説明

着色組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子

【課題】耐熱性に優れ、輝度およびコントラスト比が高い画素を形成することができる着色組成物の提供。
【解決手段】(A)着色剤、(B)多官能性単量体、および(C)側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する特定構造のカリックスアレーン系重合体を含有することを特徴とする着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に有用な着色層の形成に用いられる着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを形成する方法として、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色感放射線組成物の塗膜を形成して、所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像して未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、各色の画素を得る方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が知られている。また、黒色材料を含有する光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(例えば、特許文献3参照。)も知られている。さらに、着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(例えば、特許文献4参照。)も知られている。そして、特許文献1〜4等に開示されているように、従来の着色組成物においては、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂や感光性樹脂が用いられてきた。
【0003】
一方、このようなカラーフィルタを具備する液晶表示素子には高輝度化が求められており、そのためカラーフィルタについても近年ますます高い光透過率が要求されている。また、デジタルビデオカメラやハイビジョンテレビ等の普及に伴い、冬の海のような深い青や真っ赤な夕日を再現できるような、色再現領域の拡大が求められている。さらに、濃い色相を表示するには、黒色表示部の「黒さ」がはっきりと表示されていないと、輪郭がぼけたメリハリのない画面となってしまうため、色再現領域の拡大と同時に、高いコントラスト比を有するカラーフィルタが求められている。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜4等に開示されている従来の着色組成物では、着色組成物中に含有される樹脂成分が、カラーフィルタの製造工程において加熱を受け黄変し、それに伴い画素の透過率が低下するため、結果としてカラーフィルタの輝度やコントラスト比も低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、耐熱性に優れ、輝度およびコントラスト比が高い画素を形成することができる着色組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の課題は、前記着色組成物から形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、および当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定の構造を有するカリックスアレーン系重合体を着色組成物中に含有せしめることにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)着色剤、(B)多官能性単量体、および(C)下記一般式(I)で表される重合体を含有することを特徴とする着色組成物を提供するものである。
【0010】
【化1】

