説明

睡眠発作治療のための、ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の微生物的に安全で安定な液剤

【課題】微生物の増殖に抵抗性の、水性媒質中のガンマ−ヒドロキシ酪酸塩処方の提供。
【解決手段】ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩とpH調整物質を水性媒質中で混合する。pH調整物質としては、有機酸或いは無機酸が使用される。前者の例として、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、又は乳酸があげられる。後者の例としては、塩化水素酸、硫酸、ホウ酸、又は硝酸があげられる。この組成物は、アルコールおよびアヘン禁断症状、成長ホルモン減少、頭蓋内圧上昇および、患者の身体的痛みの治療法に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば睡眠発作病(narcolepsy)(特に、脱力発作)などの睡眠疾患、薬物濫用、アルコールおよびアヘン剤禁断症状、成長ホルモンの低下レベル、不安症、パーキンソン病などのある種の神経学的疾患における無痛覚症効果、うつ病、ある種の内分泌腺障害、および脳卒中または心筋梗塞などにおける低酸素症/酸素欠乏症につながる、または頭蓋内圧増加レベルなどに対する組織保護などの治療において用いようとする薬剤組成物の分野に関する。本発明は、特に、4−ヒドロキシ酪酸塩としても知られるガンマ−ヒドロキシ酪酸塩(GHB)、およびGHBのナトリウム塩(ナトリウムオキシベート)および例えば、マグネシウム、アンモニウムおよびカルシウムなどの他の塩の微生物的に耐性があり、化学的に安定な調合物または液剤の薬剤製造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
GHBは、多くのヒトの肉体組織中に見出される催眠性特性を持つ内因性化合物である。GHBは、例えば、哺乳動物の脳および他の組織中に存在する。脳において、最高のGHB濃度は視床下部および脳低神経節に見出され、GHBは神経伝達物質として機能すると考えられている(Snead and Morley,1981)。GHBの神経薬理学的な効果は、脳アセチルコリンの増大、脳ドーパミンの増大、GABA−ケトグルタレートトランスアミナーゼの抑制、およびグルコース活用での低下(しかし脳中の酸素消費は低下しない)を含む。GHBは、コハク酸塩に変換され、その後、クレブス回路を介して代謝される。臨床試験は、GHBがデルタ睡眠を増し、睡眠の連続性を改善することを示してきた。(Ladinsky et al.,1983;Anden and Stock,1973;Stock et al.,1973;Laborit,1973;Lapierre et al.,1988;Lapierre et al.,1990;Yamada et al.,1967;Grove-White and Kelman,1971;Scharf,1985)。
【0003】
GHBは、臨床試験において、一般に、経口液剤として投与されてきた(Lee,1977;Mamelak,1977;Hoes,1980;Scharf,1985;Scrima,1990;Gallimberti,1992;Series,1992;Lammers,1993)。GHB治療は、実質的に、睡眠発作病、すなわち、日中睡眠、脱力発作、睡眠麻痺および入眠時幻覚の兆候および症状を減少させる。さらに、GHBは、合計睡眠時間およびレム睡眠を増すと共に、レム潜伏性を減らし(Mamelak et al,1973;Yamada et al.,1967;Bedard et al.,1989)、睡眠無呼吸を減らし(Series et al,1992;Scrima et al.,1987)、一般の麻酔法を改善する(Hasenbos and Gielen,1985)。
【0004】
GHBは、睡眠発作病および睡眠疾患以外のいくつかの臨床用途を有する。GHBは、アルコール渇望、毎日の飲み干す飲酒の数、および患者におけるアルコール禁断症状の症状を減らすと報告されてきた(Gallimberti et al.,1989;Gallimberti et al.,1992;Gessa et al.,1992)。GHBは、ヘロインおよびメタドン両方の禁断症状を含むアヘン剤禁断症状の症状を低減するために用いられてきた(Gallimberti et al.,1994;Gallimberti et al.,1993)。それは、苦痛緩和装置として適するものとなす無痛性効果を有する(米国特許第4,393,236号)。GHBの静脈注射投与は、患者の頭蓋内圧を減らすことが報じられてきた(Strong,A.1984)。また、GHBの投与は、患者の成長ホルモンレベルを増大させると報じられた(Gerra et al,1994;Oyama et al.,1970)。
【0005】
睡眠発作病治療のため長期間用いられる時に、GHB摂取のための良好な安全プロフィールが報告されてきた。患者は、免疫学的寛容の発生なしで、GHBにより多年にわたり安全に治療されてきた(Scharf,1985)。多くの患者に関して定期的に行われた臨床実験室試験は、器官または他の毒性を示してこなかった(Lammers,1993;Scrima,1990;Scharf,1985;Mamelack,1977;Mamelack,1979;Gallimberti,1989;Gallimberti,1992;Gessa,1992)。GHB治療の副作用は、夢遊病、夜尿症、頭痛、吐き気およびめまいを含むけれども、最小の出現率と苛酷度であった(Broughton and Mamelak,1979;Mamelak et al.,1981;Mamelak et al.,1977;Scrima et al.,1989;Scrima et al.,1990;Scharf et al.,1985)。
【0006】
GHBの薬物動態学が、経口投与後、アルコール依存患者(Ferrara et al.,1992)および通常の健康な男性(Palatini et al.,1993)において調査されてきた。GHBは、速やかな着手および短い薬理学的効果を有する(Ferrara et al.,1992;Palatine et al.,1993;Lee,C.,1977;van der Bogert;Gallimberti,1989;Gallimberti,1992;Lettieri and Fung,1978;Arena and Fung,1980;Roth and Giarman,1966;Vickers,1969;Lee,1977)。
【0007】
アルコール依存患者において、GHBの体循環への吸収および体循環からの排除は即効のプロセスであった。実質的に変化のない薬物は尿中に回収されることはありえなかった。GHBの薬物動態学は、非直線的か、または服用量依存でありえようという予備兆候があった(Ferrara et al.,1992)。健康なボランテイアの研究において、3種の上昇GHB服用量(12.5、25および50mg/kg)の薬物動態学が調査された。これらの知見は、GHBの経口吸収および排除プロセスの両方が、服用量依存の程度は普通であるけれども、容量限定されることを示す(Palatini et al.,1993)。
【0008】
GHBの有機塩およびアミドは、GHBの生理学的副作用を減少するために生産されてきた(米国特許第5,380,937号)。マグネシウムおよびカルシウム塩は、GHBの吸湿性性質または粉末形態を減少するために生産されてきた(米国特許第4,393,236号;英国特許第922,029号)。しかし、GHB液剤の貯蔵に伴う問題点はなお存在する。GHBは、pHおよび他の要因に応じてガンマ−ブチロラクトン(GBL)、およびことによると他の液剤中の劣化物に劣化する。また、GHB液剤中の微生物による汚染は、急速に許容限界を越え、防腐剤はpHに逆な作用を及ぼし、その結果、GHBの安定性に悪い影響を及ぼすことが可能である。薬物の高レベルを必要とする慢性的に用いられる製品として、非−濃縮製品の体積はコストおよび操作項目を創り出してしまう。従って、生物学的または化学的な劣化に対して安定であるGHBの効果的な液剤に対する即時の必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の開示
本発明は、先行技術における欠点を、微生物成長に対して耐性のある水性媒体中のGHB組成物を提供することにより克服する。これらの組成物は、GHBの、GBLか、または他の物質への制御できない劣化に対しても耐性がある。本発明の組成物は、貯蔵寿命を改善し、容易な服用量測定のための、GHBの滴定可能な配合物を提供する。さらに、本発明において実施される濃縮液剤は、出荷および貯蔵の必要事項を減少し、患者が便利なようにより多くの薬物を運ぶことを可能とする。
【0010】
本発明は、本明細書において「治療区分」と呼ばれる、GHBにより治療可能な多くの状態を扱うための方法を提供する。本発明に対する治療区分は、睡眠疾患、薬物濫用、アルコールおよびアヘン剤禁断症状、成長ホルモンの減少レベル、不安症、無痛覚症、パーキンソン病などのある種の神経学的疾患効果、うつ病、ある種の内分泌腺障害、および脳卒中または心筋梗塞などにおける低酸素症/酸素欠乏症につながる、または頭蓋内圧増加レベルまたはGHBにより治療可能な他の状態につながる組織保護を含むが、それらに限定されない。
【0011】
本発明は、第1に水性媒体中で化学的に安定な、および/または微生物成長に対して耐性のあるGHBの薬剤組成物を提供する。本発明の好ましいGHB塩には、ナトリウム、アンモニウムおよびカルシウムが挙げられる。本明細書の、ある実施形態において用いられる「安定な」という用語は、GHBの、その知られた、または知られていない分解要素への分解に対して耐性があることを意味する。許容可能であるGHLのレベルは、貯蔵寿命決定のICH指標に従って、配合物の0.1%以下でありうる。
【0012】
本明細書の、ある実施形態において用いられる「微生物成長に対して耐性のある」または「微生物の挑戦に対して耐性のある」という用語は、水性基材または賦形剤により作成された製品に対して、バクテリアに対し、最初の数から14日目で1.0ログ(log)以上の減少、および14日の数から28日目で増加なし、ならびに酵母菌およびかびに対し、最初の数から14日目および28日目で増加なしを意味する食品医薬品局および米国薬局方により設定された規準に、配合物が合致することを意味する。ある実施形態において、本明細書の、ある実施形態において用いられる「水性媒体」という用語は、約50%より多い水を含む液体を意味する。
【0013】
ある好ましい実施形態において、「水性媒体」は、GHBの液剤、懸濁液、ゲルまたは乳化液でありえて、GHBの液剤が最も好ましい。好ましいゲルはチキソトロピーゲルである。微生物成長に耐性のある組成物は、水性媒体中でGHBを、約150mg/mlより大きい濃度または含量まで、GHBの最大溶解度まで溶解するか、または混合することにより創り出される。GHBの溶解度は、室温で(20℃〜約25℃)約750mg/ml以下であるが、しかし調合の間に水性媒体を100℃まで熱することにより、GHB溶解度は少なくとも約1000mg/mlまで増大される。好ましいGHBの濃度または含量は約500mg/mlである。
【0014】
水性媒体中に混合し、または溶解することが可能であり、なお微生物成長に耐性がありえるGHBの量は、水性媒体のpHに依存する。ある実施形態において、防腐剤の存在は、本発明の組成物中に含有されるGHBの量が増大し、なお化学的分解および/または微生物成長への耐性を維持することを可能としうる。本発明の1実施形態において、薬剤組成物の水性媒体のpHは約3〜約10である。
【0015】
好ましい実施形態において、前記水性媒体のpHは約6〜約7.5である。pHは、約3.0〜約10.3、すなわち、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9、約10.0、約10.1、約10.2、または約10.3、および水性媒体の、各上掲pH値間のすべてのpH値であることが可能である。これは、本明細書において記載された試験により定義された通りに微生物成長に耐性があるGHB組成物を生産する。本明細書において用いられる「約」という用語は、一般に、約10〜20%内を意味する。
【0016】
添加され、混合され、または溶解されるGHBの量が約150mg/mlを越えて約450mg/mlまで、すなわち、約150mg/mlを越えて、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/ml、約210mg/ml、約220mg/ml、約230mg/ml、約240mg/ml、約250mg/ml、約260mg/ml、約270mg/ml、約280mg/ml、約290mg/ml、約300mg/ml、約310mg/ml、約320mg/ml、約330mg/ml、約340mg/ml、約350mg/ml、約360mg/ml、約370mg/ml、約380mg/ml、約390mg/ml、約400mg/ml、約410mg/ml、約420mg/ml、約430mg/ml、約440mg/ml、約450mg/mlまで、および上掲値の間の、GHBのすべての量である場合に、これらのpH値は、水性媒体中において微生物成長に対して耐性のある組成物を生産する。
【0017】
水性媒体中に溶解し、または混合することが可能であるGHBの濃度または含量の高い側での媒体では、用いることが可能である最大のpHは、室温においては減少される。これは、図1、許容配合物範囲のグラフ表示において示される。約450mg/mlGHBの濃度または含量で、pHは約3.9〜約10.3でありえる。約500mg/mlGHBの濃度または含量で、pHは約4.75〜約10.3でありえる。約600mg/mlGHBの濃度または含量で、pHは約6.1〜約10.3でありえる。約750mg/mlGHBの濃度または含量で、pHは約7.0〜約10.3でありえる。当然、各上掲のpHおよび濃度または含量値間にあるすべてのpHおよび濃度または含量値は本発明により包含される。
【0018】
ある実施形態は、これらのGHB含量および水性媒体pH値からのサブレンジとして、選択することが可能である。例えば、特定の実施形態は、約pH5.5〜約pH8.7のpH範囲で、水性媒体中約170mg/ml〜約440mg/mlGHBの含量として選択することが可能である。いかに範囲が実施形態において選択することが可能であるかの別の実施例は、上掲値の間の値である約155mg/mlGHB含量〜約350mg/mlGHB含量の選択、および上掲のpH値の間の値である約8.87〜上掲値pHの間の別な値である約8.93のpH範囲などの、水性媒体中のpH範囲の選択であるであろう。
【0019】
特定の実施形態のために選択することが可能である範囲の第3の実施例は、約200mg/mlGHBなどの単独の含量または濃度の選択、および約3.5〜約8.2のpHなどのpH範囲の選択であるであろう。特定の実施形態のために選択することが可能である範囲の第4の実施例は、約300mg/ml〜約400mg/mlなどの範囲にわたるGHBの含量または濃度の選択、および約3のpHのような、水性媒体に対する単独pH値の選択であるであろう。実施形態のために選択される範囲の別の実施例は、400mg/mlGHBなどの、GHBの単独含量または濃度、およびpH7.7などの水性媒体の単独pH値の選択であることが可能である。
【0020】
いかにGHB含量または濃度の実施形態の範囲が選択されうるかについての他の実施例は、本明細書において記載されたGHBの範囲を包含する約200mg/ml〜約460mg/mlGHBの、GHB含量または濃度の範囲を含むと共に、水性媒体に対するpH範囲は、本明細書に記載された室温で水性媒体中においてGHBに対する範囲を包含する約pH4.3〜約pH7であることが可能である。別の実施例は、本明細書において記載されたGHB含量およびpH上掲値の間の範囲を包含する、約153mg/ml〜約750mg/mlのGHB含量または濃度の範囲、および約pH約7〜約pH9のpH範囲の選択であるであろう。
【0021】
一つの実施例は約pH6.5〜約pH7.7のpH範囲で、水性媒体中約170mg/ml〜約640mg/mlのGHB濃度または含量としての選択であることが可能である。いかに範囲を実施形態において選択することが可能であるかの別の実施例は、上掲pH値の間の値である約7.87〜上掲値pHの間の別な値である約8.91のpH範囲で、上掲値の間の値である約185mg/mlのGHB含量〜約750mg/mlのGHB含量または濃度であろう。特定の実施形態のために選択しうる範囲の追加実施例は、約7〜約8.2のpHで、約200mg/mlのGHB含量または濃度であるであろう。
【0022】
特定の実施形態のために選択しうる範囲の別の実施例は、約7のpHで、約750mg/ml〜約400mg/mlの含量または濃度であるであろう。特定の実施形態のために選択しうる範囲の別の実施例は、約8.5〜約7のpHで、約300mg/ml〜約750mg/mlの含量または濃度であるであろう。特定の実施形態のために選択しうる範囲の別の実施例は、約9〜約5.8のpHで、約400mg/ml〜約600mg/mlの含量または濃度であるであろう。など。従って、本明細書における値から選択することが可能であり、当業者により理解されるであろうような、すべての範囲のpHおよびGHB濃度または含量は、本発明により包含される。
【0023】
GHBの化学的安定性はpHにより影響を受け、水性媒体中のGHBの組成物は、約6より低いpHで、GHBの化学的安定性を維持することにおいて効果的でなくなる。約6より大きいpHを持つ組成物は、化学的に安定なGHBの配合物を生産するために好ましい。従って、化学的に安定なGHBを生産するための好ましい範囲は、約pH6〜約pH9であるであろう。しかし、本明細書において記載されているように、また当業者により理解されるであろうように、水性媒体中GHBのすべての濃度または含量は、本発明の組成物を生産するために選択することが可能である。
【0024】
さらに、上述の範囲は、約20℃〜約25℃、すなわち、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃までとして本明細書に定義される室温での組成物に対するものである。上述のpH値および範囲内で、GHBの濃度または含量の範囲は、室温より大きい温度で増大することが可能である。
【0025】
従って、約26℃〜約100℃、すなわち、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃、約100℃までの温度で、
【0026】
水性媒体中のGHBの、最大限の含量または濃度は、約750〜約1g/ml、すなわち、約751mg/ml、約760mg/ml、約770mg/ml、約780mg/ml、約790mg/ml、約800mg/ml、約810mg/ml、約820mg/ml、約830mg/ml、約840mg/ml、約850mg/ml、約860mg/ml、約870mg/ml、約880mg/ml、約890mg/ml、約900mg/ml、約910mg/ml、約920mg/ml、約930mg/ml、約940mg/ml、約950mg/ml、約960mg/ml、約970mg/ml、約980mg/ml、約990mg/ml、約1000mg/mlまでであることが可能である。
【0027】
室温より低い温度で、GHBの溶解度は、減少することが可能であり、より低い温度での組成物、および本明細書において記載されたpH値および範囲でのGHBの溶解度も、また本発明により包含される。さらに、大気圧の変化もまた、上述の範囲内において、GHBの溶解度を増大または減少することが可能であり、圧力変化によるGHBの増加または減少含量を伴う本発明の実施形態も、また本発明により包含される。
【0028】
当然、約9〜約7.5のpHで、95℃GHBで、約980mg/ml〜約200mg/mlのように、本明細書において記載された値内において、より高いまたはより低い温度での水性媒体中のGHB濃度または含量の実施形態を、本発明が包含することは、理解される。または、約pH6〜約pH7で、約17℃で、約150mg/ml。など。従って、上述の値からの種々な温度および圧力で選択することが可能であり、当業者により理解されるであろうような、すべての範囲のpHおよびGHB含量は、本発明により包含される。
【0029】
