説明

着色繊維の製造方法

【課題】 風合いが柔軟で、環境上の問題がなく、発色濃度の高い着色が得られ、均染性、鮮明性、シャープ性、堅牢性に優れた着色繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】
顔料を用いる着色繊維の製造方法において、疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲に湿式分散された顔料分散体及架橋剤からなる着色用組成物を、ターペンレスレジューサーで希釈して着色インキとした後、該着色インキを繊維上に150〜350メッシュ/インチのハイメッシュのスクリーン版で捺染し、熱処理を加えることにより高分子分散剤のイオン性基と架橋剤との間で架橋反応を生起させて顔料を繊維上に固着させることを特徴とする着色繊維の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイメッシュのスクリーン版を用いて、顔料を着色剤とする組成物を繊維上にスクリーン捺染することより、着色繊維を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維の着色には染料と顔料の何れかが用いられている。染料による着色は、繊維種により構造の異なる染料(着色剤)、即ち、綿や麻などのセルロース繊維には反応性染料又は直接染料、ウールやシルクなどの動物繊維には酸性染料、ナイロン繊維には酸性染料又は分散染料、ポリエステル繊維には分散染料、アクリル繊維にはカチオン染料などが使用され、繊維種に応じてこれらの染料を選択し、様々な染色法により染色される。
しかし、染料による着色は、大量の水中で加熱し染料を繊維に吸着(吸尽)させ、水洗、乾燥させる浸染染色方法、染料液に繊維をパディングし、蒸し、水洗、乾燥を行うパディング方法、捺染糊に染料を配合しフラットスクリーン版やロータリースクリーン版、ローラー捺染版で捺染し、蒸し、水洗、乾燥を行う捺染方法で繊維を着色することができるが、蒸し工程、水洗・ソーピング工程、乾燥工程を必要とすることから、工程が複雑でエネルギーコストをかなり必要とする染色方法である。又、水洗やソーピングにより大量の廃液が発生し、環境上にも問題がある。しかし反面、染料で着色した繊維は、均染性に優れ、深みのある発色濃度の高い着色物となり、しかも風合いが柔軟で、吸水性に優れることから衣料品としての品位は好まれている。
又、捺染加工は、捺染糊としての水溶性糊料に染料を配合して行うが、顔料のように固着樹脂を必要としないため、ハイメッシュのスクリーン版を用いる事ができる。しかしながら、この捺染方法においても繊細な図柄の着色物を得るには完全なものではなく、特に合成繊維の捺染においてハイメッシュスクリーン版を用いたとしても滲み(ブリード)が生じ、繊細な図柄を捺染表現するに課題を有しており、絵際をシャープに表現するには防染方法を用いて捺染していた。
【0003】
一方、顔料による着色は、着色剤としての顔料と分散剤としての親水基と親油基を持つ水可溶性のアニオン性又は非イオン性の界面活性剤を水中で混合した後、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、ステンレス球などと共にミル機で湿式分散を行い着色剤とし、該着色剤を顔料固着用エマルジョン樹脂と共にパディング方法により着色、或いは、レジュサーと固着用エマルジョン樹脂に配合して、フラットスクリーン捺染、ロータリースクリーン捺染、ローラー捺染を行い、乾燥することで繊維上に図柄を着色する方法である。
顔料による着色方法は、染料による着色方法に比べて、繊維種による着色剤の選定を必要とせず、加工方法も単純であり、しかも、蒸し工程や水洗やソーピング工程も必要としないことから、エネルギーコストがかからず、しかも、廃液が発生しないことから環境面においても優れた安全な加工方法である。
しかしながら、顔料による加工方法は、洗濯堅牢度などの堅牢性を保持させるために顔料固着用エマルジョン樹脂を配合しなければならず、濃色にするほど多量の樹脂が必要となるため風合いが硬くなり、柔軟で高濃度の着色物を得るには難しい問題を有し、しかも固着用エマルジョンを大量に使用することから、着色繊維の吸水性を阻害する問題を有していた。
又、従来の顔料を用いた捺染方法は、顔料固着用エマルジョン樹脂が加工中の乾燥により水に不溶性の膜が張り、目詰まりなどを引き起こし、連続捺染加工に問題を有していた。
そのため、従来の顔料捺染は、50〜120メッシュ/インチのローメッシュスクリーン版を用いて捺染されているが、そのことから風合いが硬い、シャープで繊細なデザインを捺染することができない、塗布量が多いため連続捺染中に型ふみが生じ、均染性が悪く捺染表面にイラツキが生ずる、色相が不鮮明などの問題があり、そのような事から染料による着色物に比べ品質的に劣っていた。
更に、加工中の作業面においても、エマルジョン樹脂が水分の揮発により乾燥してしまい、パディング中に機械を汚す、コーティング中に乾燥膜の混入や機械を汚す、スクリーン捺染中に版の目詰まりや膜張りが起こる、又は着色顔料インキが増粘するなどの問題を有している。
【0004】
このような顔料による着色に関するものとしては、例えば、平均粒径200nm以下の顔料粒子と、バインダーポリマー粒子を含む着色剤組成物からなるものが知られている(特許文献1)。
上記の公知方法は、微細化した顔料粒子及びバインダーポリマー粒子を用いることにより、着色皮膜層を薄くし、繊維構造体の風合いを維持し、向上し、皮膜層の空隙を抑制して、堅牢度を高めることを目的とするものであるが、この方法は、顔料粒子として微細なものを用いるため、着色加工時の再凝集の防止や微細化手段等に工夫を加える必要がある等の点で、簡便な方法とは言い難い。
その他、顔料を用いた着色剤に関しては、架橋性官能基を有する水溶性重合体と、それにより微分散化された顔料を含むことを特徴とする水性着色剤(特許文献2)、又は、特許請求の範囲1.カルボキシ基含有重合性単量体2.5〜20重量%、架橋性官能基含有重合性単量体1〜10重量%及び他の重合性単量体96.5〜70重量%から構成される重合体のアルカリ増粘形水性エマルジョン、アルカリ性物質及び疎水性有機化合物を混合した捺染糊(1)、水性加工顔料(2)及び官能基を2個以上有する架橋性有機化合物(3)からなるソープフリー着色捺染のり組成物、及び特許請求の範囲2.水性加工顔料(2)が、カルボキシ基含有重合性単量体2.5〜30重量%、架橋性官能基含有重合性単量体0〜10重量%及び他の重合性単量体97.5〜60重量%から構成されるアルカリ可溶性重合体を混合した水性加工顔料であることを特徴とする特許請求の範囲1記載の組成物(引用文献3)が挙げられる。
しかしながら、上記のものは、固着用重合体を大量に使用しているので、上述した連続捺染加工上の問題、即ち、版の目詰まりや膜張り等の問題が発生することが予想される。
次に、捺染されたインキを繊維中に浸透させるため、或いは、均染性、発色濃度を高めるため、通常はレジューサーにターペンを含むターペンレジューサーを用いて捺染されているが、昨今、有機溶剤を含むインキは、VOCの問題から、環境を悪化させる懸念がある。
レジューサーにターペンを含まないターペンレスレジューサーを用いて捺染する方法も開発されているが、浸透性、均染性、発色濃度が極めて劣り、不鮮明な着色であるなどの問題を有している。
以上のことから、環境上の問題がなく、均染性、鮮明性、シャープ性、浸透性に優れ、深みのある発色濃度の高い着色物、且つ、風合い柔軟で堅牢性に優れた顔料による着色繊維の開発が待たれている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−299018号公報
【特許文献2】特開2004−201877号公報
【特許文献3】特公昭57−89680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、風合いが柔軟で、環境上の問題がなく、発色濃度の高い着色が得られ、均染性、鮮明性、シャープ性、堅牢性に優れた着色繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の問題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、顔料による繊維の着色捺染において、顔料を疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤で平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲に湿式分散された顔料分散物に架橋剤を配合した着色組成物をターペンレスレジューサーに配合し、繊維上にハイメッシュスクリーン版を用いて捺染し、熱処理を加えることで、着色時に該高分子型分散剤のイオン性基と架橋剤の間で架橋反応が生起して、均染性、鮮明性、シャープ性に優れ、風合いが柔軟で通気性があり吸水性に優れた着色繊維が得られることを知り、又、必要に応じ顔料分散を高分子型分散剤と分散助剤として、特定の界面活性剤を併用して用いることで、顔料分散体が長期保存中においても安定化されることを知った。
又、顔料分散物をターペンレスレジューサーに配合してハイメッシュスクリーン版で捺染することで、連続捺染中に型ふみがなく(型裏付着しない)捺染表面にイラツキがない均染性に優れた鮮明で発色濃度の高い着色物となり、しかも繊維への浸透性が向上することを知り、加えて、顔料固着助剤としてコアシェル型水性樹脂、エマルジョン樹脂を必要最小限配合することで、作業性に問題を与えることなく堅牢性を向上できることを知り、更に研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は顔料による繊維の捺染において、前記の着色組成物を用いることにより、ハイメッシュスクリーン版による顔料捺染を可能とし、その結果、染料による着色捺染繊維と遜色のない品質の着色繊維が得られることを知り、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
