説明

石油系油分の不相溶性を光学的に決定するコンピュータ制御自動化滴定装置

石油系油分の不相溶性を光学的に決定する自動化滴定装置が開示される。本装置は、油および溶剤用のリザーバ;密封され温度制御される撹拌槽を含み、油および溶剤を、前記リザーバから、油と溶剤を混合して混合物を形成する前記撹拌槽まで分注する液体攪拌機;ポンプおよび移送ライン;凝集体検出器;前記混合物を凝集体検出器まで移動させる移送ライン;並びに前記装置の全ての構成要素を運転・監視するようにプログラムされたコンピュータを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滴定制御用のソフトウェアを含む自動滴定装置である。より詳しくは、装置およびソフトウェアが石油系油分の不相溶性を決定する。アスファルテンの凝集は、精油所プロセス機器の汚染を起こし、原油残油の輸送・保管における厄介な問題である混合、そしてプロセス生成物ストリーム(例えば熱分解した基材油)との混合物を生じるおそれがある。従って、テスト手続きを使用して、石油系油分の混合物が不相容で、アスファルテン凝集を起こすか否かを判断する。そのようなテストのあるものは、不相溶性パラメータを測定することが必要になる。
【背景技術】
【0002】
現在、不相溶性パラメータを測定するテスト手順は、ヘプタン希釈テストおよびトルエン当量テストの2つのテストからなる。石油系油分と、種々の体積比のn−ヘプタンおよびトルエンとの混合物において、アスファルテン凝集体を顕微鏡で観察することに基づき、非溶解性指数(insolubility number)Iおよび溶解性混合指数(solubility blending number)SBNが算出される(特許文献1および特許文献2を参照されたい)。これらの測定では、混合を行い、顕微鏡のテスト用スライドを作成し、アスファルテン凝集体が存在するか否かを観察するために、人手による集約的な作業が必要になる。顕微鏡法を使用すると、単一の石油系油分の測定には、一般に3〜4時間かかる。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,997,723号明細書
【特許文献2】米国特許第5,871,634号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、2種以上の石油系油分を互いに混合した場合、アスファルテン凝集体が形成されるか否かを予測するために、原油の不相溶性を測定するための、客観的で、再現性があり、より高感度な方法を手にすることが重要である。労働時間を節約し、不相溶性パラメータを測定する顕微鏡法の主観をなくせる計器を用いて、速くて自動化された不相溶性測定方法を手にすることも有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明には、自動化滴定装置、滴定制御用の統合ソフトウェア、アスファルテン凝集の終点検出論理、並びに石油系油分、石油残油および石油混合物の不相溶性を光学的に決定するための即時報告が含まれる。この計器により、石油系油分に関し、再現性があり客観的に正確な不相溶性パラメータ(IおよびSBN)を迅速に提供するという従来の問題が、全体として統合された自動化滴定システムを使用して解決される。それは、自己不相溶性原油を含む全ての原油の不相溶性パラメータを決定するための、手動顕微鏡検査法に代わるように設計されている(特許文献1および特許文献2を参照されたい)。本発明には、LabVIEW(登録商標)で記述した統合ソフトウェアパッケージが含まれ、それは、ハードウェア構成要素の全てを自動制御し、滴定を停止するのにユーザーの介入なしで終点を自動検知するものである。本発明は更に、不相溶性パラメータをより正確に決定し、これらのパラメータをコンピュータスクリーン上に即座に報告するための、ユーザー定義可能な滴定数の、最小二乗法による換算(reduction)を提供する。全ての測定結果は、スプレッドシートと互換性を持つ形式でコンピュータのハードドライブに自動的に保存され、測定が行われるとき、測定中の全ての条件を記録するようにログファイルが作り出される。本発明はまた、機械的に連結した攪拌機を提供する。これにより、粘ちょうな油をテストすることが可能になる。本発明はまた、ユーザーが、テストのために分注シリンジの中に油を入れ、コンピュータソフトウェア上の始動ボタンを押して装置から立ち去るだけでよいように、自動化されたクリーニングサイクルを有し、装置は、その油の不相溶性パラメータを測定し、ユーザーの存在も、未処理スプレッドシート・データの煩雑な操作もなしに、それらを報告する。本発明にはまた、油および/または滴定溶剤の蒸発を防止する、閉じた混合セルおよび滴定ループが含まれる。本発明ではまた、ユーザー指定のいくつかの滴定点を一度にとることができる。またその一方で、本発明は、自動化クリーニングサイクル、より高度な終点検出、並びにスクリーンおよびハードドライブの両者への自動報告を提供し、印刷することもできる。
