説明

真空処理装置用ケーブル、および、真空処理装置

【課題】真空状態となるチャンバー内に配置された可動部と繋がったケーブルの劣化促進を抑制することを課題とする。
【解決手段】1本以上の信号線10と、絶縁材からなり、1本以上の信号線10を互いに非接触な状態で内部に含み、1本以上の信号線10を固定する絶縁固定部20、21と、絶縁固定部20、21の周囲を覆うシールド線30と、絶縁材からなり、シールド線30の周囲を覆う第1の被覆層40と、第1の被覆層40の外表面の一部領域に設けられたスペーサ50を介して、第1の被覆層40の周囲を覆うように設けられる第2の被覆層60と、を有し、真空状態のチャンバー内に配設される真空処理装置用ケーブルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理装置用ケーブル、および、真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空状態となるチャンバーと、このチャンバー内に設けられる可動部と、この可動部に繋がるケーブルと、を有する装置がある。例えば、枚葉式のイオン注入装置などの半導体製造装置が該当する。枚様式のイオン注入装置(以下、「イオン注入装置」という)は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
このイオン注入装置は、真空状態となるチャンバー内にケーブルと繋がるプラテン(可動部)を有し、このプラテン(可動部)に半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という)がセットされると、このプラテンが90度回転するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−263038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、可動部にケーブルが繋がっている場合、可動部が動作すると、ケーブルの一部領域が装置内の他の部位と接触し、押圧されたり、擦れたりすることで、ケーブルの劣化が促進されることを発見した。
【0006】
例えば、図6のような構成のイオン注入装置を考えてみる。このイオン注入装置は、真空状態となるチャンバー400内に、ウェハ200がセットされるプラテン300と、プラテン300に繋がったケーブル100と、を有する。ケーブル100は、制御ユニット600とも繋がり、制御ユニット600から出力された信号を、プラテン300に入力する。また、ケーブル100は、装置動作の邪魔にならないよう、複数のケーブル固定部700により一部領域を固定されると共に、他の一部領域を、移動可能にケーブル支持部500で支持されている。
【0007】
このイオン注入装置は、図示しない搬送ベルトなどによりウェハ200が搬送され、プラテン300にセットされると、このプラテン300が回転軸800を中心に90度回転し(図の場合、時計回りに回転)、図7の状態となる。そして、図7の状態で、例えば、ウェハ200にイオンビームBを照射する処理などが行われる。その後、プラテン300が90度逆回転して図6の状態に戻り、ウェハ200が搬送される。
【0008】
図6、7のイオン注入装置の場合、上述したプラテン300の回転動作により、例えば、ケーブル100のイ(図7参照)で示す部分が、プラテン300の角により押圧される可能性がある。そして、場合によっては、ケーブル100はこの押圧状態から逃れるため、前後左右にズレ、図7に示すような状態になる可能性もある。この時、ケーブル100の一部領域は、プラテン300と擦れてしまう。また、プラテン300の回転動作により、ケーブル100には引張り力や押込み力が加わるため、ケーブル100は動く。このため、プラテン300が回転動作する度に、ケーブル100の一部領域、例えばケーブル支持部500に支持されている領域は、ケーブル支持部500と擦れてしまう。
【0009】
上述のように、プラテン300の動作に応じて、ケーブル100の一部領域が押圧されたり、擦れたりすると、ケーブル100の被覆や線材の一部の断線やショートが発生し、イオン注入装置の故障原因となる。
【0010】
特に、真空状態となるチャンバー内に配設されるケーブル100は、アウトガス低減目的で柔軟性がないフッ素系樹脂を被覆に用いるため、上述した押圧や擦れにより、比較的容易に被覆が裂ける。その結果、ケーブル100内部にあるシールド線や信号線などが露出し、ノイズや地絡、発塵の原因となり、イオン注入装置の故障を招く。
【0011】
