説明

石膏鋳型の製造方法、石膏鋳型および石膏鋳型による精密部品の製造方法

【課題】石膏鋳造法による鋳造製品は、石膏鋳型の勘合の僅かなずれ及び鋳造時の押湯高さの違いにより、後加工となる機械加工原点のばらつきを生じ製品寸法がばらつくという問題があった。
【解決手段】製品寸法に収縮率を付与したマスターモデルにさらに加工代を追加した上で、加工代に冷却促進作用を有する加工基準部材15a〜15dを挿入したマスターモデル1を元に石膏鋳型3を作成する。この石膏鋳型を用いて鋳造製品4を製作した場合、加工基準部材が鋳造後の鋳物の収縮状態を把握する点と点をなし一連の加工基準となり、精密な構造の製品が製造可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石膏鋳造法による精密部品の製造に用いられる石膏鋳型の製造方法、石膏鋳型および石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型を用いて精密部品を製造する石膏鋳型による精密部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石膏鋳造法ではその鋳造に用いられる石膏鋳型が欠損し易いという性質を持つことが課題としてある。その点を改善する為に、線状材を所定形状に編んだ補強部材をゴム型の石膏の欠損が生じやすい部位に配設し、この状態で石膏を流し込んで補強部材を石膏鋳型に埋没する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
この方法により石膏を流し込んだゴム型からの石膏鋳型の離型の際に、石膏鋳型の欠損を抑制し、また石膏鋳型を用いて精密部品などの鋳造品を製造する際の石膏鋳型の欠損・割れを抑制することが可能となる。
【0003】
また、石膏鋳造法ではその鋳造に際しては製品と同数の石膏鋳型を必要とするため、型組み付け状態等、その個性に製品形状・寸法が依存する上、その鋳造に際しては鋳物の充填密度を向上する為に用いられる押し溶湯の高さに依存した鋳物に巣・引け等(鋳物欠陥)が生じ、品質が安定し難いという課題もある。この点に関して、鋳物欠陥の発生を防止し、高品質で信頼性の高い構造部材の製造方法を、羽根車の製造に対して吸引鋳造法を適用することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)
この吸引鋳造法は、羽根車形状に対応する空間形状を有するキャビティが通気性を有する石膏部材と冷し金で画成され、冷し金に対向する位置に湯口部を有する石膏鋳型を、石膏鋳型の羽根車形状の羽根部を画成する部分の外周が減圧空間となるチャンバー内に導入し、減圧空間を減圧することにより石膏鋳型を介してキャビティを減圧し、湯口部から溶湯を吸引してキャビティに鋳造するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−275923号公報
【特許文献2】特開2008−264846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然しながら、石膏鋳造法で満たされる公差はダイキャスト法に達すると言えるものの、ダイキャスト法と異なり石膏鋳型が製品各々の個性に依存する為、数十ミクロン台の寸法公差を持つ製品を多数製造する場合には、機械加工原点を特定し易くするため収縮方向に依存せず安定した点を製品に設定する必要がある。この点、石膏鋳型による鋳造物は加工原点を取り難く、寸法精度が厳しい製品を安定して製造することが困難であるという課題があった。
【0006】
また、石膏鋳造法は、その工法上一つのマスターモデルと、一つのマスターモデルから製品と同数の石膏鋳型を製造する必要がある。それ故、石膏鋳型による構造部品の成形品には、その石膏鋳型の勘合の僅かなずれ及び鋳造時の押湯高さの違いにより、後加工となる機械加工原点のばらつきを生じ、製品寸法がばらつくという問題があった。
【0007】
さらに、石膏鋳造に用いられる石膏材料は、その厚さが薄い場合は硬度が確保されず、精密且つ複雑な内部形状をもつ構造部品を製造するには、機械加工抜きでは適用できない
