説明

石焼筍の製造方法。

【課題】
筍の調理過程で筍の特性を利用して加熱蒸気泡蒸し茹で、煎り焼き含有水分を任意適量蒸発除去、半乾燥保存用の添加物等を一切使わず、筍の味覚を濃縮した風味と食感の良い石焼筍の食材を年間を通して提供する。
【解決手段】
エコ釜に少量の糠汁を入れ根元を下に皮付き筍1を、釜底の焼石に立て詰め上蓋を閉め釜炉に着火加熱約5分で沸騰加熱蒸気泡は約98℃に達し筍を約20分で蒸気泡茹で終わり、茹で汁(筍の含有水分の蒸発凝縮水を含む)を抜きながら、極々弱火約130℃以下の適温で所定時間煎り焼き、含有水分量の約45%を蒸発半乾燥させ、火元を止め釜蓋を開放15分間冷却後焼き筍を取り出し縦割り外皮を除去清水で流し洗い洗浄、緩めの網袋に適量ずつ収容、清水槽で水晒しあく抜き、水切りした石焼筍を得て、真空パック殺菌処理、味覚が濃縮され食感と風味の良い、美味しい食材を年間通して提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石焼筍の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品目的の筍は従来から水煮又は、湯通し筍を水晒しや洗浄を繰り返し行い、水入れポリパックされた製品など市販提供されているが、保存期間が長いほど水っぽくなる更に劣化防止調整剤など添加するので旨味を失い酸味の強いものとなる、品質劣化の進み易い筍の保存方法としては好ましくない、保存性を良くするため昔から一般的に用いられてきた漬物方式は、塩戻しなどの問題がある、そこで関連技術に下記のような特許物件出願がなされている。
【0003】
特許文献1に係る発明は、筍の包装体とその製造方法に関するもので、採集した皮付き筍をそのままの状態で茄で、冷却、包装真空密閉、加熱殺菌したものを、収穫時期以外も商品として提供しょうとするものであるが、余分な外皮のついたままでの水煮筍の長期の保存には劣化、味覚の変化に疑問が生じる懸念がある。
【0004】
特許文献2に係る発明は、タケノコの調理方法及び調理済みタケノコを提供しょうとするものであり、茹で上りタケノコの皮を剥ぎとり冷凍保存して食感の良いタケノコを提供しょうとするものであるが、タケノコ固有の含有水分が、保存中旨味を阻害する要因であり、長期間の冷凍保存はタケノコの旨味と食感を低下させる懸念がある。
【0005】
特許文献3については、焼筍及びその製造方法に関するもので皮剥ぎ水煮し表面をバーナーで焼き焦げ目を付け、視覚的食欲を高め、焼硬めにより旨味が外に漏れないとするものであるが、水煮筍は含有水分を保有したままで前記特許文献同様に筍の特性上、保存性味覚等に、疑問が生ずる懸念がある。
【0006】
【特許文献1】特開2007−110940号公報
【特許文献2】特開2007−082412号公報
【特許文献3】特開2002−142706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に鑑み、筍の調理過程で筍の特性を利用して燻し茹で、燻り焼、含有水分の任意適量を蒸発させ除去して、保存用の添加物等を一切使わず筍の味覚を濃縮、風味と食感の良い石焼筍の食材を年間通して提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記課題を解決するため、石焼筍の製造方法としてなされたもので請求項1記載の発明は、採集直後の筍を洗浄、根元節の中心部から先端節まで検査針で刺し穴を空けた皮付き筍1を、燻し汁を適量入れたエコ釜の焼石に根元を下に適量を立て詰め、釜蓋を閉め釜炉に着火やや強火で加熱、燻し汁は98〜99℃の加熱蒸気泡で釜内を充満、筍を所定時間(約25分間)で燻し茹で終り極弱火に変更茹で汁を抜き去る、後は所定温度(130℃以下)と時間(20〜30分間)で燻り焼、筍2の含有水分量の30%以上で適量(約45%)を蒸発させ除去し火元を止め釜蓋を開放、15分以上そのまま少し冷却後焼筍を取り出し縦(二〜四つ)割り、熱いうちに外皮を除去清水で流し洗い緩めの網袋に適量ずつ収容、袋口を閉め清水槽で(1〜2時間)水晒しあく抜き、袋ごと除水機に移し入れ水切り(5分)した石焼筍を得ることを特徴とする、石焼筍の製造方法。
