説明

真空ポンプ及びフランジ

【課題】衝撃を受けた際、衝撃緩衝構造における応力集中を適切に抑制すること。
【解決手段】衝撃緩衝構造は、ボルト孔14の両側、即ち、フランジ61の円周方向に沿った両側に近接して設けられた溝部50と、溝部50とボルト孔14との間に形成された薄肉部70と、によって構成されている。物体が荷重を受けたとき荷重に応じて物体の内部に生ずる抵抗力、即ち応力は、形状変化の激しい部位に集中する。そこで、溝部50の溝の底部や、溝部50の開口部など応力の集中しやすい部位を円弧状に形成することにより、これらの部位に集中する応力の度合いを積極的に軽減させることができるように構成されている。これにより、薄肉部70が変形する前に、即ち、薄肉部70において衝撃を緩衝する(エネルギーを吸収する)前に、応力集中により亀裂が生じて薄肉部70が破壊されてしまうことを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ、及びフランジに関し、例えば、真空容器の排気に用いる真空ポンプとそのフランジに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ分子ポンプやねじ溝式ポンプなどの真空ポンプは、例えば、半導体製造装置の排気や、電子顕微鏡などの高真空を要する真空容器に多用されている。
これら真空ポンプの吸気口には、フランジが設けられており、真空容器の排気口にボルトなどで固定できるようになっている。このフランジと真空容器の排気口の間にはOリングやガスケットなどが挟んであり、真空ポンプと真空容器との間の気密性が保たれるようになっている。
【0003】
真空ポンプの内部には、回転自在に軸支され、モータ部により高速回転が可能なロータ部と、真空ポンプのケーシングに固定されたステータ部が設けられている。
真空ポンプは、ロータ部が高速回転することにより、ロータ部とステータ部が排気作用を発揮する。そして、この排気作用により、真空ポンプの吸気口より気体が吸引され、排気口から排気される。
通常、真空ポンプは、分子流領域(真空度が高く分子同士が衝突する頻度が小さい領域)にて気体を排気する。分子流領域で排気能力を発揮するためには、ロータ部は、例えば毎分3万回転程度の高速回転を行う必要がある。
【0004】
ところで、真空ポンプの運転中に何らかのトラブルが発生し、ロータ部がステータ部やその他の真空ポンプ内の固定した部材に衝突した場合、ロータ部の角運動量がステータ部や固定部材に伝達し、真空ポンプ全体をロータ部の回転方向に回転させる大きなトルクが瞬時に発生する。このトルクは、フランジを通じて真空容器にも大きな応力を及ぼす。
このようなトルクによる衝撃を緩和するための技術が下記の特許文献に提案されている。
【特許文献1】特開2005−180233公報
【0005】
特許文献1には、分子ポンプの吸気口端に配設されたフランジに、ロータの回転トルクによる衝撃の影響を緩和する変形部を設ける技術が提案されている。
詳しくは、吸気口フランジに穿設されたボルトの貫通孔の両側にV字型の切込部を設けて肉薄部を形成し、衝撃を受けた際にこの肉薄部を変形させることによりエネルギーを吸収させる構造を有する分子ポンプが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような先端の尖ったV字型の切込部を設ける際には、例えば、放電加工などの特殊な加工技術を必要とするため、加工コストが高くなってしまう。
また、特許文献1に記載されているような先端の尖ったV字型の切込部を設けた場合には、衝撃を受けた際に切込部の先端に応力が集中してそこから亀裂が生じ、肉薄部が変形する前に破壊してしまうおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、より安価な加工方法を用いて形成することが可能であり、衝撃を受けた際の応力集中を適切に抑制することができる緩衝構造を備えた真空ポンプ及びフランジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明では、円筒形状のケーシングと、前記ケーシング内に形成されたステータ部と、前記ステータ部内に配設されたシャフトと、前記シャフトを前記ステータ部に対して回転自在に軸支する軸受と、前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトと一体になって回転するロータと、前記シャフトを駆動して回転させるモータと、前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた、底部に向かって開口面積が小さくなる凹部と、を有する、前記ケーシングの端部に形成されたフランジと、を備えた真空ポンプであり、前記凹部は、底部が非鋭角形状であることにより前記目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の真空ポンプにおいて、前記凹部の底部は、円弧状または平坦に形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の真空ポンプにおいて、前記凹部は、前記フランジにおける、前記被固定部材との接合面の反対側の面に形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の真空ポンプにおいて、前記凹部は、前記ケーシングと前記ボルト貫入部との間に形成され、開口部の端部の少なくとも一部が前記ケーシングの外周と一致することを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の真空ポンプにおいて、前記ボルト貫入部に配設されるボルトは、前記被固定部材と前記フランジとの境界に位置する部分において、ねじ山が形成されていないことを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項1から請求項5のいずれか一の請求項に記載の真空ポンプにおいて、少なくとも前記凹部が設けられた領域は、前記フランジの本体と別部品で構成されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、真空ポンプのケーシングの端部を被固定部材に接続するためのフランジであって、前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた、底部に向かって開口面積が小さくなる凹部と、を具備し、前記凹部は、底部が非鋭角形状であることにより前記目的を達成する。