本発明の他のある実施形態において、薬剤組成物は、pH調整剤または緩衝剤を含むことが可能である。こうした薬剤は、酸、塩基、またはそれらの組み合わせであることが可能である。ある実施形態において、酸は、有機酸、好ましくはカルボン酸またはアルファヒドロキシカルボン酸でありえる。他のある実施形態において、酸は、酢酸、アセチルサリチル酸、バルビタール、バルビツール酸、安息香酸、ベンジルペニシリン、ホウ酸、カフェイン、炭酸、クエン酸、ジクロロ酢酸、エチレンジアミンテトラ−酢酸(EDTA)、ギ酸、グリセリン燐酸、グリシン、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、モノクロロ酢酸、シュウ酸、フェノバルビタール、フェノール、ピクリン酸、プロピオン酸、サッカリン、サリチル酸、二水素燐酸ナトリウム、琥珀酸、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファピリジン、スルファチアゾール、酒石酸、およびトリクロル酢酸など、または塩酸、硝酸、燐酸または硫酸などの無機酸に限定されないが、それらを含む群から選択される。
【0030】
好ましい実施形態において、酸は、リンゴ酸または塩酸である。他のある実施形態において、pH調整剤は、アセトアニリド、アンモニア、アポモルヒネ、アトロピン、ベンゾカイン、カフェイン、水酸化カルシウム、コカイン、コデイン、エフェドリン、モルヒネ、パパベリン、フィソスチグミン、ピロカルピン、重炭酸カリウム、水酸化カリウム、プロカイン、キニーネ、レセルピン、重炭酸ナトリウム、ニ水素燐酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ナトリウムタイトレート(taitrate)、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、テオブロミン、チオ尿素または尿素に限定されないが、それらを含む群から選択される塩基であることが可能である。他のある実施形態において、pH調整剤は1種以上の酸、および/または1種以上の塩基の混合物であることが可能である。他の好ましい実施形態において、弱酸およびその共役塩基は、組成物のpHを安定させるために役立つ緩衝剤を形成するために用いられる。
【0031】
ある実施形態において、組成物は1種以上の塩を含有する。「塩」は、本明細書において、酸および塩基の相互作用、酸の水素原子が塩基の陽イオンにより置換されることにより形成される化合物を意味するある具現物を意図していると理解される。GHB塩を含む種々の塩も、特にpH調節剤または緩衝剤として、本発明により包含される。医薬として許容される塩は、例えば、塩酸または燐酸などの無機の酸、またはリンゴ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、およびマンデル酸などの有機酸を含む。形成された塩は、また、例えばナトリウム、カリウム、珪酸塩、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、およびプロカイン塩基などの有機塩基から誘導することが可能である。
【0032】
リチウム、カリウム、およびナトリウムなどのアルカリ金属塩は、好ましくは酸と共に用いられて、pH調整剤を形成することが可能である。他の塩は、アンモニウム、カルシウム、およびマグネシウムなどを含むことが可能である。一つの実施形態において、アルカリ金属を含むGHB塩は、酸と共に組み合わされて、水性媒体と混合される時に必要pHを達成する組成物を創り出すことが可能である。別の実施形態において、弱塩基は、GHBと組み合わされて、水性媒体と混合される時に必要pHを達成する組成物を創り出すことが可能である。当然、他の塩は、本明細書において開示された、または当業者に知られているような化合物から形成することが可能であり、すべてのこうした塩は、本発明により包含される。
【0033】
ある実施形態において、付形剤は本発明に添加することが可能である。本明細書において用いられる「付形剤」という用語は、それらは液体形状調合剤、例えばシロップ、芳香粉末、蜂蜜、および種々のエリキシル剤の中に含有することが可能であるけれども、希釈剤または賦形剤として添加されるか、または治療薬が固形物形態を取る時に、形態または統一性を与えるために、ある程度の不活性な物質である、ある種の具現物を意味する。付形剤は、また微生物成長への耐性を高めることが可能であり、従って、防腐剤として機能する。こうした付形剤は、キシリトール、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、糖ナトリウム、セルロース、セルロース誘導体、および炭酸マグネシウムなどを含むが、それらに限定されない。
【0034】
ある実施形態において、薬剤組成物は防腐剤を含有することが可能である。「防腐剤」は、本明細書において、化学変化または微生物活動を抑制するために添加される物質である、ある具現物を意味することが理解される。こうした防腐剤は、キシリトール、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、没食子酸プロピルBP、ソルビン酸、クロロブタノール、ジヒドロ酢酸、モノチオグリセリン、安息香酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、アルコール、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、エチレンジアミン、エチルパラベン、エチルバニリン、グリセリン、次亜燐酸、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル第2水銀(pHenymercuric nitrate)、プロピルパラベン、サッサフラス油、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、チメロサールおよびソルビン酸カリウムを含むことが可能であるが、それらに限定されない。キシリトールは、それが防腐剤および甘味剤として作用することにより、本発明のある組成物中において、特に好まれ、カリエス予防剤であり、他の甘味剤よりも下剤性でなく、糖尿病患者に薦められる。
【0035】
ある実施形態において、薬剤組成物は、抗酸化剤をも含有することが可能である。「抗酸化剤」は、本明細書において、酸化を抑制する物質である、ある具現物を意味すると理解される。こうした抗酸化剤は、パルミチン酸アソカルビル(asocrbyl)、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、メタ亜硫酸水素カリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、アノキソマー(anoxomer)およびマレイン酸BPを含むが、それらに限定されない。
【0036】
ある実施形態において、薬剤組成物は、また調味剤を含有することが可能である。「調味剤」は、本明細書において、経口摂取の間に、組成物の風味を変える物質である、ある具現物を意味すると理解される。「調味剤」のタイプは甘味剤であろう。好ましい甘味剤または調味剤は、微生物的に非−代謝性であろう。特に、好ましい甘味剤または調味剤は、キシリトールおよびソルビトールなどの炭水化物であろう。
【0037】
こうした調味剤は、アラビアゴムシロップ、アネトール、アニス油、芳香エリキシル剤、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドエリキシル剤−化合物、カラウエー、カラウエー油、ショウズク油、ショウズク種子、ショウズク酒精剤、ショウズクチンキ剤−化合物、チェリージュース、チェリーシロップ、桂皮、桂皮油、桂皮水、クエン酸、クエン酸シロップ、チョウジ油、コカ、コカシロップ、コエンドロ油、デキストロース、エリオジクチオン、エリオジクチオン液体抽出物、エリオジクチオンシロップ−芳香剤、酢酸エチル、エチルバニリン、ウイキョウ油、ショウガ、ショウガ液体抽出物、ショウガ油樹脂、グルコース、グリセリン、甘草、甘草エリキシル剤、甘草抽出物、甘草抽出物−純分、甘草液体抽出物、
【0038】
甘草シロップ、蜂蜜、非−アルコールエリキシル剤、ラベンダー油、ミカン類抽出物または油、レモン油、レモンチンキ剤、マンニトール、サリチル酸メチル、ニクズク油、オレンジ−ビター−エリキシル剤、オレンジ−ビター−油、橙花油、橙花水、オレンジ油、オレンジピールビター、オレンジ−ピール−甘味−チンク剤、オレンジ酒精剤−化合物、化合物、オレンジシロップ、ハッカ、ハッカ油、ハッカ酒精剤、ハッカ水、フェニルエチルアルコール、キイチゴ果汁、キイチゴシロップ、ローズマリー油、バラ油、バラ香、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サルザパリラシロップ、ソルビトール液剤、スペアミント、スペアミント油、ショ糖、シロップ、サイム油、トルーバルサム、トルーバルサムシロップ、バニラ、バニラチンキ剤、バニリンまたはワイルドチェリーシロップを含むが、それらに限定されない。
【0039】
塩、付形剤、酸、塩基および緩衝剤などのpH調整剤、調味剤、および本発明の組成物と組み合わせることが可能であるか、または本発明の組成物を調合するために用いることが可能である他の薬剤は、技術上よく知られているし(例えば、「Remington’s PHarmaceutical Sciences」8th and 15th Editions,and Nema et al.,1997を参照すること。それらの全文は本明細書に包含する)、本発明により包含される。
【0040】
他のある実施形態において、薬剤組成物は、GHB、pH調整剤または緩衝剤、および材料が前記薬剤組成物を調合するために混合される(連続的に、または同時に)水性媒体を含む。pH調整剤または緩衝剤、および水性媒体は、本明細書において記載されるあらゆるものでありえる。
【0041】
本発明は、また、水性媒体中の混合GHBおよびpH調整剤または緩衝剤を含み、GHBに対応する状態の治療用の、化学的に安定な、微生物の成長に耐性のある薬剤組成物を調合するための方法を提供する。ある実施形態において、薬剤組成物を調合するための方法は、さらに防腐剤を薬剤組成物と混合することを含む。調味剤および塩などの他の材料は、組成物に添加することが可能である。pH調整剤または緩衝剤、水性媒体、防腐剤、調味剤、塩、または他の成分は、本明細書において記載されるあらゆるものでありえる。
【0042】
他のある実施形態において、薬剤組成物を調合するための方法は、GHBに対応する状態を有すると思われる患者に投与する直前に、GHB、pH調整剤または緩衝剤、および水性媒体を混合することを含む。
【0043】
本発明は、また、こうした状態を有すると思われる患者に、微生物成長に耐性のある水性媒体中に、化学的に安定なGHB(例えば、1〜10グラム)を含む薬剤組成物の治療量を投与することを含む、GHBに対応するあらゆる治療区分の疾患を治療する方法を提供する。
【0044】
ある実施形態において、GHBに対応する状態を治療するための方法は、約0.1g〜約10g、すなわち、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9、約10グラムまでのGHBの、または当業者により認識されるであろうように患者により必要とされる通りの、第1投与量を取る患者を含む。
【0045】
当然、9.45g、6.32gなどの、上掲値間のすべての値は投与することが可能であり、それらの値が有効に包含されることは、理解されるであろう。好ましい実施形態において、第1服用量は、睡眠1時間以内に投与される。好ましい実施形態において、上述の値以内のGHB第2服用量は投与することが可能である。この第2服用量は、それを好ましい範囲外で一度に投与することは可能であるけれども、好ましくは約2.0〜約5.0時間以内に、すなわち、第1投与後、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0時間までに投与される。
【0046】
ある実施形態において、第2薬剤はGHBの組成物と共に投与することが可能である。こうした第2薬剤は、例えば、GHBの第1服用量と同じ24時間周期以内に投与される刺激剤であることが可能である。刺激剤は、例えば、覚醒期間中にGHB治療の残余効果を無効にするためにメチルフェニダートまたはペモリンであることが可能であるが、それらに限定されない。ある実施形態において、睡眠疾患を治療する方法は、睡眠疾患を制御するために用いられる他の第2薬剤の停止を含むことが可能である。こうした第2薬剤は、3環式の抗うつ剤を含むことが可能であるが、それに限定されない。
【0047】
ある実施形態において、本発明は、睡眠疾患治療のために、上述のように、本発明のGHB組成物の投与により、あらゆる適切な治療区分の疾患を治療する方法を提供する。GHBがあらゆる治療区分の疾患を治療する方法において用いられる時に、本発明のGHB組成物は、摂取直前に患者または管理者により、水性媒体、および任意にpH調整剤または緩衝剤または他の添加剤と混合することが可能である。患者は、投与前に、数分から数時間以内に組成物を調合することが可能である。
【0048】
あるいは、1種以上の材料は、速やかな使用のために予混合することが可能である。本発明のGHB組成物の材料、GHB、水性媒体、pH調整剤または緩衝剤、付形剤、防腐剤、調味剤、および/または他の材料または添加物は、保存を助けるために適する容器手段中に貯蔵することが可能である。好ましくは、容器手段は、一組の形態を取る。本明細書の、ある実施形態において用いられる「一組」は、容器または他の適切な貯蔵手段の中に梱包される組成物の1種以上の材料である。
【0049】
本発明は、また、適する貯蔵手段の中で、GHBおよびpH調整剤または緩衝剤を含む、GHBに対応する状態の治療用の一組を提供する。ある実施形態において、GHBおよびpH調整剤または緩衝剤は別々に梱包される。他のある実施形態において、GHBおよびpH調整剤または緩衝剤は混合することが可能である。一組は水性媒体を含むことが可能である。他のある実施形態において、GHB、pH調整剤または緩衝剤および/または水性媒体に限定されないが、それらを含む群から選択される少なくとも1種の材料は、別に梱包される。他のある実施形態において、GHB、pH調整剤または緩衝剤および水性媒体を含む群から選択される少なくとも2種の材料は、一緒に混合される。
【0050】
いくつかの実施形態において、一組は、さらに防腐剤を含む。こうした一組は、GHB、pH調整剤または緩衝剤、水性媒体または防腐剤を含む群から、別々に梱包された、1種、2種、またはそれ以上の材料を有することが可能である。こうした一組は、一緒に混合された2種以上の材料を有することが可能である。従って、GHBおよび他材料の液体および乾燥配合物の両方を、投与前の混合のために、一組の中に梱包することが可能であり、または1種以上の材料を予混合し、他の材料と共に梱包することが可能であり、またはすべての材料を予混合し、一組の中に梱包することが可能である。
【0051】
それらを一組の中に含む本発明の組成物は、以下に述べるように、医薬として許容される担体液剤中に分散することが可能である。こうした液剤は、滅菌性または無菌であるし、水、共−溶媒賦形剤緩衝剤、等張剤、薬剤助剤、または動物またはヒト対象に投与される時に、アレルギーまたは他の有害な反応を引き起こさないであろう当業者に知られる他の成分を含むことが可能である。従って、本発明は、また、医薬として許容される担体液剤中において増大した安定性を持つGHBの薬剤組成物として説明することが可能である。
【0052】
他に定義がない限り、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は、本発明が属する当業者により普通に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書において用いられる「a」「an」または「the」という用語は、「一つまたはそれより多い」という意味を含むと理解される。本明細書に記載されるものと同様、または同等のあらゆる方法および材料を本発明の実施または試験に用いることが可能であるが、好ましい方法および材料が、今記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の微生物成長に対する耐性および液剤中の化学的安定性の範囲。縦座標はGHB液剤のpHである。軸は液剤中のGHB濃度(mg/ml)である。斜線「/」より下の領域は、室温でのGHB溶解度の範囲である。より大きい溶解度は、液剤を100℃まで熱することにより、1g/mlまで達成することが可能である。3個の液剤をHClにより調整したが、微生物成長の影響を受け易かった(△)。2個の液剤をリンゴ酸により調整し、微生物成長に対して耐性があった(●)。これら2個の液剤の内、pH6の1個は付形剤としてキシリトールを含んだ。3個の液剤は、塩酸によりpH調整され、微生物成長に対して耐性があった()。1個の液剤はpH調整されず、微生物成長の影響を受け易かった(*)。 上記の図面は、本明細書の部分を形成し、本発明のある態様をさらに説明するために含まれる。本発明は、本明細書において説明される特定の実施形態の詳細な説明と合わせて、これら図面の1個以上を参照することにより、よりよく理解することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実例となる実施形態の説明
I.ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の配合物
A.微生物成長およびガンマ−ブチロラクトンの形成
本発明は、水性媒体、好ましくは液剤中のGHBの化学的に安定で、微生物耐性のある配合物の発見、および睡眠発作病および他の睡眠疾患などの治療区分疾患の治療におけるこれら配合物の効力から生じている。特に、GHBは、本発明の組成物を生産するために、水性媒体中のGHB溶解度または保持率の限界まで、水性媒体中約150mg/mlより大きい濃度で調合される。
【0055】
GHBの最大溶解度は、水性溶媒のpHにより影響を受ける。約pH4で、溶解することができる溶媒−GHBの最大量は、約450mg/mlである。750mg/mlGHBを溶解するために、図1に示されるように、GHB溶解度増加に資するpH値は、約pH6.8であると見出された。これを表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
水性媒体のpHも、約500mg/mlGHBで、微生物成長に対する組成物の耐性に影響を与える。約pH5〜pH9の間である水性媒体中のこの濃度のGHBは、微生物成長に対して耐性があり、約pH6〜約pH7.5の組成物は微生物成長に対して、特に耐性がある。しかし、約pH7.5を越えて、約750mg/mlより大きいGHB濃度では、微生物成長に対する耐性は減少する。これを表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
表1および表2からのデータは、図1にグラフとして示した。組成物中のGHBの濃度は、pHとの関係で評価される時に、GHB組成物の微生物成長に対する耐性に影響を与える。150mg/ml以下のGHB組成物は、約pH3〜約pH9のpH範囲からの微生物の挑戦に対して耐性が弱い。しかし、約150mg/mlより大きいGHB濃度、約1000mg/mlのGHBまでは、これらのpH範囲で微生物汚染に適して耐性があると信じられている。
【0060】
GHBの化学的安定性はpHにより影響を受ける。従って、本明細書において記載されているように、特に特定の実施例で開示しているように、GHBを調合する方法は、pHにより変化する。GBLはpHが約6以下で形成を始める。約6.0より大きいpHの組成物は、GHBの化学的に安定な配合物を生産するために好まれる。従って、化学的に安定なGHBを生産するための好ましい範囲は約pH6〜約pH9であろう。しかし、臨床的に許容可能な量のGBLが生成されるあらゆるpHまたはpH値の範囲は、また、好ましいとして考えられ、本発明により包含される。GBLの範囲は、十分な毒物学的データの活用と共に規制的に緩和されて広がって行きうるであろう。
【0061】
本発明のある実施形態において、pH調整剤は組成物に添加することが可能である。pH調整剤の選択は、分析可能なGHBの減少により測定されるように、微生物挑戦に対する耐性および/またはGHBの安定性に影響を与えることが可能である。リンゴ酸によりpH調整されたGHBの組成物は、微生物成長およびGHBの化学的分解の両方に対して耐性があり、好ましい。他のpH調整剤または緩衝剤は選択することが可能である。この基準に基づき選択されるpHを調整する薬剤は、味覚試験研究を受ける。しかし、本明細書において開示された、または当業者に知られているようなあらゆるpH調整剤は、本発明において有用であると考えられる。当然、本明細書において記載され、または当業者に知られているようなあらゆる塩、調味剤、付形剤、または他の医薬として許容される添加物は、本発明において有用であると考えられる。
