
従来技術から大筋では知られているように、本発明によるアーク蒸発源のカソード本体、及びアーク蒸発チャンバ自体を電源ユニットに接続することができ、アーク蒸発チャンバは、カソードに関してアノードとして電気的に接続される。
【0052】
またアーク蒸発チャンバは、当業者にそれ自体知られている様式で、取付けブロックから電気的に絶縁された一次アノードに電気抵抗を介して電気的に接続させることができ、或いは取付けブロックから電気的に絶縁された一次アノードが補助電源ユニットの正の極に接続され、アーク蒸発チャンバが補助電源ユニットの負の極に接続されることができる。
【0053】
この構成では、電気エネルギー供給ユニット及び/又は補助電源ユニットは直流電気エネルギー源であってよく、別の実施例では、電気エネルギー供給ユニット及び/又は補助電源ユニットはパルス電気エネルギー源又は任意の他の適切な電気エネルギー源であってもよい。
【0054】
連続DC動作での本発明によるアーク源の動作に関する通常のパラメータは、10〜600Vの範囲内のエネルギー源の動作電圧と、30〜500Aの範囲内の電流とである。パルス放電で作動される場合、電源の冷却が、冷却によって時間平均エネルギーを放散することができるように依然として適当であるように、数千Aまでのパルス電流を印加することができる。エネルギー源のパルス周波数は数Hzから数十kHzまでの範囲内であってよい。補助源は同様のパラメータで動作される。
【0055】
蒸発器が使用される作業圧力は、高真空から50Paまでの範囲である。
【0056】
本発明を、概略図面を用いて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による真空アーク蒸発源の第1の実施例を示す図である。
【図2a】複数の永久磁石を有する真空アーク蒸発源の背面図である。
【図2b】図2aの断面線I−Iに沿った断面図である。
【図3】磁気補正器リングを有する真空アーク蒸発源の、本発明による一実施例を示す図である。
【図4】複数の永久磁石を有する図3による別の実施例の背面図である。
【図5】BN絶縁体を有する一実施例を示す図である。
【図6】枢動可能なトリガ・デバイスを有するアーク蒸発チャンバを示す図である。
【図7】絶縁された一次アノード及び抵抗を有するアーク蒸発チャンバを示す図である。
【図8】補助ユニットを有する図7による実施例を示す図である。
【図9】複数のアーク蒸発源を有する第1のアーク蒸発チャンバを示す図である。
【図10】複数のアーク蒸発源を有する第2のアーク蒸発チャンバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1に、以下では全体を参照番号1で表される真空アーク蒸発源の第1の単純な実施例が、本発明によるアーク蒸発チャンバ内に組み込まれた状態で、断面を概略的に例示される。
【0059】
本発明による真空アーク蒸発源1は、カソード32の蒸発表面33上でのアーク放電の発生のために、リング状又は環状の磁場源2と、カソード32として蒸発材料31を有するカソード本体3とを含む。カソード本体3は、カソード底部34によって第1の軸線方向で、蒸発表面33によって第2の軸線方向で、軸線方向に境界を画定される。リング状磁場源2は、カソード底部34から遠いカソード本体3の側で、予め規定可能な第1の距離A1だけ間隔を空けられて、蒸発表面33の面法線300に同心に、且つ面法線300に平行又は反平行に極性を与えられて配置される。本発明によれば、磁場増強リング4が、蒸発表面33から遠い側で、カソード底部34の正面に、予め規定可能な第2の間隔A2で配置される。
【0060】
この構成では、磁場増強リング4の内径D1は、カソード32の直径の約3%、特に10%まで、好ましくは15%まで、特に50%までであり、又は50%よりも大きい。例えば100mmの直径を有するカソード32が使用される場合、磁場増強リング4の内径D1は、例えば3mm、特に10mmまで、好ましくは15mmまで、特に50mmまでであり、又はそれよりも大きい。
【0061】
磁場増強リング4の幅Bは、カソード32の直径の約2%、特に5%まで、好ましくは10%まで、又は10%より大きくてもよい。他方で100mmの直径を有するカソード32を想定する場合、磁場増強フィールド4の幅Bは、例えば2mm、特に5mmまで、好ましくは10mmまで、又はそれより大きくてもよい。
【0062】
これに関連して、磁場増強リング4の具体的な幾何形状は、具体的なコーティング作業に対する特別な要求、コーティング構成の幾何形状及び/又はサイズ、カソード材料、或いはコーティング・プロセスに影響を及ぼす他のパラメータによって決まることがある。
【0063】
この構成では、真空アーク蒸発源は、それ自体知られている様式でアーク蒸発チャンバ10内に設置され、冷却用の冷却システム6を設けられ、冷却システム6を通して、矢印600によって示されるように冷却のために冷却水600が流れる。リング状磁場源2と磁場増強リング4とによって全体として生成される磁場は、磁力線200によって大幅に簡略化された概略図で表され、この磁力線200は、磁場の実際の幾何形状を再現せず、例えば電子eの運動に影響を及ぼす。
【0064】