【0009】
更に請求項2記載の発明は、前記水切りした石焼筍を、薄切りしてエコ釜中空の内籠に入れ適温(130℃以下)で又は天日干しで乾燥させた乾物筍を得ることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【0010】
更に請求項3記載の発明は、前記水切りした石焼筍又は乾物筍を検査選別,適量を専用のポリ袋に入れ真空梱包装置で真空パック後、エコ釜中空の内籠(98〜99)に入れ清水加熱蒸気で蒸気蒸し(約20〜30分間)殺菌し冷却して成ることを特徴とする、請求項1及び2記載の石焼筍の製造方法。
【0011】
更に請求項4記載の発明は、請求項2記載の乾物筍を、粉砕機で粉砕後製粉機に掛け粉末にした後専用の袋に適量ずつ入れ真空パックして成る、粉末筍のパック製品を得ることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【0012】
更に請求項5記載の発明は、前記エコ釜は本体及び釜蓋と焼石から成り本体に温度計と水抜弁を備え、釜蓋は蒸気の水滴を釜の内壁側に導く円錐形とし、焼石は硬い円盤状の石板に多数の泡吹口を設け、燻し汁の加熱泡で釜内を充満、焼石と少量の燻し汁を加熱媒体として野菜類筍を燻し茹で燻り焼、含有水分を任意適量蒸発させ除去及び加熱蒸気蒸し殺菌と乾燥のできるエコ釜であることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【0013】
更に請求項6記載の発明は、前記燻し汁は,加熱発泡性とあく抜き及び加熱媒体効果で野菜類筍を燻し茹で後、燻り焼する目的で発明されたもので、エコ釜容積の約1%量をエコ釜に注ぎ入れ、加熱すると短時間で多量の加熱蒸気泡を発生釜内に充満、野菜類筍を燻し茹で、燻し汁の残留微粒子と焼石で、エコ釜の焦げ付きを防ぎ燻り焼、味覚を濃縮した風味と食感の良い石焼筍を得られる燻し汁であることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
当該発明は上記の構成から成るので以下に示す主な効果がある。
1 筍特性の含有水分を燻り焼除去した石焼筍は長期保存性が良く味覚に変化を生じない。
2 自然原理の技法で燻し茹で焼く石焼筍は、旨味が濃縮され風味豊かな自然そのものの筍であり軽量、既存同等量製品の二分の一以下で取り扱い易く流通コストも軽減できる。
3 石焼筍製造技術は従来の水煮と比較、消耗水は80%程度減少一酸化炭素の排出量も減少するので地球温暖化防止の効果は大きい、又生産性も良く優れている。
4 添加物を使わず旨味が濃縮した石焼筍は、多くの二次製品が期待され、調理もし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を図面に、従って説明する。
図1は、外皮付き筍の一部分を切り欠いた外形姿図であり、1は皮付き筍、2と4は可食に用いられる、5は節々間を示し、7は燻り焼中の破裂を防ぎ含有水分の蒸発除去を速める効果のある細い刺し穴である。
【0016】
図2は筍1の根元切り口正面図であり筍2及び4を示し4の中心部の細い刺し穴7は先端部の節まで貫通する。
【0017】
図3は、エコ釜の縦断面図である、エコ釜は本体及び釜蓋と、焼石から成り焼石には泡吹口を設け加熱蒸気泡の発生効果がある、本体に温度計と水抜き弁を備え温度計は釜温度の管理に、水抜き弁は燻し茹で上げ後弁を開放茹で汁を抜きそのまま、燻り焼をして任意適量の含有水分を蒸発させ除去する、エコ釜はアルミ合金製又はステンレス鋼等が良く、胴径高さ共40cm位で釜底は平面が最も合理的で容積50リットル位が簡易性もあり、筍採集場でも利用し易く能率的且つ早期処理で品質向上に効果がある、エコ釜は釜底を集中的に熱し、釜外は空気で多少冷脚されても良く、その理由は釜内の加熱蒸気泡の上下に微量の温度差を生じ、筍を立て詰めにする相乗効果で筍の先方部の茹で過ぎを防止、含有水分の蒸発凝縮水滴は重力作用で降下する効果が大きい。
