説明

石油燃焼器のカートリッジタンクの検出装置

【課題】 カートリッジタンクの着脱を確実に検出できる石油燃焼器の安全装置に関する。
【解決手段】 バーナ2に燃料を供給する油受皿3を設け、カートリッジタンク4の口金弁5を油受皿3の上面に設けた開口部3aに装着し、カートリッジタンク4の燃料を油受皿3に供給する。枠体1内にはカートリッジタンク4の着脱によって開閉して信号が切換わるタンク検出スイッチ6と、カートリッジタンク4とタンク検出スイッチ6との間に配置され、カートリッジタンク4の着脱によって駆動してタンク検出スイッチ6と接離する駆動レバー7を設け、カートリッジタンク4の装着時に駆動レバー7がタンク検出スイッチ6から離開し、タンク検出スイッチ6が閉路となってバーナ2の燃焼が可能となり、カートリッジタンク4の取り出し時に駆動レバー7がタンク検出スイッチ6と接触し、タンク検出スイッチ6が開路となってバーナ2の燃焼が停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカートリッジタンクを用いる石油燃焼器の安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油燃焼器のカートリッジタンクは給油口に給油キャップを兼ねた口金弁を着脱自在に取り付けており、口金弁が外された給油口から燃料である油を注入し、給油口に口金弁を取り付けてから給油口部分を下に向けて石油燃焼器に装着して使用するものであり、石油燃焼器では口金弁を介してタンク内に流入した空気に代わってタンク内の油が石油燃焼器の油受皿内に供給される給油システムが用いられている。
【0003】
油受皿の燃料がバーナに供給され燃焼に使用され、油受皿の油面が低下するとカートリッジタンクの燃料が油受皿に供給され、油受皿内は一定油面に保持される。カートリッジタンクが空量になったときは、カートリッジタンクを取り出して給油作業を行なうが、カートリッジタンクへの給油作業の際に口金弁の取り付けが不十分であると、取扱者がカートリッジタンクを石油燃焼器に装着するときに口金弁が外れてカートリッジタンクの油を流出させることがある。このときもしバーナが燃焼したままになっていると、カートリッジタンクから流出した燃料に引火して火災事故を発生させ、重大なトラブルにつながる恐れがある。
【0004】
このようなトラブルを防ぐため、枠体内にカートリッジタンクの着脱によって切り替わるタンク検出スイッチを設け、カートリッジタンクを装着しているときはタンク検出スイッチが閉路となってバーナが燃焼できるようになり、カートリッジタンクを取り出したときはタンク検出スイッチが開路に切換わってバーナの燃焼が停止するようにして、カートリッジタンクの給油時には必ずバーナが停止するようにした安全装置を備えたものがある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−20529号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タンク検出スイッチにはマイクロスイッチが一般的に使われているが、マイクロスイッチは作動のストロークが非常に短いものであり、従来はカートリッジタンクを装着したときにタンク検出スイッチが押されて開閉が切換わる構成であったため、製品の振動や傾きによってカートリッジタンクの位置がわずかに変化するだけでも、マイクロスイッチの開閉が切換わり、誤作動が頻繁に発生しやすい課題がある。
【0007】
また、給油後に重量のあるカートリッジタンクを装着したときの衝撃でタンク検出スイッチに無理な力がかかり、タンク検出スイッチを破損させる恐れがあり、スイッチの故障を発生させやすい課題もある。