説明

着色ポリプロピレン/ポリスチレン支持体

ポリプロピレン/ポリスチレン支持体、特に繊維、糸、層およびフィルムの着色プロセスであって、支持体は0.1重量%から4重量%の分散染料、炭素原子が1個から6個の有機酸、および少なくとも1つの界面活性剤を含む水性組成物によって着色され、それにより前記着色は、少なくとも一部が90℃より高い温度で実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維、フィルム、成型品のようなポリプロピレン支持体の着色(染色、印刷)に関し、特に、少なくとも一部はポリプロピレン繊維または糸で作成したカーペット(タフテッド・カーペット、織りカーペット、不織布カーペットなど)、織物などの染色および/または印刷、および/またはフィルムの印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンが、印刷および/または染色が困難な材料であることは周知である。
【0003】
一般的な染色技術を使用したポリプロピレン繊維の染色は困難であり、適正な染色ポリプロピレン繊維を達成できないことは周知である。
【0004】
したがって、着色ポリプロピレン繊維を調製する最も一般的な方法は、紡ぐ前にポリプロピレン組成物に固体顔料を含めることである。
【0005】
前記問題を解決するために、何らかのアミド誘導体(ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、共重合ポリアミド)をポリプロピレン組成物に添加することは周知である。このような添加物は米国特許第6,679,754号に開示されている。
【0006】
ポリプロピレン/ポリスチレン繊維が、米国特許第6,248,835号に開示されている。しかし、前記特許は、繊維の染色性について、特に繊維の染色については沈黙している。
【0007】
現在では、周知の染色および印刷方法を使用し、何らかのポリスチレンをポリプロピレンに添加することによってポリプロピレン支持体を容易に印刷し、染色できることが発見されている。特に、ポリプロピレン繊維は、多少のポリスチレンが添加され、染色が少なくとも何らかの酸が存在する状態で実行され、少なくとも一部が、130℃より高い温度で加圧して実行された場合に、優れた染色性を有することが発見されている。
【0008】
さらに、印刷または染色したPP/PS支持体は一般的なPP支持体より軟質であり、それにより支持体、繊維または糸の感触特徴を向上させることが発見されている。
【特許文献1】米国特許第6,679,754号
【特許文献2】米国特許第6,248,835号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
軟性・感触等における優れた特性と適正な破壊強さ等を有し、様々な用途に適応可能なポリプロピレン/ポリスチレン支持体の染色・印刷方法を提供することを課題とする。
次に、本発明についてさらに開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ポリプロピレン/ポリスチレン支持体、特に繊維、フィルムなどの着色プロセス(例えば、染色プロセスまたは印刷プロセス)に関し、支持体(繊維、フィルムなど)は、0.1重量%から4重量%の分散染料、1個から6個の炭素原子の有機酸、および少なくとも界面活性剤を備える水性組成物によって着色し(1つまたは複数の染料で染色または印刷し)、前記着色は、少なくとも一部は90℃より高い温度で実行される。染色する場合、着色ステップは、少なくとも一部を、130℃より高い温度および10Paより高い圧力で実行することが有利である。
【0011】
支持体の最善の着色(染色、印刷)は、ポリプロピレン/ポリスチレン支持体(繊維、フィルムなど)が、1:20と1:4の間、好ましくは1:10と1:5の間のポリスチレン/ポリプロピレン重量比を有する場合に達成されたことが観察されている。ポリスチレン/ポリプロピレンの重量比が13:87と17:83の間のポリプロピレン支持体(繊維、フィルムなど)を使用する場合、支持体(繊維、フィルムなど)の着色(染色、印刷)能力または適性は極めて一定であった。すなわち染色プロセスの制御が容易であった。
