説明

眼疾患治療

眼乾燥症等の眼症状及び他の症状を治療する処方を開示する。ラパマイシン及び/又はアスコマイシンは、局所適用、眼内注射、又は眼の中若しくは上に移植して眼内投与される。例えば、局所投与は、就寝前又は日中常時適用し得る処方で約50pg/ml〜約50μg/mlの薬物を含む。注射には、約50pg/ml〜約200μg/mlの用量が使用される。ラパマイシン及び/又はアスコマイシンは、また外科的移植として、例えば、強膜壁に縫合される拡散性壁のレザバー中に、又は徐放性薬物送達システムを提供するマイクロスフェア、又はリポソーム等の不活性担体中に含有されミリグラム量で投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼乾燥症を含む眼症状の治療上の処置のためのラパマイシン及びアスコマイシンの使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
眼乾燥症は涙液膜が水を失ってより凝縮する全ての症状を含む。アメリカ合衆国内だけで3百万人に影響を与えている一般的な病状であるにも関わらず、診断及び治療が難しい。涙液膜からの水分損失は、涙の浸透圧の上昇の原因となる。浸透圧が上昇すると、眼の中のざらつき、灼熱感、炎症、又は異物感等の症状が生じ、日中悪化する。眼乾燥症を患う患者は、穏やかな症状から深刻な症状までを訴え、軽度の点状表層角膜炎から角膜せん孔に及ぶ徴候がある。
【0003】
眼乾燥症は、慢性的な寛解性及び再発性であり、多くの要因に起因する。疾患は、老化とともに自然なことであり、40歳を超える成人の15%〜20%に影響がある。また、涙腺、粘液腺、及び/又は脂質産生腺の疾患等の病理過程に起因し、細胞浸潤、又は涙腺萎縮(シェーグレン症候群)を伴って起こる。閉経後の女性のエストロゲン欠乏もまた眼乾燥症になる前提とする。
【0004】
眼乾燥症を治療する1つの方法は、人工涙液として作用する市販薬の局所投与によるものである。多種多様なこれらの人工涙液は(TheraTears(R)(Advanced Vision Research),Refresh(R)及びCelluvisc(R)(アラガン(株)),Tears Natural(R)及びBion(R)Tears(アルコン(株)),GenTeal(R)及びHypoTears(R)(チバビジョン(株))が入手可能であり、これらはそれぞれ電解質を含み、pHレベル、浸透圧、及び表面張力が変化する。他の眼乾燥症の治療方法としては、手術により涙点プラグを使用して涙液の排出管を閉鎖する。しかし、どちらの方法も完全に望ましくはない。人工涙液は、人の涙のように一定の流速がなく、疾病の原因よりもむしろ症状を治療する。手術は付帯リスクがあり、年配の患者に実行可能な選択肢ではない。
【0005】
シクロスポリンA(cyclosporine、アラガン(株))は、眼乾燥症を治療することで知られている。なぜならば、他の疾患のためにシクロスポリンAを投与した患者が涙液量に著しい増加を示したからである。シクロスポリンAを含む局所製剤(Arrestase(R)、アラガン(株))は、食品医薬品局が現在調査している。シクロスポリンAは免疫調節性であり、免疫介在性炎症が眼乾燥症の原因であることを示唆する。シクロスポリンAは、緑内障、コルチコステロイド誘発性高眼圧症、同種移植拒絶、感染、及び眼表面疾病等の多様な眼の病状の治療に使用されてきた。シクロスポリンAは、また、ブドウ膜炎(ブドウ膜の炎症)を治療するために局所、硝子体内、又は全身投与により眼に使用し得ることが公知である。シクロスポリンAの用量は0.05%、0.1%及び0.5%が報告されている。シクロスポリンAは、角膜には良く浸透するが、前房には浸透せず、眼圧を高めず、又は白内障の原因とならない。
【0006】
タクロリムス(プログラフ(R)、以前はFK−506として公知)は、免疫調節薬であり、様々な皮膚病を治療するために局所適用されてきた。タクロリムスは、0.03%〜0.3%の用量で局所投与による2〜3週間の治療後にアトピー性皮膚炎の著しい臨床改善を生じ、他の皮膚病のタクロリムス治療は見込みがある。タクロリムスは、シクロスポリンの様にインターロイキン2遺伝子発現を誘発する必要がある信号変換経路を阻害してTリンパ球を活性化させる。T細胞活性化を抑制するために、タクロリムスは、抗IgE誘発ヒスタミン放出を阻止し、及びヒト皮膚肥満細胞におけるプロスタグランジンD2合成を阻止する。経口投与は、制限副作用を生じるが(全身免疫抑制、感染、神経毒性、腎毒性、及び高血圧)、上限0.3%までの濃度での皮膚病治療のための局所投与は、治療群と対照群の間の効果で有意差を示さなかった。更に、タクロリムスは局所的に血行動態が安定し、ほんの時々だが軽度の刺激を生じる。眼乾燥症を含む様々な眼症状を治療するためのタクロリムスの使用方法が特許文献1に報告されている。
眼症状を治療し、及び眼の潤滑を高めるための他の組成物、及び方法が望ましい。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,489,335号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は症状の治療に効果的な量でラパマイシンの薬学的に許容される処方を眼内投与することで、患者の眼症状を治療する方法に関する。方法は、ラパマイシンの全身投与を避ける治療を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、徐放性の薬学的に許容される製剤が眼内移植される。例えば、約3mg〜約5mgのラパマイシンを含むマトリックスが眼の中、又は上に移植され、10年以上ラパマイシンを継続的に送達し得る。