【0011】
(式(I)中、Rは、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または−(CHn1−R(ここで、Rは(メタ)アクリロイル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシル基を有する1価の基または炭素数3〜8のシクロアルキル基、カルボキシル基、オキシラニル基、オキセタニル基もしくはビニル基であり、前記オキセタニル基およびオキシラニル基は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよく、n1は0〜3の整数であり、n1が0であるときにはRは炭素数1〜6のアルコキシル基を有する1価の基であることはない。)であり、ただし、すべてのRのうち10〜90モル%は水素原子であり、Xは、相互に独立に、メチレン基または炭素数2〜10のアルキレン基であり、Yは、相互に独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20アルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基またはフェノキシ基であり、qは、相互に独立に、0〜2の整数である。)
【0012】
また、本発明は、該着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、および該カラーフィルタを具備してなるカラー液晶表示素子をも提供するものである。
【0013】
本発明でいう「着色層」は、カラーフィルタに用いられる画素および/またはブラックマトリックスからなる層を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の着色組成物によれば、耐熱性に優れ、輝度およびコントラスト比が高い画素を形成することができる。
【0015】
したがって、本発明の着色組成物は、電子工業分野におけるカラー液晶表示装置用カラーフィルタや固体撮像素子の色分解用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について説明する。
−(A)顔料−
本発明における着色剤は、色調が特に限定されるものではなく、得られるカラーフィルタの用途に応じて適宜選定され、顔料、染料あるいは天然色素の何れでもよい。カラーフィルタには耐熱性が求められることから、本発明における着色剤としては、有機顔料あるいは無機顔料が好ましい。
【0017】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0018】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー211;
【0019】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0020】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0021】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0022】
本発明において、有機顔料は、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法や、これらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
【0023】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0024】
これらの着色剤は、所望により、その粒子表面をポリマーで改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば特開平8−259876号公報に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用のポリマー又はオリゴマー等を挙げることができる。カーボンブラック表面のポリマー被覆方法については、例えば特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に開示されている。
前記着色剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
本発明の着色組成物を画素の形成に用いる場合、画素には高精細な発色が求められることから、(A)着色剤としては、発色性の高い着色剤が好ましく、具体的には有機顔料が好ましく用いられる。
一方、本発明の着色組成物をブラックマトリックスの形成に用いる場合、ブラックマトリックスには遮光性が要求されることから、(A)着色剤としては有機顔料またはカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0026】
本発明において、(A)着色剤の含有量は、透明性及び色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、全固形分中5〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがさらに好ましい。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0027】
本発明における着色剤は、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。
【0028】
上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩またはリン酸エステル塩、カチオン性グラフトポリマー等を挙げることができる。ここで、カチオン性グラフトポリマーとは、複数の塩基性基(カチオン性の官能基)を有する幹ポリマー1分子に、2分子以上の枝ポリマーがグラフト結合した構造のポリマーをいい、例えば、幹ポリマー部がポリエチレンイミン、枝ポリマー部がε−カプロラクトンの開環重合体で構成されるポリマーが挙げられる。これら分散剤の中で、変性アクリル系共重合体、ポリウレタン、カチオン性グラフトポリマーが好ましい。
【0029】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、変性アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、カチオン性櫛型グラフトポリマーとして、ソルスパース24000、ソルスパース37500(ルーブリゾール(株)社製)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0030】
これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。分散剤の含有量は、現像性等を良好にする点から、(A)着色剤100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは1〜70質量部、さらに好ましくは10〜50質量部である。
【0031】
上記分散助剤としては、例えば青色顔料誘導体、黄色顔料誘導体等を挙げることができ、具体的には、例えば銅フタロシアニン誘導体等を挙げることができる。
【0032】
−(B)多官能性単量体−
本発明における(B)多官能性単量体は、2個以上の重合性不飽和結合を有する単量体である。このような多官能性単量体としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコールの如きアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートや、それらのジカルボン酸変性物;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂の如きオリゴ(メタ)アクリレート;
両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンの如き両末端ヒドロキシル重合体のジ(メタ)アクリレート;
トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フォスフェート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン構造を有するポリ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
【0033】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物、、ウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン構造を有するポリ(メタ)アクリレートが好ましい。3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ペンタエリスリトールトリメタクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物等が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上および遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で好ましい。
【0034】
前記多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
本発明における(B)多官能性単量体の含有量は、(A)顔料100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。
【0036】
この場合、多官能性単量体の含有量が10質量部未満では、画素の強度や表面平滑性が低下する傾向があり、一方1,000質量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0037】
また、本発明においては、多官能性単量体の一部を、重合性不飽和結合を1個有する単官能性単量体に置き換えることもできる。
【0038】
前記単官能性単量体としては、例えば、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕の如き2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの如き両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレートや、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタムのほか、市販品として、M−5600(商品名、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
【0039】
これらの単官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
本発明における単官能性単量体の含有割合は、多官能性単量体と単官能性単量体の合計に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。この場合、単官能性単量体の使用割合が90質量%を超えると、画素の強度や表面平滑性が低下する傾向がある。
【0041】
−(C)上記一般式(I)で表される重合体−
本発明の着色組成物は、バインダー樹脂として上記一般式(I)で表される重合体を含有するものであり、その含有割合は全バインダー樹脂中、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。かかる割合で上記一般式(I)で表される重合体を含有せしめることにより、耐熱性に優れ、輝度およびコントラスト比が高い画素を形成することができる。
【0042】
上記一般式(I)におけるRの(メタ)アクリロイル基を有する1価の基としては、例えば下記式(R−1)
【0043】
【化2】

【0044】
(式(R−1)中、RIIは水素原子またはメチル基であり、n2は1〜5の整数であり、n3およびn4は、相互に独立に、0または1である。)
で表される基を挙げることができる。上記式(R−1)で表される基のうちでは、上記式(R−1)においてn4が1である基、すなわち下記式(R−1’)
【0045】
【化3】

【0046】
(式(R−1’)中、RII、n2およびn3は、それぞれ上記式(R−1)におけるのと同義である。)
で表される基が好ましい。
【0047】
上記Rの炭素数1〜6のアルコキシル基を有する基としては、例えば下記式(R−2)
【0048】
【化4】

【0049】
(式(R−2)中、RIIIは炭素数1〜6のアルキル基であり、n4は2または3であり、n5は1〜10の整数である。)
で表される基を挙げることができる。
【0050】
上記Rのオキシラニル基に対する置換基としては、1−メチル基が好ましい。
【0051】
上記Rのオキセタニル基としては、それぞれ、2−オキセタニル基であることが好ましい。RおよびRのオキセタニル基に対する置換基としては、それぞれ、1−メチル基または1−エチル基が好ましい。
【0052】
上記式(1)における好ましいRとしては、例えば水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、下記式(R−3)〜(R−16)
【0053】
【化5】

