説明

真菌感染を治療および予防するための、ニワトリ卵黄免疫グロブリン(IgY)の局所投与

本発明は、少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物、および、特に、すべての種類の真菌感染、例えば、カンジダ属またはアスペルギルス属に属する生物、特に、抗真菌剤に対して感受性が低い真菌によって引き起こされる状態の予防および/または治療のための医薬品の調製のための上記組成物の使用、および、上記IgY抗体を使用する診断法に関する。さらに、本発明は、カンジダ属またはアスペルギルス属の真菌の少なくとも2種の異なる種の組合せを用いたトリの免疫化および真菌の診断法に関する。本発明は、真菌感染、特に、抗真菌薬に対して感受性の低い、または抗真菌薬に対して耐性である真菌による感染の治療および/または予防のための新規方法にも関する。この方法は、安全かつ効果的である。これは、抗真菌薬に対する感受性が低下した、または抗真菌薬に対して耐性である真菌、特に、カンジダ種に対して向けられているIgYを使用することによって達成される。この特異的IgYは、このような真菌に対する免疫グロブリン(IgY)の産生を刺激するために、抗原として1種または数種の真菌を用いてトリを過免疫することによって得られた。本発明は、免疫グロブリンまたはその断片を含有するトリ卵から得られる医薬製品にも関し、これは、新生児における消化管感染の予防または治療において同時、別個または逐次使用するために、他の製剤、栄養物質または医薬品と組み合わせてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物、特に、すべての種類の真菌感染、例えば、カンジダ(Candida)属またはアスペルギルス(Aspergillus)属に属する生物、特に、抗真菌剤に対して感受性が低い真菌によって引き起こされる状態の予防および/または治療のための医薬品の調製のための組成物の使用に関する。真菌の少なくとも2種の異なる種の組合せを用いたトリの免疫化も想定される。
【0002】
本発明は、これらの種類の疾患の問題を抱える任意のヒトにおいて、すべての種類の真菌感染−例えば、カンジダ種、アスペルギルス種など−を予防または治療する方法およびIgY抗体を使用する診断法にも関する。さらに、本発明は、真菌の診断法にも関する。
【背景技術】
【0003】
真菌感染は、再発性、重度、一部の患者、例えば、APS1の患者、副腎皮質ステロイドまたは免疫抑制剤で治療されている患者、新生児および/または未成熟な免疫系を有する早産幼児、一過性免疫不全ならびに先天性免疫不全およびAIDSなどの免疫不全症を患っている患者、免疫系が衰えている高齢の患者、抗生物質で治療されている患者などにとっては、生命を脅かすものであり得るであろう。有効な免疫系は、感染と戦うための最も重要なものである。新生児では、免疫グロブリンの産生は極めて未熟である。新生児は、もっぱら、胎盤を介して母親から輸送された免疫グロブリンに頼らなければならず、妊娠32週より前に輸送される免疫グロブリンはない。癌およびAIDSの患者ならびに免疫抑制剤で治療されている患者では、免疫系は、ひどく損傷を受けている。真菌感染は、抗生物質で治療されている患者ではよくあるが、これは、それらの通常の細菌叢−消化管内、気道内、および膣内−が乱され、それによって、その細菌および真菌に対する天然の障壁が損傷を受けるからである。抗生物質の使用が、この天然の障壁を変化させ、これは、真菌が上皮膜に自由に接近することを意味する。これらのすでに損傷を受けた上皮における真菌感染は、抗真菌薬を用いて治療することが極めて困難である。
【0004】
今日、存在する真菌感染の唯一の治療は、抗真菌薬を使用することである。抗真菌薬での治療は、多数の欠点を有する。最も気がかりなことは、いくつかの真菌が、これらの薬物に対して極めて迅速に耐性になることである。したがって、抗真菌薬の反復使用は、望ましくない。抗真菌薬は、極めて頻繁に免疫抑制薬と併用され、その場合しばしば、特に腎臓および骨髄に対して、極めて毒性である。新生児は、年上の子どもや成人よりも、これらの毒性作用に対して感受性が高い。
【0005】
任意の感染に対するヒトによる自然な応答は、IgGクラス−全身性感染に対するもの−および分泌型IgA−口腔、消化管、呼吸樹および尿生殖路内のものを含めた、粘膜の感染に対するもの−抗体の産生である。免疫系が十分な量の抗体または特定の種類の抗体を産生できない場合は、これらの患者の治療および予防において免疫グロブリンの外来供給源を使用できることが、魅力的な代替手段である。
【0006】
バルクポリクローナル抗体の従来の外来供給源は、主に、哺乳動物を特定の微生物で免疫化した後の動物の血清に由来するものであった。IgG抗体の生産には、多数の動物が必要であり、それらを免疫化し、繰り返し、出血させなければならない。ポリクローナル抗体は、それ自体、抗原性である。このため、それらはそれ自体に対する抗IgG抗体の産生を誘導し、それによって、それらの活性が失われるであろう。したがって、それらは、ヒトにおける長期の適用には適していない。
【0007】
本特許の新しい着想は、ポリクローナル抗体を、免疫化した雌鳥から得ることである。雌鳥由来の免疫グロブリン(IgY)は、哺乳動物IgGを上回るいくつかの利点を有する。そして、IgGの使用に対する倫理上および動物保護上の反対もある。経口投与されるIgYは、いかなる抗IgY抗体の産生も誘導しない。したがって、IgYは、長期間使用された後でさえも活性が低下しない。
【0008】
再発性、重度、かつ生命を脅かすものでさえある真菌感染にかかりやすい患者における、そのような感染を治療および予防するための先行技術の方法に伴う欠点を考慮して、そのような感染の新規かつ改善された治療法および予防法が必要である。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物、特に、すべての種類の真菌感染、例えば、カンジダ属またはアスペルギルス属に属する生物、特に、抗真菌剤に対して感受性が低い真菌によって引き起こされる状態の予防および/または治療のための医薬品の調製のための組成物と、上記IgY抗体を使用する診断法とに関する。真菌の少なくとも2種の異なる種の組合せを用いるトリの免疫化も想定される。さらに、本発明は、真菌の診断法にも関する。
【0010】
本発明は特に、安全かつ効果的である、そのような真菌感染の新規の治療法および予防法に関する。これは、2種以上の真菌−特に、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)−に対して向けられているIgYを用いることによって達成される。上記IgYは、これらの真菌に対する免疫グロブリン(IgY)の産生を刺激するために、それらの真菌を用いて過免疫されたトリの卵黄から得られたものである。
【0011】
前記患者を治療するための従来法は、抗真菌薬を使用することによるものであった。この方法にはいくつかの不利な点がある。IgYについての本出願者らの集中的研究は、2種以上の真菌に対して産生された、雌鳥由来のIgYを含む組成物から、耐性真菌を発生させる危険を何ら伴わない、真菌感染の危険の高い患者において真菌感染を処置するために極めて効果的なトリIgYが得られるという驚くべき発見に本出願者らを導いた。上記真菌に対するIgYは、抗真菌薬に対する感受性の低い真菌およびさらに抗真菌薬に対して耐性である真菌に対しても防御することがインビトロ試験によって示されている。これまでに、この可能性を検討したものはなかった。
【0012】
本発明は、免疫グロブリンまたはその画分を含有するトリ卵から得られる医薬製品にも関し、これは、真菌感染の予防または治療において同時、別個または逐次使用するために、他の製剤または医薬品と組み合わせてもよい。
【0013】
本発明はさらに、任意の他の栄養物質、例えば、ヒト母乳またはその代用品を含むIgY医薬製品に関する。本発明は、IgYの、任意の栄養物質との併用投与を含む予防法または治療法にも関する。
【0014】
本発明はさらに、緩衝剤を含むIgY医薬製品に関する。本発明は、IgYの、このような緩衝剤との併用投与を含む予防法または治療法にも関する。
【0015】
本発明は、再発性、重度、かつ生命を脅かすものでさえある真菌感染にかかりやすい患者におけるすべての種類の真菌感染の予防または治療に関する。上記感染は、真菌によって引き起こされるいかなる感染でもよく、最も革新的なことに、抗真菌薬に対して感受性の低い、または耐性である真菌によって引き起こされるいかなる感染でもよく、カンジダ種によって引き起こされる感染が好ましい。
