説明

真空バルブ

【課題】低コストの構成であり、拡張ユニットの微小なストロークだけで閉塞プレート及び対プレートのそれぞれが、シート及び対シートのそれぞれに対して押し付けられる真空バルブを提供する。
【解決手段】各プレート(10)(11)が、閉塞装置(12)の開位置において各平面(13)(14)に対して平行に配置されている。閉塞装置(12)が、両プレート(10)(11)の間において、バルブロッド(23)に対して固定され、両プレート(10)(11)の間隔を広げて、各平面(13)(14)に対して平行な拡張面(17)(18)を有するシート(8)(9)に対して閉塞プレート(10)を押し付ける拡張ユニット(16)を備えている。閉塞装置(12)が、縦軸線(26)の方向に拡張ユニット(16)に対して動かされるとともに、縦軸線(26)の方向に動かないようにプレート(10)(11)に対して固定されている少なくとも1つの支持部(34)をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
真空バルブは、相互に楔形状に配置されている第1平面及び第2平面のそれぞれに配置され、真空バルブの閉塞状態において閉塞プレート及び反対側プレートが押し付けられるシート及び反対側シートを備えている(特許文献1参照)。
【0003】
閉塞プレート及び反対側プレートは、複数の固定プレートに対して固定されている。複数の固定プレートは、バルブロッドにより連結されているアーチ状の連結プレートを介して相互に連結されている。真空バルブの閉塞に際して、固定プレートがまずバルブロッドにより動かされ、閉塞プレート及び反対側プレートのそれぞれがシート及び反対側シートのそれぞれに対向している場合、バルブハウジングに固定されている反対側ストッパにおいて制動されかけることによりそれ以上の動きが妨げられる。
【0004】
その結果、バルブロッドがアーチ状の連結プレートを押し付け、閉塞プレート及び反対側プレートのそれぞれが離間してわずかに変形するとともに、シート及び反対側シートのそれぞれに対して押し付けられる。製品耐性を十分に低く維持することが困難であり、さらには使用に伴って異なる部位の相互位置のずれが時間経過とともに徐々に大きくなる。
【0005】
バルブロッドが圧縮要素に対して固定され、この圧縮要素が、真空バルブの閉塞状態において閉塞プレートをシートに対して押し付けるために閉塞装置の傾斜面と相互作用する傾斜面を有しているような真空バルブが知られている(特許文献2参照)。閉塞力がバルブロッドを通じて伝達される必要があるので、バルブロッドが堅固に構成されているような堅固な構造が要求される。
【0006】
楔形閉塞部材を有する真空バルブが提案されている(特許文献3参照)。閉塞部材は相互に楔形状に近接する縦表面を有し、各縦表面にはシール部材が設けられている。バルブの閉塞に際して各縦表面は、相互に楔形状に配置されているバルブシートのシール面に当接する。圧力差により一方のシール部材が一方のシール面に対して押し付けられる場合、真空バルブはわずかな閉塞力により閉塞される。
【0007】
楔形閉塞部材を有する他の真空バルブが提案されている(特許文献4参照)。真空バルブの閉塞時に、閉塞部材は、その移動方向後端部に配置されている摺動部において、バルブハウジングに対して摺動しながら案内される。
【0008】
楔形状の閉塞部材を有するさらに別の真空バルブが提案されている(特許文献5参照)。楔形閉塞部材は、バルブロッドにより支持されている2枚のプレートを有する。当該2枚のプレートの間には、リングが設けられている凹部が配置されている。リング及び凹部の壁面は楔形の断面を有する。楔形凹部に配置されている楔形リングにより、バルブハウジングの一のシート及び他のシートに対する各プレートの位置が調節される。
【0009】
先行技術における楔形閉塞部材を有する真空バルブによれば、真空バルブの閉塞のためには、差圧又は比較的強い圧力が各シール部材に作用するため、シール部材の脆弱化及び損傷、さらにはパーティクルの発生を招来する。
【0010】
閉塞過程において、相互に楔形に配置されている2枚の閉塞プレートが、それらの間に配置されている楔形部材によって、適当に配置されているバルブシートに対して押し付けられ、スライドが防止されることが提案されている(特許文献6及び7参照)。
【0011】
閉塞プレート及び対プレートのシートが、平行な面上に配置されているスライドバルブが提案されている(特許文献8参照)。閉塞プレート及び対プレートの相互に対面している領域は、相互に楔形に配置され、かつ、その中間に配置されている楔形部材と相互作用する。楔形部材は、バルブを閉塞するため、閉塞プレート及び対プレートをシート及び対シートに対して押し付ける。閉塞プレート及び対プレートはばね要素により対向方向に付勢されている。