【0062】
あらゆる上述の配合物は、経口投与前に、水性媒体と混合するために粉末または乾燥形態として調合するか、および/または梱包することが可能であるか、またはそれらは水性媒体中に調合し、梱包することが可能である。水性媒体と混合後、好ましくは液剤を調合ために、これらの配合物は、微生物成長およびGHBのGBLへの化学的変換の両方に対して耐性があり、それによって、水性媒体中GHBの治療用配合物の貯蔵寿命が増加する。その後、これらの配合物は、患者に投与しようとするGHBの投薬量を測定するための容易にタイトレーション可能な液体媒体を提供する。組成物および調合の方法の追加実施形態は、以下に実施例の中で説明される。
【0063】
B.薬剤組成物
1. 医薬として許容される担体
本発明の水性組成物は、医薬として許容される担体および/または水性媒体中に溶解、または分散したGHBの有効量を含む。語句「薬剤的にまたは薬理学的に許容可能な」は、動物またはヒトに適切として投与される時に、悪い、アレルギーの、または不利な反応を生じない分子の実在および組成物を指す。
【0064】
本明細書において用いられる「医薬として許容される担体」という用語は、いかなる、およびすべての溶媒、分散媒体、被覆剤、抗バクテリアおよび抗カビ剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬剤的に活性な対象用のこうした媒体および薬剤の使用は、技術上よく知られている。従来のいかなる媒体または薬剤も活性成分と不適合である限りにおいて、治療組成物におけるその使用は適切でない。補助的な適合活性成分は組成物中に組み込むことが可能である。ヒト投与のために、調合物は、食品医薬品局(FDA)により要求されているような、滅菌性、発熱性、一般の安全性および純度標準に合致すべきである。
【0065】
GHBは、適切である所期の賦形剤中に、より速やかに配合されるように、減圧下凍結乾燥することが可能である。活性化合物は、非経口投与、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、病変内、腹膜内または他の非経口ルートを介しての注射用に配合することが可能である。活性材料または成分としてのGHB剤を含有する水性組成物の調合は、本開示を考え合わせて、当事者に知られている。一般に、こうした組成物は、液体液剤または懸濁液のいずれかとして、注射可能として調合することが可能である。注射前に液を添加する際に、液剤または懸濁液を調合するために用いるのに適する固形形状物も、また調合することが可能であり、調合物は、また乳化することが可能である。
【0066】
注射用途に適する薬剤形成体は、滅菌水性媒体または分散液;例えば、水性プロピレングリコールを含む配合物;および滅菌性注射液剤または分散液の必要に応じた調合に対する滅菌粉末を含む。すべての場合において、形成体は、滅菌性でなければならないし、容易に注入が可能であるような程度までの流動性がなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならないし、バクテリアおよび真菌などの微生物の汚染行為に対して保護されなければならない。
【0067】
遊離酸または薬理学的に許容可能な塩としての活性化合物の液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/または医薬として許容される界面活性剤と適して混合された水中で調合することが可能である。分散液は、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、および油中で調合することも可能である。通常の貯蔵および使用条件下で、これらの調合物は、さらに微生物成長を防止するために、最善として防腐剤を含むことが可能である。
【0068】
本発明のGHB組成物は、中性すなわち、塩の形成物中の組成物中に配合することが可能である。こうした塩は、本明細書において記載される、特に特定のGHBまたは用いられるGHB塩に応じての、または当業者に知られているであろうような、あらゆる酸および塩基から形成することが可能である。
【0069】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、または同様のもの)、それらの適する混合物、および植物油を含有する液剤または分散媒体であることが可能である。適正な流動性は、例えば、レシチン(例えば、被覆剤)などの物質の使用により、分散液の場合に必要粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持することが可能である。
【0070】
微生物活動の防止は、本明細書に記載された、または種々の抗バクテリアおよび抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチメロサールなどを含む、当業者に知られているであろうようなあらゆる防腐剤により、もたらすことが可能である。多くの場合において、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことは、好ましい。注射可能組成物の長期の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムの組成物中における使用により、もたらすことが可能である。
【0071】
滅菌注射可能液剤は、上に列挙した種々の他の成分を持つ適切な溶媒中に必要量で活性化合物を組み込むことにより、必要とされるように、次ぎの濾過滅菌により作成することが可能である。一般に、分散液は、種々の滅菌活性成分を、基幹の分散媒体および上に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌賦形剤中に組み込むことにより作成される。滅菌注射可能な液剤調合用の滅菌粉末の場合において、調合の好ましい方法は、活性成分プラスそれの前からの滅菌濾過液剤からの必要なあらゆる追加成分の粉末を生成する真空−乾燥および凍結−乾燥技術である。DMSOの溶媒としての使用(DMSOは、今許可されたヒト薬物ではありえないが)が、活性薬剤の高濃度物を小さな面積部に配達し、極めて急速な浸透をもたらすと予見される、直接注入に対してより多くの、またはより高く濃縮された液剤の調合が、また、考えられている。
【0072】
配合すると、液剤は投薬配合物と適合する方法と共に、治療的に効果的であるような量において投与される。配合物は、上述の注射可能な液剤のタイプなどの、多様な投薬形態において容易に投与されるが、しかし薬物放出カプセルなども用いることが可能である。
【0073】
例えば、水性溶液における非経口投与のために、液剤は必要なら適して緩衝液で処理されるべきであり、液体希釈剤は、第1に、十分な食塩水またはブドウ糖により等張にされるべきである。これらの特定の水性溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下および腹膜内投与に適する。これに関連して、用いることが可能である滅菌水性媒体は、本開示を考え合わせて、当業者に知られている。例えば、1投薬量は、等張NaCl溶液1ml中に溶解することが可能であり、流体1000mlに添加するか、または提案された注射の場所で注射するかのいずれかが可能である(例えば、「Remington’s PHarmaceutical Sciences」15th Edition,pages 1035〜1038 and 1570〜1580を参照すること)。投薬量決定におけるいくらかの変化は、治療される対象の状態に応じて、必然的に起こるであろう。投与に責任ある人物は、とにかく、個々の被験者に対して適切な服用量を決定する。
【0074】
活性GHBは、服用量当たり約100〜約10,000ミリグラムを含むように、治療混合物内に配合することが可能である。多服用も投与することが可能である。
静脈内または筋肉内注射などの非経口投与用に配合された化合物に加えて、他の医薬として許容される形態は、例えば、錠剤または他の固形物;リポソーム配合物;時間放出カプセル;および後に経口投与のために水性媒体と混合することが可能であるクリームを含む、最近用いられる他のあらゆる形態を含む。
【0075】
本発明において、また、鼻腔液剤またはスプレー、アエロゾールまたは吸入器を用いることが可能である。鼻腔液剤は、通常、鼻腔通路に対して液滴またはスプレーで投与しようとして設計される水性溶液である。鼻腔液剤は、通常の毛様体機能が維持されるように、それらが多くの点で鼻の分泌物に似ているように調合される。こうして、pH3〜約pH9、またはpH6〜約7.5など、本明細書の特定の実施例において開示される他のpH範囲が考慮されているけれども、水性鼻腔液剤は、通常、等張性であり、わずかに緩衝液で処理されて、pH5.5〜6.5を維持する。さらに、眼科の調合において用いられるものと同様の防腐剤,および必要なら適切な薬物安定剤は、配合物中に含むことが可能である。種々の商業用鼻腔用調合物が知られ、例えば、抗生物質および抗ヒスタミン薬を含み、喘息予防のために用いられる。
【0076】
好ましい経口配合物は、例えば、薬剤グレードのキシリトール、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、糖ナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムなどの通常用いられる付形剤を含むことが可能である。これらの組成物は、液剤、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、保持放出配合物、または水性媒体と混合しようとする粉末の形態をとることが可能である。
【0077】
ある定義された実施形態において、経口薬剤組成物は、不活性な希釈剤または吸収でき食べられる担体を含むか、またはそれらは、硬いまたは柔らかい殻のゼラチンカプセル中に閉じ込めることが可能であり、または錠剤中に圧入することが可能であり、またはGHBは、経口または注射可能な配合物のための水性媒体と混合するために、付形剤、塩、調味剤または本明細書において記載されたあらゆる他の材料から分離して、または組み合わせて梱包することが可能であり、またはそれらは、治療食の食品(すなわち、飲料)に直接組み込むことが可能である。
【0078】
経口治療投与のために、活性化合物は、付形剤に組み込まれ、水性媒体と混合するために、錠剤、バッカル錠剤またはタブ、トローチ剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、およびオブラートなどの形態において用いることが可能である。こうした組成物および調合物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。組成物および調合物のパーセントは、当然、変動することが可能であり、便利には系の重量の、約2〜約75%の間、または好ましくは25〜60%の間にあることが可能である。こうした治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、適する投薬量が得られるようなものである。
【0079】
錠剤、トローチ剤、ピル、およびカプセルなどは、また、以下を含有するすることが可能である:結合剤、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンのような天然物、またはポリ酢酸ビニルのような合成物;燐酸二カルシウムなどの付形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、およびアルギン酸などの分解剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤;およびスクロース、乳糖、またはサッカリンなどの甘味剤、または天然の、または合成の調味剤は、添加することが可能である。
【0080】
投薬単位形態が水性媒体の特定の容量と混合するためのカプセルである時に、それは、上述のタイプの材料に加えて液体担体を含むことが可能である。種々の他の材料は、被覆剤として、または投薬単位の物理的形態を別に変更するために存在することが可能である。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルは、糖、天然のまたは合成のポリマー、または両方により被覆することが可能である。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、防腐剤、染料および/または調味剤を含むことが可能である。
【0081】
さらに、あらゆる付形剤、塩、酸、pH−調停、調整または緩衝化合物または薬剤、調味剤、液剤、溶媒、分散液、グリセリン、グリコール、油、抗バクテリアおよび抗真菌剤、抗生物質および抗ヒスタミン薬、結合剤、分解剤、滑剤、甘味剤、または上に列挙したものからの、または実施例の中からの、または本明細書に記載されたあらゆる医薬として許容される組成物または担体の中からの、または当業者により知られているであろうようなあらゆる他の添加剤または成分は、本発明のGHB組成物の水性媒体または固形物形態における使用のために考えられる。1種以上のこれらの組成物は、摂取の前に、GHBと共に梱包するか、またはGHBと分離して梱包することが可能である。分離して梱包される場合は、GHBの有用な組成物は、摂取前に、水性媒体でGHBを他の材料と混合することにより得ることが可能である。こうした材料は以下に述べるように一組に梱包することが可能である。
【0082】
2. 組
本発明の治療目的の組は、GHBを含む組である。こうした組は、一般に、適する容器の中で、GHBの医薬として許容される配合物を含有する。組は、単独の容器を有することが可能であるか、またはそれは、各材料に対して個別の容器を、または種々の材料の組み合わせに対して個別の容器を有することが可能である。
【0083】
組の材料が1個以上の液体配合物において提供される時に、液体配合物は、滅菌液剤が特に好ましい水性媒体である。GHB組成物は、また、注射可能組成物中に配合することが可能である。その場合に、容器手段は、それ自体、注射器、ピペット、バイアル、アンプル剤、またはそこから配合物が身体の感染領域に加えられ、動物の中に注入され、またはさらに組の他の材料に加えられ、混合されうるような他の装置であることが可能である。
【0084】
しかし、組の材料は、乾燥粉末(複数も含む)として、提供することが可能である。試薬または材料が乾燥粉末として提供される時に、粉末は、適する溶媒の添加により再構成することが可能である。溶媒は別の容器手段で提供することが可能であることが考えられる。
容器手段は、一般に、少なくとも一つのバイアル、試験管、フラスコ、びん、パウチ注射器、または他の、GHB配合物またはそれの材料を入れ、好ましくは適するように配置される容器手段を含む。組は、滅菌性の、医薬として許容される緩衝剤または他の希釈剤を含有するための第2容器手段も含むことが可能である。
【0085】
本発明の組は、また、一般に、例えば、所期のバイアルが中に保持される、射出または吹込み成形プラスチック容器などの商業用販売のための密着型コンファインメントの中にバイアルを含有するための手段を含む。
容器の数またはタイプに関係なく、本発明の組は、また、動物の体内へのGHB組成物の注入/投与または配置を支援するための機器を含むか、または共に梱包される。こうした機器は、飲料カップ、注射器、ピペット、またはこうしたあらゆる医療的に承認された運送手段でありえる。
【0086】
II.GHB組成物による治療方法
GHBは睡眠発作病および睡眠疾患の治療(Lee,1977;Mamelak,1977;Hoes,1980;Scharf,1985;Scrima,1990;Gallimberti,1992;Series,1992;Lammers,1993)、アルコール渇望およびアルコール禁断症状の整復(Gallimberti et al.,1989;Gallimberti et al.,1992;Gessa et al.,1992)、アヘン剤禁断症状の整復(Gallimberti et al.,1994;Gallimberti et al.,1993)、苦痛の減少(米国特許第4,393,236号)、患者の頭蓋内圧の減少(Strong,A.1984)、および患者の成長ホルモンレベルの増大(Gerra et al,1994;Oyama et al.,1970)において有効であることが示されてきたという理由により、本発明の配合物は、また、患者のあらゆるこれらの疾患、または異常の治療において有用であると考えられる。GHBは、また、単独で、末期癌状態の患者への麻酔剤として用いられてきた。
【0087】
GHBは、他の鎮痛剤、抗精神病薬と一緒に、または麻酔として使用するため閾値下のバルビツレート投薬と一緒に用いられてきた。GHBは、閉じられた中の頭蓋脳の外傷において、および催眠剤として用いられてきた(米国特許第5,380,937号)。発明者らは、本発明のGHB組成物の使用を、麻酔剤、催眠薬として、または催眠剤として考えている。発明者らは、また、本発明のGHB組成物の使用を、鎮痛剤、抗精神病薬、または麻酔として使用するためのバルビツレートと組み合わせての使用を考えている。本発明のGHB組成物は、本明細書において記載されるあらゆる手段、特に、「薬剤組成物」の節および実施例において記載されるものにより、または当業者に知られているであろうあらゆる手段により調合し、投与することが可能である。
【0088】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するために含まれる。以下に続く実施例中に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能するために、発明者により発見された技術を示し、従って、その実施のために好ましい様式を構成すると考えることが可能であることは、当業者により評価されるべきである。しかし、当業者は、本開示と合わせてみて、多くの変更が開示された特定の実施形態においてなされることが可能であり、まだ本発明の精神および範囲から離れることなく、同様の、または類似の結果を得ることが可能であることを評価するべきである。
【実施例】
【0089】
実施例1.好ましい実施形態
ザイレム(XYREM)(商標)臨床試験
発明者らは、水中のGHB、キシリトール、および防腐剤からなる液体配合物を開発した(ザイレム(商標))。この配合物中の防腐剤の引き続く不安定さ、および時期的に良い方法で臨床試験を開始したいとの願望が、フォイルパウチへの配合物の変更に導いた。一つの臨床試験は、GHBを含有するフォイルパケットの一面(パウチ1)、および調味剤(キシリトール、[NF];リンゴ酸、NF)を含有する他の面(パウチ2)を持つ二パウチ投薬形態を用いた。
【0090】
患者は、はさみで二パウチを切り開き、内容物を服用カップの中に開け、2オンスの水を添加し、服用カップ上のふたをバチンとはめ、振って溶解し、カップの全内容物を飲むように指示される。発明者らにより導かれる臨床試験は、二パウチ投薬形態を用いて、実施されてきた。
しかし、発明者らは、液体溶液の開発を続けてきたし、今、特定の配合物および/または防腐剤に伴う固有の問題を克服した。発明者らは、患者を最近GHB、リンゴ酸、および水からなる液体溶液(経口投与前に直ぐに水で希釈される)へのGHBオープン−ラベル試験に登録するように転換してきた。
【0091】
液体溶液投薬形態に対する必要性は、さらに、その後のGHBオープン−ラベル試験において用いられている服用量の範囲により実証される。3サイズのパウチをGHBオープン−ラベル試験のために調合した:1.5グラム、3.0グラム、および4.5グラム。GHBオープン−ラベル試験において、すべての患者に対する最初の服用量は、分割服用で、毎夜GHB6グラムであった。試験の最初の2週間内に、過敏症か、または効力不足に対して、指示された通りに、投薬量の調整を認めた。調査員は、毎夜のGHBの服用量を3グラムまたは4.5グラムに下げるか、または服用量を7.5グラムまたは9グラムに上げることを認められた。2週間後、さらに投薬量の調整が、医療的に指示される場合に、なされた。
【0092】
35人の患者がかれらの服用量を増やし、16人の患者がかれらの服用量を減らした。最も低い服用量のグループにいる患者は、不釣合いな女性であり、他の2グループの患者よりも15kg軽かった。最近の服用レベルを以下に記す。
【0093】
【表3】

