説明

真空パッケージ及びその製造方法

【課題】大型化、封止不良及び機能不良を生ずることなく高真空を実現する真空パッケージ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】真空パッケージ100は、チャンバ6内に真空封止される赤外線受光素子1と、チャンバ6を形成する赤外線透過窓12、スペーサ9及び受光素子基板3とを備える。赤外線透過窓12は、チャンバ6内を脱気するための貫通孔13を有し、貫通孔13は封止材料15で封止されている。貫通孔13を形成する赤外線透過窓12の角部は鈍角である。貫通孔13の内壁は、チャンバ6の外面側から内面側に向けて貫通孔の開口面積を縮小する第1テーパ面と、チャンバ6の内面側から外面側に向けて貫通孔13の開口面積を縮小する第2テーパ面と、を有し、第1テーパ面は、第2テーパ面よりもチャンバ6の外面側に形成されている。また、封止材料15用のパッド14は、貫通孔13の内壁のうち、第1テーパ面上のみに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能素子(例えば、赤外線検出素子、圧電素子、振動素子等)を真空封止したパッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線センサ、圧力センサ、加速度センサ等の機能デバイスにおいては、その性能を高めるために各機能素子を真空封止する必要がある。
【0003】
赤外線センサを例にすると、一般に、赤外線検出素子には量子型と熱型があるが、熱型は相対的な熱量を検出する方式である。このため、熱型は、量子型に比べ追随性に劣るものの、非冷却方式にすることが可能であり、構造の単純化により製造コストを安く抑えることができる。この熱型赤外線センサにおいては、ウィンドウを透過した赤外線が検出素子の受光部に吸収され、これにより生ずる温度変化に伴う抵抗変化を信号として検出する。そのため、夜間のセキュリティ用監視カメラや、温度分布を割り出し表示するサーモグラフィなどに用いられる赤外線センサにおいては、信号を高感度に検出するために、受光部を熱的に絶縁する必要がある。このような熱的絶縁性は、例えば、受光部を中空に浮かせたり、赤外線検出素子自体を真空容器内に配置したりすることで得ることができる。
【0004】
図24に、特許文献1に記載の赤外線検出用真空パッケージを説明するための概略断面図を示す。例えば、特許文献1に記載の赤外線検出用真空パッケージにおいては、基板901上に受光部902を形成した基板901と、1個以上の貫通穴911が設けられ、基板901の該受光部902の前面に空隙903を隔てて配置された赤外線透過窓904とが形成され、基板901と透過窓904とは、該受光部902を完全に囲む接着面で、相互に気密に接着することにより固定されており、基板901と透過窓904との空隙903を該貫通穴911から排気することにより真空とした後に透過窓904の貫通穴911が封止材料912により気密に封止されている。
【0005】
この他にも、機能素子を封止した真空パッケージにおける封止技術は、例えば特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の圧電デバイス用パッケージは、底部となる底部基板に枠状基板が積層されることにより、この枠状基板の内側に圧電振動片を収容するための内部空間が形成されており、かつ、底部基板に内部空間と外部とを連通し、封止材を溶融して孔封止される貫通孔が設けられた圧電デバイス用パッケージであり、底部基板は、一層の基板から形成され、貫通孔は、溶融前の封止材の外形より大きな内周を有すると共に、この大きな内周よりも内側に、溶融前の封止材の外形より小さな内周を有する。また、貫通孔の内周面には、封止材と濡れ性のよい金属被覆部が設けられている。
【0007】
図25に、特許文献3に記載の素子の封止パッケージ構造を説明するための概略断面図を示し、図26に、図25に示す穴部の部分概略断面図を示す。特許文献3に記載の素子の封止パッケージ構造においては、素子形成基板体922と、素子形成基板体922の上側に接合される蓋部基板体923と、素子形成基板体922と蓋部基板体923とで囲まれた空間925に収容される素子921と、蓋部基板体923表面の開口部から素子形成基板体922表面に至る穴部926と、この穴部926によって囲まれる素子形成基板体922の表面領域内に穴部926よりも小径の小径開口部930aが形成され該小径開口部930aから空間925に連通接続する連通孔929と、この連通孔929の小径開口部930aを塞いで上記素子921の収容空間を封止する封止部材931と、連通孔929の小径開口部上端縁930bに形成された封止部材931の接合強度を高める封止接合強化膜933とを備え、上記穴部926には上記開口部から素子形成基板体922の表面に至るまでの間に穴径が細くくびれているくびれ部分932が形成されている。この封止パッケージ構造においては、まず、空間925が封止されていない状態の素子の封止パッケージ構造を真空装置に配置し、連通孔929と穴部926とを通して空間925の真空排気を行い、引き続き真空排気を行っている状態でくびれ部分932に乗せられた封止部材931を加熱して溶解させながら封止部材931のガス抜きを行い、さらに封止部材931の加熱を継続し、くびれ部分932から連通孔929の小径開口部930aに向けて溶融した封止部材931を落とし込ませて連通孔929の小径開口部930aを封止部材931により塞ぎ素子921の収容空間925を封止している。
【0008】
【特許文献1】特開平11−326037号公報
【特許文献2】特開2004−266763号公報
【特許文献3】特開平11−340348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図27〜図29に、本発明が解決しようとする課題を説明するための貫通孔部分の概略断面図を示す。図27(a)及び図28(a)は、貫通孔に封止材料を載置した封止前の状態を示し、図27(b)及び図28(b)は、封止材料を溶融した封止後の状態を示す。
【0010】
特許文献1記載のような封止技術においては、貫通孔の内部(内壁間)を封止せずに、貫通孔の開口を半田等の封止材料で封止している。この場合、例えば、図27(a)に示すように、貫通孔943の開口の周囲に封止材料用パッド(金属被覆)942を形成し、貫通孔943に封止材料(例えばハンダボール)944を配置して封止材料944を溶解させる。しかしながら、このような形態では、図27(b)に示すように、封止材料944が貫通孔943の開口を避けるように流動したり、貫通孔943を通って落下したりして、貫通孔943を完全に封止することができない問題が生じやすい。特に、貫通孔943の開口の径が広い場合に封止不良が発生しやすい。
【0011】
特許文献2に記載のような封止技術においては、貫通孔の内部を完全に封止材料で塞いでいる。この場合、例えば、図28に示すように、貫通孔953の内壁全体に封止材料用パッド(金属被覆)952が形成される。しかしながら、このような形態では、図28(b)に示すように、封止材料954がその表面張力によって貫通孔953から突出してしまうことがある。そうすると、パッケージを薄型化した構造においては、貫通孔953と機能素子(例えば赤外線受光素子)との距離が短いので、突出した封止材料954aが、機能素子や金属配線(例えばワイヤボンディング)に達してしまい、機能不良(例えば撮像不良)やショートを引き起こすことになる。特に、封止材料954に鉛フリーハンダを使う場合は、Snによる針状のウィスカが発生しやすいので、ハンダとワイヤなどが初期の段階で直接接していなくても、時間と共に成長したウィスカが原因でショートが発生するリスクが高くなる。したがって、図28に示すような形態においては、封止材料954と機能素子や金属配線との距離を十分に確保しておく必要があるが、そうするとパッケージの薄型化が図れなくなる。
【0012】
特許文献3に記載のような封止技術においては、最終的に、封止材料はくびれ部分から落とされるので、封止材料によって貫通孔の内部(内壁間)を封止することはできない。したがって、図24に示すような形態のパッケージの貫通孔に対しては、特許文献3に記載の封止技術は適用することができない。
【0013】
また、図27〜図29に示すようなテーパを有する貫通孔を形成すると、貫通孔を形成する基板には角度が90度以下となる部分が形成されることになる(例えば、図27〜図29の角部945,955)。このような直角ないし鋭角の角部は、封止時や製品使用時における封止材料の膨張/収縮に伴う熱応力により、割れる危険性を有している。特に、赤外線透過窓や受光素子基板、スペーサなどにしばしば用いられるシリコンやゲルマニウムなどの材料は、非常に割れやすい材料であるため、このような材料に鋭角部分を有する貫通孔を形成すると、クラックによる封止不良が発生する危険性が高い状態となる。