【0012】
相互に平行に配置されている閉塞プレート及び対プレートを備え、当該2つのプレートの間に拡張ユニットが設けられているスライドバルブが知られている。真空バルブの閉塞に際して、閉塞プレート及び対プレートは、まずバルブロッドにより縦方向に動かされる。閉塞プレート及び対プレートに連結されているストッパが、バルブハウジングに固定されている対ストッパに到達した際、閉塞プレート及び対プレートは、バルブロッドに連結されている拡張ユニットにより間隔が広げられ、真空バルブのシート及び対シートに対して押し付けられるようにさらに変位する。
【0013】
さまざまな形態の拡張ユニットが提案されている(特許文献9参照)。拡張ユニットが楔形であり、かつ、中間ロールを介して閉塞プレート及び対プレート相互に対向する側の凹部により構成されている楔形領域と相互作用する(特許文献10参照)。当該構成の製造誤差に関して、閉塞プレート及び対プレートをシート及び対シートに対して押し付けるために十分なストロークが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許公報 US4,301,993A
【特許文献2】米国特許公報 US6,056,267A
【特許文献3】米国特許公報 US6,367,770B1
【特許文献4】米国特許公報 US7,011,294B1
【特許文献5】米国特許公報 US4,548,386
【特許文献6】墺国特許公報 AT455907C
【特許文献7】独国特許公報 DE1962121A1
【特許文献8】米国特許公報 US4,779,649A
【特許文献9】米国特許公報 US4,560,141A
【特許文献10】独国特許公報 DE3028786A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、閉塞プレート及び対プレートの間隔を広げる際、ストローク全体にわたりパーティクルが発生する。ストロークを短縮するため、製造誤差は非常に小さくされなくてはならず、かつ、かなり堅固に構成されなくてはならないので、コストが高くなる。
【0016】
そこで、本発明は、低コストの構成であり、拡張ユニットの微小なストロークだけで閉塞プレート及び対プレートのそれぞれが、シート及び対シートのそれぞれに対して押し付けられる真空バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、軸線を有する通路が形成されているバルブハウジングと、相互に楔形状に配置され、かつ、前記通路の軸線に対して傾斜している2つの面のうち、第1平面において通路を包囲するように配置されているシートと、第2平面において通路を包囲するように配置されている対シートと、開位置において前記通路を開放する一方、閉位置において前記通路を密閉する閉塞装置であって、前記閉塞装置の閉位置において前記シートに対して押し付けられ、前記第1平面に対して平行に配置されている閉塞プレート及び前記閉塞装置の閉位置において前記対シートに対して押し付けられ、前記第2平面に対して平行に配置されている対プレートを有する閉塞装置と、縦軸線を有し、かつ、前記閉塞装置を支持するバルブロッドであって、前記縦軸線に対して平行な閉方向に、前記閉塞装置を直線的に開位置から閉位置に直線的に変位させる一方、当該閉方向の反対方向に、前記閉塞装置を直線的に閉位置から開位置に変位させるためのバルブロッドと、を備えている真空バルブに関する。
【0018】
本発明の真空バルブは、前記閉塞プレート及び前記対プレートのそれぞれが、前記閉塞装置の開位置において前記第1平面及び前記第2平面のそれぞれに対して平行に配置され、前記閉塞装置が、前記閉塞プレート及び前記対プレートの間に配置され、前記バルブロッドに対して固定されている拡張ユニットを備え、前記拡張ユニットが、前記閉塞プレート及び前記対プレートの間隔を広げて、前記シートに対して前記閉塞プレートを押し付けるとともに、前記対シートに対して前記対プレートを押し付けるため、前記第1平面に対して平行に配置されている第1拡張面と、前記第2平面に対して平行に配置されている第2拡張面と、を有し、前記閉塞装置が、前記バルブロッドの前記縦軸線の方向について前記拡張ユニットに対して相対的に変位するように動かされるとともに、前記バルブロッドの前記縦軸線の方向について動かないように前記閉塞プレート及び前記対プレートのうち一方又は両方に対して固定されている少なくとも1つの支持部をさらに備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の真空バルブにおいて、閉塞プレート及び対プレートがそれぞれ閉塞装置の開位置のほか、シート又は対シートに対して平行に閉位置に位置する。シートの平面及び対シートの平面、ひいては閉塞プレート及び対プレートが相互に楔形状に配置され、かつ、それぞれが通路の軸線に対して角度をなしている。