本発明は、以下の発明から構成されるものである。
1.顔料を用いる着色繊維の製造方法において、疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲に湿式分散された顔料分散体及び架橋剤からなる着色用組成物を、ターペンレスレジューサーで希釈して着色インキとした後、該着色インキを繊維上に150〜350メッシュ/インチのハイメッシュのスクリーン版で捺染し、熱処理を加えることにより高分子分散剤のイオン性基と架橋剤との間で架橋反応を生起させて顔料を繊維上に固着させることを特徴とする着色繊維の製造方法。
2.高分子型分散剤のイオン性基が、カルボキシル基、スルフォン酸基又はリン酸基である上記1記載の着色繊維の製造方法。
3.高分子型分散剤の重量平均分子量が、2,000〜50,000の範囲に有り、且つ、酸価が100〜250の範囲にある上記1又は2記載の着色繊維の製造方法。
4.架橋剤が、常温若しくは低温で反応するところの、オキサゾリン基、イソシアネート基、エチレンイミン基、アジリジン基、カルボジイミド基、若しくはシランカップリング基を有する化合物、又は加熱後反応するところの、ブロックイソシアネート基、ヒドラジド基、若しくはジアセトンアクリルアミド基を有する化合物である上記1乃至3記載の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
5.湿式分散が、分散助剤として、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる界面活性剤を使用するものである上記1乃至4の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
6.ターペンレスレジューサーが、増粘剤として、架橋型アクリル樹脂を配合したものである上記1乃至5の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
7.架橋反応が、固着助剤として、コアシェル型水性樹脂を使用して行われるものである上記1乃至6の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
8.固着助剤が、シュル成分が水可溶性のアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステルを含む共重合樹脂又はウレタン樹脂であり、コア成分が疎水性ビニルモノマーを重合した樹脂からなるコアシェル型水性樹脂である上記7記載の着色繊維の製造方法。
9.架橋反応が、固着助剤として、コアシェル型水性樹脂を顔料1部に対し0.1〜10部、好ましくは0.1〜6部の範囲で配合してなるターペンレスレジューサーを用いることで、熱処理を加えた際に、高分子型分散剤、コアシェル型水性樹脂と架橋剤との間で架橋反応を生起させるものである上記7又は8記載の着色繊維の製造方法。
10.シリコーンオイルからなる柔軟剤が、着色インキに配合されるか、又は着色繊維の後処理として使用されるものである上記1乃至9の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
11.上記1乃至10の何れかに記載の着色繊維の製造方法により得られた着色繊維を、更にシリコーンオイルでパディング処理することを特徴とする着色繊維の製造方法。
12.上記1〜10の何れかに記載の着色繊維の製造方法により得られた着色繊維が、天然繊維、半合成繊維、合成繊維、又はこれらの混紡である着色繊維。
【0009】
本発明は、以下の知見に基づいて、完成されたものである。
1.従来技術の問題点
従来の顔料を着色剤とする捺染は、非イオン性界面活性剤、又は、陰イオン性界面活性剤を分散剤として用いた顔料水分散体を着色剤とし、それに通常ターペンを含むレジューサー、湿潤剤、界面活性剤、及び、固着剤としての大量のエマルジョン樹脂などを配合してインキ化の後、50〜120メッシュ/インチのスクリーン版を用いて、繊維上に図柄を形成する捺染方法が行われていた。
尚、フラットスクリーン版は、ポリエステルやナイロンの糸を織ったものであるのに対し、ロータリースクリーン版は、厚み90〜120μmのステンレス板に各種メッシュの孔を開けた版である。
しかし、上記のスクリーン捺染方法は、下記の問題点を有していた。
(問題点1)
従来の顔料分散剤は、非イオン性界面活性剤、又は陰イオン性界面活性剤が使用されているが、これらの界面活性剤は、着色時には繊維との親和性の悪さから顔料の固着を阻害し、又、繊維に残った界面活性剤はその水溶性のため着色繊維の洗濯堅牢性、摩擦堅牢性などを悪化させている。
そのため、従来、堅牢度よく顔料を繊維上に固着させるため、着色インキ中に固着剤として、大量のエマルジョン樹脂を配合していた。
しかし、エマルジョン樹脂は、顔料を強固に繊維に接着することができるが、その反面乾燥すると水不溶性の皮膜を形成することから、大量に配合するとスクリーン版を目詰まりさせる問題が起こり、ハイメッシュでの捺染加工ができなかった。
その結果、50〜120メッシュ/インチの粗いローメッシュのスクリーン版しか使用することができず、図柄の際が不鮮明であり、鮮明且つシャープな図柄を形成する捺染が出来なかった。
又、ローメッシュスクリーン版を使用することから、塗布量が多く、連続捺染中に型裏にインキが付着、積層し、いわゆる型ふみ現象が生じ、その結果、捺染物表面はイラツキが生じ、均染性が得られなかった。
更には、洗濯堅牢度や摩擦堅牢度を得るために大量のエマルジョン樹脂を配合した場合、着色繊維の風合いを損ねる問題と吸水性を阻害する問題を有しており、このことは、高濃度着色になる程顕著であることから、顔料による捺染方法では、風合いが柔軟で、高濃度の着色繊維を得ることは困難とされていた。
上記の大量のエマルジョン樹脂の配合による作業性の問題解決策として、多量の湿潤剤を配合し乾燥を遅らせる策がとられているが、多量の湿潤剤の配合は、堅牢性を極めて低下させることから、問題の解決には至っていない。
又、このような方法を取ったとしても、ハイメッシュスクリーン版を用いた捺染における目詰まりを、完全に防止するには至っていなかった。
更に、従来の顔料を用いた捺染方法は、堅牢性を保持するため固着用エマルジョン樹脂を大量に配合しているが、該固着剤は、エマルジョン形態であり0.1〜0.3μmの粒子を形成している。
即ち、顔料粒子とエマルジョン粒子は、ほぼ同じ大きさの粒子径であり、捺染後、繊維中で両者は、互いに独立した粒子で存在し異なった速度で浸透する。
その結果、顔料表面には界面活性剤が結合していることから、浸透力が強く、表面発色を阻害し発色濃度を高めるには、顔料を多く配合するか、よりローメッシュで塗布量を多くする以外には、困難であった。
このような独立した現象は、顔料と固着剤が点状に固着するために、固着剤が乾燥後融着して透明化したとしても、顔料の発色濃度は光の屈折率の問題によりやや白く濁りのある状態となり、着色物の鮮明性を阻害する。
そのため、染料で着色した繊維のような深みのある鮮明な着色繊維が得られなかった。
又、顔料と固着剤は、点状に絡まった状態で繊維に固着していると考えられることから、固着効率が悪く顔料に対する固着剤量を多量に必要とし、着色繊維の風合いを一層阻害していた。
よって、高濃度の着色で堅牢度を保持するには、固着剤量を多くしなければならないので、着色繊維は極めて硬い風合いのものしか得られず、又、着色繊維の吸水性も悪い物しか得られなかった。
(問題点2)
従来の顔料捺染用レジューサーは、着色インキを繊維中に浸透させ、鮮明な発色とさせるため、又は風合いを柔軟化させるために、通常、ターペンを含むレジューサーを用いて捺染されていたが、昨今の環境問題下、有機溶剤を含むインキはVOCの問題から環境を悪化させ問題であった。
そのため、昨今、レジューサーにターペンを含まないターペンレスレジューサーを用いて捺染する方法が開発され行われているが、極めて、鮮明性、発色濃度に劣るため、一般的にはターペンを含むレジューサーが多く用いられているのが実状である。
【0010】
2.解決方法
上記の問題は、以下の解決方法により、解決することが分かった。
(解決法1)顔料分散体及び架橋剤からなる着色組成物
着色組成物として、疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により湿式分散した顔料分散体及び架橋剤を併用したものを使用する。
即ち、架橋剤を用いて、高分子型分散剤のイオン性基を架橋させることで、分散剤が非水溶性となり、更に樹脂化して大きな高分子体となるので、顔料の固着剤としての機能を発揮することとなる。
その結果、従来の顔料分散剤のように、大量のエマルジョン樹脂を必要としないので、本発明の顔料分散物をターペンレスレジューサーに配合してハイメッシュのスクリーン版による捺染をしたとしても、連続捺染中に目詰まりを起こすことなく、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性に優れた着色繊維が得られるとともに、得られた着色繊維の風合いは柔軟であり、吸水性も阻害しない、通気性のある着色繊維が得られる。
又、分散助剤として、特定の界面活性剤を併用することにより、分散の安定性を更に向上することができ、顔料分散体の長期保存安定性を向上することができる。
上記の架橋剤としては、常温又は低温で反応性を有する、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、エチレン尿素化合物、エチレンイミン化合物、アジリジン化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング化合物、加熱後反応性を有するブロックイソシアネート化合物、有機酸ヒドラジド化合物、ジアセトンアクリルアミド化合物等を用いることができる。