また、タンク検出スイッチに故障が発生するとカートリッジタンクの着脱が検出できなくなり、カートリッジタンクを取り出してもバーナの燃焼が停止できなくなることがあり、タンク検出スイッチの故障時の安全性を確保するための対策も必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記の課題を解決するもので、石油燃焼器の枠体1内には、バーナ2に燃料を供給する油受皿3を設け、かつ、カートリッジタンク4の給油キャップを兼ねる口金弁5を前記油受皿3の上面に設けた開口部3aに装着し、前記カートリッジタンク4の燃料を前記油受皿3に供給すると共に、前記枠体1内には前記カートリッジタンク4の着脱によって開閉して信号が切換わるタンク検出スイッチ6を設け、前記カートリッジタンク4の装着時に前記タンク検出スイッチ6が閉路となって前記バーナ2の燃焼が可能になり、前記カートリッジタンク4の取り出し時に前記タンク検出スイッチ6が開路となって前記バーナ2の燃焼を停止する石油燃焼器において、前記カートリッジタンク4と前記タンク検出スイッチ6との間に配置され、前記カートリッジタンク4の着脱によって駆動して前記タンク検出スイッチ6と接離する駆動レバー7を設け、該駆動レバー7は前記カートリッジタンク4の装着時に前記タンク検出スイッチ6から離開し、前記カートリッジタンク4の取り出し時に前記タンク検出スイッチ6と接触し、前記タンク検出スイッチ6の開閉が切り換わることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記駆動レバー7を前記タンク検出スイッチ6と接触する方向に付勢するバネ手段7dと、該バネ手段7dによって駆動する駆動レバー7を所定の位置で止めるストッパー7eとを設け、前記カートリッジタンク4の取り出し時はバネ手段7とストッパー7eによって駆動レバー7がタンク検出スイッチ6と接触した位置を保持し、前記カートリッジタンク4の装着時は前記カートリッジタンク4がバネ手段7dに抗して前記駆動レバー7を離開位置に保持することにより、カートリッジタンク4の取り出し時は駆動レバー7が確実にタンク検出スイッチ6に接触することができ、カートリッジタンク4の装着時はカートリッジタンク4の燃料が少なくなって重量が軽くなってもカートリッジタンク4が持ち上がることがなく、駆動レバー7がタンク検出スイッチ6に接触することがない。
【0010】
また、前記カートリッジタンク4が前記駆動レバー7を前記タンク検出スイッチ6との接触位置から離開位置まで駆動するときの駆動ストロークDが、前記駆動レバー7が前記タンク検出スイッチ6を切換える作動ストロークdよりも長くなるように設定したことにより、カートリッジタンク4を装着しているときに駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6に接触することはなく、タンク検出スイッチ6が誤作動を起こすことがないものである。
【0011】
また、前記枠体1内には仕切板8aによって前記カートリッジタンク4が収納されるタンク収納部8とは仕切られた空間9を形成し、前記タンク検出スイッチ6と前記駆動レバー7の可動端7aが前記空間9内に位置すると共に、前記駆動レバー7のカートリッジタンク4側の駆動端7bが前記タンク収納部8内に位置するように配置したことにより、取扱者やタンク収納部8への落下物が直接タンク検出スイッチ6に接触することがなく、タンク検出スイッチ6の誤作動や破損を防ぐことができる。
【0012】
また、前記油受皿3内の油量を検出する油量検出手段10を設け、前記油量検出手段10が所定の油量以下を検出してから、前記タンク検出スイッチ6の切換信号が検出されることなく前記油量検出手段10が所定の油量以上を検出したときは、前記タンク検出スイッチ6の不良を知らせる警報手段11を作動することにより、タンク検出スイッチ6の不良を確実に検出して取扱者に知らせると共に、バーナ2が燃焼できないようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明の石油燃焼器は、カートリッジタンク4と、カートリッジタンク4の着脱を検出するタンク検出スイッチ6との間に駆動レバー7を配置し、カートリッジタンク4を装着時は駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6から離れてタンク検出スイッチ6が閉路となり、カートリッジタンク4を取り出し時は駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6に接触してタンク検出スイッチ6が開路となる。タンク検出スイッチ6が閉路のときにバーナ2の燃焼が可能になり、タンク検出スイッチ6が開路のときにバーナ2が燃焼できないようにしたものである。