【0006】
本装置にはいくつかのサブシステムが含まれ、それらはコンピュータの指示で一緒に運転される。サブシステムには、基質(例えば石油系油分)と溶剤を混合する撹拌槽を含む混合システム、基質および溶剤を撹拌槽に供給する供給システム、撹拌槽の温度を制御する温度制御システム、混合システムから基質および溶剤を受け入れる検出システム、撹拌槽と検出システムの間で基質および溶剤を移動させる再循環システム、および装置の全システムを自動的に運転し、監視するようにプログラムされたコンピュータがある。好適な実施形態では、コンピュータは、滴定の間に装置をクリーニングすることを含めて、1回以上の滴定における基質の供給から終点までを、装置に自動的に指示する。以下に装置のシステム全てが更に詳細に議論される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の自動化された不相溶性装置の概略図が図1に示されている。装置の構成要素は全て完全にコンピュータ制御され、これらの構成要素は、コンピュータと構成要素をつなぐ双方向電子通信線によって、駆動および監視することができる。本発明の実施は、具体的には、分光計(コンピュータに装着したハードウェアカードによって解釈される、それ自身専用の通信プロトコルを使用)を除き、装置全てにおいてRS−232通信プロトコルに依存する。自動化滴定サブシステムは、個別の体積の油または溶剤を、極めて正確に分注する、或いは一定速度で混合バイアルに連続的に分注する双方向シリンジポンプからなる。システムの滴定ポンプは無弁ピストンポンプであり、それは滴定溶剤を、滴定容器に連続的な流れで正確に供給するものである。ポンプのヘッドに配置される2位置弁により、シリンジポンプによる、金属バイアルヘッド組立体に連結されたテフロン(登録商標)ラインを通じての混合バイアルへの注入、または、この弁に連結されたリザーバージャーから液体を取り出すことによる自動補充が可能になる。バイアルは、バイアルのねじ蓋によって金属ヘッド組立体に連結され、アダプタ頂部にあるテフロン(登録商標)プレートが、蒸発が最小限になるようにバイアルを密封する。金属ヘッド組立体中央にはプロペラを有する金属シャフトがあり、それは、バイアルの内容物を混合するのに使用される。この金属シャフトは、可撓性の回転ケーブルに連結され、このケーブルは、速度可変の混合モータに連結される。供給および返送再循環ラインは、2本の短いステンレス鋼管によって所定の位置に保たれ、これにより、再循環ラインが混合プロペラに当たらないように保たれる。再循環サブシステムは、死容積の小さい、炭化水素耐性の短い可撓性管がついた、ポンピング動作を容易にするための、速度可変のぜん動再循環ポンプからなる。再循環ループ管の残りの部分はテフロン(登録商標)である。クリーニング弁は、再循環ループ内に配置され、それをオンに切り替えると、バイアルおよびループの内容物が、蓋をした液体廃棄物容器に移る(shunted)ことを可能にする。加熱サブシステムは、バイアルを受ける空洞を有する断熱金属ブロックからなり、3個のカートリッジヒータを含む内部金属熱交換ラインを有する。ヒータのうちの2個は滴定セル、3番目は分光計検出セルの温度制御を提供する。バイアルと金属ヘッドは、セル空洞を含むブロックの上面に対してぴったり合わせられる。空洞は通常、バイアルの内容物が迅速に温度に到達するように、良好な熱伝導率を有する液体(例えば水)で満たされる。金属ブロックにはまた、滴定セルの内容物を見るのを可能にする2つの開口部が含まれる。ブロック内に配置される熱電対により、滴定温度を監視すること、およびその温度が所望の点に維持されるのを確実にすることが可能になる。加熱ブロック全体は、システムブロック上の1つのピンを解放することによって、すばやく落下させて滴定セルから離すことができる。この構成により、手動測定の際、セルを迅速に取り替えるのが可能になる。検出システムは、光ファイバ光透過分光計(OT)装置からなる。液体が厚さ100μmの光学セルを通過し、それにより光学分光計による測定が可能になる。光学分光計サブシステムはタングステン白色光源(フィラメント温度約3100K)からなり、それを使用して光ファイバーケーブルを照らす。このケーブルが、光学セルを貫くように光を方向づけ、第2の光ファイバーケーブルが透過光を集め、回折格子を使用する分光計によって波長が分離される。小型の分光計(オーシャンオプティックス社(Ocean Optics Inc.)から供給を受けた)が、専用のカード(これもオーシャンオプティックス社から供給を受けた)を介してコンピュータに連結される。所与の滴定に必要な代表的な油体積は約3〜4mlである。石油系油分の不相溶性パラメータを決定するには、数回の滴定が必要であるので、所望のパラメータを得るのに必要な合計の油体積は、通常約10mlである。
