説明

短絡比が調整された装置およびセンサならびに短絡比を調整する方法

【課題】読み取り素子のための空間の大きさを縮小することによって、磁気シールドの大きさおよびシールド間の利用可能な空間の大きさを最小化する。
【解決手段】空気ベアリング面(ABS)148に対して設置されたデータ読み取りスタック132は、第1のバッファ層142と第2のバッファ層142との間に取り付けられ、少なくとも一方のバッファ層は、データ読み取りスタックに所定の短絡比を付与する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
発明の詳細な説明
概要
データ読み取りスタックは、空気ベアリング面(ABS)に対して設置することができる。データ読み取りスタックは、第1のバッファ層と第2のバッファ層との間に配置され得て、少なくとも一方のバッファ層は、データ読み取りスタックに所定の短絡比を付与するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】例示的なデータ記憶装置の斜視図である。
【図2】様々な実施形態において使用することができる例示的な磁気センサを示す図である。
【図3A】例示的な磁気センサの一部を示す図である。
【図3B】磁気センサの例示的な動作挙動を示すグラフ図である。
【図4】磁気センサの様々な実施形態に関連付けられた例示的な動作データを示すプロット図である。
【図5】磁気センサの様々な実施形態において使用される様々な材料組成に対応する動作データを示すグラフ図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
【図6C】本発明の実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
【図7】本発明の様々な実施形態に係るセンサの製造手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
本開示においては、改良された磁気センサが概して示され、特に、遮蔽された磁気センサにおける短絡比の最適化について示される。データの大容量化およびデータ転送率の高速化に対する需要が産業において高まるにつれ、読み取り素子やシールドなどの様々なデータ記憶部品のフォームファクタが縮小されている。読み取り素子のための空間の大きさを縮小することによって、磁気シールドの大きさおよびシールド間の利用可能な空間の大きさを最小化することができる。
【0004】
固定磁化を伴わない二重の磁化自由層を含む三層読み取り素子においては、シールド間の空間を小さくすればするほど、バイアス磁石の効果がより小さくなり得る。バイアス磁石の強度が低減されると、読み取り素子の磁性の不安定性が高まり、データ検知にも劣化が起こり得る。フォームファクタを縮小した様々なシールドは、バイアス磁石を収容できるように設計されているが、読み出しセンサの後部(磁気的に無反応)における不所望の短絡磁流による寄生性の短絡および信号振幅の低減による影響を受け得る。
【0005】
読み取り素子と、バイアス磁石と、磁気シールドとの間の境界部を調整することによって、磁気センサの短絡比を最適に構成することができる。これにより、空気ベアリング面(ABS)に近いリーダの部分を通る磁流を抑え、センサの性能を高めることができる。このように短絡比を最適化することにより、読み取り素子の部分における不所望な短絡の影響を低減または除去し、磁気センサの信号振幅および磁気安定性を向上させることができる。
【0006】
図面を参照すると、図1は、本発明の様々な実施形態を実施することができる限定されない環境下にある、データ記憶装置100の実施形態を示す。装置100は、ベースデッキ104と上部カバー106とから形成される、実質的に封止されたハウジング102を含む。内部に配置されるスピンドルモータ108は、複数の磁気記憶媒体110を回転させるように構成されている。媒体110は、データトランスデューサ(読み取り/書き込みヘッド)の対応する配列によってアクセスされる。データトランスデューサの各々は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)112によって支持される。
【0007】
各HGA112は、柔軟なサスペンション116を含むヘッドスタックアセンブリ114(アクチュエータ)によって支持され、硬いアクチュエータアーム118によってさらに支持される。アクチュエータ114は、音声コイルモータ(VCM)122に対して磁流を印加することによって、カートリッジベアリングアセンブリ120を中心に枢動し得る。この方法により、VCM122を制御して動作させることで、トランスデューサ(124の符号が付されている)を媒体の表面に規定されるトラック(図示せず)に対して整合させ、データを記憶または検索する。
【0008】
図2は、図1のデータ記憶装置において使用することができる磁気センサ130の実施形態の断面図を概して示す。示されるように、センサは、第1の磁気シールド134と第2の磁気シールド136との間に配置される磁気検知スタック132を有して構成することができる。磁気スタック132の構成は限定されるものではなく、磁気的に反応する任意の帯磁方向を有する任意の数の層を含む積層とすることができる。このような構成の一例は、二重の磁化自由層140の間に配置される非磁性スペーサ層138を有し、磁化自由層140の各々は、バッファ層142に結合される。バッファ層142は、キャップ層やシード層などの様々な異なる材料からなり得る。
