説明

矩形布片の角端出し方法及び角端出し装置

【課題】 ランドリー工場で洗濯・乾燥後の矩形布片を自動で展開させる際に、1つの布片角端を常に定位置に現出させるようにする。
【解決手段】
丸めた状態で搬送されてくる矩形布片を方形状に展開させる際の矩形布片の角端出し方法及び角端出し装置であって、矩形布片Yの任意の箇所を保持して該布片Yをその対向位置から弾性的に挟持しながら水平方向に引き摺り、その引き摺り布片Yの終端を検出器44で検出し、該検出器44からの布片終端選出信号に基いて該布片Yの引き摺り動作を停止させることにより、布片終端の角端Yaを毎回定位置に現出させ得るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ランドリー工場等において、洗濯・乾燥後の丸まった状態の矩形布片をきれいに展開させる際の矩形布片の角端出し方法及び角端出し装置に関し、特にフェイスタオルやバスタオル等の比較的小面積の矩形布片を対象にした角端出し方法及び角端出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランドリー工場では、入荷したフェイスタオルやバスタオル(以下、矩形布片という)は、洗濯・乾燥後にきれいに折畳んで出荷されるが、洗濯・乾燥後の矩形布片は、丸まった状態で乾燥機から取出される。
【0003】
そして、従来では、一般に、山積み状態の矩形布片群から丸まった状態の矩形布片を1枚ずつ取り分け、その矩形布片から作業員が手作業で1つの短辺側側縁を捜し出して伸展させ、その伸展させた短辺側側縁を折畳み装置の投入コンベア上に載せた後、該矩形布片の後行側を短辺方向に広げて整形しながら折畳み装置側に送り込ませている。
【0004】
ところで、ランドリー工場では、1日に大量の矩形布片を展開処理をしなければならないが、上記のように手作業による展開方法では、矩形布片の展開作業が面倒であるとともに、1枚当たりの処理時間が長くなって作業能率が悪かった。
【0005】
このような手作業による矩形布片展開方法の問題点を改善するために、本出願人の関連会社から特開2002−113300号公報に示される矩形布片の展開装置が提案されている。
【0006】
この公知例の矩形布片展開装置は、図21に示すように、供給コンベア201で洗濯・乾燥後の矩形布片を丸めた状態で所定位置まで順次供給し、その所定位置に供給された布片を吊上げ装置202で所定高さまで吊上げ、その吊上げた布片を仮保持装置203で受け取って仮保持し、仮保持装置203で吊下げている布片の任意の箇所を保持して該布片を台板243上で水平方向に引き摺って、該布片の終端である布片角端を現出させ(後述する図22〜図24の角端出し装置204で処理される)、角端取り装置205で台板243上に現出させた布片角端付近を保持して布片を垂れ下げ支持し、角端取り装置205で垂れ下げ支持している布片を横引き装置206で水平方向に横たわらせ、横たわった状態の布片長辺側の角端付近とそこから適宜距離だけ離間する箇所の2位置を2位置保持装置207で同高さに保持し、該2位置保持装置207で保持した布片を縁出しコンベア208に載せて布片長辺側の一方の側縁を現出させ、載せ掛け装置210により縁出しコンベア208上で縁出しされた布片長辺部の2位置を保持して該布片をローラ209上を引き摺りながら該ローラ209上に載せ掛け、吊下げ装置211でローラ209上に載せ掛けた布片の一方の短辺側端縁の2箇所を保持して該布片を展開状態で吊下げ、吊下げ装置211に吊下げられた展開状態の布片を進退装置212により搬送コンベア214上に移乗させ得るように構成されている。尚、この図21の矩形布片展開装置の詳細は、特開2002−113300号公報に記載されている。
【0007】
ところで、この図21の矩形布片展開装置による布片展開工程においては、矩形布片の1つの角端を明確に現出させることが必須であるが、この布片角端出しは図22〜図24に拡大図示する角端出し装置204で行われる。
【0008】
図22〜図24に示す角端出し装置204は、仮保持装置203のチャック231で吊下げ保持されている布片Y(図22)を受取るチャック241と、該チャック241を前後に進退させる進退装置(シリンダ)242と、布片Yを受ける台板243と、台板243上を引き摺られる布片Yの終端(角端Ya)を検出する左右一対の検出器(光電管)244,244と、台板243上に布片Yの終端(角端Ya)付近を押える押え板248と、該押え板248を上下動させるシリンダ249と、上下一対の挟みローラ245,246と、上ローラ245を下ローラ246に対して開閉させるシリンダ247、とを備えている。台板243の終端縁と下ローラ(定位置ローラ)246間には、図24に示す角端取り装置205のチャック251が進入するスペースがある。
【0009】
一対の検出器244,244は、台板243の終端寄りにおける上面直近高さ位置を左右直線状に監視しており、両検出器間を布片Yが遮った後、両検出器間に布片がなくなって時点で、検出器監視位置を布片終端が通過したと判断する(布片終端を検出する)ようになっている。
【0010】
そして、この角端出し装置204は、次のように作動する。まず、図22に示すように仮保持装置203のチャック231が布片保持状態で後退位置まで作動したときに、シリンダ242が伸長してチャック241が前進し、該チャック241で仮保持装置のチャック231から吊下げられていた布片Yの任意の箇所を保持し、続いてシリンダ242が縮小して布片Yを保持したままチャック241が後退する。そのとき布片Yは台板243上を引き摺られていき、該チャック241が上下挟みローラ245,246の挟持部を後方に通過した時点で上ローラ245が閉じ(図23の符号245′)、チャック241が開放し、上下両ローラ245,246が布片送り込み方向に回転し、台板243上を引き摺られる布片Yの終端(角端Yaとなる)が検出器244,244で検出されると、両ローラ245,246の回転が停止し、シリンダ249が伸長して押え板248で該布片終端Ya付近を台板243上に押え付け(図23の符号248′の状態)、その後、図24に示すように上ローラ245が元の開放位置まで上動する。図24の状態では、押え板248(及び台板243の終端縁)と下ローラ246間に布片Yの終端付近が横たわっている。