図2aに、背面図、即ち真空アーク蒸発源1のカソード底部34上への図が例示され、ここで、磁場増強リング4は、複数の永久磁石40によって本質的に形成されている。磁場増強リング4の永久磁石40は、蒸発表面33から遠い側で、カソード底部34の正面に、予め規定された第2の間隔A2で配置され、それらの磁気極性に関して、面法線300に本質的に平行又は反平行に整列される。例えばカソード本体3の領域内で特定の磁石幾何形状を実現するために、すべての永久磁石40を、例えば表面300に関して平行又は反平行に整列させることができ、或いは永久磁石40のいくつかを面法線に関して平行に整列させ、永久磁石40の他のいくつかを反平行に整列させることができることを理解されたい。
【0065】
さらに、例えば、磁場増強リング4及び/又は磁気補正リング5及び/又は磁場源2はいずれも、例えば面法線300に平行に整列された複数の永久磁石(20、40、50)が配置されたフェライト・リング又は強磁性リング又は非磁性リングによって形成することができることを理解されたい。フェライト・リング又は強磁性リング又は非磁性リングを省くこともできることは明らかである。
【0066】
実用上重要な一実施例では、磁石増強リング4は、例えば、3つの永久磁石40が120°の間隔で配置されたフェライト・リングによって形成される。
【0067】
上述したことは、リング状磁場源2の永久磁石20の取り得る構成、及び磁気補正リング5の永久磁石50にも当然当てはまり、これらは以下でさらにより詳細に説明する。
【0068】
分かりやすくするために、図2aに従ってカソード本体3を通る断面線I−Iに沿った断面が図2bに例示される。面法線300に同心に蒸発表面33の真上に配置されるリング状磁場源を見ることができる。図2bの実施例では、リング状磁場源2はリング磁石2である。別の実施例では、リング磁石2を、複数の個別のリング磁石2から形成することもでき、且つ/又は複数の永久磁石20によって形成することもでき、且つ/又は電磁石2によって実現することもできることが理解される。
【0069】
磁場増強リング4は磁性又は非磁性取付けリングを含み、そこに好ましくは永久磁石40が着脱可能に提供され、したがってこれらを容易に交換することができ、又は要件に応じて永久磁石40の総数を変えることができ、それにより、磁場増強リング4によって引き起こされる磁場の強度及び/又は幾何形状を非常に容易に変えることができる。
【0070】
実用上特に重要な、磁気補正リング5を有する真空アーク蒸発源1の本発明によるさらなる実施例が、部分断面で図3に例示される。リング状磁場源2は、カソード3の蒸発表面33から距離A1だけ間隔を空けられる。磁気補正リング5は、磁気増強リング4よりもカソード底部34に幾分近く、間隔A2で配置され、磁気増強リング4は、カソード底部34から幾分大きな間隔A3だけ間隔を空けられる。また、要件に応じて適切な様式で間隔A1、A2、及びA3を変えることができるようにする当業者にそれ自体知られている手段も存在し、しかしそれらはより詳細には図示されない。
【0071】
図3の実施例では、磁場源2と、磁場増強リング4と、磁気補正リング5とが、面法線に関して同様に磁気的に極性を与えられる。他の実施例では、前述の磁性リングを、面法線300に関して任意の他の適切な組合せで配置することもできることを理解されたい。これは、要件に応じて変わることがあり、例えば使用する磁石2、4、5の相対強度によって、且つ/又はカソード本体3に関する特別な幾何構成によって、或いは装置又は技術的工程に関する他の仕様によって決定することができる。
【0072】
図4は、図3による別の実施例の背面図を示し、この図では磁気増強リング4と磁気補正リング5とが複数の永久磁石40、50によって形成される。図4の実施例では、磁気増強リング4と磁気補正リング5とがカソード底部34から同じ距離を有している。
【0073】
一実施例が図5に概略的に例示され、この実施例では、アノード9は、例えば銅から構成されることがある導電取付けブロック7に対して、BN絶縁体8によって、言い換えると窒化ホウ素、即ちBNをその本質的な成分として含有する電気絶縁層によって電気的に絶縁される。BN層を有するこの構成は、それ自体知られており、主にアノード9又は取付けブロック7へのアークのクロストークを防止する役割をする。同時に、アノード9は、コーティング・プロセス中にアークを点火又は維持する役割をすることができる。
【0074】
図6の実施例では、アーク蒸発チャンバ10が、枢動可能トリガ・デバイス14とともに概略的に例示され、ここで、トリガ・デバイス14は、負の電位に位置するカソード本体3に関してアノードとして正の電位に電気的に接続される。トリガ・デバイス14は、アークの点火及び維持に関してそれ自体知られている様式で働き、矢印141によって例示されるように回転軸の周りで枢動させることができるだけでなく、蒸発表面33に対する距離に関して、矢印142に沿って直線的に変えることもできる。
【0075】
図7及び図8は、絶縁された一次アノードを有する本発明によるアーク蒸発チャンバの実施例をそれぞれ示す。アーク蒸発チャンバ10がエネルギー供給ユニット11の正の極に接続され、カソード本体3がエネルギー供給ユニット11の負の極に接続される。即ち、アーク蒸発チャンバ10はカソード本体3に関してアノードとして電気的に接続される。
【0076】
アノード9は、取付けブロック7から電気的に絶縁された一次アノード9としてそれぞれ設計される。これに関連して、図7の実施例では、一次アノード9は電気抵抗12を介してアーク蒸発チャンバ10と電気的に結合され、一方、図8の実施例では、一次アノード9はそれ自体知られている様式で補助電源ユニット13を介してアーク蒸発チャンバ10と結合される。