【0010】
他の実施形態において、ラパマイシンの上限約200μgまでの濃度が、実質的に無毒性で眼内投与される。他の実施形態において、約1ng/ml(0.0000001%)〜0.1μg/ml未満(0.001%未満)の濃度のラパマイシンが局所投与される。他の実施形態において、ラパマイシンは、約1ng/ml〜約200μg/mlの濃度で結膜下注射され、約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの濃度で硝子体内注射され、又は、約20μg/ml〜約200μg/mlの濃度で球後注射される。
【0011】
方法は、非常に多様な眼症状、例えば、網膜色素変性、角膜手術(例えば、レーシック手術)後の眼球刺激、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、眼乾燥症、強膜炎、乳頭炎、及びブドウ膜炎等を防ぐ、発現時間を減少させる、又は重症度を軽減し得る。ラパマイシンは、眼内投与のために制限毒性作用なしでシクロスポリンA及び/又はタクロリムスと併用して投与され得る。ラパマイシンは、また、制限毒性作用なしで抗生物質と併用して投与され得る。
【0012】
本発明の他の実施形態は、角膜手術後の眼球刺激、網膜色素変性、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、強膜炎、乳頭炎、ブドウ膜炎を含む眼症状をアスコマイシンの眼内投与により治療する方法である。アスコマイシンは、単一活性物質であるが、又は他の作用物質(例えば、ラパマイシン、シクロスポリンA、タクロリムス及び抗生物質等を含むがこれらに限定されない)と併用して投与され得る。
【0013】
一実施形態において、薬学的に許容される徐放性の製剤が、眼内移植される。例えば、約3mg〜約5mgのアスコマイシンを含むマトリックスが眼の中、又は上に移植され、10年以上の間アスコマイシンを継続的に送達する。他の実施形態において、アスコマイシンは上限約200μgまでの濃度で、実質的に無毒性で眼内投与される。他の実施形態において、アスコマイシンは、約1ng/ml(0.0000001%)〜1μg/ml未満(0.0001%未満)の濃度で局所投与される。他の実施形態において、アスコマイシンは、約1ng/ml〜約200μg/mlの濃度で結膜下注射され、約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの濃度で硝子体内注射され、又は、約20μg/ml〜約200μg/mlの濃度で球後注射される。
【0014】
本発明は、またラパマイシン及び/又はアスコマイシンが薬学的に許容される処方(例えば、生理的に許容される溶媒中、生理的pH緩衝作用等)で眼内投与、及び投薬するために処方された組成物も含む。組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液等であり、眼及び/又は瞼に点眼液、クリーム、軟膏、ゲル、注入物質等の形態で投与され得る。組成物は、実質的に無毒性で、眼症状を治療するための効果的な量のラパマイシン及び/又はアスコマイシンを含む。一例として、組成物は、局所投与のための処方でラパマイシンを約1ng〜約10μg含む。他の例として、組成物は、局所投与ための処方でアスコマイシンを含むクリームとして処方され、アスコマイシンを約1ng〜約10μg含む。一実施形態において、患者は、所定の投与間隔で組成物を自己投与する(例えば、1日1回、1日2回、随時等)。他の実施形態において、医療専門家が眼内注射する。他に、組成物は、ミリグラム量のラパマイシン及び/又はアスコマイシンを含む脂質、又は他の種類のマトリックスである。この実施形態において、製剤は眼に移植され、薬物を長期間徐放する。
本発明のこれら及び他の実施形態は、更に下記の詳細な説明を参照して更に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
方法は、活性成分としてラパマイシン、アスコマイシン、及び/又はラパマイシンとアスコマイシンの併用を含む組成物を、眼内投与による治療を必要とする眼症状を改善するために開示される。眼内投与は全身投与に関連する問題を避けつつ、眼に直接の効果を提供する。ラパマイシンはまたシロリムス、RAPA、及びラパミューン(R)としても知られている。ラパマイシンは、Streptomyces hydroscopicus由来、及び抗カビ剤として本来開発されたトリエンマクロライド抗生物質である。結果として、抗炎症性、制癌性、及び免疫抑制性を示す。アスコマイシンは、またピメクロリムス、イムノマイシン(Immunomycin)、及びFR−900520としても知られている。アスコマイシンは、タクロリムス(FK506)のエチルアナログ、及び強力な免疫抑制性を有する。Th1及びTh2サイトカインを抑制し、肥満細胞の活性化を優先的に抑制し、接触皮膚炎、及び他の皮膚病変を治療するために使用される。ラパマイシン、及びアスコマイシンは、例えば、A.G.Scientific,Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)から市販されている。
【0016】