【0094】
これらの個々の服用量を達成するために、異なる服用量の強度の組み合わせを提供することが、必要であった。この複雑性は、市場の製品で達成することは極めて困難であろう。さらに、二パウチの1ヶ月の供給は、全くかさばるものである。液体配合物は一つの投薬形態との服用調整における容易さを可能とする。さらに、液体配合物について、「子供には開けられない」梱包を開発してきた。
多くの患者が、また、二パウチの風味について不平を言ってきた。発明者らは、これに続けて、発明者らの臨床試験への参加者に質問状を出すと共に、通常のボランテイアーの人に風味試験を実施した。質問への回答、風味試験結果、および研究投与者の睡眠発作病患者の臨床経験は、すべて、味付けされていない液剤は許容できることを確認するものであった。
【0095】
患者が服用するGHB液剤の濃度および容量は、それがパウチから溶解したか、または液体から希釈したかのいずれによるかには関係なく、同じである。これをチャート4および表5に示す。
【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
甘味剤(キシリトール)および調味剤の排除を除いて、二つの配合物は、同一の液剤という結果になる。
【0099】
結論
患者が服用するGHB液剤の濃度および容量は、それがパウチから溶解したか、または液体から希釈したかのいずれによるかには関係なく、同じである。いずれの方法もGHBの許容可能で安定な液剤を生産するために用いることが可能である。
【0100】
実施例2.好ましい実施形態
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の自己保存配合物
配合の研究−液体ザイレム(商標)の概要
I.最大溶解度範囲
図1および表1に見られるように、GHBの溶解度は、室温(25℃)でpHレベルにより変動する。GHBの追加量は、熱が加えられる場合に、ゲル状に可溶化することが可能であり、この場合に1000mg/ml濃度を達成することが可能である。発明者らは、図1および表1に示されるGHBの濃度または含量は、非加熱調合物を調合し、摂取する容易さのせいで、使用のためには好ましいが、水性媒体中のGHBのより高い濃度も、1000mg/mlまでは作成することが可能である、と考える。
【0101】
II.微生物試験
発明者らは、pH、GHBの濃度、および用いるpH調整器を含む3要因分析を用いた。図1および表2に見られるように、微生物挑戦に対し許容できない低い耐性が、HClをpH調整剤として用いる、pH3,5,7、および9.0における150mg/mlGHBで見られた。pH調整剤なしのpH10.3での150mg/mlGHBも、微生物挑戦に対し許容できない耐性であることが証明された。許容可能な微生物防腐性の境界線は、HClでpH調整された、pH9で500mg/mlGHBの液剤に見られた。
【0102】
リンゴ酸かまたはHClのいずれかにより調整されたpH6.0または7.5で500mg/mlの濃度、およびHClで調整されたpH9.0で500mg/mlの濃度において、配合物は微生物挑戦試験に極めて有効である。発明者らは、GHB約150mg/mlより大きく、液剤中のGHBの最大溶解度までの濃度は、約pH3〜pH10.3間で微生物挑戦に適して耐性がある、と考える。好ましくは、水性媒体は、pH調整剤または緩衝剤を含む。
【0103】
III.ガンマ−ブチロラクトン分解範囲
GBLは、これまで試験された配合物により、pHが約6以下の場合に形成が始まる。
A.液体配合物の開発
これらの実験の目的は、ガンマヒドロキシ酪酸ナトリウムのための商業用配合物を開発することであった。ガンマヒドロキシ酪酸ナトリウム(GHB)のための、最初の配合物は、150mg/mlのGHB、防腐剤、および調味剤を含有する水性液体配合物であることを意図した。この配合物を開発するために、水中の薬物の溶解度、およびpHの関数としての溶解度、適する防腐剤のタイプおよび濃度、調味剤成分のタイプおよび濃度、および配合物の安定性を確立しようとして研究を行った。
【0104】
1.溶解度
pH3、5、7で、150mg/mlのGHBを含有する配合物を調合することの実現可能性を確立した。150mg/mlのGHBを含有する液剤を作成した。最初のpHをpH7.5より大きくし、最終pHを塩酸により3、5または7に調整した。液剤中の沈殿物を観察し、HPLCによりGHB含量を分析した。結果として、沈殿物はなにも観察されず、薬物濃度はHPLCにより150mg/mlであることが見出された。この情報は、さらなる配合物開発研究のための基礎試料として用いた。
【0105】
2.防腐剤
防腐剤効力研究を、GHB液体配合物のための適する防腐剤を識別するために行った。表6に示される以下の配合物を調合し、ブドウ状球菌アトレウス(attreus)(ATCC #6538)、緑濃菌(ATCC #9027)および黒色アスペルギルス(ATCC #16404)を用いて試験を行った。
【0106】
【表6】