請求項8記載の発明では、請求項7記載のフランジにおいて、前記凹部の底部は、円弧状または平坦に形成されていることを特徴とする。
請求項9記載の発明では、円筒形状のケーシングと、前記ケーシング内に形成されたステータ部と、前記ステータ部内に配設されたシャフトと、前記シャフトを前記ステータ部に対して回転自在に軸支する軸受と、前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトと一体になって回転するロータと、前記シャフトを駆動して回転させるモータと、前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた、凹部と、を有する、前記ケーシングの端部に形成されたフランジと、を備えた真空ポンプであり、前記凹部は、内壁面と底面との境界部が円弧状であることにより前記目的を達成する。
請求項10記載の発明では、真空ポンプのケーシングの端部を被固定部材に接続するためのフランジであって、前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた凹部と、を具備し、前記凹部は、内壁面と底面との境界部が円形状であることにより前記目的を達成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薄肉部を形成するための凹部の底部を非鋭角形状に形成することにより、また、凹部の内壁面と底面との境界部を円弧状に形成することにより、凹部の底部における応力の集中を低減させることができる。
これにより、真空ポンプが衝撃を受けた際、エネルギーを吸収する前に、薄肉部が破壊してしまうことを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1〜図16を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る真空ポンプ1と真空容器205への結合形態の一例を示した図である。
真空ポンプ1は、高速回転するロータ部と、固定されたステータ部との排気作用により、排気機能を発揮する真空ポンプであって、ターボ分子ポンプ、ねじ溝式ポンプ、あるいはこれら両方の構造を併せ持った複合翼タイプなどがある。
真空ポンプ1の吸気口には、真空ポンプ1を真空容器205と結合するためのフランジ61が外周側に張り出すように形成され、排気側には排気口19が設けられている。
真空容器205は、半導体製造装置や電子顕微鏡の鏡塔などの真空装置を構成しており、真空容器205の排気口には、真空ポンプ1を取り付けるためのフランジ62が設けられている。
なお、真空容器205は、真空ポンプ1に対する被固定部材として機能する。
【0011】
フランジ61には、厚み方向に貫通した複数のボルト貫入部14が円周等分8個所に形成されている。
フランジ62には、フランジ61に設けられたボルト貫入部14と対応する位置(同じ位置)に、ボルトを締結するためのねじ溝が内側面に設けられたねじ穴が形成されている。
そして、フランジ61のボルト貫入部14にボルト63を挿通し、これらボルト63をフランジ62のねじ穴に締め付けることにより、真空ポンプ1は真空容器205の下部に取り付けられ固定される。
真空容器205内の気体は、真空ポンプ1の吸気口から吸引され、排気口19から排出される。これにより、例えば、半導体製造のための反応ガスやその他のガスを真空容器205から排出することができる。
【0012】
なお、図の例では、真空容器205の下部に真空ポンプ1を取り付け、真空ポンプが真空容器205からつり下げられた形になっているが、真空ポンプ1の取り付け位置はこれに限定するものではなく、真空ポンプ1を横にして真空容器205の横に取り付けたり、あるいは、真空ポンプ1の吸気口を下側にして真空容器205の上部に取り付けることもできる。
さらに、真空容器205の排気口と真空ポンプ1の吸気口の間に排気ガスの流量を調節するための弁を設ける場合もある。
また、排気口19は、一般にロータリーポンプなどの粗引き用ポンプに接続されている。
【0013】
図2は、本実施の形態の真空ポンプ1の軸線方向の断面図を示した図である。
本実施の形態では、真空ポンプの一例としてターボ分子ポンプ部とねじ溝式ポンプ部を備えた、いわゆる複合翼タイプの真空ポンプを例にとり説明する。
真空ポンプ1の外装体を形成するケーシング16は、円筒状の形状をしており、ケーシング16の底部に設けられた円盤状のベース27と共に真空ポンプ1の筐体を構成している。そして、ケーシング16の内部には、真空ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物が収納されている。
これら排気機能を発揮する構造物は、大きく分けて回転自在に軸支されたロータ部24とケーシング16に対して固定されたステータ部から構成されている。
また、ポンプの種類から見た場合、吸気口6側がターボ分子ポンプ部により構成され、排気口19側がねじ溝式ポンプ部から構成されている。
【0014】
ロータ部24は、吸気口6側(ターボ分子ポンプ部)に設けられたロータ翼21と、排気口19側(ねじ溝式ポンプ部)に設けられた円筒部材29、及びシャフト11などから構成されている。ロータ翼21は、シャフト11の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して放射状に伸びたブレードから構成されており、ターボ分子ポンプ部では、これらロータ翼21が軸線方向に複数段形成されている。