【0054】
【化6】

【0055】
(上記式中、n1は、それぞれ、上記の式−(CHn1−Rにおけるのと同義であり、n5は、それぞれ、上記式(R−2)におけるのと同義であり、Rは、それぞれ、炭素数2または3のアルキル基であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
のそれぞれで表される基を挙げることができる。
上記式(I)で表される重合体としては、下記式(I−1)
【0056】
【化7】

【0057】
(式(I−1)において、Rは上記式(I)におけるのと同義である。)
で表される重合体が、収率よく製造しうる点から好ましい。
【0058】
上記式(I)で表される重合体は、単一種の重合体として用いてもよく、異なる複数種の重合体の混合物として用いてもよい。
【0059】
上記式(I)で表される重合体においては、24個のRのうち、10〜90モル%が水素原子であり、好ましくは20〜80モル%が水素原子である。残りのRについては、すべてが同一種類のものであってもよく、2種以上のRを含んでいてもよい。水素原子以外のRとしては、炭素数1〜12のアルキル基および上記−(CHn1−Rのうちの1種以上であることが好ましい。水素原子の数が90モル%を超えると、上記式(I)で表される重合体の溶媒に対する溶解性が不足する場合がある。一方、10モル%未満であると、着色組成物の保存安定性およびアルカリ現像性が低下するおそれがある。なお、上記式(I)で表される重合体を複数種の重合体の混合物として用いる場合には、上記割合は上記式(I)で表される重合体の全部についての平均値であると理解されるべきである。
【0060】
上記Rのうち水素原子の割合は、H−NMR分析の結果から算出することができる。
【0061】
上記式(I)で表される重合体は、例えばq個のYを有するメタ−ジヒドロキシベンゼン(ただし、qおよびYは、それぞれ、上記式(I)におけるのと同義である。)と化合物CHO−X−CHO(ただし、Xは上記式(I)におけるのと同義である、)との縮合反応により、下記一般式(Ia)
【0062】
【化8】