【0014】
さらに、赤外線センサにおいては、一般的な赤外線透過窓は0.5mm〜1.0mm程度の厚さがあるが、この厚さの赤外線透過窓に対して、例えば、図27及び図29に示すようなテーパを有する貫通孔943を形成する場合、貫通孔943から真空引きを行うには、十分なコンダクタンスを確保するため、パッケージ容量に対してある程度大きなサイズの貫通穴943を開ける必要がある。すなわち、真空引きは貫通孔943の最小面積に依存することになるので、一方の面に形成される第1開口941aの最小面積S1が十分な大きさになるように貫通孔943を形成する必要がある。しかしながら、最小面積S1を大きくすると、貫通孔943のテーパ形状により、他方の面に形成される第2開口941bの最大面積S2は自然と大きくならざるを得えない。そして、その結果として、パッケージサイズも大きくならざるを得ないことが問題となる。
【0015】
次に、貫通孔のコンダクタンスの算出方法について説明する。例えば、図30に示すような寸法X×Y×Zの容器に、直径D、長さLの貫通孔がつながれた簡易的な真空パッケージを1つのモデルとして考えてみる。気体分子の平均自由工程をλとした場合、λ<<Dを満たす圧力領域は粘性流領域と呼ばれ、そのコンダクタンスは圧力に依存することが知られている。この粘性流領域におけるコンダクタンスCpは貫通孔両端の圧力の平均をpとすると、数1で表される。なお、このときパッケージに封入されていた気体は20℃の空気とする。また、pの単位はTorr、L、Dの単位はcmである。
【0016】
[数1]
Cp=182×(D/L)×p (l/s)
【0017】
一方、λ>>Dを満たす圧力領域は分子流領域と呼ばれ、この分子流領域におけるコンダクタンスCkは、数2で表される。この場合もパッケージに封入されていた気体は20℃の空気とする。L、Dの単位はcmである。
【0018】
[数2]
Ck=12.1×(D/L) (l/s)
【0019】
ここで室温の空気で圧力がp(Torr)の場合、平均自由工程λは数3の概算式で表される。
【0020】
[数3]
λ(mm)≒5×10−2/p
【0021】
ここで、数3を用い、さらに貫通孔の直径Dを0.1mmとすると、λ/D<0.01程度の粘性流領域となるのは約50Torr以上と、またλ/D>10程度の分子流領域となるのは約0.05Torr以下と計算できる。0.05Torr〜50Torr(6.67Pa〜6665Pa)の領域では0.01<λ/D<10の中間領域となっている。赤外線センサのような真空封止パッケージで求められる真空度は通常10−2Torr〜10−6Torr(133.3×10−2Pa〜133.3×10−6Pa)であるので、分子流領域まで十分なコンダクタンスが確保されていることが必要となる。
【0022】
いまDが0.1mm、Lが1mmの貫通孔における粘性流領域のコンダクタンスCpを数1式より計算すると、その値は18×p(mm/s)であり、分子流領域のコンダクタンスCkは数2より121(mm/s)と計算される。仮に真空パッケージの容量が14mm×14mm×1.4mmで、体積が274mmとするならば、分子流領域のコンダクタンスを考慮しても真空引きできることが想定される。
【0023】
しかしながら、この結果は貫通孔の直径0.1mmを想定した場合の結果であり、Ckは貫通孔径の3乗に比例して低下するので、貫通孔の直径を0.1mmより小さくすると、高真空パッケージを実現するのが困難になってしまう。つまり、例えば赤外線センサにおいて高真空パッケージを実現するには、十分なコンダクタンスを得るために、図29の第1開口941aの直径を例えば少なくとも0.1mmにする必要があるが、その場合、第2開口941bの直径は0.1mmよりも大きくならざるを得ない。逆に言えば、第2開口941bの最大面積S2をそれより小さくすると、第1開口941aの最小面積S1が小さくなりすぎ、十分な真空引きができなくなる。すなわち、高真空かつ小型のパッケージを実現するためには、狭い表面開口面積でありながらも十分大きなコンダクタンスを有する貫通孔を形成する必要がある。
【0024】
本発明の目的は、大型化、封止不良及び機能不良を生ずることなく高真空を実現する真空パッケージ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1視点によれば、大気圧より減圧されたチャンバ内に封止される機能素子と、チャンバの少なくとも一部を形成する部材と、を備える真空パッケージであって、部材は、チャンバ内を脱気するための貫通孔を少なくとも1つ有し、貫通孔に沿った部材に垂直な断面において、貫通孔を形成する部材の角部は鈍角であり、貫通孔は封止材料で封止されている真空パッケージを提供する。
【0026】
上記第1視点の好ましい形態によれば、貫通孔の内壁は、チャンバの外面側から内面側に向けて貫通孔の開口面積を縮小する第1テーパ面と、チャンバの内面側から外面側に向けて貫通孔の開口面積を縮小する第2テーパ面と、を有し、第1テーパ面は、第2テーパ面よりもチャンバの外面側に形成されている。
【0027】
上記第1視点の好ましい形態によれば、封止材料に対して部材よりも濡れ性の高いパッドが、貫通孔の内壁のうち第1テーパ面上のみに形成されている。
【0028】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1テーパ面と第2テーパ面とは連続して形成されている。
【0029】
上記第1視点の好ましい形態によれば、封止材料は、貫通孔からチャンバ内部へは突出していない。
【0030】
上記第1視点の好ましい形態によれば、機能素子は赤外線受光素子であり、チャンバは、少なくとも、赤外線受光素子を搭載する受光素子基板と、チャンバ外方からの赤外線を赤外線受光素子が受光できるように赤外線を透過する赤外線透過窓と、受光素子基板と赤外線透過窓との間に所定の間隙を形成するスペーサと、で形成され、貫通孔を形成する部材は、受光素子基板、赤外線透過窓及びスペーサのうちの少なくとも1つである。
【0031】
本発明の第2視点によれば、大気圧より減圧されたチャンバ内に機能素子を封止した真空パッケージの製造方法であって、チャンバの少なくとも一部を形成する部材に対して、開口面積が縮小する筒状の第1テーパ面を部材の一方の面から形成すると共に、開口面積が縮小する筒状の第2テーパ面を部材の他方の面から形成することにより、少なくとも第1テーパ面及び第2テーパ面を内壁に有する、チャンバ内を脱気するための貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、貫通孔から脱気することにより、機能素子を収容したチャンバ内を減圧する脱気工程と、貫通孔を封止材料で封止する封止工程と、を含み、貫通孔形成工程において、貫通孔は、貫通孔に沿った部材に垂直な断面における貫通孔を形成する部材の角部が鈍角となるように形成される真空パッケージの製造方法を提供する。
【0032】
上記第2視点の好ましい形態によれば、貫通孔形成工程後に、第2テーパ面よりもチャンバの外方側に配置される第1テーパ面上に、封止材料に対して部材よりも濡れ性の高いパッドを形成するパッド形成工程をさらに含み、封止工程において、第1テーパ面のパッド上又は部材の一方の面に形成された貫通孔の開口上に載置された封止材料を溶融することにより貫通孔を封止する。
【0033】
上記第2視点の好ましい形態によれば、脱気工程において、チャンバ内の減圧前に、第1テーパ面のパッド上又は部材の一方の面に形成された貫通孔の開口上に封止材料を載置し、封止材料と貫通孔との間に形成された間隙からチャンバ内を減圧し、チャンバ内を減圧した後、封止材料を溶融して貫通孔を封止する。
【0034】
上記第2視点の好ましい形態によれば、封止工程において、チャンバ内を減圧した後、第1テーパ面のパッド上又は部材の一方の面に形成された貫通孔の開口上に封止材料を載置し、封止材料を溶融することにより貫通孔を封止する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、貫通孔の中途に最小面積となるくびれ部を形成するので、大きな開口面積を要することなく、コンダクタンスの大きい貫通孔を形成することができる。これにより、真空パッケージを小型化できると共に、真空パッケージの高真空化及び短時間真空化を実現することができる。
【0036】
また、本発明によれば、貫通孔部分の角部は鈍角形状であるので、割れやすい部材を使用したとしても貫通孔部分の角部おけるクラックの発生を抑制することができる。これにより、真空パッケージの気密性を高めることができる。
【0037】