円筒部材29は、外周面が円筒形状をした部材であり、ねじ溝式ポンプ部のロータ部24を構成している。
シャフト11は、ロータ部24の軸を構成する円柱状の部材であって、その上端部にはロータ翼21と円筒部材29からなる部材がボルト25によりねじ留めされている。
【0015】
シャフト11の軸線方向中程には、外周面に永久磁石が固着してあり、モータ部10のロータを構成している。この永久磁石がシャフト11の外周に形成する磁極は、外周面の半周に渡ってN極となり、残り半周に渡ってS極となるようになっている。
さらに、シャフト11のモータ部10に対して吸気口6側、及び排気口19側には、シャフト11をラジアル方向に軸支するための磁気軸受部8、12のロータ部24側の部分が形成されており、シャフト11の下端には、シャフト11を軸線方向(スラスト方向)に軸支する磁気軸受部20のロータ部24側の部分が形成されている。
【0016】
また、磁気軸受部8、12の近傍には、それぞれ変位センサ9、13のロータ側の部分が形成されており、シャフト11のラジアル方向の変位が検出できるようになっている。さらに、シャフト11の下端には変位センサ17のロータ側の部分が形成されており、シャフト11の軸線方向の変位が検出できるようになっている。
これら、磁気軸受部8、12及び変位センサ9、13のロータ側の部分は、ロータ部24の回転軸線方向に鋼板を積層した積層鋼板により構成されている。これは、磁気軸受部8、12、変位センサ9、13のステータ側の部分を構成するコイルが発生する磁界によって、シャフト11に渦電流が発生するのを防ぐためである。
以上に説明したロータ部24はステンレスやアルミニウム合金などの金属を用いて構成されている。
【0017】
ケーシング16の内周側には、ステータ部が形成されている。このステータ部は、吸気口6側(ターボ分子ポンプ部)に設けられたステータ翼22と、排気口19側(ねじ溝式ポンプ部)に設けられたねじ溝スペーサ5などから構成されている。
ステータ翼22は、シャフト11の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してケーシング16の内周面からシャフト11に向かって伸びたブレードから構成されており、ターボ分子ポンプ部では、これらステータ翼22が軸線方向に、ロータ翼21と互い違いに複数段形成されている。各段のステータ翼22は、円筒形状をしたスペーサ23により互いに隔てられている。
【0018】
ねじ溝スペーサ5は、内周面にらせん溝7が形成された中空円柱部材である。ねじ溝スペーサ5の内周面は、所定のクリアランス(間隙)を隔てて円筒部材29の外周面に対面するようになっている。
ねじ溝スペーサ5に形成されたらせん溝7の方向は、らせん溝7内をロータ部24の回転方向にガスが輸送された場合、排気口19に向かう方向である。らせん溝7の深さは排気口19に近づくにつれ浅くなるようになっており、らせん溝7を輸送されるガスは排気口19に近づくにつれて圧縮されるようになっている。
これらステータ部はステンレスやアルミニウム合金などの金属を用いて構成されている。
【0019】
ベース27は、円盤形状を有した部材であって、ラジアル方向中央には、ロータの回転軸線と同心に円筒形状を有するステータコラム18が、吸気口6方向に取り付けられている。
ステータコラム18は、モータ部10、磁気軸受部8、12、及び変位センサ9、13のステータ側の部分を支持している。
モータ部10では、所定の極数のステータコイルがステータコイルの内周側に等間隔で配設され、シャフト11に形成された磁極の周囲に回転磁界を発生できるようになっている。また、ステータコイルの外周には、ステンレスなどの金属で構成された円筒部材であるカラー49が配設されており、モータ部10を保護している。
【0020】
磁気軸受部8、12は、回転軸線の回りの90度ごとに配設されたコイルから構成されている。そして、磁気軸受部8、12は、これらコイルの発生する磁界でシャフト11を吸引することにより、シャフト11をラジアル方向に磁気浮上させる。
ステータコラム18の底部には、磁気軸受部20が形成されている。磁気軸受部20は、シャフト11から張り出した円板と、この円板の上下に配設されたコイルから構成されている。これらコイルが発生する磁界がこの円板を吸引することにより、シャフト11が軸線方向に磁気浮上する。
【0021】
ケーシング16の吸気口6には、ケーシング16の外周側に張り出したフランジ61が形成されている。
フランジ61には、フランジ61の厚み方向に貫通した、真空ポンプ1を真空容器205に固定するためのボルト63を通すボルト貫入部14が複数設けられている。
ボルト貫入部14の周囲には、真空ポンプ1でロータ部24の回転方向の衝撃が生じた場合、これを緩衝するための機構(衝撃緩衝構造)が設けられている。この機構については後ほど詳細に説明する。
また、フランジ61には、真空容器205側のフランジ62との気密性を保つためのOリングを装着するための溝15が形成されている。
溝15は、フランジ61における真空容器205との結合面、即ちフランジ62との接合面と対向する面に、円周方向に延びる連続した溝部によって構成されている。
【0022】
以上のように構成された真空ポンプ1は、以下のように動作し、真空容器205からガスを排出する。
まず、磁気軸受部8、12、20がシャフト11を磁気浮上させることにより、ロータ部24を非接触で空間中に軸支する。
次に、モータ部10が作動し、ロータを所定の方向に回転させる。回転速度は例えば毎分3万回転程度である。本実施の形態では、ロータ部24の回転方向を図2の矢線A方向に見て時計回り方向とする。なお、反時計回り方向に回転するように真空ポンプ1を構成することも可能である。
ロータ部24が回転すると、ロータ翼21とステータ翼22の作用により、吸気口6からガスが吸引され、下段に行くほど圧縮される。
ターボ分子ポンプ部で圧縮されたガスは、さらにねじ溝式ポンプ部で圧縮され、排気口19から排出される。