【0008】
コンピュータ制御の自動化滴定装置の概略フローチャートが図2−aに示されている。主プログラムのこのフローチャートでは、コンピュータ制御の自動化滴定を行うために、適宜のソフトウェア言語でプログラムを記述する方法についての詳細が提供される。図2−bの滴定サブルーチンに付随するフローチャートは、いかにして単一の滴定がコンピュータ制御できるかを記述しており、このサブルーチンは、テスト油の不相溶性パラメータを決定し報告するために、主プログラムによって繰り返し使われる。このフローチャートの詳細な実施は、LabVIEW(登録商標)として知られているグラフィックコンピュータ言語で行われる。本発明の一つの最も重要な態様は、この統合ソフトウェアパッケージであり、それは複数回の滴定を自動制御し、システムの動作を監視し、滴定終点を検知して各滴定を自動的に停止し、循環ループをクリーニングし、循環ループのクリーニングの実効性を測定し、最小二乗法近似を使用して不相溶性パラメータを算出し、測定結果をコンピュータスクリーンに即座に報告し、各組の滴定の履歴をログファイルに文書化し、結果を専用の形式で自動的に保存するために開発されたものであることを強調しておく。この制御プログラムは、現在LabVIEW(登録商標)で記述され、OTAT(光透過−自動化滴定)と呼ばれているが、計器の後ろに隠れた頭脳であり、それにより、他の商用計器では現在できないことを、本発明で行うことが可能になる。ユーザーは、溶剤および試料ポンプの分注速度、攪拌機速度、再循環速度、クリーニングのサイクル数、滴定の分割量分注体積、滴定を始める前にバイアルに入れる油および溶剤の初期体積を全て制御することができる。システムの始動の際に、分光計の動作を監視・記録して、滴定運転の際の分光計の運転を確認するために使用する。同様に、このソフトウェアは、溶剤の精密な供給を確実にするため、滴定ポンプの較正に対応している。更にユーザーは、滴定曲線を作成する波長を制御することができる。本発明では、バイアル中の液体体積の追跡を続けて、いっぱいになることを防止し、バイアルがあふれる前に、終点を記録せずに自動的に滴定を停止する。これは、安全に係わる重要な特徴であり、これにより、ユーザーが自信をもって計器から立ち去ることが可能になる。透過強度が極大値を通過し、ユーザー定義の量だけ減少したとき、OT滴定終点に到達し、プログラムによりOT滴定が停止される。OT滴定の終点は、具体的には、自動的に行われる最小二乗法近似によって決定される、OT透過強度が極大になる脂肪族溶剤(例えばn−ヘプタン)の体積によって規定される。
【0009】
本発明用に開発したソフトウェアでは、図2−bのサブルーチンに示すように、滴定を行うための3つの主動作モードが提供される。「自動充てん」と呼ばれる第1の動作モードでは、不相溶性パラメータを決定するための独立した滴定の数を決定する選択肢、並びにテスト油、芳香族溶剤(例えばトルエン)および脂肪族溶剤(例えばn−ヘプタン)の初期重量を入力する選択肢が、ユーザーに与えられる。ユーザーがテストすべき特定の油を油シリンジに入れ、管ラインから空気を取り除き、始動ボタンを押すと、計器はその後のユーザー介入なしで、自動的に全ての滴定を順番に行い、近似からの統計学的誤差を含めて、IおよびSBNについての結果を報告する。これは、極めて便利で時間効率のよい運転モードである。「自動の事前希釈のある手動」と呼ばれる第2のモードでは、ユーザーが、別々のバイアルにテスト油を入れ、プログラムに、各バイアル中のテスト油の初期重量がどの程度かを教えることが可能になる。次いでユーザーは、プログラムに、油の所望の初期希釈重量を与える。ユーザーはバイアルに、所望の初期希釈に対応する溶剤を全く加えない。何故なら、プログラムが溶剤ポンプを使用してこれを自動的に行うからである。ユーザーがプログラムを走らせると、今度はプログラムが、各バイアルを回してヘッド組立体にはめ込むようにユーザーを促す。所与のバイアルを回してはめ込むと、プログラムは、溶剤ポンプが所望の溶剤体積を分注するように命令し、その後滴定を始める。この第2のモードでは、そうしない場合に溶剤の初期希釈体積を手動で加えるために必要になる、ユーザー時間が節約される。「自動の事前希釈のない手動」または単に「手動」と呼ばれている第3のモードでは、ユーザーが、テスト油および適宜の所望の初期希釈体積の溶剤を別々のバイアルに入れ、プログラムに、各バイアルにおけるテスト油および溶剤の初期体積がどの程度かを教えることが可能になる。ユーザーがプログラムを走らせると、今度はプログラムが、各バイアルを金属ヘッド組立体に回してはめ込むようにユーザーを促し、滴定を行う。このモードは、運転中にユーザーの存在を必要とする。それは前と同じようには便利でないが、それにより、重質原油、残油などの高度に粘ちょうな油の不相溶性パラメータの測定が可能になる。粘ちょうな油は、混合物の再循環を容易にするために、溶剤とのある程度の予備混合が必要である。
