説明

眼科用レンズ又はその他の物質を洗浄するための洗浄器に用いる高圧液体噴射ノズル

【課題】 眼科用ガラス又は他の物質を洗浄するための洗浄器に使用する高圧洗浄液体スプレであって、該スプレは、洗浄用液体を導入するための導入開口部(11)と、噴流となった液体を排出するための排出開口部(12)を備え、これら導入開口部(11)と排出開口部(12)は、チャネル(1)により接続される。チャネル(1)は、断面長方形のチャネルであるとともにその途中部に絞り部を有し、これによりX字形状のチャネルとなり、前記絞り部の下流側において、拡張されたスリット状の排出空洞部端部が形成され、該端部が前記排出開口部をなし、前記絞り部の上流において、錘状のベース部内に導入空洞部(14)が形成され、前記断面長方形のベースがチャネル(11)の導入開口部(11)を形成することを特徴とするスプレノズルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用ガラス又はその他の基板を洗浄するための洗浄器に用いる高圧洗浄液スプレのためのノズルを目的とする。
【背景技術】
【0002】
既存の眼科用ガラス洗浄機において用いられるスプレノズルは、平面状の高圧液体洗浄の噴流をガラス表面と接触させることにより、眼科用ガラス表面の洗浄を可能とする。このようなスプレノズルは通常、それぞれの平面の上に位置する円柱体からなる。この円柱体は、それぞれ高圧洗浄液を導入するための導入開口部と、液体の噴流を排出するための排出開口部に用いられる。上記の開口部はチャネルにより互いに接続される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、既存のスプレノズルによっては効果的な結果を得ることができない。実際、ノズル内で用いられるチャネルは、気泡を発生させるベンチェリ効果を生み出す。スプレノズルの排出口から発射される液体の噴流内にこのような気泡が存在すると、ガラス表面全体が上記の噴流と接触することができなくなり、液体と接しない部分が生じる。この結果、ガラス表面の一部が不衛生な状態のまま残ることとなる。
【0004】
この問題を解決するために、洗浄されるガラス表面に対して、洗浄液体の噴流が流れる流路を複数創出する。しかしながら、このことは洗浄機の生産性を低下させる。
【0005】
本発明の目的は、特にガラス表面の洗浄、又はその他の同様の部品の洗浄のための高圧洗浄液スプレを提供し、気泡を生じることなくノズル先端の排出口から高圧液層をスプレし、高圧液層に接触するガラス表面全体が高圧液と接することを可能にすることにより、これらの問題を解消し、既存のノズルによって得られるよりも効果的な結果と良好な生産性を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、スプレノズルは洗浄液を導入するための導入開口部と、液体の噴流を排出するための排出開口部からなる。これら開口部は断面が矩形状のチャネルにより接続される。このチャネルは特にその途中部においてこのチャネルにX字形状を与える狭窄部(絞り部)を有する。これにより、上記の狭窄部の下流において、排出開口部を形成するスリット部に終端部を有する拡大された排出空洞部が形成される。一方で、上記の狭窄部の上流においては、錐状のベース部内に導入空洞部が形成される。この錐状のベースにおいて、断面長方形状のベース部がチャネルの導入開口部を形成する。
本発明によれば、チャネルの長方形状断面の幅は、チャネルの排出開口部から導入開口部に向けて徐々に大きくなる。導入開口部と排出開口部の間の接続を行う狭窄部の内壁は、好ましくは流路の内側に向けて湾曲している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の効果及び特徴は、以下の説明と添付の図面を参照することにより、より明らかとなる。尚、以下の説明と図面は本発明の実施形態を限定するものではない。
【0008】
図1は、本発明に係るスプレノズルを示す。スプレノズルは、長方形の断面を有するチャネル(1)を備える。チャネル(1)は、ノズルのフレームを横切っている(他の実施形態においては、フレームを有さなくともよい)。ノズル軸方向途中部には、絞り部(10)が形成される。好適な製造工程において、垂直方向からみた輪郭はX字形状をなす。X字状のノズルの各端部には、スプレノズルのチャネルの導入開口部(11)並びに排出開口部(12)が形成される。排出開口部は、ノズルのフレームに形成され、幅寸法よりもはるかに大きな長さ寸法を備えるようにされる。これにより、スプレ用スリット部が形成され、液体の噴流が、薄膜状をなして強制的に外方へ押し出されることとなる。
【0009】
導入開口部(11)は、分配箱に接続可能なように形成される。分配箱は、高圧の洗浄液をスプレノズルのチャネルに供給するためのものである。導入開口部(11)は、窓のような形状をなし、その幅寸法は、スリット形状をなす排出開口部(12)の幅寸法よりも大きく形成される。
導入開口部(11)の長手方向側縁は、排出開口部(12)の長手方向側縁に対して平行である。
【0010】
チャネル(1)の幅(A)は、深さとも捉えることができるが、導入開口部(11)から排出開口部(12)に向けて、その寸法が減少する。
チャネル(1)は、排出空洞部(13)を備える。排出空洞部(13)は、ノズルの絞り部(10)から下流に向けてV字形状をなす。一方で、絞り部(10)に対して上流側にある導入空洞部が、錘状のベース部に形成される。錘状のベース部は、断面長方形のベースであり、導入開口部(11)を形成する。
【0011】