【0009】
固定磁化を有するピン(または/および基準)層を含まない磁化自由層140のみが設けられる場合、スタック132は、3つの層を有し、スタック132において固定磁化を欠き、シード層およびキャップ層を黙示的に含まないことから、通常は三層リーダと呼ばれる。スタック132から空気ベアリング面(ABS)148をわたって、データ記憶媒体146に書き込まれたデータビット144を検知させるために、ABS148に接触する部分とは反対側においてスタック132に隣接して永久磁石150を設置することができる。つまりは、自由層140は、永久磁石150によってバイアスが加えられるが、データビット144の存在によって克服することができ、正確な帯磁方向の検知が行なわれる。
【0010】
バイアス磁石150は、磁気スタック132の性能を調整するために様々な異なる材料組成および大きさによって構成され得る。第1のシールド134および第2のシールド136は、示されるように、ABSにおけるY軸に沿ったセンサの厚さを増大させることなく後縁においてシールド間の間隔152を増大させ、スタック132の自由層140を磁束が良好に通過するように成形することができる。
【0011】
このような性能の向上は、図2に示される構成に限定されるものではなく、各シールド134および136の傾斜部分156は、ABS148から遠位においてシールド134および136の厚さを小さくするように、テーパ状、片持ち状、および直角の移行領域158を有して固有的または集合的に設計することができる。同様に、傾斜部分156は、磁性および非磁性の単層または積層によって部分的または完全に満たすことができる。しかし、1つ以上の傾斜領域156を追加することによって、磁化回転の最も大きいABS領域148においてより効果的に電流が集中することから、磁気スタック132を通る寄生性の短絡が最小化され、データ読み取り信号振幅が改善され得る。
【0012】
図3Aおよび図3Bは、例示的な磁気センサ160の一部の断面図、および対応する動作グラフ162を概して示す。磁気センサ160は、磁気スタック164を有する。磁気スタック164は、ABSに対して設置され、磁気シールド166から所定のシールド距離168の間隔が空けられ、後部のバイアス磁石170から所定のバイアス距離172の間隔が空けられている。磁気シールド166は、ABSに対して平行な線形面として成形された移行領域174を有する。移行領域174は、シールド166を、ABSにおける第1の厚さ176から、ABSの遠位かつバイアス磁石170の近位における第2の厚さ178に移行させる。
【0013】
移行領域174の構成により、スタック164とシールド166との間に所定の傾斜距離180がもたらされる。これにより、スタック164の磁化回転がセンサ部分184に抑えられることで、僅かな読み出し反応に効果的に変換し得る短絡長さ182を得ることができる。つまりは、移行領域174の位置および構成は、スタック164の短絡領域186に沿って磁流を指数関数的に減衰させることでセンサ部分184に磁流を抑え、スタック164を介した磁流の反応を調整することができる。
【0014】
このように磁流を抑制することによって、ABSの遠位におけるスタック164を介した寄生性の短絡を低減させることができ、バイアス磁石170の付近における不所望の短絡に関係する信号振幅の損失を最小化し得る。短絡部分186によってセンサ部分184に抑制される磁流の量は、抑制率(CC)として表わされる。値が1の場合は、移行領域174を磁流が通らず、値が0の場合は、X軸に沿ってスタック164を介して均一な磁流が通る。
【0015】
CCが磁流の挙動に影響を及ぼすのに対し、動作磁流の抑制は、磁気スタック164のストライプ高さ188によって影響される箱形近似となり得る。ストライプ高さが長い場合、すなわち、図2のシールドの間隔152の4倍よりも長い場合、あたかもセンサ部分184と短絡部分186とが並列に接続されているかのように作用し、構成するセンサ部分184および短絡部分186の抵抗は、短絡比として特徴付けられる。
【0016】
移行領域174の構成および配向を変化させることにより、伝導される磁流に対して磁気シールド166の傾斜領域188および非傾斜領域190が影響を与えて短絡比を制御することから、スタック164のセンサ部分184および短絡部分184および182を調整することができる。スタック164の挙動に関する設定の可能性は、バイアス磁石の厚さ192を最適化することによって調整され得る。この厚さの調整は、磁石の距離194に対応し、スタック164に対してより大きいバイアス磁化を付与することができる。
【0017】
スタック164およびセンサ160の性能を調整するための様々な構成および性質によって、短絡比を0の値と1の値との間に限定することで性能を高めることができる。0の値は、読み出し信号振幅が0の状態に対応し、1の値は、センサ部分184の本質的な振幅に漸近的に達する。参考として、短絡比は、以下の式1によって表わすことができる。
【0018】
【数1】

【0019】