なお、ここでは、イオン注入装置を例に本発明の課題を説明したが、真空状態のチャンバー内に、ケーブルが繋がった可動部を有する装置であれば、イオン注入装置以外の装置にも同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、1本以上の信号線と、絶縁材からなり、前記1本以上の信号線を互いに非接触な状態で内部に含み、前記1本以上の信号線を固定する絶縁固定部と、前記絶縁固定部の周囲を覆うシールド線と、絶縁材からなり、前記シールド線の周囲を覆う第1の被覆層と、前記第1の被覆層の外表面の一部領域に設けられたスペーサを介して、前記第1の被覆層の周囲を覆うように設けられる第2の被覆層と、を有し、真空状態のチャンバー内に配設される真空処理装置用ケーブルが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、真空状態になるチャンバーと、前記チャンバー内に設けられる可動部と、前記可動部に繋がる上記真空処理装置用ケーブルと、を有する真空処理装置が提供される。
【0014】
本発明の真空処理装置用ケーブルは、シールド線を覆う絶縁材からなる層(第1の被覆層)の周囲を、第2の被覆層で覆っている。この構成により、第1の被覆層が真空処理装置内の他の部位と接触するのを回避することができる。その結果、第1の被覆層の劣化を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の真空処理装置用ケーブルでは、第2の被覆層は、スペーサを介して、第1の被覆層を覆う。この構成により、第1の被覆層の外表面と、第2の被覆層の内表面との接触を抑制することができる。その結果、第1の被覆層の外表面が、第2の被覆層の内表面と擦れることにより劣化し、被覆が裂けたり、被覆から発塵したりという不都合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、真空状態となるチャンバー内に配置された可動部と繋がったケーブルの劣化促進を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の真空処理装置用ケーブルの一例を示す断面模式図である。
【図2】図1に示す本実施形態の真空処理装置用ケーブルのB−B´の断面模式図である。
【図3】図1に示す本実施形態の真空処理装置用ケーブルのC−C´の断面模式図である。
【図4】本実施形態の真空処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図5】本実施形態の真空処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図6】課題を説明するための真空処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図7】課題を説明するための真空処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<実施形態1>
【0019】
図1に、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1の長手方向沿いの断面模式図の一例を示す。また、図2に、図1に示す構成の真空処理装置用ケーブル1のB−B´の断面模式図を示す。さらに、図3に、図1に示す構成の真空処理装置用ケーブル1のC−C´の断面模式図を示す。なお、図1は、図2および図3に示す構成の真空処理装置用ケーブル1のA−A´の断面模式図である。
【0020】
図に示すように、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、信号線10と、絶縁固定部20、21と、シールド線30と、第1の被覆層40と、スペーサ50と、第2の被覆層60と、を有する。そして、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、真空状態のチャンバー内に配設される。なお、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、真空状態のチャンバー内に配設された可動部と繋がるように、真空状態のチャンバー内に配設されてもよい。
【0021】
信号線10は、信号を伝送するための金属製の線である。本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、信号線10を1本以上有する。なお、図2、3では、一例として、4本の信号線10を有する真空処理装置用ケーブル1を示してある。
【0022】
絶縁固定部20、21は、絶縁材からなり、1本以上の信号線10を、信号線10が互いに非接触な状態で内部に含み、1本以上の信号線10を固定するよう構成されている。絶縁固定部20、21は、例えば、図示するように、信号線10を個別に内部に含む絶縁体21と、この絶縁体21を内部に含む絶縁材からなる介在物20とすることができる。
【0023】