【0012】
有利なこととしては、炭素原子1個から6個の有機酸が組成物内に存在し、したがってpHが3と5の間、好ましくは約4である。
【0013】
ある実施形態によると、着色(染色、印刷)組成物のpHは、染色プロセス中に酸を添加することによってほぼ一定のpHに維持される。
【0014】
有機酸として少なくともクエン酸を使用することが好ましい。
【0015】
最も好ましくは、組成物の有機酸含有量は、1g/lと10g/lの間、より好ましくは1g/lと5g/lの間である。
【0016】
好ましい実施形態の詳細によると、着色(染色、印刷)は、少なくとも一部を130℃より高い温度で少なくとも5分間、有利には少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間実行する。例えば、温度は少なくとも5分間、有利には少なくとも10分間、好ましくは15分間に、140℃と150℃の間のように130℃と170℃の間である。
【0017】
支持体(繊維、フィルムなど)は、1つまたは複数の他の添加剤を含むことができる。しかし、支持体(繊維、フィルムなど)は、90重量%を超える、好ましくは95重量%を超える、さらに好ましくは99重量%を超えるポリプロピレンおよびポリスチレンを含むことが有利である。
【0018】
特定の実施形態によると、染色は、少なくとも一部を、140℃と150℃の間の温度、および/または(好ましくはおよび)少なくとも一部を、1.5×10Paと10×10Paの間の圧力で実行する。
【0019】
着色(染色または印刷)後、支持体(繊維、フィルムなど)は洗浄し、乾燥することが有利である。印刷した場合、支持体(繊維、糸、フィルムなど)は、着色または印刷後に定着ステップにかけることが有利であり、前記定着ステップは、5分間と40分間の間、好ましくは10分間と25分間の時間だけ実行することが有利である。前記定着ステップは、80℃より高い温度、好ましくは110℃より高い温度、例えば80℃と130℃の間の温度、好ましくは110℃と130℃の間で実行することが有利である。
【0020】
繊維は糸を形成し、それにより糸を着色(染色または印刷)することが好ましい。
【0021】
また、本発明は、
−少なくとも一部は、本明細書の上記で開示したような本発明のプロセスによって調製された着色(染色または印刷)ポリプロピレン/ポリスチレン支持体、特に繊維または糸またはフィルムと、
−本発明の少なくとも着色(染色または印刷)ポリプロピレン/ポリスチレン支持体(繊維、糸、フィルムなど、およびその組合せ)を備える生成物とに関し、前記生成物は、織布、不織布、カーペット(タフテッド・カーペット、織りカーペット、不織布カーペットなど、およびその組合せ)、衣服、濾材、椅子張り、合成紙、フィルム、成型品、包装材料およびその組合せで構成された群から選択することが有利であり、
−基本的にポリプロピレンおよびポリスチレンで作成された基質を備えるポリプロピレン/ポリスチレン支持体に関し、ポリスチレン/ポリプロピレンの重量比は1:10と1:5の間、好ましくは12:88と17:83の間、特に約15:85であり、前記支持体は、0.05重量%から1%の少なくとも炭素原子1個から6個の有機酸、好ましくはクエン酸を含むことが有利であり、前記基質は少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%(例えば、95重量%以上)のポリプロピレンおよびポリスチレンを含むことが有利である。
【0022】
本発明の繊維、糸、フィルムまたは支持体に使用されるか、本発明の着色プロセスで使用されるポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、または共重合体、ポリプロピレンとHDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンの共重合体、ランダムおよびインパクト(impact)共重合体でもよい。ポリプロピレンは、ラジカル重合、触媒重合によって調製することができる。場合によっては、ポリプロピレンをポリエチレン(高密度PE、低密度PE、中密度PE)のようにポリスチレン以外の何らかのポリマーと混合することができる。ポリプロピレン中にポリスチレン以外のポリマーの含有率は、最大15重量%になり得る。しかし、他のポリマーの含有率は、そのポリスチレン含有率より低いことが好ましい。