ここで、R_shuntは、短絡部分186の抵抗であり、R_sensorは、センサ部分184の抵抗である。一部の実施形態において、短絡比は、0.2と0.6との間、または0.35と0.75との間などの所定の範囲に調整される。
【0020】
図4は、磁気センサが様々な実施形態において調整された場合に、短絡比の変化がどのように読み出し信号振幅に対応するのかを概して示す。実線200は、一定の磁流がセンサを通過した場合の短絡比に対する正規化信号振幅を示す。点線202は、一定の電圧がセンサに印加された場合の様々な短絡比における正規化信号振幅を示す。
【0021】
示されるように、センサを通る磁流の抑制は、短絡比の増加に伴う信号振幅の増加に対して良好に関連している。図3の領域190および192などの傾斜領域および非傾斜領域を調整することによって、磁流の抑制および図3の部分184などの短絡部分の抵抗の増加が促される一方で、図2のバッファ層142などのバッファ層を変更することによって、データ読み取りスタックの短絡部分およびセンサ部分の大きさの最適化がさらに促される。
【0022】
図5は、様々な実施形態によって構成されたバッファ層を有する磁気センサの正規化信号振幅を示すグラフ図である。実線210は、磁気スタックのストライプ高さに沿ったABSからの距離に対して、様々な厚さを有するルテニウムから形成されたバッファ層の信号振幅がどのように挙動するかを示す図である。比較として、均一な厚さを有するルテニウムのバッファ層は、点線212によって示されるように、比較的大きな信号振幅を有する。
【0023】
バッファ層の様々な構成は、ルテニウムの組成に限定されるものではなく、他の様々な材料を任意で分離した形態または積層として使用することができる。実線214は、均一な厚さを有するMgOの例示的な動作信号振幅を示す。点線216で示されるように、タンタル、Al23、SiO2、およびTiO2などの酸化物材料を使用することにより、MgOおよびルテニウムよりも大きい信号振幅、すなわち23%大きい信号振幅をABSの遠位において得られる。
【0024】
バッファ層の構成を最適化することによって磁気センサの性能を調整することができるため、磁気スタックの短絡部分およびセンサ部分に所定の大きさをもたらすことができ、これにより、短絡比を増加させ、読み出し信号振幅を大きくすることができる。磁気センサの性能およびその最適化は、ABSの遠位において磁気スタックのストライプ高さに沿って様々な厚さおよび材料を有するバッファ層を操作することによりさらに行なうことができる。
【0025】
図6A〜図6Cは、様々なバッファ層の実施形態を含む例示的な磁気センサの一部をブロックで概して示す断面図である。図6Aに示される磁気センサ220は、第1のバッファサブ層228と第2のバッファサブ層230との組み合わせを含むバッファ層226によって磁気シールド224から分離された磁気スタック222を有する。バッファサブ層228および230は、磁気シールド224の移行領域236の位置に対応する個別の厚さ232および234をそれぞれ有する。つまり、バッファサブ層228および230の各々は、磁気スタックのストライプ高さ242に沿って、ABSに対して直角に延在し、移行領域236で終わる長さ238および240をそれぞれ有する。
【0026】
上記のバッファ層226の様々な材料の構成は、任意でバッファサブ層228および230に適用することができる。たとえば、単層または積層となったルテニウムおよびタンタルなどの磁性伝導材料は、第1のバッファサブ層228を形成することができる一方、MgOなどの高抵抗性材料または絶縁材料は、第2のバッファサブ層230として堆積される。他の実施形態において、図6Aに示されるように、第1のバッファサブ層228および第2のバッファサブ層230には同じ材料が使用されるが、その厚さ232および234は、異なるが均一に構成される。
【0027】
ABSに対して近位および遠位のそれぞれのサブ層228および230に異なる材料および厚さを用いることができるため、移行領域236の周囲の磁流の抑制を制御することによって磁気スタック222の短絡部分およびセンサ部分の長さを調整し、短絡比を最適化することができる。ABSの近くに薄いバッファサブ層228を使用し、第2のバッファサブ層230で磁気シールド224の傾斜領域を満たすことによって、センサの全体的な大きさまたはシールド間の間隔を大きくすることなく、図5に示される信号振幅を向上させることができる。
【0028】
第1のバッファサブ層228の厚さを小さくすることによって、磁気スタック222の短絡比を調整することができるが、バッファ層226は、このような構成に限定または制限されない。図6Bは、ABSにおける第1の厚さ256からABSの遠位における第2の厚さ258に減少した第1のバッファサブ層252と第2のバッファサブ層254とを有するバッファ層250を含む磁気センサ220を示す。第2のサブ層254もテーパ状の移行領域260の下の領域を含むように延在し、スタック222のストライプ高さ242に沿って異なる長さを有する第1のバッファサブ層252および第2のバッファサブ層254がもたらされる。
【0029】