【0020】
閉塞プレート及び対プレートは、通路の軸線に対して平行な平面に対して、反対方向に好ましくは同じ角度だけ傾斜している。閉塞プレートの平面及び対プレートの平面が通路の軸線に対してなす角度は45°より大きいことが好ましく、70°より大きいことがさらに好ましい。当該2つの平面が相互になす角度は45°未満であることが好ましく、20°未満であることがさらに好ましい。
【0021】
バルブロッドに固定されている拡張ユニットが、シートの平面に対して平行に配置されている第1拡張面と、対シートの平面に対して平行に配置されている第2拡張面とを備えている。第1及び第2拡張面は、閉塞プレート又は対プレートに対して平行である。閉塞プレート及び対プレートがシート及び対シートに対して押し付けられるように、閉塞プレート及び対プレートの間隔を広げるため、拡張ユニットは、バルブロッドの縦軸線に平行な閉方向について閉塞プレート及び対ユニットに対して可動である。
【0022】
真空バルブの閉塞に際して、バルブロッドが閉方向について、閉塞装置が開位置にあって通路を開放している第1位置から、閉塞装置が通路に進入している第2位置に動かされ、かつ、閉塞装置が閉位置にある第3位置に動かされる。バルブロッドの第2位置において、閉塞装置のストッパがバルブハウジングに固定されている対ストッパに当接し、かつ、バルブロッドの閉方向について閉塞プレート及び対プレートのさらなる動きが妨げられている場合、閉塞プレートがシートに対して離間し、かつ、対プレートが対シートに対して離間している。バルブロッドが第2位置から第3位置に動かされる際、拡張ユニットが閉塞プレート及び対プレートに対してバルブロッドの閉方向に動かされ、これにより閉塞プレート及び対プレートの間隔が広げられ、通路を密閉するためシート及び対シートに対して押し当てられる。
【0023】
閉塞プレート及び対プレートと同様にシート及び対シートの楔形構造により、バルブロッドが第2位置にあるとき、閉塞プレート及び対プレートのシート及び対シートからの距離は比較的小さく設計され、例えば2mm未満であることが好ましい。バルブロッドの第2及び第3位置の間の閉塞プレート及び対プレートのストロークは、適当に小さく設計される。
【0024】
閉塞プレート及び対プレートが通路に対して平行移動することにより、拡張ユニットによって閉塞プレート及び対プレートの間隔が広げられる。
【0025】
閉塞プレート及び対プレートのそれぞれの押圧面に当接することにより閉塞プレート及び対プレートの間隔を広げるため、拡張ユニットの第1及び第2拡張面は、閉塞プレート及び対プレートに対して直接的に当接してもよい。閉塞プレートの押圧面は第1平面に対して平行に配置され、対プレートの押圧面は第2平面に対して平行に配置されている。
【0026】
一方、第1拡張面及び第2拡張面と、閉塞プレート及び対プレートとの間に伝達要素を介在させてもよい。例えば、一方側を各拡張面に当接させ、他方側を各押圧面に当接させる回転体を備えているロールベアリングが設けられてもよい。閉塞プレート及び値プレートの間隔を広げるため、第1拡張面と閉塞プレートとが間接的に相互作用し、付加的又は代替的に第2拡張面と対プレートとが間接的に相互作用してもよい。
【0027】
本発明によれば、閉塞装置がバルブロッドの縦軸線の方向に拡張ユニットに対して可動である少なくとも1つの支持部を備え、バルブロッドがその縦軸線の方向について閉塞プレート及び対プレートのうち一方又は両方に対して固定されている。これにより、閉塞プレート及び対プレートが適当に案内されうる。
【0028】
本発明のさらなる詳細及び特徴は以下の図面に示されている本発明の実施形態によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】閉状態における本発明の真空バルブの斜視図。
【図2】図1の真空バルブの正面図。
【図3】図1の真空バルブの側面図。
【図4】図2のA−A線断面図。
【図5】図4のB部分拡大図。
【図6】開状態における図1の真空バルブの斜視図。
【図7】閉状態における図4に相当する真空バルブの断面図(簡単のため、バルブロッドをバルブハウジングから遮断するベローズシーリング部材は省略されている。)。
【図8】閉塞装置が中間位置にある状態における図7に相当する真空バルブの断面図。
【図9】図8のC部分拡大図。
【図10】閉塞装置の正面図。
【図11】閉塞装置の側面図。
【図12】図10のD−D線断面図。
【図13】図10のE−E線断面図。
【図14】図10のF−F線断面図。
【図15】対向プレートが省略された状態の閉塞装置の斜視図。
【図16】閉塞装置の分解説明図(その1)。