この場合、加熱後反応するブロックイソシアネート化合物、有機酸ヒドラジド化合物、ジアセトンアクリルアミド化合物を架橋剤として用いる場合には、着色インキの一液化が可能であり、着色インキの無駄がなくなり、環境上廃液がなくなり極めて経済的にも省力化が可能となる。
上述したように、本発明の高分子型分散剤は、水可溶性の分散剤であり、該分散剤で分散された顔料分散体を、架橋剤とともに捺染することで、繊維上で顔料と高分子分散剤、架橋剤は一体化され、顔料を高分子分散剤で被覆した状態で捺染されるとともに、その後、熱処理を加えることで、被覆状態を維持して固着されるから、固着効率として最適なものとなる。
その結果、本発明では、必要最小限の固着剤で、堅牢度良く顔料を繊維に固着することができる点で有利である。
(解決法2)ターペンレスレジューサーで希釈した着色インキ
上記の疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により湿式分散した顔料分散体及び架橋剤からなる着色組成物は、ターペンレスレジューサーで希釈して、着色インキとした後、捺染を行う。
着色インキとする場合のターペンレスレジューサーの調製は、増粘剤を配合して行う。
増粘剤としては、架橋型アクリル樹脂を用いた場合には、該増粘剤成分には、分子中に残存するカルボキシル基などの官能基を含むため、架橋剤で架橋することができる点で有利である。
即ち、増粘剤成分は、着色インキ中で、水膨潤性の増粘成分として働き、捺染、乾燥、熱処理後は、水難溶性の固着成分として作用する。
その結果、従来のターペンレジューサーの非イオン性界面活性剤を用いた増粘と異なり、堅牢性を阻害する成分を含まないので、固着樹脂成分が少量でも、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度を保持することができる。
(解決法3)ハイメッシュスクリーン版による捺染
疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により湿式分散した顔料分散体及び架橋剤からなる着色組成物の捺染は、ターペンレスレジューサーで希釈して、着色インキとした後、ハイメッシュスクリーン版による捺染を行う。
本発明の着色インキの捺染を、ハイメッシュスクリーン版で捺染することにより、鮮明な深みのある発色濃度で、均染性に優れたシャープな捺染物を得ることができる。
このようにハイメッシュスクリーン版で捺染すると、型ふみがなく、均染性に優れたものとなる。
従って、従来のように、捺染のターペンレスレジューサーによる従来の顔料分散体と大量の固着用エマルジョン樹脂を用いた捺染で問題となった、均染性不良、鮮明性不良、発色濃度の低下等の問題が発生しない。
その他、以下の解決法4、解決法5等を採用してもよい。
(解決法4)固着助剤
着色用組成物をハイメッシュのスクリーン版でスクリーン印刷すると優れた着色繊維が得られるが、その塗布量の少なさから堅牢性に劣る。
堅牢性を上げるために、固着助剤として樹脂を配合すると、従来の樹脂では、目詰まりするなどのハイメッシュでの作業性の問題が起こるため、多量の樹脂は配合できない。
そこで、固着助剤として、コアシエル型水性樹脂を用いると、その再溶解性から目詰まりを起こすことなく、大量に配合しても作業性に影響せず堅牢性を向上させることができる。
即ち、固着助剤として、コアシェル型水性樹脂を使用すると、着色時に、本発明の高分子分散剤と架橋剤、及び、コアシェル型水性樹脂と架橋剤の間で架橋反応が生起して、少量の固着樹脂で顔料を繊維上に強固に固着することができる。
その場合、固着助剤として、コアシェル型水性樹脂は、風合い、堅牢度、作業性等を考慮して決定する必要がある。即ち、風合いは少ない程よく、堅牢度は多い程よいので、両者のバランスを考慮して決定する必要がある。例えば、顔料1部に対し0.1〜10部、好ましく0.1〜6部の範囲で配合するのがよい。
しかも、コアシェル型水性樹脂は、シェル部が水溶性でコア部が疎水性の水性樹脂であるから、捺染加工中にスクリーン版上で水分が蒸発したとしても、シェル部が水溶性樹脂のため再溶解が可能であり、スクリーン版を目詰まりさせることなく、ハイメッシュスクリーン版で連続して捺染加工ができる。
その結果、染料による着色と遜色のない柔軟な風合いで、通気性に優れ、吸水性にも優れた着色布を得ることができる。
上述したように、コアシェル型水性樹脂は、顔料と接触する界面が水溶性であるから、着色インキ中で一体化が阻害されず、均一な状態で固着機能を発揮できるため、従来問題となっていた、固着剤による発色、鮮明性、風合い、通気性、吸水性、作業性の低下、堅牢度の問題を解決することが可能となった。
なお、固着助剤として、エマルジョン型水性樹脂を顔料1部に対し0.1〜5部の範囲で配合することで、コアシェル型水性樹脂に同じく、堅牢性を高めることができるが、着色インキ中で固着剤と顔料を一体化する意味からすると、コアシェル型水性樹脂を固着助剤として用いることが好ましく、作業性の面、発色、鮮明性からしても、コアシェル型水性樹脂を固着助剤として使用することが好ましい。
(解決法5)柔軟剤
捺染された着色繊維に、シリコーンオイルをパディングすることで、より優れた柔軟な風合いの着色繊維となり、しかも、従来、柔軟化処理剤として用いられていた、WAX、フタル酸エステルなどの可塑剤、鉱油などのオイル成分に比べて、繊維表面の平滑性に優れ、摩擦堅牢性が向上し、粘着性がなく、さらさらとした触感の柔軟な着色繊維が得られる。
【0011】
3.本発明の効果
本発明は、上記の解決法の採用により、以下の効果の達成が可能となった。
(1)従来の顔料からなる着色インキは、固着用エマルジョン樹脂を多量に用い50〜120メッシュ/インチのローメッシュスクリーン版で捺染していたが、繊維上に必要以上に多くの塗布量で捺染され、より風合いを阻害する原因となっていた。
又、繊維上に着色インキが多く捺染されるから、ウェットオンウェットの連続捺染中に型裏にインキが付着する、いわゆる型ふみ現象が生じ、着色繊維表面にイラツキが起こり、均染性が問題となっていた。
しかし、繊維の着色物は、所望の濃度の着色ができればインキの付着量は少ない方が経済的にも品質的にも好ましく、本発明のターペンレスレジューサーに高分子分散剤で分散された顔料、架橋剤を用いた着色インキは、夫々の成分が一体化した連続系のインキで捺染されることから、ハイメッシュで捺染したとしても繊維に対する浸透性は一定であり、繊維表面に効率よく、同じ顔料濃度であっても濃度高く着色できることから、ハイメッシュで必要最小限のインキで所望の濃度の捺染が可能となる。
即ち、捺染物表面の塗布量は少なく、連続捺染中に従来問題となっていた型ふみの問題を解決することが可能となった。
又、必要最小限の塗布量で効率よく繊維に着色できるため、ポリエステルなどの合成繊維であってもインキがブリードすることなく捺染できるため、シャープな絵際の着色繊維が得られる。
そのため、染料による着色で用いられていた防染法も必要がなく省力的な方法で繊細な図柄が捺染することが可能となった。
更に、ターペンレスレジューサーにシリコーンオイルを配合することで、着色物を柔軟化でき、更に表面張力を低下できる作用が生起し、浸透性をより向上させることができる。
その結果、着色物表面の平滑性が向上し、摩擦堅牢性も向上する。
(2)本発明の着色インキは、水膨潤性の増粘剤と顔料、高分子分散剤、架橋剤を一体化した連続系の着色インキで繊維上に捺染されることから、夫々の成分は、一定の速度で繊維中に浸透し、その結果、顔料は、架橋成分で被覆された状態で繊維上に着色され、濡れ色の発色を呈し鮮明で発色濃度の高い着色捺染物が得られる。
また、染料による着色繊維と遜色のない、風合い柔軟で、通気性があり、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性に優れた着色繊維が得られ、しかも、染料の着色工程のような複雑な工程を必要とせず、エネルギーも必要としない環境上においても優れた加工方法により着色繊維が得られる。
(3)顔料を疎水性基とイオン性基を必須成分とする高分子型分散剤で分散すること、或いは、必要に応じ分散助剤として特定の界面活性剤を併用して用い分散することで、平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲に容易に湿式分散することができ、該分散物に架橋剤を配合することで、捺染後、乾燥・熱処理を行うと、着色時に、該高分子分散剤のイオン性基と架橋剤の間で架橋反応が生起して、顔料を繊維上に固着するという特性を有する。
(4)該顔料分散体をターペンレスレジューサー、架橋剤と共に着色インキ化することで、夫々の成分が一体化された状態で、ハイメッシュのスクリーン版により捺染されることとなり、その結果、深みのある発色濃度で、均染性、鮮明性、シャープ性に優れた捺染物が得られる点に特徴を有する。
(5)固着助剤としてコアシェル型水性樹脂を顔料1部に対し0.1〜10部、好ましくは0.1〜6部の範囲で配合して、及び、又は、エマルジョン型水性樹脂を顔料1部に対し0.1〜5部の範囲で配合して繊維上に捺染後、乾燥・熱処理を行うことで、着色時に、該高分子分散剤と架橋剤、及び、コアシェル型水性樹脂と架橋剤、エマルジョン型水性樹脂と架橋剤の間で架橋反応が生起して、顔料を繊維上により強固に固着するという特性を有する。
(6)ターペンレスレジューサーに用いる増粘剤成分も捺染後、乾燥・熱処理を加えることで架橋反応が生起することから、何れの成分も捺染、乾燥、熱処理工程を経た後は、効率的に作用し、耐水性が向上し、従来の顔料を用いた捺染用インキのような大量の固着用樹脂を用いることなく洗濯堅牢度、摩擦堅牢度に優れた着色繊維を得ることができる。
その結果、本発明の捺染方法により着色された繊維は、風合い柔軟で、通気性、吸水性に優れ、連続捺染作業性に優れ、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、インキの長期安定性に優れ、何れの点においても優れているという特段の効果を奏する。