【0014】
この構成では、カートリッジタンク4を装着したときに駆動レバー7がカートリッジタンク4に押され、タンク検出スイッチ6から離れる方向に駆動するから、カートリッジタンク4の装着時の衝撃をタンク検出スイッチ6に与えることがなくなった。また、カートリッジタンク4を取り出したときに、駆動レバー7がタンク検出スイッチ6と接触する位置に戻るから、タンク検出スイッチ6が無理な力で押されることがなくなり、カートリッジタンク4の着脱時にタンク検出スイッチ6の破損を防ぐことができるものとなった。
【0015】
また、駆動レバー7はカートリッジタンク4の取り出し時にバネ手段7dによってタンク検出スイッチ6と接触する方向に駆動し、駆動レバー7はストッパー7eで移動が止められてバネ手段7dによってストッパー7eに押圧された状態でタンク検出スイッチ6と接触するから、バネ手段7dの強さに多少のばらつきがあっても駆動レバー7とタンク検出スイッチ6とが確実に接触した状態を維持でき、誤作動を起こすことがなくなった。一方、カートリッジタンク4の装着時には、駆動レバー7のバネ手段7dの力ではカートリッジタンク4が持ち上がらないように設定されているから、カートリッジタンク4内の燃料が少なくなり重量が軽くなったときでも油受皿3内を正常な油面に保持できると共に、駆動レバー7が駆動することがないから、タンク検出スイッチ6の誤作動を確実に防ぐことができるものとなった。
【0016】
また、カートリッジタンク4を装着するときは途中で駆動レバー7に接触してから駆動レバー7を離開位置まで駆動するが、このカートリッジタンク4が駆動レバー7を駆動するときの駆動ストロークDを、駆動レバー7がタンク検出スイッチ6を切換える作動ストロークdよりも大きくなるように設定したから、カートリッジタンク4を装着したときには必ず駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6から離れ、タンク検出スイッチ6の開閉が確実に切換わるものとなった。この構成では、カートリッジタンク4が装着されているときは、製品の振動や傾きによってカートリッジタンク4の位置が変化しても、駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6に接触することはないから、タンク検出スイッチ6の誤作動は全く起こらなくなった。
【0017】
また、タンク検出スイッチ6と駆動レバー7の可動端7aを枠体1内のタンク収納部8とは仕切られた空間9内に配置し、駆動レバー7のカートリッジタンク4側の駆動端7bをタンク収納部8に配置して、タンク検出スイッチ6がタンク収納部8に露出しない構成としたから、取扱者が直接タンク検出スイッチ6に触れることができないようにすると共に、タンク収納部8に誤って物品を落下させても、落下物が直接タンク検出手段6に接触することがないから、タンク検出スイッチ6の破損を確実に防ぐことができるものである。
【0018】
石油燃焼器には油受皿3内の油量を検出する油量検出手段10を備えており、油量検出手段10が所定の油量以下を検出すると取扱者に燃料切れを知らせるものであり、取扱者が燃料を補給するためにカートリッジタンク4を取り出すと、タンク検出スイッチ6の開閉が切換わり、バーナ2が燃焼中のときは停止する。カートリッジタンク4に燃料を補給して再び油受皿3に装着するとタンク検出手段6が閉路になり、油量検出手段10が所定の油量以上を検出するので、バーナ2が燃焼可能となる。
【0019】
この給油作業時において、タンク検出手段6や駆動レバー7の不良が発生していると、カートリッジタンク4の着脱を検出できなくなる。このような場合において、油量検出手段10が所定の油量以下を検出後に、タンク検出スイッチ6の切換信号が検出されることなく所定の油量以上を検出したときは、タンク検出スイッチ6の作動不良と判断して警報手段11を作動して、取扱者にタンク検出スイッチ6の不良を知らせるものであり、バーナ2が燃焼中であればバーナの燃焼が停止するので、タンク検出スイッチ6の故障時の安全性が確保できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施例のタンク検出装置を備えた石油燃焼器の断面図である。
