説明

眼の感染症、耳の感染症、および皮膚の感染症の処置および予防のためのホスホマイシン/トブラマイシンの組み合わせ

眼の炎症および/または細菌感染症の処置および/または予防のための局所用ホスホマイシン−トブラマイシン組成物、耳の炎症および/または細菌感染症の処置および/または予防のための局所用ホスホマイシン−トブラマイシン組成物、および皮膚の炎症および/または細菌感染症の処置および/または予防のための局所用ホスホマイシン−トブラマイシン組成物、ならびに眼の炎症および/または細菌感染症を処置する方法、耳の炎症および/または細菌感染症を処置する方法、および皮膚の炎症および/または細菌感染症を処置する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、細菌によって引き起こされる眼の感染症、耳の感染症、および皮膚の感染症の処置および予防に適した、トブラマイシンとホスホマイシンとの、生理的に適合性のある新しい局所用組成物、ならびにその組成物を使用する方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
眼の感染症、耳の感染症、および皮膚の感染症は、ペニシリン、セファロスポリン、フルオロキノロン類、ならびにアミノグリコシド(例えば、アミカシン、ゲンタマイシンおよびトブラマイシン)が挙げられる抗生物質の様々な局所用組成物を用いて処置されてきた。
【0003】
トブラマイシンは、眼の感染症の処置および/または予防のために、単独、デキサメタゾンまたはロテプレドノール(loteprednol)との組み合わせ(それぞれTobrexTM,TobradexTMおよびZyletTM)で市販されており、そしてトブラマイシンはまた、耳の感染症の処置のために使用されてきた。トブラマイシン処置は、メチシリン(methacillin)耐性菌株を含む一般的な眼の細菌病原体および耳の細菌病原体(例えば、S.aureus、S.epidermidisが挙げられるStaphylococcus属;S.pneumoniaeが挙げられるStreptococcus属、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter aerogens、Proteus mirabilis、Morganella morganii、Haemophilus influenzae、H.aegyptius、Acinetobacter calcoaceticusおよびいくつかのNeissaria種)に対して効果的である。しかしながら、トブラマイシン処置は聴器毒性と関連し、細菌の耐性の増大がまた、観察されてきた。従って、より安全で、耐性細菌株を生じる傾向が少ないトブラマイシンの組成物を開発する必要がある。
【0004】
Baker(特許文献1、これは、本明細書中で全体が参考として援用される)は、呼吸器の細菌感染症の処置のための、エーロゾル化したホスホマイシン/トブラマイシンの組み合わせの組成物を開示する。その組み合わせについての論理的根拠は、安全で、広いスペクトルの細菌を死滅させ、かつ単剤療法(monotherapy)と比較して減少した耐性頻度を有する、呼吸器の感染症の処置のための新しいエーロゾル抗生物質療法を提供することであった。これら独特の抗生物質の組み合わせは、固定した(重量:重量)比のホスホマイシンおよびトブラマイシンを含む。その組み合わせは、呼吸器の感染症において一般に発見されるグラム陰性の細菌病原体およびグラム陽性の細菌病原体の両方に対して活性がある。この組み合わせは、臨床的な状況において、耐性の発生を遅らせるためのアプローチを提供する。なぜなら、個々の成分の抗生物質と比較して、その組み合わせは、抗生物質耐性を生じ得る自然変異頻度の発生率を低くすると考えられるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/110022号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
ホスホマイシンをトブラマイシンと組み合わせると、細菌によるトブラマイシンの取り込みを増強することによって、その細菌に対してトブラマイシンの活性が独特に増加することが、ここで発見された。結果として、感染症の処置のためのトブラマイシンの必要用量は、これらの組み合わせにおいて減少し、トブラマイシンの使用に関連してきた聴器毒性の可能性を回避する。さらに、これらの組み合わせが原因であるトブラマイシンの増強した取り込みは、細菌の急速な死滅を生じさせ、細菌耐性の発生を小さくする。従って、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせには、既に理解されているその肺への適用を越えた使用法がここで見出される。
【0007】
本発明は、眼の細菌感染症、耳の細菌感染症および皮膚の細菌感染症を処置する方法を提供し、この方法は、これを必要とする被験者に対して、治療に有効な量の生理的に適合性のある局所用組成物を投与することにより、その組成物は、ホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩とトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との組み合わせを含む。
【0008】
別の局面において、本発明は、生理的に適合性のある局所用組成物を提供し、その組成物は、ホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩とトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との組み合わせを含み、細菌によって引き起こされる眼の感染症、耳の感染症、または皮膚の感染症の処置に適している。
【0009】
別の局面において、本発明は、眼の細菌感染症および炎症、耳の細菌感染症および炎症、または皮膚の細菌感染症および炎症を処置する方法を提供し、この方法は、これを必要とする被験体に対して、治療に有効な量の生理的に適合性のある局所用組成物を投与することにより、その組成物は、ホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩とトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との組み合わせ、および抗炎症剤を含む。
【0010】
別の局面において、本発明は、生理的に適合性のある局所用組成物を提供し、その組成物は、ホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩とトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との組み合わせ、および抗炎症剤を含み、この組成物は、細菌によって引き起こされる眼の炎症および感染症、耳の炎症および感染症、皮膚の炎症および感染症の処置に適している。
【0011】
別の局面において、本発明は、眼の細菌感染症および炎症、耳の細菌感染症および炎症、または皮膚の細菌感染症および炎症を処置する方法を提供し、この方法は、これを必要とする被験体に対して、治療に有効な量の生理的に適合性のある局所組成物を投与することにより、その組成物は、ホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩とトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との組み合わせ、およびコルチコステロイドを含む。
【0012】
別の局面においては、本発明は、生理的に適合性のある局所用組成物を提供し、その組成物は、ホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩とトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との組み合わせ、およびコルチコステロイドを含み、この組成物は、細菌によって引き起こされる眼の炎症および感染症、耳の炎症および感染症、または皮膚の炎症および感染症の処置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】FT4:1は、P.aeruginosaの濃度依存的な死滅を示した。「FT4:1」は、4:1の比(重量:重量基準)のホスホマイシンおよびトブラマイシンを含む。
【図2】トブラマイシンは、P.aeruginosaの濃度依存的な死滅を示した。
【図3】ホスホマイシンは、P.aeruginosaの時間依存的な死滅を示した。
【図4】FT4:1は、ホスホマイシンおよびトブラマイシンと比較して増強したP.aeruginosa死滅を示した。
【図5】FT4:1は、タンパク質合成の急速な抑制を示した。
【図6】FT4:1は、細胞壁合成の緩やかな抑制を示した。
【図7】ホスホマイシンは、用量依存的な様式でトブラマイシンの取り込みを増加させる。
【図8】FT4:1は、臨床分離菌であるCF P.aeruginosa(COR−273)に対して、ホスホマイシンおよびトブラマイシンと比較して増強した死滅を示した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で記載される実施形態は、本発明のある局面を表し、限定することは意図されない。さらなる目的、局面、および実施形態は、当業者にとっては明らかであり、本発明により包含されることが意図される。
【0015】
一つの局面において、本発明は、眼の感受性細菌感染症、耳の感受性細菌感染症または耳の感受性細菌感染症の処置のための生理的に適合性のある局所用組成物を含み、その組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ここで、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンである。この局面の一つの実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、