【0023】
図3(a)は、フランジ61を図2の矢線A方向に見たところを示した図である。図を簡略化するため、Oリング用の溝15と真空ポンプ1の内部構造は図示していない。
また、図3(b)は、図3(a)の破線円で示されるフランジ61に設けられた衝撃緩衝構造の拡大図を示した図であり、図3(c)は、図3(b)におけるα−α’部の断面を示した図である。
図に示したように、フランジ61には同心上に所定間隔でボルト貫入部14が複数個形成されている。それぞれのボルト貫入部14に、ボルト63を挿通されている。
また、図3(c)に示すように、ボルト貫入部14に挿入したボルト63のヘッド部とフランジ61との間に座金64が配設(介在)されている。
【0024】
本実施の形態に係る衝撃緩衝構造は、図3に示すように、ボルト貫入部14の両側、即ち、フランジ61の円周方向に沿った両側に近接して設けられた溝部50と、溝部50とボルト貫入部14との間に形成された薄肉部70と、によって構成されている。なお、溝部50は、薄肉部を形成するための凹部として機能する。
ボルト貫入部14に対して、ロータ部24の回転方向側に設けられた溝部50、即ち、図3(b)、(c)において、ボルト貫入部14の左側に設けられている溝部50は、フランジ61における真空容器205(フランジ62)の接合面の反対側の面に開口部を有する溝(凹部)である。
一方、ボルト貫入部14に対して、ロータ部24の回転方向の反対側に設けられた溝部50、即ち、図3(b)、(c)において、ボルト貫入部14の右側に設けられている溝部50は、フランジ61における真空容器205(フランジ62)の接合面に開口部を有する溝である。
【0025】
溝部50は、フランジ61の厚み方向の深さを有する、軸線方向(フランジ61の厚み方向)の断面がくさび形(略V字)の溝であり、この溝の底部は円弧状に形成されている。
溝部50の開口部は、略長方形であり、ボルト貫入部14と対向する開口部の長辺がボルト貫入部14に対応した円弧状に形成されている。
詳しくは、溝部50は、開口部のボルト貫入部14側の長辺が薄肉部70を隔ててボルト貫入部14に面するように配置されている。
【0026】
さらに、溝部50の開口部のボルト貫入部14と対向する辺におけるR形状は、薄肉部70の厚みが略均等となるように設定されている。
即ち、溝部50における、薄肉部70を構成する内壁面は、ボルト貫入部14の内周壁面と同心円状になるように形成されている。
これにより、薄肉部70は、均一の肉厚を有する壁状に形成される。
また、溝部50の開口部の頂点(略長方形の頂点)は、円弧状に形成されている。
溝部50における、薄肉部70を構成する内壁面と対向する内壁面は、底部に向かって開口面積が小さくなるような勾配(テーパ)を有している。
溝部50は、薄肉部70を形成する機能の他、真空ポンプ1でロータ部24の回転方向の衝撃が生じた場合における、ボルト63の変形方向を案内する案内溝として機能する。
【0027】
次に、このように構成されたフランジ61の緩衝機能について説明する。
真空ポンプ1で、ロータ部24が高速回転しているときに、これが破断するなどしてステータ部などに衝突すると、真空ポンプ1の全体をロータ部24の回転方向に回転させようとするトルクによる衝撃が発生する。
すると、この衝撃によりフランジ61が真空容器205のフランジ62に対してロータ部24の回転方向に滑って回転しようとする。
一方、ボルト63の位置はフランジ62で固定されているため(フランジ62のボルト穴は通常の円形のボルト穴とする)、フランジ61がロータ部24の回転方向に回転すると、ボルト63はボルト貫入部14内において、他端部方向に相対的に移動することになる。
【0028】
するとボルト63は、ボルト貫入部14に対して、ロータ部24の回転方向の反対側に設けられた薄肉部70にあたる(接触する)。
このボルト63は真空容器205(フランジ62)に固定されているため、ボルト63は曲折する。
そして、ボルト63が曲折されると、ボルト63の側面が反対側の薄肉部70にあたる。
ボルト63と当接した薄肉部70は、溝部50の空間側へ傾き(歪み)変形する。このように、薄肉部70がボルト63と衝突して塑性変形する過程で真空ポンプ1を回転させるエネルギーが消費され、これによって衝撃が緩和される。
なお、本実施形態では、薄肉部70をボルト貫入部14の両側に、即ち、薄肉部70を2つ設けるように構成されているが、配設する薄肉部70の数は、これに限定されるものではない。例えば、いずれか一方の薄肉部70を設けるように構成されていてもよい。
【0029】
また、このような衝撃緩衝構造を設けることにより、真空ポンプ1でロータ部24の回転方向の衝撃が生じた場合、溝部50によってボルト63の曲げ方向が案内されるため、フランジ61とフランジ62との接合部、即ち、真空ポンプ1と真空容器205との接合部における、ボルト63の切断を抑制(防止)することができる。
これにより、ボルト63が破断して真空ポンプ1が真空容器205から脱落するような不具合を防止することができる。
【0030】
ところで、物体が荷重を受けたとき荷重に応じて物体の内部に生ずる抵抗力、即ち応力は、形状変化の激しい部位に集中する。
しかしながら、本実施の形態では、溝部50の溝の底部や、溝部50の開口部など応力の集中しやすい部位を円弧状に形成することにより、これらの部位に集中する応力の度合いを積極的に軽減させることができるように構成されている。
これにより、薄肉部70が変形する前に、即ち、薄肉部70において衝撃を緩衝する(エネルギーを吸収する)前に、応力集中により亀裂が生じて薄肉部70が破壊されてしまうことを抑制することができる。
【0031】
なお、溝部50は、上述したような(図3に示すような)開口部の長辺が円弧状の長方形の溝に限定されるものではなく、ボルト貫入部14との間に衝撃吸収のための薄肉部70を形成することが可能であり、かつ、変形した際の薄肉部70やボルト63の逃げ領域(逃げ空間)を確保することができる形状であればよい。