【図2】この発明の実施例のカートリッジタンク装着時のタンク検出装置の状態を示す要部断面図である。
【図3】この発明の実施例のカートリッジタンク取り出し時のタンク検出装置の状態を示す要部断面図である。
【図4】この発明の実施例のタンク検出装置の動作を説明する要部断面図である。
【図5】この発明の実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は石油燃焼器の枠体、3は枠体1内に配置した燃料を貯える油受皿、3aは油受皿3の上面に設けた開口部、12は油受皿3の開口部3aに取り付けた油受け、12aは油受け12に設けた開閉軸、4は油受皿3に燃料を供給するカートリッジタンク、4aはカートリッジタンク4の給油口、5は給油口4aに着脱自在に取り付ける給油キャップを兼ねた口金弁であり、カートリッジタンク4に給油して口金弁5を装着し、カートリッジタンク4を口金弁5を下向きにして油受皿3の開口部3aに装着すると、油受け12の開閉軸12aが口金弁5を押し開き、カートリッジタンク4の燃料が油受皿3内に供給される。8は枠体1内の油受皿3の上方に形成されたタンク収納部、8aはバーナ2とタンク収納部8との間に配置された遮熱板を兼ねる仕切板である。
【0022】
図の実施例はポット式の石油燃焼器を構成したものであり、2は枠体1内に配置したバーナ、13は燃焼用空気が送られる風胴、14は風胴13内に設置された有底筒形のポット、14aは風胴13から燃焼用空気が供給できるようにポット14の側壁に設けた多数の空気孔であり、バーナ2の本体は風胴13とポット14によって構成される。15はポット14に燃焼用空気を供給するための燃焼ファンであり、燃焼ファン15によって風胴13に送られた燃焼用空気は空気孔14aからポット14内に供給される。
【0023】
16は油受皿3に取り付けた電磁ポンプで構成する燃料ポンプ、17はポット14と燃料ポンプ16の間に配置した燃料パイプであり、燃料パイプ17は風胴13とポット14の側壁とを貫通して先端がポット14内に伸ばされており、燃料パイプ17から燃料がポット14の底面に供給される。
【0024】
18はポット14の側壁からポット14の底面と間隔を介して取り付けた点火ヒータ、19はポット14の上方に配置された燃焼室であり、石油燃焼器の運転を開始すると、点火ヒータ18によってポット14が加熱され、ポット14が燃焼に適する温度になると燃料ポンプ16と燃焼ファン15が作動してポット14に燃料と空気が供給され、高温のポット14に送られた燃料が点火ヒータ18の熱で着火して燃焼を開始する。燃焼中は燃料パイプ17から滴下する燃料が燃焼熱で高温となったポット14の底面で気化し、ポット14の側壁の空気孔14aから供給される空気によって気化ガスの一部が燃焼し、発生した燃焼ガスと残りの気化ガスはポット14の上部の燃焼室19で完全燃焼する。
【0025】
10は油受皿3内に設けたフロートスイッチで構成する油量検出手段、11は石油燃焼器の異常を知らせるランプやブザーで構成する警報手段、20はバーナ2の運転と停止を制御するバーナ制御装置であり、油量検出手段10はカートリッジタンク4が空になって油受皿3内が所定の油面まで低下すると切換信号を出力し、この信号によってバーナ制御装置20は警報手段11を作動し、給油ランプの点灯あるいは点滅、ブザーの鳴動などで使用者に燃料切れが近づいたことを知らせている。このとき、バーナ制御装置20はすぐにバーナ2に停止指令を出すのではなく、油量検出手段10の切換信号を受けてから一定時間後に停止指令を出してバーナ2の燃焼を停止する。
【0026】
警報手段11による燃料切れの警報を受けると取扱者は給油作業を行なうためにカートリッジタンク4を取り出し、ポリタンクなどに保管された燃料からカートリッジタンク4への給油作業を行なった後、再びカートリッジタンク4を油受皿3の開口部3aに装着すると油受皿3に燃料が供給され、油量検出手段10が所定の油面以上を検出すると切換信号を出力するので、燃料切れの警報が解除される。