【0023】
本発明の、または本発明の方法で使用されるポリプロピレン/ポリスチレン繊維、糸、支持体は、UV吸収剤、安定剤、酸化防止剤、加工助剤、金属不活性化剤、亜リン酸塩、窒化塩化リン、ヒドロキシルアミン、ニトロン、アミンオキシド、ベンゾフラノン、インドールイノン(indolinones)、チオシナージスト(thiosynergists)、過酸化物捕捉剤、補助安定剤、核剤、充填材、補強剤、分散剤、潤滑剤、架橋剤、防炎加工剤、静電防止剤、触媒、レオロジー添加剤、流れ調整剤、ガム、染料、粉末染料などのように1つまたは複数の添加剤を含むことができる。このような添加剤の例が、米国特許第6,679,754号で与えられている。
【0024】
本発明は、本発明によるプロセスで処理するのに適切な支持体の調製に使用するよう意図されたポリプロピレン/ポリスチレン粒子にも関し、前記粒子は、各粒子がポリスチレンおよびポリプロピレンを好ましくはポリスチレンとポリプロピレンの混合物の形態で備えることを特徴とする。
【0025】
粒子は、10μmと10mmの間、有利には100μmと5mmの間の平均粒子サイズを有すると有利である。粒子は、薄片、ビードまたは顆粒の形態を有すると有利である。
【0026】
粒子は、1:20と1:4の間、好ましくは1:10と1:5の間の重量比のポリスチレン/ポリプロピレンを特徴とすることが好ましい。
【0027】
例えば、ポリスチレン/ポリプロピレンの重量比は1:10と1:5の間、好ましくは12:88と17:83の間、特に約15:85である。
【0028】
粒子は、ほぼ均質な組成を有することが好ましい。
【0029】
粒子は、UV吸収剤、安定剤、酸化防止剤、加工助剤、金属不活性化剤、亜リン酸塩、窒化塩化リン、ヒドロキシルアミン、ニトロン、アミンオキシド、ベンゾフラノン、インドールイノン、チオシナージスト、過酸化物捕捉剤、補助安定剤、核剤、充填材、補強剤、分散剤、潤滑剤、架橋剤、防炎加工剤、静電防止剤、触媒、レオロジー添加剤、流れ調整剤、ガム、染料、粉末染料などのように1つまたは複数の添加剤および/または充填材を含むと有利である。このような添加剤の例が、米国特許第6,679,754号で与えられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
実施例
ポリプロピレン(PP)/ポリスチレン(PS)繊維の調製
繊維用途の商用のポリプロピレンは、ポリスチレンおよびUV安定剤と混合されている。混合物は、押出紡糸設備に供給し、処理して連続糸にする。
【0031】
使用されるポリプロピレンは、80g/10分未満、好ましくは30g/10分未満のメルトフローレート(MFR ASTM−1238L)を有する。一方、PPの密度(ASTM−D1505)は0.90から0.91(g/cm)まで変動することができる。前記ポリプロピレンの融点は約165℃であった(DSC)。ポリプロピレンの他の特性は、約30から40%の伸び率、3から5g/デニールの強度、約3から4.5%の線状かせ収縮率(ASTM D3218)、約150℃から220℃の軟化点(ASTM D−1525)である。ポリプロピレンは非晶質であると有利である。使用されるポリプロピレンは、Tgが約0℃であると有利である。
【0032】
PP/PS繊維の調製には、以下のPPが使用されている。
【0033】
【表1】

【0034】
PP/PSの調製に使用されるポリスチレンは、以下の特性を有する。すなわち、1から30g/分、好ましくはポリスチレンが添加されるPPのMFRと実質的に等しいメルトフローレート(ASTM D−1238)、160℃と220摂氏の間のビカー軟化点(ASTM D−1525)、40Mpaと70Mpaの間の引張り強さ(ASTM D−638)、結晶はアタクチックまたはシンジオタクチック(シンジオタクチックが有利である)、1.01から1.06の密度(ASTM D 792)である。使用されるポリスチレンは、Tgが約100℃であると有利である。