【0016】
本発明を、以下の通りの図によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)およびカンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosi)に対する活性についてのインビトロELISA試験において得られた、カンジダ・アルビカンスに対する抗体の希釈率に対する吸光度のグラフを示す図である。
【図2】カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスに対する活性についてのインビトロELISA試験において得られた、カンジダ・グラブラタに対する抗体の希釈率に対する吸光度のグラフを示す図である。
【図3】カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスに対する活性についてのインビトロELISA試験において得られた、カンジダ・クルセイに対する抗体の希釈率に対する吸光度のグラフを示す図である。
【図4】カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスに対する活性についてのインビトロELISA試験において得られた、カンジダ・パラプシロシスに対する抗体の希釈率に対する吸光度のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス(Candida dubliniensis)、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ(Candida lusitaniae)、カンジダ・ミレリ(Candida milleri)、カンジダ・オレオフィラ(Candida oleophila)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)およびカンジダ・ウティリス(Candida utilis)ならびにアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)群、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・ウスツス(Aspergillus ustus)およびアスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)から選択される少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物に関する。
【0019】
2種以上のカンジダ属または他の真菌に対してワクチン接種された雌鳥など、トリに由来する抗カンジダ属IgYは、これらの真菌が、抗真菌薬に対する感受性が低い、または耐性である場合であってさえ、このような真菌からの感染を防ぐ、かつ/または治癒させる予想外に良好な効力を有するという発見に基づいている。
【0020】
IgYは、哺乳動物IgGに相当する、ニワトリ抗体などのトリ抗体である。IgYは、2本の軽鎖および2本の重鎖からなり、約180000Daの分子量を有する。IgYは、雌鳥から卵および卵黄に能動的に輸送され、したがって、それらは高濃度のIgYを含有する。
【0021】
IgYは、キジ目および非キジ目のトリなど、いかなるトリに由来するものでもよい。キジ目の例として、シチメンチョウ、ライチョウ、ニワトリ、ウズラおよびキジが挙げられる。非キジ目は、アヒルであり得る。
【0022】
1個の卵の卵黄は、約100〜200mgのIgY抗体を含有する。ほとんどのヒトは、1日当たり1/2〜1と1/2個の卵を定期的に摂取し、卵由来のタンパク質(例えば、卵由来の免疫グロブリン(IgY))に対する耐性を得ている。IgYで経口治療された場合、これらの患者はいかなるアレルギー反応も起こさない。したがって、これらの患者をIgYで経口治療する場合にはアレルギー反応の危険がない。しかし、既知の卵アレルギーを有する患者は、IgYで治療するべきではない。2mg程度の用量のIgYは、所望の予防または治癒効果を達成するのにおそらく十分であろう。
【0023】
微生物を用いて免疫化された雌鳥は、その微生物に対して特異的なポリクローナル抗体を産生することによって応答する。これらの抗体は、卵黄から精製できる。細菌、ウイルスおよび真菌感染をIgYで防げることがいくつかのインビトロ研究によって示されている。動物における細菌、ウイルスおよび真菌感染を治療するのに、特異的IgYの経口投与が首尾よく使用されることも多くの研究が示している。しかし、特異的IgYが、抗真菌薬に対して耐性である真菌に対しても有効であり得ることは誰も示していない。
【0024】
IgYは、普通の食事成分であり、卵に対する既知アレルギーを有する患者を除いて、患者において毒性反応の危険はない。
【0025】
哺乳動物ポリクローナル抗体と比較して、IgYは、抗原上の哺乳動物抗体が反応する、エピトープとは異なるエピトープと反応する。このことは、哺乳動物抗体とは異なる抗体レパートリーを利用できるようにする。上記特異的抗体の作用様式は、所与の時点で存在する生物数と関係している。各微生物に結合している抗体実体と、存在する微生物の数との間に直接的な分子的相関があることが理解されよう。用量レベルは、罹患組織の総表面積および「ウォッシュアウト」速度に影響を及ぼす生物学的パラメータとも関係する。
【0026】
卵免疫グロブリンは、トリIgYとして分類され、これは哺乳動物の分泌型IgAに類似している。したがって、天然の粘液上皮環境の一部である。
【0027】
本発明の目的の1つは、真菌感染の予防または治療において使用するための、免疫グロブリンまたはその画分を含む、トリの卵由来の医薬組成物を提供することである。
【0028】
上述のように、真菌感染は、腸細菌叢の正常なバランスを乱す、抗生物質に対する長期の曝露を含めた、多数の要因に起因し得る。上記調製物は、細菌叢の正常なバランスを再確定するよう設計する。本発明による製剤は、抗真菌薬処置の代替物または追加物として使用できる。
【0029】
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも2種の異なる真菌に対する免疫グロブリンY(IgY)抗体を含む組成物を含む。真菌は、カンジダ属およびアスペルギルス属から選択され得る。
【0030】
一実施形態によれば、組成物は、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種の異なる真菌に対するIgY抗体を含み得る。
【0031】
適したカンジダ属由来の種は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスである。一実施形態によれば、組成物は、上述のカンジダ種のうち少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種に対するIgY抗体を含み得る。組成物は、カンジダ属種、例えば、上述のカンジダ種のうちの2〜12種、2〜11種、2〜10種、2〜9種、2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、2〜4種および2〜3種を含み得る。したがって、組成物は、上述のカンジダ種のうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11および12種に対するIgY抗体を含み得る。
【0032】
適したアスペルギルス属由来の種は、アスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルなど、アスペルギルス症を引き起こす種である。一実施形態によれば、組成物は、上述のアスペルギルス種のうち少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種に対するIgY抗体を含み得る。組成物は、アスペルギルス属種、例えば、上述のアスペルギルス種のうちの2〜10種、2〜9種、2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、2〜4種および2〜3種を含み得る。したがって、組成物は、上述のアスペルギルス種のうちの2、3、4、5、6、7、8、9および10種に対するIgY抗体を含み得る。