さらに、本発明によれば、貫通孔の内壁のうち第1テーパ面のみに封止材料用のパッドを形成することにより、封止材料やウィスカがチャンバ内部へ侵入することを防止することができる。これにより、機能不良や電気的ショートを防止することができる。また、最小開口面積部分で貫通孔を封止することもできる。これにより、封止不良の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の真空パッケージについて、機能素子として赤外線受光素子を真空封止した赤外線センサに係る真空パッケージを例にして説明する。
【0039】
本発明の第1実施形態に係る真空パッケージについて説明する。図1に、本発明の第1実施形態に係る真空パッケージの概略断面図を示す。真空パッケージ100は、赤外線を検出する赤外線受光素子1と、赤外線受光素子1を搭載する受光素子基板3と、赤外線受光素子1が受光できるように赤外線を透過する赤外線透過窓12と、受光素子基板3と赤外線透過窓12との間に所定の間隙を形成するスペーサ9と、を備える。赤外線受光素子1は、受光素子基板3上に接合材2を介して固定され、赤外線受光素子1を収容するチャンバ6は、その側面及び上面をスペーサ9や赤外線透過窓12等によって覆われることによって、赤外線受光素子1上に形成されている。チャンバ6内は、大気圧より減圧され、好ましくは133.3×10−2Pa〜133.3×10−6Paまで減圧される。
【0040】
赤外線透過窓12には、チャンバ6を脱気するために使用する貫通孔13が少なくとも1つ形成されている。図2に、貫通孔13部分(封止材料15の図示は省略)の拡大概略断面図を示す。また、図3に、封止材料15で貫通孔13を封止した後の状態を示す拡大概略断面図を示す。貫通孔13は、その内壁に、チャンバ6の外方に面した外面12aからチャンバ6内方に向けて開口面積(図面上、幅ないし径)が縮小する第1テーパ面12bと、チャンバ6の内方に面した内面12dからチャンバ6外方に向けて開口面積(図面上、幅ないし径)が縮小する第2テーパ面12cと、を有する。そして、第1テーパ面12bと第2テーパ面12cとが連続して形成されることにより、第1テーパ面12bと第2テーパ面12cの境界に、貫通孔13の開口面積(図面上、幅ないし径)が最も縮小したくびれ部13aが形成されている。
【0041】
ここで、貫通孔13に沿った赤外線透過窓12に垂直な断面(図2及び図3)において、外面12aと第1テーパ面12bとで形成される第1角部の第1角度α、及び第1テーパ面12bと第2テーパ面12cとで形成される第2角部の第2角度βは、封止材料15と(パッド14を介して)接することになるので、いずれも鈍角となるように形成する。好ましくは、第1角度α、第2角度β、及び第2テーパ面12cと内面12dとで形成される第3角部の第3角度γは、いずれも鈍角であるように形成する。より好ましくは、第1角度α、第2角度β及び第3角度γは、100°〜160°に設定する。これにより、貫通孔13を形成する赤外線透過窓12の第1〜第3角部はいずれも鈍角となり、各角部における欠陥の発生を抑制することができる。
【0042】
図1及び図2に示す貫通孔13は、貫通孔13を通る中心線に対して線対称となるように第1テーパ面12b及び第2テーパ面12cを形成している。すなわち、第1テーパ面12b部分の貫通孔の中心線と第2テーパ面12cの貫通孔の中心線が一致している。これにより、くびれ部13aの最小幅(最小径)を結ぶ線は、赤外線透過窓12(外面12a又は内面12d)に対して平行となっている。また、貫通孔13は、くびれ部13aが赤外線透過窓12の厚みの中央となるように、赤外線透過窓12の両面から同じ深さで掘ることによって形成されている。すなわち、外面12a側から形成した第1テーパ面12bの深さd1と内面12d側から形成した第2テーパ面12cの深さd2が、同じになるように形成されている。
【0043】
テーパ面12b,12cを有する貫通孔13は、例えばエッチング法によって形成することができる。特に、異方性エッチングを使用すれば、図1及び図2に示す形態の他にも、種々のテーパ形状を有する貫通孔を形成することができる。本実施形態を例にすれば、例えば、赤外線透過窓12としてSiを使用して、外面12aを(100)面とし、赤外線透過窓12の両面から異方性エッチングすると、第2角部の第2角度の二等分角β/2は54.7°(すなわちβ=109.4°)にすることができる。
【0044】
赤外線透過窓12の表面(外面12a又は内面12dの平面図)における貫通孔13の開口形状(あるいは、赤外線透過窓12の面方向に沿った断面形状)は種々の形態(例えば円形)にすることができる。このとき、貫通孔13の表面形状は、封止前の封止材料15を載置したときに、貫通孔13の表面開口又は内壁と封止材料15との間に、チャンバ6を脱気できるような間隙が形成できるような形状とすると好ましい。例えば、封止前(溶融前)の封止材料15の形状が球状である場合、貫通孔13の開口形状を円形以外の開口形状にすると、封止材料15を貫通孔13にセットした状態で、貫通孔13と封止材料15との間隙からチャンバ6内を減圧する(真空にする)ことができる。
【0045】
図4に、貫通孔13の表面形状の一例を示す概略平面図を示す。図4に示す貫通孔13の開口形状は正方形である。このとき、貫通孔13は、2つの四角錐台を、面積の小さい面同士で接続したような形状となる。真空封止時に、封止材料15(点線)として例えば球状のハンダボールを使用する場合、チャンバ6の脱気前に貫通孔13にハンダボール15をセットし、その状態で真空引きすると、ハンダボール15で閉塞されていない貫通孔13の四隅(矢印部分)からチャンバ6内の空気を抜くことができる。
【0046】
図5に、貫通孔13の表面形状の別の例を示す概略平面図及び概略断面図を示す。図5(a)は、貫通孔13の表面形状の一例を示す概略平面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における概略断面図である。図5における貫通孔13の開口は、楕円形状になっている。このため、溶融前の封止材料15として球状のハンダボール(点線)を貫通孔13にセットすると、楕円形状の短軸方向はハンダボール15に塞がれるが、長軸方向(矢印部分)の両端にはハンダボール15との間に間隙が形成され、該間隙からチャンバ6内の空気を抜くことができる。また、図5(b)に示すように、第1テーパ面12b及び第2テーパ面12cは、曲面状であっても構わない。
【0047】
また、貫通孔13の平面投影形状は、円形、正方形、楕円形に限定されることなく、種々の形状を採用することができる。例えば、図6に示すような、十字形(図6(a))、平行四辺形、(図6(b))、三角形(図6(c))、多角形(例えば六角形)(図6(d))、長方形(図6(e))、花形(図6(f))等を適用することができる。
【0048】
本発明における貫通孔13を作成する方法としては、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、ドライエッチング、ドリル、サンドブラスタ、超音波加工、ワイヤ放電等を利用することができる。
【0049】
なお、貫通孔13に封止材料15を予め載置してからチャンバ6を脱気する場合、最小の開口となるくびれ部の開口面積よりも、封止材料15で部分的に閉塞された開口の面積のほうが小さくなる場合もある。両面積の大小関係は、貫通孔の形状(寸法、テーパ角、開口形状)や封止材料の形状(寸法、立体形状)に依存するので、コンダクタンスやチャンバの脱気が可能となるかは、より小さい開口面積で検討するようにする。
【0050】
図1〜図3に示す本実施形態に係る真空パッケージにおいて、赤外線透過窓12の貫通孔13上における第1テーパ面12b上と、第1テーパ面12bと連続する外面12aの少なくとも一部上にはパッド14が形成されている。パッド14は、第2テーパ面12c及び内面12d上には形成されていない。パッド14の材料には、封止材料15に対して赤外線透過窓12よりも濡れ性の高い材料を用いる。例えば、Ni、NiP、Au、Cu、Ag、Fe、Co、Pd、Ti、Cr、Ptや、それらを主成分とする合金などをパッド14として使用することができる。これにより、封止材料15は、溶融状態となってもパッド14上、すなわち第1テーパ面12b上に載るように貫通孔13内に確実に配されると共に、最も開口面積の小さいくびれ部13a部で貫通孔13を封止することができる。一方で、封止材料15は、第2テーパ面12b部分では貫通孔13を封止しないので、内面12dよりチャンバ6の内部へは突出しないようになっている。これにより、封止材料15は、チャンバ6を気密性良く封止すると共に、チャンバ6内の赤外線受光素子1やボンディングワイヤ5等と接触しないようになっている。
【0051】