【0011】
その後、角端取り装置205のチャック251で台板243上に現出させた布片角端付近を保持し(図24の符号251′)、シリンダ249が縮小して押え板248が上動し、角端取り装置205のシリンダ252が縮小して、布片角端Ya付近をチャック251で保持した状態で布片Yを垂れ下げ支持し、以下、順次上記の各工程を経て布片Yを方形状に展張させた状態で搬送コンベア214により次工程側(折畳み工程側)へ搬送する。
【0012】
【特許文献1】特開2002−113300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図21〜図24に示す公知の矩形布片展開装置では、図22の状態から角端出し装置204のチャック241が吊下げ状態の布片Yの上下中間位置を掴み、続いて該チャック241が後退してチャックに保持されている布片Yが台板243上を引き摺られていくが、そのとき該布片Y内には空気が入っていて布片終端部が台板243上で上下不規則な姿勢となることが多々あり、布片終端の角端Yaが跳ね上がって台板243の上面から離間することがある。
【0014】
そして、図23に示すように、台板243上において布片終端が検出器244による検出位置を通過したときに該検出器44で布片終端を検出するが、該布片終端の跳ね上がり等によって布片角端Yaが上下不規則な位置を通過すると、検出器244による布片終端の検出精度が悪くなる。
【0015】
即ち、検出器244は、一対のもので台板243の上面直近高さ位置を直線状に監視しているが、例えば図25に示すように、布片終端の角端Yaが台板上面より上方に跳ね上がって検出器244の監視高さより高位置にあると(その場合は終端角端Yaの下方に空所Sができる)、布片終端(角端Ya)が検出器244による監視位置を通過する前に該検出器244が空所Sを検出してONになってしまい、該布片終端(角端Ya)が検出器244による検出位置に達していないにも拘わらず、両ローラ245,246が停止した後、押え板248が図25に鎖線図示(符号248′)するように降下して、布片の終端(角端Ya)から先行側にかなりの長さL(例えば10〜50mm程度の範囲でバラツキがある)離間した位置を台板243上に押し付けるようになる。
【0016】
このように、台板243上を引き摺られる布片終端(角端Ya)が上下不規則な位置にあると、押え板248で各布片Yの終端(角端Ya)をそれぞれ定位置で押さえられなくなり、正確な布片の角端出しができなかった(角端取り装置205のチャック251による正確な布片角端位置を掴めない)。
【0017】
又、上記のように、布片の終端(角端Ya)から先行側にかなりの長さLだけ離間した位置を押え板248が押えると、布片終端位置に複数の角端Yaが近接するときには、押え板248′で複数の布片角端Yaを押えてしまうことがあり、図24に示すように角端取り装置205のチャック251′で布片終端付近を掴む際に、該チャック251′が同時に複数の布片角端Yaを掴んでしまい、後工程(布片の長辺縁出し工程)でうまく布片の縁出しができなくなって、布片の展開作業が失敗するという問題があった。
【0018】
このように、矩形布片を丸めた状態から自動で方形状に展開させるようにした矩形布片展開装置において、一連の布片展開工程の中で布片Yの1つの角端Yaのみを現出させる処理は重要であり、展開の失敗を極力少なくするためには、どのようにして1つの角端のみを現出させるかが大きな課題となっている。
【0019】
そこで、本願発明は、丸めた状態の矩形布片を自動で方形状に展開させ得るようにした矩形布片展開装置において、矩形布片の1つの角端のみを高確率で且つ毎回定位置に現出させ得るようにした矩形布片の角端出し方法及び角端出し装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0021】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、丸めた状態で搬送されてくる矩形布片を方形状に展開させる際の矩形布片の角端出し方法を対象にしている。
【0022】
尚、矩形布片の展開装置としては、例えば上記特開2002−113300号公報に示されるものが使用可能であるが、矩形布片を丸めた状態から自動で方形状に展開させるには、次のようにして行われる。
【0023】
まず、丸めた状態で搬送されてくる矩形布片の任意の箇所を保持して所定高さまで吊上げ、その吊上げた布片の下端(1つの角端となる)を手掛かりにして布片の一辺(短辺又は長辺)の側縁を現出させ、その一辺の側縁を引き摺り、以後の所定の工程を経ることにより、矩形布片を自動で方形状に展開させる。
【0024】
そして、本願請求項1の角端出し方法は、一連の展開工程において矩形布片の1つの角端を現出させるためのものであって、矩形布片の任意の箇所を保持して該布片をその対向位置(例えば上下位置)から弾性的に挟圧しながら引き摺り、その引き摺り布片の終端を検出器で検出し、該検出器からの布片終端検出信号に基いて該布片の引き摺り動作を停止させて、定位置に布片角端を現出させるようにすることを特徴としている。
【0025】
矩形布片の任意の箇所を保持して該布片を引き摺る方向は、上方向でも傾斜方向でもよいが、現実的には水平方向が好ましい。又、該布片を水平方向に引き摺る場合は、該布片を台板上で引き摺るとよい。
【0026】
ところで、布片の任意の箇所を保持して引き摺ると、その引き摺り布片の終端に布片角端が存在するようになるが、布片を単に引き摺っただけでは、布片終端(角端)が不規則な位置に現れるようになる。例えば、上記課題の項で説明したように、布片を台板上で引き摺る場合は、布片終端の角端が台板上面より上方(検出器の監視高さより高位置)に跳ね上がることがある。そして、この場合は布片終端(角端)が検出器による検出位置に達していないにも拘わらず、布片の引き摺り停止動作が行われる(正確な布片の角端出しができない)。