【0077】
取付けブロック7と、電気エネルギー供給ユニット11と、一次アノード9とのこの種の電気的構成に関して、アーク蒸発チャンバ10とアノード9との間で電位分離が確立されることが重要であり、それにより一次アノード9と二次アノードとが作成され、ここで二次アノードは、アーク蒸発チャンバ10自体によって形成される。
【0078】
また、一次アノード9とアーク蒸発チャンバ10との間の電位分離は、補助電源ユニット13又は電気抵抗12が取付けブロック7とアーク蒸発チャンバ12との間に配置されることによって実現させることもでき、このとき、一次アノード9が取付けブロック7と電気接続されること、或いは取付けブロック7が一次アノード9を形成すること、又は一次アノード9を直接含むことを理解されたい。
【0079】
これに関連して、アーク蒸発チャンバ10と真空アーク蒸発源9との間の電気回路の理論的及び実用的な根本原理は、それ自体当業者に知られており、したがってここでさらに詳細に説明する必要はない。
【0080】
一例として、アーク蒸発チャンバ10の2つのさらなる特別な実施例が図9及び図10に図示され、これらは実用上特に重要である。これに関連して、アーク蒸発チャンバ10内に複数の蒸発器が設置される場合に関して、個々の蒸発器の極性の配列が一例として特に説明される。
【0081】
図9及び図10に基づいて、同一のアーク蒸発チャンバ10内に複数のアーク蒸発源1が存在する際の磁力線の間の相互作用を特に明瞭に説明することができる。具体的なコーティング作業の要求に応じて、例えば図9による変形形態がより良く適していることも、図10による変形形態がより良く適していることもある。当然、アーク蒸発チャンバ10内のアーク蒸発源の他の構成も本発明によって網羅されることを理解されたい。
【0082】
図9は、複数のアーク蒸発源1を有する第1の蒸発チャンバ10を有する構成を示し、これは、アーク蒸発チャンバ10を横方向に通る、向かい合わせに配設されたアーク蒸発源1の磁場増強をもたらす。例示によれば、互いに上下に位置するアーク蒸発源1が、それらの極性に関して交互に配置される。弱め合う極性を有する(例えばN極がS極と向き合って位置する)磁場源2の構成により、磁力線はアーク蒸発チャンバ10を横方向に通って閉じられる。これは、見やすくするために図9及び図10には例示されない被覆すべき基板の近傍での反応ガスの励起の好適な影響をもたらす。図9の構成により、被覆すべき基板の近傍での層成長は、反応ガスの励起によって好適な影響を及ぼされる。
【0083】
図10は、複数のアーク蒸発源1を有するアーク蒸発チャンバ10のさらなる変形形態を示す。これに関連して、蒸発器1は、平面内でチャンバ10の周りを巡って位置される。この相反的な構成は、図9による磁場増強がチャンバ10を横方向に通して生じずに、閉じられた磁場が蒸発器1の間に生じるという効果を有する。この構成は、基板の近傍でのプロセス・ガスの反応性のさらなる刺激が望まれないときに、例えば層内で小さな割合の反応ガスが望まれる層が堆積されるときに好ましい。
【0084】
記述された実施例は、単に例として理解されるべきであり、保護の範囲が、明示して記述された実施例に限定されないことを理解されたい。特に、実施例の各適切な組合せが、同様に本発明に含まれる。
【0085】
これに関連して、本発明によるアーク蒸発源は、例えば窒化物層、炭化物層、炭窒化物層、又は酸窒化物層の製造のために、また酸化物層、又は炭酸窒化物層、或いはアーク蒸発源によって有利に製造することができるすべての他の層の製造のために、通常の反応ガスを使用して、様々な加工物の被覆のために多くの様式で使用することができる。
【0086】
以下に、磁場の調節のためのいくつかの実用的な方法が、蒸発作業に応じて開示される。
【0087】
リング状磁場源は、マガジン装填のための穴を有する取付けプレートの中実構成により、磁石の数の選択を可能にし、またそれらの相対位置A1の決定も可能にする。ここで、必要であればアノードが開口にねじ留めされる。
【0088】
カソード底部の後方の空間を自由に設計することができるので、磁場増強リング及びまた補正リングを容易に交換することができる。
【0089】
リング自体は、好ましくは個別の磁石から構成され、それにより磁石の数及び極性が調節可能である。カソード底部に対する距離、又は互いの距離の調節は、単純な機械的摺動及びクランプ・システムを使用して実現することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード(32)の蒸発表面(33)上でアーク放電を生成するために、リング状磁場源(2)と、前記カソード(32)としての蒸発材料(31)を備えたカソード本体(3)とを含む真空アーク蒸発源であって、前記カソード本体(3)は、軸線方向において、カソード底部(34)によって第1の軸線方向の境界を、また前記蒸発表面(33)によって第2の軸線方向の境界を画定されており、前記リング状磁場源(2)は、面法線(300)に平行又は反平行に極性を有するように、且つ前記蒸発表面(33)の面法線(300)に同心になるように配置されている真空アーク蒸発源において、
磁場増強リング(4)が、前記蒸発表面(33)から遠い側で、前記カソード底部(34)の正面に、予め規定可能な第2の間隔(A2)で配置されることを特徴とする真空アーク蒸発源。