本発明の顔料を用いた捺染用着色インキは、顔料分散剤として用いた高分子型分散剤を架橋剤で架橋させて、顔料固着剤としても利用する点から、分散剤に、2つの機能を持たせ、固着剤を必要としないか、或いは、必要最小限の固着助剤により顔料を繊維上に強固に固着することができ、又夫々の成分が一体化された状態で捺染されるから、鮮明で深みのある発色で風合い柔軟な、均染性に優れた捺染物を得ることが可能となった。
これらの今までにない合理的な手段を採用することにより、上記のような高品質の着色繊維製品の製造を可能にしたものである。
以上の本発明の優れた効果は、上記の解決法によるものであるが、特に、疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤を用いること、及び、架橋剤を配合し高分子型分散剤のイオン性基と架橋反応を生起させること、それらをノーターペンレジューサーに配合すること、ハイメッシュスクリーン版を用いることの相乗的効果によりもたらされた点に優れた効果を奏したものであり、何れが欠けても本発明の目的が達成できないことからみて、本発明の構成の選択には格別の意義がある。
【0012】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、顔料を用いる着色繊維の製造方法において、(1)疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲に湿式分散された顔料分散体と架橋剤からなる着色組成物を、(2)ターペンレスレジューサーで希釈して着色インキとした後、(3)該着色インキを繊維上にハイメッシュのスクリーン版で捺染し、(4)熱処理を加えることにより高分子分散剤のイオン性基と架橋剤との間で架橋反応を生起させて顔料を繊維上に固着させる、という各工程を必須要件とする点に特徴を有するものである。
【0013】
「製造工程」
上記の工程(1)〜(4)について詳述する。
<工程(1):着色組成物>
本着色組成物は、以下の顔料分散体と架橋剤から構成される。
1.顔料分散体
本顔料分散体は、(A)顔料及び(B)高分子型分散剤を必須成分とし、その他の成分として、(C)分散助剤を配合した後、水性媒体下、湿式分散させることにより調製する。
(A)顔料
本発明の顔料は、平均粒子径が0.1〜0.5μmのものを用いる必要があり、該範囲を逸脱すると所期の目的を達成することができない。
本発明の顔料分散体に用いる顔料としては、有機顔料、無機顔料を問わず、繊維製品の着色剤として用いることができる顔料であれば何れのものも使用することができる。
例えば、黒色顔料としてのカーボンブラック、酸化鉄黒顔料など、赤色顔料としてのアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、クロモフタル系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料など、黄色顔料としてのアゾ系顔料、イミダゾロン系顔料、チタン黄色顔料など、オレンジ顔料としてのインダンスレン系顔料、アゾ系顔料、イミダゾロン系顔料など、青色、緑色顔料としてのフタロシアニン系顔料、紫色顔料としてのジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料など、白色顔料としての酸化チタン、アルミニウムシリケート、酸化ケイ素などを用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
(B)高分子型分散剤
高分子型分散剤は、(イ)疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とするものであって、以下の、(ロ)顔料分散性、(ハ)架橋性、(ニ)分子量、(ホ)酸価等の特性を有するものを使用するのがよい。
(イ)疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤
高分子型分散剤としては、疎水基含有単量体として、例えば、スチレンモノマー、フェニル基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、アルキルビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル等のビニル単量体、ポリイソシアネートとポリオール及び、又は、ポリアミンから形成されるウレタン基含有ビニル単量体、エピクロルヒドリンとビスフェノールなどから形成されるエポキシ基含有ビニル単量体、高カルボン酸とポリアルコール等の単量体から形成されるエステル基含有ビニル単量体、オルガノシロキサンなどから形成されるシリコーン基含有ビニル単量体等が挙げられる。
イオン性基含有単量体としては、以下の不飽和カルボン酸単量体、不飽和リン酸単量体、又は、これ等の無水物や塩などがあり、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸エステル、(メタ)アクリル酸アルキルスルフォン酸などが挙げられる。
高分子型分散剤とするには、これ等の疎水基含有ビニル単量体とイオン性基含有単量体を共重合法によって得ることができるが、共重合法以外に、例えば、イオン性基を予め導入したウレタン形成基含有単量体をウレタン重合、イオン性基を予め導入したエポキシ形成基含有単量体をエポキシ重合するなどの方法も採用することができる。又、基幹の高分子を重合形成した後、目的のイオン性基を導入することでも本発明の高分子分散剤が得られる。
尚、本発明の高分子型分散剤は、疎水基含有ビニル単量体とイオン性基含有単量体を構成成分とするが、その他の成分として、例えば、イオン性を伴わない、ヒドロキシル基やアミド基を持つポリエチレンオキサイド、ポリオール、ヒドロキシアルキルエステル類含有単量体、アクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリレート、酢酸ビニル、ビニルアルコール、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン等を単量体として共重合させることができる。
(ロ)顔料分散性
顔料分散時に顔料表面に吸着し水となじませ(濡れさせる)、機械的作用により摩砕させた顔料微粒子を静電反発(斥力)や立体反発により微粒子の再凝集を防止し、沈降性の抑制や増粘抑制の機能を有する。
(ハ)架橋性
高分子型分散剤は、着色時に架橋剤の作用によりイオン性基との間で架橋反応が生起し、固着剤としての機能を有するものである。
(ニ)分子量
高分子型分散剤は、顔料に対して、分散効果の最適な分子量があり、その分子量を超えて大きくなると分散効果が低く、分散体が高粘度となり、又、顔料の沈降や凝集を招く。一方、最適な分子量より小さいと架橋させた後の固着剤としての効果が低く耐水性などが得られない。
従って、本高分子分散剤としては、重量平均分子量が2,000〜50,000のものを用いるのが良い。
(ホ)酸価
高分子分散剤の酸価は、疎水基、イオン性基の共重合比率を変更することで、高分子分散剤の酸価が異なるが、本発明の顔料分散においては、高分子分散剤の酸価を100〜250の範囲にするのがよい。酸価が250より高い場合には、架橋剤により架橋したとしても耐水性が得られず、100より低いと顔料分散性が悪く、長期保管中に顔料凝集が起こる、分離沈降する、増粘するなどの問題、及び、顔料との一体化を阻害する影響が起こるため好ましくない。
(ヘ)その他
高分子分散剤は、必要により、アンモニア水などによりpH調整を行い、水可溶性として用いることができる。
(C)分散助剤
上記の高分子型分散剤の外に、分散助剤として、界面活性剤を併用することができる。
分散助剤としては、高分子型分散剤のみで顔料分散した場合に、長期保管中に顔料と高分子分散剤間で電気的二重層の乖離作用、即ち、分散剤の脱着が起こり、顔料凝集や、分離・沈降、増粘が起こる場合があり、そのため、長期保管安定性を高めるには、高分子分散剤と分散助剤としての界面活性剤を併用して用いることが好ましい。
界面活性剤としては、界面活性剤であれば何れのものも採用することができるが、陰イオン系界面活性剤が好適に使うことができる。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエステルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボシキシレート塩、ポリカルボン酸塩等が挙げられる。
中でも好ましい陰イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩である。
中でも、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましく、HLBが10〜18のものが更に好ましい。
尚、上記陰イオン系界面活性剤の塩としての対カチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アンモニウム等が挙げられ、ナトリウム又はアンモニウムが好ましい。
【0014】
[顔料分散体の調製]
本顔料分散体の調製は、(A)顔料と(B)高分子型分散剤を、必要により、その他の成分として、(C)分散助剤とともに、水性媒体下、湿式分散させることにより行うことができる。
1)顔料と高分子型分散剤の配合比
顔料と高分子型分散剤の配合割合は、1.0:0.1〜2.0の範囲とするのがよく、又、必要に応じ併用して用いる分散助剤としての特定の界面活性剤を配合する場合の配合割合(重量)は、顔料:高分子型分散剤:分散助剤としての界面活性剤が1.0:0.1〜2.0:0.1〜0.3とするのがよい。この範囲を逸脱すると、インキ濃度が得られない、耐水性が得られない、洗濯堅牢性や摩擦堅牢性が得られないなどの問題が生ずる。
2)水性媒体
水性媒体としては、水や水溶性有機溶剤などを用いることができる。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソープロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
