説明

着色組成物、カラーフィルタ及び表示素子

【課題】着色剤として染料又はレーキ顔料を用いた場合に、良好な耐溶剤性を有する着色層を形成することのできる着色組成物の提供。
【解決手段】(A)染料及びレーキ顔料から選ばれる少なくとも1種を含む着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、並びに(D)下記式(1)で表される光重合開始剤を含有することを特徴とする着色組成物。


〔式(1)において、R3は、炭素数4〜20のシクロアルキル基、フェニル基又はナフチル基をを示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、カラーフィルタ及び表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタに有用な着色層の形成に用いられる着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備する表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いたカラーフィルタの製造に当たっては、基板上に、顔料分散型の着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(特許文献1〜2)が知られている。また、カーボンブラックを分散させた光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(特許文献3)も知られている。さらに、顔料分散型の着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(特許文献4)も知られている。
【0003】
近年では、液晶表示素子の高コントラスト化や固体撮像素子の高精細化が強く求められており、これらを実現するために、着色剤として染料やレーキ顔料の適用が検討されている。例えば、特許文献5では、キサンテン系酸性染料の使用が提案されており、また特許文献6では、レーキ顔料の使用が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【特許文献5】特開2010−254964号公報
【特許文献6】特開2011−6602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、染料やレーキ顔料を含有する従来の着色組成物を用いると、画素の耐溶剤性が著しく劣るという問題があった。そのため、耐溶剤性が良好なカラーフィルタを形成することのできる着色組成物の開発が強く求められている。
したがって、本発明の課題は、着色剤として染料又はレーキ顔料を用いた場合に、良好な耐溶剤性を有する着色層を形成することのできる着色組成物を提供することにある。さらに、本発明の課題は、上記着色組成物から形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを具備する表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、特定の構造を有する光重合開始剤を用いることによって上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D);
(A)染料及びレーキ顔料から選ばれる少なくとも1種を含む着色剤、
(B)バインダー樹脂、
(C)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「架橋剤」ともいう。)、並びに
(D)下記式(1)で表される光重合開始剤
を含有することを特徴とする着色組成物を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式(1)において、
1及びR4は、相互に独立に、炭素1〜12のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基又はフェニル基(但し、上記フェニル基が有する水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい)を示し、
2は、炭素数1〜20のアルカンジイル基を示し、
3は、炭素数4〜20のシクロアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、
5は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、9−フルオレニル基、2−フリル基又は2−チエニル基(但し、これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい)を示す。〕
【0010】
また、本発明は、該着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備する表示素子を提供するものである。ここで、「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の着色組成物を用いれば、耐溶剤性に優れた着色層を形成することができる。
したがって、本発明の着色組成物は、表示素子用カラーフィルタ、固体撮像素子の色分解用カラーフィルタ、有機EL表示素子用カラーフィルタ、電子ペーパー用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について説明する。
【0013】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、着色剤として染料及びレーキ顔料から選ばれる少なくとも1種を含有する。
【0014】
上記染料としては、酸性染料、塩基性染料、非イオン性染料等を挙げることができる。ここで本発明において、酸性染料とは、アニオン部が発色団となるイオン性染料を意味する。但し、分子内塩を形成しているイオン性染料も酸性染料に包含されるものとする。
【0015】
このような酸性染料としては、例えば、
C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7、C.I.ダイレクトグリーン28等のアゾ系酸性染料;
C.I.アシッドブルー9等のトリアリールメタン系酸性染料;
C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49等のアントラキノン系酸性染料;
C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388等のキサンテン系酸性染料;
C.I.アシッドイエロー3等のキノリン系酸性染料;
C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3等のニトロ系酸性染料を挙げることができる。
【0016】
また本発明において、塩基性染料とは、カチオン部が発色団となるイオン性染料をいう。
【0017】
このような塩基性染料としては、例えば、
C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18等のアゾ系塩基性染料;
C.I.ベーシックブルー7等のトリアリールメタン系塩基性染料;
C.I.ベーシックバイオレット11等のキサンテン系塩基性染料;
C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等のキノンイミン系塩基性染料の他、特表2007−503477号公報、国際公開第10/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−145540号公報等に記載の塩基性染料を挙げることができる。
【0018】
更に、本発明において、非イオン性染料とは、前述の酸性染料及び塩基性染料のいずれにも該当しない染料である。
【0019】
このような非イオン性染料としては、例えば、
C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165等のアゾ系非イオン性染料;
C.I.バットブルー4、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等のアントラキノン系非イオン性染料;
C.I.パッドブルー5等のフタロシアニン系非イオン性染料;
C.I.ソルベントイエロー33、C.I.ディスパースイエロー64等のキノリン系非イオン性染料;
C.I.ディスパースイエロー42等のニトロ系非イオン性染料;
C.I.ソルベントイエロー179、ディスパースイエロー201等のメチン系非イオン性染料の他、特開2010−168531号公報の請求項3若しくは請求項4、特開2010−170073号公報、特開2010−170074号公報、特開2010−275531号公報、特開2010−275533号公報等に記載の非イオン性染料を挙げることができる。
【0020】
本発明においては、これらのうち、酸性染料、非イオン性染料が耐溶剤性等の観点で好ましく、特にキサンテン系酸性染料、トリアリールメタン系酸性染料、アゾ系非イオン性染料、メチン系非イオン性染料が好ましい。
【0021】
また、本発明においては、着色剤としてレーキ顔料も含有できる。ここで、レーキ顔料とは、可溶性である染料を沈殿剤により不溶性の顔料としたものをいう。レーキ化するための沈殿剤としては、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、タンニン酸、カタノール、タモール、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。イソポリ酸としては、例えば、イソポリタングステン酸、イソポリバナジン酸、イソポリモリブデン酸等が挙げられ、またヘテロポリ酸としては、例えば、フォスフォタングステン酸、フォスフォモリブデン酸、フォスフォタングステン・モリブデン酸、シリコタングステンモリブデン酸、シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸等を挙げることができる。これらのうち、イソポリ酸、ヘテロポリ酸を沈殿剤としてレーキ化されたレーキ顔料が好ましく、特にヘテロポリ酸を沈殿剤としてレーキ化されたレーキ顔料が好ましい。イソポリ酸、ヘテロポリ酸を沈殿剤としてレーキ化されたレーキ顔料は、例えば、特開2011−186043号公報に記載の方法により製造することができる。
【0022】
本発明において、レーキ顔料としては特に限定されるものではないが、例えば、キサンテン系レーキ顔料、トリアリールメタン系レーキ顔料、アゾ系レーキ顔料、フタロシアニン系レーキ顔料等を挙げることができる。
レーキ顔料の具体例としては、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0023】
C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド81:2、C.I.ピグメントレッド81:3、C.I.ピグメントレッド81:4、C.I.ピグメントレッド81:5、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット1:1、C.I.ピグメントバイオレット1:2、C.I.ピグメントバイオレット2等のキサンテン系レーキ顔料;