次に、溝部50の変形例について具体的に説明する。
【0032】
図4(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図4(b)は、図4(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
図4に示す変形例では、ボルト貫入部14の両側、即ち、フランジ61の円周方向に沿った両側に近接して設けられる溝部51の開口部が三日月型(三日月状)に形成されている。
詳しくは、溝部51は、開口部の三日月型の凹部が薄肉部70を隔ててボルト貫入部14に面するように配置されている。
さらに、溝部51の開口部の三日月型の凹部におけるR形状は、薄肉部70の厚みが略均等となるように設定されている。
このように構成されたフランジ61を用いた真空ポンプ1に、ロータ部24の回転方向の大きなトルクが作用すると、ボルト貫入部14に挿通されたボルト63により、薄肉部70が圧迫されて塑性変形する。これにより回転エネルギーが吸収され衝撃が緩衝される。
【0033】
図5(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図5(b)は、図5(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
また、図6(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図6(b)は、図6(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
溝部50、51は、上述したような(図3、図4に示すような)底部が円弧状の溝に限定されるものではなく、応力が集中しにくい、即ち形状変化が比較的緩やかな構造であればよい。
例えば、図5に示すような、底部が平らに形成された溝部50’や、図6に示すような底部が平らに形成された溝部51’をフランジ61に設けるようにしてもよい。
なお、溝部50’、51’における溝の底面と側面との境界は、形状変化が激しくならないように、径の小さな円弧状であることが好ましい。
このように、溝部50’、51’の底部を平ら(平坦)にすることにより、溝の底部に集中する応力の度合いを積極的に軽減させることができる。
【0034】
ここで、上述したような溝部50、50’、51、51’をフランジ61に形成する加工方法について説明する。
図7は、フランジ61の切削加工の方法を説明するための図である。
本実施形態に係る溝部50、50’、51、51’は、外周面及び端面に切れ刃がある、柄のついたフライス、即ちエンドミルを用いた切削加工を施すことにより容易に形成することができる。
詳しくは、図3に示す溝部50や、図4に示す溝部51のように、溝の底部が円弧状である場合には、図7(a)に示すような、先端が半球状のボールエンドミルを使用して加工する。
一方、図5に示す溝部50’や、図6に示す溝部51’のように、溝の底部が平坦状である場合には、図7(b)に示すような、先端が平らなフラットエンドミルを使用して加工する。なお、底面と側面との境界部(隅部)のコーナR仕上げを容易に施すために、ラジアスエンドミルを使用してもよい。
【0035】
はじめに、エンドミルをフランジ61面に対して垂直に入れた後、エンドミルをフランジ61面に対して水平に移動させて、湾曲した長穴形状の孔を形成し、薄肉部70を設ける。
続いて、エンドミルの先端部における、フランジ61面に対する垂直方向の高さはそのままで、エンドミルの後部を傾斜させて、テーパ形状の内側壁を形成する。
なお、溝部50、50’を加工する際には、エンドミルを一定の傾斜角を保持しながら、エンドミルをフランジ61面に対して水平に移動させる。
一方、溝部51、51’を加工する際には、エンドミルの傾斜角を変化させながらエンドミルをフランジ61面に対して水平に移動させて三日月型の開口部を形成する。
【0036】
図8(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図8(b)は、図8(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
また、図9(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図9(b)は、図9(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
上述した実施形態では、溝部50、51を設けることによって、エネルギーを吸収させるための薄肉部70を形成するように構成されている。しかしながら、薄肉部70を形成する方法はこれに限定されるものではない。
【0037】
例えば、図8に示すように、溝部50をフランジ61の厚み方向に貫通させた貫通孔52を、溝部50と同様にボルト貫入部14の両側に設けて、ボルト貫入部14と貫通孔52との間に薄肉部71を形成するようにしてもよい。
また、図9に示すように、溝部51をフランジ61の厚み方向に貫通させた貫通孔53を、溝部51と同様にボルト貫入部14の両側に設けて、ボルト貫入部14と貫通孔53との間に薄肉部71を形成するようにしてもよい。
なお、貫通孔52、53における薄肉部71を構成する内壁面と対向する内壁面は、溝部50、51と同様に、勾配(テーパ)を有しており、衝撃が生じた場合におけるボルト63の変形方向を案内する案内孔として機能する。
【0038】
貫通孔52、53は、底部の形状を考慮することなく加工をできるため、衝撃緩衝構造(薄肉部71など)を形成する際の加工時間の短縮化を図ることができる。
詳しくは、はじめに、ドリルなどを用いてフランジ61面に対して垂直(厚み方向)に貫通する孔を形成し、その後、溝部50、51と同様に、傾斜させたエンドミルを使用して貫通孔52、53のテーパ部を加工する。
【0039】