という問題もあった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、石膏鋳造法で製造される鋳造物自体に加工基準点を取ることを目的とした部材を石膏鋳型に埋め込むことで、機械加工時の加工原点の設定を容易にすることを可能とする石膏鋳型の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、この発明は、加工基準となる部材を埋め込んだ石膏鋳型を用いて鋳造物を製造し、鋳造物自体に形成された加工原点を基に製品の個性を踏まえた機械加工を施すことにより、寸法精度が優れた精密部品の製品を製造することが可能な石膏鋳型による精密部品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の石膏鋳型の製造方法は、最終製品である鋳造製品に鋳造材料の収縮率および加工代を付加したサイズでマスターモデルを製作する工程、外枠を組んだ箱の中にマスターモデルをセットし、箱の中にシリコン樹脂を流し込んでシリコン樹脂を硬化させ、硬化したシリコン樹脂を切断してマスターモデルの形状に対応する複数のゴム型を作成する工程、ゴム型に石膏を流し込んで硬化させ、硬化した石膏をゴム型から離型させてマスターモデルの形状に応じたキャビティを有する石膏鋳型を製作する工程、マスターモデルを製作する工程から石膏鋳型を製作する工程までのいずれかの工程において、鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材を、加工代に対応する箇所に複数本設ける工程を備えたものである。
【0011】
この発明の石膏鋳型は、石膏型に溶湯金属を封入して鋳造製品を製造する石膏鋳造法に用いられる石膏鋳型において、石膏鋳型を最終製品である鋳造製品よりも加工代を付加した大きさの形状で作成し、石膏鋳型の加工代に対応した箇所に鋳造製品の機械加工原点を設定するための加工基準となる部材を、複数本設けたことを特徴とするものである。
【0012】
さらにこの発明の石膏鋳型による精密部品の製造方法は、石膏鋳型の湯口から鋳物用の溶湯金属を封入して鋳造製品を製作する工程、鋳造製品を石膏鋳型から取り出す工程、鋳造製品に加工基準となる部材によって形成された点を基に、鋳造製品を機械加工する工程を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の製造方法によって製作された石膏鋳型において、石膏鋳型に挿入される鋳造製品の加工基準となる部材が、鋳造後の鋳造物の収縮状態を把握する点と点をなして一連の加工基準となり、それを基に機械加工することにより精密な部品を製造することが可能となる。
【0014】
さらに、石膏が薄く欠損が生じ易い部位のみ石膏の代替として、寸法精度を満足し且つ溶湯金属と一体化しない部材を予め挿入しているため、石膏の強度向上に加え、鋳造物の機械加工箇所を減らすことができ、より精密な部品を製造することが可能となる。
【0015】
また、石膏鋳型の一部を鋳物用の溶湯金属と比較し融点が同じかより低い金属の部材にて構成し、鋳物用金属の溶湯にて本部材と注入された溶湯との界面近傍または広範囲が溶融・融合した形状をなして鋳物用の溶湯金属と一体化することにより、精密構造を有する部位の部分については予め加工された部材が残り、要求精度を満足した精密製品を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1における石膏鋳型の製造方法および精密部品の製造方法の処理フローを示す図。
【図2】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程のマスターモデルの作成状態を示す図。
【図3】この発明の実施の形態1におけるマスターモデルに加工基準部材を挿入した図。
【図4】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程の一次ゴム型の作成状態を示す図。
【図5】この発明の実施の形態1における一次ゴム型を示す斜視図。
【図6】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程の二次ゴム型の作成状態を示す図。
【図7】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程の石膏鋳型の製作状態を示す図。
【図8】この発明の実施の形態1における石膏鋳型の組み立て図。
【図9】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程の鋳造製品の製作状態を示す図。
【図10】この発明の実施の形態1における鋳造製品を示す図。
【図11】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程の鋳造製品の機械加工状態の一例を示す図。
【図12】この発明の実施の形態1における製造方法の一工程の鋳造製品の機械加工状態の他の例を示す図。
【図13】この発明の実施の形態2における石膏鋳型の製造方法および精密部品の製造方法の処理フローを示す図。
【図14】この発明の実施の形態3における製造方法のマスターモデルの作成状態を示す図。
【図15】この発明の実施の形態3における製造方法の一工程の石膏鋳型の例を示す図。