【0018】
図4は、焼石の泡吹口断面図である、焼石は厚さ約2cm円板状で釜底に合う1枚もの石板に多数の泡吹口を設け下側の沸騰体積を大きくして、加熱発泡量が多くより上まで泡を吹き上げる効果が得られる。 尚焼石は硬い玉石の径15mm位を釜底に多数入れ代用できるので1枚ものの焼石に限定するものではなく、加熱泡吹き効果は多少落ちるが清掃がし易い利点もあり、硬い単体玉石の代替焼石も当該発明の実施範囲内である。
【0019】
当該実施における清水槽8は、筍を水洗い洗浄、水晒し等できる専用の器である。
【0020】
当該実施における除水機9は、遠心分離脱水機で、過剰な脱水は筍の旨味まで離脱させるので、石焼筍の水切りは約4分位が好ましく、5分以下で終わるようにする。
【0021】
当該実施における燻し汁11は、加熱発泡性とあく抜き及びエコ釜の空焚きを防ぎ加熱
媒体効果がある、食物性物質、清水10リットル70℃温湯中に、木綿袋に米糠1kgを入れ袋口を閉めて浸漬糠汁を揉み出し、木綿濾し冷却後小麦粉適量を調合攪拌して得る、溶液水をポリ容器に入れ簡易移動性を重視した使い易い燻し汁である。
【0022】
当該実施における検査針10は、巾約5mm厚さは両端が1mm中央1,5mmの変形6角形で長さが約25cm、中央先端約10mmは先細り状でやや平型の検査針で手元は握り易く、節々貫通刺し穴明けと筍の茹で上がり状態の検査に用いることができる、筍の胴体で大きな部分に横から刺し込み外皮とも軽く貫通すれば可食できる、茹で上がり状態と判断できる兼用の検査針。
【0023】
当該実施におけるエコ釜の付属品の内籠33は、焼石上空間に取り付ける専用の内籠であり石焼筍の清水蒸気蒸し殺菌及び乾物筍の製造や、野菜等の燻し茹で時に使用すると出し入れが内籠ごと能率良くできる便利な内籠である。
【実施例】
【0024】
当該実施では、燻し汁を釜容積の1%量と筍1を9kgエコ釜、径高さ共40cm容積約50リットルに入れ焼石上に立て詰めて釜炉に着火、加熱燻し茹で25分後茹で汁を抜き、燻り焼を120℃で20分間して、釜蓋を開放したまま15分の標準施工で、含有水分約45%を蒸発させ除去した、焼筍を取り出し外皮を除去、清水で流し洗い網袋に適量ずつ収容袋口を閉め清水槽で1,5時間水晒しあく抜き、水切り5分で網袋の焼筍を取り出し形を整えて成る石焼筍2,7kgが短時間で得られた。
【0025】
本発明は,上記実施例に限定されず、請求項を逸脱しない限り摘宣変更が可能である。
尚、筍は自生植物で含有水分は自生地質や成長時期、品種や成長期の降雨量等により左右され約15%位のバラツキがある、石焼筍は標準施工で含有水分の約45%位を蒸発させ半乾燥状態の筍が最も味覚に優れ、食感、香りとも良いことが試食結果から認められる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
石焼筍の製造技法は、味覚が濃縮され風味、食感共に良く他の野菜類例えば、大根、とうもろこし、キャベツやかぼちゃ等、丸茹ですると味覚が非常に良く、従来の水煮に比べ水や燃費が大幅に削減できる、熱エネルギーの放出が少なく地球環境にやさしい施工方法であるので他の産業界でも多く利用される可能性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】は本発明の、皮付き筍1の一部分を切り欠いた外形姿図。
【図2】は本発明の、皮付き筍1の根元切り口正面図。
【図3】は本発明の、エコ釜の縦断面図。(1と26は施工時のイメージ記載)