次に、図1に示す第1実施形態に係る赤外線センサ用真空パッケージ100の詳細について以下に説明する。
【0052】
受光素子基板3上には電極パッド4が形成され、電極パッド4は、チャンバ6内からチャンバ6外へ受光素子基板3に沿って引き出されている。赤外線受光素子1の電極パッド16は、ボンディングワイヤ5によって電極パッド4と電気的に接続されている。これにより、赤外線受光素子1が検知した信号を、電極パッド4を介してチャンバ6の外部へ送ることができる。
【0053】
受光素子基板3は、チャンバ6内部を高真空に保持することができる材料で形成する。受光素子基板3の材料としては、例えば、SiやGeなどの半導体材料、Ni、Fe、Co、Cr、Ti、Au、Ag、Cu、Al、Pd、Ptなどの金属やそれらを主成分とする合金材料、あるいはSiO、Alなどのガラスやセラミックス材料を使用することができる。
【0054】
電極パッド4上には、絶縁層7を介して、赤外線受光素子1を取り囲むようにパッド8aが形成されている。パッド8a上には、接合材料10aによってスペーサ9が接合されている。スペーサ9は、赤外線受光素子1を取り囲むと共に、受光素子基板3と赤外線透過窓12との間に、赤外線受光素子1等を配置するための所定の間隙を確保するものである。さらに、スペーサ9上には、接合材料10bによって赤外線透過窓12のパッド8aが接合され、赤外線透過窓12が赤外線受光素子1上を覆い、チャンバ6を形成するように配設される。各要素の接合は、チャンバ6の気密性を高めるように実施する。
【0055】
絶縁層7としては、例えば、SiO、SiON、SiN等のセラミックスやガラス等の材料を使用することができる。
【0056】
スペーサ9の材料は特に制限されないが、チャンバ6内部を真空に引いたときにガスを放出しにくいことが求められる。スペーサ9の材料としては、例えば、SiやGeなどの半導体材料、Ni、Fe、Co、Cr、Ti、Au、Ag、Cu、Al、Pd、Ptなどの金属やそれらを主成分とする合金材料、あるいはSiO、Alなどのガラスやセラミックス材料を使用することができる。
【0057】
接合材料10a,10bとしては、Auやハンダなどを使用することができる。Auで接続する場合には、スペーサ9と、受光素子基板3あるいは赤外線透過窓12のパッド8a,8b部分に予めAuを形成しておき、熱圧着、超音波接合、表面活性化接合などにより接続する。一方、ハンダで接続する場合には、スペーサ9と、受光素子基板3あるいは赤外線透過窓12のパッド8a,8b部分に予めハンダの拡散防止、あるいはハンダ濡れを促進するNi、NiP、Au、Cu、Ag、Fe、Co、Pd、Ti、Cr、Ptや、それらを主成分とする合金などを形成しておき、その両者の間にハンダを供給してリフロー炉やホットプレートなどで加熱溶融することで接続する。なお、パッド8a,8bの表面に予めハンダをめっき、スパッタ、蒸着などで形成しておいて、それを接続してもよい。接合材料10a,10bがハンダの場合、その材料としては、例えば、Sn、Pb、SnPb、SnAg、SnCu、SnAgCu、SnIn、SnZn、SnBi、SnZnBi、Bi、In、InAg、などの低融点金属を主成分とする材料であることが望ましい。そのほか、接合材料10a,10bを用いずに、Si/Si、SiO/SiO、Si/ガラス、などの基板材料を陽極接合などにより直接接合してもよい。
【0058】
赤外線透過膜12は、赤外線受光素子1上に、反射防止膜11a,11bをその両面に有する。赤外線透過窓12は、赤外線を透過させることができる材料で形成する。赤外線透過窓の材料としては、例えば、Si、Ge、ZnS、ZnSe、Al、SiOなどのほか、LiF、NaCl、KBr、CsI、CaF、BaF、MgFなどのアルカリハライド系材料やアルカリ土類ハライド系材料、Ge、As、Se、Te、Sbなどを主成分とするカルコゲナイト系ガラスなどの材料を使用することができる。
【0059】
赤外線透過膜12の貫通孔13を封止する封止材料15としては、例えば、Sn、Pb、SnPb、SnAg、SnCu、SnAgCu、SnIn、SnZn、SnBi、SnZnBi、Bi、In、InAg、などの低融点金属を主成分とする材料を使用することができる。
【0060】
本実施形態によれば、貫通孔13を形成する角部が鈍角形状になっているので、封止材料15の接合時や製品使用時においてクラックなどの欠陥の発生を防止することができる。特に、貫通孔13を形成する基材が割れやすいシリコンやガラスであっても貫通孔13におけるクラックの発生を抑制することができる。また、封止材料15の接合部分には、パッド14を形成することにより、気密不良を防止している。これにより、気密性の高い真空パッケージを得ることができる。
【0061】
また、くびれ部13aによって封止材料15を受け止めると共に、赤外線受光素子1側の第2テーパ面12cにパッド14を形成しないことにより、封止材料15をチャンバ6内に突出することを防止している。これにより、機能不良やショートの発生を防止することができる。
【0062】
さらに、貫通孔13は、赤外線透過窓12の両面から、対称的にテーパ面12b,12cが形成されているので、一方向のテーパ面しか有さない貫通孔と比べて、基板表面の開口面積に対して大きなコンダクタンスを得ることができる。すなわち、基板表面の開口を大きくすることなく、チャンバ6の真空化に有利な大きなコンダクタンスを有する貫通孔13を形成することができる。これにより、性能レベルを維持しながらも真空パッケージの小型化を達成することができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態〜第7実施形態に係る真空パッケージについて説明する。第2実施形態〜第7実施形態は、赤外線透過窓の厚み方向に沿った断面における貫通孔の形態がそれぞれ異なっている。第2実施形態〜第7実施形態における貫通孔部分以外の形態は、第1実施形態と同様である。
【0064】
図7に、本発明の第2実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図を示す。図7(a)は、封止前の状態を示す貫通孔の概略断面図であり、図7(b)は、貫通孔を封止材料で封止した状態を示す貫通孔の概略断面図である。図2に示す第1実施形態においては赤外線透過窓の外面側からの第1テーパ面の深さと内面からの第2テーパ面の深さは同等であったが、第2実施形態においては、赤外線透過窓22の外面22aからの第1テーパ面22bの深さd1のほうが、内面22dからの第2テーパ面22cの深さd2よりも深くなっている。これにより、貫通孔23のくびれ部23aは、外面22a側よりも内面22d側に形成されると共に、外面22a表面の貫通孔23の開口は、内面22d表面の貫通孔23の開口よりも大きくなる。パッド24は、第1テーパ面22b及び外面22aに形成されており、封止材料25は、パッド24上を覆うように貫通孔23を封止する。本実施形態によれば、封止時に、封止材料25を貫通孔23に安定にセットすることができる。
【0065】
図8に、本発明の第3実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図を示す。図8(a)は、封止前の状態を示す貫通孔の概略断面図であり、図8(b)は、貫通孔を封止材料で封止した状態を示す貫通孔の概略断面図である。第2実施形態においては第2テーパ面よりも第1テーパ面の方が深くなっていたが、第3実施形態においては、赤外線透過窓32の内面32dからの第2テーパ面32cの深さd2のほうが、外面32aからの第1テーパ面32bの深さd1よりも深くなっている。これにより、貫通孔33のくびれ部33aは、内面32d側よりも外面32a側に形成されると共に、内面32d表面の貫通孔33の開口は、外面32a表面の貫通孔33の開口よりも大きくなる。パッド34は、第1テーパ面32b及び外面32aに形成されており、封止材料35は、パッド34上を覆うように貫通孔33を封止する。本実施形態によれば、封止材料35(例えばハンダ)が加熱時に流れやすい場合でも、チャンバ内部に封止材料35を突出しにくくすることができる。
【0066】
図9に、本発明の第4実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図を示す。図9(a)は、封止前の状態を示す貫通孔の概略断面図であり、図9(b)は、貫通孔を封止材料で封止した状態を示す貫通孔の概略断面図である。第1実施形態〜第3実施形態においては、第1テーパ面を形成する外面側の貫通孔部分と第2テーパ面を形成する内面側の貫通孔部分の中心線は同一であったが、第4実施形態においては、第1テーパ面42bを形成する外面42a側の貫通孔43部分と第2テーパ面42cを形成する内面42d側の貫通孔43部分の中心線がずれている(d1及びd2の矢印参照)。このため、貫通孔43内壁の角部を結ぶ線(くびれ部43a)は、赤外線透過窓42の平面延在方向と平行になっていない。本実施形態においても、パッド44は、第1テーパ面42b上に形成され、封止材料45は、少なくともパッド44上において貫通孔43を封止する。本実施形態によれば、貫通孔43は全体として赤外線透過窓42面に対して斜め方向に貫通しているので、封止材料45が加熱時に重力によって下方へ流れにくくなっている。