【0035】
着色される繊維および糸の調製には、以下の混合物が使用されている。前記混合物では、使用したUV安定剤は製品Tanvin(登録商標)であった。
【0036】
【表2】

【0037】
このように調製した混合物のTgは、100℃より低いが、0℃より高い。ポリプロピレンにポリスチレンを添加すると、ポリプロピレンのみと比較して、ポリプロピレンの結晶化度が低下し、吸湿性または吸水性が向上する。
【0038】
繊維および糸は、押出紡糸取付具のように既知の技術にしたがって生産される。繊維および糸はその後、場合によっては、織物、織布、不織布、カーペット(タフテッド・カーペット、織りカーペット、不織布カーペット、その組合せ)、ループおよびカットパイル・カーペット、床敷物、糸、テキスタイル、人工皮革などを生産するステップのようなプロセス後ステップの後に着色または印刷することができる。
【0039】
着色ステップ
混合物1から15から調製された糸は、以下の処理に従って着色された。
【0040】
ステージ1
糸を、コーンのような穴あき金属支持体に巻き付ける。糸は、水性浴内で石鹸を使用し70℃で予洗いし、再洗いして、すすいである。
【0041】
ステージ2
染色浴は以下のように調製されている。水を(陰イオン/非イオン性)レベリング剤(levelling agent)、分散材、潤滑剤およびクエン酸と混合した。ポリエステルに適した分散染料を添加し、浴に混合した。前記混合物は、約50℃の温度で実行すると有利である。
染色浴は約4のpH、2%と4%の間の分散染料含有率、約1g/lのレベリング剤またはレベラ(leveller)含有率、約1g/lの分散材、約1g/lの潤滑剤含有率を有していた。約3.5または約4のように所望のpHを達成するように、クエン酸含有率は少なくとも0.5g/lであり、そのように調節される。レベリング剤またはレベラ、分散材は分散染料用として周知である。浴の攪拌は、少なくとも15分間、好ましくは20分間から40分間維持された。
【0042】
繊維または糸の着色に使用する分散染料の実施例は、CibaからのIntrosol Red 73 GL 200%、Introsol Yellow 4G、Introsol Blue 73 BG 200%、Trasil Navy Blue GRL−C 200%、Tracil染料などのIntrosol分散染料である。
【0043】
ステージ3
着色される糸を、ステージ2で調製した着色浴に浸漬した。糸を浸漬した後、着色浴の温度を15分間、50℃の温度に維持する。前記第1着色ステップの後、浴の温度を約130℃に上昇させる。浴は閉鎖され、したがって前記着色ステップは、圧力(約2×10Paより大きい圧力)下で20分から40分間、特に約30分間実行する。このような熱処理によって着色した繊維または糸の軟性が改善したことが観察されている。その後、着色浴の温度を75℃に下げ、前記温度を15分間維持した。
【0044】
ステージ4
浴内にある糸を10分間、還元洗浄にかけ、前記洗浄は浴の1リットル当たり2.75gの水酸化ナトリウムおよび2.75gの次亜硫酸ナトリウムを添加して実行した。前記還元洗浄は、75℃の温度で実行される。
【0045】
ステージ5
浴の温度を50℃に下げ、0.25g/lの率で蟻酸を添加して中和した。
【0046】
ステージ6
支持体と染色した糸を浴から取り出し、すすいで乾燥した。乾燥した糸を厚紙コーンに再度巻き付けた。
【0047】
着色試験を実行すると、混合物中のポリスチレン含有率が10%より高い、特に13%と17%の間である場合に、着色が優れていたようであった。このようなポリスチレン含有率では、場合によって着色方法のパラメータ(継続時間、pH、添加剤濃度など)が10%変動しても、最終的な着色生成物の品質に影響しないようでもあった。
【0048】