約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである。この局面の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。この局面の別の好ましい実施形態において、ホスホマイシンとトブラマイシンとの単回用量の組み合わせは、上記組成物の約0.1%〜約0.5%を構成し、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。別の好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む。特に好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.15mgよりも少ないトブラマイシンを含む。別の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンであり、上記の単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む。この局面の別の実施形態において、上記処置は、眼の感受性細菌感染症についてである。この局面の別の実施形態において、上記処置は、耳の感受性細菌感染症についてである。この局面の別の実施形態において、上記処置は、皮膚の感受性細菌感染症についてである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、水溶液または生理食塩水である。この局面の別の実施形態において、上記組成物はゲルである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は軟膏である。この局面の別の実施形態において、上記組成物はクリームである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は懸濁物である。この局面の別の実施形態において、上記組成物はローションである。この局面の別の実施形態において、上記組成物はエマルジョンである。
【0016】
別の局面において、本発明は、眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症の処置のための生理的に適合性のある局所用組成物を含み、その組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ここで、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンであり、その組成物は、約0.001重量%〜約2重量%の少なくとも1つの抗炎症剤をさらに含む。この局面の一つの実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである。この局面の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。この局面の別の好ましい実施形態おいて、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせの単回用量は、上記組成物の約0.1%〜約0.5%を構成し、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。別の好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む。特に好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.15mgよりも少ないトブラマイシンを含む。別の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンであり、上記の単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む。この局面の一つの実施形態において、上記抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤である。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、少なくとも1つのコルチコステロイドである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、ジクロフェナクまたはケトロラクである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンリン酸ナトリウム(dexamethasone sodium phosphonate)である。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、フルオロメトロンまたは酢酸フルオロメトロンである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、ロテプレドノール(loteprednol)またはエタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)である。この局面の別の実施形態において、上記処置は、眼の感受性細菌感染症および炎症についてである。この局面の別の実施形態において、上記処置は、耳の感受性細菌感染症および炎症についてである。この局面の別の実施形態において、上記処置は、皮膚の感受性細菌感染症および炎症についてである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、水溶液または生理食塩水である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、ゲルである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、軟膏である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、クリームである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、懸濁物である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、ローションである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、エマルジョンである。
【0017】
別の局面において、本発明は、眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症の処置のための生理的に適合性のある局所用組成物を含み、この組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ここで、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンであり、その組成物は、0.001重量%〜約2重量%の少なくとも1つのコルチコステロイドをさらに含む。この局面の一つの実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである。この局面の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。この局面の別の好ましい実施形態において、ホスホマイシンとトブラマイシンとの単回用量の組み合わせは、上記組成物の約0.1%〜約0.5%を構成し、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。別の好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む。特に好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.15mgよりも少ないトブラマイシンを含む。別の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンであり、上記の単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、ホスホマイシンとトブラマイシンの組み合わせを含む。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンリン酸ナトリウムである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルオロメトロンまたは酢酸フルオロメトロンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ロテプレドノール(loteprednol)またはエタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、プレドニゾロンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、トリアムシノロンまたはトリアムシノロンアセトニドである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ベタメタゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベクロメタゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルオシノロンまたはフルオシノロンアセトニドである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルニソリドである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルオコルチン−21−ブチレート(fluocortin−21−butylate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルメタゾンまたはフルメタゾンピバレート(flumetasone pivalate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ブデソニド(budesonide)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol propionate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、モメタゾンフロエート(mometasone furoate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、シクレソニド(ciclesonide)である。この局面の好ましい実施形態において、上記コルチコステロイドは、約0.1重量%のデキサメタゾンまたはデキサメタゾンリン酸ナトリウムである。