【0067】
図10に、本発明の第5実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図を示す。図10(a)は、封止前の状態を示す貫通孔の概略断面図であり、図10(b)は、貫通孔を封止材料で封止した状態を示す貫通孔の概略断面図である。第1〜第4実施形態においては、第1テーパ面と第2テーパ面とは連続して形成されていたが、第5実施形態においては、第1テーパ面52bと第2テーパ面52cとは連続しておらず、その間に、赤外線透過窓52に対して垂直な内周面52eが形成されている。パッド54は、第1テーパ面52b及び外面52a上に形成され、封止材料55は、パッド54上を覆うように貫通孔53を封止することになる。本実施形態における貫通孔53は、例えば、第1実施形態の貫通孔をさらにエッチングすることによって形成することができる。
【0068】
図11に、本発明の第6実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図を示す。図11(a)は、封止前の状態を示す貫通孔の概略断面図であり、図11(b)は、貫通孔を封止材料で封止した状態を示す貫通孔の概略断面図である。本実施形態においては、第1テーパ面62b及び第2テーパ面62cのテーパ角度が統一されていない。例えば、図11の断面図において、第1テーパ面62bの左側のテーパ角度α1と右側のテーパ角度α2とが異なるような貫通孔63となっている。このことは、第2テーパ面62cについても同様である。このような貫通孔63は、例えば、赤外線透過窓62としてSiを使用して、外面62aを(411)面にして異方性エッチングすることにより形成することができる。
【0069】
図12に、本発明の第7実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図を示す。図12(a)は、封止前の状態を示す貫通孔の概略断面図であり、図12(b)は、貫通孔を封止材料で封止した状態を示す貫通孔の概略断面図である。本実施形態は、第1テーパ面72bと第2テーパ面72cとは連続しておらず、第6実施形態の貫通孔をさらにエッチングすることにより、第1テーパ面72bと第2テーパ面72cとの間に内周面72eをさらに形成している。
【0070】
第2実施形態〜第7実施形態においても、第1実施形態において説明したように、貫通孔を形成する角部(貫通孔に面する角部)は鈍角になっている。また、パッドは、外面側の第1テーパ面上及び外面上に形成され、第2テーパ面上及び内面上には形成されていない。
【0071】
第1実施形態〜第7実施形態における貫通孔は、異方性エッチングの他にも、等方性エッチングやドライエッチングを用いたり、等方性エッチングやドライエッチングと異方性エッチングを組み合わせたりすることもできる。第1実施形態〜第7実施形態において示したテーパ形状はほんの一例であり、これらに限定されずに、さまざまな面方位の基板やエッチング方法を用いることにより多様な形状のテーパを有する貫通穴を形成することができる。
【0072】
次に、本発明の第8実施形態〜第11実施形態に係る真空パッケージについて説明する。第8実施形態〜第11実施形態は、図1に示す第1実施形態とは、それぞれ、貫通孔を形成している場所やチャンバの形態が異なっている。
【0073】
本発明の第8実施形態に係る真空パッケージについて説明する。図13に、本発明の第8実施形態に係る真空パッケージの概略断面図を示す。第1実施形態においては、貫通孔は赤外線透過窓に形成されていたが、第8実施形態に係る真空パッケージ200においては、貫通孔213は、受光素子基板203に形成されている。それ以外は、真空パッケージ200は、第1実施形態に係る真空パッケージと同様である。また、貫通孔213としては、第1実施形態〜第7実施形態において説明したような種々の形態を適用することができる。
【0074】
本発明の第9実施形態に係る真空パッケージについて説明する。図14に、本発明の第9実施形態に係る真空パッケージの概略断面図を示す。第9実施形態に係る真空パッケージ300においては、貫通孔313は、スペーサ309に形成されている。スペーサ309は、少なくとも一部分が赤外線透過膜312(又は受光素子基板303)面の延在方向と同一方向に幅広に形成され、その幅広部分は、赤外線透過膜312の外部に露出されている。貫通孔313は、その外部に露出した幅広部分に、赤外線透過膜312の厚み方向と同一方向(面の延在方向に対して垂直方向)に沿って形成されている。また、パッド308aや絶縁層307は、スペーサ309の形状に合わせて大きく形成されている。真空パッケージ300において、その他の形態については、第1実施形態に係る真空パッケージと同様である。また、貫通孔313としては、第1実施形態〜第7実施形態において説明したような種々の形態を適用することができる。
【0075】
本発明の第10実施形態に係る真空パッケージについて説明する。図15に、本発明の第10実施形態に係る真空パッケージの概略断面図を示す。第10実施形態に係る真空パッケージ400においては、貫通孔413は、第9実施形態と同様に、スペーサ409に形成されている。しかし、本実施形態においては、スペーサ409は、チャンバ406の空間(高さ)(受光素子基板403と赤外線透過窓412との間隔)を拡げるように延びており、貫通孔413は、スペーサ409の側方から、赤外線透過膜412面の延在方向と同一方向(厚み方向に対して垂直方向)に沿って形成されている。その他の形態については、第1実施形態に係る真空パッケージと同様である。また、貫通孔413としては、第1実施形態〜第7実施形態において説明したような種々の形態を適用することができる。
【0076】
本発明の第11実施形態に係る真空パッケージについて説明する。図16に、本発明の第11実施形態に係る真空パッケージの概略断面図を示す。第1実施形態及び第8実施形態〜第10実施形態においては、赤外線受光素子は受光素子基板上に接合材料を介して接続され、受光素子基板がチャンバの一部分を形成していたが、第11実施形態に係る真空パッケージ500においては、受光素子基板を使用することなく、赤外線受光素子501自体がチャンバ506の一部を形成している。したがって、電極パッド504及び絶縁層507は、赤外線受光素子501上に形成されている。図16においては貫通孔513は、赤外線透過窓512に形成されているが、スペーサ509に形成することもできる。その他の形態については、第1実施形態に係る真空パッケージと同様である。また、貫通孔513としては、第1実施形態〜第7実施形態において説明したような種々の形態を適用することができる。本実施形態によれば、第1実施形態等と比較して、ワイヤボンディング等の電気的接続が不要となるだけではなく、真空パッケージをより薄型化することができる。
【0077】
第1実施形態及び第8実施形態〜第11実施形態は、それぞれ組み合わせることも可能である。すなわち、各実施形態においては、貫通孔は、赤外線透過膜、スペーサ、又は受光素子基板のいずれかに形成されていたが、各実施形態を組み合わせて、赤外線透過膜、スペーサ、及び受光素子基板のうちの複数に貫通孔を形成することも可能である。
【0078】
次に、本発明の第12実施形態に係る真空パッケージについて説明する。図17〜図19に、本発明の第12実施形態に係る真空パッケージの概略断面図を示す。図17〜図19に示す真空パッケージ600は、第1実施形態に係る真空パッケージと同様であるが、異なる点は、チャンバ6内を高真空にするためのゲッタ18をチャンバ6内に有している点である。ゲッタ18は、図17に示す形態においては赤外線透過窓12に設けられ、図18に示す形態においては受光素子基板3(絶縁膜17)上に設けられ、図19に示す形態においてはスペーサ9上に設けられている。あるいは、ゲッタ18の配置箇所は、図17〜図19に示す形態を組み合わせることも可能である。ゲッタ18は、Zr系材料、Ti系材料、又はそれらを含む合金などから形成することができ、パッケージを気密封止した後に活性化することでチャンバ6の内部を高真空にすることができる。第12実施形態に係る真空パッケージ600は、第1実施形態に係る真空パッケージを基に説明したが、第2実施形態〜第11実施形態に係る真空パッケージにも適用できることはいうまでもない。