免疫抑制能力に関して、ラパマイシンはシクロスポリンAと相乗作用が多少ある。ラパマイシンは、他の2つの免疫抑制薬であるシクロスポリンA及びタクロリムスに比べて異なる作用形態を有することが報告されている。3つの物質全てが免疫細胞変調成分(サイトカイン)の作用に影響を及ぼす免疫抑制薬であるが、免疫細胞そのものには影響を及ぼさない。しかし、3つの物質全てが免疫細胞変調成分に影響を及ぼすが、それぞれ違っている。シクロスポリンA、及びタクロリムスは、サイトカインメッセンジャー、特にインターロイキン2の合成を防ぎ、一方、ラパマイシンは、既に合成されたサイトカインに作用し、免疫細胞に到達するのを防ぐ。
【0017】
ラパマイシンは、Tリンパ球、及び樹状細胞の両方に作用することで炎症を抑制する。後者は、抗原を認識する第1細胞である。ラパマイシンは、樹状細胞、及び他の多くの細胞、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)を放出する癌細胞により活性化される腫瘍、及び内皮細胞等の成長を阻害する。VEGFは、新脈管形成(既存の血管から新しい血管の形成)及び脈管形成(内皮細胞分化、及び組織化への影響による胚血管系の発達)の中心調節因子である。異常な新脈管形成、及び脈管形成により特徴づけられる疾病、例えば、癌、及び眼疾患等はVEGFの異常産生を示し得る。よって、VEGF作用の調整は、これらの疾病を調整、又は治療するための1つの手段であり得る。ラパマイシンはまた、冠状動脈ステント手術後の平滑筋の増殖防止にも使用されている。
【0018】
方法は、ラパマイシン又はアスコマイシンの単独、又は併用投与を含み、眼の水分、又は湿潤度の不足を生じる症状の影響を緩和するために有効である。眼乾燥症をもたらす病態の2つの例としては、角膜、及び結膜の湿潤維持に関与する結膜細胞の損傷、又は眼の涙腺及び/又は瞼のマイボーム腺の損傷のいずれかにより眼に影響を及ぼす天疱瘡、及びシェーグレン症候群がある。眼乾燥症をもたらす病態の他の例としては、涙液減少症(hypolacrimation)、無涙液症、眼球乾燥、スティーブンス・ジョンソン症候群、天疱瘡、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、糖尿病、及び/又は角膜手術後(レーシック手術後を含むが限定されない。)がある。眼乾燥症をもたらす病態でない例としては、老化作用、環境要因(例えば、家及び/又は職場環境の乾燥)、及び視覚表示装置の長期使用(例えば、職業、娯楽)がある。
【0019】
本発明の方法は、また、免疫応答の発生が眼疾患、又は眼成分疾患に関わる炎症を患う患者に対して有効でもある。例えば、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、網膜色素変性、及びブドウ膜炎(前部、中間部、又は後部)がある。更に、細菌、真菌類、及びウイルス性疾患を伴う炎症反応もまた眼に影響を及ぼし、ラパマイシンを使用する治療方法が適している。
【0020】
ラパマイシン単独、アスコマイシン単独、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用がいずれの経路でも眼内投与され得る。物質は、例えば、点眼液、軟膏、クリーム、ゲル、懸濁剤等を使用して眼、又は瞼に局所投与される。物質は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリジン、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、及び他の粘性増強剤等の賦形剤を用いて処方される。物質は、例えば、結膜若しくはテノン嚢下注射、硝子体内注射、又は球後注射等で眼に注入される。物質は、ポリマー、マトリックス、マイクロカプセル等の徐放性薬物送達システム、又は、例えば、グリコール酸、乳酸、グリコール酸と乳酸の組合せ、リポソーム、シリコーン、ポリ酸無水物、ポリビニルアセテート単独、又はポリエチレングリコールとの組合せ等から処方される他の送達システムで投与される。送達装置は、長期間にわたる薬物送達のために眼内移植可能であり、例えば、結膜下への移植、眼壁への移植、強膜に縫合される。
【0021】
ラパマイシン単独、アスコマイシン単独、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用が眼症状の治療のために局所製剤で投与される。一実施形態において、物質は局所投与のために処方され、濃度が約50pg/ml(0.000000005%)〜約50μg/ml(0.005%)のラパマイシン、濃度が約50pg/ml〜約50μg/mlのアスコマイシン、総濃度が約50pg/ml〜約50μg/mlとなるラパマイシンとアスコマイシンの併用を含む組成物を投与して涙液の生成を促進する。この範囲内で、物質は十分に安全で効力があり、特定の用途に処方される特定の用量、又は投与プロトコルを可能にする。例えば、ある患者が1日1回よりも多い投与よりも1日1回の投与を好む場合に、この様な患者にはより高い濃度の物質が使用できる。
【0022】
他の実施形態において、約1ng〜約10μgのラパマイシンが水性クリームの賦形剤(cream excipient)に含有される。他の実施形態において、約1ng〜約10μgのアスコマイシンが水性クリームの賦形剤に含有される。他の実施形態において、ラパマイシン及びアスコマイシンは、併用する物質の総量が約1ng〜約10μgになる様々な割合で両方が水性クリームの賦形剤に存在する。薬物は、クリーム中に溶解して直接組み込まれ、又は溶剤、又は無水形態でリポソーム若しくはマイクロスフェアに含有される。クリーム処方は、通常、就寝前に適用されるが、クリームにより視界のぼやけが生じなければ、日中常時適用してもよい。他の実施形態において、物質は、液剤、又は懸濁剤として処方され、点眼液の形態で局所適用される。