【図4】は本発明の、焼石の泡吹口部分の断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 皮付き筍
2 筍
3 外皮
4 筍の節
5 節々間
6 根元切り口
7 刺し穴
8 清水槽
9 除水機
10 検査針
11 燻し汁
12 石焼筍
20 エコ釜
21 本体(エコ釜)
22 釜蓋
23 温度計
24 焼石
25 水抜弁
26 加熱泡
27 泡吹口部分断面図
28 泡吹口
29 焼石上面
30 沸騰部
31 蒸気蒸し(清水)
32 網袋(網目20×20)
33 内籠(エコ釜専用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採集直後の筍を洗浄、根元節の中心部から先端節まで検査針で刺し穴を空けた皮付き筍1を、燻し汁を適量入れたエコ釜の焼石に根元を下に適量を立て詰め、釜蓋を閉め釜炉に着火やや強火で加熱、燻し汁は98〜99℃の加熱蒸気泡で釜内を充満、筍を所定時間で燻し茹で終り極弱火に変更茹で汁を抜き去る、後は所定温度と時間で燻り焼、筍2の含有水分量の30%以上で適量を蒸発させ除去して火元を止め釜蓋を開放、15分以上そのまま少し冷却後焼筍を取り出し縦割り、熱いうちに外皮を除去清水で流し洗い緩めの網袋に適量ずつ収容、袋口を閉め清水槽で水晒しあく抜き、袋ごと除水機に移し入れ水切りした石焼筍を得ることを特徴とする、石焼筍の製造方法。
【請求項2】
前記水切りした石焼筍を、薄切りしてエコ釜中空の内籠に入れ適温で又は天日干しで乾燥させた乾物筍を得ることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【請求項3】
前記水切りした石焼筍又は乾物筍を検査選別,適量を専用のポリ袋に入れ真空梱包装置で真空パック後、エコ釜中空の内籠に入れ清水加熱蒸気で蒸気蒸し殺菌し、冷却して成ることを特徴とする、請求項1及び2記載の石焼筍の製造方法。
【請求項4】
請求項2記載の乾物筍を、粉砕機で粉砕後製粉機に掛け粉末にした後専用の袋に適量ずつ入れ真空パックして成る、粉末筍のパック製品を得ることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【請求項5】
前記エコ釜は本体及び釜蓋と焼石から成り本体に温度計と水抜弁を備え、釜蓋は蒸気の水滴を釜の内壁側に導く円錐形とし、焼石は硬い円盤状の石板に多数の泡吹口を設け、燻し汁の加熱泡で釜内を充満、焼石と少量の燻し汁を加熱媒体として野菜類筍を燻し茹で燻り焼、含有水分を任意適量蒸発させ除去及び加熱蒸気蒸し殺菌と乾燥のできるエコ釜であることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。
【請求項6】
前記燻し汁は,加熱発泡性とあく抜き及び加熱媒体効果で野菜類筍を燻し茹で後、燻り焼する目的で発明されたもので、エコ釜容積の約1%量をエコ釜に注ぎ入れ、加熱すると短時間で多量の加熱蒸気泡を発生釜内に充満、野菜類筍を燻し茹で、燻し汁の残留微粒子と焼石で、エコ釜の焦げ付きを防ぎ燻り焼、味覚を濃縮した風味と食感の良い石焼筍を得られる燻し汁であることを特徴とする、請求項1記載の石焼筍の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−22358(P2010−22358A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268081(P2008−268081)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【特許番号】特許第4349591号(P4349591)
【特許公報発行日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(595042737)
【Fターム(参考)】