【0027】
そこで、本願請求項1の角端出し方法では、布片を引き摺る際に、該布片をその対向位置から弾性的に挟圧しながら行うようにしているが、このように布片を弾性的に挟圧しながら引き摺ると、その弾性挟圧部分の布片は順次絞られていき、布片終端付近が弾性挟圧部分に達した時点では該布片終端部が毎回検出器による監視方向の定位置に現れるようになる。そして、検出器が布片終端(角端)を検出すると、その検出器からの布片終端検出信号に基いて布片の引き摺り動作を停止させる。尚、布片の引き摺り動作停止時期は、検出器による布片終端検出時点でもよく、あるいは該検出器による検出時点から所定タイマー後でもよい。
【0028】
従って、請求項1の角端出し方法によれば、布片終端(角端)を毎回定位置に現出させることができる。そして、このように、布片終端の角端が毎回定位置に現出されると、次工程の角端取り工程において、角端取りチャックで布片終端(角端)の可及的近傍位置を掴持させることが可能となる。
【0029】
尚、この角端出し方法で布片の角端出しを行った後、角端取り工程及び以降の各工程を経て矩形布片を方形状に展開させる。
【0030】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の角端出し方法を行うための矩形布片の角端出し装置を対象にしている。即ち、この請求項2の角端出し装置は、丸めた状態で搬送されてくる矩形布片を方形状に展開させる展開装置における矩形布片の角端出しに使用されるものである。
【0031】
この請求項2の角端出し装置は、矩形布片の任意の箇所を保持して該布片を引き摺る引き摺り装置と、引き摺られていく布片をその対向位置から弾性的に挟圧する弾性挟圧装置と、弾性的に挟圧された状態で引き摺られていく布片の終端を検出する検出器とを備えている。
【0032】
そして、この請求項2の角端出し装置では、弾性挟圧装置で挟圧されながら引き摺られていく布片の終端を検出器で検出し、該検出器からの布片終端検出信号に基いて該布片の引き摺り動作を停止させて、定位置に布片角端を現出させるようにしている。
【0033】
従って、この請求項2の角端出し装置を使用すると、上記請求項1の角端出し方法と同様に布片終端の角端を毎回定位置に現出させることができる。尚、その角端出しされた布片は順次以後の工程を経て方形状に展開される。
【発明の効果】
【0034】
本願請求項1の矩形布片角端出し方法及び本願請求項2の矩形布片角端出し装置では、布片終端(角端)を検出器で検出する際に、布片をその対向位置から弾性的に挟圧しながら引き摺ることで、布片終端(角端)を毎回弾性挟圧部分の定位置(検出器による監視方向の定位置)に位置させることができる。
【0035】
従って、検出器により布片終端(角端)を毎回定位置において検出することができるので、各布片の角端出しの精度が良好になり、次工程の角端取り工程において布片終端(角端)の可及的近傍位置を掴持させることが可能となるという効果がある。尚、次工程の角端取り工程において、布片終端(角端)の可及的近傍位置を掴持できるようにすると、角端取りチャックが2つの布片角端を掴持する確率が低くなり、布片展開に失敗する枚数が少なくなる。
【実施例】
【0036】
図1〜図20を参照して本願実施例の矩形布片の角端出し装置及び角端出し方法を説明する。尚、図1には本願実施例の角端出し装置を採用した矩形布片展開装置の全体図を示し、図2〜図20には図1の矩形布片展開装置の個別装置部分を示している。又、以下の説明で、前、後、左、右の各方向は、図1の状態での各方向を示すものである。
【0037】
図1の矩形布片展開装置は、
洗濯・乾燥後の矩形布片Yを順次処理すべき所定位置まで供給するための供給コンベア1と(図4)、
供給コンベア1で所定位置に供給された布片Yを所定高さまで吊上げる吊上げ装置2と(図4)、
吊上げ装置2で吊上げた布片Yを吊上げ状態のまま一時的に受け取って仮保持する仮保持装置3と(図4、図5)、
仮保持装置3で吊下げている布片Yの任意の箇所を保持して該布片Yを台板43上で水平方向に引き摺って、該布片Yの終端部である布片角端Yaを現出させる角端出し装置4と(図2、図3、図5〜図10)、
台板43上に現出させた布片角端Ya付近を保持し且つ該布片角端Ya付近を保持して布片Yを垂れ下げ支持し得る角端取り装置5と(図10、図11)、
角端取り装置5で垂れ下げ支持している布片Yを水平方向に横たわらせる横引き装置6と(図11、図12)、
横たわった状態の布片Yの角端Ya付近とそこから適宜距離だけ離間する箇所の2位置を同高さで保持する2位置保持装置7と(図11〜図12)、
該2位置保持装置7で保持した布片Yを載せて布片長辺側の一方の側縁Ybを現出させ得る縁出しコンベア8と(図11〜図15)、
該縁出しコンベア8の終端側にあって該縁出しコンベア8の走行方向に向けて設置したローラ9と(図13、図14、図16〜図19)、
該縁出しコンベア8上で縁出しされた布片長辺部Ybにおける間隔をもった2位置を保持する2つのチャック101,102を有し且つ該布片Yをローラ9上を引き摺りながら該ローラ9上に載せ掛けする載せ掛け装置10と(図13〜図17)、
ローラ9上に載せ掛けた布片Yの一方の短辺側端縁Ycの各端部寄り2箇所を保持する各チャック114,115を有し且つ該各チャック114,115で布片短辺側端縁Ycを保持して該布片Yを展開状態で吊下げ得る吊下げ装置11と(図16〜図20)、
該吊下げ装置11を、ローラ9に載せ掛けている布片Yの短辺側端縁Ycを受取る前進位置(図12)と吊下げ装置11で保持した布片Yを次工程側への搬送コンベア14上に移乗させる後退位置(図14)との間で前後に進退させる進退装置12と(図16〜図20)、
吊下げ装置11に吊下げられた展開状態の布片Yを前記搬送コンベア14の中心に位置合わせするための芯出し装置13(図16〜図20)、
