説明

着色金属顔料、その製造方法、着色金属顔料の化粧品における使用、およびそれらを含む化粧品

本発明は、金属を含むベース顔料、二酸化ケイ素の層、およびそれに続く1種または複数種の着色物質を含む1層または2以上の層を含む、着色された、微小板形状の金属顔料に関する。本発明はさらに、この種の着色金属顔料を製造するための方法、および化粧品におけるそれらの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色金属顔料、その製造方法、その着色金属顔料の化粧品における使用、およびその着色金属顔料を用いて製造した化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品は、皮膚、髪、手足の爪、眼、および唇を、物理的な損傷、乾燥および感染から保護するのに役立つ。しかしながら、多くの場合、ケアおよび保護の態様の他にも、例えば、着色剤や効果付与剤を加えることによって、特に視覚的効果を得ることも目的とされる。
【0003】
これらの着色剤や効果付与剤は、染料、レーキ有機染料、有機もしくは無機顔料、または効果顔料などであってよいが、特に効果顔料の場合における主たる要望は、適用された製品が見られる角度に依存して、感じ取られる色彩または感じ取られる明度を異なって受け取られるようにするためという点にある。特に真珠光沢顔料はこれまでにも、化粧品分野においてはこの目的のために用いられている。
【0004】
「効果顔料(effect pigment)」という用語は、主として二次元に指向性反射を示す顔料、配向メタリック粒子または高屈折性粒子(DIN55944)を意味する。それらは通常、微小板形状(platelet−shaped)をしており、有色顔料に比較して、極めて大きな粒子径を有している。それらの光学的な性質は、反射と干渉によって決められる。透明度、吸収、厚み、単層構成および多層構成に応じて、効果顔料は、メタリック光沢、真珠光沢、干渉、または干渉反射を示す。主な用途分野は、自動車の仕上げ剤、プラスチックの着色、ペイント、レザーコーティング、印刷インク、およびセラミックスの着色である。真珠光沢顔料は、化粧品において用いられていることが多い。技術的な背景についてのわかりやすい説明については、W.オステルターク(W.Ostertag)、Nachr.Chem.Tech.Lab.1994、9、849を参照されたい。
【0005】
最もよく使用されている効果顔料は、アルミニウムフレークおよびコーティングされたマイカの微小板であるが、アルミニウム顔料は典型的な金属光沢を示し、コーティングされたマイカの微小板は典型的な真珠光沢を示す。
【0006】
近年、着色効果顔料を求める声が急速に増えてきた。したがって、例えば、酸化物でコーティングされた銅および黄銅の微小板、遷移金属酸化物でコーティングされた、例えば、白雲母、金雲母またはガラスのような基材、グアニン単結晶(パールエッセンス)、BiOCl単結晶、微小板形状のヘマタイト単結晶、微小板形状のフタロシアニン、またはファブリ−ペロ(Fabry−Perot)構造を有する微粉砕薄層多層膜などが、効果顔料として使用されてきた。
【0007】
着色効果を得るためには、例えば、アルミニウム顔料などの顔料を、透明な有色顔料と混合する。しかしながらこの技術を用いても、この方法で干渉効果が得られない限りでは、色彩上での可能性には限界がある。別の言い方をすれば、その顔料は真珠光沢を示さない。それに対して、真珠光沢を有する着色干渉顔料は、ほとんどのものはコーティングされたマイカの微小板をベースとしているが、それらの透明度のために、アルミニウム顔料よりも隠蔽力が低い。このようなことの結果として、アルミニウム顔料を着色させることによって、アルミニウムフレークの良好な隠蔽力と、干渉顔料の色彩上での可能性とを有する顔料を製造するための試みが続けられてきた。
【0008】
米国特許第4,328,042号および欧州特許出願公開第0033457号には、アルミニウムの上に酸化鉄を堆積させることによって金色顔料を製造することが記載されているが、そこでは、不活性ガスを用いた流動化により生成したアルミニウムフレークの流動床の中で、酸素を用いて鉄ペンタカルボニルを酸化させている。この方法の欠点は、技術に関わるコストが極めて高いこと、および複雑なことである。
【0009】
米国特許第5,037,475号には、金属表面上に有色顔料を固定させることによって着色されたアルミニウム顔料の製造が記載されている。その有色顔料は、カルボキシル含有ポリマーを用いて固定されている。接着力を上げる目的で、重合によって保護層を塗布することも可能である。しかしながら、このようにして製造された顔料の色強度は弱い。
【0010】