【図17】閉塞装置の分解説明図(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態としての真空バルブが図1〜図7に示されている。真空バルブは、軸3を有する通路2が形成されているバルブハウジング1を備えている。真空チャンバ及びパイプライン等の真空装置の他の部分に対する連結のため、バルブハウジング1は通路2の入口開口部及び出口開口部を構成する第1フランジ4及び第2フランジ5を備えている。フランジ4及び5の外面は、通路2の軸に対して垂直に配置されている。
【0031】
通路2は、バルブハウジング1の第1板状部材6及び第2板状部材7における窓凹部に連通している。第1板状部材6は、第2板状部材7に対向する側面における、通路2又は当該第1板状部材6の窓開口部を包囲する領域において、閉塞装置12の閉塞プレート10用のシート8を構成する。第2板状部材7の第1板状部材6に対向する側面は、通路2又は当該第2板状部材7の窓開口部を包囲する領域において、閉塞装置12の対プレート11用の対シート9を構成する。
【0032】
楔形を構成するとともに通路2の軸3に対してそれぞれ角度を有する第1平面13及び第2平面14に沿ってシート8及び対シート9が配置されるように、第1板状部材6及び第2板状部材7は相互にある角度をもって配置されている。第1平面13及び第2平面14は、軸3に対して垂直な面に対して反対側に同じ角度だけ傾斜している。当該直角の配置は、後述するバルブロッド23の縦軸26に対して垂直な軸回りの傾斜により実現される。
【0033】
第1平面13及び第2平面14がなす角度15は約10°等、5°〜20°の範囲であることが好ましい。
【0034】
閉塞装置12の閉塞プレート10は第1平面13に対して平行に配置されている。閉塞装置12の対プレート11は第2平面14に対して平行に配置されている。
【0035】
閉塞装置12は、閉塞プレート10及び対プレート11の間に配置されている楔形の拡張ユニット16をさらに備えている。拡張ユニット16は、第1平面13に対して平行に配置され、かつ、閉塞プレート10に当接する第1拡張面17と、第2平面14に対して平行に配置され、かつ、対プレート11に当接する第2拡張面18とを有している。
【0036】
本実施形態では、第1拡張面17は、第1摺動部材19の表面により構成されている。第1摺動部材19は、閉塞装置12の基体21において閉塞プレート10に対面する側部に形成されている凹部に設けられている。第2摺動部材20は、閉塞装置12の基体21において対プレート11に対面する側部に形成されている凹部に設けられている。
【0037】
第1摺動部材19及び第2摺動部材20はテフロン(登録商標)等の適当な摺動材質により作製される。他の摺動材質として、プラスチックが採用されてもよい。
【0038】
拡張ユニット16は、閉方向22についてバルブロッド23の先端部に固定されている。本実施形態では、バルブロッド23は拡張ユニット16の連結部24、ひいては拡張ユニット16の基体21に螺着又はねじ込まれている。
【0039】
バルブロッド23は通路2の軸3に対して垂直に配置されている。第1平面13及び第2平面14は、バルブロッド23の縦軸線26に対して垂直な軸線、すなわちバルブロッド23の縦軸線26に対して垂直、かつ、通路2の軸線3に対して垂直な軸線の回りに反対方向に同じ角度だけ傾斜している。
【0040】
バルブロッド23はベローズ51(折り畳みベローズ、ダイアフラムベローズ又はテフロンベローズ)によりバルブハウジング1(図4及び図5にのみ示されている。)に対してシールされている。バルブハウジング1に対するバルブロッド23のシール部材が、バルブロッド23と、バルブハウジング1の当該バルブロッド23が通る通路(摺動通路)との間に配置されているOリング等により構成されていてもよい。
【0041】
バルブ駆動装置25は、真空バルブの開放及び閉塞のために用いられ、開位置及び閉位置の間における閉塞装置12の位置を制御するため、本実施形態ではバルブロッド23をピストンロッドとするピストンシリンダユニットにより構成されている。バルブロッド23は、バルブ駆動装置25により縦軸26の方向について、真空バルブの閉塞のために閉方向22に動かされ、かつ、真空バルブの開放のために閉方向22の反対方向に動かされる。
【0042】
拡張ユニット16の両側において、バルブロッド23の縦軸線26に対して垂直かつ通路2の軸線3に対して垂直な方向に配置されている2つのばね要素27が、閉塞プレート10及び対プレート11を、拡張ユニット16の第1拡張面17及び第2拡張面18に引き寄せる方向に付勢する。各ばね要素27は、溶接等により閉塞プレート10に固定されている平板ばねとして構成されている第1アーム28と、溶接等により対プレート11に固定されている平板ばねとして構成されている第2アーム29とを備えている。第1アーム28及び第2アーム29は、閉方向22の先端部においてねじ止め等により相互に連結されている。第1アーム28及び第2アーム29は、相互連結部分において楔様に離間するように延設されている。