とを有して構成されている。尚、これらの各装置(符号1〜14の各装置)は、図示しないフレーム枠(機枠)内に設置されている。
【0038】
供給コンベア1(図1、図4)は、運転中は連続走行してり、該供給コンベア1上には洗濯・乾燥後の丸まったままの矩形布片Yが投下される。供給コンベア1の終端部には、貯留部1aがあり、供給コンベア1で搬送されてくる各布片Yが順次貯留部1aに一時的に貯留される。
【0039】
吊上げ装置2(図1、図4)は、布片Yの任意箇所を保持するチャック21と該チャック21を昇降させる昇降装置22とを有している。そして、この吊上げ装置2は、昇降装置22によりチャック21を最下動(図4の実線図示位置)させたときに、該チャック21が貯留部1aに貯留されている布片Yに接触して該チャック21で布片Yの接触部分を保持するようになっている。尚、チャック21による布片保持部分は任意の箇所でよい。又、昇降装置22が上昇作動すると、チャック21で布片Yを保持したまま該チャックが図4の鎖線図示高さ(符号21′)まで上動し、1枚の布片Yを吊下げ状態で支持するようになっている。尚、チャック21の上動位置(図4に鎖線図示する符号21′の高さ)は、予め定位置に設定されている。
【0040】
仮保持装置3(図4、図5)は、チャック31と該チャック31を前後方向に進退させる進退装置(伸縮シリンダ)32とを有している。そして、この仮保持装置3は、吊上げ装置2のチャック21が最上動したとき(あるいは該最上動位置にある布片Yを検出器で検出したとき)に伸縮シリンダ32が伸長し、チャック31が図4に鎖線図示(符号31′)する位置まで前進して、吊上げ装置2で吊上げられた布片Yの上端部付近を仮保持装置3のチャック31で受取ることができ(そのとき吊上げ装置2側のチャック21′は開放する)、その後、伸縮シリンダ32が縮小して、図5に示すようにチャック31で布片Yを吊下げたまま所定位置まで後退するようになっている。尚、チャック31から吊下げられている布片Yの最下端(図5の符号Ya)は布片の1つの角端となる。
【0041】
角端出し装置4(図2、図3、図5〜図10)は、図5に示すように、仮保持装置3のチャック31により後退位置で吊下げ保持されている布片Yを受取るチャック41と、該チャック41を前後に進退させる進退装置(伸縮シリンダ)42と、布片Yを載せる台板43と、台板43上を引き摺られていく布片Yを該台板43上に弾性的に押圧する弾性押圧装置140と、台板43上を引き摺られていく布片Yの終端(角端Ya)を検出する検出器(光電管)44,44と、台板43上に布片Yの終端(角端Ya)付近を押える押え板48と、該押え板48を上下動させる伸縮シリンダ49と、上下一対の挟みローラ45,46と、上ローラ45を下ローラ46に対して開閉させる伸縮シリンダ47、とを備えている。
【0042】
尚、この実施例では、上記した上下一対の挟みローラ45,46で本願請求項2中の引き摺り装置を構成しており、上記台板43と弾性押圧装置140とで本願請求項2中の弾性挟圧装置を構成している。
【0043】
角端出し装置4の台板43は水平に設置されており、仮保持装置3のチャック31から布片Yをチャック41で受取って該チャック41を伸縮シリンダ42で後退させると、該布片Yが台板43上を後側に引き摺られるようになっている。
【0044】
上記検出器44,44は、台板43の後端寄り位置の上面側に左右一対の光電管を設けたものが使用されている。この一対の検出器44,44は、台板43の上面直近位置を左右方向に監視しており、両検出器44,44間の検出位置に布片Yがある間はOFFであるが、布片終端(角端Ya)が両検出器44,44間の検出位置を通過した時点でONになるものである。
【0045】
上下一対の挟みローラ45,46のうちの下ローラ46は、図2に示すように下ローラ上面が台板43の上面と同高さで、台板43の後端縁43aよりやや後方に離間した位置の定位置に設置されている。他方、上ローラ45は、シリンダ47により下ローラ46からかなり上方に離間する上動位置(図2の符号45の位置)と下ローラ46に接触(又は近接)する下動位置(図2の符号45′の位置)との間で上下動せしめられる。そして、上ローラ45の上動状態では、上下両ロール45,46間をチャック41が前後に移動し得るようになっている。尚、この上下一対の挟みローラ45,46は、引き摺り装置(請求項2)を構成するものである。
【0046】
、台板43の後端縁43aと下ローラ(定位置ローラ)46間には、後述する角端取り装置5のチャック51が侵入するスペースM(図2)が設けられている。
【0047】
押え板48は、図2及び図3に示すように、左右方向に適宜長さを有した角材状のものが使用されている。そして、この押え板48は、台板43の後端43a付近において伸縮シリンダ(エアシリンダ)49により上下動せしめられるようになっている。この押え板48の前部側下面には、上向きの傾斜面48a(図2)が形成されており、後述するように該押え板48が図2に鎖線図示(符号48′)するように台板43の上面近傍まで下動したときでも、上記両検出器44,44が該傾斜面48aの下方の隙間から監視し得るようにしている。
【0048】
押え板48用の伸縮シリンダ49は、電磁切換弁50を介してコンプレッサー150からの圧縮エアで伸縮される。この電磁切換弁50には、縮小側弁室50aと伸長側弁室50bと中立側弁室50cとの3つの弁室を有している。そして、コンプレッサー150に対して、縮小側弁室50aが連通しているときには伸縮シリンダ49を縮小させ(押え板48が上動する)、伸長側弁室50bが連通しているときには伸縮シリンダ49を伸長させ(押え板48が下動する)、中立側弁室50cが連通しているときには伸縮シリンダ49が伸縮両方向に自由状態になる。尚、この電磁切換弁50の切換は、後述するタイミングで図示しないコントローラからの信号で行われる。
【0049】