国際公開第91/04293号(PCT/US90/05236)には、金属表面に、静電力を利用して、水性溶媒からポリマーでコーティングされた有色顔料を固定することにより、アルミニウム顔料を着色することが記載されている。この場合、そのコーティングの出来映えには、アルミニウム顔料のタイプ、有色顔料のポリマーコーティングの性質、溶媒組成、およびpHなどが複雑に関係してくる。
【0011】
欧州特許出願公開第0328906号には、二酸化チタンでコーティングされた、アルミニウム顔料も含めた金属顔料が開示されているが、それらは、有機チタン酸エステル化合物、例えば、テトライソプロポキシチタンを、金属フレークの存在下に、有機媒体中の懸濁液中で、pH4〜8で加水分解させることによって、製造される。
【0012】
この方法では、二酸化チタンのコーティングの厚みを変化させることによって各種の色あいを得ることができる。このコーティングされた顔料を製造する際には、特定の条件を守ることが極めて重要である。pHは必ず4〜8の範囲にあらねばならず、また、チタン酸エステルを添加する際には、その滴下速度を、金属表面1mあたり1.0×10−7〜1.0×10−4モル/分の範囲にしなければならない。その結果、この方法を工業的なスケールで採用するのはほとんど不可能である。それに加えて、コーティングされた顔料を乾燥させた後に、着色効果を得るためにそれをか焼しなければならないが、その理由は、金属酸化物のコーティングから水を除去することによってはじめて、好適なコーティング構造が生じるからである。しかしながら、アルミニウムの融点が低いために、コーティングされたアルミニウム顔料のか焼を可能とするためには、大きな困難が伴う。
【0013】
米国特許第4,978,394号には、化学的気相コーティング(化学蒸着法、CVD)による、二酸化チタンでコーティングされたアルミニウム顔料の製造が記載されているが、そこでは、加熱したアルミニウム粒子の存在下の流動床の中で、四塩化チタンを低濃度で水蒸気と反応させている。この方法を用いた場合もまた、その技術がコスト高で複雑であることが、望ましくない結果をもたらしている。
【0014】
米国特許第4,158,074号には、水和酸化アルミニウムおよび水和金属酸化物の膜を用いたコーティングによって、着色アルミニウム顔料を製造することが開示されている。その膜は、微細なアルミニウムフレークを、鉄の塩、ニッケルの塩、コバルトの塩、亜鉛の塩または銅の塩のアルカリ溶液の中で、高温かつ8〜12のpHで処理することによって、別の言い方をすれば、金属塩の電気化学的反応によって、製造される。この方法では、金色顔料を製造することが可能であり、さらに、キレート化剤を加えることによって、黒〜褐色および灰〜白色の顔料を製造することができる。よって、使用可能な色が極めて狭い範囲に制限される。
【0015】
独国特許第2557796号には、有色顔料としてカーボンブラックを含む金属酸化物層を用いてコーティングされた着色金属顔料が開示されている。開示されている顔料は、ジェットブラック色顔料か、特定の着色効果を有する有色顔料かのいずれかである。
【0016】
独国特許出願公開第3617430号には、酸化鉄を含む層を有する微小板形状の有色顔料からなる、真珠光沢顔料が記載されている。微小板形状の基材として開示されているのは、ガラス微小板、金属フレーク、およびグラファイトである。酸化鉄(II)を含む層は、単純な酸化鉄(II)の層として存在していてもよいし、あるいは、混合酸化物、例えば、鉄アルミネート、クロマイト、鉄オルトシリケート、さらにはイルメナイトの層として存在していてもよい。
【0017】
独国特許出願公開第4223383号は、金属スルフィドを含むコーティングを有し、コーティングされた微小板形状のシリカ系またはメタリック基材をベースとする、光輝顔料(luster pigment)に関するものである。開示されているメタリック基材はすべて、メタリック効果顔料として知られているフレークの形状の金属、特に銅およびその合金、例えば、黄銅または青銅、および特にアルミニウムおよびその合金、例えば、アルミニウム青銅である。干渉色を示す有彩顔料を製造するためには、基材粒子をまず高屈折率の金属酸化物の層を用いてコーティングし、その上に、金属スルフィドを含む層を基材に、好ましくは気相法によりアプライする。
【0018】
独国特許出願公開第4223384号には、金属酸化物でコーティングされたアルミニウムフレークをベースとする光輝顔料が開示されているが、その全炭素含量は0.1重量%未満である。金属酸化物層に適していると記載されている酸化物は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、および酸化クロム、さらには酸化鉄である。
【0019】