【0027】
この給油作業時において、バーナ2が燃焼したままカートリッジタンク4の着脱を行なうと、誤って燃料をこぼしてしまったときに、カートリッジタンク4から流出した燃料に引火して重大な事故につながる恐れがある。このため、カートリッジタンク4の着脱を行なうときは必ずバーナ2の燃焼を停止するように呼びかけているが、実際にはこの種の事故が報告されている。
【0028】
この対策として、カートリッジタンク4を取り出したときにバーナ2の燃焼を停止するように構成した安全装置を提案している。6は枠体1内に設けたカートリッジタンク4の有無を検出するためのマイクロスイッチで構成したタンク検出スイッチであり、カートリッジタンク4を装着したときに閉路となり、カートリッジタンク4を取り出したときに開路となる。タンク検出スイッチ6はバーナ制御装置20に接続されており、カートリッジタンク4を枠体1内に正しく装着してタンク検出スイッチ6が閉路になっているときだけ、バーナ2の燃焼ができるようになっている。バーナ2が燃焼したままカートリッジタンク4を取り出したときには、タンク検出スイッチ6が切換わって開路となるので、バーナ制御装置20は燃焼停止指令を出力してバーナ2の燃焼が停止する。このため、カートリッジタンク4に燃料を供給してカートリッジタンク4を油受皿3に装着するときにはバーナ2の燃焼が停止しているので、もしカートリッジタンク4から燃料を流出させた場合でも火災事故などの重大なトラブルの発生を防ぐことができるものとなっている。
【0029】
ところで、タンク検出スイッチ6を構成するマクロスイッチは開閉が切換わる作動ストロークが非常に短いため、タンク検出スイッチ6とカートリッジタンク4との位置に正確な精度が要求されるが、カートリッジタンク4は油受け12の開閉軸12aで支持され、カートリッジタンク4の上部がタンク収納部8の壁面に接触するため、カートリッジタンク4の傾きが変化して位置が安定しない。このため、製品の振動などでカートリッジタンク4の位置が変化しやすくタンク検出スイッチ6の開閉が頻繁に切換わったり、カートリッジタンク4が装着されているのにタンク検出手段6がカートリッジタンク4を検出できなかったりするなど、誤作動を起こしやすい課題があった。また、給油作業後は重量のあるカートリッジタンク4を装着するため、カートリッジタンク4の装着時にタンク検出スイッチ6に衝撃を与えたり、無理な力で押されたりして、タンク検出スイッチ6を破損させる恐れがあった。
【0030】
本願発明はタンク検出スイッチ6の誤作動や破損をさせることなく確実にカートリッジタンク4の着脱が検出できる構成を実現したもので、6aはタンク検出スイッチ6が取り付けられたベース、7はカートリッジタンク4とタンク検出スイッチ6の間に位置するようにベース6aに取り付けられた略L字状の駆動レバー、7cは駆動レバー7の回転軸、7aは駆動レバー7のタンク検出スイッチ6側の可動端、7bは駆動レバー7のカートリッジタンク4側の駆動端であり、駆動レバー7は回転軸7cによってベース6aに取り付けられており、回転軸7cを中心に回動する。
7dは駆動レバー7を常時タンク検出スイッチ6と接触する方向に付勢するバネ手段、7eはバネ手段7dによってタンク検出スイッチ6側に駆動する駆動レバー7の移動を止めるストッパーであり、駆動レバー7はストッパー7eによって移動が止められた位置で可動端7aがタンク検出スイッチ6に接触しており、タンク検出スイッチ6が押された状態となっており、タンク検出スイッチ6は駆動レバー7の可動端7aが接触しているときに開路となる。
【0031】
一方、タンク収納部8にカートリッジタンク4を装着するときは、カートリッジタンク4が駆動レバー7の駆動端7bに接触するとバネ手段7dに抗して駆動端7bが下方に押下げられ、駆動レバー7が回転軸7cを中心に駆動して駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6から離開するので、タンク検出スイッチ6が開路から閉路に切換わる。
【0032】