【0023】
ラパマイシンは注射でも投与され得る。眼内注射は、例えば、局所投与を勧めない、又は不適切である症状、自己投与薬物療法が困難である患者に対しては望ましく、又は必要である。一実施形態において、注射される量は0.3ml未満である。他の実施形態において、注射される量は約0.01ml〜約0.3mlである。硝子体内投与(硝子体への注射)には、ラパマイシンは、約1ng/0.1ml〜約200μg/ml(0.02%)の濃度で無毒性、又は副作用なしで使用され得る。詳細な実施形態において、約50μg/0.1mlの用量が投与される。注射もまた結膜下(結膜下内に)、又は球後(眼球の後ろに)注射であり得る。結膜下注射には、約1ng/ml〜約200μg/mlの用量が使用され得る。球後注射には、約20μg/ml〜約200μg/mlの用量が使用され得る。アスコマイシンもまた、眼内注射のために注入可能に処方され得る。ラパマイシンの眼内注射への使用と同じ用量がアスコマイシンの眼内注射に使用される。
【0024】
ラパマイシン及びアスコマイシンを単独若しくは併用して長期間送出、及び/又は徐放するために、薬物を収容若しくは含有するマトリックスが眼の中に移植される。例えば、約3mg〜約5mgの薬物を含むレザバーは、一日当り約1μgの薬物を放出可能であると予測される。このような放出率で、連続的な持続投薬が、1,000日〜5,000日を超えて行われ得る。もし一日当り1μg未満の薬物が放出されれば、継続投薬は、10年迄、又は10年を超えて継続し得る。一実施形態において、50μg/日未満の薬物がマトリックスから放出される。他の実施形態において、薬物は約50pg/日〜約50μg/日の割合でマトリックスから放出される。他の実施形態において、薬物は約1μg/日〜約5μg/日の割合でマトリックスから放出される。
【0025】
外科的移植による眼内装置、又はマトリックスは、ポリビニルアルコール、又はポリビニルアセテートの拡散性壁を有し、及びラパマイシン、アスコマイシン、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用のミリグラム量を含有するレザバー容器であり、強膜に移植され得る。他の例としては、ミリグラム量の物質は、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、若しくはポリ酸無水物等のポリマー、又はセバシン酸等の脂質からなり、寸法が約2mm×4mmである重合体マトリックスに組み込まれ、強膜上、又は眼に移植され得る。これは、通常、患者が表面又は局所麻酔を受けて、角膜の後ろに作られるくぼみ(3〜4mm切開)を使用して達成される。マトリックスは、物質を含有し、そして、切開を介して挿入され、9〜0ナイロンを使用して強膜に縫合される。
【0026】
ラパマイシン単独、アスコマイシン単独、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用もまた、眼に局所適用、又は注射するための不活性マトリックス内にも含有し得る。不活性マトリックスの一例として、リポソームはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から調製され、より好ましくは脂質が低温遷移性であるため卵ホスファチジルコリン(PC)から調製される。リポソームは、当業者に公知である標準的な方法を使用して作製される。物質は、ナノグラムからマイクログラム量で卵PCの溶液に追加され、親油性薬物がリポソームに結合する。
【0027】
徐放性薬物送達システムは、眼内に移植されることで活性物質が長期間にわたり徐放される。移植可能な形態は、上記のいずれかのポリマー(例えば、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、又はポリ酸無水物)のカプセル状、又は脂質がマイクロスフェアとして処方され得る。実例として、ラパマイシンは、ポリビニルアルコール(PVA)と混合され、そして、混合物は乾燥されてエチレン酢酸ビニルで皮膜され、そして、再度ポリビニルアルコールで冷却される。リポソームで固定したラパマイシンは、滴状、若しくは水性クリームのいずれか、又は眼内注射で局所適用される。局所適用の処方では、薬物は、眼の表面からの摩擦及び涙によりリポソームカプセルが分解するにつれて時間をかけてゆっくり放出される。眼内注射の処方では、細胞消化によりリポソームカプセルが分解する。これらの処方はどちらも、患者を長期間にわたり薬物に持続的に暴露できる徐放性薬物送達システムの利点を提供する。徐放性処方には、マイクロスフェア、カプセル、リポソーム等があり、大量投与されると有毒になるラパマイシン製剤を含み得る。しかし、徐放性投与はいつでも放出濃度が毒性量を超えないように処方される。これは、例えば、賦形剤の様々な処方(被覆又は非被覆マイクロスフェア、被覆又は非被覆カプセル、脂質又はポリマー組成物、単層又は多層構造、及び上記の組合せ等)を介して達成される。他の変数は、患者の薬物動態―薬力学的パラメータ(例えば、体重、性別、血漿クリアランス率、肝機能等)を含み得る。マイクロスフェア、マイクロカプセル、リポソーム等の形成及び装填、並びにこれらの眼内移植は、当業者に公知の標準的な技術であり、例えば、サイトメガロウイルス性網膜炎を治療するためのガンシクロビルを徐放薬として移植する使用方法がVitreoretinal Surgical Techniques, Peyman他編集(Martin Dunitz、ロンドン 2001 45章); Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology, Wise編集(Marcel Dekker、ニューヨーク 2000)に開示され、この関連する部分は、参照することにより本明細書に援用される。