特開平1−110568号には、着色されたアルミニウム粉末顔料が開示されており、それは、金属アルコキシド(例えば、テトラエチルチタネート)を加水分解させ、それによって得られたものをアルミニウム粉末の表面にコーティングし、得られた粉末をさらに、200℃より高くアルミニウム粉末の発火点よりは低い温度で加熱することにより得られる。
【0020】
米国特許第5,261,955号には、着色金属顔料を製造するためのゾルゲル法の記載があり、そこでは、金属フレークを、無機塩のゾル、例えば、水性アルカリ性酸化ジルコニウムゾルの中に分散させて、例えば、ゾルでコーティングされたフレークを分散させ、次いで濾過して、有機溶媒中で無機化合物、例えば、硝酸コバルトの溶液の中に入れ、そして加熱することによってそのフレークの上にゾル−ゲル層を形成させる。個々の工程が組み合わさっているために、この方法もまた装置に関して高いレベルでの複雑性が要求される。
【0021】
特開昭61−130375号には、金色アルミニウム顔料が開示されているが、それは、アルミニウム粉末を、酸性溶液中で、ジクロメート、フッ化ナトリウムおよび界面活性剤を用いて処理し、乾燥し、次いで脂肪酸誘導体を用いて処理することにより製造される。この方法では、金色以外の色あいを得ることはできない。
【0022】
独国特許出願公開第4140295号には、微小板形状のキャリヤー物質、好ましくはマイカを含む顔料が記載されているが、それは、サブミクロン範囲の大きさの金属酸化物および/または染料粒子を含む無機マトリックスを用いてコーティングされている。その基材は、金属酸化物および/または染料の粒子の存在下で、金属塩、好ましくは四塩化チタンを加水分解させることによって、酸性の水性懸濁液からコーティングされる。しかしながらこの方法によっては、アルミニウムフレークを着色させることは不可能である。その理由は、このような反応条件下ではアルミニウム粒子が急速に分解されてしまうからである。
【0023】
米国特許第3,067,052号には、KMnO溶液を使用し、場合によっては還元剤を添加して、アルミニウム粉末を酸化させることにより製造される、着色アルミニウム顔料が開示されている。それらの顔料の色あいは金色であり、使用する還元剤によっては、緑色がかった、または赤色がかった色あいとすることも可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上述の理由から、着色されたマイカベースの顔料を製造するための方法を用いたのでは、着色アルミニウム顔料を製造することは不可能である。けれども、比較的高い隠蔽力と金属光輝を有することから、大きな関心を寄せられているのは、この着色アルミニウム顔料である。しかしながら、アルミニウム顔料を着色するための公知の方法では、主として金色の領域の狭い色あいが得られるだけであって、装置の面からは極めて複雑なものが必要である。したがって、各種の色あいに着色されたアルミニウム顔料と、簡単な装置を用いてそのような着色アルミニウム顔料を製造するための方法が、依然として望まれている。
【0025】
既存の法律では、従来技術の顔料は一般に、化粧品製品においては、採用することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的は、好ましくは良好な隠蔽力を有し、好ましくは化粧品において使用するのに適した、この種の着色金属顔料を提供することにある。
【0027】
本発明がベースとしている目的は、本発明において、金属を含むベース顔料、二酸化ケイ素の層、およびそれに続く1種または複数種の着色物質を含む1層または2以上の層を含む、着色された微小板形状の金属顔料を提供することにより達成される。
【0028】
好適な展開法は、従属請求項2〜10において明示する。
【0029】
本発明の顔料は、他の微小板形状の効果顔料、例えば、金属顔料などの真珠光沢顔料と、または有機および無機の吸収有色顔料と共に効果的に組み合わせることもできる。
【0030】
本発明の目的はさらに、着色金属顔料を製造するための方法を提供することにより達成されるが、それには以下の工程が含まれる:
a.SiOを用いてベース顔料をコーティングする工程;
b.工程(a)でコーティングされた金属顔料を液状相、好ましくは水の中に分散させる工程;
c.着色物質を生じさせる目的で、1種または複数種の金属塩の1種または複数種の溶液を添加する工程;
d.工程(c)で得られた着色金属顔料を分離する工程;および
e.場合によっては、工程(d)で得られた着色金属顔料を乾燥させる工程。
【0031】
好適な展開法は、従属請求項12〜15において明示する。
【0032】
使用される液状相は、好ましくは水であるが、有機溶媒または水性有機溶媒も使用できることは認識されたい。
【0033】
工程(c)においては、そのpHを好ましくは1.7〜9.5の範囲に設定する。着色化の過程においては、pHを一定に保つのが好ましく、それは、適切な酸または塩基を計量添加することによって実施することができる。