【0033】
一実施形態によれば、組成物は、上述のアスペルギルス種およびカンジダ種のうち少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種に対するIgY抗体を含み得る。組成物は、カンジダ属種およびアスペルギルス属種、例えば、上述のカンジダ種およびアスペルギルス種のうちの2〜22種、2〜21種、2〜20種、2〜19種、2〜18種、2〜17種、2〜16種、2〜15種、2〜14種、2〜13種、2〜12種、2〜11種、2〜10種、2〜9種、2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、2〜4種および2〜3種を含み得る。したがって、組成物は、上述のアスペルギルス種のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9および10種に対するIgY抗体と共に、上述のカンジダ種のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11および12種に対するIgY抗体を含み得る。
【0034】
本発明の一態様によれば、これらの種のうち1種は、カンジダ・アルビカンスである。
【0035】
本発明の別の態様によれば、上記少なくとも2種が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスから選択される。したがって、組成物は、これらのカンジダ種のうちの2種、3種およびすべてを含み得る。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、組成物は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスのうちの2〜4種など、少なくとも2種を、上述のカンジダ種および上述のアスペルギルス種のうち他の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17および18種、例えば、上述のカンジダ種のうちの1、2、3、4、5、6、7、8種および/または上述のアスペルギルス種のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種と共に含む。
【0037】
本発明による抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体、抗イディオタイプ(抗Id)、ヒト化抗体および可溶型または結合型で標識され得る抗体に対する抗体ならびにそれらの断片、例えば、抗原と結合し得る、完全抗体のFc断片を欠失しているFab断片およびF(ab’)2断片などであり得る。
【0038】
用語「免疫グロブリン」または「免疫グロブリンの断片」とは、特定の微生物またはその断片と結合でき、それを非病原性にできる、抗体または抗体断片または抗体前駆体を意味する。
【0039】
ポリクローナルIgY抗体は、例えば、米国特許第5,367,054号明細書および以下の実施例1に記載されるように、対象とする真菌抗原を用いて、雌鳥を免疫化することによって生産できる。
【0040】
表現「モノクローナル抗体」は、当技術分野において承認されている技術用語である。本発明のIgYモノクローナル抗体は、従来のクローニングおよび細胞融合技術を用いて調製できる。通常、対象とする免疫原(抗原)、例えば、対象とするカンジダ種真菌の懸濁液を、雌鳥に投与して(例えば、腹膜内注射)、免疫応答を誘導する。雌鳥は、例えば、3回または4回追加免疫してもよく、KohlerおよびMilstein(Nature256:495-497 (1975))ならびにHarlowおよびLane(「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1988)の周知の工程を用いて、胸腺、ファブリキウス嚢、リンパ結節、骨髄または脾臓などのリンパ器官から得たリンパ系細胞、例えば、脾細胞を抽出し、骨髄腫細胞と融合する。次いで、得られたハイブリッド細胞を、従来法、例えば、限界希釈を用いてクローニングし、その結果得られる所望のIgYモノクローナル抗体を産生するクローンを培養する。
【0041】
ヒト化抗体は、マウス抗体など、ヒトとは異種起源である抗体を、H鎖およびL鎖CDR(相補性決定領域)以外のその一次構造を、ヒト抗体の対応する一次構造と置換するよう修飾することによって得られる抗体である。それらを製造する方法および参考文献は、例えば、米国特許第6,645,734号明細書に記載されている。
【0042】
本発明の組成物は、有害でなく、かつ本IgY抗体がそれに対するものではない、医薬上許容される担体、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、増量剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、抗菌薬、抗真菌薬、滑沢剤および調剤物質(dispensing agent)、栄養物質、例えば、ヒト母乳またはその代用品、機能性食品、プロバイオティクスおよび細菌をさらに含み得る。
【0043】
上記免疫グロブリンを経口経路によって投与する場合には、低pH値での不活化を防ぐために緩衝剤を含むことが好ましく、所望により、栄養補完物の形で投与され得る。
【0044】
IgY抗体は、それらを、経口免疫療法にとってIgGを上回って有利にする生化学的特性を有する。すなわち、それらは、ヒト補体系を活性化せず、リウマチ因子、ヒト抗マウスIgG抗体(HAMA)またはヒトFc受容体と反応しない。それらは、すべて周知の細胞活性化因子および炎症媒介因子である。
【0045】
本発明の基本的実施形態によれば、本発明によるIgYを、任意の医薬上許容される担体または希釈剤と混合することによって、医薬組成物または医薬が得られる。IgYを含有する薬物は、フリーズドライ散剤または凍結乾燥散剤、溶液、薬用ドロップ、錠剤、カプセル剤、軟膏、クリーム、膣座薬または座薬として製剤してもよい。
【0046】
プロバイオティクスは、摂取時に、腸細菌叢のバランスを改善することによって宿主に有益に影響を及ぼし得る、ラクトバチルス属(Lactobacillus)種、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種および酵母をはじめとする生存微生物として定義される。
【0047】
ビフィドバクテリウム属は、乳酸菌(LAB)としても分類される。プロバイオティクスとして使用されるビフィドバクテリウム属には、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィヅム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)およびビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)が含まれる。プロバイオティクスとして使用されるビフィドバクテリウム属の特定の株には、ビフィドバクテリウム・ブレベ株ヤクルト(Yakult)、ビフィドバクテリウム・ブレベRO7O、ビフィドバクテリウム・ラクティスBb12、ビフィドバクテリウム・ロングムRO23、ビフィドバクテリウム・ビフィヅムRO71、ビフィドバクテリウム・インファンティスRO33、ビフィドバクテリウム・ロングムBB536およびビフィドバクテリウム・ロングムSBT−2928が含まれる。
【0048】