給油して満量となったカートリッジタンク4は重くなっているから、カートリッジタンク4を装着するときに、カートリッジタンク4が接触する駆動レバー7は強く押されるが、駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6から離れる構成であるから、カートリッジタンク4の装着時の衝撃をタンク検出手段6に与えることがなくなり、カートリッジタンク4の装着時にタンク検出スイッチ6に無理な力がかかることがなくなったものである。
【0033】
石油燃焼器は転倒時に油受皿3の燃料を開口部3aから流出させないように油受皿3内の油面を設定する必要があるが、カートリッジタンク4が持ち上がると油受皿3の油面が上昇し、転倒時に燃料の流出が起こる可能性がある。
この発明の実施例では、カートリッジタンク4が空量のときでもバネ手段7dに抗して駆動レバー7を離開位置に保持できるよう、バネ手段7dの強さを設定している。このようにすると、カートリッジタンク4の燃料が少なくなって重量が軽くなったときでも、カートリッジタンク4が持ち上がることがなく、油受皿3内の油面の位置を正常な油面高さに維持することができるから、石油燃焼器の転倒時に油受皿3の開口部3aから燃料を流出させる心配はない。
【0034】
また、カートリッジタンク4が空量になったときも駆動レバー7を離開位置に保持できるから、駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6と接触してタンク検出スイッチ6が押されることはなく、カートリッジタンク4が装着されているときにタンク検出スイッチ6の開閉が切換わって誤作動を起こすことがなくなった。
【0035】
カートリッジタンク4を取り出すときは、カートリッジタンク4が駆動レバー7から離れた後に駆動レバー7がバネ手段7dの力で駆動して可動端7aがタンク検出スイッチ6を押すが、駆動レバー7はストッパー7eに接触してタンク検出スイッチ6側への移動が止められてタンク検出スイッチ6に近づきすぎることがないから、タンク検出スイッチ6が無理な力で押されることがなく、カートリッジタンク4の着脱時にタンク検出手段6の破損を防止することができるものとなった。
【0036】
カートリッジタンク4を取り出した後の駆動レバー7はバネ手段7dの力でタンク検出スイッチ6側に付勢されているから、バネ手段7dの強さに多少のばらつきがあっても駆動レバー7がタンク検出スイッチ6に接触した状態を確実に保持できるものであり、カートリッジタンク4を取り出しているときにタンク検出スイッチ6の開閉が切換わって誤作動を起こすことがない。
【0037】
また、カートリッジタンク4を装着するときには、カートリッジタンク4を途中まで装着したところでカートリッジタンク4が駆動レバー7の駆動端7bと接触して駆動レバー7が駆動し、カートリッジタンク4が油受け12に装着されときに駆動レバー7が離開位置となる。
この発明の実施例では、カートリッジタンク4が接触して離開位置まで駆動する駆動レバー7の駆動ストロークDが、駆動レバー7の可動端7aが接触してタンク検出スイッチ6の開閉を切換わるときの作動ストロークdよりも長くなるよう設定している。このようにすると、駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6から離れてからカートリッジタンク4が油受け12に装着されるから、カートリッジタンク4の装着時には駆動レバー7の可動端7aが必ずタンク検出スイッチ6から離れ、確実にタンク検出スイッチ6が切換わるものとなった。
【0038】
このため、カートリッジタンク4を持ち上げなければ駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6と接触する位置まで駆動しないから、カートリッジタンク4が傾いたときや振動などでカートリッジタンク4の位置が変化しても、駆動レバー7の可動端7aがタンク検出スイッチ6と接触してタンク検出スイッチ6が押されることはないから、カートリッジタンク4が装着されているときにタンク検出スイッチ6の開閉が切換わることはなく誤作動を起こすことがなくなった。
【0039】