【0034】
本発明がベースとしている目的はさらに、化粧品において本発明の着色金属顔料を使用すること、および本発明の着色金属顔料を含む化粧品によって達成される。
【0035】
したがって、本発明は、本発明の着色金属顔料を含む化粧品製剤を提供する。その中に本発明の着色金属顔料を導入することが可能な化粧品製剤に好適な組成物は、当業者には公知である。
【0036】
本発明の金属顔料を使用した化粧品の配合は、当業者熟知の手段と方法によって達成される。
【0037】
本発明の顔料は、口紅、アイケア組成物、例えば、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、クリーム、粉末、香料、マニキュア液、ボディスプレー、メイクアップ配合、ヘアケア組成物、石けんまたは日焼け止め組成物などに使用するのに特に適している。
【0038】
本発明の顔料は、化粧品におけるそれぞれの場合の化粧品配合の全重量を基準にして、望ましくは1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは2.5〜15重量%の量で使用する。
【0039】
本発明の顔料には、二酸化ケイ素のコーティング、および1種または複数種の着色物質を含む、それに続く1種または複数種のコーティングを有する、微小板形状のメタリックベース顔料が含まれる。
【0040】
そのメタリックベース顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ゴールドブロンズ、銀またはそれらの合金から構成される。
【0041】
そのベース顔料は、場合によっては、例えば、酸化アルミニウム(Eckart GmbH & Co.KGからのアロクサール(ALOXAL)製品系列)の層でコーティングされていてもよい。
【0042】
着色物質は、無機金属酸化物、例えば、FeOOH、FeまたはCrであってもよいし、またプロシアンブルーまたはカルミンレッドであってもよい。
【0043】
着色物質は、単独で、あるいは混合物で、あるいは連続層として、存在させてもよい。
【0044】
好ましくは、元の顔料の上に、二酸化ケイ素の不動態化層、そしてそれに続けて着色物質の1種または複数種の層を存在させる。
【0045】
本発明の顔料は、微小板形状の金属顔料に、好ましくはゾルゲル法において有機または無機ケイ素化合物を加水分解させることによって二酸化ケイ素をコーティングさせて、製造する。しかしながら、水ガラスを用いてコーティングさせることも可能である。
【0046】
この種の方法は、例えば、欧州特許第1084198号および米国特許第2,885,366号に記載がある(これらの特許をここに引用することにより本明細書に取り入れたこととする)。
【0047】
二酸化ケイ素を用いてコーティングした金属顔料は市販されている。特に化粧品分野向けとしては、ビジオネア・メタリック・ピグメンツ(Visionaire Metallic Pigments)(Eckart GmbH & Co.KG)の商品名で提供されている。
【0048】
二酸化ケイ素を用いてコーティングした金属顔料を、自体公知の方法により、着色金属酸化物、プロシアンブルー、カルミンレッド、およびこれらの物質の混合物を用いてコーティングする。
【0049】
ディープブルーの顔料は、ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)を沈殿塗布させることによって得ることができる。そのためには、塩化鉄(III)水溶液とヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム水溶液溶液とを、pH1.8〜4で同時に、60〜90℃に加熱した二酸化ケイ素でコーティングされた金属顔料の分散体の中に計量仕込みする。その顔料を常法に従って仕上げ、80〜130℃で乾燥させる。無色のヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(II)をまず堆積させ、次いでそれを酸化させてプロシアンブルーとする、一般的な方法を用いても同様に可能である。
【0050】
針鉄鉱修飾において黄色酸化鉄を用いるコーティングの場合には、鉄(III)塩溶液を出発物質とすることができ、それを60〜90℃に加熱した金属顔料の懸濁液の中に、pH2.5〜4.5で計量仕込みするが、そのpHは、水酸化ナトリウム水溶液を同時に添加することによって一定に保つ。
【0051】
緑色顔料は、二酸化ケイ素でコーティングされた金属顔料を、酸化クロムを用いてコーティングすることによって得ることができる。コーティングは、塩化クロムの溶液を、60〜90℃に加熱しpHを5.5〜9とした、金属顔料の懸濁液に計量仕込みすることにより実施するが、通常の仕上げの後にその顔料を、500〜660℃で熱処理にかけることも可能である。