図10(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図10(b)は、図10(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
また、図11(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図11(b)は、図11(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
上述した実施形態では、溝部50または溝部51を、それぞれフランジ61における、真空容器205(フランジ62)との接合面と、この接合面の反対側の面の双方の端面に設けるように構成されている。しかしながら、溝部50、51は、必ずしもフランジ61の双方の端面に設ける必要はない。
【0040】
真空ポンプ1には、図2に示すように、フランジ61に、真空容器205側のフランジ62との気密性を保つためのOリングを装着するための溝15が形成されている。
フランジ61上において、Oリングの嵌め込み溝15、即ちOリングの取り付け部に、制約(制限)されることなく衝撃緩衝構造を設けるために、例えば、図10に示すように、フランジ61における、真空容器205(フランジ62)との接合面の反対側の面にのみ溝部50を構成するようにしてもよい。
同様に、例えば、図11に示すように、フランジ61における、真空容器205(フランジ62)との接合面の反対側の面にのみ溝部51を構成するようにしてもよい。
このように、それぞれフランジ61における、真空容器205(フランジ62)との接合面上に溝部50、51を形成することを避けることにより、従来通り適切な位置にOリングを配設することができる。
【0041】
図12(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図12(b)は、図12(a)の破線円で示されるフランジ61に設けられた衝撃緩衝構造の拡大図を示した図であり、図12(c)は、図12(b)におけるβ−β’部の断面を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
上述した溝部50、51、は、円周方向に沿ったボルト貫入部14の両側に設けられているが、溝部50、51を設ける位置は、これに限定されるものではない。
例えば、図12に示すように、薄肉部72を形成するための溝部54、55を、ラジアル方向(半径方向)に沿ったボルト貫入部14の両側に設けるようにしてもよい。
このように、フランジ61の径方向に溝部54、55を配置する場合は、フランジ61における、真空容器205(フランジ62)との接合面の反対側の面にのみこれらの溝部54、55を設けることが望ましい。
これは、フランジ61における、真空容器205(フランジ62)との接合面に、Oリングを装着するための十分な領域を確保するためである。
【0042】
溝部54は、フランジ61において、ボルト貫入部14の形成部位より径方向外側の位置に設けられた凹溝であり、上述した溝部50と同様の形状を有する。
溝部55は、フランジ61において、ボルト貫入部14の形成部位より径方向内側の位置に設けられた凹溝であり、溝部55の開口部のボルト貫入部14と対向する辺におけるR形状は、薄肉部72の厚みが略均等となるように設定されている。
即ち、溝部55における、薄肉部72を構成する内壁面は、ボルト貫入部14の内周壁面と同心円状になるように形成されている。
これにより、薄肉部72は、均一の肉厚を有する壁状に形成される。
一方、溝部55における、薄肉部72を構成する内壁面と対向する内壁面は、ケーシング16の外周壁と等しくなるように形成されている。
このように、ケーシング16の外周壁の近傍に未加工部を残さないように溝部55を加工することにより、例えば、ケーシング16を外側へ膨らませる方向にトルクによる衝撃を受けた場合における、座金64の引っ掛かりを防止することができるため、フランジ61が不適切な方向へ移動してしまうことを抑制することができる。
【0043】
図13(a)は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図であり、図13(b)は、図13(a)におけるβ−β’部の断面を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
フランジ61の径方向に溝部55、56を配置する場合においても、溝部の形状は、開口部の長辺が円弧状の長方形の溝に限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、溝部51と同様の開口部が三日月型(三日月状)の凹溝によって構成するようにしてもよい。
【0044】
図14は、真空ポンプ1のフランジ61と真空容器205のフランジ62との結合状態の一例を示した図である。
なお、上述した実施形態と重複する箇所には、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
図1、図14に示すように、本実施形態に係る真空ポンプ1は、吸気口端に設けられているフランジ61と、真空容器205の排気口端に設けられているフランジ62とが、締結手段(結合手段)として機能するボルト63を用いて結合されている。
詳しくは、少なくとも先端部にねじ山が設けられたボルト63を、座金64を取り付けた後、フランジ61に設けられたボルト貫入部14に挿通する。そしてボルト63の先端をフランジ62に設けられたねじ穴65にねじ留めすることにより、フランジ61をフランジ62に固定するように構成されている。
【0045】
また、図14に示すように、ボルト63は、フランジ61とフランジ62との接合部(接合部付近の領域)におけるねじ山が予め削られているボルト、例えば、伸びボルトを用いることが好ましい。
このような形状のボルト63を用いることにより、真空ポンプ1の全体をロータ部24の回転方向に回転させようとするトルクが作用した際に、即ち、ボルト63がフランジ61に接触した際に、ねじ部での応力集中を低減(抑制)させることができる。