排出空洞部(13)の機能は、薄板形状の液体の噴流をスリット(12)から噴出させることを可能とすることである。その一方で、排出空洞部(13)の上流側には、導入空洞部(14)が広がっている。導入空洞部(14)の機能は、高圧の洗浄液体がノズルチャネル(10)に供給されることを可能とすることであり、その際の抵抗を最小限化することである。また、導入空洞部(14)は、洗浄液体の蒸気圧よりも低い状態に洗浄液体の圧力を維持することと排出空洞部(13)に流入するときに液体中に気泡が形成されることを防止することを両立させる役割を担う。
流入開口部(11)と排出開口部(12)間を繋ぐ絞り部(10)の内壁は、内部チャネル(10)に向けて湾曲する。これにより、流体が導入開口部(11)から排出空洞部(12)に移動する間、流体がチャネル(10)の内壁との接触を維持し、気泡の形成が防止されることとなる。
【0012】
排出開口部(12)により、ノズル出口から排出された液体は、広がりを有する液体層を形成することとなる。この排出形態においては、ベンチェリ効果や気泡は存在しない。このことは、結果として、眼科用ガラスの表面に対する洗浄を従来以上に効果的に行なうことを可能とし、洗浄されていない部分を残さない。
【0013】
導入開口部(11)の表面を排出開口部(12)の表面よりも6倍大きくし、液体の圧力を8バールと20バールにした状態で、数多くの試験が実行された。この試験により、使用者は、ノズル出口において、200km/h以上の流速で気泡を有さない液体層を得ることが可能となったことが示された。尚、本試験において、チャネルの幅は、0.15 mmから0.30mmの間の範囲で設定された。
【0014】
本発明にしたがって、分配装置(4)に組み込まれたノズルが図2に示される。分配装置(4)は、装置フレーム(40)を備える。装置フレームの長手方向縁のうち一方の側には、一定間隔で、X字形状のチャネル(10)が形成される。図2中においては、チャネル(10)は1つのみ示されている。
分配装置(4)は、分配箱(41)を備える。分配箱(41)は、高圧の洗浄液(3)を収容する。高圧の洗浄液(3)は、断面長方形の導入開口部(11)から各チャネル(10)に供給され、分配箱(41)から排出される。分配箱(41)から供給された液体は、広がりを有する層(30)となり、高速流をなし、噴出する。この層(30)中には気泡は含まれない。
装置の蓋体(42)は、装置(40)の長手方向縁を覆う。これにより、本発明にしたがうスプレチャネルが形成される。各スプレノズルのチャネル(10)間の距離は、スプレノズルの排出開口部(12)から噴出する液体層(30)が互いに重なり合い、ガラスの直径と同じ大きさ又はそれ以上の大きさの単一の液体層をなすように定められる。これにより、結果として得られる液体層(30)とガラス表面が接触し、ガラスが洗浄されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るスプレノズルの排出開口部と導入開口部を接続するチャネルを示す概略図である。
【図2】本発明に係るスプレノズルを備える眼科用ガラス洗浄機のためのスプレ装置を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用ガラス又は他の物質を洗浄するための洗浄器に使用する高圧洗浄液体スプレノズルであって、
該スプレは、洗浄用液体を導入するための導入開口部(11)と、噴流となった液体を排出するための排出開口部(12)を備え、
これら導入開口部(11)と排出開口部(12)は、チャネル(1)により接続され、
該チャネル(1)は、断面長方形のチャネルであるとともにその途中部に絞り部を有し、これによりX字形状のチャネルとなり、
前記絞り部の下流側において、細長いスリット状の排出空洞部端部が形成され、該端部が前記排出開口部をなし、
前記絞り部の上流において、錘状のベース部内に導入空洞部(14)が形成され、前記断面長方形のベースがチャネル(1)の導入開口部(11)を形成することを特徴とするスプレノズル。
【請求項2】
前記チャネル(1)の長方形断面の幅(a)がチャネル(1)の排出開口部(12)から導入開口部(11)に向けて、徐々に増加することを特徴とする請求項1記載の噴流スプレノズル。
【請求項3】
前記導入開口部(11)と前記排出開口部(12)の間の接続部を形成する絞り部(10)の内壁部(15)がチャネル内部に向けて湾曲していることを特徴とする請求項1又は2記載の噴流スプレノズル。
【請求項4】
本体部(40)を備え、
該本体部(40)は、該本体部(40)上に一定間隔で配されるチャネル(10)と高圧洗浄液を収容する分配箱(41)を備え、
前記高圧洗浄液は、ノズルの導入開口部(11)を介して各チャネルに供給されるとともに広がりを有する層(3)の形態をなし、高速で噴出し、
各スプレチャネル(10)の排出開口部(12)で噴出する液体(30)の層がガラス表面の直径以上の幅を有する液体の単一の層が得られるように、前記スプレチャネル(10)の間隔が定められ、
これにより、ガラス表面と結果として得られる液体の層が接触し、前記ガラス表面が洗浄されることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のスプレノズル用のチャネル(10)を使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−536671(P2008−536671A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506996(P2008−506996)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003575
【国際公開番号】WO2006/111363
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507025951)スペシャル コーティング ラボラトリ インターナショナル (3)
【Fターム(参考)】