【0052】
赤色顔料は、pH11に調節したカルミン溶液を、pH5.5で、水酸化アルミニウムを用いてコーティングした二酸化ケイ素でコーティングされた金属顔料の中に、計量仕込みすることにより得ることができる。
【0053】
以下に示すのは、着色された安定化金属顔料とそれらの化粧品における使用の例である。これらの例は本発明をさらに説明しようとするためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0054】
実施例1:プロシアンブルーを用いたアルミニウムフレークのコーティング
200gの二酸化ケイ素でコーティングされたアルミニウム顔料(ECKART GmbH & Co.KGからのビジオネア・ブライト・シルバー・シー(Visionaire Bright Silver Sea))を、1000gの完全脱イオン水(fully demineralized water)の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度10%の塩酸を用いてpHを4に調節する。次いで、240gの水中の42.75gの塩化鉄(III)の溶液、および240gの水中の50.4gのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの溶液を、同時にではあるが、互いに別々に添加するが、そのpHは、濃度5%の塩酸またはNaOHを同時に添加することにより、一定に保つ。計量仕込み速度は2mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下60℃で乾燥させる。
【0055】
これにより、青色で光輝のある粉末が得られる。
【0056】
実施例2:プロシアンブルーを用いたゴールドブロンズ顔料のコーティング
200gの二酸化ケイ素でコーティングされたゴールドブロンズ顔料(ECKART GmbH & Co.KGからのビジオネア・ブライト・ナチュラル・ゴールド(Visionaire Bright Natural Gold))を、1000gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度10%の塩酸を用いてpHを4に調節する。次いで、240gの水中の42.75gの塩化鉄(III)の溶液、および240gの水中の50.4gのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの溶液を、同時にではあるが、互いに別々に添加するが、そのpHは、濃度5%の塩酸またはNaOHを同時に添加することにより、一定に保つ。計量仕込み速度は2mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下60℃で乾燥させる。
【0057】
これにより、緑色で光輝のある粉末が得られる。
【0058】
実施例3:カルミンを用いたアルミニウム顔料のコーティング
200gの二酸化ケイ素でコーティングされたアルミニウム顔料(ECKART GmbH & Co.KGからのビジオネア・ブライト・シルバー・シー(Visionaire Bright Silver Sea))を、1000gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度10%の塩酸を用いてpHを6に調節する。次いで、120gの水中の9.32gの塩化アルミニウム(III)の溶液を添加する。計量仕込み速度は8mL/分である。濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、そのpHを一定に保つ。次いで、800mLの完全脱イオン水中の13.6gのカルミンレーキを導入する。計量仕込み速度は8mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下80℃で乾燥させる。
【0059】
これにより、赤色で光輝のある粉末が得られる。
【0060】
実施例4:カルミンを用いたゴールドブロンズ顔料のコーティング
200gの二酸化ケイ素でコーティングされたゴールドブロンズ顔料(ECKART GmbH & Co.KGからのビジオネア・ブライト・ナチュラル・ゴールド(Visionaire Bright Natural Gold))を、1000gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度10%の塩酸を用いてpHを6に調節する。次いで、120gの水中の9.32gの塩化アルミニウム(III)の溶液を添加する。計量仕込み速度は8mL/分である。濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、そのpHを一定に保つ。次いで、800mLの完全脱イオン水中の13.6gのカルミンレーキを導入する。計量仕込み速度は8mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下80℃で乾燥させる。