バッファサブ層の厚さ、長さ、および材料を多様に設定することができるため、各々の短絡比を調整し、センサ220の読み出し振幅を最適化することができる。しかし、図6Cの均一な厚さのバッファ層270により示されるように、バッファサブ層の厚さは多様である必要はない。
【0030】
バッファ層270は、類似または非類似の材料を有し得て、磁気スタック222のストライプ高さ242の全体にわたって同じ厚さ276を有する第1のサブ層272と第2のサブ層274とを含む。バッファ層の厚さ276が均一であり、厚さに変化のない磁気シールド224に対応するのに対し、バッファサブ層272および274の長さは、磁気スタック222の短絡比を調整するために変更することができる。つまり、第1のバッファサブ層272は、第2のバッファサブ層274の第2の長さ280より大きい第1の長さ278を有することができ、これにより、第2のサブ層274の材料をABSから遠く離すことができ、高い短絡比を確立することができる。
【0031】
磁気センサの性能を調整および最適化するための調節可能性は、特定の構成、製造方法、および操作方法に限定されない。図7は、所定の性能属性を有する様々なセンサの構造を作るために使用され得る例示的なセンサの製造手順300を概して示す。
【0032】
最初に、手順300においては、判定302で磁気シールドの構成が評価される。この評価は限定されるものではなく、厚さ、長さ、移行領域の位置、移行領域の形状、傾斜領域の有無、および傾斜領域の厚さの減少などの様々な要因を解析することができ、特定の短絡比に対応する所定の短絡部分およびセンサ部分の長さを得ることができる。選択されたシールド属性は、第1のバッファ層を底部シールドに形成するか否かについての判断を行なう判定306の前にブロック304において底部シールドとして堆積される。
【0033】
バッファ層が選択された場合には、判定306から判定308および310に進み、バッファ層が形成されない場合には、ブロック314に進む。判定308および310において、サブ層の数、材料、厚さ、長さ、およびバッファ層の一部またはすべてを積層とするか否かなど、バッファ層の様々な限定されない局面についての判断が行なわれる。判定308および310での判断に基づき、続いてブロック312においてシールドに堆積される。ブロック308および310で設計された第1のバッファ層を確立するために、ブロック312は、続いて行なわれる複数のサブブロックを有してもよいことがわかる。
【0034】
第1のバッファ層の有無または構成にかかわらず、手順は、磁気スタックが形成されるブロック314に進む。磁気スタックは、データを検知することができる三層などの任意の積層であってもよい。磁気スタックがブロック314で形成されると、手順300は、第2のバッファ層を含むか否かについての評価が行なわれる判定316に進む。判定308および310とほぼ同じように、判定318および320は、第2のバッファ層についての様々な構造的および動作的局面を判断し、ブロック322で堆積する。
【0035】
判定316において第2のバッファ層が選択されない場合、またはブロック322において第2のバッファ層が形成された後に、判定324では、上部シールドの構成が判断される。判定302と同様に、判定324では、センサの残りと連動して短絡比および読み出し振幅を最適化するように、上部シールドの任意の数の特徴を評価および選択する。つまり、判定324は、以前に堆積されたセンサの層を反応的に評価し、それに応じて、上部の磁気シールドの構成を判断する。
【0036】
評価されて所定の短絡比に調整された磁気スタックは、様々なバッファ層およびシールド層の構成および配向によって性能が向上し、センサは、上部シールドをブロック326において堆積させることによって完成する。様々な構造的および動作的な特性を有する幅広い種類の磁気センサの構成を手順300から得られることがわかる。しかし、手順300は、図7に示される判定のみに限定されることはなく、任意の数のブロックおよび判定を追加、省略、および変更することによって最適な磁気センサの製造を行なうことができる。
【0037】
さらに留意するべき点は、手順300において様々な層を堆積するための堆積プロセスおよび形成プロセスは、特定的である必要はない。たとえば、原子層堆積を一部の層に使用することができる一方、蒸気層堆積を他の層に利用することができる。このように様々な形成プロセスを用いることができるため、効率および信頼性が向上した製造によってさらに磁気センサの製造を調整することができる。
【0038】
本開示に記載される磁気センサの構成および材料の特性は、不所望短絡を低減することによってデータ読み取り性能を向上させることができる。スタックのセンサ部分および短絡部分の動作サイズを最適化するために磁気シールドおよびバッファ層を様々に調整することができるため、上昇した読み出し信号振幅に対応する短絡比を付与することができる。さらに、磁気スタック、バッファ層、および磁気シールドに対して複数の異なる構成および材料を利用することができるため、センサ性能を正確に制御し、データ記憶装置のフォームファクタの減少に対する適切な耐久性を有して動作させることができる。さらに、実施形態は磁気検知を対象としているが、請求された発明は、任意の数の用途、たとえばデータ記憶装置の用途に容易に利用することができる。
【0039】