この局面の別の好ましい実施形態において、上記コルチコステロイドは、約0.1重量%の酢酸フルオロメトロンである。この局面の別の好ましい実施形態において、上記コルチコステロイドは、約0.5重量%のエタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、それぞれ約0.001重量%から約2重量%の少なくとも2つのコルチコステロイドをさらに含む。この局面の別の実施形態において、上記処置は、眼の感受性細菌感染症および炎症についてである。この局面の別の実施形態において、上記処置は、耳の感受性細菌感染症および炎症についてである。この局面の別の実施形態において、上記処置は、皮膚の感受性細菌感染症および炎症についてである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、水溶液または生理食塩水である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、ゲルである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、軟膏である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、クリームである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、懸濁物である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、ローションである。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、エマルジョンである。
【0018】
本発明の上記組成物は、眼(eye)(ophthalmic)の感受性細菌感染症、耳(ear)(otological)の感受性細菌感染症、および皮膚(skin)(dermatological)の感受性細菌感染症の処置のために意図される。炎症はこれら細菌感染症にしばしば関連し、この場合において、上記組成物は、さらなる抗炎症剤(例えば非ステロイド性抗炎症剤、または1つもしくはそれ以上のコルチコステロイド)を含み得る。感受性細菌感染症の限定しない例としては、メチシリン(methacillin)耐性菌株を含む、S.aureus、S.epidermidisが挙げられるStaphylococcus属;S.pneumoniaeが挙げられるStreptococcus属、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter aerogens、Proteus mirabilis、Morganella morganii、Haemophilus influenzae、H.aegyptius、Acinetobacter calcoaceticus およびいくつかのNeissaria種によって引き起こされる感染症が挙げられる。
【0019】
炎症の処置するために使用され得るコルチコステロイドの限定しない例としては、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール(loteprednol)、エタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン−21−ブチレート(fluocortin−21−butylate)、フルメタゾン、フルメタゾンピバレート(flumetasone pivalate)、ブデソニド(budesonide)、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol propionate)、モメタゾンフロエート(mometasone furoate)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、シクレソニド(ciclesonide);およびそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。典型的には、本発明のコルチコステロイドは、存在する場合には、上記組成物の約0.001重量%から約2重量%を構成し;より典型的には、上記組成物の約0.1重量%から約1重量%を構成する。
【0020】
コルチコステロイド単独が、眼の局所的炎症、耳の局所的炎症、および皮膚の局所的炎症を処置するためにしばしば使用される。しかしながら、コルチコステロイドは、細菌感染症への感受性の増強を導き得る免疫抑制を生じる。従って、本発明のホスホマイシン−トブラマイシンの組成物は、コルチコステロイドが投与された場合に(すなわち、コルチコステロイドで現在処置されている患者において)、感受性細菌感染症の予防のために有用である。本発明を用いて処置可能な耳の状態の限定しない例は、合併症を含む外耳炎(例えば、外耳道狭窄、鼓膜穿孔、耳介蜂巣炎および壊死性外耳炎);鼓膜穿孔を伴う中耳炎、中耳腔換気用チューブ(typanostomy tube)および慢性的化膿性中耳炎と関連する特定の鼓膜穿孔を伴う中耳炎;ならびに外耳の感染症または鼓膜穿孔と関連する耳の他の状態である。
【0021】
本発明を用いて処置可能な眼の状態の限定しない例は、細菌性結膜炎および細菌性角膜炎である。
【0022】
本発明を用いて処置可能な皮膚の状態の限定しない例は、膿痂疹、毛包炎、せつ症およびカルブンケル症である。本発明はまた、細菌感染症を予防するために、皮膚の創傷、皮膚の切り傷、皮膚の昆虫による咬傷・刺傷、および皮膚の擦過傷に適用され得る。
【0023】
本発明はまた、皮膚、眼または耳に、創傷、切り傷および擦過傷がある場合、感受性細菌感染症を予防するために有用である。本発明の予防特性は、院内感染症を予防するために手術後に、および土の上で作業している状態または運動場で怪我が起こる場合に、特に有用である。
【0024】
別の局面において、本発明は、眼の感受性細菌感染症、耳の感受性細菌感染症、または皮膚の感受性細菌感染症を処置する方法を含み、この方法は、これを必要とする被験体に対して、治療に有効な量の生理的に適合性のある局所用組成物を投与することにより、その組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ここで、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンである。この局面の一つの実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである。この局面の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。この局面の別の好ましい実施形態において、ホスホマイシンとトブラマイシンとの単回用量の組み合わせは、上記組成物の約0.1%〜約0.5%を構成し、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。別の好ましい実施形態において、単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む。特に好ましい実施形態において、単回用量の組み合わせは、約0.15mgよりも少ないトブラマイシンを含む。別の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンであり、単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む。この局面の別の実施形態において、上記感受性細菌感染症は、眼の感染症である。この局面の別の実施形態において、上記感受性細菌感染症は、耳の感染症である。この局面の別の実施形態において、上記感受性細菌感染症は、皮膚の感染症である。
【0025】
別の局面において、本発明は、眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症を処置する方法を含み、この方法は、これを必要とする被験体に対して、治療に有効な量の生理的に適合性のある局所用組成物を投与することにより、その組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ここで、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンであり、その組成物は、約0.001重量%から約2重量%の少なくとも1つの抗炎症剤をさらに含む。この局面の一つの実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである。この局面の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。この局面の別の好ましい実施形態において、ホスホマイシンとトブラマイシンとの単回用量の組み合わせは、上記組成物の約0.1%から約0.5%を構成し、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。別の好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む。特に好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.15mgよりも少ないトブラマイシンを含む。別の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンであり、上記の単回用量の組み合わせは、0.75mgよりも少ない、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む。この局面の一つの実施形態において、上記抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤である。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、コルチコステロイドである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、ジクロフェナクまたはケトロラクである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンリン酸ナトリウムである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、フルオロメトロンまたは酢酸フルオロメトロンである。この局面の別の実施形態において、上記抗炎症剤は、ロテプレドノール(loteprednol)またはエタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)である。この局面の別の実施形態において、上記感受性細菌感染症は、眼の感染症である。この局面の別の実施形態において、上記感受性細菌感染症は、耳の感染症である。この局面の別の実施形態において、上記感受性細菌感染症は、皮膚の感染症である。