ラクトバチルス属も、乳酸菌(LAB)として分類される。プロバイオティクスとして使用されるラクトバチルス属には、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・セロビオスス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバチルス・クリスパトゥス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・クルバトゥス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・フェルメントゥム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・GG(Lactobacillus GG)(ラクトバチルス・ラムノスス(Lactobacillus rhamnosus)またはラクトバチルス・カセイ亜種(ラムノスス))、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)およびラクトバチルス・サリバルス(Lactobacillus salivarus)が含まれる。ラクトバチルス・プランタルム299v株は、パン種を起源とする。ラクトバチルス・プランタルム自体は、ヒト起源のものである。ラクトバチルス属の他のプロバイオティクス株は、ラクトバチルス・アシドフィルスBG2FO4、ラクトバチルス・アシドフィルスINT−9、ラクトバチルス・プランタルムST31、ラクトバチルス・レウテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ジョンソニイLA1、ラクトバチルス・アシドフィルスNCFB 1748、ラクトバチルス・カセイ・シロタ(Shirota)、ラクトバチルス・アシドフィルスNCFM、ラクトバチルス・アシドフィルスDDS−1、ラクトバチルス・デルブルエキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種デルブルエキイ、ラクトバチルス・デルブルエキイ亜種ブルガリクス(bulgaricus)株2038、ラクトバチルス・アシドフィルスSBT−2062、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)UCC 118およびラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)亜種パラカセイ F19である。
【0049】
ラクトコッカス属(Lactococci)は、グラム陽性通性嫌気性菌である。それらも、乳酸菌(LAB)として分類される。ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)(以前はストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)として知られる)は、乳製品中に見い出され、乳の酸性化の原因であることがよくある。プロバイオティクスとして使用されるか、プロバイオティクスとして開発されているラクトコッカス属には、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(cremoris)(ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris))、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスNCDO 712、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスNIAI 527、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスNIAI 1061、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス次亜種ジアセチラクティス(diacetylactis)NIAI 8 Wおよびラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス次亜種ジアセチラクティスATCC 13675が含まれる。
【0050】
サッカロミセス属(Saccharomyces)は、酵母科に属する。主要なプロバイオティクス酵母は、サッカロミセス・ボウラディイ(Saccharomyces boulardii)である。サッカロミセス・ボウラディイは、サッカロミセス・セレビシアェ・ハンセン(Saccharomyces cerevisiae Hansen)CBS 5296およびサッカロミセス・ボウラディイ(S.boulardii)としても知られている。サッカロミセス・ボウラディイは、普通は、非病原性酵母である。サッカロミセス・ボウラディイは、抗生物質使用と関連する下痢を処置するために使用されてきた。
【0051】
ラクトコッカス属は、グラム陽性通性嫌気性菌である。それらも、乳酸菌(LAB)として分類される。ラクトコッカス・ラクティス(以前はストレプトコッカス・ラクティスとして知られる)は、乳製品中に見い出され、乳の酸性化の原因であることがよくある。プロバイオティクスとして使用されるか、プロバイオティクスとして開発されているラクトコッカス属には、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(ストレプトコッカス・クレモリス)、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスNCDO 712、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスNIAI 527、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティスNIAI 1061、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス次亜種ジアセチラクティス NIAI 8 Wおよびラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス次亜種ジアセチラクティスATCC 13675が含まれる。
【0052】
サッカロミセス属は、酵母科に属する。主要なプロバイオティクス酵母は、サッカロミセス・ボウラディイである。サッカロミセス・ボウラディイは、サッカロミセス・セレビシアェ・ハンセン CBS 5296およびサッカロミセス・ボウラディイ(S.boulardii)としても知られている。サッカロミセス・ボウラディイは、普通は、非病原性酵母である。サッカロミセス・ボウラディイは、抗生物質使用と関連する下痢を処置するために使用されてきた。
【0053】
ストレプトコッカス・テルモフィルス(Streptococcus thermophilus)は、グラム陽性通性嫌気性菌である。これは、運動性でなく、胞子形成型でなく、かつホモ発酵型である、シトクロム陰性、オキシダーゼ陰性およびカタラーゼ陰性生物である。ストレプトコッカス・テルモフィルスは、ビリダンス(viridans)群のα−溶血性種である。それもまた、乳酸菌(LAB)として分類される。ストレプトコッカス・テルモフィルスは、乳および乳製品中に見い出される。これは、プロバイオティクスであり、ヨーグルトの製造において使用される。ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarus)亜種テルモフィルス株1131は、別のプロバイオティクス株である。
【0054】
本発明によれば、上述のプロバイオティクス細菌は有用である。一実施形態によれば、ラクトバチルス・レウテリなどのラクトバチルス属が使用される。
【0055】
本発明は、医薬品の調製のための、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスならびにアスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される真菌からの少なくとも2種に対するIgY抗体を含む組成物および組成物の使用に関する。
【0056】
さらに、本発明は、カンジダ属またはアスペルギルス属に属する生物など、真菌、特に、抗真菌剤に対して感受性が低い(すなわち、耐性である)真菌によって引き起こされる状態を予防および/または治療するための医薬品の調製のための、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリス、アスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される真菌からの少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物および組成物の使用に関する。
【0057】
さらに、本発明は、少なくとも2種の真菌に対するIgY抗体を含む組成物が、それを必要とする個体に投与される、カンジダ属に属する生物および/またはアスペルギルス属に属する生物によって引き起こされる状態を処置する方法に関する。個体は、哺乳動物、特に、ヒトであり得る。
【0058】