【0010】
ソーエダイ(Souedie)原油の不相溶性パラメータを測定した後(自動充てんモードで4回の滴定)の、ソフトウェアの前面パネルの例を図3−a〜dに示す。図3−aは、ユーザーおよび試料情報、並びに設定条件を示す。これらは全てログファイルに記録される。図3−bは、最後の滴定体積を加えた後の混合物のOT測定の例を示す。各滴定終点から、相境界線上の量HおよびIを算出することができる。Hは、油体積を溶剤の合計体積で割ったものの100倍と定義され、Iは、芳香族液体体積を溶剤の合計体積で割ったものの100倍と定義される。最後に、図3−cのOT検出データについての、H−I平面にある全ての滴定によって決定される、ソーエダイ油についてのアスファルテン不相溶性相境界線が示される。これらの点の最小二乗法近似を使用して直線が決定され、それからパラメータIおよびSBNが決定され、表示される。測定点の十分な再現性が得られない場合、プログラムはユーザーに警告する。
【実施例】
【0011】
この計器を用いると、原油の場合の不相溶性パラメータの典型的な測定には約1〜2時間が必要となる。軽質原油、重質原油、アスファルテンを含まない原油、自己不相溶性油、残油および精油所生成物については、不相溶性パラメータが首尾よく測定された。
【0012】
従来技術に対してのこの計器の利点としては、以下が挙げられる:
(a)迅速でユーザーに依存しない、不相溶性パラメータの測定方法;
(b)滴定、混合、加熱、再循環、較正および検出に使用する構成要素全ての、統合されたコンピュータ制御;
(c)粘ちょうな油の場合でも、混合物の均一性を保証する機械的攪拌機;
(d)終点検出およびプロセス制御に関する、コンピュータに基づく論理(即ち、滴定プロセスにおけるコンピュータフィードバック);
(e)分光計システムの動作の監視および滴定ポンプの較正に関する、コンピュータに基づく論理;
(f)高度に正確なシリンジポンプによる、個別の油および芳香族溶剤の分割量の分注(広範囲の滴定速度が可能になる);
(g)高度に正確な無弁ピストンポンプによる、連続的な滴定液溶剤の分注;
(h)3種の動作モード:自動充てん、自動の事前希釈のある手動および自動の事前希釈のない手動;
(i)自己不相溶性油に関する相溶性パラメータを測定するための、予め定義されたプロトコルの可用性;
(j)ユーザー定義の滴定数および初期滴定体積;
(k)分析シーケンスの際、分析を停止する必要なく追加の滴定実験(run)を加え得ること;
(l)テスト油体積の小さいこと(1滴定あたり3〜4ml);
(m)未処理の測定強度、滴定曲線および不相溶性相境界線が、スクリーン上にリアルタイムで報告されること;
(n)不相溶性パラメータを決定する際の計器の履歴全体を文書化したログファイル;
(o)不相溶性パラメータが不相溶性相境界線に対する最小二乗法近似によって決定され、報告されること;
(p)未処理の測定データ、滴定曲線および不相溶性相境界線の、ハードドライブへの自動記録;
(q)コンピュータによって自動的に監視される、クリーニングサイクルおよび溶剤シリンジの補充;
(r)滴定間のホールドアップ溶剤量を最小限にする切り替え空気源。
【0013】
光学分光法は、アスファルテン凝集を検出するために使用されてきたが(アンデルセン、SI:「石油アスファルテンの凝集開始滴定(Flocculation Onset Titration of Petroleum Asphaltenes.)」(エネルギーおよび燃料(Energy & Fuels)、1999 13:315〜322)を参照されたい)、従来の市販計器はこれらの機能を提供していない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンピュータ制御/光透過分光法による自動化滴定(OTAT)装置の概略図を示す。
【図2−a】主コンピュータープログラムのフローチャートを示し、それは、自動化滴定装置を含んでなる装置を制御し、光学検出器から得た信号を処理してアスファルテン凝集体の不存在または存在を検出し、コンピュータのビデオディスプレイおよびハードディスクドライブに結果を報告するものである。
【図2−b】主コンピュータープログラムによって使われるサブルーチンのフローチャートを示し、それは、単一のコンピュータ制御滴定を行い、光学検出器を使用して自動的に滴定終点を検出し、自動的に滴定を停止し、バイアル、セルおよびフローラインを自動的に洗浄するものである。
【図3−a】OTATソフトウェアの前面パネルの一部を示し、それは、ユーザーおよび試料情報、並びに運転パラメータを含んでいる。