【0107】
各配合物中に用いられる防腐剤はXで印を付けた。結果として、配合物#3、4、6および9は、すべての3種の挑戦微生物を48時間の接触時間の中で>99.99%減少させた。配合物#1、5および7は、すべての3種の挑戦微生物を7日間の接触時間の中で>99.99%減少させた。配合物#2、8、10、11、12および13は、7日間の接触時間の中でいくらかの減少は起こっているが、黒色アスペルギルスカビを>99.99までには減少できなかった。対照#10、11、12および13は、緑濃菌に対して活性を示した。
【0108】
3.安定性
防腐剤効力試験の結果に基づき、5個の配合物を安定性試験のために選択した。表7は配合物の組成物を示す。
【0109】
【表7】

【0110】
配合物を、命綱をかけ、子供が開けることのできない蓋を持つ125mL、アンバーPETボトルの中に組み入れ、60℃、40℃/75%相対湿度(RH)および25℃/60%相対湿度で、垂直および逆さにして保管した。試料を、1、2および3ヶ月後に、安定室から除去し、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、GHB含量を分析した。また、外観およびpHを監視した。
【0111】
表8は3ヶ月時点での結果を示す。60℃で保管した試料は変色したが、他のすべての条件における試料は、変色しないままで残った。
【0112】
【表8】

【0113】
60℃で、すべての配合物のpHは、3ヶ月の安定期間にわたり上方に移動した。開始から3ヶ月のpHの%増加は、最初により低い値に調整した配合物に対して、より大きかった。
例えば、配合物1、3および4(pH3に調整して下げた)におけるpHの移動は、3ヶ月のすべての条件にわたり21〜30%であった。配合物2および5(pH5に調整して下げた)におけるpHの移動は、3ヶ月のすべての条件にわたり4.2〜12%であった。pHの維持は、防腐剤が約pH6を越えるpHレベルを有する配合物において劣化することが知られているので、長期間貯蔵に対して重要になってくる。
さらに、防腐剤の負の味を隠すための調味系の開発は困難である。
【0114】
4.液体配合物官能検査
上述の安定性データおよび防腐剤効力試験に基づき、ソルビン酸カリウムを含有するpH5の配合物を、調味系開発および官能検査のための、第1基本配合物として選択した。ソルビン酸カリウムを含有するpH3の配合物を、予備の配合物として選択した。
【0115】
B.乾燥粉末配合物の開発
第1および予備の、液体配合物のための調味系開発は、困難であることが実証され、摂取前に水と再構成するための乾燥粉末配合物を開発することを決定した。この方法は、防腐剤系への必要性、pHをpH6より下のレベルに調整する要求事項を取り除き、適する調味系の開発を可能にした。
【0116】
1. 乾燥粉末配合物官能検査
粉末配合物のための調味系を開発するために、いくつかの因子を評価した。GHB液剤の調味属性は専門知覚パネルにより特性分析される。調味系に対するGHB液剤と同様の知覚特性を含む模擬基盤を開発した。調味系開発のために米国食品医薬品局合格証の付形剤を選択した。模擬基盤の中の異なる付形剤(調味剤、甘味剤、酸味剤および流動剤)を選別した。焦点グループ検査用に3種の調味系を選択した。好ましい調味系を、焦点グループ検査から得られた意見に基づき最適化した。GHBを持つこの最終配合物を最適化した。
上述の活動に基づき、以下の表9に示す配合物を、安定性研究のために選択した。
【0117】
【表9】

【0118】
2. 乾燥粉末配合物の安定性
2種類のフォイル梱包(高湿度および中湿度耐性)の中における上述のプロトタイプ配合物の安定性、および1種類のフォイル梱包(高湿度耐性)の中におけるGHB単独の安定性の評価から、研究を始めた。表10は、安定性に関して置かれたロットを示す。フォイル梱包は高湿度耐性パウチおよび中湿度耐性パウチであった。研究プロトコル、表11は、40±2℃/75±5%相対湿度で6ヶ月間、および25±2℃/60±5%相対湿度で12ヶ月間貯蔵しようとする試料を必要とした。表12は、研究に対する、検査、方法、パケット数/検査および検定規格を示す。
【0119】
【表10】

【0120】
【表11】

【0121】
【表12】

【0122】
40±2℃/75±5%相対湿度で2ヶ月後、ロットSPO8018AおよびSPO8018Bの効力(%ラベルクレーム)は94.0%、規格値の下限界値より低く、一方でロットSPO8018Cは効力の低下はなにも示さなかった。ロット8018Aおよび8018Bは、25±2℃/65±5%相対湿度で2ヶ月後、約96%効力を示した。ロットSPO8018Cは、このより低い貯蔵条件で、再度効力の低下はなにも示さなかった。
【0123】
3. 外観
40±2℃/75±5%相対湿度で2ヶ月後、ロットSPO8018AおよびSPO8018Bは有意な融解を示したが、一方でロットSPO8018Cは融解を示さなかった。ロット8018Aおよび8018Bは、25±2℃/65±5%相対湿度で2ヶ月後、また部分融解を示した。ロットSPO8018Cは、このより低い貯蔵条件で、再度融解の証拠はなにも示さなかった。
【0124】
安定性研究の間に観察された物理的な状態変化に基づき、GHBおよび付形剤混合物間の固形物状態の相互作用が起こったことは、明らかであった。キシリトールが付形剤混合物の大部分を作り上げているので、キシリトールが薬物−付形剤相互作用の主要源であると見なされた。梱包材料がGHBおよびキシリトール間の相互作用を提供している、との可能性に基づき、代わりの仮説も提案された。これらの仮説を試してみるために3つの研究を始めた。
【0125】
4. 組容器−系の中におけるGHB固形物の安定性
第1研究において、25±2℃/60±5%相対湿度で貯蔵された試料を、ガラスバイアルに移し、その後、40±2℃/7±5%相対湿度で貯蔵した。第2研究において、GHBおよびキシリトールの混合物を、フォイル梱包の異なるタイプのシート間で静かにこすった。混合物には、物理的な外観の変化が見られた。第3研究において、GHBおよびキシリトールの異なる混合物を調合した。その後、温度記録図の変化を調べるために示差走査熱分析(DSC)温度記録図を使った。これら研究の結果を以下にまとめた。
【0126】
ガラスへの移動:前に25±2℃/60±5%相対湿度で貯蔵されたロット8018Aおよびロット8018Cの試料を、アンバーねじ込み蓋バイアルに移し、40±2℃/75±5%相対湿度で貯蔵した。表6に示すものと同様の分析を行った。1ヶ月後、ロット8018Aの効力は94.6%であり、一方でロット8018C(GHBのみ)の効力は100%であった。さらに、ロット8018Aは、また融解の証拠を示した。結果は、GHBおよびキシリトールは固形物の状態で相互作用を行っているという仮説を指示し、相互作用は梱包とは関係しないと思われた。
【0127】
フォイル研究:GHBおよびキシリトールの混合物をいくつかの異なるフォイル
梱包材料の折りこんだシーツの間に置いた。フォイル裏張りとの混合粒子のわずかな付着を、検査したすべてのフォイルに見出した。しかし、過剰の力を外側のフォイル表面にかけた時でさえ、融解の証拠は全く見られなかった。このデータは、梱包材料が安定性研究の間に見られた固形物状態の相互作用には寄与していないことを示唆している。
【0128】
GHB:キシリトールがそれぞれ33:66、45:55および55%45の混合物を含むGHB/キシリトールの試料に対して、DSC温度記録図を得た。10℃/分の走査速度で走査を行った。温度記録図において、GHB:キシリトール33:66を含む試料が35℃〜40℃で始まる広い吸熱遷移を示すことが示された。GHB:キシリトールのより高い比率の試料もまた、45℃〜50℃の温度で始まる広い吸熱遷移を示した。温度記録図に見られる変化は、固形物状態の相互作用がGHBおよびキシリトール間で起こっていることがあり得て、それにより、これら2種の薬剤の混合物を含有する配合物に対する低い効力をもたらすという仮説を支持した。
【0129】
GHB:キシリトールの異なる混合物に対するDSC温度記録図に見られる変化の結果として、GHB:キシリトール付形剤混合物55:45を含有する配合物の安定性を調査するために、研究を始めた。GHB:キシリトール付形剤混合物55:45を含有する配合物を対照試料として用いた。配合物をガラスバイアルの中に梱包し、50℃、40±2℃/75±5%相対湿度および25±2℃/60±5%相対湿度で貯蔵した。配合物の外観および効力を、安定性用試料の分析を通して監視した。安定性研究はまた、50/50GHB:キシリトール比率、および元の33/66比率配合物の両方について、40±2℃/75±5%相対湿度で1ヶ月後、効力損失を示した。融解の部分的な証拠も、両方の配合物において見られた。
【0130】
GHB:キシリトール付形剤混合物の混合物についての研究は、混合物は固形物状態において不適合であることを示した。しかし、水性溶液として調合される時に、これらの混合物は化学的に相溶性であった。この情報を用いて、GHB配合物を二つのパウチの中に梱包することを決めた;1個はGHBのみを含有し、他の1個はキシリトールおよび他の調味成分の混合物を含有する。配合物は、GHBおよび付形剤混合物の等しい量を含有する。この生産物は調合され、梱包されると共に、安定性を調べることが可能である。
【0131】
実施例3.ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の薬理動態
I. 研究の目的
この研究の目的は、長期的なGHB治療体制で維持されている睡眠発作患者に対する引き続く2回のGHB単独投薬の経口投与(3g/投薬;患者は、一般的に、この薬の最初の投薬を就寝前に、第二回目の投薬を2.5 乃至4.0 時間後に経口摂取した)後のGHBの薬理動態を評価することであった。
II. 研究デザイン
この薬理動態研究は、6人の睡眠発作患者についてのオープンラベル、単一センター調査として行われた。研究デザインは次のように要約される:
【0132】
【表13】