本発明はまた、上述のカンジダ種およびアスペルギルス種から選択される少なくとも2種の異なる種の真菌の組合せを用いて、トリを免疫化する方法に関する。トリ、真菌の種類および投与の間隔および投与の回数(intervals of figures and enumeration of figures)のすべての詳細は、本発明のすべての異なる態様に適用される。したがって、例えば、上述の真菌の種類および投与の間隔および投与の回数は、上述の異なる種類のトリの免疫化にも適用される。
【0059】
カンジダによって引き起こされる状態は、副腎および甲状腺機能不全、手足の冷感、真性糖尿病、低血糖症、甲状腺機能低下症、インポテンス、低体温などの腺および臓器における機能障害;口臭、腹部膨満、舌苔(鵞口瘡)、便秘、下痢、口内乾燥、ガス、胸やけ、消化不良、過敏性腸症候群、肥満症または/および過度の体重減少などの消化管機能障害;ざ瘡、霧視、気管支炎(再発性)、灼熱痛または刺痛、化学物質過敏症、胸痛、咳、耳痛、枯草熱、頭痛、蕁麻疹、筋肉痛、疼痛、脱力および緊張、鼻閉、緊張性頭痛、しびれ、痛みを伴う腫れ、関節硬直、息切れ、副鼻腔炎、咽喉痛などの心理的機能障害およびアレルギー性機能障害;ADD、ADHD、不安症、鬱病、失見当識、傾眠状態、疲労、非現実感、頻繁な気分変動、運動亢進、集中力の欠如、不眠症、易刺激性(irritability)、活力低下、精神錯乱、MS、神経過敏、記憶減退から選択される情動的および精神的機能障害:ざ瘡、肛門そう痒症、足白癬、頭部粃糠疹、皮膚炎、おむつ皮膚炎、皮膚乾燥、湿疹、過剰発汗、顔面皮疹、爪真菌感染、蕁麻疹、膿痂疹、いんきんたむし、ループス、乾癬、刺痛およびしびれなどの皮膚機能障害;膀胱感染(再発性)、排尿時灼熱痛、筋痙攣、膀胱炎(cystis)、子宮内膜症(月経不順または月経痛)、体液貯留(浮腫)、頻尿、インポテンス、不妊症、性感の喪失、月経不順、性交痛、PMS、前立腺炎、再発性酵母菌性膣炎、膣の灼熱感、そう痒または帯下から選択される泌尿生殖器機能障害から選択される、カンジダ属の過剰繁殖によって引き起こされる状態であり得る。
【0060】
アスペルギルス属によって引き起こされる状態は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、肺アスペルギルス症および侵襲性肺アスペルギルス症などのアスペルギルス症、ならびに気道におけるアスペルギルス属からの細菌のコロニー形成であり得る。これらの疾患の形態の例は、洞(sinus)および肺におけるコロニー形成;中毒症、洞および肺におけるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症;肺アスペルギルス症、侵襲性肺アスペルギルス症−肺アスペルギルス症1型;CNSアスペルギルス症、副鼻腔アスペルギルス症、骨髄炎、眼内炎、心内膜炎、腎腫瘍、皮膚熱傷、術後創傷、外耳道真菌症、外因性眼内炎、アレルギー性真菌副鼻腔炎および尿路真菌球である。
【0061】
本発明による医薬製品は、感染の従来処置において使用される種類の抗菌薬と組み合わせて使用しても、それを含んでもよい。
【0062】
本発明による予防または治療のためのIgYの製品および方法は、一過性免疫不全を患っている患者にも効果を発揮しており、例えば、抗カンジダ属IgYを用いて、白血病を患う免疫力の弱った患者を首尾よく治療している。前記投与は、カンジダ・アルビカンス感染によって引き起こされる口腔および咽頭カンジダ症を予防または治療するための経口適用に関する。口腔および咽頭感染を予防または治療することを目的とした前記種類の投与は、同一発明者らによる先に出願された別の出願において開示されており、本発明の主題の一部ではない。しかし、腸感染および膣などの体の他の部分における感染を避けるよう、消化管からカンジダを除去するために免疫抑制患者に抗カンジダ属IgYを投与するという初期の研究は、見込みがあると思われる。抗カンジダ属IgYは、腸感染を処置するには、緩衝剤を加えるか、新生児または早産幼児に投与する場合でなければ、本発明に従って、栄養物質と混合する必要がある。したがって、本発明は、一過性免疫不全およびAIDSなどの免疫不全症の患者の予防または治療にも関する。
【0063】
この医薬薬物は、任意の他の医薬上許容される担体または希釈剤と共に、経口投与、皮膚への局所投与、直腸内もしくは膣内投与、または吸入による投与用に投与されることが好ましい。
【0064】
「経口投与に適した製剤」とは、患者に経口投与するのに適した形態である製剤を意味する。上記製剤は、各々、所定量の有効成分を、散剤もしくは顆粒剤として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンとして含有する、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別個の単位として提供され得る。有効成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとしても提供され得る。この医薬薬物は、任意の他の医薬上許容される担体または希釈剤と共に、経口投与、皮膚への局所投与、直腸内もしくは膣内投与、または吸入による投与用に投与される。
【0065】
別の実施形態では、本発明による医薬薬物は、制御放出または持続放出製剤として製剤される。
【0066】
本発明の別の実施形態によれば、IgYは、ヒト母乳もしくはその代用品などの栄養物質中で、任意の従来の希釈剤またはレシピエント(recipient)を伴わずに投与してもよい。
【0067】
本発明者らは、実験の間に、エマルジョンとして投与される、ヒト母乳およびIgYの組合せが、IgYを保護し、その活性を保つことを見い出した。本発明者らは、これは、IgYおよび乳から形成されるエマルジョンによるものであると考えている。これは、IgYの寿命を延長する、乳の緩衝能力の効果でもあり得る。
【0068】
経鼻または吸入投与に適した製剤とは、患者に経鼻的に、または吸入によって投与するのに適した形態にある製剤を意味する。上記製剤は、例えば、1〜500ミクロンの範囲の粒径(30ミクロン、35ミクロンなど、5ミクロンの増分で、20〜500ミクロンの間の範囲の粒径)を有する、散剤の形態の担体を含み得る。例えば、点鼻スプレーまたは点鼻液として投与するための、担体が液体である適した製剤は、有効成分の水性または油性溶液を含む。エアゾール投与に適した製剤は、従来法に従って調製してよく、他の治療薬と共に送達され得る。吸入治療は、定量噴霧式吸入器によって容易に投与される。
【0069】
直腸投与に適した製剤とは、患者に経直腸的に投与するのに適した形態にある製剤を意味する。上記製剤は、坐剤の形態であることが好ましく、これは、本発明の有用な化合物を、常温では固体であるが、体温では液体であり、よって、直腸内または膣腔内で融解し、活性成分を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適した非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製できる。
【0070】
経膣投与に適した製剤とは、患者に経膣的に投与するのに適した形態にある製剤を意味する。上記製剤は、有効成分に加えて、適当であると当技術分野で公知であるような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、クレル(crels)、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供され得る。
【0071】
「局所(localまたはtopical)投与に適した製剤」とは、患者に局所的に投与するのに適した形態にある製剤を意味する。上記製剤は、一般に、当技術分野で知られている局所用軟膏、軟膏、散剤、スプレーおよび吸入薬、ゲル(水またはアルコールベース)、クリームとして提供されるか、皮膚障壁を通る化合物の制御放出を可能にする、パッチにおいて適用するためのマトリックスベースに組み込まれ得る。軟膏に製剤される場合には、有効成分は、パラフィン系または水混和性軟膏ベースのいずれかと共に使用され得る。
【0072】
別の実施形態では、本発明の医薬薬物は、制御放出または持続放出製剤として製剤される。
【0073】
本発明の別の実施形態によれば、IgYは、ヒト母乳もしくはその代用品などの栄養物質中で、任意の従来の希釈剤またはレシピエント(recipient)を伴わずに投与できる。
【0074】