【0043】
2つのばね要素27に代えて、閉塞プレート10及び対プレート11を拡張ユニット16に対して引き寄せるための一又は3以上のばね要素が設けられていてもよい。各ばね要素が異なる形態で構成されていてもよい。
【0044】
閉塞プレート10及び対プレート11の相対的な位置を安定化させるため、拡張ユニット16の一方の側部において連結部30が閉塞プレート10に対してねじ止めされ、拡張ユニット16の他方の側部において同様の構成の連結部31が対プレート11に対してねじ止めされている。連結部30及び31のそれぞれは鍵穴形穴部32を有している。2つのプレート10及び11のうち相手方のプレートに固定され、マッシュルーム形状のヘッドを有するピン33が穴部32の狭小部に係合する。連結部30及び31並びにピン33は、後述するように真空バルブの閉塞中に閉塞プレート10及び対プレート11の間隔が広がるように、各ピン33のヘッドと穴部32の間の間隙が徐々に広がるように構成されている。
【0045】
閉塞装置12の組み立てに際して、まずピン33が穴部32の拡大部に挿入された上で、ピン33のヘッドより小径の幅狭のスリットに沿って動かされ、続いてばね要素27の第1アーム28及び第2アーム29が相互にねじ止めされる。
【0046】
閉塞プレート10及び対プレート11は閉塞装置12の支持部34により支持され、支持部34はバルブロッド23の縦軸線26の方向に拡張ユニット16に対して移動するように案内される。そのために、支持部34は拡張ユニット16の基体21の溝部35に設けられ、かつ、基体21に固定されているガイドピン36がそこに貫通している。ガイドピン36が支持部34の一方側及び基体21の他方側により支持され、基体21への当接により制限される基準位置に支持部34を付勢するばね37がガイドピン36の一方側に設けられている。支持部34は、ばね37の付勢力に抗して閉方向22の反対方向に基体21に対して動くことができる。
【0047】
閉塞プレート10及び対プレート11は、閉方向22及びその反対方向に動かないように支持部34に連結されている。そのため、連結要素38及び39は、ばね弾性体様に屈曲可能であることが好ましい。連結要素38及び39の凹部に対して係合するラッチ40及び41により、連結要素38及び39が拡張ユニット16の基体21に対して形状を適合させるように連結される。
【0048】
形状適合連結部の両側において基体21から突出している連結要素38及び39のばね弾性アームは、閉塞プレート10及び対プレート11のうち一方又は両方に設けられている突起により当該プレートに当該アームを連結するための穴部42及び43を有している。
【0049】
真空バルブの閉状態において、閉塞装置12は通路2を開放する開位置にあり、バルブロッド23は第1位置にある(図6及び図7参照)。
【0050】
真空バルブの閉塞のため、バルブロッド23はその縦軸線26に対して平行に閉方向22に動かされる。閉塞装置12はバルブロッド23が第2位置となる中間位置に至るまで通路2に挿入される(図8及び図9参照)。中間位置において閉塞プレート10及び対プレート11が軸線3の方向から見た場合に通路2を覆う一方、シート8及び対シート9からなおも離反している。バルブロッド23の第2位置において、閉方向22についてばね要素27の先端部により構成されているストッパ46が、バルブハウジング1に固定されている対ストッパ47に当接している。本実施形態では、対ストッパ47は第1板状部材6及び第2板状部材7を連結する連結部の一部により構成されている(ストッパ46は図7及び図12〜図15に示され、図7に対ストッパ47が示されている。)。
【0051】
例えば、ストッパ46は、閉塞プレート10及び対プレート11の閉方向22の先端部により構成されてもよい。
【0052】
閉塞プレート10及び対プレート11の閉方向22への動きが防止されている状態で、バルブロッド23が第2位置から閉方向22にさらに動かされる。これにより、拡張ユニット16が閉塞プレート10及び対プレート11に対して閉方向22に動かされ、シート8及び対シート9に対して押し付けられるように閉塞プレート10及び対プレート11の間隔が広げられる。
【0053】
閉塞プレート10に設けられている弾性の環状シール部材48がシール面8に対して押し当てられ、これにより閉塞プレート10がシート8に対して密閉される。対プレート11に設けられている弾性の環状シール部材49が対シール面9に対して押し当てられ、これにより対プレート11が対シート9に対して密閉される。