【0079】
次に、本発明の第13実施形態として、本発明の真空パッケージにおける貫通孔の形成方法について説明する。図20に、第1実施形態に係る真空パッケージを例にして、赤外線透過窓に貫通孔を形成する方法を説明するための概略工程図を示す。まず、赤外線透過窓12に対して、所定の位置に反射防止膜11a,11bを形成する(図20(a))。次に、貫通孔13を形成しない部分にSiO、SiN、SiONや金属などからなる、マスクまたは耐アルカリレジスト19を形成する(図20(b))。次に、KOH、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロキシサイト)、ヒドラジン、EPW(エチレンジアミン−ピロカテコール−水)などによる異方性エッチングを、赤外線透過窓12の両面12a,12dに対してそれぞれ施し、第1テーパ面12b及び第2テーパ面12cを有する貫通孔13を形成する(図20(c))。なお、貫通孔13を形成するのに等方性エッチングを用いてもよい。次に、第1テーパ面12b及び第1テーパ面12bと連続する外面12aの一部に、封止材料接続用パッド14をスパッタリングや蒸着、めっきなどにより形成する(図20(d))。最後に、スペーサに接続するためのパッド8bをスパッタリングや蒸着、めっきなどにより形成する(図20(e))。
【0080】
ここでは、第1実施形態を例に説明したが、第2実施形態〜第7実施形態に係る貫通孔であっても、エッチングの深さや方向など、エッチングの条件を適宜変更することにより、図20に示す形成方法と同様の方法で貫通孔を形成することができる。また、受光素子基板やスペーサに貫通孔を形成する第8実施形態〜第11実施形態であっても、図20に示す形成方法と同様の方法で貫通孔を形成することができる。なお、貫通孔を形成する基材がシリコンではなく金属などの場合には、マスク材料にフォトレジストを用い、エッチング液に酸やアルカリなどを用いれば貫通孔の形成は可能である。
【0081】
次に、本発明の第14実施形態〜第15実施形態として、本発明の真空パッケージを真空封止する方法について説明する。図21に第14実施形態に係る真空封止方法を説明するための概略断面図を示し、図22に第15実施形態に係る真空封止方法を説明するための概略断面図を示す。真空封止する真空パッケージとして、第1実施形態に係る真空パッケージを例にする。
【0082】
第14実施形態においては、まず、貫通孔を形成したパッケージ100を真空チャンバ81のステージ82上にセットする。次に、真空チャンバ81内を高真空にすることによって真空パッケージ100のチャンバ内を真空にする。例えば赤外線センサの場合、最低限の性能を出すためには、到達真空度は10−2Torr以下が望ましい。また、長期間のデバイスの安定性を保つためにはさらに真空度を高めることが望ましい。次に、この状態を維持して、パッケージ100の貫通孔に封止材料(例えばハンダ)15をセットする。または、第1実施形態において説明したように、真空チャンバ81の内部を真空引きする前に、予め大気中で貫通孔に封止材料15を配置しておいてもよい。次に、真空チャンバ81の透過窓83を通して、真空チャンバ81の外側からレーザ装置84によりレーザを封止材料15に向かって照射する。これによって、封止材料15は溶融され、貫通孔を封止する。
【0083】
図21に示す第14実施形態においては、レーザ装置84は真空チャンバ81外部に設置されているが、図22に示す第15実施形態においては、レーザ装置84は真空チャンバ81内に設置されている。この場合、封止材料15を直接的に加熱できるので、透過窓は省略することができる。その他は、第14実施形態と同様である。
【0084】
図21及び図22に示した方法では、受光素子基板/スペーサ、及びスペーサ/赤外線透過窓の間をハンダ等の接合材料で接続している場合でも、貫通孔にセットした封止材料15のみをレーザ装置84で局所的に加熱することが可能なので、貫通孔の封止材料15の融点が該接合材料の融点以下のときに、該接合材料を溶解させずに貫通孔の封止材料だけを溶かして真空封止することができるのみならず、封止材料15の融点が該接合材料の融点より高いときであっても、条件を最適化すれば貫通孔の封止材料15だけを溶解させて封止することも可能である。レーザ装置84としてはYAGレーザが適しているが、そのほかにもルビーレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、液体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザなどハンダを加熱することができるレーザであればいずれのレーザでも使用することができる。
【0085】
次に、本発明の第16実施形態として、本発明の真空パッケージを真空封止する方法について説明する。図23に、第16実施形態に係る真空封止方法を説明するための概略断面図を示す。第14実施形態及び第15実施形態においてはレーザを用いて封止材料を溶融したが、第16実施形態においてはパッケージ全体を加熱することにより封止材料を溶融する。例えば、第14実施形態又は第15実施形態のように真空チャンバ81内を真空にした後、ステージ82を加熱することで、封止材料15を溶融することができる。なお、受光素子基板/スペーサ、及びスペーサ/赤外線透過窓の間をハンダ等の接合材料で接続している場合は、この接合材料を溶かさないようにするため、貫通孔にセットする封止材料15の融点は、該接合材料の融点より低いことが望ましい。
【0086】
図21〜図23においては、第1実施形態に係る真空パッケージを示したが、第14実施形態〜第16実施形態においては第2実施形態〜第12実施形態に係る真空パッケージにも適用できることは言うまでもない。
【実施例1】
【0087】
本発明の真空パッケージの実施例について説明する。作製した真空パッケージは、図1に示すような、赤外線センサに使用する真空パッケージであって、機能素子として赤外線受光素子を有するものである。貫通孔は、第1実施形態のように赤外線透過窓に形成した。
【0088】
まず、反射防止膜を形成した、大きさが16.2mm×16.2mmで厚さが0.8mmの赤外線透過窓となるシリコン基板に対し、SiOをマスクとしてシリコン基板両面からKOHによる異方性エッチングを行い貫通孔を形成した。形成した貫通孔は、第1実施形態に係る図2に示すような、深さ方向の中央にくびれ部があるように第1テーパ面と第2テーパ面の深さが同一であり、貫通孔の中心線に対して対称となるような貫通孔である。貫通孔の基板表面の開口形状は正方形であり、その一辺の長さは0.726mm、面積は0.527mmであった。貫通孔を形成する角部の大きさは、図2にα、β及びγを用いて表すと、α=125.3°、β=109.4°、及びγ=125.3°であった。すなわち、貫通孔を形成するすべての角部は鈍角となっている。また、これにより、貫通孔の開口面積が最も狭い部分であるくびれ部の大きさは、一辺が0.16mm、開口面積が0.0256mmとなった。
【0089】
次に、赤外線透過窓の外面側(チャンバとは反対側)の表面と、該表面と連続する貫通孔の第1テーパ面に、スパッタリングによりTi/Al層を形成した。Tiの厚みは0.1μm、Alは1μmであった。また、赤外線透過窓の内面側(チャンバ側)にはスペーサと接続するためのパッドとして、同様にTi/Alを形成した。このTi/Alパッドは赤外線受光素子を囲むように形成し、その幅は1mm程度とした。その後、無電解めっきによりTi/Al上にNiPを3μm、Auを0.05μm形成した。さらにその後、シリコン基板をダイシングし個片化した。
【0090】
次に、別の厚さ1mmのシリコン基板を両面からエッチングすることにより、中央部に13.8mm×13.8mm程度の赤外線受光素子を取り囲むための貫通穴を有するスペーサを作製した。その後、赤外線受光素子を囲むように幅1mmのTi/Al電極パッドをスペーサ表面の両側に形成し、このスペーサの表面についても無電解めっきによりNiPを3μm、Auを0.05μm形成した。その後、このシリコン基板を16.2mm×16.2mmにダイシングした。
【0091】
次に、18mm×18mm×0.625mmのサイズの受光素子基板としてのシリコン基板に、1層目に電極パッドとしてチャンバの内部と外部をつなぐ配線、2層目にスペーサと接続するための幅1mmのパッドを形成した。1層目の配線と2層目のパッドとの間には、SiO絶縁層を形成した。配線パッドはTi0.1μm、Al1μmとした。この上に無電解めっきによりNiPを3μm、Auを0.4μm形成した。次にこの受光素子基板上に接合材料により赤外線受光素子を固定し、φ30μmのAlのワイヤにより赤外線受光素子基板の電極パッドと受光素子基板上に形成した電極パッドとを電気的に接続した。