上述の記載においては、本発明の様々な実施形態の数多くの特徴や利点が、本発明の様々な実施形態の構造や機能の詳細と共に記載されたが、詳細な記載は例示のみであり、細部についての変更は可能である。特に、添付の請求項に記載の用語の広い一般的な意味によって最大限に示される本発明の要旨内における部品の構造や配置についての変更が可能である。たとえば、特定の構成要素は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく特定の用途に応じて変更することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
空気ベアリング面(ABS)に対して位置付けられ、第1のバッファ層と第2のバッファ層との間に配置されたデータ読み取りスタックを備え、バッファ層は、データ読み取りスタックに所定の短絡比を付与するように構成されている、装置。
【請求項2】
データ読み取りスタックならびに第1および第2のバッファ層は、第1の磁気シールドと第2の磁気シールドとの間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも一方のシールドは、ABSの遠位に傾斜部分を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
傾斜部分は、ABSに平行な軸に沿った第1のシールドと第2のシールドの間の距離を増大させる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
データ読み取りスタックは、非磁性スペーサ層によって分離された複数の磁化自由層を有する三層要素である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
永久バイアス磁石は、第1のシールドと第2のシールドの間において、傾斜部分の近位であってABSの遠位に実質的に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも一方のバッファ層は、データ読み取りスタックのストライプ高さに沿った、連続して変化する厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも一方のバッファ層は、絶縁材である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
所定の短絡比は、所定の範囲内から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
所定の範囲は、0.35と0.75との間である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも一方のバッファ層は、データ読み取りスタックよりも大きい抵抗性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
方法であって、第1のバッファ層と第2のバッファ層との間において空気ベアリング面(ABS)に対してデータ読み取りスタックを設置するステップと、データ読み取りスタックに所定の短絡比を付与するようにバッファ層を構成するステップとを備える、方法。
【請求項13】
所定の短絡比は、データ読み取りスタックにおいてデータ読み出し振幅を増大させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
所定の短絡比は、少なくとも一方のバッファ層の厚さおよび伝導性を最適化することによって調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
センサであって、空気ベアリング面(ABS)に対して位置付けられ、第1のバッファ層と第2のバッファ層との間に配置されるデータ読み取りスタックを備え、バッファ層の各々は、データ読み取りスタックに所定の短絡比を付与するように調整される第1の領域と第2の領域とによって構成される、センサ。
【請求項16】
少なくとも一方のバッファ層の第1の領域および第2の領域は、それぞれ接触して隣接する磁気シールドの段差および傾斜領域とそれぞれ接触し、段差領域はABSの近位にあり、傾斜領域はABSの遠位にある、請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
第1の領域は、第1の厚さを有し、第1の厚さは第2の領域の第2の厚さよりも小さい、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
第1の領域は、第1の厚さを有し、第1の厚さは第2の領域の第2の厚さよりも大きい、請求項16に記載のセンサ。
【請求項19】
第1の領域は、第2の領域よりも高い伝導性を有する、請求項16に記載のセンサ。
【請求項20】
第1の領域はルテニウムであり、第2の領域は酸化タンタルである、請求項16に記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80551(P2013−80551A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−199386(P2012−199386)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】