絶縁体21は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる絶縁体21とすることができる。また、介在物20は、PTFEの糸を用いて形成された層とすることができる。なお、絶縁体21および介在物20のいずれか一方または両方を、従来技術として利用されているその他の材料を用いた構成とすることも可能である。
【0024】
シールド線30は、絶縁固定部(介在物20)の周囲を覆うよう構成されている。シールド線30は導線からなり、網目状に絶縁固定部20を覆う構成とすることができる。網目状の例として、例えば、シールド線30は片編込みとすることができる。シールド線30を片編込みとした場合、応力が同じ方向を向くため、従来技術として利用されている両編込みとした場合に比べて、柔軟性が向上する。すなわち、シールド線30を片編込みとすることで、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1の柔軟性が向上する。
【0025】
第1の被覆層40は、絶縁材からなり、シールド線30の周囲を覆うよう構成されている。この被覆層40は、多孔質のPTFEからなる層とすることができる。このようにすれば、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1の柔軟性は向上する。また、高温でのアウトガス抑制効果も向上させることができる。なお、第1の被覆層40としては、多孔質でないPTFE、その他のフッ素系樹脂、PEEK(polyetheretherketone)、ポリイミド系樹脂等を利用することができるが、柔軟性およびアウトガス抑制を考慮すると、多孔質のPTFEからなる層とするのが望ましい。
【0026】
スペーサ50は、第1の被覆層40の外表面の一部領域に設けられる(図1参照)。スペーサ50は、第1の被覆層40の外表面と、以下で説明する第2の被覆層60の内表面との間に、空間70を形成するために設けられる。このような機能を実現できればスペーサの構成は特段制限されない。例えば、スペーサ50は、図示するように、第1の被覆層40の周方向に連続的に繋がったリテーナリングで構成されてもよい。または、スペーサ50は、第1の被覆層40の周方向に所定間隔おきに設けられた固体物であってもよい。このようなスペーサ50は、第1の被覆層40の長手方向沿いには、所定間隔おきに設けられる。長手方向沿いの所定間隔としては、例えば、150mm間隔であってもよい。なお、スペーサ50の材料は特段制限されず、例えば、金属や、多孔質のPTFEなどとすることができる。
【0027】
第2の被覆層60は、スペーサ50を介して、第1の被覆層40を覆うように設けられる。第2の被覆層60は、第1の被覆層40が真空処理装置内に設けられた他の部位と接触するのを防止する機能を有する。このような機能を有する第2の被覆層60は、第1の被覆層40よりも、真空処理装置内の他の部位との接触などに起因する曲げ応力、引張り応力、擦れなどに対して、劣化しにくい構成とするのが望ましい。このような要求を満たす第2の被覆層60としてはあらゆるものを利用できるが、例えば、ステンレスなどの金属製スプリングチューブとすることができる。具体的には、スプリングチューブは、ステンレスなどの金属丸線材を密巻きスプリング状に巻いたものであってもよい。このような第2の被覆層60の場合、上述した第2の被覆層60に対する要求を、十分に満たすことができる。なお、第2の被覆層60を、第1の被覆層40の長手方向沿いに所定間隔おきに設けられたスペーサ50を介して設けた場合、図1、3に示すように、第1の被覆層40の外表面と、第2の被覆層60の内表面との間には、空間70が形成される。この空間70の存在により、第1の被覆層40の外表面と、第2の被覆層60の内表面との接触を抑制することができる。その結果、第1の被覆層40の外表面と、第2の被覆層60の内表面との接触に起因する第1の被覆層40の外表面の劣化を抑制することができる。
【0028】
次に、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1の作用効果について説明する。
【0029】
まず、真空処理装置用ケーブルとして一般的に利用されるケーブル(以下、「一般ケーブル」という)の問題点を以下に示す。
【0030】
(1)一般ケーブルは、アウトガス低減目的で、シールド線を覆う絶縁材からなる最外層をフッ素系樹脂被覆層としているため、柔軟性がなくなり、真空処理装置内の他の部位との接触などに起因する曲げ応力、引張り応力、擦れなどにより、容易に劣化してしまう。
【0031】
なお、最外層であるフッ素系樹脂被覆層と、装置内の他の部位との接触を回避するため、このケーブルを、他の被覆層で覆うことも考えられるが、かかる場合、ケーブルの最外層であるフッ素系樹脂被覆層の外表面と、他の被覆層の内表面とが接触するため、擦れなどにより、フッ素系樹脂被覆層は容易に劣化してしまう。
【0032】