弾性押圧装置140は、上記台板43とともに弾性挟圧装置(請求項2)を構成するものである。そして、この弾性押圧装置140は、台板43上を引き摺られていく布片Yを上方から弾性的に押圧するもので、この実施例では弾性押圧装置140の一部に上記押え板48を共用している。そして、この実施例の弾性押圧装置140は、押え板48の左右各端部寄り位置に左右2本のガイド棒142,142を立設し、該各ガイド棒142,142の上部を伸縮シリンダ49のチューブ側に固定した固定板141に挿通させるとともに、押え板48と固定板141間における各ガイド棒142,142の周りにそれぞれコイルバネ143,143を介在させている。又、押え板48の前部側には、先端が上方傾斜する板バネ144が取付けられている。
【0050】
そして、この弾性押圧装置140は、図2及び図3に示すように電磁切換弁50が縮小側(縮小側弁室50aが連通)に作動しているときには、押え板48が伸縮シリンダ49の縮小力により各コイルバネ143,143の下方付勢力に抗して上動せしめられ、該伸縮シリンダ49が自由状態(図7及び図8のように中立側弁室50cがコンプレッサー150に連通している状態)のときに、各コイルバネ143,143の下方付勢力により押え板48を台板43側に弾性的に押し下げるようになっている。そして、押え板48が台板43側に弾性的に押圧されている状態では、該押え板48と台板43間で布片Yを弾性的に挟圧し得るようになっている。
【0051】
尚、この実施例では、引き摺られる布片Yを弾性的に押圧する弾性押圧装置140の押え板として、布片終端(角端Ya)を押える押え板48で共用しているが、他の実施例では、弾性押圧装置140の押え板は、布片角端押え用の押え板48とは別体のものを使用することができる。又、押え板(符号48)に対する下方付勢力は、この実施例のコイルバネ143に代えて他の付勢手段を採用してもよい。
【0052】
この弾性押圧装置140を設けた角端出し装置4は、次のように作動する。尚、角端出し装置4の待機状態では、図1〜図3に示すように、電磁切換弁50の縮小側弁室50aがコンプレッサー150に連通していて伸縮シリンダ49が縮小しており(押え板48が上動している)、上ローラ45が上動しており、伸縮シリンダ42が縮小している。
【0053】
そして、図5に示すように、仮保持装置3のチャック31が布片保持状態で後退位置まで作動したときに、伸縮シリンダ42が伸長してチャック41が前進し、該チャック41で仮保持装置3のチャック31から吊下げられてた布片Yを保持する(このとき仮保持装置3側のチャック31は開放する)。
【0054】
次に、図6に示すように、伸縮シリンダ42が縮小して布片Yを保持したままチャック41が後退し、そのとき布片Yが台板43上を後側に引き摺られていく。そして、該チャック41が上下挟みローラ45,46の挟持部を後方に通過した時点で伸縮シリンダ47が伸長して上ローラ45が閉じ、チャック41が開放する。このとき、図7及び図8に示すように布片Yの先行側が両ロール45,46による挟持部から垂れ下がり、布片Yの後半部分が台板43上に横たわっている。尚、台板43上に横たわっている布片Yの後半部分は、そのままでは布地間に多量の空気が入っていて径方向にボリュームのある状態となっている。
【0055】
続いて、電磁切換弁50が中立側弁室50cに切換わって(図7、図8)、伸縮シリンダ49が自由状態となり、押え板48が各コイルバネ143,143の付勢力で押し下げられて、該押え板48が台板43上に向けて横たわっている布片Yを弾性的に押圧するようになる。この状態では、押え板48による押圧部分の布片が、図8に示すように台板43上に押し付けられているが、該布片Yは台板上面と押え板下面とで挟圧された状態でも引き摺り可能となっている。
【0056】
次に、図8に示すように、上下両ローラ45,46が布片送り込み方向(矢印方向)に回転し、布片Yの後行側が台板43上を後側(図8における右側)に引き摺られていくが、布片終端部には多くの場合、1つの布片角端Yaが現れるようになる。又、台板43上を引き摺られていく布片は、押え板48で弾性的に押付けられているので、該押え板48部分では布片Yが順次圧縮されて嵩が低くなっていくとともに、布片終端(角端Ya)が検出器44による検出位置付近まで移動した時点では、該布片終端付近が台板43の上面に確実に接触するようになる。
【0057】
他方、台板43上を引き摺られていく布片Yは、一対の検出器44,44で監視されており、図9に示すように布片Yの終端(角端Ya)が検出器44による検出位置を通過した時点で、該検出器44からのON信号により、両ローラ45,46の回転が停止され、電磁切換弁50が伸長側弁室50bに切換わり、伸縮シリンダ49に伸長作用が働いて押え板48で該布片終端Ya付近を台板43上に強く押え付ける。その後、図10に示すように、上ローラ45が元の開放位置まで上動するが、図10の状態では押え板48(及び台板43の終端縁)と下ローラ46間に布片Yの終端部付近が横たわっている。
【0058】
角端取り装置5(図10、図11)は、チャック51と該チャック51を左右方向に進退させる進退装置(伸縮シリンダ)52とを有している。そして、この角端取り装置5は、図10に示すように上記角端出し装置4の台板43と下ローラ46間に布片Yの終端(角端Ya)付近が保持されたときに、伸縮シリンダ52が伸長してチャック51が鎖線図示(符号51′)するように左方向に前進し、該チャック51′で布片角端Ya付近を保持する。その後、電磁切換弁50が縮小側弁室50a側に切換わって押え板48が上動し(押え解除)、伸縮シリンダ52が縮小して、図11に示すようにチャック51で布片角端Ya付近を保持して布片Yを垂れ下げたまま右方向に後退するように作動する。
【0059】
図10、図11に示すように、角端取り装置5の伸縮シリンダ52が縮小した状態でのチャック51の下方後側直近位置には、台板53が設けられている。この台板53は、次に説明する横引き装置6で布片上端部(角端Ya)付近を受取って後側に移動させたときに、該布片Yの終端側を支持するためのものである。
【0060】