9は仕切板8aによってタンク収納部8から独立して形成された空間であり、タンク検出スイッチ6のベース6aを空間9内の油受皿3の上面に設置し、タンク検出スイッチ6と駆動レバー7の可動端7aが空間9内に位置し、駆動レバー7の駆動端7bが油受皿3と仕切板8aとの隙間からタンク収納部8内に届くように配置し、駆動レバー7の駆動端7bだけがタンク収納部8に位置し、タンク検出スイッチ6と駆動レバー7の可動端7aがタンク収納部8には露出しない構成となっている。
【0040】
このため、取扱者がタンク検出スイッチ6に直接触れることができないから、タンク検出スイッチ6が無理な力で押されることがなくなった。また、タンク収納部8に誤って物品を落としたときも、落下した物品がタンク検出スイッチ6に接触することを防ぐことができるものとなった。また、取扱者が駆動レバー7の駆動端7bを押したりタンク収納部8に落下した物品が駆動レバー7の駆動端7bに接触しても、駆動レバー7がタンク検出スイッチ6から離れる方向に駆動するから、タンク検出スイッチ6が無理な力で押されることがなく、タンク検出スイッチ6の破損を防ぐことができるものとなった。
【0041】
タンク検出スイッチ6の接点不良や駆動レバー7の変形などによって、カートリッジタンク4を着脱してもタンク検出スイッチ6の開閉が切換わらなくなることがある。カートリッジタンク4を装着したときにタンク検出スイッチ6が閉路に切換わらないときは、バーナ2の燃焼ができなくなるので安全性は確保でき、取扱者はタンク検出スイッチ6の不良を認識することができるが、カートリッジタンク4を取り出してもタンク検出スイッチ6が閉路のまま切換わらないときは、バーナ2が燃焼したままカートリッジタンク4の着脱が可能となり、取扱者がタンク検出スイッチ6の不良を認識しないまま使用を続けたり、タンク検出スイッチ6の不良を認識していてもそのまま使用を続けたりする可能性があり危険である。
【0042】
この発明の実施例において、通常はカートリッジタンク4が空量になって油受皿3の油面が低下し、油受皿3の油量を検出する油量検出手段10が所定の油量以下を検出すると警報手段11が作動して燃料切れを知らせ、取扱者が給油作業を行なうためカートリッジタンク4を取り出すとタンク検出スイッチ6が閉路から開路に切換わる。そして、満量となったカートリッジタンク4を再び油受皿3に装着すると、タンク検出スイッチ6が開路から閉路に切換わり、油受皿3に燃料が供給されて満量検出手段10が所定の油面以上を検出する。
【0043】
このように満量検出手段10が所定の油量以下を検出してから所定の油量以上を検出するまでの間には、必ず給油作業が行われてタンク検出スイッチ6が切換わるものである。この発明はこの点に着目したもので、油量検出手段10が所定の油面以下を検出してからタンク検出スイッチ6の開閉による切換信号が検出されないまま、油量検出手段10が所定の油面以上を検出したときは、警報手段11が作動してタンク検出スイッチ6の作動不良の警報を出力し、バーナ2が燃焼しているときは燃焼停止指令を出力するように構成したものである。
【0044】
この構成によって、タンク検出スイッチ6の作動不良を確実に検出できるようになり、取扱者がタンク検出スイッチ6の不良を認識できるようになると共に、タンク検出スイッチ6の不良が検出されてからはバーナ2の燃焼を強制的に停止して使用できなくするから、取扱者は必ず修理や点検の対応を行うものとなり、カートリッジタンク4の着脱が検出できない状態のまま使用を続けることがなくなり、安全性が確保できるものとなった。
【0045】
また、給油作業時にバーナ2の燃焼を停止すると不便さを感じる取扱者もおり、取扱者によっては駆動レバー7を押下げた状態のまま固定して、カートリッジタンク4が常に装着された状態にしようとする可能性があるが、この場合にもタンク検出スイッチ6の開閉による切換信号が検出されなくなるので、警報手段11が作動すると共にバーナ2の燃焼が停止するものであり、重大なトラブルにつながるような誤使用が防止でき、安全性が向上できるものとなった。
【符号の説明】
【0046】
1 枠体
2 バーナ
3 油受皿
3a 開口部
4 カートリッジタンク
5 口金弁
6 タンク検出スイッチ
7 駆動レバー
7a 可動端
7b 駆動端