また、フランジ61とフランジ62との接合部領域におけるねじ部の応力集中を抑制するために、接合部周辺におけるボルトを配設する孔の径を、挿通するボルトの径より大きく形成するようにしてもよい。
【0046】
図15は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図である。
上述した本実施の形態に係る衝撃緩衝構造では、薄肉部を設けるための溝部を直接フランジ61に形成する構成について説明した。
フランジ61と真空ポンプ1のケーシング16は、一体形成されているため、ケーシング16のサイズが大型になるほど、衝撃緩衝構造(溝部、薄肉部)を加工する際の作業性が低下してしまう。
そこで、衝撃緩衝構造を加工(形成)する際の作業性を向上させるために、図15に示すような、フランジ61とは別に形成された緩衝部材90を用いるようにしてもよい。
【0047】
詳しくは、図15に示すように、フランジ61に設けられたボルト貫入部14のフランジ61の円周方向における両側に、フランジ61の半径方向に延びる長方形の開口部を有する嵌入口80を設け、これらの嵌入口80へ緩衝部材90を嵌め込む。
緩衝部材90には、フランジ61の厚み方向の深さを有する、軸線方向(フランジ61の厚み方向)の断面がくさび形(略V字)の溝部57が設けられている。
溝部57は、フランジ61の半径方向に延びるように形成されており、また、この溝の底部は円弧状に形成されている。
緩衝部材90の厚み方向の長さは、少なくとも、嵌入口80の深さ方向の長さと同等か、または短くなるように構成されていることが好ましい。
【0048】
溝部57におけるボルト貫入部14側の内壁面は、緩衝部材90の外側面と平行になるように形成され、他方の内壁面は、底部に向かって開口面積が小さくなるような勾配(テーパ)を状に形成されている。
緩衝部材90は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅などの金属部材を加工することにより形成することができる。
なお、嵌入口80に嵌め込まれた緩衝部材90は、フランジ61からの脱落を防止するために、接着剤等を用いて固定されている。
緩衝部材90は、小さな形状であるため、例えば、型成型やプレス加工により容易に形成することができる。これにより、製造コストの削減を図ることができる。
【0049】
図16は、衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジ61を説明するための図である。
フランジ61とは別に形成された部材を用いて衝撃緩衝構造を構成する方法は、上述した、溝部57が設けられた緩衝部材90を用いる方法に限定されるものではない。
例えば、図16に示すように、フランジ61とは別の部材で形成された、ボルト貫入部58及び溝部59が設けられた緩衝部材91を、フランジ61に形成された、フランジ61の円周方向に延びる長方形の開口部を有する嵌入口81に嵌め込むようにしてもよい。
緩衝部材91には、その中央部にボルト63を挿通ためのボルト貫入部58が形成されている。
また、緩衝部材91には、上述した溝部57と同様の形状を有する溝部59がボルト貫入部58の両側に設けられている。
緩衝部材91もまた、小さな形状であるため、例えば、型成型やプレス加工により容易に形成することができる。これにより、製造コストの削減を図ることができる。
【0050】
上述した実施形態では、溝部50は、底部に向かって開口面積が小さくなるような勾配(テーパ)を有する形状であるが、薄肉部70を形成するための溝部の形状はこれに限定されるものではない。
例えば、図17に示すような、開口面積が変化しない形状(断面がコの字型)であり、内壁面(内側面)101と底面102との境界部103が円弧状に形成された溝部60であってもよい。
このように、溝部60の内壁面(内側面)と底面との境界部を円弧状に形成することにより、底部に集中する応力の度合いを積極的に軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態に係る真空ポンプと真空容器への結合形態の一例を示した図である。
【図2】本実施の形態の真空ポンプの軸線方向の断面図を示した図である。
【図3】(a)はフランジを図2の矢線A方向に見たところを示した図であり、(b)は(a)の破線円で示されるフランジに設けられた衝撃緩衝構造の拡大図を示した図であり、(c)は(b)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図4】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図5】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図6】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図7】フランジの切削加工の方法を説明するための図である。
【図8】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図9】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図10】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図11】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるα−α’部の断面を示した図である。
【図12】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)の破線円で示されるフランジに設けられた衝撃緩衝構造の拡大図を示した図であり、(c)は(b)におけるβ−β’部の断面を示した図である。
【図13】(a)は衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図であり、(b)は(a)におけるβ−β’部の断面を示した図である。