【0028】
他の例として、ラパマイシン単独、アスコマイシン単独、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用がDMSO、又は上記アルコール等の有機溶媒、及びポリ酸無水物、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、又はポリカプロラクトンポリマーを含む有機溶媒に溶解される。
【0029】
ラパマイシン及び/又はアスコマイシンは、単独又はシクロスポリンA、タクロリムス等の免疫抑制剤と併用して、自動疫応答と関連する及び/又は抗原/抗体反応を含む眼症状を治療するために眼内に実質的に無毒性で投与される。疾病の例としては、上記の方法及び処方を使用する糖尿病患者の網膜症、黄斑変性、網膜色素変性、ベーチェット症候群、トキソプラスマ症、散弾状脈絡膜症、ヒストプラスマ症、扁平部炎、サルコイドーシス等の眼の炎症性疾患、交感性眼炎、蛇行性脈絡膜症(serpiginous choroidopathy)、びまん性の網膜色素上皮症、原田病、結節性多発動脈炎、若年性関節リュウマチ等の病因不明の脈絡膜の炎症性疾患、ブドウ膜炎(ブドウ膜の炎症)、強膜炎(強膜の炎症)、神経炎(視神経の炎症)、又は乳頭炎(視神経乳頭の炎症)を含む眼の状態が挙げられる。これは、疾病の進行を遅くする、重症度を低減する、発症時期を延ばす等の要因の1つ又は組合せにより達成し得る。
【0030】
ラパマイシンの全身投与に関するラパマイシンの毒性が報告されており、眼内使用の制限が考慮された。眼毒性は、肉眼的、及び/又は組織学的網膜及び/又は硝子体中毒反応として現れる。そのような中毒反応の兆候としては、硝子体の白色化(White Vitreous bodies)、硝子体混濁、暗所視、及び明所視状態での平均B波振幅低下、一時的網膜血管閉塞、及び線維素析出等の網膜電図写真異常の1つ以上が挙げられる。
【0031】
一実施形態において、ラパマイシン単独、アスコマイシン単独、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用は、実質的に無毒性量又は用量で眼に投与される。ここで使用されるような実質的に毒性がないとは、毒性の発現がなく、及び当業者が治療を減少する、又は中止するほど有害ではないと見なす毒性の発現のどちらも網羅する。一例として、線維素析出があれば多少の毒性を示すが、当業者が判断したそれらの持続期間、数等が治療を止める正当な理由でなければ実質的な毒性未満である。他の例として、硝子体の白色化(White Vitreous bodies)、及び線維素体があれば多少の毒性を示すが、当業者が判断したそれらの持続期間、数等が治療を止める正当な理由でなければ実質的な毒性未満である。
【0032】
ラパマイシン、又はアスコマイシンのどちらかの用量が上限約200μgまで、又はラパマイシンとアスコマイシンの併用の最終用量が上限約200μgまでの眼内投与は、実質的に毒性は生じない。この用量は、同時係属中の米国特許出願番号10/247,220号明細書に報告する、タクロリムスを250μgの用量で実質的に無毒性で投与するのと似ており、参照することにより本明細書に全体が明示的に援用される。ラパマイシンの静脈注射用溶液の形成は、0.9%NaCl若しくは5%ブドウ糖、又はジメチルスルホキシド(DMSO)若しくはアルコール、好ましくは、低分子量アルコール等の有機溶媒を使用して特定の濃度に達するまで希釈される。眼内投与は、上記の経路、及び処方のいずれでもよい。注射には、溶液、乳濁液、懸濁液、マイクロスフェアのカプセル製剤、又はリポソーム等が使用され得る。
【0033】
ブドウ膜炎を治療するために、ラパマイシンは、結膜下に約1ng/ml〜約200μg/mlの用量で、又は硝子体内に約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの用量で注射される。一実施形態において、用量は約50μg/0.1mlである。前部強膜を含む強膜炎を治療するために、ラパマイシンは局所投与される。後部強膜を含む強膜炎を治療するために、ラパマイシンは約20μg/ml〜約200μg/mlの用量でDMSO又は低濃度のアルコールに溶解して球後注射で投与される。神経炎、又は乳頭炎を治療するために、ラパマイシンは約20μg/ml〜約200μg/mlの用量で球後注射で投与される。アスコマイシンは、ラパマイシンと同じ用量を使用して所定の指示に対して同じ経路により投与される。
【0034】
糖尿病性網膜症は、失明の主な原因である。真性糖尿病の患者は、インスリンの循環が完全に又は相対的に欠如しており、様々な要因による網膜での血管変化をしばしば示す。これらの変化は、網膜小動脈瘤、小出血、滲出液を発症し、瘢痕組織を形成する。新規血管が視神経円板(増殖性網膜)の周りに形成される。時間とともに、そのような血管作用の蓄積が結果的に眼の病変となり、最終的には糖尿病患者の視力を低下させる。よって、これらの血管変化を減少する又は影響を減少する組成物及び方法は、糖尿病患者の視力の維持、又は少なくとも視力喪失の遅延の見込みを増加する。