【0024】
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー24、ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4等のトリアリールメタン系レーキ顔料;
【0025】
C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー61:1、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1等のアゾ系レーキ顔料;
C.I.ピグメントブルー17:1等のフタロシアニン系レーキ顔料。
【0026】
これらのレーキ顔料のうち、キサンテン系レーキ顔料、トリアリールメタン系レーキ顔料が耐溶剤性等の観点で好ましく、特にC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39等のトリアリールメタン系レーキ顔料が好ましい。
【0027】
本発明において、着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明の着色組成物は、(A)着色剤として、更に他の着色剤を含有することができる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。
【0029】
他の着色剤としては、レーキ顔料以外の顔料及び天然色素の何れをも使用することができるが、輝度及び色純度の高い画素を得るという意味においては、レーキ顔料以外の有機顔料が好ましい。
【0030】
上述したレーキ顔料以外の有機顔料の好ましい具体例としては、カラーインデックス(C.I.)名で、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等を挙げることができる。
【0031】
本発明において、他の着色剤として顔料(レーキ顔料を除く。以下、同様である。)を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0032】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を、分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0033】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182、Disperbyk−2164(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0034】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0035】
本発明において他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
(A)着色剤の含有割合は、耐溶剤性、輝度が高く色純度にも優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0037】
−(B)バインダー樹脂−
本発明における(B)バインダー樹脂とは、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0038】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
また、上記不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0040】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0041】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0043】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0044】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0045】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0046】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mw及びMnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量をいう。
【0047】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0048】
本発明において、(B)バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。また、(B)バインダー樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、耐溶剤性を向上させることができる。
【0049】
本発明において、(B)バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0050】
−(C)架橋剤−
本発明において(C)架橋剤とは、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0051】
(C)架橋剤としては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0052】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。
上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0053】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。
上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及びビスフェノールAのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及びイソシアヌル酸のプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及びトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0054】
これらの架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の耐溶剤性や表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
本発明における(C)架橋剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。また、(C)架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、耐溶剤性を向上させることができる。
【0056】
−(D)光重合開始剤−
本発明における光重合開始剤は、前記式(1)で表される光重合開始剤を含み、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(C)架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0057】
式(1)において、R1及びR4における炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソデシル基、ドデシル基等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
【0058】
また、R1及びR4における炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等を挙げることができる。より具体的には、後述のシクロアルキル基のほか、デカヒドロ−2−ナフチル基、ボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基等が挙げられる。中でも、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数4〜8の脂環式炭化水素基がより好ましい。
【0059】
また、R1及びR4がフェニル基である場合、フェニル基が有する水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。具体的には、炭素数1〜12のアルキル基としては、前述と同様のものを挙げることができ、中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。
【0060】
上記R2で表される炭素数1〜20のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜6のアルカンジイルアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましい。
【0061】
上記R3で表される炭素数4〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等を挙げることができる。中でも、炭素数4〜12のシクロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8のシクロアルキル基がより好ましい。
【0062】
上記R5はフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、9−フルオレニル基、2−フリル基又は2−チエニル基であるが、これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、該アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。
【0063】
式(1)において、R1及びR4としては、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基が好ましい。R2としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が好ましい。また、R3としては炭素数4〜20のシクロアルキル基が好ましく、特にシクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。さらに、R5としては、トリル基、ナフチル基が好ましい。
【0064】
本発明において、式(1)で表される光重合開始剤の好ましいものとしては、例えば、下記式(D−1)〜(D−8)で表される化合物を挙げることができる。
【0065】
【化2】