【0061】
これにより、赤色で光輝のある粉末が得られる。
【0062】
実施例5:FeOOHを用いたアルミニウム顔料のコーティング
200gの二酸化ケイ素でコーティングされたアルミニウム顔料(ECKART GmbH & Co.KGからのビジオネア・ブライト・シルバー・シー(Visionaire Bright Silver Sea))を、1000gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度2.5%の塩酸を用いてpHを4.1に調節する。次いで、101.6gの濃度40%の塩化鉄(III)水溶液を添加する。計量仕込み速度は2mL/分である。濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、そのpHを一定に保つ。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下110℃で乾燥させる。
【0063】
これにより、ゴールデンイエロー色で光輝のある粉末が得られる。
【0064】
実施例6:FeOOHおよびプロシアンブルーを用いたアルミニウム顔料のコーティング
200gの実施例5からの顔料を、1000gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度2.5%の塩酸を用いてpHを4.1に調節する。次いで、160gの水中の28.5gの塩化鉄(III)の溶液、および160gの水中の33.6gのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの溶液を、同時にではあるが、互いに別々に添加するが、そのpHは、濃度5%の塩酸またはNaOHを同時に添加することにより、一定に保つ。計量仕込み速度は2mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下60℃で乾燥させる。
【0065】
これにより、緑色で光輝のある粉末が得られる。
【0066】
実施例7:FeOOHおよびプロシアンブルーを用いたアルミニウム顔料のコーティング
200gの二酸化ケイ素でコーティングされたアルミニウム顔料を、1000gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度2.5%の塩酸を用いてpHを4.1に調節する。次いで、101.6gの濃度40%の塩化鉄(III)水溶液を添加する。計量仕込み速度は2mL/分である。濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、そのpHを一定に保つ。溶液を添加した後、その混合物を30分間撹拌する。次いで、160gの水中の28.5gの塩化鉄(III)の溶液、および160gの水中の33.6gのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの溶液を、同時にではあるが、別々に添加するが、そのpHは、濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を同時に添加することにより、一定に保つ。計量仕込み速度は2mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下60℃で乾燥させる。
【0067】
これにより、ターコイズグリーン色で光輝のある粉末が得られる。
【0068】
実施例8:カルミンおよびプロシアンブルーを用いたアルミニウム顔料のコーティング
50gの実施例3からの顔料を、617gの完全脱イオン水の中で撹拌しながら分散させ、その分散体を加熱して75℃とし、濃度2.5%の塩酸を用いてpHを4に調節する。次いで、20gの水中の3.56gの塩化鉄(III)の溶液、および20gの水中の4.2gのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの溶液を、同時にではあるが、互いに別々に添加するが、そのpHは、濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液を同時に添加することにより、一定に保つ。計量仕込み速度は0.5mL/分である。2種の溶液を添加した後、30分間撹拌する。吸引フィルタの上で固形分を分離し、完全脱イオン水を用いて塩を洗い流し、真空下60℃で乾燥させる。これにより、紫色で光輝のある粉末が得られる。