【0092】
次に、スペーサと赤外線透過窓及び受光素子基板とを接合する接合材料として、内周14mm×14mmの貫通穴を有する外周16mm×16mm、厚さ200μm、幅1mmのSnAgCuの鉛フリーハンダプリフォーム材を、赤外線透過窓/スペーサ界面、及びスペーサ/受光素子基板の界面にはさみ、これらの部品を一括してリフローに通し、ハンダプリフォーム材を溶融して、これらを接合した。
【0093】
次に、赤外線透過窓の貫通孔上に、封止材料としてφ0.6mmのSnAgCuハンダボールを配置した後、作製した部品を、10−6Torrの真空チャンバ内に保持した。真空チャンバにはガラス窓が形成されてあり、そのガラス窓を通してハンダボールに、外部から波長が1.06μmのNd−YAGレーザ(0.53μmの二次高調波でも可)を照射し、ハンダボールを加熱溶融させて、貫通孔を封止した。以上のような方法により、真空パッケージを製造した。
【0094】
そこで、本実施例に係る貫通孔について分子流コンダクタンスを計算した。なお、本実施例においては、ハンダボールで閉塞された部分の開口面積(0.515mm)は、最小の開口となるくびれ部の開口面積(0.0256mm)よりも大きいので、くびれ部の開口面積を基にコンダクタンスを計算した。本実施例に係る貫通孔の最小開口面積(くびれ部)は0.0256mmであり、これは直径が0.18mmの円柱状の貫通孔に相当する。そこで、D=0.18mm、L=0.8mmの貫通孔における粘性流領域のコンダクタンスCpを上記数1より計算すると、その値は239×p(mm/s)であり、分子流領域のコンダクタンスCkは、上記数2より882(mm/s)となった。真空パッケージにおけるキャビティの容量は、14mm×14mm×1.4mm=274mmであるので、本発明によればコンダクタンスを考慮しても短時間で真空引きが可能であることが分かる。
【0095】
[比較例1]
実施例1と同じチップ厚0.8mmの赤外線透過窓に対して、一方の面側のみから異方性エッチングを行い、図27〜図29に示すような一方向のテーパ面のみを有する貫通孔を形成した。貫通孔の平面形状は実施例1と同様に正方形であり、貫通孔の大きさは、最も狭い開口面積(一方の表面における開口面積)が0.16mm、開口面積が0.0256mmとした。すなわち、貫通孔の最小開口面積が、実施例1に係る貫通孔における貫通孔の最小開口面積と同じになるようにした。また、貫通孔を形成する一方の角部(図27〜図29に示す角度δ)は54.7°となった。その結果、比較例1において、実施例1と同じ最小開口面積を有する貫通孔を形成すると、開口面積が最大となる開口は、一辺1.293mm、開口面積1.672mmとなった。
【0096】
[比較例2]
比較例1と同様にして、最大開口面積が実施例1に係る貫通孔の最大開口面積と同一となる貫通孔を形成しようとしたが、同様のチップ厚(0.8mm)及びテーパ角(54.7°)では物理的に貫通孔を形成することはできなかった。
【0097】
以下に、実施例1における貫通孔と比較例1及び比較例2における貫通孔について比較する表1を示す。
【0098】
【表1】

【0099】
実施例1及び比較例1においては、分子流コンダクタンスが同一となるように、最小開口面積が同一となる貫通孔を形成した。その結果、本発明によれば、基板(赤外線透過窓)表面に形成される開口の面積(最大開口面積)を比較例1の最大開口面積よりも1/3未満にすることができた。すなわち、本発明の貫通孔によれば、真空パッケージをより小型にすることができる。
【0100】
また、本発明では貫通孔に面する第2角部は109.5°であるのに対し、比較例1においては貫通孔に面する角部は54.7となる。このような鋭角の角部は、本発明の鈍角の角部と比較してクラックが発生しやすく、真空パッケージの気密性を低下させるおそれがある。しかしながら、本発明によれば、貫通孔部分におけるクラックの発生をより抑制することができる。
【0101】
さらに、比較例1においては、図27及び図29に示すように基板表面にのみパッドを形成し、貫通孔内壁にパッドを形成しない場合には、ハンダは、最大開口面積1.672mmを有する部分を封止しなければならず、不完全封止によりリークが生じるおそれがある。しかしながら、本発明によれば、比較例1の最大開口面積の約1.5%である最小開口面積0.0256mmを有する部分を封止すればいいので、不完全封止となるリスクを大きく低下させることができる。
【0102】
一方で、比較例1において、図28に示すように、貫通孔内壁全体にパッドを形成すると、実施例1と比較例1とで封止しなければならない最小開口面積は同じとなる。しかしながら、比較例1においては、ハンダは貫通孔全体に広がり、貫通孔の最小開口面積の部分はチャンバに面する内面に形成されるので、ハンダがチャンバ内部に突出したり、ウィスカがチャンバ内部に侵入したりおそれがある。しかしながら、本発明によれば、第1テーパ面のみにパッドが形成され、最小開口面積となるくびれ部は、チャンバに面する内面から0.4mm離れた位置にあるので、ハンダやウィスカがチャンバ内部に侵入するリスクを大きく低下させることができる。
【0103】
本明細書中では圧力の単位として便宜上「Torr」を用いている箇所があるが、「Torr」は、1Torr=133.3PaでSI単位に変換することができる。
【0104】
本発明は、上記実施形態を基に説明したが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変更、変形、改良等を含むことはいうまでもない。また、本発明の範囲内において、開示した要素の多様な組み合わせ、置換ないし選択が可能である。
【0105】
本発明のさらなる課題・目的及び展開形態は、特許請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
上記実施形態においては、機能素子として赤外線受光素子を使用する赤外線センサに係る真空パッケージについて説明したが、本発明の機能素子は赤外線受光素子に限定されることなく、圧電素子や振動素子等の真空封止が必要な種々の機能素子を本発明に適用することができる。すなわち、本発明の真空パッケージは、赤外線センサの他にも、圧力センサや加速度センサにも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図2】図1の貫通孔部分の拡大概略断面図。
【図3】封止材料で貫通孔を封止した後の状態を示す拡大概略断面図。
【図4】貫通孔の表面形状の一例を示す概略平面図。
【図5】貫通孔の表面形状の一例を示す概略平面図及び概略断面図。
【図6】貫通孔の表面形状の例を示す概略平面図。
【図7】本発明の第2実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図。
【図8】本発明の第3実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図。
【図9】本発明の第4実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図。
【図10】本発明の第5実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図。
【図11】本発明の第6実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図。
【図12】本発明の第7実施形態における貫通孔部分の概略部分断面図。
【図13】本発明の第8実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図14】本発明の第9実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図15】本発明の第10実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図16】本発明の第11実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図17】本発明の第12実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図18】本発明の第12実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図19】本発明の第12実施形態に係る真空パッケージの概略断面図。
【図20】本発明の第13実施形態に係る、本発明の真空パッケージにおける貫通孔の形成方法を説明するための概略工程図。
【図21】本発明の第14実施形態に係る、真空パッケージを真空封止する方法を説明するための概略断面図。