【0133】
この研究にボランティアーとして協力した18才以上の睡眠発作患者が、処理段階の1日以上前にスクリーニングされた。各患者は、安定した健康状態にあると判定され、睡眠発作の存在(本実施例の目的で、最近の夜間ポリソムノグラム(PSG)及び多重睡眠レーテンシー・テスト(MSLT)によって裏付けられる1年以上の医療歴と定義される)が評価された。
GHBで維持されている患者は参加することが許された。これらの患者達は抗うつ薬、催眠薬、鎮静剤、抗ヒスタミン薬、クロニジン、及び抗痙攣薬、から引き離されたが、メチルフェニジエート(即時放出又は持続的放出)の安定な摂生は許された。各患者は、処理段階の前のプレスタディー理学的検査(血清検査、血液化学、尿分析、及び生命徴候測定、を含む)をパスした。
【0134】
最初のGHB投薬の経口投与の前に、留置カテーテルが腕の静脈に付けられ、ベースライン血液サンプルが採取された。次に、各患者は、就寝前にGHBの3g投薬を経口摂取した。別の3gGHB投薬が最初の投薬から4時間後に投与された。21回の順次血液サンプルが(最初の投薬の10分後からスタートして第二回の投薬の8時間後に終わる)12時間にわたって採取された。処理段階が完了した後、生命徴候の測定を含むフォローアップ理学的検査が、各患者について最後の血液サンプルを採取してから48時間以内に行われた。試験の方法の詳しい記述はセクションIVで行われる。
【0135】
III . 包含の規準
患者は次の条件を満たす場合に研究に包含された:すなわち、患者は、プロトコルで要求される手順を開始する前にインフォームド・コンセントにサインしていること;以前にこのような研究に参加したことがないこと;プロトコルで記述されている全研究を完了する意志と能力があること;研究に参加する時点で18才以上であること;この研究のためのスクリーニングの前の30日以内にGHB以外の調査治療を受けていないこと;
【0136】
少なくとも1年前から睡眠発作という診断が確立されており、資格ある検査室からの夜間ポリソムノグラム(PSG)及び多重睡眠レーテンシー・テスト(MSLT)による記録で平均睡眠レーテンシーが5分未満であり、5回中少なくとも2回の睡眠(naps)でREMが発現することが実証されていること;コントロールされない睡眠時無呼吸症候群(睡眠時無呼吸指標5,又は毎時10を超える無呼吸減呼吸指標(AHI)で定義される)又は日中の眠気を生ずる他の原因があると診断されていないこと;そして、睡眠発作に対してGHBとメチルフェニデート(IR又はSR)以外の投薬(催眠薬、鎮静剤、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、クロニジン、及び抗痙攣薬、など)を受けていないこと、である。
【0137】
患者が、研究の間に患者が危険になるような又は研究の目的に妨げになるような不安定な心臓血管系、内分泌、胃腸、血液学、肝臓、免疫系、代謝、神経、肺、及び/又は腎臓の疾病にかかっておらず;研究者から見て、患者の参加又はこの研究の完了を不可能にするような神経又は精神疾患(一時的な虚血発作、てんかん、又は多発性硬化症、など)にかかっておらず;現在又は最近(1年以内に)アルコール又は薬物乱用の病歴がなく;2.0 mg/dL を超える血清クレアチニン、異常な肝機能テスト(SGOT又はSPGTが正常の上限の2倍を超える、又は正常の1.5 倍を超える血清ビリルビン)を示さない場合、患者はこの研究に含められた。
【0138】
女性の患者は、閉経後(すなわち、無月経期間が6ヶ月以上)であるか、不妊手術を受けたか、又は有効な産児制限の証拠を提出した場合、この研究に入れられた。妊娠可能な女性は、この研究の期間中、IUD、避妊ペッサリー、を使用又は経口避妊薬を摂取し続けることに同意しなければならない。妊娠の可能性がある女性患者は、研究に参加した後、妊娠テストで陰性にならなければならない。
【0139】
IV. 試験の方法
時間及び行動のスケジュールは表12に示されている。
A. スクリーニング期間/ウオッシュアウト
この薬理動態研究に参加するために、GHBで長期的に治療されている6人の睡眠発作患者が集められた。スクリーニング期間は処理段階の少なくとも1日前であった。スクリーニング期間に、各患者はその身体状態の評価のために次の手順を完了した:医療歴の評価;理学的検査評価;臨床検査室評価;包含規準検討。各患者のGHB及びメチルフェニデート治療方式も適当な症例報告書式(CRF)に記録された。本研究者は、また、処理前に少なくとも8時間のGHBウオッシュアウト期間が確実にあるように配慮した。
【0140】
B. 処理期間/血液サンプル採取
全ての患者は、最初のGHB投与の約4時間前(6p.m.頃)から処理期間の終わり(翌朝の10a.m.頃)まで入院させられた。患者は、到着するとすぐに臨床研究ユニットで夕食を食べ、翌朝まで何も食べなかった。夕食の終わりから最初のGHB投薬の投与までに少なくとも3時間が経過した。留置カテーテルが患者の腕に付けられて、最初のGHB投薬のほぼ30分及び1時間前に血液サンプリングが行われ、ベースライン血液サンプル(5mL)が採取された。
【0141】
最初のGHB投薬(3g)は、10p.m.頃に投与された。個々の患者への投薬は時間が食い違っていた。二回目のGHB投薬は最初のGHB投薬の4時間後(すなわち、4時間血液サンプル採取の直後)に投与された。各患者の正確な投与時刻は該当するCRFページに記録された。血液サンプル(各5mL)は最初のGHB投薬の0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1, 1.5, 2, 3, 4, 4.2, 4.4, 4.6, 4.8, 5, 5.5, 5, 7, 8, 10, 及び12 時間後に留置カテーテルを通してヘパリン添加チューブに採取された。血液サンプルはここで記述されている手順に従って処理された。患者は、研究の間、定められた手順に従って有害な副作用がないかモニターされた。
【0142】
C. フォローアップ
最後の血液サンプルが採取されてから48時間以内にフォローアップが行われた。生命徴候測定を含む簡略化された理学的検査が行われた。有害な副作用及び同時的な薬物の使用(もしあれば)が評価された。ある患者において継続している有害な副作用及び臨床的に重要な知見を研究者及び/又はスポンサーの満足できるまで追跡した後にその患者を研究から解放した。
【0143】
D. 評価方法
1. 医療歴
医療歴はスクリーニング期間に記録された。医療歴には、性別、年齢、人種、身長、薬物への以前の反応、アルコール及びタバコの摂取、心臓血管系、肺、胃腸、肝臓、腎臓、免疫、神経、又は精神の疾病歴(もしあれば)及び治療、及び包含規準に関する確認が含められた。
【0144】
2. 理学的検査
理学的検査は、身体システムの検討、ならびに体重及び生命徴候の測定及び神経学的検査などであった。
3. 生命徴候
生命徴候の測定は、血圧、心拍、体重、及び体温の記録を含んでいた。
【0145】
4. 臨床的検査
全ての臨床検査室テストは地域の臨床検査室で行われた。次の臨床検査室テスト及び分析が包含された各患者について要求された:血液学検査、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、白血球数、及び白血球百分率数、を含む;空腹時血液化学は、血液尿素窒素(BUN)、尿酸、グルコース、クレアチニン、カルシウム、リン、全タンパク質、アルブミン、ナトリウム、カリウム、SCOT(AST)、SGPT(ALT)、アルカリホスファターゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、及び全ビリルビン、を含んでいた;中間キャッチ尿分析は、比重、pH、タンパク質、潜血、ケトン及びグルコースのディップスティック測定、ならびに尿沈渣の顕微鏡検査によるRBC、WBC、上皮細胞、円柱又は結晶の検査を含んでいた;及び、該当する場合、尿妊娠テスト、などであった。何らかの臨床検査パラメータで、範囲から外れたもの又は臨床的に重大と考えられるものがある場合、その患者はこの研究への参加から除外された。本研究者は、規準範囲から顕著に外れている全ての観測について説明を行う。
【0146】
5. 同時的な薬物使用
一定量のメチルフェニデート即時放出又は持続的放出(IR又はSR)の継続使用は許容される。メチルフェニデート治療体制は該当する症例報告書式に記録された。
【0147】
6. 有害な副作用
有害な副作用とは、研究者が薬に関連すると考えるかどうかに関わりなく、患者又はボランティアに生じた望ましくない事象である。望ましくない事象は、患者に生じた主観的な症状又は顕著な臨床検査の異常などの客観的な知見を含むがそれだけに限定されない。有害な副作用は”有害な事象(adverse event)”と同義であると見なされる。
本研究者は、2日間にわたる試験的な薬投与の過程及びその後で起こった全ての有害な副作用及び症状を詳細に報告する。その記述には、徴候又は症状の性質;発現の日時;解消された日時(持続時間);重症度;試験治療その他の治療との関連;取られた処置(もしあれば);及び結果、が含められた。
【0148】
重大な有害副作用とは、致命的、生命の危険がある、恒久的な廃疾となる、又は入院を必要とする又は長引かせる副作用と定義される。さらに、過剰投与、先天異常、及び悪性腫瘍の発生、は常に重大な有害副作用と見なされる。予期されない有害副作用とは、以前に報告されたことがないものである。
この研究の過程で起こる何らかの原因による重大な又は予期されない有害副作用(死亡を含む)は、研究されている薬に関連するかどうかに関わりなく、24時間以内に電話又はファクシミリで報告された。重大な又は予期されない有害副作用が他の患者又はボランティアの安全又は試験の実行に影響を及ぼしそうであると、研究者が判断した場合、それは適切な当局者に報告することになっていた。
【0149】
7. 臨床試験用供給−研究薬物
調合:3gのGHB投薬ユニット(ロットPK1)がOrpHan Medical から入手された。各ユニットはツインのホイル・パウチ(袋)から成っていた:一方のパウチはGHBを含み、他方はフレーバー賦形剤ブレンドを含んでいた。(表8の調合)
ラベリング:個々の患者への臨床試験用供給は、別々の容器に包装されていた。各容器は2つの投薬ユニット、すなわち、2つのツイン・パウチ、を含んでいた。8人の患者への臨床試験用供給(2人の交替患者用のものを含む)が本研究者に渡された。ホイル・ツイン・パウチは、2パート・ラベルで標識された。
【0150】
投薬の投与:本研究者又は指名された者が、個々の患者への最初の経口投与の前30分以内に投薬のための経口摂取溶液を調製した。1つのツイン・パウチの内容を投薬カップに空けてそれに2オンスの水が加えられた。投薬カップのふたをした後、軽く振ってGHBと賦形剤を水に溶かした。このGHB溶液の全体が経口摂取された。同様に、2回目のGHB投薬溶液が同じように調製され、最初のGHB投薬の4時間後に全体が経口摂取された。
研究薬物の説明責任:研究の終了時に、全ての臨床試験用供給が、薬物使用説明書式で使用説明され、未使用の薬は返却され適切に処分された。
【0151】
8. 血漿GHB濃度の決定
血漿サンプルのGHBは、Department of Bioanalytical Chemistry (Covance(以前はHazelton Corning と呼ばれていた)、Madison, WI)によって分析された。分析では、質量選択的検出による気体クロマトグラフィー法(GC-MSD)が用いられた。
【0152】
9. データ管理及び解析
データベース:EXCELデータベース(スプレッドシート)が、症例報告書(CFR)に記録されたデータ及びCovance (Corning Hazleton)から受け取った血漿GHB濃度のデータ・セットから構築された。このEXCELスプレッドシートの各記入項目はCRFsと対照してチェックされ、見つかったデータ記入ミスは訂正された。
【0153】
薬理動態分析:血漿GHB濃度vs. 時間データの個々のセットについてWinNonlin Version 1.1 の非区分ルーティンを用いて薬理動態パラメータが決定された。ピークGHB濃度(Cmax)とそれぞれの発生時間(tmax)は観測された値であった。終末半減期(T1/2)は、終末段階の濃度vs.時間カーブの対数−線形回帰分析によって得られた。カーブの下の面積(AUCinf)と一次モーメント・カーブの下の面積(AUMCinf)は最後に決定された濃度までの直線台形規則によって計算されたものであり、時間無限大までの外挿された面積を含んでいた。
【0154】
見かけの経口クリアランス(CL/F)は、投薬/AUCinfとして計算された。分布の体積(Vz/F)は、CL/Fとλz(排除率定数)の間の比をとって決定された。平均滞留時間(MRT)は、AUMCinfとAUCinfの間の比から推定された。
安全性分析:理学的検査の結果、生命徴候、臨床検査室データは表の形にまとめられ、患者ナンバー別に示された。有害な副作用も同様な仕方で作表された。
【0155】
10. 結果
患者及び研究の説明可能性:6人の睡眠発作患者が名簿に登録され、6人全部が研究の全体を終了した。
プロトコルとの合致:包含規準に合致しない者はいなかった。研究に加わることが認められた全ての患者は研究参加条件を満たし、処理段階の少なくとも1日前にスクリーニング段階を終了した。
【0156】
6人の患者は全てメチルフェニデートとGHB投薬の他に研究薬物以外の薬物を摂取していた。彼らが同時使用していた薬物(シンチロイド、プレマリン、ロバスタチン、フロバスタチン、フロセミド、カリウム、ヒドロクロロチアジド、ランソプラゾール、及びベラパミール)はどれも除外リスト(催眠薬、鎮静薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、クロニジン、及び抗痙攣薬、などを含む)にのっていなかったからである。有害副作用プローブ、生命徴候測定、及びほぼ全ての薬理動態血液サンプル採取は、プロトコルが定めている時間に行われた;少数の血液サンプル採取時間のずれは、薬理動態分析には実際の時間が使用されたから、研究の結果に何も影響しないであろう。
【0157】
各患者における少なくとも1年前からの睡眠発作という診断は、資格ある検査室によって行われた夜間ポリソムノグラム(NSG)及び多重睡眠レーテンシー・テスト(MSLT)によって検証された。5人の患者は10年以上にわたって毎晩GHBで維持されており、1人の患者は2年間毎晩GHBを受けてきた。ある患者(被験者101)は多発性硬化症にもかかっていた;しかし、所属医師はそれがこの研究の目的に障害にならないと判断した。スクリーニングでの臨床検査室データのいくつかは基準の範囲から外れていたが、いずれも所属医師によって臨床的に意味があるとは見なされなかった。
【0158】
研究薬物への曝露:全ての患者が2つのGHB投薬をスケジュールにしたがって(就寝時間の直前に)経口摂取した。体重1kgあたりのGHB投薬量は、26.4から52.4 mg/kg までにわたっていた。
血漿GHB濃度プロフィール:いくつかのケースで(被験者#103及び#106)、血漿GHB濃度が最初のCmaxから4時間でゼロ濃度まで減少しなかった。2回目のCmaxを達成した後、患者#102,#103,及び#105における濃度vs.時間データの半対数プロットは凸の減少プロフィールを示した。このような減少パタンは非線形の薬理動態を示唆する。この研究で観測された最も高い血漿GHB濃度は125.0 μg/mL であった。これは、被験者#101における2回目の3gGHB投薬の後に見られた。
【0159】
薬理動態パラメータ推定値:平均(±SD)は、最大GHB濃度(Cmax)が最初の及び2回目のGHB投薬に対して、それぞれ、62.8 ± 27.4 μg/mL 及び91.2 ± 25.6 μg/mLであることを示した。対応する観測された最大濃度までの平均時間は、最初の及び2回目のGHB投薬の後、それぞれ、40 ± 6 及び36 ± 7 minであった。平均のAUCinfは、17732 ± 4603 μg/mL.h であった。平均CL/Fは、4.2 ± 1 mL/min/kgであり、平均Vz/Fは、307 ± 96 mL/kg であった。平均MRTinfは、249 ± 56 min であった。
有害な副作用:この研究では有害な副作用は何も報告されなかった。
フォローアップ安全性評価:個々の患者毎のスクリーニングでの理学的検査及びフォローアップでの理学的検査の結果の検討からはGHBに基因するとされるどんな変化も同定されなかった。
【0160】
11. 討論
本発明者が知る限り、ヒトの体循環におけるGHBレベルは文献で報告されていない。したがって、ベースライン(0h)の血漿サンプルのGHB濃度が分析された。本研究で用いられたGC-MSD法は定量限界(LOQ)が7.02 μg/mLであり、ベースラインの血漿サンプルの分析は内因性のGHBレベルがこの感度限界よりも低いことを示した。この知見は、既知量のGHB(5, 10, 及び25 μg/mL 血漿)をヒト血漿のブランク・サンプルに加えてそれらのサンプルをGC-MSD法で分析することによって確認された。この標準添加方法は、ヒト血漿における内因性のGHBレベルを推定することを可能にし、それは平均すると約2.02 μg/mLである(すなわち、確証された分析法の定量限界(LOQ)のほぼ2/7である)ことが見出された。したがって、外因性のGHB濃度から内因性のGHBレベルを差し引かずに薬理動態分析を行った。
【0161】
平均tmax(投薬から〜40min)及びt1/2 (〜35min)の値は、この研究で睡眠発作患者に投与されたGHB溶液は容易に吸収されて速やかに排泄されたことを示唆する。6人中3人の患者では、この薬は最初のGHB投薬から4時間後までに体循環からほぼ出てしまっていたが、残る3人の患者では〜15μg/mLという残留GHBレベルが4時間後も検出された。
【0162】
3人の患者で2回目のCmaxに達した後の血漿GHB濃度の減少が示す凸の性質は、この3人の患者では体循環からのGHBの排泄が容量で制限されることを示していた。しかし、血漿GHB濃度は2回目のGHB投薬から6時間後(最初のGHB投薬から10時間後)までにはもはや検出できなかったことに注意すべきである。この研究で見出された平均の見かけの経口クリアランスは4.2 ± 1.0 mL/min/kg であり、これは50 mg/kg という投薬量を投与されたアルコール依存症患者のグループについて文献に報告されている5.3 ± 2.2 mL/min/kg という見かけの経口クリアランス(Ferrara, 1992)と同程度であるように思われた。
【0163】
本研究におけるGHB投薬量(26.4 から52.4 mg/kg までにわたり平均が36.5 mg/kg)は、アルコール依存症患者に投与された(Ferrara, 1992)比較GHB投薬量(50 mg/kg)よりも低かったようであるが、本研究の各患者は4時間の間隔で2回の引き続くGHB投薬を投与され、6人中3人の患者で2回目のGHB投薬の直前に残留GHBレベルが検出されたということに注意すべきである。アルコール依存症患者におけるGHB薬理動態の非線形性は、GHB投薬量を25 mg/kg に減らしたときに8.1 ± 4.8 mL/min/kg に増加した見かけの経口クリアランスから容易に認めることができる(Ferrara, 1992)。本研究では、各患者が体重に関わりなく3gという量を引き続き2回投与されたので、非線形性はそれほど明瞭でなかった。
【0164】
6人の睡眠発作患者のGHB平均排泄半減期は、53 ± 19 min と決定されたが、これは50 mg/kgのGHBを投薬された後のアルコール依存症患者における平均半減期よりも長い(Ferrara, 1992)。この研究で観測されたGHB排泄半減期の延びは、一部はサンプリング時点の間隔が広いことによるものであった。しかし、睡眠発作患者の一部ではこの薬の排泄が容量で制限されるということも半減期が長くなった一因であったかもしれない。
【0165】
GHBは、毎晩2回4時間間隔で定量3gの投薬という固定方式で投与すると、体からのその排泄が一部の患者では容量で制限されるという欠点があるように見える。しかし、治療の観点からは、GHBは、患者が朝目覚めるまでには(すなわち、最初のGHB投薬から8乃至10時間後には)全てのGHBが(2回目の投薬によるものも含め)体循環から排泄されていることになるので睡眠発作の治療に有利である。また、GHBは本研究の睡眠発作患者によって良く許容された。有害な副作用は何も報告されなかった。
【0166】
12. 結論
3gのGHB経口投薬を引き続き2回4時間の間隔で投与された6人の患者のうち3人について容量で制限される排泄速度が観測された。薬理動態の観点からは、GHBの排泄半減期は短いので(<1h)、毎晩のGHB投薬を2つの部分に分けて、睡眠発作患者に2.5 乃至4 時間の間隔で投与するということが合理的であった。この薬を何年間も毎晩投与されてきた睡眠発作患者におけるGHBの薬理動態プロフィールは、アルコール依存症患者におけるそれ(Ferrara, 1992)と同様であるように思われた。
実施例4.ナトリウム・オキシベート調合研究
I. 研究目的
この実施例は、ナトリウム・オキシベートを調製し安定性をテストして好ましい調合を決定する仕方を記述した。いろいろな調合の水中ナトリウム・オキシベートが、異なる混合条件の下で,いろいろなpHレベルにある選択された酸性増強剤を添加して調製された(Neo-PHarm Laboratories, Blainville, Quebec)。選ばれた調合物について、実時間の安定性及び加速された安定性がテストされた。以前の研究は、分解生成物が酸性条件で形成されること、及び、抗菌的な有効性が高いpHに限定されることを実証している。したがって、6.0 - 9.0 の範囲にわたって、いくつかの酸性増強剤が評価された。
【0167】
II. 研究デザイン−パートI
以下の実験研究は2段階で実行されるように設計されている。最初の研究は、調合物の条件、pH及び酸性増強剤が、生ずる(特定される及び特定されない)不純物のレベル、及びナトリウム・オキシベートの効力に及ぼす影響を評価するために行われた。 ナトリウム・オキシベートが、いろいろな混合条件の下で、複数のpHレベルにある選択された酸性増強剤を添加して調製された(MDS Neo-PHarm Laboratories, Quebec, Canada)。 ナトリウム・オキシベート酸性増強剤のこれらの調合物が次にテストされた。
【0168】
A. 予備的研究
1. 調合物の記述
全ての調合物は、水中で500 mg/cc のナトリウム・オキシベートという濃度で調製された。3つの酸性増強剤(HCl、リンゴ酸、及びリン酸)が選ばれ、pH6.0, 7.5, 及び9.0 でテストされた。
【0169】
2. 調合方法
溶液は次に記述する方法によって調製された:
a. 迅速混合法
ナトリウム・オキシベートが水に溶解され、濃縮酸性増強剤が温度コントロールなしに直ちに加えられた。溶液の温度は、酸性増強剤を加える前及びその間、モニターされ、記録された。室温との平衡に達する時間も記録された。溶液は、周囲室温に達した後、10μmのフィルターで濾過された。
b. 冷却混合法
ナトリウム・オキシベートが水に溶解された。酸性増強剤は10%に希釈されてゆっくりと加えられた。溶液は、ジャケットを用いて水によって、又は氷浴によって冷却された。酸性増強剤を加える間、溶液の温度がモニターされ、記録された。室温からの平衡の時間も記録された。好ましい最高温度は40℃より低く保たれなければならない。溶液は10μmのフィルターで濾過された。
【0170】
c. 逆の順序での添加:
酸性増強剤が水に加えられ、室温まで冷却された。希釈された酸性増強剤溶液にナトリウム・オキシベートが溶解された。ナトリウム・オキシベートを加える間、溶液の温度がモニターされ、記録された。溶液は10μmのフィルターで濾過された。
d. 対照のナトリウム・オキシベート
酸性増強剤を何も加えずに、ナトリウム・オキシベートが水に500 mg/cc の濃度まで溶解された。最終pHが記録され、溶液は10μm(ミクロン又はマイクロメートル)のフィルターで濾過された。
【0171】
3. 溶液データ:
各溶液について次のようなデータが記録された:1)調製の日付、2)分析の日付、3)目標pHに達するために必要とされた酸性増強剤の量、4)ナトリウム・オキシベートの溶解にかかった時間、5)溶液調製の間15分間隔で記録された溶液の温度プロフィール、6)溶液の最終pH。
【0172】
4. 試験要件:
次の方法を用いて調製された溶液をテストした:pH、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)によって効力(ナトリウム・オキシベート)、及び不純物。時刻0分析は直ちに(24時間以内)行われた。RRT=(相対保持時間)。
【0173】
B. パートIの要約
1. ナトリウム・オキシベートの予備的評価
表14,15及び16は、ナトリウム・オキシベート調合物の3つの調製方法に関するテスト結果を示す。
【0174】
【表14】