横引き装置6(図11、図12)は、チャック61と該チャック61を前後方向に進退させる進退装置(伸縮シリンダ)62とを有している。そして、この横引き装置6は、図11に示すように角端取り装置5のチャック51が布片Yを保持して後退したときに、横引き装置6の伸縮シリンダ62が伸長してチャック61が鎖線図示(符号61′)するように前方向に前進し、該チャック61′で布片上端部(角端Ya)付近を保持する。その後、角端取り装置5のチャック51が開放し、伸縮シリンダ62が縮小して、図12に示すようにチャック61で布片角端Ya付近を保持して布片Yを台板53上を引き摺りながら後側に後退する。このとき、布片Yは、図12に示すように後退位置のチャック61と台板53との間で前後水平方向に横たわっている。
【0061】
台板53の右端部の近傍位置には、モータ81によって駆動される縁出しコンベア8(図10〜図15)が設置されている。尚、この縁出しコンベア8は右方向に走行する。この縁出しコンベア8の前縁(始端部)は、横引き装置6で横たわらせた布片Yの直下よりやや右側に位置させている。
【0062】
2位置保持装置7(図11〜図14)は、連結板73に前後方向に所定間隔をもって取付けた2つのチャック(角端保持チャック71と中間部保持チャック72)と、該各チャック71,72を昇降させる昇降シリンダ74と、各チャック71,72を昇降シリンダ74ごと左右に進退させる進退装置(伸縮シリンダ)75とを有している。各チャック71,72は、図11及び図12に示すように伸縮シリンダ75が伸長状態では横引き装置6で横たわらせた布片Yの直上方に位置する一方、図13に示すように該伸縮シリンダ75が縮小すると該各チャック71,72が後述の縁出しコンベア8上に位置するようになっている。又、昇降シリンダ74の縮小状態(図11、図12)では、各チャック71,72を横たわらせた布片Yの上方位置で待機させ、該昇降シリンダ74が伸長すると、各チャック71,72が図12に鎖線図示(符号71′、72′)するように横たわらせた布片Yの上縁を保持し得る位置まで降下するようになっている。又、各チャック71,72が図12の鎖線図示位置まで降下すると、該各チャック71′,72′で横たわらせた布片Yの角端Ya付近と中間部適所とを保持し得るようになっている。そして、各チャック71,72で布片Yの2位置を保持すると、図12に示すように布片Yの長辺側の一方の側縁Ybが縁出しコンベア8の始端部近傍位置で且つ該縁出しコンベア8の上面より下方において三角形状に垂れ下がるようになる。又、その状態から、伸縮シリンダ75が縮小すると、図13に示すように各チャック71,72が縁出しコンベア8の上方に位置するが、そのとき布片Yの垂れ下げ縁部Ybが縁出しコンベア8の始端部に接触した後、縁出しコンベア8が走行していることにより該垂れ下げ縁部Ybが図13に符号Yb′で示すように縁出しコンベア8上で所定長さだけ直線状に現出する(縁出しされる)ようになる。そして、その後、図13の状態から両チャック71,72が開放されると、布片Y全体が縁出しコンベア8上に載せられ、さらに該縁出しコンベア8が走行していることにより、図14に示すように布片前縁(右端縁)Ybが直線状のままで縁出しコンベア8の終端部まで移送される。
【0063】
縁出しコンベア8の終端部には、図11〜図15に示すように縁出しコンベア8で移送される布片Yの前縁部Ybを停止状態で載せる載せ台82を設けている。又、この載せ台82の右端縁には、前後に所定間隔をもった位置に2つの切欠83,83を設けている。そして、縁出しコンベア8の終端部まで移送された布片Yは、図14及び図15に示すように布片前縁Ybが各切欠83,83の中間深さに達する位置まで載せ台82上に乗り上げるようになっている。
【0064】
ローラ9(図13、図14、図16〜図19)は、縁出しコンベア8の走行方向の後側位置に設置している。このローラ9は、前記載せ台82の両切欠83,83間の中央部に対応する位置で右方向に適宜距離だけ離間した位置において左右方向に向く姿勢で設置している。このローラ9は、モータ91によって間欠的に且つスピード可変に回転せしめられる。
【0065】
載せ掛け装置10(図13〜図17)は、前後方向に間隔をもった2つのチャック101,102と、該各チャック101,102を左右方向に進退させる進退装置103とを有している。この進退装置103は、この実施例では、索(例えばタイミングベルトやチエン)105をモータ104で可逆的に走行せしめるようにしたものを採用している。各チャック101,102は、連結台を介して索105に連結されていて、該索105を左・右に走行させることによって該両チャック101,102を載せ台82上方の布片受取り位置とローラ9上に載せ掛ける載せ掛け位置との間で移動させ得るようになっている。尚、この載せ掛け装置10に使用する進退装置103としては、他の実施例では伸縮シリンダを使用することもできる。
【0066】
そして、この載せ掛け装置10は、両チャック101,102を載せ台82上まで前進(左移動)させると、図15に示すように各チャック101,102が載せ台82の各切欠83,83内に侵入して、該両チャック101,102で載せ台82上にある布片長辺部Ybの間隔をもった2箇所を保持でき、又、該両チャック101,102でそれぞれ布片長辺部Ybを保持した状態で該両チャックを後退(右移動)させると、図16に示すように該両チャックがローラ9上を前後に跨いだ状態で移動し、そのとき布片Yの一方の短辺寄り部分をローラ9上を引き摺りながら該ローラ9上に載せ掛けるように作動する。このとき、布片Yはローラ9上で短辺方向に引き摺られることにより、該布片Yが短辺方向に伸展されるようになる。尚、図16の状態で両チャック101,102を開放させると、図17に示すように布片Yの一方の短辺寄り部分がローラ9上に逆U形に載せ掛けられる。
【0067】
ローラ9の後方には、該ローラ9から後側に適宜間隔をもった位置に搬送コンベア14が設置されている(図16〜図20)。この搬送コンベア14は、後述するように布片Yを展開状態で次工程(例えば折畳み工程)に移送するためのものである。尚、この搬送コンベア14の上面は、ローラ9の下面よりかなり低く位置させている。