3)顔料分散体の調整方法
上記の(A)顔料、(B)高分子分散剤、必要に応じ、その他の成分、(C)分散助剤とともに、上記の2)水性媒体を混合して、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズなどを用いてミル型分散機で湿式分散することで顔料分散体が得られ、平均粒子径を0.1〜0.5μmの範囲にすることでハイメッシュスクリーン版による捺染性に優れた顔料分散体を得ることができる。即ち、0.1μmより小さいと、隠ぺい性、安定性、耐光性、耐熱性に劣り、0.5μmより大きいと、鮮明性に劣り、着色濃度が低く、又着色インキの各成分の一体化の阻害による堅牢性の低下、鮮明性の低下、捺染作業中の目詰まりの問題を起こすことから好ましくない。
【0015】
2.架橋剤
本架橋剤は、高分子型分散剤のイオン性基と反応して、耐水性のある高分子化合物を形成し、顔料固着剤として作用させるためのものである。
架橋剤としては、常温若しくは低温で反応するところの、オキサゾリン基、イソシアネート基、エチレンイミン基、アジリジン基、カルボジイミド基、若しくはシランカップリング基を有する化合物、又は加熱後反応するところの、ブロックイソシアネート基、ヒドラジド基、若しくはジアセトンアクリルアミド基を有する化合物等を用いることができる。
上記の後者のものは、着色組成物を一液化することができ、作業性としてはより効率的で、経済的に適している。
【0016】
<工程(2):着色インキ>
上記1の顔料分散体は、必要により、固着助剤、柔軟化剤等を配合し、ターペンレスレジューサーで希釈して着色インキとした後、次の着色インキ捺染工程に付すことができる。
1.ターペンレスレジューサー
ターペンレスレジューサーは、通常、捺染用レジューサーとして必要な粘度のものに調製される。
ターペンレスレジューサーに用いる増粘剤は、例えば水膨潤性のアルコプリントPTF、アルコプリントPTRVなどの架橋されたアクリル樹脂、それらに水、及び、必要に応じ、アンモニア水などのアルカリを添加しPH調整を行い、捺染用レジューサーとして必要な粘度のターペンレスレジューサーを得ることができる。
このような増粘剤成分は、架橋剤の作用により、捺染後、乾燥・熱処理を行った後、架橋し、水難溶性となり耐水性が向上し、洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を阻害しないものとなる。
又、増粘剤成分に、その他のレオロジーコントロール剤として、会合性ウレタン系増粘剤や界面活性剤により粘性を調整することもできる。
捺染用着色インキの粘度は、2000〜50000mPa・sが好ましく、より好ましくは、5000〜30000mPa・sが好ましい。この範囲の粘度調整は、ターペンレスレジューサーに用いる増粘剤の量を調整することで容易にコントロールすることができる。2000mPa・sより粘度が低い場合は、繊維に捺染したときの図柄のシャープ性が劣り、インキが繊維上でブリードする、捺染作業性が悪いなどの問題が生ずる。50000mPa・sより高い場合は、浸透性が悪くなり繊維表面に着色インキの溜まりによる型ふみが生じ均染性が悪くなり、又摩擦堅牢性を阻害する。又、高粘度のため連続した捺染性に問題が生じ、均染性や鮮明性に問題が生ずるので好ましくない。
2.固着助剤
本固着助剤を配合しなくても、堅牢性に優れた顔料による着色繊維を得ることができるが、より洗濯堅牢性、摩擦堅牢性を向上させる目的で固着助剤を併用することができる。
固着助剤としては、コアシェル型水性樹脂を配合すると(顔料1部に対し0.1〜10部、好ましくは0.1〜6部)、着色時に、高分子分散剤のイオン性基と架橋剤が架橋すると同時に、コアシェル型水性樹脂と架橋剤の間で架橋反応が生起して、必要最小限の固着剤量で、顔料を繊維上に固着することができ、ハイメッシュスクリーン版を用いた捺染においても、連続捺染中にスクリーン版を目詰まりさせることなく、均染性に優れ、繊細で鮮明且つシャープな図柄を堅牢度良く捺染することができ、その結果風合いが柔軟な着色繊維が得られる。
コアシェル型水性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などを末端に有する水可溶性のアクリル酸エステル共重合樹脂、アクリル酸エステル/スチレン共重合樹脂、アクリル酸エステル/メチルメタアクリレート共重合樹脂又は、ウレタン樹脂をシェルとし、コア成分として該水可溶性樹脂を分散剤として疎水性ビニルモノマーを重合したコアシェル型水性樹脂を用いることができ、疎水性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、酢酸ビニルモノマー、ウレタン/(メタ)アクリル酸エステルモノマー、塩化ビニルモノマー、エチレン/酢酸ビニルモノマー、アクリロニトリルモノマーなどが挙げられるが必ずしもこれ等に限定されるものではなく内部化架橋モノマーを共重合することもできる。
又、必要に応じ、着色インキに、固着助剤としてエマルジョン型水性樹脂を顔料1部に対し0.1〜5部の範囲で配合して用いることができ、前記コアシェル型水性樹脂と同じく、着色時に、該高分子分散剤と架橋剤との反応と同時に、架橋反応が生起して堅牢性を向上させることができるし、両者の固着助剤を併用して用いることもできる。
エマルジョン型水性樹脂としては、分子末端にカルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基、アミド基などの親水性架橋基を有するビニル樹脂共重合体が良く、例えば、アクリル酸エステル共重合樹脂、ウレタン樹脂、アクリル/ウレタン樹脂、アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合樹脂などを用いることができる。
尚、両者の固着助剤は、前者のコアシェル型水性樹脂を単独で用いる方がより着色インキの各成分の一体化を阻害しない点、および、連続捺染作業性を阻害しない点からして好ましい。
【0017】
3.柔軟化剤
本発明の着色インキ用に用いる柔軟化剤としては、以下のものが用いられる。
メチル化シリコーンオイル、アミノシリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、ヒドロキシ変性シリコーンオイル、エポキシ基変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル類が好適である。即ち、これ等のシリコーンオイル類を柔軟化剤として用いた場合に、柔軟化と共に、着色組成物の表面張力を低下させる効果が生起し、繊維への浸透性が向上し、その結果、捺染物が平滑に捺染でき均染性に優れた着色捺染物が得られる。
【0018】
4.その他の成分
着色インキ中に、インキの乾燥を遅らせるための湿潤剤としてのエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、尿素など、消泡剤としてのシリコーンオイル、鉱油など、耐光性を向上させるための紫外線吸収剤、酸化防止剤など、pH調整のためのアンモニア水、アミン類、有機酸など、滑性を向上させるための金属石鹸、ワックス類など、繊維への浸透性を向上させるための浸透剤など、硬化を促進させるための硬化触媒、柔軟化のための可塑剤などを配合することができる。
【0019】
<工程3:ハイメッシュスクリーン版>
上記の捺染用着色インキは、ハイメッシュスクリーン版、即ち、150〜350メッシュ/インチのスクリーン版を用いて、繊維上に捺染される。
捺染機としては、特に限定されないが、例えば、オートスクリーン捺染機、ハンドスクリーン捺染機、円形多面式捺染機、長円形多面式捺染機、ロータリースクリーン捺染機などの捺染機により、ハイメッシュスクリーン版、即ち、150〜350メッシュ/インチのスクリーン版を用いて捺染することができ、好ましくは、180〜300メッシュ/インチのスクリーン版を用いることが、型ふみ、均染性、着色濃度、鮮明性、シャープ性などの点からして好ましい。
【0020】
<工程4:高分子分散剤と架橋剤との架橋反応による顔料の繊維上への固着>
上記の捺染用着色インキのハイメッシュのスクリーン版での捺染後、本発明の顔料の繊維上への固着は、熱処理を加えることにより、高分子分散剤と架橋剤との間で架橋反応を生起させて、顔料を繊維上に固着させる点に特徴を有するものである。
即ち、本発明は、捺染後、各成分が一体化された状態で繊維中に捺染され、架橋剤により高分子型分散剤、固着助剤、増粘成分を架橋させ、より効率よく固着成分としての機能を生起させる必要があり、乾燥後、80〜160℃で1〜8分間熱処理をすることで、風合い柔軟で通気性、吸水性があり、発色濃度に優れ、均染性に優れ、鮮明且つシャープで洗濯堅牢性、摩擦堅牢性に優れた図柄を繊維上に形成することができ、その結果、染料による着色繊維と遜色のない品質の着色繊維が得られる。
但し、乾燥による熱によって架橋反応が進行する場合や室温程度の熱によって架橋反応が進行する場合には、必ずしも通常の熱処理は必要ない。本発明においてはこの様な熱の場合であっても熱処理の範ちゅうとする。
【0021】
「繊維製品」
本発明の着色組成物により着色された繊維を、シリコーンオイルを含む処理剤でパディング処理することで、より柔軟な風合いの着色繊維が得られる。
シリコーンオイルとしては、メチル化シリコーンオイル、アミノシリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、ヒドロキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルを用いることができるが、中でも柔軟化効果としてアミノシリコーンオイルが最も好ましい。
本発明の着色インキを用いたハイメッシュスクリーン版による着色繊維は、以下のものがある。
繊維種としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、乳酸繊維などの合成繊維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、綿、絹、毛、麻などの天然繊維、及びこれ等の混紡繊維、編み物、織物、不織布、起毛布等が挙げられる。