【請求項2】
前記磁場源(2)は、前記蒸発表面(33)が前記磁場源(2)のN極とS極との間に位置するように、前記蒸発表面(33)の前記面法線(300)に同心に配置されている請求項1に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項3】
前記磁場源(2)は、前記カソード底部(34)から遠い前記カソード本体(3)の側で、予め規定可能な第1の距離(A1)だけ前記蒸発表面(33)から離れている請求項1に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項4】
前記磁場増強リング(4)は、前記面法線(300)に平行又は反平行に極性を有するように、且つ/又は前記面法線(300)に同心になるように配置されている請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項5】
前記磁場増強リング(4)の内径(D1)が、前記カソード(32)の直径の約3%、特に10%まで、好ましくは15%まで、とりわけ50%までである請求項2から請求項4までの一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項6】
前記磁場増強リング(4)の幅(B)が、前記カソード(32)の直径の約2%、特に5%まで、好ましくは10%までである請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項7】
少なくとも1つの磁気補正リング(5)が、前記蒸発表面(33)から遠い側で、前記カソード底部(34)の正面に、予め規定可能な第3の距離(A3)で配置される請求項1から6までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項8】
前記磁気補正リング(5)は、前記面法線(300)に平行又は反平行に極性を有するように、且つ/又は前記面法線(300)に同心になるように配置されている請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項9】
前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)が、前記面法線(300)に同心でなく整列され、且つ/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)が、非円形の断面積を有している請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項10】
前記第1の間隔(A1)及び/又は前記第2の間隔(A2)及び/又は前記第3の間隔(A3)は、特に前記蒸発材料(31)に応じて、及び/又は前記カソード(32)の侵食の状態に応じて調節可能であり、且つ/又は前記真空アーク蒸発源の別の動作パラメータに応じて制御又は調整可能である請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項11】
前記第1の間隔(A1)及び/又は前記第2の間隔(A2)及び/又は前記第3の間隔(A3)は、0〜200mmの範囲内にある請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項12】
前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)は、前記面法線(300)に平行に整列された複数の永久磁石(20、40、50)を含む請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項13】
前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)は、リング磁石を含む請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項14】
前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)は、電磁石を含む請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項15】
前記リング状磁場源(2)の磁場強度及び/又は前記磁場増強リング(4)の磁場強度及び/又は前記磁気補正リング(5)の磁場強度は、特に前記蒸発材料(31)に応じて、及び/又は前記カソード(32)の侵食の状態に応じて変更及び/又は制御及び/又は調整可能であり、且つ/又は前記真空アーク蒸発源の別の動作パラメータに応じて制御又は調節可能である請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項16】
前記磁場強度は、前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)の電磁石による電流の制御及び/又は調整によって、制御及び/又は調整可能である請求項15に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項17】
前記磁場強度は、前記リング磁石の交換によって、及び/又は追加のリング磁石によって、及び/又は前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)のリング磁石の除去によって、調節可能である請求項15又は請求項16に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項18】