【0069】
上述の実施例において製造された着色金属顔料は次いで各種所望の化粧品の中に組み入れて、それぞれに対応する彩色または陰影を有する化粧品を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色された、微小板形状の金属顔料であって、金属を含むベース顔料、二酸化ケイ素の層、およびそれに続けて1種または複数種の着色物質を含む1層または2以上の層を含むことを特徴とする着色金属顔料。
【請求項2】
前記ベース顔料が、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ゴールドブロンズ、銀またはそれらの合金から構成されることを特徴とする、請求項1の着色金属顔料。
【請求項3】
前記ベース顔料がプレコートされていることを特徴とする、請求項1または2の着色金属顔料。
【請求項4】
前記ベース顔料が、酸化アルミニウムの層を用いてプレコートされていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項の着色金属顔料。
【請求項5】
前記着色物質が、金属酸化物、例えば、FeOOH、FeもしくはCr、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項の着色金属顔料。
【請求項6】
前記着色物質がプロシアンブルーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項の着色金属顔料。
【請求項7】
前記着色物質がカルミンレッドであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項の着色金属顔料。
【請求項8】
前記着色物質(1種または複数種)が、FeOOH、Fe、プロシアンブルーおよび/またはカルミンレッドの混合物または連続層を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項の着色金属顔料。
【請求項9】
前記連続層がFeOOHおよびプロシアンブルーであることを特徴とする、請求項8の着色金属顔料。
【請求項10】
前記連続層がカルミンレッドおよびプロシアンブルーであることを特徴とする、請求項8の着色金属顔料。
【請求項11】
着色金属顔料を製造するための方法であって、
以下の:
a.SiOを用いてベース顔料をコーティングする工程;
b.工程(a)でコーティングされた金属顔料を液状相、好ましくは水の中に分散させる工程;
c.着色物質を生じさせる目的で、1種または複数種の金属塩の1種または複数種の溶液を添加する工程;
d.工程(c)で得られた着色金属顔料を分離する工程;および
e.場合によっては、工程(d)で得られた着色金属顔料を乾燥させる工程、
を含む方法。
【請求項12】
工程(c)において、pHを1.7〜9.5の範囲に設定することを特徴とする、請求項11の方法。
【請求項13】
適切な酸または塩基を計量添加することにより、pHを一定に保つことを特徴とする、請求項11および12のいずれかの方法。
【請求項14】
工程(a)において、ゾルゲル法を用いて前記コーティングを行うことを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項の方法。
【請求項15】
工程(a)において、水ガラスを用いることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項の方法。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項の着色金属顔料の、化粧品、好ましくはアイシャドー、マスカラ、口紅、メイクアップ配合、クリーム、粉末、アイライナー、マニキュア液、ヘアケア組成物、石けん、日焼け止め組成物または香料における使用。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項の着色金属顔料を含むことを特徴とする化粧品。

【公表番号】特表2007−515526(P2007−515526A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545909(P2006−545909)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002742
【国際公開番号】WO2005/061630
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(502099902)エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (48)
【Fターム(参考)】