【0026】
別の局面において、本発明は、眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症を処置する方法を含み、この方法は、これを必要とする被験体に対して、治療に有効な量の生理的に適合性のある局所用組成物を投与することにより、その組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ここで、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンであり、その組成物は、約0.001重量%から約2重量%の少なくとも1つのコルチコステロイドをさらに含む。この局面の一つの実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである。この局面の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。この局面の別の好ましい実施形態において、ホスホマイシンとトブラマイシンの単回用量の組み合わせは、上記組成物の約0.1%から約0.5%を構成し、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである。別の好ましい実施形態において、上記の単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む。特に好ましい実施形態においては、上記の単回用量の組み合わせは、約0.15mgよりも少ないトブラマイシンを含む。別の好ましい実施形態において、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンであり、上記の単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンリン酸ナトリウムである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルオロメトロンまたは酢酸フルオロメトロンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ロテプレドノール(loteprednol)またはエタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)である。
この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、プレドニゾロンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、トリアムシノロンまたはトリアムシノロンアセトニドである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ベタメタゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベクロメタゾンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルオシノロンまたはフルオシノロンアセトニドである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルニソリドである。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルオコルチン−21−ブチレート(fluocortin−21−butylate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、フルメタゾンまたはフルメタゾンピバレート(flumetasone pivalate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、ブデソニド(budesonide)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol propionate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、モメタゾンフロエート(mometasone furoate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)である。この局面の別の実施形態において、上記コルチコステロイドは、シクレソニド(ciclesonide)である。この局面の好ましい実施形態において、上記コルチコステロイドは、約0.1重量%のデキサメタゾンまたはデキサメタゾンリン酸ナトリウムである。この局面の別の好ましい実施形態において、上記コルチコステロイドは、約0.1重量%の酢酸フルオロメトロンである。この局面の別の好ましい実施形態において、上記コルチコステロイドは、約0.5重量%のエタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)である。この局面の別の実施形態において、上記組成物は、それぞれ約0.001重量%から約2重量%の少なくとも2つのコルチコステロイドをさらに含む。この局面の別の実施形態においては、上記感受性細菌感染症は、眼の感染症である。この局面の別の実施形態においては、上記感受性細菌感染症は、耳の感染症である。この局面の別の実施形態においては、上記感受性細菌感染症は、皮膚の感染症である。
【0027】
本明細書中に記載される本発明の組成物の成分についてのあらゆる言及はまた、その生理的に許容可能な塩についての言及をも含む。本発明の組成物の成分の生理的に許容可能な塩の例としては、適切な塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類(例えば、Na、Li、K、Ca+2およびMg+2)、アンモニウムおよびNX(ここで、XはC〜Cアルキル))から誘導された塩が挙げられる。窒素元素またはアミノ基の生理的に許容可能な塩としては、有機カルボン酸(例えば、酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸(lactobionic acid)およびコハク酸);有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸);アミノ酸(リジン、アルギニン、もしくはグルタミン酸、または、中性の群(例えば、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、イソロイシン、もしくはロイシン));ならびに無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸)が挙げられる。治療用途のために、本発明の組成物の活性成分の塩は、生理的に許容可能である(すなわち、それらは、生理的に許容可能な酸または塩基から誘導された塩である)。
【0028】
(定義)
そうでないと言明されない限り、本明細書中で使用される以下の用語および句は、以下の意味を有することが意図される:
商品名が本明細書中で使用される場合、出願人は、その商品名の製品およびその商品名の製品の薬学的な活性成分またはその商品名の製品のデバイスを独立して含むことを意図する。
【0029】
本明細書中で使用される「処置する」または「処置」という用語は、そうでないと示されない限り、そのような用語を適用する障害もしくは状態の進行、または、そのような障害もしくは状態の1つもしくはそれ以上の症状の進行を逆転させること、緩和すること、または抑制すること、あるいは、そのような用語を適用する障害もしくは状態、または、そのような障害もしくは状態の1つもしくはそれ以上の症状を予防することを意味する。
【0030】
本明細書中で使用される「治療に有効な量」という用語は、本明細書中に記載される組成物(例えば、生理的に許容可能な組成物)中に存在する、ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせの量またはホスホマイシンとトブラマイシンと抗炎症剤との組み合わせの量であり、その量は、そのような組成物が局所的に投与される場合、予想される生理的応答、望ましい生物学的効果、望ましい抗菌効果、望ましい抗炎症効果、または細菌感染症の予防を達成するために、眼の組織、耳の組織、または皮膚の組織に、望ましいレベルの薬物を提供するために必要とされる量である。正確な量は、多くの因子(例えば、特定の調合、その組成物の具体的な活性、用いられる送達デバイス、その組成物の物理的特性、その組成物の意図される使用法、および患者について考慮すべき事柄(例えば、疾患の状態の重症度、患者の協力など))によって依拠し、本明細書中で提供される情報に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。
【0031】
数量と一緒に使用される「約」という修飾語は、言明された値を包括し、状況によって必然的に決まる意味(例えば、特定の数量の測定に関係する誤差の程度を含むこと)を有する。
【0032】
本明細書中で使用される「生理食塩水」という用語は、約0.01重量%〜約0.9重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液を意味する。
【0033】
本明細書中で使用される「単回用量の組み合わせ」は、単回用量として投与される特定の組み合わせ(例えば、特定の量および特定の比のホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせ、または、特定の量および特定の比のホスホマイシンとトブラマイシンと抗炎症剤との組み合わせ)を意味する。液体の組成物の場合、単回用量は、一般に、1滴または2滴である。単回用量の組み合わせの成分は、あらかじめ混合されるか、または投与する直前に合わされ得る。
【0034】
(組成物の調合物)