染色した繊維および糸は、染色していない繊維および糸、さらにPP繊維または糸に対しても軟性または感触が改善していたことも観察された。染色繊維および糸の軟性は、アクリル繊維のそれと同様であった。
【0049】
印刷
カーペット(タフテッド・カーペット、織りカーペット、不織布カーペット)のようなPP/PSの繊維または糸またはタフトまたはフェルトから作成した支持体の印刷は、Chromo Jet(Zimmer)機械で実行した。さらなる実施形態によると、繊維または糸は、粉末染料のような染料を含んでおり、したがって繊維または糸は基本色を有していた。したがって、このような繊維または糸の印刷は、重ね刷りと同等である。
【0050】
印刷組成物は以下のように調製した。すなわち、
分散染料を、水、陰イオン増粘剤(10から30g/l)、非イオン性レベリング剤(1から3g/l)およびクエン酸(2から3g/l、pHを最大約4に調節する)と混合した。組成物中の分散染料の含有率は2g/lから4g/lである。
【0051】
印刷に適切な可能性がある分散染料の例は、Tracil Yellow CR、Tracil Red CB、Tracil Blue C3B(Ciba Geigy)である。
【0052】
支持体に加えた組成物を、95℃から98℃の温度で加熱した。印刷は、95℃から98℃の温度を約15分間維持することによって定着した。
【0053】
別の印刷プロセスでは、支持体に加えた組成物を、約100℃の温度で加熱し、印刷は、約120℃の温度を約15分間維持することによって定着した。約120℃でこのように加熱すると(印刷の定着ステップ)、軟性生地が改善され、印刷が非常に良好に定着される。
【0054】
染色方法の第1の例に従って染色した繊維または糸から作成したカーペット(タフテッド・カーペット、織りカーペット、不織布カーペット)は、印刷プロセスにしたがって重ね刷り可能であることが観察された。
【0055】
試験した糸
本発明の方法による印刷の前後に、様々な糸を試験した。
【0056】
【表3】

【0057】
以上の表から、13%のPSを含み、約1052デニールの平均糸番手を有する糸は、ナイロン基準と非常に類似した特性を有することが分かる。混合物に15%から20%のPSを使用すると、特性(糸番手、破壊強さおよび摩擦係数)に関して実質的に違いがない。
【0058】
【表4】

【0059】
上表は、既に約10%のPSを含んでいる2600デニールの糸は、2600デニールの重量のPPヤーンと類似した特性を有することを示す。
【0060】
カーペットの生産には、2600デニールの重量の糸を使用した。このように調製したカーペットを24時間プレスし、圧力を除去した後にカーペットのパイルの高さを時間の関数で測定した。前記試験から、本発明のPS−PPヤーンはプレスする前の高さに戻すために、より適切であったように見える。本発明のPS−PPヤーンでは、2分で高さの60%を回復できたが、PPヤーンでは、高さの60%を回復するのに2時間以上が必要であったように見える。本発明のPP−PSヤーンでは、圧力を除去して24時間後に高さの80%が回復したが、PPヤーンでは55時間以上必要であった。
【0061】
したがって、本発明のPP−PSヤーンで調製したカーペットは、静止荷重に対してより優れた性能を有していた。
【0062】
支持体の例
以下のように、様々な支持体を調製した。
【0063】
カーペット、タフテッド・カーペット、織りカーペット、不織布カーペット:軟質、防汚性、洗浄または清浄が容易、防塵性(吸引で塵を容易に除去することができる)。
【0064】
衣類:軟質、防汚性、洗浄が容易、溶融や接着などによって点または線の縫製に代わる可能性がある。
【0065】
フィルムまたは層:フィルムは、押出成形/吹込成形などの周知の技術によって様々な品質および厚さでPP/PSにて作成することができる。フィルムは、袋、包装フィルム、密封フィルム、食品密封フィルム、一方向フィルムなどの様々な目的に使用することができる。フィルムは容易に印刷可能であり、良好なバリア性(酸素バリア性)を有し、内部化合物の放出が少ない。フィルムは、一方向、二方向、エンボス加工可能であり、ポリエチレン層などの1つまたは複数のさらなる層で積層することができ、フィルムまたは層は、ガラス繊維、炭素繊維などの他の繊維で強化することができる。フィルムまたは層は、可撓性の支持体、ラテックス層、発泡体層などの支持体に取り付けることができるが、1つまたは複数の保護層で上塗りすることもできる。