【0175】
【表15】

【0176】
【表16】

【0177】
データの検討により最小の不純物レベルでナトリウム・オキシベートを調製する最適の方法は、方法B:希釈された酸性増強剤とのコントロールされた混合、であることが分かった。方法2bはGBLレベルが最低の調合物を生じた。
【0178】
2. 結論
選ばれた調合物:すなわち、1)HClを酸性増強剤とするナトリウム・オキシベート、pH7.5、及び2)リンゴ酸を酸性増強剤とするナトリウム・オキシベート、pH6.0, 7.5, 及び9.0、についてさらに評価が行われた。
【0179】
III . 研究デザイン−パートII
最も好ましい実施形態を決定するための微生物攻撃及び安定性がテストされた。調合物の数は、上の実験で作成されたデータに基づいて3つに限定された。
A. 選ばれた調合物についての動的安定性研究
調合物のサンプルはしっかり閉じられた容器に貯蔵される。貯蔵条件は、25℃, 40℃, 及び60℃であった。かっこ内の時点は発明者の判断でテストされた。サンプルは次のスケジュールに従ってテストされた:貯蔵温度25℃で、分析時点は0, 14, 28, 45, 60 日及び120 日にする;貯蔵温度40℃で、分析時点は0, 7, 14, 28, 45, 60 日にする;貯蔵温度60℃で、分析時点は0, 3, 7, 14, 28, 45日及び60 日にする。
試験要件は、pH、HPLCによるナトリウム・オキシベート(単一調製サンプルを重複して注入)、及び不純物(特定される及び特定されない)、であった。
【0180】
B. 選ばれた調合物の保存有効性テスト
調合物の微生物攻撃テストは、USPXXIII、<51>、8次増補、に従って行われた。溶液は次のように定めている保存有効性に関するUSP規準に基づいて“合格又は不合格”と決定される:すなわち、バクテリアについては、”14日で最初の微生物数から1log 以上の減少、かつ28日で14日の数からの増加なし”;そして酵母及び糸状菌については、”14及び28日に最初に計算された数からの増加なし”。これらの規準を満たす溶液は”合格”と指定され、これらの規準を満たさなかった溶液は”不合格”と指定された。
【0181】
C. 安定性結果の要約
1. リンゴ酸を酸性増強剤として調製された調合物:
a. リンゴ酸、pH6.0 調合物(25 ℃)、GBL及び不純物Aのレベルは0日目は非常に低かったが、45日目までにGBLレベルは2.8 %に達した。不純物Aは0.01 から1.0 %に増加し、pHは45日目までに6.0 から6.3 に増加した。40℃及び60℃で貯蔵されたこの調合物は、14日目までに、5.4 %までのGBLレベルを示し、不純物Aレベルは2.3 %に増加し、pHは6.3まで増加した。
【0182】
b. リンゴ酸、pH7.5 調合物(25 ℃)、GBLレベルは,0日目は0.009 %で、45日目までに0.17 %に増加した。不純物Aは、0.01 %から0.1 %に増加し、pHは7.5 から7.9 に増加した。リンゴ酸、pH7.5 GBLレベルに到達し(40 ℃)、及び60 ℃、最大で0.22 %。不純物Aレベルは0.1 %に達し、pHは8.0 に増加した。加速条件の下では、全てのパラメータが7日目までに見かけの最大に到達し、その後ははっきりとは増加しなかった。
【0183】
c. リンゴ酸、pH9.0 調合物(25 ℃)、GBLレベルは,0日目は0.008 %であり、45日目には0.013 %にわずかに増加した。不純物Aは増加せず、pHも増加しなかった。加速条件の下では、GBLは0.008 %から14日目に最大値0.018 %にまで増加した。不純物Aは、0.10 からわずかに増加して14日目までには0.014%に増加した。
【0184】
2. HClを酸性増強剤として調製された調合物。
HCL、pH6.0 調合物(25 ℃) GBLレベルは30日目までに2.8%となり、不純物Aは0.004 %、そしてpHは6.0であった。加速貯蔵条件(40 ℃)30日目にはGBLレベルは6.6%と測定され、不純物Aは3.1%と測定された。
HCL、pH7.5 調合物(25 ℃) GBLレベルは0日目では0.041%、不純物Aは0.02 %と測定され、18日目にはGBLレベルは0.12%、不純物Aは0.07 %と測定された。加速条件(40℃及び60℃)の下で、GBLは最大値o.21 %まで増加し、不純物Aは0.02 %から0.1 %まで増加し、pHは7.5 から8.0 まで増加した。pH7.5 でのリンゴ酸の場合と同様、測定されたパラメータは7日目までに最大に到達し、その後ははっきりとは増加しなかった。
【0185】
HCL、pH9.0 調合物(25 ℃) GBLレベルは18日目までに0.022%に達した。不純物Aは、18日間0.01 %で一定にとどまった。加速条件(40℃)の下で、GBLレベルは25℃貯蔵の場合と同じだった(0.21 %)。不純物Aは25℃条件の場合と比べて何も増加を示さなかった。
【0186】
3. 結論
微生物攻撃テストに選ばれた調合物は、HCl、pH7.5 及びリンゴ酸、pH7.5であった。このように決定した理由は2つある。第一に、これらの調合物はGBL及び不純物Aの形成が最小であるという理由で選ばれた。第二に、これらの調合物は、pHを中性の範囲に維持するように選ばれた。
【0187】
実施例5.ナトリウム・オキシベート調合物のさらなる評価
目的: 多数のナトリウム・オキシベート調合物及びガンマ−ヒドロキシ酪酸塩のいろいろな塩を用いる2つの調合物を調製し、テストし、評価すること。
範囲: いろいろなpHレベルで選ばれた酸性増強剤を加えることによって水中のナトリウム・オキシベートのいろいろな調合物が調製された。溶液は、Neo-PHarm Laboratories, Blainville, Quebec, で調製され、テストされた。調製できたすべての調合物について、限定された安定性テストが行われた。以前の研究は、分解生成物が酸性条件において形成されること、そして抗菌的な有効性は高いpHでは限られること、を実証している。これまで評価されなかったいろいろなpH及び濃度の条件でナトリウム・オキシベートを調製してテストした。
【0188】
手順: 溶液は要約されているように調製され、微生物攻撃テストが以下のように行われた:
I. ナトリウム・オキシベート調合物の評価
目的: 多数のナトリウム・オキシベート調合物及びガンマ−ヒドロキシ酪酸塩のいろいろな塩を用いる2つの調合物を調製し、テストし、評価すること。
範囲: いろいろなpHレベルで選ばれた酸性増強剤を加えることによって水中のナトリウム・オキシベートのいろいろな調合物が調製された。選ばれた調合物について、限定された安定性テストが行われた。以前の研究は、分解生成物が酸性条件で形成されること、そして抗菌的な有効性は高いpHでは限られること、を実証した。これまで評価されなかったいろいろなpH及び濃度の条件でナトリウム・オキシベートを調製してテストした。
【0189】
責任: 選ばれた調合物を調製し、このプロトコルに従ってテストを行うことはNeo-PHarm Laboratories の責任である。OrpHan Medical, New Medicine Development and Quality Assurance が定められた決定時点で生のデータを検討し、どの調合物を安定性テストに含めるかを決める責任を負っていた。OrpHan Medical は、また、最終結果(生のデータ)及び最終報告を検討する責任を負っていた。
【0190】
手順: 以下の調合物が、Neo-PHarm の科学者たちによって、下にリストされているステップにしたがって調製され、容器(amber PET 240 ml ボトル、OMI CS-460)とキャップ(Clic-Loc III , 24-400, OMI CS-470)に、各ボトル200 ml の容積まで小分けされた。ボトルは、28日間微生物攻撃によって、及び25℃での限定安定性テストによって、外観、pH、効力、及び不純物プロフィール、が1日目(調製された日)と28日目にテストされた。
【0191】
A. ナトリウム・オキシベートを用いて調製され評価された調合物
【表17】