本発明の生理的に適合性のある局所用組成物としては、ホスホマイシンとトブラマイシンとを組み合わせて含む、溶液、スプレー、ローション、ゲル、軟膏、クリーム、粉末、散布用粉末スプレー(dusting powder sprays)、パスタ、懸濁物、エマルジョンおよび泡沫が挙げられる。これらの組成物は、抗炎症剤(例えば、限定しないが、非ステロイド性抗炎症剤またはコルチコステロイド)をさらに含み得る。その組成物の化合物は、溶解した状態または懸濁した状態で存在し得る。
【0035】
ホスホマイシンとトブラマイシンとの組成物、または抗炎症剤をさらに含むホスホマイシンとトブラマイシンとの組成物はまた、軟膏、クリーム、パスタ、ゲル、散布用粉末(dusting powders)、硬膏、スプレー式硬膏(spray plasters)、閉鎖包帯、圧迫ガーゼおよび制御された放出システム(controlled release systems)の形で局所的に適用され得る。
【0036】
軟膏は、基剤として、炭化水素のゲル、脂質ゲル(lipogels)、吸収基剤(absorption bases)、油中水の軟膏の基剤、混合エマルジョン、またはポリエチレングリコール類を含有する。
【0037】
クリームは、水中油の基剤を含有する。
【0038】
パスタは、軟膏の基剤またはクリームの基剤に加えて、大きい量の粉状の構成物質(例えば、酸化亜鉛、滑石、デンプン、または二酸化チタン)を含有する。
【0039】
ゲルは、溶媒(例えば、水、エタノール、イソプロパノール、またはプロピレングリコール)を含有し、ゲル化剤(例えば、セルロースエーテル、アルギネート、ポリアクリレート、ベントナイト、ゼラチン、トラガカント、ポリビニルピロニドンまたはポリビニルアルコール)を用いて調製される。
【0040】
散布用粉末(dusting powders)は、粉状の添加物(例えば、デンプンステアレート(starch stearate)、二酸化ケイ素、粘土、炭酸マグネシウム、滑石、セルロース、酸化亜鉛およびラクトース)を含有する。
【0041】
安定剤、酸化防止剤、保存剤、保湿剤・湿潤剤(humectants)、リグリース剤(regreasing agents)、溶媒、または補助剤(auxillaries)は、組成物の活性成分の浸透および効能を向上させるために、全ての組成物に加えられ得る。
【0042】
浸透を向上させる剤の限定しない例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、アゾン(azone)、N−メチルピロリドン、ジエチルトルアミド、エタノール、イソプロピルミリステート、パルミチン酸イソプロピル(isopropyl palmmitate)、オレイン酸およびオレイン酸エステル、中鎖トリグリセリド、ジメチルイソソルビトール、2−オクチルドデカノール、分枝脂肪酸、ベンジルアルコール、尿素、サリチレートならびに界面活性剤である。
【0043】
広げるための油(spreading oils)はまた、表面によりよく分布させるために、特に皮膚への適用のために、本発明の組成物の液体形態に加えられ得る。多くのこれら広げるための油(spreading oils)は、化粧品の分野において公知である。広げるための油(spreading oils)の限定しない例としては、様々な粘度のシリコーン油、脂肪酸エステル、トリグリセリド、脂肪アルコール、および脂肪酸(例えば、オレイン酸)が挙げられる。特に適した広げるための油(spreading oils)としては、イソプロピルミリステート、パルミチン酸イソプロピル、C12〜C18鎖の長さの飽和脂肪アルコールのカプリル酸エステル/C12〜C18鎖の長さの飽和脂肪アルコールのカプリン酸エステルおよび蝋状の脂肪酸エステル(waxy fatty acid esters)が挙げられる。
【0044】
本発明の組成物は、眼、耳または皮膚へ局所的に投与される。眼または耳への投与について、投薬量の範囲は、片方の眼または耳につき0.001mg〜1.9mgである;ここで言及した質量は、ホスホマイシンおよびトブラマイシンの重量の合計を示す。本発明の組成物は、適切な眼用のビヒクル中または適切な耳用のビヒクル中の溶液、懸濁物、またはエマルジョン(分散物)として投与され得る。正確な投与レジメンは医者によって決められるが、上記組成物の溶液、懸濁物、またはエマルジョンは、一回の処置(投与)のため、それぞれの眼に1滴または2滴落とすことによって、典型的に適用される。1滴の体積は、溶液の特徴(例えば、粘度および密度)ならびにスポイトの形状に従って変わり得るが、そうでないと言明されない限り、1滴の体積は、約0.05mLである。上記処置は、1日に1回から24回繰り返され得る。
【0045】
一つの局面において、本局所用組成物は、pHが約4.5〜約8.0のホスホマイシンとトブラマイシンとの水溶液を、約0.01%〜約2%(ホスホマイシンとトブラマイシンとを合わせた重量/体積)を含む。別の局面において、上記局所用組成物は、軟膏調合物の状態で、ホスホマイシンとトブラマイシンとの溶液またはホスホマイシンとトブラマイシンとの懸濁物を、約0.01%〜約2%(ホスホマイシンとトブラマイシンとを合わせた重量/重量)を含む。上記組成物のいずれかにおいて使用するのが望ましいものであり得る他の成分としては、保存剤、共溶媒、界面活性剤および粘度増強剤が挙げられる。
【0046】
局所用の製品は、複数用量形態で、典型的にパッケージングされるので、保存剤が、使用中の微生物汚染を予防するために、一般に加えられる。適切な保存剤の限定しない例としては、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウムソルビン酸(edentate disodium sorbic acid)、Onamer M、または当業者に公知である他の物質が挙げられる。代表的には、そのような保存剤は、約0.001重量%〜約1.0重量%のレベルで使用される。
【0047】
本組成物を構成する成分の溶解度は、その組成物中の界面活性剤または他の適切な共溶媒によって増強され得る。共溶媒および界面活性剤の限定しない例としては、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、Pluronic F−68、Pluronic F−84、Pluronic P−103、シクロデキストリン、チロキサポール、TWEEN80、または当業者に公知である他の物質が挙げられる。代表的には、そのような共溶媒は、約0.01重量%〜約2重量%のレベルで使用される。
【0048】
局所用組成物の粘度をただの水溶液の粘度よりも高く増加させることは、活性成分の吸収を増加するため、調合物の投薬における変動性を減少するため、その組成物の懸濁物またはエマルジョンの成分の物理的な分離を減少するため、および/または、その局所用組成物を他の方法で改善するために、望ましいものであり得る。粘度増強剤の限定しない例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドンまたは当業者に公知である他の物質が挙げられる。そのような物質は、代表的には、約0.01重量%〜約2.0重量%のレベルで使用される。
【0049】
添加剤、保存剤、共溶媒、界面活性剤および粘度増強剤の大部分は、例えば、Howard C.Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,(第7版、1999年);Alfonso R.Gennaro et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,(第19版、第20版、それぞれ1995年、2000年);およびA.Kibbe,Handbook of Pharmaceutical Excipients,(第3版、2000年)(これらの各々、その全体が参考として援用される)において、詳細に記載されている。
【実施例】
【0050】
(実施例)
以下は、感受性細菌による感染症を処置もしくは予防するため、または感受性細菌による炎症および感染症を処置もしくは予防するために、眼、耳、または皮膚へ適用するための本発明の限定しない典型的な薬学的組成物である。これらの薬学的組成物の実施例は、当業者によって、より大きい量へ拡大され得る単回用量の実施例である。これら剤形の調製法は、上記に引用されそして参考として援用される参考文献において議論されるように、当業者に公知である。QSとは、そうでないと言明されない限り、記載された作用に到達するために、例えば、溶液もしくは懸濁液を、望ましい容量もしくは重量にするため、または、pHを望ましい値に調整するために、十分な量を加えることを意味する。
【0051】
【化1】

【0052】
【化2】

【0053】
【化3】

【0054】
【化4】

【0055】
【化5】

【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

長期安定性を促進するために、上記組成物のひとつまたはそれ以上の成分は、その他の成分と別々にパッケージングされ得、後に、使用する直前に、その調合物に加えられ得る。例えば、トブラマイシンと他の添加剤との溶液は、びんの中に詰められ得、上記ホスホマイシンはブリスター包装で別々にパッケージングされ得、ここで、上記ブリスター包装は開けられ、その中に含まれる上記ホスホマイシンは、使用する直前に、上記トブラマイシン溶液に加えられる。
【0059】
(ホスホマイシン/トブラマイシン組成物のメカニズム)
本研究の目的は、4:1のホスホマイシン:トブラマイシン(重量:重量)の組み合わせについての作用メカニズムの仮説「ホスホマイシンはPseudomonas Aeruginosaへのトブラマイシンの取り込みを高め、それによってタンパク質合成の抑制を強め、最終的には細菌を死滅させる」に取り組むことであった。
【0060】
(方法および材料)
(細菌の菌株)