【図14】真空ポンプのフランジと真空容器のフランジとの結合状態の一例を示した図である。
【図15】衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図である。
【図16】衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図である。
【図17】衝撃緩衝構造の他の例に係るフランジを説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1 真空ポンプ
5 ねじ溝スペーサ
6 吸気口
7 らせん溝
8 磁気軸受部
9 変位センサ
10 モータ部
11 シャフト
14 ボルト貫入部
15 溝
16 ケーシング
17 変位センサ
18 ステータコラム
19 排気口
20 磁気軸受部
21 ロータ翼
22 ステータ翼
23 スペーサ
24 ロータ部
25 ボルト
27 ベース
29 円筒部材
49 カラー
50、51、54〜57、59、60 溝部
52、53 貫通孔
58 ボルト貫入部
61、62 フランジ
63 ボルト
64 座金
65 ねじ穴
70〜72 薄肉部
80、81 嵌入口
90、91 緩衝部材
205 真空容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に形成されたステータ部と、
前記ステータ部内に配設されたシャフトと、
前記シャフトを前記ステータ部に対して回転自在に軸支する軸受と、
前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトと一体になって回転するロータと、
前記シャフトを駆動して回転させるモータと、
前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた、底部に向かって開口面積が小さくなる凹部と、を有する、前記ケーシングの端部に形成されたフランジと、
を備えた真空ポンプであり、
前記凹部は、底部が非鋭角形状であることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項2】
前記凹部の底部は、円弧状または平坦に形成されていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記凹部は、前記フランジにおける、前記被固定部材との接合面の反対側の面に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記凹部は、前記ケーシングと前記ボルト貫入部との間に形成され、開口部の端部の少なくとも一部が前記ケーシングの外周と一致することを特徴とする請求項3記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記ボルト貫入部に配設されるボルトは、前記被固定部材と前記フランジとの境界に位置する部分において、ねじ山が形成されていないことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の真空ポンプ。
【請求項6】
少なくとも前記凹部が設けられた領域は、前記フランジの本体と別部品で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一の請求項に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
真空ポンプのケーシングの端部を被固定部材に接続するためのフランジであって、
前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、
前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた、底部に向かって開口面積が小さくなる凹部と、
を具備し、
前記凹部は、底部が非鋭角形状であることを特徴とするフランジ。
【請求項8】
前記凹部の底部は、円弧状または平坦に形成されていることを特徴とする請求項7記載のフランジ。
【請求項9】
円筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に形成されたステータ部と、
前記ステータ部内に配設されたシャフトと、
前記シャフトを前記ステータ部に対して回転自在に軸支する軸受と、
前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトと一体になって回転するロータと、
前記シャフトを駆動して回転させるモータと、
前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた凹部と、を有する、前記ケーシングの端部に形成されたフランジと、
を備えた真空ポンプであり、
前記凹部は、内壁面と底面との境界部が円弧状であることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項10】
真空ポンプのケーシングの端部を被固定部材に接続するためのフランジであって、
前記ケーシングと被固定部材とを固定するためのボルトを貫入するボルト貫入部と、
前記ボルト貫入部と薄肉部を介して設けられた凹部と、
を具備し、
前記凹部は、内壁面と底面との境界部が円弧状であることを特徴とするフランジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−75489(P2008−75489A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253811(P2006−253811)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(598021579)エドワーズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】