【0068】
吊下げ装置11(図16〜図20)は、前壁112と後壁113を有する樋状受台111に左右2つのチャック114,115を取付けて構成されている。左右2つのチャック114,115は、この実施例では伸縮シリンダを採用している。そして、この各チャック114,115は、後壁113の後面に左右に所定間隔(処理すべき布片Yの短辺長さよりやや短い間隔)をもって取付けられていて、該チャックのロッド114a,115aが後壁前面から前壁112の後面に向けて進退作動するようになっている。尚、この各チャック114,115では、各ロッド114a,115aの先端と前壁112の後面との間で布片短辺側端縁Ycの2箇所をそれぞれ保持し得るようになっている。
【0069】
後壁113の前面には、各ロッド114a,115aの直上方直近位置に布片の短辺側端縁Ycを検出する各検出器(光電管)116,117が取付けられている。そして、各チャック114,115は、それぞれ各検出器116,117が短辺側端縁Ycを検出した時点で、それに対応するチャックのロッド(114a,115a)が個別に前壁112側に突出するように作動する。
【0070】
吊下げ装置11は、進退装置12によってローラ9の後方において前後に進退せしめられる。この吊下げ装置11用の進退装置12には、伸縮シリンダが採用されている。そして、吊下げ装置11の樋状受台111はステーを介して伸縮シリンダ(進退装置)12のシリンダロッド121に取付けており、該伸縮シリンダ12の伸縮動作により吊下げ装置11を前後に進退させ得るようにしている。又、伸縮シリンダ12は、2段階伸縮式のものを採用しており、該伸縮シリンダ12が最伸長すると樋状受台111がローラ9の直下に位置し(図17)、中間縮小状態では樋状受台111が搬送コンベア14の始端部直前に位置(図18)し、最縮小すると樋状受台111が搬送コンベア14上の所定奥位置(図19)まで後退するようになっている。そして、図17に示すように、樋状受台111がローラ9の直下まで前進したときに、ローラ9がゆっくり送込み方向に回転(右回転)して、ローラ9に載せ掛けている布片Yの後側短辺Yc側を樋状受台111内(前壁112と後壁113間)に落とし込み、各検出器116,117が短辺側端縁Ycを検出した時点でそれに対応する各チャック114,115が閉動作(ロッド114a,115aの先端が前壁112まで突出)して、2点で布片短辺側端縁Ycを保持する。尚、吊下げ装置11は伸縮シリンダ12で2段階に後退せしめられるが、図18に示すように樋状受台111がローラ9の後方に第1段だけ後退した時点でローラ9が送込み側に高速回転して、ローラ9に載せ掛けていた布片Yをローラ後側に落とし込み、吊下げ装置11により該布片Yを展開状態で吊下げ得るようになっている。
【0071】
吊下げ装置進退用の伸縮シリンダ12は、取付台122で支持されている。この取付台122の前後にはそれぞれ車輪123,123が取付けられており、該前後の車輪123,123をそれぞれ左右方向に向くレール124,124で支持して、吊下げ装置11と伸縮シリンダ12と取付台122とが各レール124,124に沿って左右に移動可能となっている。尚、吊下げ装置11等を左右に移動可能に支持した理由は、次に説明する芯出し装置13を機能させるためのものである。
【0072】
芯出し装置13(図16〜図20)は、吊下げ装置11で順次吊下げられる各布片Yを常に搬送コンベア14上の幅方向の定位置(中心)上に載せるためのものである。そして、この芯出し装置13は、ローラ9の直下において処理すべき布片Yの短辺幅より僅かに広い間隔をもって左右に配置した各検出器(左右2つづつある)131〜134と、該各検出器131〜134からの信号で取付台122(吊下げ装置11を含む)を左右に移動調整するための調整シリンダ135(図20)とを有している。左右各側の検出器(右外検出器131、右内検出器132、左内検出器133、左外検出器134)のうち、右内検出器132と左内検出器133間の間隔は、布片Yの短辺長さより僅かに広い程度に設定し、各外検出器131,134は、各内検出器132,133よりそれぞれ例えば10〜20mm程度づつ左右外側に位置させている。尚、各内検出器132,133間の中心は、搬送コンベア14の幅方向中心に対応させている。他方、調整シリンダ135は、それぞれ2段階伸縮式の2つのシリンダ136,137を相互に逆向きに連続させて構成している。
【0073】
そして、この芯出し装置13は、図17に示すようにローラ9に載せ掛けた布片Yの左右両側縁が両内検出器132,133間にあるときには、全部の検出器131〜134が非検出となって調整シリンダ135を中立状態に維持させる(このとき樋状受台111が布片Yに正常に対応している)。又、該布片Yがローラ9上で左右何れかに変位すると、左右何れかの検出器(131〜134)の1つまたは2つが検出状態となって、その検出状態となった検出器に対応する幅だけ調整シリンダ135が調整作動して樋状受台111を左右に位置調整し(即ち、樋状受台111を、変位している布片Yの位置に対応させる)、その状態でローラ9がゆっくり送込み側に回転して布片Yの短辺側側縁Ycを樋状受台111で受取り、続いて図18に示すように吊下げ装置11が中間位置まで後退して布片Yを樋状受台111から吊下げ、その状態で先に調整シリンダ135が調整作動した分だけ元に作動して樋状受台111の位置を搬送コンベア14の中心に対応させ、その後に吊下げ装置11がさらに後退せしめられて、該吊下げ装置11が最後方位置に達する直前で各チャック114,115が開放され、該各チャック114,115で保持していた布片短辺側側縁Ycを搬送コンベア14上に落とすようになる。従って、布片Yがローラ9上に載せ掛けられたときに該布片Yが所定位置の左右に位置ずれしていても、該芯出し装置13により布片Yを常に搬送コンベア14の中心に載せることができる。このように、展開させた布片Yを順次搬送コンベア14の定位置(中心)に載せるようにすると、折畳み工程において各布片を常に定位置で折畳むことができ、その各折畳み布片をきれいに整頓させた状態で順次積層させることができる。