嚢胞性線維症(CF)に罹患している患者から分離されたP.aeruginosa菌株は、Children’s Hospital and Regional Medical Center(Seattle,WA)から得た。Escherichia coliの臨床分離菌およびStaphylococcus aureusの臨床分離菌は、The Jones Group Laboratories(JMI;North Liberty,IA)およびThe Clinical Microbiology Institute(CMI;Wilsonville,OR)から得た。P.aeruginosa 27853、S.aureus 29213、およびE.coli 25922は、品質管理されている菌株(quality control strains)として役立ち、The America Type Culture Collection(ATCC;Manassas,VA)から得た。ホスホマイシン感受性菌株でありトブラマイシン感受性菌株であるP.aeruginosa ATCC 27853を、高分子生合成実験およびトブラマイシン取り込み実験において使用した。ストック培養物を、20%グリセロール(VWR:West Chester,PA)を補充したCation−Adjusted Mueller−Hinton Broth(CAMHB)(Remel;Lenexa,KS)中で、−80℃で維持した。日常に使用するための培養は、5%のヒツジの血液を加えたトリプソイ寒天培地(tryptic soy agar)のプレート(PML Microbiologicals Inc.;Wilsonville,OR)で増殖させ、4℃で保存した。
【0061】
(抗生物質)
ホスホマイシン二ナトリウムストック溶液(Lot No.023K0834,Sigma−Aldrich;St.Louis,MO)および硫酸トブラマイシンストック溶液(Lot No.124K0948;Sigma−Aldrich)を、滅菌脱イオン水中で調製し、Clinical and Laboratory Standards Instituteのガイドライン(CLSI;前名National Committee for Clinical Laboratory Standards)に従って、効力の源となる(account for)ように調整した。「FT4:1」は4:1の比(重量:重量基準)のホスホマイシンおよびトブラマイシンを含む。グルコース−6−リン酸(Sigma−Aldrich)を、ホスホマイシンおよびFT4:1についての全ての評価のために、終濃度25μg/mLで、上記培地に加えた。
【0062】
(逆相高速液体クロマトグラフィ/質量分析法(HPLC/MS)
ホスホマイシンのストック溶液(6.11mg/mL)およびトブラマイシンのストック溶液(4.22mg/mL)を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS,pH7.4)中で調製した。FT4:1(512μg/mL)を上記ストック溶液から調製し、室温、37℃、または89℃で24時間インキュベートした。LC/MSDイオントラップ質量分析計とChemStationデータ取得/データ分析ソフトウェア(Agilent Technologies; Santa Clara, CA)とを備えるAgilent 1100 Series HPLCシステムを、ホスホマイシンおよびトブラマイシンの可能性のある化学的付加物を検出するために使用した。ピーク分離を、内径4.6mm×長さ150mmで、3.5μmの充填物(packing)を有するSymmetryshield RP18分析カラム(Waters Corporation;Milford,MA)を用いて引き起こした。上記試料を、移動相Aとして水中の5%の氷酢酸および0.25%のペンタフルオロプロピオン酸(PFPA)、ならびに移動相Bとしてアセトニトリル中の5%の氷酢酸および0.25%のペンタフルオロプロピオン酸(PFPA)を用いて、溶離した。25分間にわたって0%から34%の移動相Bの溶離勾配を適用した。ピークを、上記カラムからイオントラップ型質量分析計のエレクトロスプレーイオン化源へ直接溶離した。イオン化は、ポジティブモードにおいてであり、10L/分かつ350℃で、乾燥ガスとして窒素を使用した。質量スペクトルを150m/zから1300m/zの範囲にわたって得た。
【0063】
(最小生育阻止濃度(MIC))
MICをCLSIガイドライン(National Committee for Clinical Laboratory Standards.M7−A6.6th ed.Villanova(PA):NCCLS,2003;M100−S14.Villanova(PA),:NCCLS,2004)に従って、寒天平板希釈法によって決定した。上記MICとは、37℃で18時間〜24時間のインキュベーションの後、目に見える増殖を妨げる最低濃度の抗生物質と定義する。
【0064】
(時間−死滅実験(Time−kill Experiments))
時間−死滅実験を、改変型CLSI法(National Committee for Clinical Laboratory Standards.M−26A.Villanova(PA):NCCLS,1999)に従って、行った。抗生物質を、2%のブタ胃ムチン(Sigma−Aldrich)を含むCAMHBにおいて、上記MICの倍数にて、単独および組み合わせで評価した。細菌培養物および抗生物質を、振とう型ウォーターバス(200rpm)中で37℃でインキュベートし、死滅活性を、0時間、1時間、2時間、4時間、6時間および24時間で評価した。元の接種物を3×Log10以上減少させる抗生物質を、殺菌性とみなした。元の接種物を2×Log10以下減少させる抗生物質を、静菌性とみなした。
【0065】
(自然変異頻度)
抗生物質への一回曝露後の耐性の発生を、P.aeruginosa、S.aureus、およびE.coliの臨床分離菌および参照分離菌(reference isolates)の両方について、決定した。対数増殖期後期の培養物を室温で20分間、1400×gで遠心分離し、その細胞ペレットをCAMHB中で再懸濁した。およそ10CFU〜1010CFUを、上記MICの4倍、8倍、または16倍の抗生物質を含むMueller−Hinton寒天培地(BBL;Sparks,MD)プレート上に広げた。上記培養プレートは、37℃で48時間インキュベートし、それぞれのプレート上のコロニー数を人力で数えた。抗生物質耐性を生じる自然変異頻度(SMF)を、上記の定義された抗生物質の濃度で増殖する細菌の数を上記接種物における細菌の数で割ることによって、計算した(Martinex,JL,Antimicrob Agents Chemother 2000;44(1):1771−1777)。
【0066】
(高分子生合成)
タンパク質生合成および細胞壁生合成に対するFT4:1、ホスホマイシンおよびトブラマイシンの効果を、トリチウム化(H)アミノ酸(H−aa)(GE Healthcare Bio−Sciences Corp.;Picataway,NJ)およびトリチウム化N−アセチル−D−グルコサミン(H−NAG)(GE Healthcare Bio−Sciences)の取り込みをそれぞれ測定することによって決定した(Baum,EZ,Antimicrob Agents Chemother 2001;45(11):3182−3188)。P.aeruginosa ATCC 27853のシングルコロニーを10mLのCAMHB中へ接種し、振とう型ウォーターバス中で200rpmで、37℃、16時間インキュベートした。上記培養物を125mLエルレンマイアーフラスコ中で、2%ムチンを加えた50mLのCAMHB中で1:1000希釈し、37℃、200rpmで、1.5時間インキュベートした。2ミリリットルの対数増殖期初期の培養物(およそ2×10CFU/mL)を、10μCiのH−aa(1.93GBq/ミリアトム(milliatom)の炭素)または10μCiのH−NAG(296GBq/mmol)を用いて、1時間、37℃、200rpmでパルス標識した。次に、非放射性FT4:1、非放射性ホスホマイシン、または非放射性トブラマイシンを、培養物に加え、上記に記載したように、さらに4時間までの間インキュベートした。
【0067】
様々な時点で、培養物の100μlのアリコート(3連)を取り出し、96−ウェル平底トレイ(VWR)中の100μlの20%TCA(VWR)に加えた。上記の取り込まれたH−前駆体を沈殿するために、プレートを、砕いた氷上で60分間インキュベートした。試料をガラス繊維フィルター(GFC)上に収集した(PerkinElmer;Waltham,MA)。フィルターを、取り込まれていないアイソトープを取り除くために35mLの通常の生理食塩水で2回洗浄し、引き続いて、35mLの90%エタノール(VWR)で1回洗浄した。残りの水分を減少させるために、フィルターをランプの下で1時間乾かし、次に5mLのシンチレーションカクテル(Betaplate Scint;PerkinElmer)を含むバッグに密封した。毎分ごとのカウント(CPM)を、Wallac MicroBeta Trilux(PerkinElmer)を使用して決定した。
【0068】
平均CPM±標準偏差(SD)を、それぞれの処理群について決定した。培地のみの試料からなるバックグラウンドのカウントを、上記の非薬物処理群および抗生物質処理の群から減算した。取り込みの抑制の百分率を上記の非薬物処理のコントロールと比較して決定した。上記の3つの薬物の活性を50%抑制する時間(T1/2)を計算することによって比較し、それぞれの時点での統計的な差異を、分散分析(ANOVA;GraphPad Prisma software package 3.03;GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)によって評価した。それぞれの曲線は、3連で行われたそれぞれの時点での4回の反復実験を表す。
【0069】
(トブラマイシン取り込み研究)
トブラマイシン取り込みに対するホスホマイシン取り込みの効果を、H−トブラマイシンの取り込みを測定することによって決定した。P.aeruginosa ATCC 27853のシングルコロニーを5mLのブイヨン(NB)(Difco&BBL;Sparks,MD)へ接種し、振とうしながら(250rpm)37℃で一晩中増殖させた。上記の一晩培養物を、OD625が0.013になるまでNB中で希釈し、OD625がおよそ0.5に達するまで振とうしながら(250rpm)37℃で培養した。細胞を遠心分離(6000×g、室温、5分)によって収集し、NB中で一回洗浄し、前もって温めておいたNBで、OD625が0.25になるまで再懸濁した。次に、標識されていないホスホマイシンを適切な濃度(0μg/mL、0.05μg/mL、0.1μg/mL、1μg/mL、10μg/mL、および100μg/mL)で加え、上記培養物を振とうしながら(250rpm)37℃で3分間インキュベートした。H−トブラマイシン(540mCi/mmol,Moravek Biochemicals;Brea,CA)(2.3μg/mL)をそれぞれの管に加え、上記培養物をさらに2分間振とうしながら(250rpm)37℃でインキュベートした。5ミリリットル量を、410mM MgCl(VWR)で前もって浸した0.45μmのニトロセルロース膜フィルター(Whatman Inc.,Florham Park,NJ)を通して濾過した。フィルターを一晩中乾かし、3mLのBetaplate Scintを飽和させ、それぞれのフィルターに結合したHを、MicroBetaシンチレーション計数器を用いて決定した。データをCPMで表現した。データは、4回の独立実験の平均値±SDを表す。統計的な差異をスチューデントt検定によって評価した。