【0066】
【化3】

【0067】
本発明においては、前記式(1)で表される光重合開始剤以外の光重合開始剤(以下、「他の光重合開始剤」という。)を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。このような他の光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、前記式(1)で表される化合物以外のO−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらのうち、他の光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及び前記式(1)で表される化合物以外のO−アシルオキシム系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0068】
本発明における好ましい他の光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0069】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0070】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0071】
なお、他の光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0072】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0073】
また、前記式(1)で表される化合物以外のO−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0074】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0075】
本発明において、(D)光重合開始剤の含有量は、(C)架橋剤100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。また、(D)光重合開始剤の含有量を上記範囲内とすることにより、耐溶剤性を向上させることができる。
また、上記式(1)で表される光重合開始剤を他の光重合開始剤と併用する場合、上記式(1)で表される光重合開始剤の含有量は、全光重合開始剤中、好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは、1〜50質量%である。これにより、耐溶剤性を向上させることができる。
【0076】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(D)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(D)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0077】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0078】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0079】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0080】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0081】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0082】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0083】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0084】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、特開2008−58642号公報、特開2010−132874号公報等に開示されている方法を挙げることができる。着色剤として染料と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、染料と、上記(B)〜(D)成分、並びに必要に応じて使用する他の添加剤成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法もを採用することができる。また、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(B)〜(D)成分、並びに必要に応じて使用する他の添加剤成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法もを採用することができる。
【0085】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0086】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、染料及びレーキ顔料から選ばれる少なくとも1種の赤色着色剤が分散された本発明の着色感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0087】
次いで、緑色又は青色の各着色感放射線性組成物を用い、上記と同様にして、各着色感放射線性組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、赤色、緑色及び青色の画素のうち少なくとも1つが本発明の着色組成物により形成されていればよい。また、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0088】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の顔料が分散された着色感放射線性組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0089】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0090】
着色感放射線性組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0091】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0092】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0093】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0094】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0095】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0096】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0097】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、染料及びレーキ顔料から選ばれる少なくとも1種の赤色着色剤が分散された本発明の着色熱硬化性組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
【0098】
次いで、緑色又は青色の各着色熱硬化性組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、赤色、緑色及び青色の画素のうち少なくとも1つが本発明の着色組成物により形成されていればよい。また、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0099】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0100】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0101】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0102】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0103】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0104】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることができ、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造をとることができる。
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることができ、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造をとることができる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0106】
<バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B1)」とする。
【0107】
<染料溶液の調製>
調製例1
染料としてベーシックブルー7を10質量部、溶媒として乳酸エチル90質量部を混合して、染料溶液(A−1)を調製した。
【0108】
調製例2
調製例1において、ベーシックブルー7に代えてアシッドブルー9を用いた以外は、調製例1と同様にして、染料溶液(A−2)を調製した。
【0109】
調製例3
調製例1において、ベーシックブルー7に代えてベーシックバイオレット11を用いた以外は、調製例1と同様にして、染料溶液(A−3)を調製した。
【0110】
調製例4
調製例1において、ベーシックブルー7に代えてアシッドレッド52を用いた以外は、調製例1と同様にして、染料溶液(A−4)を調製した。
【0111】
調製例5
調製例1において、ベーシックブルー7に代えてソルベントイエロー179を用いた以外は、調製例1と同様にして、染料溶液(A−5)を調製した。
【0112】
調製例6
調製例1において、ベーシックブルー7に代えて下記式(A1)で表される化合物を用いた以外は、調製例1と同様にして、染料溶液(A−6)を調製した。
【0113】
【化4】