投与される抗体もしくはその断片の量または投与スケジュールは、年齢、大きさ、体重、状態、投与様式、診断および処置される状態の重度に基づいて個体間で変わる。当業者ならば、投与量が開業医によって最高に最適化されること、および投与量を決定する方法が、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Science」、第16版、1980、Mack Publishing Co.、Osloら編に記載されていることを理解するであろう。抗体の適した用量を選択する手引きは、抗体の治療的使用に関する文献、例えば、「Handbook of Monoclonal Antibodies」、Ferroneら編、Noges Publications、Park Ridge, N.J. (1985) 第22章およびpp.303-357; Smithら、「Antibodies in Human Diagnosis and Therapy」、Haberら編、Raven Press、New York (1977) pp.365-389に見い出される。
【0075】
単独で使用される抗体の通常の用量は、上述の因子に応じて1日当たり約1μg(.mu.g)/体重1kg〜最大100mg/体重1kg以上の範囲であり得、1μg(.mu.g)/kg〜最大1mg/kgが好ましい。
【0076】
上述の経口または非経口使用のための医薬組成物は、医薬製剤に調製され、単位用量が有効成分の用量に適合することが有利である。このような単位用量製剤として、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)および坐剤が挙げられる。含有される抗体の量は、通常、投与量単位形態当たり約5〜約500mgであり、前述の抗体は、特に、注射剤の形態では約5〜約100mgで、また、他の形態では約10〜250mgで含有されることが好ましい。
【0077】
本発明の抗体を含む治療薬/予防薬は、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に、経口的に、または非経口的に投与できる。用量は、投与するべき被験体、標的疾患、症状、投与経路などに応じて変わり得る。非経口的に使用される場合には、上記薬剤は、普通は、約0.01〜20mg/体重1kg、好ましくは、約0.1〜10mg/体重1kg、より好ましくは、約0.1〜5mg/体重1kgの単回用量で、1日に約1〜5回、好ましくは、約1〜3回投与できる。経口投与用には、対応する用量を投与できる。症状が極めて重篤である場合には、状態に応じて用量を増大してもよい。
【0078】
24時間に適した用量は、免疫化した雌鳥またはニワトリなどの免疫化したトリから得た0.05〜10個分の卵黄のIgY含量に相当し得る。
【0079】
本発明による組成物は、組成物中のIgYの総重量に基づいて、0.1〜99重量%、例えば、0.1〜99重量%、0.1〜95重量%、0.1〜90重量%、0.1〜85重量%、0.1〜80重量%、0.1〜75重量%、0.1〜70重量%、0.1〜65重量%、0.1〜60重量%、0.1〜55重量%、0.1〜50重量%、0.1〜45重量%、0.1〜40重量%、0.1〜35重量%、0.1〜30重量%、0.1〜25重量%、0.1〜20重量%、0.1〜15重量%、0.1〜10重量%、0.1〜05重量%の上述のカンジダ種および/またはアスペルギルス種のいずれか、例えば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスを含み得る。
【0080】
本発明者らは、実験の間に、エマルジョンとして投与される、ヒト母乳およびIgYの組合せが、IgYを保護し、その活性を保つことを見い出した。本発明者らは、これは、IgYおよび乳から形成されるエマルジョンによるものであると考えている。これは、IgYの寿命を延長する、乳の緩衝能力の効果でもあり得る。
【0081】
本発明は真菌疾患の診断法であって、個体から得た血液または組織を少なくとも1種のIgY抗体を用いて試験し、結合反応がそのIgY抗体が向けられている真菌の存在を示すことを特徴とする診断法にも関する。
【0082】
本発明を、特定の開示された実施形態に関連させて記載してきたが、当業者ならば、具体的には記載されていないが、それにもかかわらず、添付の特許請求の範囲内にある、他の実施形態、変形形態または組合せを予見できる。
【0083】
本明細書に引用されるすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0084】
本明細書において使用する場合、表現「含む」とは、記載された項目を含むが、それに限定されないと理解すべきである。
【0085】
以下、本発明を、以下の、限定されない例によって説明する。
【実施例】
【0086】
[実施例1]
真菌の調製
罹患患者から単離されたカンジダ種を、真菌抗原で過免疫した家畜雌鳥から単離した卵免疫グロブリンの予防能を実証するインビトロ実験に使用した。
【0087】
真菌を、アミノ酸を補った2%グルコース、0.15%酵母窒素ベース、0.5%硫酸アンモニウム100mlを入れた500mlフラスコ中で増殖させた。フラスコを、37℃のロータリーインキュベーター内、200r.p.m.で、24時間振盪した。真菌は、患者試料中におけるカンジダコロニー形成の検出に使用されるカンジダ培養プレート上でも増殖させた。
【0088】
抗カンジダ属IgY免疫グロブリンの調製
ホルマリンで死滅させたカンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスの懸濁液を、生理食塩水で洗浄し、凍結させた。各カンジダ種を、別個の群の雌鳥の免疫化に使用した。免疫化1回当たり、雌鳥1匹当たり、10個のカンジダを使用した。白色レグホン雌鳥の免疫処置を、胸筋筋肉内で行った。免疫処置のために、0.5mLのカンジダ懸濁液を、等容量のフロイントのアジュバントと混合した。最初の免疫処置後、雌鳥に、3週間間隔で2回の追加免疫を与えた。過免疫した雌鳥から収集した卵黄を、カンジダ−IgYに特異的なELISA(酵素結合免疫吸着検定法)を使用してアッセイし、ピーク抗体力価を調べた。
【0089】
ピーク力価が達成された時点で(3回の免疫化後)、卵黄から卵白から分離することによって卵黄を収集した。水抽出法(Akita EM, Nakai S. Immunoglobulins from egg yolk: isolation and purification. J Food Scie 1992; 57: 629-634)を使用して免疫グロブリン画分を精製した。手短には、卵黄を卵白から分離し、脱イオン水を用いて1:9の割合で希釈した。4℃で少なくとも6時間保存した後、IgYを含有する上清を濾過し、20℃で凍結した。抗体は、ポリエチレングリコール法によっても精製した。手短には、1部の卵黄を、2部の、5% PEG6000を含有する0.9% NaClと混合した。抗体調製物を、4℃、2000gで30分間遠心分離した。遠心分離後、固体PEG6000を、12%の最終濃度で上清に加えた。混合物を、4℃、2000gで30分間遠心分離し、上清を除去した。抗体を含有する沈殿物を、0.9% NaClに溶解すると、タンパク質性ポリクローナル免疫グロブリンが精製された状態で残った。免疫グロブリン画分を、0.9% NaClを使用して、10mg/mlの濃度に希釈し、凍結した。この溶液を、実施例、「抗カンジダ属IgYを用いた、白血病の小児の処置」において以下に示す、抗カンジダ属IgYの予防能を評価するために使用した。
【0090】
[実施例2]
細胞接着アッセイ
粘液上皮細胞への接着が、感染における第一期である考えられている。この実施例では、上皮細胞およびシュードモナス・アエルギノサ(pseudomonas aeruginosa)(細菌の代表として)を使用して接着を評価した。
【0091】
24時間培養した新鮮な細胞を、PBS中で遠心分離することによって洗浄し、PBSに再懸濁し、シュードモナスで免疫化した雌鳥から得た卵のIgYまたは免疫化していない雌鳥から得たIgYのいずれかを100:1の割合で含有するか、IgYを全く含有しない培地と混合し、37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、培養物を45gmフィルターをとおして濾過し、接着していないいかなる細胞も除去し、PBSで洗浄し、再懸濁した。
【0092】
ステージマイクロメーターグリッドを使用して、400倍での鏡検によって接着を評価し、正確な計数を容易にした。接着は、可視的に接着しているシュードモナス・アエルギノサ細菌を有する細胞のパーセンテージとして表した。