【0066】
紙幣
発泡体支持体:連続気泡または独立気泡
自動車などの成形支持体

ビン、食品容器
ウェブ、繊維ウェブ
おむつ
服飾品:アクティブウェアおよびスポーツウェア;ソックス;保温性下着;裏地
自動車:キックパネル、パッケージシェルフ、座席構造、トラックライナ、荷台などの中または上に使用する内部織物
室内装飾品:屋内および屋外のカーペット;カーペットの裏地;椅子張りおよび壁装材;家具およびベッド構造の布帛
産業用:カーペット;使い捨て、耐久性がある不織布;ロープ;濾布;袋;ジオテキスタイル
【0067】
本発明の着色布帛、特に織布を110℃と130℃の間の温度でカレンダステップにかけると、布帛の軟性の手触りをさらに向上させることが可能であることが観察された。
【0068】
粒子PP/PSの例
市販のポリプロピレンを、ポリスチレンおよびUV安定剤と均質に混合した。混合物を押出成形設備に供給し、処理して連続糸にし、これを顆粒またはフレーク状に切断するか、ビーズに整形した。粒子の重量平均粒子サイズはそれぞれ、1mm、2mm、3mmおよび5mmに制御した。粒子サイズの分布は、2モードなどの多モードでもよい。すなわち、第1部分の粒子は2mm未満の平均粒子サイズを有し、第2部分の粒子は3mmより大きい平均粒子サイズを有するように、異なる2タイプの粒子の混合物という形態を有する。
【0069】
使用したポリプロピレンは、80g/10分未満、好ましくは30g/10分未満のメルトフローレート(MFR ASTM−1238 L)を有する。PPの密度(ASTM−D1505)は0.90から0.91(g/cm)まで変動することができる。前記ポリプロピレンの融点は約165℃であった(DSC)。ポリプロピレンの他の特性は、約30から40%の伸び率、3から5g/デニールの強度、約3から4.5%の線状かせ収縮率(ASTM D3218)、約150℃から220℃の軟化点(ASTM D−1525)である。ポリプロピレンは非晶質であると有利である。使用されるポリプロピレンは、Tgが約0℃であると有利である。
【0070】
PP/PS粒子の調製には、以下のPPが使用されている。
【0071】
着色する糸の調製に適した粒子を調製するために、以下の混合物を使用した。前記混合物では、使用したUV安定剤は製品Tanvin(登録商標)であった。
【0072】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン/ポリスチレン支持体、特に繊維、糸、層およびフィルムの着色プロセスであって、前記支持体が0.1重量%から4重量%の分散染料、炭素原子が1個から6個の有機酸、および少なくとも1つの界面活性剤を含む水性組成物によって着色され、それにより前記着色が、少なくとも一部が90℃より高い温度で実行されるものである着色プロセス。
【請求項2】
前記ポリプロピレン/ポリスチレン支持体が、1:20と1:4の間、好ましくは1:10と1:5の間の重量比のポリスチレン/ポリプロピレンを有する、請求項1に記載の着色プロセス。
【請求項3】
炭素原子が1個から6個の有機酸が、前記組成物中に存在し、したがってpHが3と5の間、好ましくは約4である、請求項1に記載の着色プロセス。
【請求項4】
前記染色組成物のpHが、前記染色プロセス中に酸を添加することによってほぼ一定のpHに維持される、請求項3に記載の着色プロセス。
【請求項5】
少なくともクエン酸を有機酸として使用する、請求項3および4に記載の着色プロセス。
【請求項6】
前記組成物の有機酸含有率が1g/lと10g/lの間、好ましくは1g/lと5g/lの間である、請求項3から5のいずれか1項に記載の着色プロセス。
【請求項7】
前記支持体が、90重量%を超える、有利には95重量%を超える、好ましくは99重量%を超えるポリプロピレンおよびポリスチレンを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の着色プロセス。