【図3−b】OTATソフトウェアの前面パネルの一部を示し、それは、自動化されたセットアップスクリーンを示しており、操作者は、これを使って油および溶剤混合物を入力する。このスクリーンはまた、I対Hが算出されたとき、それらの結果およびプロットを表示する。
【図3−c】OTATソフトウェアの前面パネルの一部を示し、それは、n−ヘプタンを使用して滴定したソーエダイ油の滴定曲線を示している。光透過分光法の波長は750nmに設定した。OT曲線の極大値は、アスファルテン凝集体による光散乱のため透過が低下したことを示す。
【図3−d】制御スクリーンを示し、それにより、自動化モード時を除いて、ポンプおよび攪拌機の運転、並びにシステムの各構成要素全ての状態の監視が可能になる。
【図3−e】OTATソフトウェアからのデータのプロットを示し、これは、ソーエダイ油のアスファルテン凝集に対応する測定された不相溶性相の境界線、これらのデータに対する最小二乗法近似、並びに、この近似から定められる不相溶性パラメータIおよびSBNを、これらの値における近似からの統計的な誤差と共に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質を1種以上の溶剤を用いて終点まで滴定する自動化滴定装置であって、
(a)前記基質と前記溶剤を混合する撹拌槽を含む混合システム;
(b)前記基質および溶剤を前記撹拌槽に供給する供給システム;
(c)前記撹拌槽の温度を制御する温度制御システム;
(d)前記混合システムから前記基質および溶剤を受け入れる検出システム;
(e)前記撹拌槽と前記検出システムの間で前記基質および溶剤を移動させる再循環システム;および
(f)前記装置の1つ以上の滴定について、前記基質の供給から前記終点までの全システムを自動的に運転し、監視するようにプログラムされたコンピュータ
を含んでなることを特徴とする自動化滴定装置。
【請求項2】
前記供給システムは、ポンプおよび移送ラインを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動化滴定装置。
【請求項3】
前記ポンプは、シリンジおよび無弁ピストン式ポンプであることを特徴とする請求項2に記載の自動化滴定装置。
【請求項4】
前記供給システムは、前記ポンプが空になったとき、前記シリンジポンプに溶剤が自動的に補充されるように、前記溶剤用のリザーバを更に含んでなることを特徴とする請求項3に記載の自動化滴定装置。
【請求項5】
前記検出システムは、分光セルを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動化滴定装置。
【請求項6】
前記分光セルは、前記温度制御システムによって温度制御されることを特徴とする請求項5に記載の自動化滴定装置。
【請求項7】
前記再循環システムは、クリーニング弁および廃液容器を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動化滴定装置。
【請求項8】
前記コンピュータは、1回以上の連続滴定について、前記基質の供給から前記終点まで、全システムを自動的に運転することを特徴とする請求項1に記載の自動化滴定装置。
【請求項9】
(a)油および溶剤用のリザーバ;
(b)液体攪拌機を含む、所定温度の撹拌槽;
(c)油および溶剤を、前記リザーバから、油と溶剤を混合して混合物を形成する前記撹拌槽に分注する分注システムポンプおよび移送ライン;
(d)凝集体検出器;
(e)前記混合物を撹拌槽へ、また撹拌槽から凝集体検出器まで移動させる再循環システムポンプおよび移送ライン;
(f)前記装置の全ての構成要素を運転するようにプログラムされたコンピュータ;および
(g)滴定間で溶剤ホールドアップ量を最小限にする切替え空気源
を含んでなることを特徴とする光学式自動化滴定装置。
【請求項10】
前記(c)のポンプは、シリンジおよび無弁ピストン式ポンプであることを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項11】
前記(e)のポンプは、ぜん動ポンプであることを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項12】
前記再循環システムは、クリーニング弁および廃液容器を更に含んでなることを特徴とする請求項10に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項13】
前記液体攪拌機は、シャフトが撹拌槽内のその端部にプロペラを有して撹拌槽中に延在する機械的攪拌機を含むことを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項14】