【0074】
この実施例で使用される矩形布片展開装置は、上記各装置(1〜14)を有しているので、洗濯、乾燥後の布片Yを単に供給コンベア1上に投入するだけで、吊上げ装置2、仮保持装置3、角端出し装置4、角端取り装置5、横引き装置6、2位置保持装置7、縁出しコンベア8、ローラ9、載せ掛け装置10、吊下げ装置11、進退装置12、芯出し装置13等により、各布片Yを自動で且つきれいに展開させた状態で順次搬送コンベア14に載せることができる。
【0075】
又、この実施例の角端出し装置4によれば、布片Yを台板43上で水平方向に引き摺る際に、弾性押圧装置140の押え板48により布片Yを台板43上に弾性的に押圧しながら行うようにしているが、このように布片Yを弾性的に押圧しながら引き摺ると、その弾性押圧部分の布片は台板43上面に順次密着しなから摺動するようになる。又、引き摺り布片Yは、その始端側が太く(布量が多い)、終端側になるほど順次細くなる(布量が少なくなって薄くなる)が、該布片終端部(薄くなっている)においても台板43上への押付け作用が働いている。従って、台板43上を引き摺られる布片Yは、その終端(角端Yaがある)が毎回台板上面に接触した状態で検出器44により検出され、その結果、布片終端の角端Yaが毎回定位置で停止されるようになる。このように、布片終端の角端Yaが毎回定位置で停止されると、次工程の角端取り工程において、角端取りチャック51で布片終端(角端Ya)の可及的近傍位置を掴持させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本願実施例の角端出し装置を備えた矩形布片展開装置の全体斜視図である。
【図2】図1の展開装置に使用している角端出し装置の側面図である。
【図3】図2の角端出し装置におけるIII−III矢視図である。
【図4】図1の矩形布片展開装置における供給コンベア、吊上げ装置、仮保持装置部分の拡大斜視図である。
【図5】本願実施例の角端出し装置を含む図4からの状態変化図である。
【図6】図5からの状態変化図である。
【図7】図6からの状態変化図である。
【図8】図7の状態での側面図である。
【図9】図8からの状態変化図である。
【図10】角端取り装置及び縁出しコンベアを含む図9からの状態変化図である。
【図11】横引き装置及び2位置保持装置を含む図10からの状態変化図である。
【図12】図11からの状態変化図である。
【図13】ローラ及び載せ掛け装置を含む図12からの状態変化図である。
【図14】図13からの状態変化図である。
【図15】載せ掛け装置の作動を示す拡大斜視図である。
【図16】吊下げ装置及び搬送コンベアを含む図14からの状態変化図である。
【図17】図16からの状態変化図である。
【図18】図17からの状態変化図である。
【図19】図18からの状態変化図である。
【図20】芯出し装置を含む図19からの状態変化図である。
【図21】公知の矩形布片展開装置の全体斜視図である。
【図22】図21における角端出し装置部分の拡大斜視図である。
【図23】図22からの状態変化図である。
【図24】角端取り装置を含む図23からの状態変化図である。
【図25】図23の状態の角端出し装置の側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1は供給コンベア、2は吊上げ装置、3は仮保持装置、4は角端出し装置、5は角端取り装置、6は横引き装置、7は2位置保持装置、8は縁出しコンベア、9はローラ、10は載せ掛け装置、11は吊下げ装置、12は進退装置、13は芯出し装置、14は搬送コンベア、41は角端出し装置のチャック、43は台板(弾性挟圧装置の一部となる)、44は検出器、45,46は上下一対の挟みローラ(引き摺り装置となる)、48は押え板、49は伸縮シリンダ、50は電磁切換弁、140は弾性押圧装置(弾性挟圧装置の一部となる)、143はコイルバネ、150はコンプレッサー、Yは布片、Yaは布片角端である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸めた状態で搬送されてくる矩形布片(Y)を方形状に展開させる際の矩形布片の角端出し方法であって、
矩形布片(Y)の任意の箇所を保持して該布片(Y)をその対向位置から弾性的に挟圧しながら引き摺り、その引き摺り布片(Y)の終端を検出器(44)で検出し、該検出器(44)からの布片終端検出信号に基いて該布片(Y)の引き摺り動作を停止させて、定位置に布片角端(Ya)を現出させるようにする、
ことを特徴とする矩形布片の角端出し方法。
【請求項2】
丸めた状態で搬送されてくる矩形布片(Y)を方形状に展開させる展開装置に使用される矩形布片の角端出し装置であって、
矩形布片(Y)の任意の箇所を保持して該布片(Y)を引き摺る引き摺り装置(45,46)と、引き摺られていく布片(Y)をその対向位置から弾性的に挟圧する弾性挟圧装置(43,140)と、弾性的に挟圧された状態で引き摺られていく布片(Y)の終端を検出する検出器(44)とを備えているとともに、
前記を弾性挟圧装置(43,140)で挟圧されながら引き摺られていく布片(Y)の終端を前記検出器(44)で検出し、該検出器(44)からの布片終端検出信号に基いて該布片(Y)の引き摺り動作を停止させて、定位置に布片角端(Ya)を現出させるようにしている、
ことを特徴とする矩形布片の角端出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−287136(P2009−287136A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139479(P2008−139479)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】