7d バネ手段
7e ストッパー
8 タンク収納部
8a 仕切板
9 空間
10 油量検出手段
11 警報手段
D 駆動ストローク
d 作動ストローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油燃焼器の枠体(1)内には、バーナ(2)に燃料を供給する油受皿(3)を設け、かつ、カートリッジタンク(4)の給油キャップを兼ねる口金弁(5)を前記油受皿(3)の上面に設けた開口部(3a)に装着し、前記カートリッジタンク(4)の燃料を前記油受皿(3)に供給すると共に、
前記枠体(1)内には前記カートリッジタンク(4)の着脱によって開閉して信号が切換わるタンク検出スイッチ(6)を設け、
前記カートリッジタンク(4)の装着時に前記タンク検出スイッチ(6)が閉路となって前記バーナ(2)の燃焼が可能になり、前記カートリッジタンク(4)の取り出し時に前記タンク検出スイッチ(6)が開路となって前記バーナ(2)の燃焼を停止する石油燃焼器において、
前記カートリッジタンク(4)と前記タンク検出スイッチ(6)との間に配置され、前記カートリッジタンク(4)の着脱によって駆動して前記タンク検出スイッチ(6)と接離する駆動レバー(7)を設け、
該駆動レバー(7)は前記カートリッジタンク(4)の装着時に前記タンク検出スイッチ(6)から離開し、前記カートリッジタンク(4)の取り出し時に前記タンク検出スイッチ(6)と接触し、前記タンク検出スイッチ(6)の開閉が切り換わることを特徴とする石油燃焼器のカートリッジタンクの検出装置。
【請求項2】
前記駆動レバー(7)を前記タンク検出スイッチ(6)と接触する方向に付勢するバネ手段(7d)と、該バネ手段(7d)によって駆動する駆動レバー(7)を所定の位置で止めるストッパー(7e)とを設け、
前記カートリッジタンク(4)の取り出し時はバネ手段(7)とストッパー(7e)によって駆動レバー(7)がタンク検出スイッチ(6)と接触した位置を保持し、前記カートリッジタンク(4)の装着時は前記カートリッジタンク(4)がバネ手段(7d)に抗して前記駆動レバー(7)を離開位置に保持することを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器のカートリッジタンクの検出装置。
【請求項3】
前記カートリッジタンク(4)が前記駆動レバー(7)を前記タンク検出スイッチ(6)との接触位置から離開位置まで駆動するときの駆動ストローク(D)が、前記駆動レバー(7)が前記タンク検出スイッチ(6)を切換える作動ストローク(d)よりも長くなるように設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の石油燃焼器のカートリッジタンクの検出装置。
【請求項4】
前記枠体(1)内には仕切板(8a)によって前記カートリッジタンク(4)が収納されるタンク収納部(8)とは仕切られた空間(9)を形成し、
前記タンク検出スイッチ(6)と前記駆動レバー(7)の可動端(7a)が前記空間(9)内に位置すると共に、前記駆動レバー(7)のカートリッジタンク(4)側の駆動端(7b)が前記タンク収納部(8)内に位置するように配置したことを特徴とする請求項1から3に記載の石油燃焼器のカートリッジタンクの検出装置。
【請求項5】
前記油受皿(3)内の油量を検出する油量検出手段(10)を設け、該油量検出手段(10)が所定の油量以下を検出してから、前記タンク検出スイッチ(6)の切換信号が検出されることなく前記油量検出手段(10)が所定の油量以上を検出したときは、前記タンク検出スイッチ(6)の不良を知らせる警報手段(11)を作動することを特徴とする請求項1から4に記載の石油燃焼器のカートリッジタンクの検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112338(P2011−112338A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271831(P2009−271831)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】