【0035】
黄斑変性は、また加齢性黄斑変性(AMD)とも言われ、網膜下領域において新規血管が増殖する病態である。新規血管そのものの存在は問題ではないが、一方で、新規血管から血液、及び他の漿液が漏れ、周囲の空間に貯留される。視力障害に至るのはこの液体貯留による。例えば、網膜において、大血管と毛細管のどちらも通常は無傷血管壁を有する。脈絡膜において、大血管は通常無傷血管壁を有するが、しかし、毛細血管壁又は膜は、有窓又は開口部を含む。これらの毛細血管壁に存在する内因性又は外因性液体、例えば、血液、漿液、可溶化薬等が血管外及び周囲に漏れる。液体貯留は、網膜色素上皮、及び感覚神経網膜の漿液性及び出血性剥離となる可能性があり、並びに線維性変性の瘢痕化(fibrous deform scarring)により視力喪失に至る可能性も有る。AMDの初期段階の患者は、眼に色素の異常凝集の存在、いわゆるドルーゼンにより診断可能である。ドルーゼンは、網膜色素上皮下の光受容細胞の壊死した外側部である。眼に大きな軟性ドルーゼンが存在する場合、滲出性のAMDの前状態を示唆し、特に1つの眼に既に影響がある場合に、患者は新血管形成の発達が通常よりも高い危険性に置かれている。
【0036】
網膜色素変性は、網膜の感覚構造である杆状体及び錐状体の疾病の異種群も網羅する一般的な用語である。網膜色素変性は遺伝性疾患であり、炎症過程ではないが、疾病の兆候として周辺網膜に色素が凝集した不規則な黒い沈着が存在する。よって、網膜色素変性に対する免疫成分は少なくともいくつかあるようであり、免疫抑制薬による治療が症状の軽減に役立つ。
【0037】
眼疾患におけるラパマイシン及びアスコマイシンの治療効力の可能な機序は、免疫抑制活動に関する。例えば、視力に関係しない理由で免疫抑制薬を用いて治療した糖尿病患者は、他の糖尿病患者よりも網膜症が長期間発現しにくい。もう1つの理由として、AMDに存在するドルーゼンは慢性炎症刺激を構成し、補体等の様々な炎症性メディエータによる被包化のターゲットとなる。免疫抑制薬での治療は、この反応を改善し得る。免疫抑制療法により、リンパ球等の循環する免疫担当細胞の数が減少する。さもなければ、これらの細胞は、免疫応答に関与する可能性を有し、眼の小さな毛細血管及び小動脈内にとどまって閉塞を形成するため、故に血流等を閉塞する。リンパ球に加えて、他の造血細胞もまた免疫療法により影響され、他の造血細胞の例としては、赤血球、巨核球(血小板の前駆体)、栓球(血小板)、並びに単核細胞、及び顆粒球等の他の白血球等が挙げられる。眼に対する免疫抑制薬の局所、又はin situ投与は、これらの細胞数の減少が期待され、免疫応答の減少、より少ない閉塞、血流の増加、及び眼血管の開通性の増加をもたらす。
【0038】
ラパマイシン、アスコマイシン、又は前記の処方、用量、組成、投与経路等のいずれか2つの組合せ等が用いられ得る。有効成分は、ラパマイシン又はアスコマイシン単独がよい。一実施形態において、ラパマイシンは記載のように1つ以上のシクロスポリンA及び/又はタクロリムス等の公知の免疫抑制薬と併用して投与される。他の実施形態において、ラパマイシンは記載のように1つ以上の抗生物質と併用して投与される。他の実施形態において、アスコマイシンは記載のように1つ以上の公知の免疫抑制薬と併用して投与される。他の実施形態において、アスコマイシンは記載のように1つ以上の抗生物質と併用して投与される。そのような併用は、結膜炎等の微生物成分を有する眼疾患治療に有効である。使用される抗生物質は、当業者に公知である。(例えば、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Eighth Edition, Gilman et al., Eds. (Pergamon Press、ニューヨーク 1990、1024〜1033頁、参照することにより本明細書に援用される)。そのような模範的な抗生物質は限定されず、本発明は、眼疾患治療のためにラパマイシン及び/又はアスコマイシンと併用する現在既知、及び未知の抗生物質を網羅する。なぜならば、ラパマイシンは眼に局所投与(例えば、眼内注射、眼に局所適用等)されるため、全身免疫抑制投与による療法でもたらされる悪影響(例えば、末梢血白血球の減少、感染に対する脆弱性、免疫抑制薬そのものの肝障害及び腎臓毒性等)がないからである。
【0039】
明細書に示され及び記載された本発明の実施形態は当業者である発明者の好適な実施形態にすぎず、全く限定されないと理解すべきである。従って、実施形態に対する多様な変更、改良、又は修正は、本発明の精神及び請求の範囲から逸脱せずに行われ又は用いられよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼症状の治療方法であって、
組成物の眼内移植工程
を含み、前記組成物は、
徐放性マトリックス、並びに
症状の治療に効果的な量のラパマイシン、アスコマイシン、及びこれらの併用からなる群より選択される薬物
を含むことを特徴とする患者の眼症状の治療方法。
【請求項2】
免疫反応に関連する症状、加齢性の眼症状、眼の変性状態、眼の水分に関連する症状、角膜手術後の症状、及びこれらの組合せからなる群より選択される症状を治療する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