【0093】
結果は、免疫化した雌鳥から得た免疫グロブリンで処理した細菌の場合、未処理細菌および正常卵の抽出物で処理した細菌の両方と比較して、シュードモナス・アエルギノサの上皮細胞への接着が50%超低減されたことを示した。
【0094】
上述のインビトロ実験は、シュードモナス・アエルギノサ抗原を用いて事前に過免疫された雌鳥から産み出された卵の卵黄嚢から抽出された精製免疫グロブリン画分が上皮細胞接着を阻害することを実証する。これらの実験によって、特異的卵免疫グロブリンは、上皮細胞における感染の予防または治療に使用できると結論付けることが可能になる。
【0095】
抗真菌薬に対する感受性が低下した、または抗真菌薬に対して耐性である真菌に対する活性についてのインビトロ試験
免疫化および試験に使用したカンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ種は、抗真菌薬に対して耐性であった。96ウェルマイクロタイタープレート(F96 Polysorp、Nunc、Roskilde、Denmark)を、0.1M NaHCO、pH9.5で1:1000希釈したホルマリン死滅カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシス(免疫化に使用したのと同じ株)の懸濁液を用い、室温で2時間、または4℃で一晩コーティングした。その後、0.05% Tween20(PBS−T)を含有する0.02M NaHPO、0.15M NaCl、pH7.2(PBS)を用いてウェルを3回洗浄し、1ml当たり3mgのウシ血清アルブミンを含有する0.1M NaHCO、pH9.5を1ウェル当たり125μL用いて、オービタルシェーカー上で、室温で1時間、または4℃で一晩ブロッキングした。前述の通りに洗浄した後、100μLの、PBS−Tで希釈した各抗体調製物を2複製分で加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを上述の通り再度洗浄し、PBS−Tで1:2000希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ−(HRP)ウサギ抗ニワトリ/シチメンチョウIgG(IgY)(H+L)(Zymed、San Francisco、CA、USA)100μLと共に室温で1時間インキュベートした。結合している二次抗体を、100μLの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Zymed)を用いて検出した。10分後、50μLの1.8M HSOを用いて反応を停止した。吸光度は、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)において450ナノメートルで読み取った。バックグラウンドを超えるΔA450>0.05を、実験を通じて有意と考えた。
【0096】
ELISAの結果(図1〜4)は、4種の株に対して向けられている抗体はすべて、カンジダ・グラブラタおよびカンジダ・クルセイの抗真菌薬耐性株と強い交差反応性および強い反応性を示すことを示す。
【0097】
抗真菌IgYを用いた患者の処置
真菌によって引き起こされる感染は、根絶することが極めて困難であり、全身性感染に進行した場合には危険である。
【0098】
小規模な臨床研究において、カンジダ属感染を防ぐために、抗カンジダ属IgYを用いて、4人の白血病小児を処置した。これらの患者のうち、カンジダ感染の何らかの徴候を示したものはいなかったが、4人の白血病の対照小児のうち3人がカンジダ感染の徴候を示した。
【0099】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、これは、本発明の範囲から逸脱することなく、改変および/または変更できる。
【0100】
[実施例3]
IgY抽出物のフリーズドライおよび濃縮
二重フリーズドライ
20個のフリーズドライフラスコ各々に、4mlの本発明のIgY抽出物を入れた。これらのフラスコのうち10個に、8.5mgのラクトースを加えた。残りの10個のフラスコに34mgのラクトースを加えた。これらのフラスコを、標準プロトコールに従ってフリーズドライに付した。
【0101】
乾燥させた後、2通りのラクトース濃度のうち各2個のフラスコを別扱いし、「1回フリーズドライ」とラベルした。残りのフラスコ内の生成物を、以下のスケジュールに従って蒸留水中に溶解した。ラクトースの各濃度(「高」または「低」)について、
フラスコのうち2個に、4mlの水を加え、
フラスコのうち2個に、2mlの水を加え、
フラスコのうち2個に、1mlの水を加え、
フラスコのうち2個に、0.5mlの水を加えた。
【0102】
フラスコを、加えた水の量(すなわち、それぞれ4、2、1および0.5)でラベルした。再溶解したIgYを含有する16個のフラスコを、標準プロトコールに従ってフリーズドライに付した。結果は、より緻密な粉末であった。すべての溶液を、首尾よくフリーズドライした。
【0103】
IgY抽出物の濃度およびフリーズドライ
限外濾過(Pall社製、Centrasette型カットオフ30KDa)を用いて、11mlのIgY溶液を、容積が5mlとなるまで濃縮した。次いで、溶液をバイアルに移し、別個にフリーズドライした。結果は、より緻密な粉末であった。
【0104】
大規模濃縮およびフリーズドライ
試料(約14l)を解凍した。この過程を始める前に、10mlの参照試料を別扱いした。まず、試料をディープフィルター(Sartopure PP2カプセル、0.65μm)を用いて、その後、滅菌フィルター(Sartobran P滅菌カプセル、0.65μm+0.45μm)を用いて濾過した。各濾過工程の後に、参照試料を別扱いにした。濾過後の容積は、13.2lであった。この溶液を、容積が約2.8lとなるまで限外濾過(カットオフ30kD)を用いて濃縮した。これは、4.7倍の濃縮倍率に相当する。限外濾過フロースルーおよび濃縮物の参照試料を採取した。
【0105】
濃縮後、約2.8lの濃縮IgY抽出物を用いて大規模フリーズドライを実施した。この抽出物を、カラム高約5mmのアルミニウムトレイ内で、バルクでフリーズドライした。ラクトースは加えなかった。凍結温度:−47℃;凍結時間:4時間;一次フリーズドライ:温度間隔:−45℃〜+35℃;時間:26時間;圧力190ubar。二次フリーズドライ:温度+30℃;時間:10時間;最終真空1マイクロバール(ubar)未満。最終生成物は、98gのIgY粉末であった。
【0106】
結論:IgYの濃縮およびフリーズドライのための満足のいくプロトコールを開発した。
【0107】
[実施例4]
IgYを含む薬用ドロップの調製
実施例1に従って調製したIgY粉末を篩いにかけた。篩い分け後、出発材料として使用したIgY粉末の重量は、48.24gであった。
【0108】
原材料:
IgY 本発明のもの
マンニトール FLUKA Medicago商品番号01−0295
ラクトース BDH Medicago商品番号01−0070
グリシン MERCK Medicago商品番号01−0181
ステアリン酸マグネシウム
ペパーミントオイル Apoteket(薬局)
【0109】
1錠剤当たりの量を以下に示す。
レシピ1:
IgY 926.00mg
マンニトール 866.58mg
ラクトース 433.42mg
グリシン 50.00mg
ステアリン酸マグネシウム 25.00mg
ペパーミントオイル 0.02ml
錠剤重量 2.30グラム
【0110】
20mmパンチを用いて錠剤を打ち抜く試みは、錠剤機最大能に達し、その結果、1.15gの錠剤重量が得られたために失敗した。錠剤は、この重量で打ち抜き、次いで、篩い中で再度粉砕した。この錠剤バルクを用いて新しい試みを行い、その結果、1.85gの錠剤重量が得られた。錠剤打ち抜き過程は、さらなる賦形剤を添加するために中断した。
【0111】
レシピ2
IgY 463.00mg
マンニトール 1175.24mg
ラクトース 586.83mg
グリシン 50.00mg
ステアリン酸マグネシウム 25.00mg
ペパーミントオイル 0.02ml
錠剤重量 2.30グラム
【0112】
賦形剤を、レシピ1の顆粒と混合し、レシピ2の最終濃度とした。合計65個の錠剤を打ち抜いた。重量変動は、錠剤機を手動で引いたという事実のために通常よりも幾分か大きいものであり得た。錠剤バルク塊は、重量較正には不十分であった。普通は、機械を較正するために約100個の錠剤を処理する。