【0063】
(式(Ia)中、X、Yおよびqは、それぞれ、上記式(I)におけるのと同義である。)
で表される前駆体化合物を合成し、次いでこれに所望の官能基を有する化合物を直接または間接に反応させることにより、合成することができる。
【0064】
上記q個のYを有するメタ−ジヒドロキシベンゼンと上記化合物CHO−X−CHOとの縮合反応は、両者を好ましくは適当な酸触媒の存在下、好ましくは60〜90℃において12〜50時間反応させることにより行うことができる。
【0065】
上記化合物CHO−X−CHOとの使用割合は、特に制限はないが、得られる前駆体化合物の収率が高くなるという観点から、化合物CHO−X−CHOの1モルに対して、q個のYを有するメタ−ジヒドロキシベンゼンが、1〜8モルであることが好ましく、2〜6モルであることが更に好ましく、3〜5モルであることが特に好ましい。
【0066】
縮合反応は、適当な溶媒中で行うことができる。この場合、q個のYを有するメタ−ジヒドロキシベンゼンおよび化合物CHO−X−CHOの合計が反応溶液中に占める割合は、得られる前駆体化合物の収率が高くなるという観点から、2モル/L以上であることが好ましく、4モル/L以上であることがさらに好ましく、4〜10モル/Lであることが特に好ましい。
【0067】
Rが炭素数1〜12のアルキル基、上記式(R−3)〜(R−9)、(R−11)または(R−12)で表される基である場合には、前駆体化合物の水酸基と、化合物R−X(ただし、Rは所望の官能基であり、Xはハロゲン原子である。)とを直接に反応させることにより、上記式(I)で表される重合体を得ることができる。化合物R−Xは複数種の化合物の混合物であってもよい。
【0068】
前記化合物R−Xとしては、具体的には、例えば1−ブロモプロパン、1−ブロモ−n−ヘキサン、ブロモシクロヘキサン、2−ブロモエチルエチルエーテル、エピクロロヒドリン、β―メチルエピクロロヒドリン、3−クロロ−3−オキセタニルプロパン、アリルクロライド、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル等を挙げることができる。
【0069】
Rが上記式(R−10)で表される基である場合には、例えば先ず前駆体化合物の水酸基とブロモアセチル−t−ブチルエステルとの反応を行い、次いで酸またはアルカリによりt−ブチル基を脱離することにより、上記式(I)で表される重合体を得ることができる。
【0070】
Rが上記式(R−13)または(R−14)で表される基である場合には、例えば先ず前駆体化合物の水酸基とエピクロロヒドリンとを反応させた後、これにさらに(メタ)アクリル酸を反応させることにより、上記式(I)で表される重合体を得ることができる。
【0071】
Rが上記式(R−15)または(R−16)で表される基である場合には、例えば先ず前駆体化合物の水酸基とエピクロロヒドリンとを反応させた後、これにさらにω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(製品名「M−5300」として東亞合成(株)から市販されている。)またはアクリル酸ダイマー(製品名「M−5600」として東亞合成(株)から市販されている。)を、好ましくはアミンの存在下で反応させることにより、上記式(I)で表される重合体を得ることができる。
【0072】
前駆体化合物の使用量と上記化合物R−Xとの使用量(R−Xを混合物として用いる場合には、その合計量をいう。)との割合は、適宜に設定される。
【0073】
前駆体化合物と化合物R−Xとの反応は、好ましくは適当な溶媒中、酸または塩基の存在下において、−20〜100℃の条件で1〜20時間行われる。
【0074】
本発明においては、バインダー樹脂として、上記一般式(I)で表される重合体と共に、他のバインダー樹脂を使用することができる。他のバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「カルボキシル基含有不飽和単量体」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「共重合性不飽和単量体」という。)との共重合体(以下、「カルボキシル基含有共重合体」という。)が好ましい。なお、本願明細書において、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸またはアクリル酸を示す。
【0075】
前記カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
カルボキシル基含有共重合体において、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。このような範囲でカルボキシル基含有不飽和単量体を共重合させることにより、アルカリ現像性および保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0077】
また、前記共重合性不飽和単量体としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸エステル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
【0078】
これらの共重合性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
カルボキシル基含有共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0080】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有共重合体を、アルカリ可溶性樹脂として使用することもできる。
【0081】
カルボキシル基含有共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜45,000、好ましくは3,000〜30,000である。この場合、Mwが1,000未満であると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方45,000を超えると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0082】
また、カルボキシル基含有共重合体のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0083】
本発明におけるカルボキシル基含有共重合体は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0084】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)顔料100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、バインダー樹脂の含有量が10質量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣や地汚れが発生するおそれがあり、一方1,000質量部を超えると、相対的に顔料濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0085】
−(D)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を配合することにより、着色組成物に感放射線性を付与することもできる。ここでいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本発明における光重合開始剤は、放射線の露光により、前記(B)多官能性単量体および場合により使用される単官能性単量体の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0086】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物等を挙げることができる。
【0087】
本発明において、光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、本発明における光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0088】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0089】
また、前記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0090】
また、前記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0091】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0092】
また、前記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0093】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0094】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光ラジカル発生剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0095】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(B)多官能性単量体100質量部に対して、通常、0.01〜120質量部、好ましくは1〜100質量部である。この場合、光重合開始剤の含有量が0.01質量部未満では、露光による硬化が不十分となり、着色層パターンが所定の配列に従って配置されたカラーフィルタを得ることが困難となるおそれがあり、一方120質量部を超えると、形成された画素が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0096】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて種々の添加剤をさらに含有することもできる。
【0097】
前記添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤等を挙げることができる。
【0098】
−溶媒―
本発明の着色組成物は、前記(A)〜(C)成分、および任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
【0099】
前記溶媒としては、感放射線性組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0100】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0101】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0102】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0103】
これらの溶媒のうち、顔料分散性、顔料以外の成分の溶解性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
【0104】
溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0105】
また、溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
【0106】
これら高沸点溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0107】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる感放射線性組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%となる量が望ましい。
【0108】
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、例えば、(A)〜(C)成分を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。好ましい調製方法としては、(A)着色剤を溶媒中、上記分散剤および/または分散助剤の存在下で、場合により(C)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、これに、(B)〜(C)成分と、必要に応じてさらに追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0109】
カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0110】
カラーフィルタを形成する方法としては、第一に、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色感放射線組成物の塗膜を形成して、所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線を露光し、現像して未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、各色の画素を得る方法が知られている。
【0111】
具体的には、まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成し、この基板上に、例えば赤色の顔料が分散され感放射線性を付与した着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0112】
その後、緑色または青色の顔料が分散された各着色組成物の液状組成物を用い、前記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光、現像およびポストベークを行って、緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成することにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタを得る。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、前記のものに限定されない。