(2)一般ケーブルは、シールド線を両編込みに構成しているものが多いが、このため柔軟性がなくなり、真空処理装置内の他の部位との接触などに起因する曲げ応力、引張り応力、擦れなどにより、容易に劣化してしまう。
【0033】
本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、上記問題を解決可能に構成されている。
【0034】
具体的には、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、シールド線30を覆う絶縁材からなる層(第1の被覆層40)の周囲を、第2の被覆層60で覆っている。この構成により、第1の被覆層40が真空処理装置内の他の部位と接触するのを回避することができる。その結果、第1の被覆層40の劣化を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1では、第2の被覆層60は、スペーサ50を介して、第1の被覆層40を覆う。この構成により、第1の被覆層40の外表面と、第2の被覆層60の内表面との接触を抑制することができる。その結果、第1の被覆層40の外表面が、第2の被覆層60の内表面と擦れることにより劣化し、被覆が裂けたり、被覆から発塵したりという不都合を抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、第2の被覆層60を、金属製のスプリングチューブとすることができる。この構成により、第2の被覆層60が真空処理装置内の他の部位と接触し、第2の被覆層60の一部に曲げ応力、引張り応力、擦れなどが生じても、第2の被覆層60が容易に劣化するのを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、第1の被覆層40を多孔質のPTFEとすることができる。この構成により、アウトガス低減を実現するとともに、第1の被覆層40自身に柔軟性を持たせることが可能となる。その結果、真空処理装置用ケーブル1の柔軟性が向上し、真空処理装置用ケーブル1の劣化を抑制することが実現される。
【0038】
また、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、シールド線30を片編込みとすることができる。この構成により、真空処理装置用ケーブル1の柔軟性が向上し、真空処理装置用ケーブル1の劣化を抑制することが実現される。
【0039】
また、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、絶縁固定部20、21の一部(介在物20)を、PTFEの糸を用いて構成した層とすることができる。さらに、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、絶縁固定部20、21の一部(絶縁体21)を、PTFEとすることができる。この構成により、アウトガス低減を実現することができる。
【0040】
なお、本実施形態の真空処理装置用ケーブル1は、絶縁固定部20、21および第1の被覆層40をPTFEで構成した場合、周囲温度が250℃までアウトガス抑制が可能となる。
<実施形態2>
【0041】
本実施形態の真空処理装置の構成の一例を、図4、5の模式図に示す。本実施形態の真空処理装置は、真空状態になるチャンバー4と、チャンバー内に設けられる可動部3と、可動部3に繋がる実施形態1の真空処理装置用ケーブル1と、を有する。
【0042】
なお、本実施形態の真空処理装置は、ケーブル支持部5と、制御ユニット6と、ケーブル固定部7と、を有してもよい。ケーブル支持部5およびケーブル固定部7は、真空処理装置用ケーブル1を支持および固定する。例えば、ケーブル支持部5は、真空処理装置用ケーブル1の一部を、真空処理装置用ケーブル1が移動可能に支持する。ケーブル固定部7は、真空処理装置用ケーブル1の一部を、真空処理装置内の他の部位に固定する。そして、制御ユニット6は、可動部3と繋がる真空処理装置用ケーブル1と繋がり、真空処理装置用ケーブル1を介して可動部3に制御信号を入力する。
【0043】
この真空処理装置は、図示しない搬送ベルトなどによりウェハ2が搬送され、可動部(プラテン)3にセットされると(図4の状態)、この可動部(プラテン)3が回転軸8を中心に90度回転し(図の場合、時計回りに回転)、図5の状態となる。そして、図5の状態で、例えば、ウェハ2にイオンビームBを照射する処理などが行われる。その後、可動部(プラテン)3が90度逆回転して図4の状態に戻り、ウェハ2が搬送される。
【0044】