衣料品としては、Tシャツ、ポロシャツ、ワイシャツ、トレーナー、ジャージ、パンツ、ワンピース、ブラウス、靴下、靴、スカーフ、ハンカチなどが挙げられる。
衣料品以外の繊維製品としては、寝具、シーツ、カーテン、カーシート、ソファー、車内装、テント、バック、カレンダー、旗、幟、装飾具などが挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の着色組成物を用いた着色インキでハイメッシュスクリーン版を用いて捺染された着色繊維製品は、発色濃度が高く、型ふみがなく均染性に優れ、鮮明且つシャープな図柄が洗濯堅牢性、摩擦堅牢性に問題なく、風合い柔軟で通気性、吸水性があり、しかも、連続捺染中のスクリーン版の目詰まりがない、何れの特性にも優れた効果を奏するので、本発明の着色組成物、着色インキを用いた捺染方法には格別の高い価値がある。
又、本発明の着色インキは、ターペンを含まないので、環境上の問題も発生しない点においても価値がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これ等に限定されるものでない。尚、実施例等に言う「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。
(実施例1)
<顔料分散体の調整>
フタロシアニン系青色顔料(C.I.ピグメントブルー15−3)25部、イオン性基としてカルボキシル基、疎水基としてフェニル基を持つ重量平均分子量8,500、酸価200の高分子型分散剤(固形分34重量%、ジョンクリル62:BASFジャパン(株)製)25部、プロピレングリコール5部、水45部を混合して、ビーズミル(直径0.5mmのガラスビーズ、湿式分散機)にて2時間分散し、平均粒子径0.248μmの青色顔料分散体1を得た。
青色顔料分散体1のフタロシアニン系青色顔料をアゾ系赤色顔料(C.I.ピグメントレッド150)に代えた以外は、全て青色顔料分散体1と同様に行い、平均粒子径0.292μmの赤色顔料分散体2を得た。
<ターペンレスレジューサーの調整>
水96.25部、架橋されたアクリル樹脂系増粘剤(アルコプリントPTF:チバスペシャルティケミカル(株)製)1.25部、プロピレングリコール2部を均一に攪拌混合させ、ターペンレスレジューサー1を得た。
<着色インキの調整>
上記の青色顔料分散体1 3部、上記のターペンレスレジューサー1 96部、消泡剤(SNディフォーマー777:サンノプコ(株)製)1部、ブロックイソシアネート系架橋剤(フィクサーN:(株)松井色素化学工業所製)3部を配合して、粘度14,000mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ1を得た。
着色インキ1の青色顔料分散体1を赤色顔料分散体2に代えた以外は、全て着色インキと同様に行い、粘度15,000mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ2を得た。
<着色方法>
上記着色インキ1を、250メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ2を、250メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、綿ブロード上にオートスクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、150℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、捺染開始と1000m加工後の格子幅に変化がなく、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかった。
又、連続捺染中に型ふみがなく、捺染表面にイラツキが生じず、均染性に優れたものであった。
更に、得られた品質も、ブリードがなく格子柄の絵際がシャープで鮮明なものであり、風合いが柔軟で、通気性、吸水性があり、堅牢性においても洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が4級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦2−3級、湿摩擦2−3級と優れた品質のものであった。
【0024】
(実施例2)
<着色方法>
実施例1で用いた着色インキ1を、180メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ2を180メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のロータリースクリーン型を用いて、綿ローン上にロータリースクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、140℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、実施例1同様に捺染開始と1000m加工後に格子幅に変化がなく、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかった。
又、連続捺染中に型ふみがなく、捺染表面にイラツキが生じず、均染性に優れたものであった。
更に、得られた品質も、ブリードがなく格子柄の絵際がシャープで鮮明なものであり、風合いが柔軟で、通気性、吸水性があり、堅牢性においても洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が4級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦2−3級、湿摩擦2−3級と優れた品質のものであった。
【0025】
(実施例3)
<顔料分散体の調整>
フタロシアニン系青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)25部、イオン性基としてカルボキシル基、疎水基としてフェニル基を持つ重量平均分子量8,500、酸価200の高分子型分散剤(固形分34部、ジョンクリル62:BASFジャパン(株)製)20部、アニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ハイテノールNF13、第一工業製薬(株)製)5部、プロピレングリコール3部、水47部を混合して、ビーズミル(直径0.6mmのガラスビーズ、湿式分散機)にて2時間分散し、0.312μmの青色顔料分散体3を得た。
青色インキ3の青色顔料分散体3をアゾ赤色顔料(C.I.ピグメントレッド150)に代えた以外は、全て顔料分散体3と同様に行い、平均粒子径0.327μmの赤色顔料分散体4を得た。
<ターペンレスレジューサーの調整>
水94.5部、架橋されたアクリル樹脂系増粘剤(アルコプリントPTRV:チバスペシャルティケミカル(株)製)3.0部、プロピレングリコール2.5部を均一に攪拌混合させ、ターペンレスレジューサー2を得た。
<着色インキの調整>
上記の青色顔料分散体3 3部、上記のターペンレスレジューサー2 96部、消泡剤(SNディフォーマー777:サンノプコ(株)製)1部、ブロックイソシアネート系架橋剤(フィクサーN:(株)松井色素化学工業所製)3部を配合して、粘度13,500mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ3を得た。
着色インキ3の青色顔料分散体3を赤色顔料分散体4に代えた以外は、全て着色インキ3と同様に行い、粘度13,900mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ4を得た。
<着色方法>
上記着色インキ3を、300メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ4を、300メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、綿ニット上にオートスクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、140℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、捺染開始と1000m加工後に格子幅に変化がなく、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかった。
又、連続捺染中に型ふみがなく、捺染表面にイラツキが生じず、均染性に優れたものであった。
更に、得られた品質も、ブリードがなく格子柄の絵際がシャープで鮮明なものであり、得られた品質も、格子柄の絵際がシャープで鮮明であり、風合いが柔軟で、通気性、吸水性があり、堅牢性においても洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が4級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦2−3級、湿摩擦2−3級と優れた品質のものであった。又、実施例1に比べて浸透性に優れた着色布が得られた。又、分散時に界面活性剤を併用することで顔料分散体が長期に安定であり1ヵ年経過後においても増粘、分離、沈降がなかった。
【0026】
(実施例4)
<ターペンレスレジューサーの調整>
水94.5部、架橋されたアクリル樹脂系増粘剤(アルコプリントPTRV:チバスペシャルティケミカル(株)製)2.3部、架橋されたアクリル樹脂系増粘剤(パラボンド10N:パラケムジャパン(株)製)1.0部、プロピレングリコール2.5部、2%アンモニア水0.3部を均一に攪拌混合させ、ターペンレスレジューサー3を得た。
<着色インキの調整>