【0113】
また、ブラックマトリックスは、本発明の着色組成物を用い、前記画素の形成の場合と同様にして形成することができる。
【0114】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
【0115】
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0116】
着色組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
【0117】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.2〜6.0μmである。
【0118】
着色層を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0119】
放射線の露光量は、好ましくは10〜10,000J/m2である。
【0120】
また、アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0121】
アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
【0122】
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0123】
また、カラーフィルタを形成する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法も知られている
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、例えば、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー等に極めて有用である。
【0124】
液晶表示素子
本発明の液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
【0125】
本発明の液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、更に薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【実施例】
【0126】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
−顔料分散液の調製例−
調製例1
(A)顔料としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントレッド139=50/30/20(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)24質量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(R−1)を調製した。
【0127】
調製例2
(A)顔料としてC.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150との50/50(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)を24質量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(G−1)を調製した。
【0128】
調製例3
(A)顔料としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー150との50/50(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)を24質量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(G−2)を調製した。
【0129】
調製例4
(A)顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との80/20(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)を24質量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(B−1)を調製した。
【0130】
−バインダー樹脂の合成例−
合成例1<上記一般式(I)で表される重合体の合成>
レゾルシノール22.0g(200mmol)をエタノール45mLに溶解した溶液に塩酸15mLを加えた。この溶液を撹拌しながら5℃まで冷却しつつ、グルタルアルデヒドの50重量%水溶液10.0g(50mmol)をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱して濁った黄色の懸濁液を得た。
【0131】
この懸濁液をメタノール中に注いで生成した沈殿物をろ別した。この沈殿物をメタノールで3回洗浄した。洗浄後の沈殿物を室温で24時間減圧乾燥することにより、粉末状の淡黄色固体を得た(収量:11.2g(収率:79%))。
【0132】
得られた淡黄色固体の構造確認を、MALDI−TOF−MS(型番SHIMAZU/KRATOSマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 KOMPACT MALDI IV tDE、(株)島津製作所製)、IR(型番FT−IR 420型、日本分光(株)製)およびH−NMR(型番JNM−ECA−500型、日本電子(株)製)で行った。これらの結果を以下に示す。得られた淡黄色固体は、上記一般式(I−1)において、すべてのRが水素原子である化合物であった。
【0133】
MALDI−TOF−MS:分子量1,705の化合物のみが得られたことが示された。
【0134】
IR(film法):3,406cm−1(νOH);2,931cm−1(νC−H);1,621cm−1、1,505cm−1、1,436cm−1(νC=C(aromatic)
H−NMR(500MHz、溶媒:DMSO−d、内部標準:TMS):δ(ppm)=0.86〜2.35(b,12.0H)、3.98〜4.22(m,4.0H)、6.09〜7.42(m,8.0H)、8.65〜9.56(m,8.0H)
【0135】
上記で得られた淡黄色固体3.5g(2.05mmol、OH当量49.2mmol)を1−メチル−2−ピロリドン40gに加えた後、更にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを加え、70℃で4時間攪拌し溶解した。この溶液に、炭酸カリウム3.3gを加え、70℃で1時間撹拌した。次いで、エピクロロヒドリン2.73g(29.5mmol)を加え、さらに80℃で48時間撹拌し反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、蒸留水で3回洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後濃縮し、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にn−ヘキサンを用いて再沈殿を行うことにより、精製を行った。
【0136】
得られた化合物の構造確認を、IR、H−NMRおよびMALDI−TOF−MSで行ったところ、得られた化合物は、上記一般式(I−1)において、すべてのRのうちの40モル%がグリシジル基であり、残りのRが水素原子である化合物であった。
【0137】
上記で得られた化合物(上記一般式(I−1)において、すべてのRのうちの40モル%がグリシジル基であり、残りのRが水素原子である化合物)を2.0gとり、これを塩化メチレンに溶解し、さらにテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを加えた後、アクリル酸2.18g(29.5mmol)を徐々に加えて50℃で4時間攪拌し反応を行った。
【0138】
反応終了後、反応混合物を希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液および蒸留水で順次に洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、溶媒を除去して重合体(C)を得た。
【0139】
得られた重合体(C)の構造確認を、IR、H−NMRで行ったところ、重合体(C)のすべてのグリシジル基が反応して、上記式(R−13)においてn1が1である基に変換されたことを確認した。
【0140】
合成例2
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gを仕込み、引き続きメタクリル酸15g、N−フェニルマレイミド20g、ベンジルメタクリレート55g、スチレン10gおよび分子量調節剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(日本油脂(株)製 商品名:ノフマーMSD)3.0gを仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(c)(固形分濃度=33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=16,000、Mn=7,000であった。
【0141】
実施例1
−液状組成物の調製−
顔料分散液(R−1)400質量部、(B)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、バインダー樹脂として重合体(C)150質量部、(D)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)30質量部、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて固形分濃度が20%になるよう混合して、液状組成物(r−1)を調製した。
【0142】
液状組成物(r−1)について、下記の手順にしたがって、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0143】
−色度特性およびコントラストの評価−
液状組成物(r−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜が形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて回転数を変量して3枚塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行って、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
【0144】
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、塗膜に365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む放射線を400J/m2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm2(ノズル径1mm)で吐出することにより、1分間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、さらに220℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、赤色硬化膜を形成した。ポストベーク前後の硬化膜につき、以下の手順にしたがって、色度特性およびコントラストの評価を行った。
【0145】
3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)および刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.642での色度座標値yおよび刺激値(Y)を求めた。
【0146】
また、硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、その最大値を最小値で割った値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値x=0.642でのコントラスト比を求めた。
【0147】
実施例2〜4および比較例1〜4
実施例1において、含有成分および含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして液状組成物(r−2)〜(r−8)を調製した。
【0148】
次いで、液状組成物(r−1)に代えてそれぞれ液状組成物(r−2)〜(r−8)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。なお、液状組成物(r−5)に関しては色度座標値x=0.642での色度特性とコントラスト比を、液状組成物(r−2)および(r−6)に関しては色度座標値y=0.575での色度特性とコントラスト比を、液状組成物(r−3)および(r−7)に関しては色度座標値y=0.580での色度特性とコントラスト比を、液状組成物(r−4)および(r−8)に関しては色度座標値y=0.085での色度特性とコントラスト比を、それぞれ求めた。評価結果を表2に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
表1において、各成分は下記のとおりである。
多官能性単量体b−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
光重合開始剤d−1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
光重合開始剤d−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OX02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
光重合開始剤d−3:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
光重合開始剤d−4:2,4−ジエチルチオキサントン
【0151】
【表2】