1. 調製:
いろいろな調合物の調製方法:前にPR98068で決定されたように、ナトリウム・オキシベートの液体調合物を調製する最良の方法は次のようなものであった:
a. 生成物の量1リットルに対し、500mlの精製された水にナトリウム・オキシベートを加え、溶解するまで攪拌する。酸(リンゴ酸又はクエン酸)の10%溶液を用意し、ナトリウム・オキシベートの溶液にゆっくり加える。溶液のpH及び温度をモニターし、この2つの変数を妥当な間隔で(10乃至15分毎に)記録する。目標のpHに達したら、溶液が1リットルになるように十分に加え、pHを再チェックして記録する。
【0192】
b. 最終溶液は10μmのフィルターで濾過し、200mLずつ5本のキャップ付きコハクPETボトル(OrpHan Medical, Inc. から提供される)に小分けする。2本のボトルは微生物攻撃研究に用い、残りの3本は限定安定性テストに用いる。
【0193】
2. テスト:調合物は次の2つの評価方法によってテストされた:
a. 限定安定性評価:
(1) 貯蔵条件:25℃
(2) プル・ポイント:0日目(調製された日)及び28日目
(3) テスト要件
テスト 方法
外観 視認
効力 HPLC NeopHarm 764
不純物 HPLC NeopHarm 793DT
pH USP<791>
b. 微生物攻撃:
【0194】
(1) 貯蔵条件:上記調合物の微生物攻撃研究は、USP<51>Eig hth Supplement にしたがって、5種の微生物についてセットされ、28日間、20−25℃で貯蔵された。
(2) 微生物:十分な量の各調合物が調製された後、アリクオットに次の5種の微生物が少なくとも105 微生物/ccという濃度で接種された:
(a)Escherichia coli, ATCC 8739
(b)Pseudomonas aeruginosa, ATCC 9027
(c)StapHylococcus aureus, ATCC 6538
(d)Aspergillus niger, ATCC 18404
(e)Candida albicans, ATCC 10231
(3) 時点: 接種された各容器における生きている細胞の濃度の決定は、0,1,3,7,14,21,及び28日後に行われた。
【0195】
B. ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の別の塩から調製される調合物:この仕事は上述の仕事よりも後で行われるように段階づけしてもよい。
【0196】
【表18】

【0197】
1. 溶解度決定:このガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の別の塩の溶解度についてはほとんど情報がなく、安定性及び微生物攻撃による評価のために調合物を調製する努力に先立って溶解度の決定が行われた。最大の溶解度が、pHが調整されていない溶液について及びこの調合物に望ましいpHの範囲内で(pH6.0 - 8.0)評価される。溶解度が限られている場合、溶解度の制限に対応するように調合物を変える。この仕事に好ましい酸性増強剤はリンゴ酸である。酸がその塩と両立しない場合、別の酸を選ぶことができる。
【0198】
2. 調製:別の塩調合物の調製方法:
a. 前に述べた方法(パートA)を用いて、カルシウム・ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の調合物を、溶解度実験によって決定された濃度及び所定pHで調製する。
b. 最終溶液は10μmのフィルターで濾過し、5本のキャップ付きコハクPETボトル(OrpHan Medical, Inc. から提供される)に小分けする。2本のボトルは微生物攻撃研究に用い、2本は限定安定性テストに用いる残りのボトルは、将来の何らかの追加研究のためにとっておく。
2. テスト:調合物は上で述べたようにテストされる。
【0199】
C. 結果の報告:安定性テスト及び微生物攻撃の結果は、上述のOrpHan Medical Development が定める標準フォーマトで報告される。HPLCクロマトグラムのコピー及びこれらの研究からの生のデータが結果と共に提供される。
【0200】
D. 受容規準:この研究の具体的な受容規準はナトリウム・オキシベートに関するものと同様に記述できる。
結果:いろいろな研究について以下の表19〜21、表22〜23、及び表24〜25のように要約される。
【0201】
【表19】

【0202】
【表20】

【0203】
【表21】

【0204】
【表22】

【0205】
【表23】

【0206】
【表24】

【0207】
【表25】

【0208】
【表26】

【0209】
【表27】

【0210】
【表28】

【0211】
【表29】

【0212】
【表30】

【0213】
短期安定性テストが附録Aに記述されているように行われた。結果は−限定安定性テストの結果−Xyrem 経口溶液−にまとめられており、以下に示される通りである:
【0214】
【表31】

【0215】
【表32】

【0216】
【表33】

【0217】
【表34】

【0218】
【表35】

【0219】
【表36】

【0220】
【表37】

【0221】
【表38】

【0222】
【表39】

【0223】
【表40】

【0224】
【表41】

【0225】
【表42】

【0226】
【表43】

【0227】
【表44】

【0228】
【表45】

【0229】
【表46】

【0230】
この報告は、上述の研究の結果を要約し、この研究で調べられたもの以外の条件について評価した以前の開発研究を総括する。この情報の目的は、Xyrem〓経口溶液の自己保存性質の範囲と限界を明らかにして特許出願書を完成させることである。
【0231】
II. 結果の要約:
A. ナトリウム・オキシベートのいろいろな調合物及びGHBの別の塩を用いた調合物の調製
1. ナトリウム・オキシベートのいろいろな調合物が上述のプロトコルで指示されたように調製された。リンゴ酸を加えて500 mg/cc のナトリウム・オキシベートは、pH5.0 では可溶でなく、この溶液についてのそれ以上の評価は打ち切られた。他の全ての溶液は記述されたように調製できた。
【0232】
2. ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の別の塩の調製は、pH7.5 でリンゴ酸を加えて500 mg/cc で(又は可能な最大濃度で)調製されたカルシウム塩として記述された。
a. ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩のカルシウム塩は、Toront Research によって調製され、Neo-PHarm に送られて溶解度の決定及びプロトコルに従った評価が行われた。溶解度の絶対限界は、pH調整なしで、700 mg/cc であると決定された。この溶液のpHは8.4 であった。pHがもっと低い溶液は、リンゴ酸を酸性増強剤として用いて500 mg/cc で調製するのが困難であった。リンゴ酸でpHを6.0 に調整したときには、カルシウム・オキシベートの溶解度は限られていた(溶かすのに長時間のい攪拌が必要だった)。500 mg/cc, pH7.5という所望の溶液は、リンゴ酸を酸性増加剤として困難なく調製された。最終溶液の外見は、色がわずかに黄色であった。これらの溶液の調製に関する実験室記録のコピーが入手できる。
【0233】
B. MDS NeoPHarm によって調製されたいろいろな調合物の微生物攻撃テスト
微生物攻撃テストはプロトコルで定められたように行われた。次の表は、調製されたナトリウム・オキシベートのいろいろな調合物、及び1つのカルシウム・オキシベート調合物、の微生物攻撃テストの結果を要約している。
【0234】
【表47】

C. ナトリウム・オキシベートのいろいろな調合物及び1つのカルシウム・オキシベート調合物の短期安定性評価
溶液は、ゼロ日目(調製日)と28日目に、記述されたプロトコルに従ってテストされた。安定性評価の結果は、下の表48に要約されている:
【0235】
【表48】

【0236】
【表49】

【0237】
【表50】

【0238】
D. 関連する溶解度及び微生物攻撃のデータの要約が表50及び51に示されている
【表51】

【0239】
【表52】

【0240】
ここに開示され特許が請求された全ての組成物及び/又は方法は、本明細書の開示を参考にして過大な実験なしに作ることができ、実行できる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態について記述してきたが、それらの組成物及び/又は方法、及びここで記述された方法の手順又は手順の順序に、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなくいろいろな変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。具体的には、本明細書に記述されている物質の代わりに、化学的及び生理的に関連あるいくつかの物質を用いても、同じ又は同様な結果が達成されることは明らかであろう。当業者に明らかなこのような代替物及び変更は、添付された特許請求の範囲によって定められる本発明の精神、範囲及び概念の中に含まれるものと見なされる。
【0241】
参照文献
以下の参照文献は、例示的手順その他本明細書に述べられたものを補う細部を提供する限りにおいて、特に参照することにより本明細書に取り入れられる。
米国特許第5,380,937 号
米国特許第4,393,236 号
ドイツ特許DD237,309号A1 Brandt et al., “貯蔵安定なナトリウム・ガンマ−ヒドロキシ・酪酸塩の調製”
英国特許第922,029 号
【0242】
Aden and Stock, “脳内ドーパミンの増加”、1973.
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【0243】
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【0244】
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Gallimberti et al., “アルコール依存症の治療におけるガンマ−ヒドロキシ酪酸:二重盲検研究”、Clin. Exp. Res. 16, 673-676, 1992.
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Gessa et al., Clin. NeuropHarm., 15(supp.): 303A-304A, 1992
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Yamada et al., 1967.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的に安定で微生物の増殖に抵抗性を有するようにされた水性媒質中にガンマ−ヒドロキシ酪酸塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
化学的に安定で微生物の増殖に抵抗性を有するようにされた水性媒質中にガンマ−ヒドロキシ酪酸塩(ナトリウム・オキシベート)及び酸を含む医薬組成物。
【請求項3】
前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩又は前記ナトリウム・オキシベートの濃度が約150 mg/ml 乃至約1 g/ml であることを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩又は前記ナトリウム・オキシベートの濃度が約250 mg/ml 乃至約750 mg/ml である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
さらに、約3 乃至約10.3 のpHを有すると定義される請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
さらに、約6 乃至約8.5 のpHを有すると定義される請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
さらに、調製のさい約100 ℃にまで加熱されると定義される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
さらに、溶液、懸濁液、ゲル又はエマルジョンと定義される請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
さらに、溶液であると定義される請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
さらに、前記ゲルがチクソトロピック・ゲルであることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
さらに、酸、塩基及び緩衝剤から成る群から選択されるpH調整物質を含むと定義される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記酸が有機酸である請求項2又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記有機酸がアルファ・ヒドロキシ・カルボン酸である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
該有機酸がリンゴ酸、クエン酸、酢酸、又は乳酸である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記酸がリンゴ酸である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記酸が無機酸である請求項2又は11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記酸が塩化水素酸である請求項2又は11に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記酸がリン酸である請求項2又は11に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記無機酸が硫酸、ホウ酸、又は硝酸である請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
さらに保存薬を含む請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記保存薬が安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、エタノール、グリセリン、及びソルビン酸カリウムから成る群から選択される請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
さらに、芳香剤を含むと定義される請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記芳香剤が、本質的にキシリトールとソルビトールから成る群から選択される微生物的に代謝できない芳香剤である請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
さらに、塩、賦形剤、又は抗酸化剤を含む請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物を調製するためにpH調整物質を加える前に前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩と水性媒質が混合される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物を調製するために前記酸を加える前に前記ナトリウム・オキシベートと水性媒質が混合される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項27】
該ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩がカルシウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項28】
微生物の増殖に抵抗性を有する水性媒質中に化学的に安定にされたガンマ−ヒドロキシ酪酸塩とリンゴ酸を含む水性医薬組成物。
【請求項29】
微生物の増殖に抵抗性を有する水性媒質中に化学的に安定にされたナトリウム・オキシベートとリンゴ酸を含む医薬組成物。
【請求項30】
該ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩がカルシウム塩であることを特徴とする請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩に応答する状態の治療のための化学的に安定な、微生物の増殖に抵抗性を有する医薬組成物を調製する方法であって、ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩とpH調整物質を水性媒質中で混合するステップを含む方法。
【請求項32】
前記水性媒質のpHが約3乃至約10.3 である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の濃度が約250 mg/ml 乃至約750 mg/ml である請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記pH調整物質が酸である請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記酸が、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、ホウ酸、乳酸、塩化水素酸、リン酸、硫酸、及び硝酸から成る群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記水性媒質が、溶液、懸濁液、チクソトロピック・ゲル、又はエマルジョンから成る群から選択される請求項31に記載の方法。
【請求項37】
さらに、保存薬を前記医薬組成物と混合するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記保存薬が、キシリトール、ソルビトール、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、エタノール、グリセリン、及びソルビン酸カリウムから成る群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩に応答する状態が疑われる患者への投与に備えて、前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩、前記pH調整物質、及び前記水性媒質が混合される請求項31に記載の方法。
【請求項40】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩に応答する状態が疑われる患者への投与に備えて、前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩が溶解され、前記pH調整物質及び前記水性媒質が混合される請求項31に記載の方法。
【請求項41】
該ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩がナトリウム又はカルシウム塩であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項42】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩に応答する状態を治療するための化学的に安定な、微生物の増殖に抵抗性を有する医薬組成物を調製する方法であって:
a.) ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩と水性媒質を混合するステップ;
b.) 混合物を40 ℃以下に維持しながらpH調整物質を加えるステップ;及び
c.) pHが約3 乃至約10.3 の組成物を生成するステップ;
を含む方法。
【請求項43】
前記pH調整物質が、リンゴ酸、リン酸、及び塩化水素酸から成る群から選択される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記pHが約6 乃至 9 である請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩は最終濃度が約150 mg/ml 乃至約750 mg/ml である請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩がナトリウム・オキシベート又はカルシウム・オキシベートである請求項42に記載の方法。
【請求項47】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩に応答する状態を治療する方法であって、前記状態が疑われる患者に、治療に有効な量の化学的に安定な微生物の増殖に抵抗性を有する医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項48】
前記状態が、睡眠障害、薬物消費障害、成長ホルモン減少、及び頭蓋内圧レベルの上昇から成る群から選択される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記睡眠障害が、無呼吸、睡眠時間の乱れ、睡眠潜伏(latency)、睡眠発作、カタレプシー事象、睡眠麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒(sleep arousal)、日中の眠気、不眠症、又は夜間ミオクローヌスである請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記状態が睡眠発作である請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記状態がカタプレシー事象に関するものである請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記状態が睡眠麻痺である請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記状態が入眠時幻覚である請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記状態が睡眠覚醒(sleep arousal)である請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記睡眠障害が日中の眠気である請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記投与するステップが、前記患者が約2グラム乃至約4グラムの前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩の最初の投薬を摂取することを含む請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記薬物消費障害が、アルコール依存症、アルコール禁断症状、及びアヘン禁断症状から成る群から選択される請求項48に記載の方法。
【請求項58】
投与は経口であり、前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩は消費の直前に水性媒質及びpH調整物質と混合される請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩、前記水性媒質、又は前記pH調整物質は保存を助けるのに適した容器に貯蔵されることを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩とpH調整物質を適当な容器内に含むガンマ−ヒドロキシ酪酸塩に応答する状態の治療のためのセット。
【請求項61】
ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩とpH調整物質を、水性媒質中で混合したときに約3 乃至約10.3 のpHが得られるような比率で含む混合物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−167189(P2009−167189A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−28694(P2009−28694)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【分割の表示】特願2000−590626(P2000−590626)の分割
【原出願日】平成11年12月22日(1999.12.22)
【出願人】(500087970)オーファン メディカル,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】