【0054】
弾性の当接リング49はバイトン(Vitonは登録商標)等、シール部材48と同一素材により構成されていてもよい。
【0055】
閉塞プレート10及び対プレート11の間の所定の押圧状態を実現するため、少なくとも1つの貫通孔50が対プレート11に設けられている。
【0056】
真空バルブの閉塞状態において、閉塞装置12はその閉位置にあり、閉塞プレート10は通路2を密閉している(図1〜図5参照)。
【0057】
閉塞プレート10及び対プレート11が、バルブロッド23の縦軸線26の方向に固定されている支持部34に対して連結されることにより、バルブロッド23が第2位置から第3位置まで動く間に支持部34が拡張ユニット16に対して動かされる。拡張ユニット16が閉方向22にさらに動く間、支持部34の閉方向22への動きが妨げられる。ばね37の付勢力に抗して支持部34が拡張ユニット16に対して動かされる。
【0058】
バルブロッド23が第3位置から閉方向22とは反対に動き始めることにより真空バルブが開放される際、閉塞装置12が図8及び図9に示されている中間位置に至るまで、ばね37は少なくとも1つのストッパ46を少なくとも1つの対ストッパ47に対して押し当て、かつ、ばね要素27は閉塞プレート10及び対プレート11をシート8及び対シート9から引き離す。バルブロッド23が第2位置から第1位置にさらに動かされる際、閉塞装置12が開位置に到達するまで、閉塞プレート10及び対プレート11が拡張ユニット16及びバルブロッド23により、閉方向22の反対方向に動かされる。
【0059】
多くの先願発明によれば、閉塞装置12の両側に圧力差が存在しない又は非常に小さい場合に真空バルブが開放されうる。ばね要素27による付勢力として適当に弱い付勢力が選択される。
【0060】
閉塞装置12の閉位置において、シーリングのために対シート9に向かって押圧される対プレート11として、貫通孔50がない構成の対プレート11が採用されてもよい。バルブにより閉じられる吸引用ラインを有する中間吸引部が、閉塞プレート10及び対プレート11の間の空間に設けられてもよい。閉塞プレート10及び対プレート11の間の空間が、圧力補償のために閉塞装置12の一方側に配置されている真空領域に対して開閉バルブを介して連結されてもよい。
【0061】
本発明の技術的範囲から外れることなく、前記実施形態がさまざまに変形されてもよい。例えば、支持部34が、閉方向22について閉塞プレート10及び対プレート11の一方のプレートにのみ固定され、当該2つのプレート10及び11の相互連結により、他方のプレートに対して固定されてもよい。閉塞プレート10及び対プレート11のそれぞれのための別個の支持部34が設けられていてもよい。閉塞プレート10及び対プレート11のうち一方又は両方が、閉方向22について拡張ユニット16に対して固定され、かつ、閉塞プレート10及び対プレート11のうち一方又は両方に対して取り外し可能に連結されている支持部を介して拡張ユニット16に対して連結されていてもよい。
【0062】
ばね37が省略され、真空バルブの開放に際して、バルブロッドの第3位置から第2位置へのストローク又は当該経路の一部において、ストッパ46が、拡張面17及び18、並びに対ストッパ47に当接する閉塞プレート10及び対プレート11の楔形構造に対して連結される少なくとも1つのばね要素27により付勢されていてもよい。
【0063】
シール部材48がシート8に設けられ、かつ、当該シール部材48が当接するシール面が閉塞プレート10に設けられていてもよい。
【0064】
弾性の当接リング49が対シート9に設けられ、かつ、当該当接リング49が当接する当接面が対プレート11に設けられていてもよい。
【0065】
本実施形態では閉塞プレート10及び対プレート11は環状に構成されていたが、他の実施形態として矩形状に構成されていてもよい。
【0066】
閉塞プレート10の第1摺動部材19及び対プレート11の第2摺動部材20のうち一方又は両方が省略され、基体21の表面により拡張面17及び18が直接的に構成されていてもよい。この場合、摺動部材が閉塞プレート10及び対プレート11に設けられ、閉塞プレート10及び対プレート11の表面が拡張面17及び18に当接する当接面又は押圧面を構成することが好ましい。拡張ユニット16が第1摺動部材19及び第2摺動部材20を有する場合、閉塞プレート10及び対プレート11のうち一方又は両方に摺動部材が設けられていてもよい。
【0067】