【0152】
表1および表2から明らかなように、上記一般式(I)で表される重合体である重合体(C)を配合した着色組成物を用いて形成された塗膜は、アクリル系重合体であるバインダー樹脂(c)を配合した着色組成物を用いて形成された塗膜に比べて、ポストベーク後においても、輝度の指標である刺激値(Y)、コントラスト比とも、ポストベーク前と遜色ない数値を維持していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)多官能性単量体、および(C)下記一般式(I)で表される重合体を含有することを特徴とする着色組成物。
【化1】

(式(I)中、Rは、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または−(CHn1−R(ここで、Rは(メタ)アクリロイル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシル基を有する1価の基または炭素数3〜8のシクロアルキル基、カルボキシル基、オキシラニル基、オキセタニル基もしくはビニル基であり、前記オキセタニル基およびオキシラニル基は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよく、n1は0〜3の整数であり、n1が0であるときにはRは炭素数1〜6のアルコキシル基を有する1価の基であることはない。)であり、ただし、すべてのRのうち10〜90モル%は水素原子であり、Xは、相互に独立に、メチレン基または炭素数2〜10のアルキレン基であり、Yは、相互に独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20アルケニル基もしくはアルキニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基またはフェノキシ基であり、qは、相互に独立に、0〜2の整数である。)
【請求項2】
上記式(I)におけるXがトリメチレン基である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
上記式(I)において水素原子でないRが−(CHn1−Rであり、且つRが炭素数3〜8のシクロアルキル基、カルボキシル基、オキシラニル基、オキセタニル基もしくはビニル基または下記式(R−1’)
【化2】

(式(R−1’)中、RIIは水素原子またはメチル基であり、n2は1〜5の整数であり、n3は0または1である。)
で表される基である、請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
さらに(D)光重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の着色組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子。

【公開番号】特開2010−237461(P2010−237461A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85656(P2009−85656)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】