青色顔料分散体1 3部、ターペンレスレジューサー3 86部、コアシェル型水性樹脂(シェル部が末端にカルボキシル基を持つ水溶性ウレタン樹脂、コア部が疎水性アクリル酸エステル樹脂で固形分45部:リカボンドSU200:中央理化工業(株)製)8部、消泡剤(SNディフォーマー777:サンノプコ(株)製)1部、アジリジン系架橋剤(フィクサーF:(株)松井色素化学工業所製)2部を配合して、粘度15,700mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ5を得た。
着色インキ5の青色顔料分散体1を赤色顔料分散体2に代えた以外は、全て着色インキ5と同様に行い、粘度16,000mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ6を得た。
<着色方法>
上記着色インキ5を180メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ6を180メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、ポリエステルポンジ上にオートスクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、150℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、捺染開始と1000m加工後に格子幅に変化がなく、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかった。
又、連続捺染中に型ふみがなく捺染表面にイラツキが見られず均染性に優れたものであった。
更に、得られた品質も、ブリードがなく格子柄の絵際がシャープで鮮明なものであり、、得られた品質も、格子柄の絵際がシャープで鮮明であり、風合いが柔軟で、通気性、吸水性があり、堅牢性においても洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が4−5級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦4級、湿摩擦3−4級と優れた品質のものであった。
【0027】
(実施例5)
<着色インキの調整>
柔軟剤として予め、乳化したシリコーンオイルエマルジョン(有効オイル濃度50部:ダイストーンプリントゲンXA−1:(株)松井色素化学工業所製)7部、青色顔料分散体1 3部、ターペンレスレジューサー3 78部、コアシェル型水性樹脂(シェル部がカルボキシル基を末端に有する水溶性ウレタン樹脂、コア部が疎水性アクリル酸エステル樹脂で固形分40部:アクリットWEM3053:(株)大成ファインケミカル製)5部、架橋官能基としてカルボキシル基を有するエマルジョン型水性樹脂(リカボンドES620:(株)中央理化工業製:固形分58部)3部、消泡剤(SNディフォーマー777:サンノプコ(株)製)1部、ブロックイソシアネート系架橋剤(フィクサーN:(株)松井色素化学工業所製)3部を配合して、粘度15,100mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ7を得た。
着色インキ7の青色顔料分散体1を赤色顔料分散体2に代えた以外は、全て着色インキ7と同様に行い、粘度15,400mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ8を得た。
<着色方法>)
上記着色インキ7を、180メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ8を、180メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、ナイロン/ポリウレタンの混紡織物上にロータリースクリーン捺染機を用いて3000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、150℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、捺染開始と3000m加工後に格子幅に変化がなく、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかった。又連続捺染中に型ふみがなく捺染表面にイラツキが見られず均染性に優れたものであった。
又、得られた品質も、ブリードがなく格子柄の絵際がシャープで鮮明なものであり、得られた品質も、風合いが柔軟で、通気性、吸水性があり、堅牢性においても洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が4−5級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦4−5級、湿摩擦4級と優れた品質のものであった。
【0028】
(実施例6)
実施例5で得られた着色布を、アミノシリコーンオイル分散物(ソフナーAQ:(株)松井色素化学工業所製)5部、水95部の処理液にて、絞り率70%でパディング処理し、乾燥、130℃、3分の加熱処理を行い柔軟化を行った。
その結果、実施例4で得られた着色布より、更に柔軟な風合いの着色捺染布が得られた。
【0029】
(比較例1)
<顔料分散体の調整>
フタロシアニン系青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)25部、非イオン界面活性剤(エマルゲン911:(株)花王製)15部、プロピレングリコール5部、水55部を混合して、ビーズミル(直径0.5mmのガラスビーズ、湿式分散機)にて2時間分散し、0.263μmの青色顔料分散体5を得た。
青色顔料分散体5のフタロシアニン系青色顔料をアゾ系赤色顔料(C.I.ピグメントレッド150)に代えた以外は、全て青色顔料分散体5と同様に行い、平均粒子径0.249μmの赤色顔料分散体6を得た。
<着色インキの調整>
青色顔料分散体5 3部、ターペンレスレジューサー1 96部、消泡剤(SNディフォーマー777:サンノプコ(株)製)1部を配合して、粘度13,800mPa・sのスクリーン捺染用の着色インキ9を得た。
着色インキ9の青色顔料分散体5を赤色顔料分散体6に代えた以外は、全て着色インキ9と同様に行い、粘度14,300mPa・sのハイメッシュスクリーン捺染用の着色インキ10を得た。
<着色方法>
上記着色インキ9を80メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ10を80メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、綿ブロード上にオートスクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、140℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、捺染開始と1000m加工後に格子幅に変化がなく、又、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかったが、連続捺染中に型ふみが生じ捺染表面、特に10mm幅の格子にイラツキが目立ち均染性に劣るものであった。又、絵際にブリード見られシャープ性に問題であった。又、得られた品質の堅牢度は、洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が1−2級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦1級、湿摩擦1級と極めて悪いものであった。
【0030】
(比較例2)
<ターペンレジューサーの調整>
水 40部、非イオン界面活性剤(エマコールR−600:(株)松井色素化学工業所製)3部、非イオン界面活性剤(エマルゲン105:(株)花王製)2部、ターペン 55部を均一に混合乳化してターペンレジューサー4を得た。
<着色インキの調整>
青色顔料分散体5 3部、上記のターペンレジューサー4 66部、消泡剤(SNディフォーマー777:サンノプコ(株)製)1部、エマルジョン型水性固着剤(固形分40部:マツミンゾールMR−50:(株)松井色素化学工業所製)30部を配合して、粘度14,900mPa・sのスクリーン捺染用の着色インキ11を得た。
着色インキ11の青色顔料分散体5を赤色顔料分散体6に代えた以外は、全て着色インキ11と同様に行い、粘度15,100mPa・sのスクリーン捺染用の着色インキ12を得た。
<着色方法>
着色インキ11を100メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ12を100メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、綿ブロード上にオートスクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、140℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた着色布は、1000m加工後に格子柄が目詰まりを起こし、図柄の際がギザギザ状態となり、0.5mm幅の図柄は切れ切れの模様となり、連続捺染中に型ふみが生じ捺染表面、特に10mm幅の格子にイラツキが生じ均染性に劣るものであった。又、絵際にブリード見られシャープ性に問題であった。又、得られた着色布は、風合いが硬く、吸水性が悪く通気性にも問題があり染料による着色物に劣るものであった。又堅牢度は、洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が3−4級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦3級、湿摩擦2−3級であった。
【0031】
(比較例3)
<着色方法>