【請求項8】
前記染色が少なくとも部分的に130℃より高い温度および10Paより高い圧力で実行される染色プロセスである、請求項1から7のいずれか1項に記載の着色プロセス。
【請求項9】
前記染色が、少なくとも5分間、有利には少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間、130℃以上の温度で実行される、請求項8に記載の染色プロセス。
【請求項10】
前記染色が、少なくとも一部は140℃と150℃の間の温度で実行される、請求項8または9に記載の染色プロセス。
【請求項11】
前記染色が、少なくとも一部は1.5×10Paと10×10Paの間の圧力で実行される、請求項8から10のいずれか1項に記載の染色プロセス。
【請求項12】
染色後に、前記支持体を洗浄し、乾燥する、請求項8から11のいずれか1項に記載の染色プロセス。
【請求項13】
前記支持体が繊維であり、有利には糸を形成する、請求項8から12のいずれか1項に記載の染色プロセス。
【請求項14】
前記着色ステップの後に定着ステップを含む印刷プロセスであり、前記定着ステップが有利には110℃より高い温度で少なくとも10分間実行される、請求項1から7のいずれか1項に記載の着色プロセス。
【請求項15】
少なくとも一部は請求項1から12のいずれか1項のプロセスで調製される着色ポリプロピレン/ポリスチレン支持体、特に繊維、糸、層またはフィルム。
【請求項16】
少なくとも請求項15に記載の着色ポリプロピレン/ポリスチレン支持体、特に繊維または糸またはフィルムまたは層を備える生成物。
【請求項17】
織布、不織布、カーペット、衣服、濾材、椅子張り、合成紙、フィルム、袋、積層生成物およびその組合せで構成された群から選択される、請求項16に記載の生成物。
【請求項18】
基本的にポリプロピレンおよびポリスチレンで作成された基質を含むポリプロピレン/ポリスチレン支持体であって、ポリスチレン/ポリプロピレンの重量比が1:10と1:5の間、好ましくは12:88と17:83の間、特に約15:85であるポリプロピレン/ポリスチレン支持体。
【請求項19】
前記支持体が、炭素原子が1個から6個の少なくとも1つの有機酸、好ましくはクエン酸を0.05重量%から1重量%含む、請求項18に記載のポリプロピレン/ポリスチレン支持体。
【請求項20】
請求項1から14のいずれか1項に記載のプロセスで処理するのに適切な支持体を調製するために使用するよう意図されたポリプロピレン/ポリスチレン粒子であって、各粒子がポリスチレンおよびポリプロピレンを、好ましくはポリスチレンとポリプロピレンの混合物の形態で含むことを特徴とする粒子。
【請求項21】
前記粒子が、10μmと10mmの間、有利には100μmと5mmの間の平均粒子サイズを有することを特徴とする、請求項20に記載の粒子。
【請求項22】
ポリスチレン/ポリプロピレンの重量比が1:20と1:4の間、好ましくは1:10と1:5の間であることを特徴とする、請求項20または21に記載の粒子。
【請求項23】
ポリスチレン/ポリプロピレンの重量比が1:10と1:5の間、好ましくは12:88と17:83の間、特に約15:85である、請求項20から22のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項24】
前記粒子がほぼ均質な組成物を有する、請求項20から23のいずれか1項に記載の粒子。

【公表番号】特表2008−516092(P2008−516092A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534103(P2007−534103)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000035
【国際公開番号】WO2006/038061
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507098195)
【Fターム(参考)】