【0070】
(結果)
(逆相高速液体クロマトグラフィ/質量分析法(HPLC/MS)
トブラマイシンにおける第一級アミンの数に基づいて、可能性のある5つの付加物の形成が可能であった。しかしながら、室温または37℃で、24時間のFT4:1のインキュベート後、HPLC/MSによって、ホスホマイシンおよびトブラマイシンの化学的付加物は検出されなかった。これは、上記の増強された抗菌活性は新しい化学的実体によるものではなかったことを示唆する。
【0071】
(時間−死滅実験)
時間−死滅実験は、FT4:1の活性が高い方の成分はトブラマイシンであったことを実証した;FT4:1(図1)およびトブラマイシン(図2)の両方は、急速に殺菌性(3×Log10以上の死滅)であり、濃度依存的な死滅を示した。上記のFT4:1の濃度およびトブラマイシンの濃度の増加は、細菌死滅の速度および程度の両方を顕著に増加させた。トブラマイシンについては、2μg/mLから4μg/mLへの濃度の増加(2倍)は、4×Log10よりも大きい細菌の死滅という結果になった(図2)。
【0072】
比較すると、ホスホマイシンは静菌性(2×Log10以下の死滅)であり、時間依存的な様式で死滅させた(図3)。上記のホスホマイシン濃度の増加(32×MIC以下)は、細菌死滅の速度または程度において重要な増加は生じなかった。
【0073】
図4は、ムチンの存在下における、P.aeruginosa ATCC 27853に対する、FT4:1の成分であるホスホマイシンの重量およびトブラマイシンの重量に対するFT4:1の活性を示す。4×MIC(16μg/mL)では、FT4:1の死滅させる活性は、FT4:1の成分であるホスホマイシン(12.8μg/mL)およびトブラマイシン(3.2μg/mL)と比較して優れていた。FT4:1は殺菌性の死滅に急速に達し(1時間〜2時間)、一方、トブラマイシン単独およびホスホマイシン単独は静菌性の死滅を示した。その上、FT4:1は24時間の時点で殺菌性のままであり、一方、トブラマイシンおよびホスホマイシンの両方は、上記細菌培養物の再増殖を示した。上記の時間−死滅実験は、上記のFT4:1の増強された抗菌活性は、促進されたトブラマイシンの取り込みに起因することを示唆する。これら研究はまた、トブラマイシンの濃度における非常に小さな増加(2倍)にさらされると、細菌の死滅において大きな増加(3×Log10CFU/mL)を結果として生じることを実証した。同様の活性が P.aeruginosaのCF臨床分離菌(COR−273)を用いて観察された(図8)。
【0074】
(自然変異頻度)
表1〜表3は、抗生物質耐性を導く一段階の自然変異の頻度を示す。FT4:1についての上記自然変異頻度は、トブラマイシンの場合およびホスホマイシンの場合に言及されたようには、MICの倍数の関数として減少しなかった。このことは、処理により生じた(treatment−emergent)FT4:1に対する耐性は、処理により生じた上記の組み合わせの個々の成分に対する耐性よりも問題が少ないものであり得ることを示唆した。S.aureusの5つの菌株に対して、FT4:1は最も低い変異頻度を有し、それにトブラマイシンおよびホスホマイシンが続いた(表1)。4×MICでは、FT4:1はトブラマイシンの100分の1から1000分の1の変異頻度を有し、ホスホマイシンの100万分の1から1億分の1の変異頻度を有した。8×MICおよび16×MICでは、FT4:1およびトブラマイシンは同等の変異頻度を有した。P.aeruginosaに対して、FT4:1はトブラマイシンより優れていたが、その差異は10倍から100倍だけであった(表2)。すべての3つの抗生物質は、E.coliに対して、互いに1桁以内の変異頻度を有した(表3)。ホスホマイシンはP.aeruginosaについて最も高い変異頻度を有し、それにE.coliおよびS.aureusが続いた。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

(高分子生合成)
タンパク質生合成および細胞壁生合成に対する抗生物質濃度の効果および抗生物質への細菌の曝露時間の効果を、H−aaの取り込みおよびH−NAGの取り込みをそれぞれ測定することによって決定した。表4は、FT4:1、ホスホマイシンおよびトブラマイシンの用量反応を示す。FT4:1は、2時間の時点で、ホスホマイシンまたはトブラマイシンのどちらかよりも大きい程度タンパク質生合成および細胞壁生合成を抑制した。
FT4:1濃度を増加させると、タンパク質生合成および細胞壁生合成の両方の抑制の増大をもたらした;しかしながら、タンパク質生合成は、細胞壁生合成よりも大きい程度まで抑制された。比較すると、ホスホマイシン濃度を増加させても、タンパク質生合成または細胞壁生合成どちらの抑制の増大も生じなかった。
【0078】
【表4】

時間−反応(time−response)研究はまた、FT4:1が主にタンパク質合成の抑制を介して作用していたことを示唆した。8μg/mLのFT4:1は、タンパク質合成を108分間までに50%抑制(T1/2)し、6.4μg/mLのホスホマイシン(T1/2=145分)および1.6μg/mLのトブラマイシン(T1/2>180分)と比較して急速に抑制した(図5)。対照的に、FT4:1(8μg/mL)は細胞壁生合成についてより緩やかな抑制を引き起こし(T1/2=152分)、一方ホスホマイシン(6.4μg/mL)もトブラマイシン(1.6μg/mL)もどちらも180分以内に50%の抑制に達しなかった(図6)。
【0079】
(トブラマイシン取り込み研究)
薬物取り込み研究において、ホスホマイシンは、用量依存的な様式で、H−トブラマイシンの細菌への取り込みを増加させた;10μg/mLのホスホマイシンを加えると、H−トブラマイシン取り込みは、ホスホマイシン処理していないコントロールと比較して170%増加をもたらした(図7)。これらデータは、時間−死滅実験を補足している。時間−死滅実験は、トブラマイシン(3.2μg/mL)による細菌の死滅が、12.8μg/mLのホスホマイシン存在下で3×Log10 CFU/mL増加したことを実証した(図4)。
【0080】
(考察)
本研究の目的は、ホスホマイシンは細菌の細胞へのトブラマイシンの取り込みを増強し、それによってタンパク質合成の抑制を増大させ、最終的には細胞を死滅させるという、FT4:1の作用メカニズムの仮説に取り組むことであった。FT4:1の主要な成分であるホスホマイシンは、UDP−N−アセチルグルコサミンエノイルピルビルトランスフェラーゼ(UDP−N−acetylglucosamine enoylpyruval transferase)(MurA)という酵素に不可逆に結合することによって、細胞壁の生合成の抑制をするホスホン酸誘導体である(Kahan,FM,Ann N Y Acad Sci 1974,235:364−386)。その少ないほうの成分であるトブラマイシンは、翻訳の間違いを引き起こすことにより、および転座を阻害することによって、タンパク質生合成を妨げるアミノグリコシドである(Davis,BD,Proc Natl Acad Sci USA 1986;83:6164−6168;Tai,PC,Biochem 1979;18(1):193−198)。FT4:1の成分の公知の作用メカニズムに基づいて、FT4:1は、タンパク質生合成の抑制および細胞壁生合成は抑制することによって作用するはずである。しかしながら、いくつかの系統の証拠は、その組み合わせの抗菌活性が個々の成分と比較して増強されることを示唆する。ムチン中で行われた時間−死滅実験において、P.aeruginosaについてのFT4:1の活性は、その成分であるホスホマイシンおよびトブラマイシンと比較して、それぞれ500倍および1000倍増強された(MacLeod,DL,Poster 328.21st Annual North American Cystic Fibrosis Conference,October 3−6,2007,Anaheim,CA)。さらに、FT4:1についての自然変異頻度は、ホスホマイシンまたはトブラマイシンのいずれかについての自然変異頻度と比べて、それぞれの約700分の1および約170分の1であった。時間−死滅研究、高分子生合成研究および薬物取り込み研究からのデータは、上記に提案したFT4:1の作用メカニズムの仮説を支持する。時間−死滅実験は、FT4:1がトブラマイシンと類似した死滅速度論を有していること、および、トブラマイシン濃度を小さく増加させると細菌の死滅において大きな増加が生じ得たことを実証した。タンパク質生合成分析および細胞壁生合成分析は、FT4:1が主にタンパク質生合成の抑制を介して作用していたことを実証した。高分子生合成研究はまた、時間−死滅実験を支持し、(i)FT4:1は、その成分であるホスホマイシン単独の重量およびトブラマイシン単独の重量と比較して、増強された活性を有したこと、そして(ii)FT4:1およびトブラマイシン両方の活性は濃度依存的であったことを、証明した。最後に、薬物取り込み研究は、ホスホマイシンが放射性同位元素標識したトブラマイシンの蓄積を増加させたことを実証した。FT4:1の増強された活性の説明をする正確な分子メカニズムは知られていない。
【0081】
FT4:1の組み合わせについての論理的根拠は、眼の感染症患者、耳の感染症患者、および皮膚の感染症患者に対して、安全で、広いスペクトルの細菌を死滅させ、かつ単剤療法(monotherapy)と比較して減少した耐性頻度を有する、新しい抗生物質療法を提供することであった。FT4:1は、固定した(重量:重量)比のホスホマイシンおよびトブラマイシンのからなる独特の抗生物質の組み合わせである。FT4:1は、眼感染症、耳感染症および皮膚感染症において一般に発見されるグラム陰性の細菌病原体およびグラム陽性の細菌病原体の両方に対して活性がある。抗生物質耐性を生じる自然変異頻度はまた、FT4:1についてその成分と比較すると低く、このことは、臨床的な状況においてFT4:1はまた耐性の発生を遅らせるための有望なアプローチであり得ることを示唆する。