閉塞プレート10が第1拡張面17に対して平行に案内され、付加的又は代替的に、対プレート11が第2拡張面18に対して平行に案内されるように、拡張ユニット16の力を閉塞プレート10及び対プレート11のうち一方又は両方に対して伝達するため、第1拡張面17及び閉塞プレート10の間、並びに第2拡張面18及び対プレート11の間のうち一方又は両方に伝達要素が設けられてもよい。円柱状又は球状等の回転体は、適当な回転体ケージに配置されてもよい。回転体ケージは拡張ユニット16又は閉塞プレート10若しくは対プレート11により保持されていてもよい。
【0068】
本発明の真空バルブは、その開閉に際してパーティクルの発生量が少ない。本発明の真空バルブによれば、シール部材48の交換等の周期が延長される。
【符号の説明】
【0069】
1‥バルブハウジング、2‥通路、3‥軸線、4‥フランジ、5‥フランジ、6‥第1板状部材、7‥第2板状部材、8‥シート、9‥反対側シート、10‥プレート、11‥反対側プレート、12‥閉塞装置、13‥第1平面、14‥第2平面、15‥角度、16‥拡張装置、17‥第1拡張面、18‥第2拡張面、19‥第1摺動部材、20‥第2摺動部材、21‥基体、22‥閉方向、23‥バルブロッド、24‥連結部、25‥バルブ駆動装置、26‥縦軸線、27‥ばね要素、28‥第1アーム、29‥第2アーム、30‥連結部、31‥連結部、32‥穴部、33‥ピン、34‥支持部、35‥溝部、36‥ガイドピン、37‥ばね、38‥連結要素、39‥連結要素、40‥ラッチ、41‥ラッチ、42‥穴部、43‥穴部、44‥ほぞ、45‥ほぞ、46‥ストッパ、47‥反対側ストッパ、48‥シール部材、49‥弾性当接リング、50‥開口部、51‥ベローズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(3)を有する通路(2)が形成されているバルブハウジング(1)と、
相互に楔形状に配置され、かつ、前記通路(2)の軸線(3)に対して傾斜している2つの面(13)(14)のうち、第1平面(13)において通路(2)を包囲するように配置されているシート(8)と、第2平面(14)において通路(2)を包囲するように配置されている対シート(9)と、
開位置において前記通路(2)を開放する一方、閉位置において前記通路(2)を密閉する閉塞装置(12)であって、前記閉塞装置(12)の閉位置において前記シート(8)に対して押し付けられ、前記第1平面(13)に対して平行に配置されている閉塞プレート(10)及び前記閉塞装置(12)の閉位置において前記対シート(9)に対して押し付けられ、前記第2平面(14)に対して平行に配置されている対プレート(11)を有する閉塞装置(12)と、
縦軸線(26)を有し、かつ、前記閉塞装置(12)を支持するバルブロッド(23)であって、前記縦軸線(26)に対して平行な閉方向(22)に、前記閉塞装置(12)を直線的に開位置から閉位置に直線的に変位させる一方、当該閉方向(22)の反対方向に、前記閉塞装置(12)を直線的に閉位置から開位置に変位させるためのバルブロッド(23)と、を備えている真空バルブであって、
前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)のそれぞれが、前記閉塞装置(12)の開位置において前記第1平面(13)及び前記第2平面(14)のそれぞれに対して平行に配置され、
前記閉塞装置(12)が、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)の間に配置され、前記バルブロッド(23)に対して固定されている拡張ユニット(16)を備え、前記拡張ユニット(16)が、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)の間隔を広げて、前記シート(8)に対して前記閉塞プレート(10)を押し付けるとともに、前記対シート(9)に対して前記対プレート(11)を押し付けるため、前記第1平面(13)に対して平行に配置されている第1拡張面(17)と、前記第2平面(14)に対して平行に配置されている第2拡張面(18)と、を有し、
前記閉塞装置(12)が、前記バルブロッド(23)の前記縦軸線(26)の方向について前記拡張ユニット(16)に対して相対的に変位するように動かされるとともに、前記バルブロッド(23)の前記縦軸線(26)の方向について動かないように前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)のうち一方又は両方に対して固定されている少なくとも1つの支持部(34)をさらに備えていることを特徴とする真空バルブ。
【請求項2】
請求項1記載の真空バルブにおいて、
前記閉塞装置(12)を開位置から閉位置に対して駆動制御するために前記バルブロッド(23)が前記閉方向(22)について、前記閉塞装置(12)が開位置にあって前記通路(2)を開放している第1位置から、前記閉塞装置(12)が前記通路(2)に挿通されている第2位置に動かされ、かつ、前記閉塞装置(12)が閉位置にある第3位置に動かされ、