【0113】
結論:IgY抽出物の濃縮によって、25mm〜20mmの錠剤直径にすることが可能となった。フィルム錠剤を得る、IgYを含有する錠剤バルク塊のレシピを開発した。作業するのにより好都合な塊を得るために、さらなる最適化が有用であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスならびにアスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物。
【請求項2】
前記少なくとも2種が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイおよびカンジダ・パラプシロシスから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも2種のうち1種が、カンジダ・アルビカンスである、請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
前記抗体が、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化ポリクローナル、ヒト化モノクローナルもしくはこれらの抗体の抗原結合断片またはそれらの混合物である、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
有害でなく、かつIgY抗体がそれに対するものではない、医薬上許容される担体、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、増量剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、抗菌薬、抗真菌薬、滑沢剤および調剤物質、栄養物質、例えば、ヒト母乳またはその代用品、機能性食品、プロバイオティクスおよび細菌をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記細菌が、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、例えば、ラクトバチルス・レウテリ、およびラクトコッカス属などの乳酸菌などのプロバイオティクス細菌である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記栄養物質が、ヒト母乳またはその代用品である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
局所処置、例えば、経膣または経口処置に適した、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
医薬品の調製のための、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスならびにアスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される、真菌からの少なくとも2種に対するIgY抗体を含む組成物。
【請求項10】
カンジダ属またはアスペルギルス属に属する生物などの、真菌、特に、抗真菌剤に対して感受性が低い真菌によって引き起こされる状態を予防および/または治療するための医薬品の調製のための、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスならびにアスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物。
【請求項11】
前記状態が、副腎および甲状腺機能不全、手足の冷感、真性糖尿病、低血糖症、甲状腺機能低下症、インポテンス、低体温などの腺および臓器における機能障害;口臭、腹部膨満、舌苔(鵞口瘡)、便秘、下痢、口内乾燥、ガス、胸やけ、消化不良、過敏性腸症候群、肥満症または/および過度の体重減少などの消化管機能障害;ざ瘡、霧視、気管支炎(再発性)、灼熱痛または刺痛、化学物質過敏症、胸痛、咳、耳痛、枯草熱、頭痛、蕁麻疹、筋肉痛、疼痛、脱力および緊張、鼻閉、緊張性頭痛、しびれ、痛みを伴う腫れ、関節硬直、息切れ、副鼻腔炎、咽喉痛などの心理的機能障害およびアレルギー性機能障害;ADD、ADHD、不安症、鬱病、失見当識、傾眠状態、疲労、非現実感、頻繁な気分変動、運動亢進、集中力の欠如、不眠症、易刺激性、活力低下、精神錯乱、MS、神経過敏、記憶減退から選択される情動的および精神的機能障害:ざ瘡、肛門そう痒症、足白癬、頭部粃糠疹、皮膚炎、おむつ皮膚炎、皮膚乾燥、湿疹、過剰発汗、顔面皮疹、爪真菌感染、蕁麻疹、膿痂疹、いんきんたむし、ループス、乾癬、刺痛およびしびれなどの皮膚機能障害;膀胱感染(再発性)、排尿時灼熱痛、筋痙攣、膀胱炎、子宮内膜症(月経不順または月経痛)、体液貯留(浮腫)、頻尿、インポテンス、不妊症、性感の喪失、月経不順、性交痛、PMS、前立腺炎、再発性酵母菌性膣炎、膣の灼熱感、そう痒または帯下から選択される泌尿生殖器機能障害から選択される、カンジダ属の過剰繁殖によって引き起こされる状態から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
アスペルギルス属によって引き起こされる状態が、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、肺アスペルギルス症および侵襲性肺アスペルギルス症などのアスペルギルス症、ならびに気道におけるアスペルギルス属からの細菌のコロニー形成である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
トリの免疫化のための、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスならびにアスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される少なくとも2種の異なる真菌の使用。
【請求項14】
カンジダ属に属する生物および/またはアスペルギルス属に属する生物によって引き起こされる状態の治療方法であって、少なくとも2種の真菌に対するIgY抗体を含む組成物を、それを必要とする個体に投与する方法。
【請求項15】
前記個体が哺乳動物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記個体がヒトである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
真菌疾患の診断法であって、個体から得た血液または組織が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・デュブリニエンシス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・グイリエルモンディイ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ルシタニアェ、カンジダ・ミレリ、カンジダ・オレオフィラ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ウティリスならびにアスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・クラバツス、アスペルギルス・グラウクス群、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・ウスツスおよびアスペルギルス・ベルシコロルから選択される少なくとも2種の異なる真菌に対するIgY抗体を含む組成物を用いて試験され、結合反応が、該IgY抗体が向けられている真菌の存在を示すことを特徴とする診断法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−536932(P2010−536932A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522370(P2010−522370)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061309
【国際公開番号】WO2009/027470
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510056227)
【Fターム(参考)】