眼乾燥症、強膜炎、神経炎、乳頭炎、ブドウ膜炎、網膜症、網膜色素変性、黄斑変性、天疱瘡、シェーグレン症候群、ベーチェット症候群、トキソプラスマ症、散弾状脈絡膜症、ヒストプラスマ症、扁平部炎、サルコイドーシス、交感性眼炎、蛇行性脈絡膜症(serpiginous choroidopathy)、びまん性の網膜色素上皮症、原田病、結節性多発動脈炎、及び若年性関節リュウマチからなる群より選択される症状を治療する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、強膜に移植される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マトリックスは、約3mg〜約5mgの前記薬物を含有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者の眼症状の治療方法であって、
組成物の眼内投与工程
を含み、前記組成物は、
上限約200μgまでの濃度で実質的に無毒性な症状の治療に効果的な薬学的に許容される処方で、ラパマイシン、アスコマイシン、及びこれらの併用からなる群より選択される薬物
を含むことを特徴とする患者の眼症状の治療方法。
【請求項7】
免疫反応に関連する症状、加齢性の眼症状、眼の変性状態、眼の水分に関連する症状、角膜手術後の症状、及びこれらの組合せからなる群より選択される症状を治療する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
眼乾燥症、強膜炎、神経炎、乳頭炎、ブドウ膜炎、網膜症、網膜色素変性、黄斑変性、天疱瘡、シェーグレン症候群、ベーチェット症候群、トキソプラスマ症、散弾状脈絡膜症、ヒストプラスマ症、扁平部炎、サルコイドーシス、交感性眼炎、蛇行性脈絡膜症(serpiginous choroidopathy)、びまん性の網膜色素上皮症、原田病、結節性多発動脈炎、及び若年性関節リュウマチからなる群より選択される症状を治療する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、局所適用、眼内注射、及び眼内移植から選択される方法により投与される請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、シクロスポリンA、タクロリムス、及びこれらの併用を更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
患者の眼症状の治療方法であって、
組成物の眼内投与工程
を含み、前記組成物は
症状の治療に効果的な薬学的に許容される処方で本質的にラパマイシン
からなり、前記工程は、約50pg/ml〜約50μg/mlの濃度で局所投与、約1ng/ml〜約200μg/mlの用量で結膜下注射、約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの用量で硝子体内注射、又は約20μg/ml〜約200μg/mlの用量で球後注射からなる群より選択される方法により行われることを特徴とする患者の眼症状の治療方法。
【請求項12】
前記注射は、約50μg/0.1mlの用量で硝子体内注射である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
免疫反応に関連する症状、加齢性の眼症状、眼の変性状態、眼の水分に関連する症状、角膜手術後の症状、及びこれらの組合せからなる群より選択される症状を治療する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
眼乾燥症、強膜炎、神経炎、乳頭炎、ブドウ膜炎、網膜症、網膜色素変性、黄斑変性、天疱瘡、シェーグレン症候群、ベーチェット症候群、トキソプラスマ症、散弾状脈絡膜症、ヒストプラスマ症、扁平部炎、サルコイドーシス、交感性眼炎、蛇行性脈絡膜症(serpiginous choroidopathy)、びまん性の網膜色素上皮症、原田病、結節性多発動脈炎、及び若年性関節リュウマチからなる群より選択される症状を治療する請求項11に記載の方法。
【請求項15】
眼治療方法であって、
角膜手術後の患者への組成物の眼内投与工程
を含み、前記組成物は、
薬学的に許容される処方、及び患者の術後の眼の水分増加に効果的な量で本質的にラパマイシン
からなることを特徴とする眼治療方法。
【請求項16】
前記組成物は、局所投与、及び眼内注射からなる群より選択される方法により投与される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は、約1ng/ml〜約200μg/mlの用量で結膜下注射、約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの用量で硝子体内注射、又は約20μg/ml〜約200μg/mlの用量で球後注射により投与される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物は、眼内移植される請求項15に記載の方法。
【請求項19】
約50pg/ml〜約50μg/mlの濃度で局所投与される請求項15に記載の方法。
【請求項20】
眼治療方法であって、
角膜手術後の患者への組成物の眼内投与工程
を含み、前記組成物は、
薬学的に許容される処方、及び患者の術後の眼の水分増加に効果的な量で本質的にアスコマイシン
からなることを特徴とする眼治療方法。
【請求項21】