【0082】
(結論)
FT4:1は、トブラマイシンの死滅速度論と一致した様式で、その成分と比較して増強した死滅をさせることを実証した。高分子実験および抗生物質取り込み実験は、このことはトブラマイシンの取り込みを増加させるホスホマイシンに起因し、それがタンパク質生合成の抑制を増強し、最終的には細胞の死滅を生じたことを示す。
【0083】
本明細書中で引用されたすべての参考文献は、それら全体が参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の感受性細菌感染症、耳の感受性細菌感染症または皮膚の感受性細菌感染症の処置のための生理的に適合性のある局所用組成物であって、該組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンである、局所用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の局所用組成物であって、前記ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである、局所用組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の局所用組成物であって、前記ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである、局所用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記ホスホマイシンとトブラマイシンとの単回用量の組み合わせは、該組成物の約0.1%〜約0.5%を構成する、局所用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む、局所用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、前記ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む、局所用組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記処置は、眼の感受性細菌感染症についてである、局所用組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記処置は、耳の感受性細菌感染症についてである、局所用組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記処置は、皮膚の感受性細菌感染症についてである、局所用組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記細菌感染症は、S.aureus、S.epidermidis、S.pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter aerogens、Proteus mirabilis、Morganella morganii、Haemophilus influenzae、H.aegyptius、Acinetobacter calcoaceticusおよびNeissaria種からなる群から選択される、局所用組成物。
【請求項11】
眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症の処置のための生理的に適合性のある局所用組成物であって、該組成物は、約0.001mgから約0.95mgのホスホマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩と約0.001mgから約0.95mgのトブラマイシンまたはその薬学的に許容可能な塩との単回用量の組み合わせを含み、ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約5部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約5部のトブラマイシンであり、該組成物は、約0.001重量%〜約2重量%の少なくとも1つの抗炎症剤をさらに含む、局所用組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の局所用組成物であって、前記抗炎症剤は、少なくとも1つのコルチコステロイドである、局所用組成物。
【請求項13】
請求項11または12に記載の局所用組成物であって、前記ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約7部〜約9部のホスホマイシン対約1部〜約3部のトブラマイシンである、局所用組成物。
【請求項14】
請求項11〜13のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記ホスホマイシン対トブラマイシンの重量比は、約8部のホスホマイシン対約2部のトブラマイシンである、局所用組成物。
【請求項15】
請求項11〜14のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記ホスホマイシンとトブラマイシンとの単回用量の組み合わせは、該組成物の約0.1%〜約0.5%を構成する、局所用組成物。
【請求項16】
請求項11〜15のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記単回用量の組み合わせは、約0.3mgよりも少ないトブラマイシンを含む、局所用組成物。
【請求項17】
請求項11〜16のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記単回用量の組み合わせは、約0.75mgよりも少ない、前記ホスホマイシンとトブラマイシンとの組み合わせを含む、局所用組成物。
【請求項18】
請求項11〜17のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記抗炎症剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン−21−ブチレート、フルメタゾン、フルメタゾンピバレート、ブデソニド、プロピオン酸ハロベタゾール、モメタゾンフロエート、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド、およびそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、局所用組成物。
【請求項19】
請求項11〜18のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記抗炎症剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、およびエタボン酸ロテプレドノールからなる群から選択される、局所用組成物。
【請求項20】
請求項11〜19のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記処置は、眼の感受性細菌感染症についてである、局所用組成物。
【請求項21】
請求項11〜19のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記処置は、耳の感受性細菌感染症についてである、局所用組成物。
【請求項22】
請求項11〜19のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記処置は、皮膚の感受性細菌感染症についてである、局所用組成物。
【請求項23】
請求項11〜22のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物であって、前記細菌感染症は、S.aureus、S.epidermidis、S.pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter aerogens、Proteus mirabilis、Morganella morganii、Haemophilus influenzae、H.aegyptius、Acinetobacter calcoaceticusおよびNeissaria種からなる群から選択される、局所用組成物。
【請求項24】
眼の感受性細菌感染症、耳の感受性細菌感染症、または皮膚の感受性細菌感染症を処置する方法であって、該方法は、該処置を必要とする被験体に対して、治療に有効な量の請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物を投与することによる、方法。
【請求項25】
眼の感受性細菌感染症、耳の感受性細菌感染症、または皮膚の感受性細菌感染症を処置するための医薬の製造における、請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物の使用。
【請求項26】
眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症を処置する方法であって、該方法は、該処置を必要とする被験体に対して、治療に有効な量の請求項11〜23のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物を投与することによる、方法。
【請求項27】
眼の感受性細菌感染症および炎症、耳の感受性細菌感染症および炎症、または皮膚の感受性細菌感染症および炎症を処置するための医薬の製造における、請求項11〜23のうちのいずれか一項に記載の局所用組成物の使用。
【請求項28】
本明細書中に記載される組成物、使用、または方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−506435(P2012−506435A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533250(P2011−533250)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/061033
【国際公開番号】WO2010/048059
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】