【図22】本発明の第15実施形態に係る、真空パッケージを真空封止する方法を説明するための概略断面図。
【図23】本発明の第16実施形態に係る、真空パッケージを真空封止する方法を説明するための概略断面図。
【図24】特許文献1に記載の赤外線検出用真空パッケージを説明するための概略断面図。
【図25】特許文献3に記載の素子の封止パッケージ構造を説明するための概略断面図。
【図26】図25に示す穴部の部分概略断面図。
【図27】本発明が解決しようとする課題を説明するための貫通孔部分の概略断面図。
【図28】本発明が解決しようとする課題を説明するための貫通孔部分の概略断面図。
【図29】本発明が解決しようとする課題を説明するための貫通孔部分の概略断面図。
【図30】貫通孔のコンダクタンスの算出方法を説明するための概略斜視図。
【符号の説明】
【0108】
100,200,300,400,500,600 真空パッケージ
1,201,301,401,501 機能素子(赤外線受光素子)
2,202,302,402,502 接合材
3,203,303,403,503 受光素子基板
4,204,304,404,504 電極パッド
5,205,305,405,505 ボンディングワイヤ
6,206,306,406,506 チャンバ
7,207,307,407,507 絶縁層
8a,8b,208a,208b,308a,308b,408a,408b,508a,508b, パッド
9,209,309,409,509 スペーサ
10a,10b,210a,210b,310a,310b,410a,410b,510a,510b 接合材料
11a,11b,211a,211b,311a,311b,411a,411b,511a,511b, 反射防止膜
12,22,32,42,52,62,72,212,312,412,512 赤外線透過窓
12a,22a,32a,42a,52a,62a,72a,203a,309a,409a,512a 外面
12b,22b,32b,42b,52b,62b,72b,203b,309b,409b,512b 第1テーパ面
12c,22c,32c,42c,52c,62c,72c,203c,309c,409c,512c 第2テーパ面
12d,22d,32d,42d,52d,62d,72d,203d,309d,409d,512d 内面
52e,72e 内周面
13,23,33,43,53,63,73,2,3,4,5 貫通孔
13a,23a,33a,43a,53a,63a,73a,2,3,4,5 くびれ部
14,24,34,44,54,64,74,213,313,413,513 パッド
15,25,35,45,55,65,75,215,315,415,515 封止材料
16,216,316,416,516 電極パッド
17,217,317,417,517 絶縁層
18 ゲッタ
19 レジスト
81 真空チャンバ
82 ステージ
83 透過窓
84 レーザ装置
901 基板
902 受光部
903 空隙
904 赤外線透過窓
905 ハンダ
906 メタライズ層
907 配線
908 酸化シリコン保護膜
909 パッド
910 反射防止膜
911 貫通穴
912 封止材料(真空封止用ハンダ)
913 真空封止用メタライズ層
921 素子
922 素子形成基板体
923 蓋部基板体
924 キャビティ
925 空間
926 穴部
927 スルーホール
928 電極パターン
929 連通孔
930a 小径開口部
930b 小径開口部上端縁
931 封止部材
932 くびれ部分
933 封止接合強化膜
941,951 部材
941a 第1開口
941b 第2開口
942,952 封止材料用パッド
943,953 貫通孔
944,954 封止材料
954a 突出した封止材料
945,955 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧より減圧されたチャンバ内に封止される機能素子と、
前記チャンバの少なくとも一部を形成する部材と、を備える真空パッケージであって、
前記部材は、前記チャンバ内を脱気するための貫通孔を少なくとも1つ有し、
前記貫通孔に沿った前記部材に垂直な断面において、前記貫通孔を形成する前記部材の角部は鈍角であり、
前記貫通孔は封止材料で封止されていることを特徴とする真空パッケージ。
【請求項2】
前記貫通孔の内壁は、前記チャンバの外面側から内面側に向けて前記貫通孔の開口面積を縮小する第1テーパ面と、前記チャンバの内面側から外面側に向けて前記貫通孔の開口面積を縮小する第2テーパ面と、を有し、
前記第1テーパ面は、前記第2テーパ面よりも前記チャンバの外面側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の真空パッケージ。
【請求項3】
前記封止材料に対して前記部材よりも濡れ性の高いパッドが、前記貫通孔の内壁のうち前記第1テーパ面上のみに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の真空パッケージ。
【請求項4】
前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とは連続して形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の真空パッケージ。
【請求項5】
前記封止材料は、前記貫通孔から前記チャンバ内部へは突出していないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空パッケージ。
【請求項6】
前記機能素子は赤外線受光素子であり、
前記チャンバは、少なくとも、前記赤外線受光素子を搭載する受光素子基板と、前記チャンバ外方からの赤外線を前記赤外線受光素子が受光できるように赤外線を透過する赤外線透過窓と、前記受光素子基板と前記赤外線透過窓との間に所定の間隙を形成するスペーサと、で形成され、
前記貫通孔を形成する前記部材は、前記受光素子基板、前記赤外線透過窓及び前記スペーサのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の真空パッケージ。
【請求項7】
大気圧より減圧されたチャンバ内に機能素子を封止した真空パッケージの製造方法であって、
前記チャンバの少なくとも一部を形成する部材に対して、開口面積が縮小する筒状の第1テーパ面を前記部材の一方の面から形成すると共に、開口面積が縮小する筒状の第2テーパ面を前記部材の他方の面から形成することにより、少なくとも前記第1テーパ面及び前記第2テーパ面を内壁に有する、前記チャンバ内を脱気するための貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔から脱気することにより、前記機能素子を収容した前記チャンバ内を減圧する脱気工程と、
前記貫通孔を封止材料で封止する封止工程と、を含み、
前記貫通孔形成工程において、前記貫通孔は、前記貫通孔に沿った前記部材に垂直な断面における前記貫通孔を形成する前記部材の角部が鈍角となるように形成されることを特徴とする真空パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記貫通孔形成工程後に、前記第2テーパ面よりも前記チャンバの外方側に配置される前記第1テーパ面上に、前記封止材料に対して前記部材よりも濡れ性の高いパッドを形成するパッド形成工程をさらに含み、
前記封止工程において、前記第1テーパ面の前記パッド上又は前記部材の前記一方の面に形成された前記貫通孔の開口上に載置された前記封止材料を溶融することにより前記貫通孔を封止することを特徴とする請求項7に記載の真空パッケージの製造方法。
【請求項9】
前記脱気工程において、前記チャンバ内の減圧前に、前記第1テーパ面の前記パッド上又は前記部材の前記一方の面に形成された前記貫通孔の開口上に前記封止材料を載置し、
前記封止材料と前記貫通孔との間に形成された間隙から前記チャンバ内を減圧し、
前記チャンバ内を減圧した後、前記封止材料を溶融して前記貫通孔を封止することを特徴とする請求項8に記載の真空パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記封止工程において、前記チャンバ内を減圧した後、前記第1テーパ面の前記パッド上又は前記部材の前記一方の面に形成された前記貫通孔の開口上に前記封止材料を載置し、前記封止材料を溶融することにより前記貫通孔を封止することを特徴とする請求項8に記載の真空パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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