前記組成物は、局所投与及び眼内注射からなる群より選択される方法により投与される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物は、約1ng/ml〜約200μg/mlの用量で結膜下注射、約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの用量で硝子体内注射、又は約20μg/ml〜約200μg/mlの用量で球後注射により投与される請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物は、眼内移植される請求項20に記載の方法。
【請求項24】
約50pg/ml〜約50μg/mlの濃度で局所投与される請求項20に記載の方法。
【請求項25】
患者の眼症状の治療方法であって、
患者への薬学的に許容される処方の眼内投与工程
を含み、前記処方は、
実質的に無毒性で眼症状の治療に効果的な上限約200μgまでの量でラパマイシン、アスコマイシン、及びこれらの併用からなる群より選択される薬物、並びに
少なくとも1つの抗生物質
からなることを特徴とする患者の眼症状の治療方法。
【請求項26】
前記組成物は、局所投与、眼内注射、及び眼内移植からなる群より選択される経路により投与される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
眼症状の治療用組成物であって、
生理学的に許容される眼内処方、及び実質的に無毒性で眼症状の治療に効果的な上限約200μgまでの用量で本質的にラパマイシン
からなることを特徴とする眼症状の治療用組成物。
【請求項28】
局所投与のために処方される請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
注入可能に処方される請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
眼症状の治療用組成物であって、
生理学的に許容される眼内処方、及び実質的に無毒性で眼症状の治療に効果的な上限約200μgまでの用量で本質的にアスコマイシン
からなることを特徴とする眼症状の治療用組成物。
【請求項31】
局所投与のために処方される請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
注入可能に処方される請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
眼症状の治療用組成物であって、
生理学的に許容されるマトリックス、並びに
眼内移植のために3mg〜5mgの量でラパマイシン、アスコマイシン、及びこれらの併用からなる群より選択される薬物
を含むことを特徴とする眼症状の治療用組成物。
【請求項34】
前記マトリックスは、脂質、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、及びこれらの組合せからなる群より選択される物質を含む請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記マトリックスは、前記薬物を徐放する請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記マトリックスは、約50μg/日未満、約50pg/日〜約50μg/日、及び約1μg/日〜約5μg/日からなる群より選択される割合で前記薬物を放出する請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
患者の眼症状の治療方法であって、
組成物の眼内投与工程
を含み、前記組成物は、
症状の治療に効果的な薬学的に許容される処方で本質的にアスコマイシン
からなり、前記工程は、約50pg/ml〜約50μg/mlの濃度で局所投与、約1ng/ml〜約200μg/mlの用量で結膜下注射、約1ng/0.1ml〜約200μg/mlの用量で硝子体内注射、又は約20μg/ml〜約200μg/mlの用量で球後注射からなる群より選択される方法により行われることを特徴とする患者の眼症状の治療方法。
【請求項38】
前記注射は、約50μg/0.1mlの用量で硝子体内注射である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
免疫反応に関連する症状、加齢性の眼症状、眼の変性状態、眼の水分に関連する症状、角膜手術後の症状、及びこれらの組合せからなる群より選択される症状を治療する請求項37に記載の方法。
【請求項40】
眼乾燥症、強膜炎、神経炎、乳頭炎、ブドウ膜炎、網膜症、網膜色素変性、黄斑変性、天疱瘡、シェーグレン症候群、ベーチェット症候群、トキソプラスマ症、散弾状脈絡膜症、ヒストプラスマ症、扁平部炎、サルコイドーシス、交感性眼炎、蛇行性脈絡膜症(serpiginous choroidopathy)、びまん性の網膜色素上皮症、原田病、結節性多発動脈炎、及び若年性関節リュウマチからなる群より選択される症状を治療する請求項37に記載の方法。

【公表番号】特表2007−518690(P2007−518690A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521975(P2006−521975)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/024054
【国際公開番号】WO2005/011813
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506033078)アドバンスト アキュラー システムズ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】