前記バルブロッド(23)が前記第1位置から前記第2位置に変位する間、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)が前記バルブロッド(23)とともに前記閉方向(22)に動かされ、
前記閉塞装置(12)の少なくとも1つのストッパ(46)が、前記バルブロッド(23)が前記第2位置にある状態において、前記バルブハウジング(1)に対して固定されている対ストッパ(47)に当接し、かつ、前記バルブロッド(23)が前記第2位置から前記第3位置に動く間、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)が前記閉方向(22)に動くことを防止し、
前記バルブロッド(23)が前記第2位置から前記第3位置に動いている間、前記拡張ユニット(16)が、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)に対して動くことにより、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)の間隔を広げ、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)のそれぞれを前記シート(8)及び前記対シート(9)のそれぞれに対して押し付けることを特徴とする真空バルブ。
【請求項3】
請求項2記載の真空バルブにおいて、
前記バルブロッド(23)の前記第2位置において、前記閉塞プレート(10)が前記シート(8)に対して離間し、かつ、前記対プレート(11)が前記対シート(9)に対して離間していることを特徴とする真空バルブ。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の真空バルブにおいて、
前記拡張ユニット(16)に対して前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)を引き寄せる少なくとも1つのばね要素(27)を備えていることを特徴とする真空バルブ。
【請求項5】
請求項4記載の真空バルブにおいて、
前記ばね要素(27)が、前記閉塞プレート(10)に対して固定されている第1アーム(28)と、前記対プレート(11)に対して固定されている第2アーム(29)とを備え、前記第1アーム(28)及び前記第2アーム(29)が前記閉方向(22)についての先端部において相互に連結されていることを特徴とする真空バルブ。
【請求項6】
請求項5記載の真空バルブにおいて、
前記少なくとも1つのストッパ(46)が、前記少なくとも1つのばね要素(27)の前記閉方向(22)についての先端部に形成されていることを特徴とする真空バルブ。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか1つに記載の真空バルブにおいて、
前記拡張ユニット(16)の両側において、前記閉塞プレート(10)及び前記対プレート(11)のそれぞれを前記拡張ユニット(16)に対して引き寄せるばね要素(27)が設けられていることを特徴とする真空バルブ。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の真空バルブにおいて、
前記支持部(34)がばね(37)により基本位置に付勢されており、前記真空バルブが閉塞された場合、前記ばね(37)の付勢力に抗して前記拡張ユニット(16)に対して前記閉方向(22)とは反対方向に変位可能であることを特徴とする真空バルブ。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の真空バルブにおいて、
前記第1拡張面(17)及び前記第2拡張面(18)が、前記拡張ユニット(16)の基体(21)上の摺動部材(19)により構成されていることを特徴とする真空バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−518216(P2013−518216A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549203(P2012−549203)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/AT2011/000002
【国際公開番号】WO2011/088482
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(593030945)バット ホールディング アーゲー (31)
【Fターム(参考)】