比較例2で用いた着色インキ11を用いて、80メッシュ/インチのロータリースクリーン版で線幅0.5mm(横)と着色インキ12を用いて、80メッシュ/インチのロータリースクリーン版で線幅10mm(縦)の格子柄をポリエステルポンジ上にロータリースクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥機で120℃の乾燥後、140℃、3分間の熱処理を行って、青色(横)、赤色(縦)の格子柄の着色布を得た。
得られた1000m加工後の着色布は、連続捺染中に型ふみが生じ捺染表面、特に10mm幅の格子にイラツキが生じ、捺染性に劣るものであった。
又、絵際にブリード見られシャープ性に問題であった。
更に、目詰まりを起こし、図柄の10mm、0.5mm幅の図柄は細くなり、部分的に切れ切れの模様となった。又、得られた着色布は、風合いが比較例2同様に硬く、染料による着色物にかなり劣るものであった。又堅牢度は、洗濯堅牢性(JIS L−0217 103法 5回)が3−4級、摩擦堅牢度(JIS L−0849)が乾摩擦3級、湿摩擦2−3級であった。
【0032】
(参考例1)
<着色インキの調整>
青色反応性染料(C.I.リアクティブブルー19)5部、カルボキシメチルセルロース(ファインガムLV−2:(株)第一工業製薬)5部、エチレングリコール5部、重炭酸ナトリウム 3部、水 82部を混合して着色インキ13を作成した。
着色インキ13の青色反応性染料を赤色反応性染料(C.I.リアクティブレッド121)に代えた以外は、全て着色インキ13と同様に行い、着色インキ14を得た。
<着色方法>
上記着色インキ13を120メッシュ/インチの線幅0.5mm(横)と着色インキ14を120メッシュ/インチの線幅10mm(縦)の格子柄のスクリーン型を用いて、綿ブロード上にオートスクリーン捺染機を用いて1000mの連続捺染を行い、乾燥後、100℃、15分間のスチーム処理を行って、次いで、水洗、ソーピング処理、乾燥の順に行い染料による着色捺染布を得た。得られた着色物は風合い柔軟なものであったが、ややブリードが見られ線幅が太くなった。又、工程が複雑で顔料で捺染したものと比較して生産効率に劣るものであり、熱効率、廃液の問題も生じた。
上記の実施例、比較例、参考例の評価は、以下の表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
以上の実施例、比較例、参考例の結果から、以下のことが分かる。
(1)分散剤として非イオン界面活性剤で分散された顔料、ターペンレスレジューサからなる着色インキを使用して、80メッシュ/インチのスクリーン版を用いて捺染を行った場合、得られた着色布は、捺染開始と1000m加工後に格子幅に変化がなく、又、0.5mmの線が目詰まりで切れることもなかったが、連続捺染中に型ふみが生じ捺染表面、特に10mm幅の格子にイラツキが目立ち均染性に劣り、絵際にブリード見られシャープ性に問題であった、又、堅牢度(洗濯堅牢度、摩擦堅牢度)も悪化する(比較例1)。
(2)分散剤として非イオン界面活性剤で分散された顔料、ターペンレジューサ及び固着剤からなる着色インキを使用して、100メッシュ/インチのスクリーン版を用いて捺染を行った場合、得られた着色布は、1000m加工後に格子柄が目詰まりを起こし、図柄の際がギザギザ状態となり、0.5mm幅の図柄は切れ切れの模様となり、連続捺染中に型ふみが生じ捺染表面、特に10mm幅の格子にイラツキが生じ均染性や絵際のシャープ性が劣り、風合が硬くなり、吸水性、通気性も悪化する(比較例2)。
(3)比較例3において、比較例2の100メッシュ/インチのスクリーン版の代わりに、80メッシュ/インチのロータリースクリーン版を用いた場合にも、得られた着色布は、比較例2と同程度の品質のものであった(比較例3)。
(4)反応性染料からなる着色インキを使用して、120メッシュ/インチのスクリーン版を用いて捺染を行った場合、得られた着色布は、風合い柔軟なものであったが、ややブリードが見られ線幅が太くなり、又、工程が複雑で顔料で捺染したものと比較して生産効率に劣るものであり、熱効率、廃液の問題も生じた(参考例1)。
(5)本発明の疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤及び架橋剤からなる着色用組成物を、ターペンレスレジューサーで希釈した着色インキを用いて、架橋捺染を行った場合、ハイメッシュのスクリーン版を用いて捺染を行ったにもかかわらず、目詰まり等は発生せず、得られた着色布は、風合いは柔軟であり、その他の品質(均染性、絵際のシャープ性、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度)も良好である(実施例1〜6)。
以上のことから、本件の場合、比較例の結果からみて、固着剤を多量に用いた着色インキを使用した場合、100メッシュ/インチ以下のローメッシュのスクリーン版を用いた場合においても、目詰まり等が発生することが予想される。
ところが、本発明では、スクリーン版として、目詰まり等が発生することが予想されるハイメッシュスクリーン版(150〜350メッシュ)を採用したにもかかわらず、目詰まり等は発生せず、得られた着色布は、風合いは柔軟であり、その他の品質(均染性、絵際のシャープ性、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度)も良好であるという、予期し得ない優れた効果が達成された点からみて、本発明の特定の高分子分散剤と架橋剤からなる着色インキを用いた、ハイメッシュスクリーン版(150〜350メッシュ)による架橋捺染法の選択には、格別の意義があることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の着色繊維製品の製造方法により、優れた品質の着色繊維製品を製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を用いる着色繊維の製造方法において、疎水性基含有単量体及びイオン性基含有単量体を構成成分とする高分子型分散剤により平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲に湿式分散された顔料分散体及架橋剤からなる着色用組成物を、ターペンレスレジューサーで希釈して着色インキとした後、該着色インキを繊維上に150〜350メッシュ/インチのハイメッシュのスクリーン版で捺染し、熱処理を加えることにより高分子分散剤のイオン性基と架橋剤との間で架橋反応を生起させて顔料を繊維上に固着させることを特徴とする着色繊維の製造方法。
【請求項2】
高分子型分散剤のイオン性基が、カルボキシル基、スルフォン酸基又はリン酸基である請求項1記載の着色繊維の製造方法。
【請求項3】
高分子型分散剤の重量平均分子量が、2,000〜50,000の範囲に有り、且つ、酸価が100〜250の範囲にある請求項1又は2記載の着色繊維の製造方法。
【請求項4】
架橋剤が、常温若しくは低温で反応するところの、オキサゾリン基、イソシアネート基、エチレンイミン基、アジリジン基、カルボジイミド基、若しくはシランカップリング基を有する化合物、又は加熱後反応するところの、ブロックイソシアネート基、ヒドラジド基、若しくはジアセトンアクリルアミド基を有する化合物である請求項1乃至3記載の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
【請求項5】
湿式分散が、分散助剤として、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる界面活性剤を使用するものである請求項1乃至4の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
【請求項6】
ターペンレスレジューサーが、増粘剤として、架橋型アクリル樹脂を配合したものである請求項1乃至5の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
【請求項7】
架橋反応が、固着助剤として、コアシェル型水性樹脂を使用して行われるものである請求項1乃至6の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
【請求項8】
固着助剤が、シュル成分が水可溶性のアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステルを含む共重合樹脂又はウレタン樹脂であり、コア成分が疎水性ビニルモノマーを重合した樹脂からなるコアシェル型水性樹脂である請求項7記載の着色繊維の製造方法。
【請求項9】
架橋反応が、固着助剤として、コアシェル型水性樹脂を顔料1部に対し0.1〜10部、好ましくは0.1〜6部の範囲で配合してなるターペンレスレジューサーを用いることで、熱処理を加えた際に、高分子型分散剤、コアシェル型水性樹脂と架橋剤との間で架橋反応を生起させるものである請求項7又は8記載の着色繊維の製造方法。
【請求項10】
シリコーンオイルからなる柔軟剤が、着色インキに配合されるか、又は着色繊維の後処理として使用されるものである請求項1乃至9の何れかに記載の着色繊維の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の着色繊維の製造方法により得られた着色繊維を、更にシリコーンオイルでパディング処理することを特徴とする着色繊維の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の着色繊維の製造方法により得られた着色繊維が、天然繊維、半合成繊維、合成繊維、又はこれらの混紡である着色繊維。

【公開番号】特開2011−42912(P2011−42912A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207498(P2009−207498)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(390039583)株式会社松井色素化学工業所 (13)
【Fターム(参考)】