前記磁場強度は、前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)の前記面法線(300)に平行に整列された複数の永久磁石(20、40、50)の数を変更することによって調節可能である請求項15から請求項17までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項19】
前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)は、前記面法線(300)に関して同方向に極性を示す請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項20】
前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)は、前記面法線(300)に関して逆方向に極性を示す請求項1から請求項19までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項21】
冷却システム(6)、特に水冷システム(6)が、前記アーク蒸発源の冷却のために提供される請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項22】
前記リング状磁場源(2)及び/又は前記磁場増強リング(4)及び/又は前記磁気補正リング(5)が、高温磁石、特にSmCoから作られた高温磁石を含む請求項1から請求項21までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項23】
前記リング状磁場源(2)が、取付けブロック(7)、特に銅から作られた取付けブロック(7)上に配置され、BN絶縁体が、前記カソード(32)の前記蒸発表面(33)上のアーク放電を制限するために、前記取付けブロック(7)と前記カソード(32)との間に提供される請求項1から請求項22までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項24】
前記取付けブロック(7)が、前記アーク放電の点火及び維持のための一次アノード(9)を含む請求項1から請求項23までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項25】
前記一次アノード(9)は、前記取付けブロック(7)に関して電気的に絶縁されている請求項24に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項26】
前記BN絶縁体は、前記アーク放電の点火及び維持のために前記カソード(32)と接触している請求項23から請求項25までに記載の真空アーク蒸発源。
【請求項27】
特に直線運動可能に又は回転可能に構成された前記アーク放電の点火のための枢動可能トリガ・デバイス(14)を含む請求項1から請求項26までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源。
【請求項28】
請求項1から請求項27までのいずれか一項に記載の真空アーク蒸発源(1)を含むアーク蒸発チャンバ。
【請求項29】
前記真空アーク蒸発源(1)の前記カソード本体(3)と、前記アーク蒸発チャンバとが電気エネルギー供給ユニット(11)に接続されており、前記アーク蒸発チャンバは、前記カソード本体(3)に関してアノードとして電気的に接続されている請求項28に記載のアーク蒸発チャンバ。
【請求項30】
前記取付けブロック(7)から電気的に絶縁された一次アノード(9)に、電気抵抗(12)を介して電気的に接続されている請求項28に記載のアーク蒸発チャンバ。
【請求項31】
前記取付けブロック(7)から電気的に絶縁された一次アノード(9)が補助電源ユニット(13)の正の極に接続され、前記アーク蒸発チャンバが前記補助電源ユニット(13)の負の極に接続されている請求項29に記載のアーク蒸発チャンバ。
【請求項32】
前記電気エネルギー供給ユニット(11)及び/又は前記補助電源ユニット(13)が直流電圧電気エネルギー源である請求項29から請求項31までのいずれか一項に記載のアーク蒸発チャンバ。
【請求項33】
前記電気エネルギー供給ユニット(11)及び/又は前記補助電源ユニット(13)がパルス電気エネルギー源である請求項29から請求項32までのいずれか一項に記載のアーク蒸発チャンバ。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−525158(P2010−525158A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503437(P2010−503437)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052844
【国際公開番号】WO2008/125397
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508190746)スルザー メタプラス ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】