前記コンピュータは、所定数の滴定を自動的に行うことを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項15】
前記装置は、所定の滴定速度を有することを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項16】
前記コンピュータは、前記混合物を処理し、芳香族溶剤でシステムを洗浄し、分注ポンプを再び満たすようにプログラムされていることを特徴とする請求項12に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項17】
前記光学式検出器は、薄い光学セルを含むことを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項18】
前記光学セルは、20〜200μmであることを特徴とする請求項17に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項19】
前記コンピュータは、石油系油分の不相溶性パラメータを決定することを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項20】
前記コンピュータは、更に参照できるように前記不相溶性パラメータを保存することを特徴とする請求項19に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項21】
前記コンピュータは、リアルタイム表示のために滴定曲線およびアスファルテン凝集体相境界線を決定することを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項22】
前記コンピュータは、自動的に滴定終点を検出することを特徴とする請求項14に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項23】
前記コンピュータは、自動充てん、自動事前希釈のある手動および自動事前希釈のない手動の3つの動作モードを可能にすることを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項24】
前記コンピュータは、最小二乗法近似を使用して前記不相溶性パラメータを決定することを特徴とする請求項19に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項25】
前記コンピュータは、全てのグラフィックデータのリアルタイム表示を提供することを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項26】
前記コンピュータは、前記装置によって行われる全ての運転のログファイルを保持することを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項27】
前記コンピュータは、トルエン当量を決定するようにプログラムされることを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項28】
前記光学式検出器は、分光検出器であることを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。
【請求項29】
前記切替え空気源は、滴定間のセルおよび再循環システム内の溶剤ホールドアップ量を最小限にすることを特徴とする請求項9に記載の光学式自動化滴定装置。

【図1】
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【図2−a】
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【図2−b】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図3−c】
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【図3−d】
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【図3−e】
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【公表番号】特表2007−524830(P2007−524830A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517567(P2006−517567)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/020089
【国際公開番号】WO2005/003754
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】