【0114】
<レーキ顔料分散液の調製>
調製例7
レーキ顔料としてC.I.ピグメントブルー1を10質量部、バインダー樹脂(B1)溶液18質量部(固形分濃度33質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル8質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、レーキ顔料分散液(A−7)を調製した。
【0115】
調製例8
レーキ顔料として下記式(A2)で表されるトリアリールメタン系レーキ顔料(式中、x=1〜2)10質量部、ウレタン系分散剤としてDisperbyk−2164(不揮発成分=60%、アミン価14mgKOH/g、ビックケミー(BYK)社製)5.9質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル=90/10(質量比)混合溶媒を固形分濃度が16%となるよう混合し、ビーズミルにより12時間混合・分散して、レーキ顔料分散液(A−8)を調製した。
【0116】
【化5】

【0117】
調製例9
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントレッド81:2(シリコモリブデン酸でレーキ化されたキサンテン系レーキ顔料)=10/70/20(質量比)混合物を10質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を11質量部(固形分濃度=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル=90/10(質量比)混合溶媒を固形分濃度が16質量%となるよう用いて、ビーズミルにより処理して、レーキ顔料分散液(A−9)を調製した。
【0118】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
染料溶液(A−1)を27.2質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液21.6質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)9.2質量部、光重合開始剤として下記式(D−1)で表される化合物0.5質量部、2,2'−ビス (2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール(d−1)1.7質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール(d−2)0.4質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)を0.2質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物を調製した。
【0119】
【化6】

【0120】
耐溶剤性の評価
得られた着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って膜厚約2.5μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/m2の露光量で露光した。このようにして、基板上に青色の評価用硬化膜を形成した。
【0121】
得られた基板を、25℃のプロピレングリコールモノメチルアセテートに30分間浸漬させた。この処理前後の膜厚を触針式膜厚測定機(アルファステップ社IQ、KLAテンコール社)で測定し、残膜率(処理後膜厚/処理前膜厚×100)を算出した。そして、残膜率が90%以上の場合を「◎」、80%以上90%未満の場合を「○」、80%未満の場合を「×」として評価した。評価結果を表1に示す。
【0122】
実施例2〜6及び比較例1〜2
実施例1において、染料溶液及び光重合開始剤の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に着色組成物を調製した。そして、得られた着色組成物について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0123】
実施例7
レーキ顔料分散液(A−7)を27.2質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液16.7質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)9.2質量部、光重合開始剤として前記式(D−1)で表される化合物0.5質量部、2,2'−ビス (2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール(d−1)1.7質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール(d−2)0.4質量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)を0.2質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物を調製した。そして、得られた着色組成物について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0124】
実施例8〜9及び比較例3〜5
実施例7において、レーキ顔料分散液及び光重合開始剤の種類を表1に示すように変更した以外は実施例7と同様に着色組成物を調製した。そして、得られた着色組成物について、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
表1において、各成分は以下の通りである。
D−1:前記式(D−1)で表される化合物
D'−1:エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
d−1:2,2'−ビス (2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール
d−2:2−メルカプトベンゾチアゾール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D);
(A)染料及びレーキ顔料から選ばれる少なくとも1種を含む着色剤、
(B)バインダー樹脂、
(C)2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、並びに
(D)下記式(1)で表される光重合開始剤
を含有することを特徴とする着色組成物。
【化1】

〔式(1)において、
1及びR4は、相互に独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基又はフェニル基(但し、前記フェニル基が有する水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい)を示し、
2は、炭素数1〜20のアルカンジイル基を示し、
3は、炭素数4〜20のシクロアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、
5は、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、9−フルオレニル基、2−フリル基又は2−チエニル基(但し、これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい)を示す。〕
【請求項2】
前記(A)着色剤が、酸性染料及び非イオン性染料から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のカラーフィルタを具備する表示素子。

【公開番号】特開2013−92753(P2013−92753A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187570(P2012−187570)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】