このような本実施形態の真空処理装置の場合、上述した可動部(プラテン)3の回転動作により、例えば、真空処理装置用ケーブル1のロ(図5参照)で示す部分が、可動部(プラテン)3の角により押圧される可能性がある。そして、場合によっては、真空処理装置用ケーブル1はこの押圧状態から逃れるため、前後左右にズレ、図5に示すような状態になる可能性もある。この時、真空処理装置用ケーブル1の一部領域は、可動部(プラテン)3と擦れてしまう。また、可動部(プラテン)3の回転動作により、真空処理装置用ケーブル1には引張り力や押込み力が加わるため、真空処理装置用ケーブル1は動く。このため、可動部(プラテン)3が回転動作する度に、真空処理装置用ケーブル1の一部領域、例えばケーブル支持部5に支持されている領域は、ケーブル支持部5と擦れてしまう。
【0045】
このように、本実施形態の真空処理装置は、可動部3の動作に伴い、真空処理装置用ケーブル1の一部領域が、真空処理装置内の他の部位(可動部3、ケーブル支持部5など)と接触するように配設されてもよい。
【0046】
このように配設されても、本実施形態の真空処理装置は、実施形態1で説明した柔軟性、耐久性に富む真空処理装置用ケーブル1を使用しているため、真空処理装置用ケーブル1の劣化を抑制することができる。その結果、真空処理装置用ケーブル1の劣化による発塵を防止できる。また、真空処理装置用ケーブル1が裂けることで真空処理装置用ケーブル1内部にあるシールド線30や信号線10などが露出し、ノイズや地絡、線材の一部の断線やショートが発生するのを抑制することができる。
【0047】
ここで、図示し、上記説明した真空処理装置は、本実施形態の真空処理装置の一例であるイオン注入装置を示したものである。なお、本実施形態の真空処理装置はイオン注入装置に限定されず、真空状態になるチャンバーと、チャンバー内に設けられる可動部と、可動部に繋がる実施形態1の真空処理装置用ケーブルと、を有するあらゆる装置が該当する。例えば、スパッタ装置および蒸着装置等が該当する。
【符号の説明】
【0048】
1 真空処理装置用ケーブル
2 ウェハ
3 可動部
4 チャンバー
5 ケーブル支持部
6 制御ユニット
7 ケーブル固定部
8 回転軸
10 信号線
20 介在物(絶縁固定部)
21 絶縁体(絶縁固定部)
30 シールド線
40 第1の被覆層
50 スペーサ
60 第2の被覆層
70 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本以上の信号線と、
絶縁材からなり、前記1本以上の信号線を互いに非接触な状態で内部に含み、前記1本以上の信号線を固定する絶縁固定部と、
前記絶縁固定部の周囲を覆うシールド線と、
絶縁材からなり、前記シールド線の周囲を覆う第1の被覆層と、
前記第1の被覆層の外表面の一部領域に設けられたスペーサを介して、前記第1の被覆層の周囲を覆うように設けられる第2の被覆層と、
を有し、真空状態のチャンバー内に配設される真空処理装置用ケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の真空処理装置用ケーブルにおいて、
前記第2の被覆層は、金属製のスプリングチューブである真空処理装置用ケーブル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真空処理装置用ケーブルにおいて、
前記第1の被覆層は、多孔質のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる真空処理装置用ケーブル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の真空処理装置用ケーブルにおいて、
前記シールド線は、片編込みされている真空処理装置用ケーブル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の真空処理装置用ケーブルにおいて、
前記絶縁固定部は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の糸を用いて構成された層を有する真空処理装置用ケーブル。
【請求項6】
真空状態になるチャンバーと、
前記チャンバー内に設けられる可動部と、
前記可動部に繋がる請求項1から5のいずれか一に記載の真空処理装置用ケーブルと、
を有する真空処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の真空処理装置において、
前記可動部が動作すると、前記真空処理装置用ケーブルは、一部領域が、前記真空処理装置内の他の部位と接触するように配設される真空処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−181366(P2011−181366A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44956(P2010−44956)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】