【図16】この発明の実施の形態3における製造方法の一工程のマスターモデルの作成状態を示す図。
【図17】この発明の実施の形態3における製造方法の一工程の鋳造製品の製作状態を示す図。
【図18】この発明の実施の形態4における製造方法の一工程のマスターモデルの作成状態を示す図。
【図19】この発明の実施の形態4における製造方法の一工程の鋳造製品の製作状態を示す図。
【図20】この発明の実施の形態5における石膏鋳型の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型を用いて精密部品を製造する石膏鋳型による精密部品の製造方法について、図1〜図12に基づき説明する。
なお、以下の説明においては、精密部品としてアルミ製のホーンアンテナについて述べるが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
この発明の実施の形態1における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型による精密部品の製造方法の全体の流れは、図1に示す処理フローに基づいて行なわれる。
図1において、まずステップS1は、精密部品の製作図面に基づき、ABS樹脂などを切削加工してマスターモデルを製作する工程である。このステップS1は2つのステップS11、S12の工程からなり、ステップS11においては、マスターモデルは最終製品
である精密部品の大きさに、鋳物材料(例えばアルミニウム)の収縮率および鋳造物の機械加工を行なう加工代を付加した大きさで製作する。鋳物材料の収縮率は、鋳物材料および製品の形状・寸法によって異なるが、概略1/100±2/1000を付加する。
ステップS12においては、ステップS11で製作されたマスターモデルの加工代に対応する箇所に、鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材を、設ける。加工基準となる部材の挿入位置は、高温にて歪み石膏厚さが薄い型部位は破損の惧れがある為、石膏厚さが十分ある部位にする。
【0019】
図2は上記ステップS11において製作されたマスターモデルの図を示し、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は上面図、図2(d)は斜視図を表している。
このマスターモデル1は、ホーンアンテナの例を示しており、ホーンアンテナはラッパ状のホーン部11と給電部12からなっている。またマスターモデル1は、最終製品である精密部品の大きさに、精密部品の寸法公差が要求される部位に機械加工を行なう加工代13a、13b、および鋳物材料の収縮率が付加された大きさで製作されている。さらに加工代13a、13に対応する箇所には、ステップS12で設けられる加工基準となる部材を埋め込むための穴14a〜14dが設けられている。
【0020】
図3は上記ステップS12において製作された加工基準となる部材(以下、基準棒と称する)15a〜15dを設けたマスターモデル1の図を示し、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は上面図を表している。
この基準棒15a〜15dは、穴14a〜14dに挿入されて埋設され、基準棒15a〜15dに鋳造時の冷し金の役目を期待する場合は、鋳造金属より融点の高い銅合金、鉄鋼、SUS等で構成される。基準棒15a〜15dに冷し金の役目を期待せず、構造を優先する場合には、耐熱性があり歪みにくいセラミック等非金属素材を用いることも出来る。また形状は図では四角形の棒を示しているが、円柱形の棒でもよい。また本数は図では4本で示しているが、製品によっては6〜10本など多数本が設けられる。
【0021】
なお、基準棒15a〜15dは、後の工程で製作される石膏鋳型で鋳物製品を鋳造する時に必要なもので、最終的には石膏鋳型に設けられる必要があり、それまでに穴から抜き挿しされることがある。したがって、基準棒15a〜15dは、石膏鋳型を製作するゴム型および鋳造材と溶融一体化の惧れが少なく、また強度が強く、穴14a〜14dから引き抜き易い形状にする。もし基準棒15a〜15dとして、強度が弱く引き抜き難い形状を採用する場合には、離型剤等により離型性を確保する。
また、基準棒15a〜15dを設ける位置は、高温にて歪み石膏厚さが薄い型部位は破損の惧れがある為、石膏厚さが十分あるような加工代の部位にする。
【0022】
次に、図1におけるステップS2は、マスターモデル1を基に、石膏鋳型を製作するためのシリコン型(ゴム型)を作成する工程である。このステップS2は3つのステップS21、S22、S23の工程からなり、ステップS21においては、シリコン型(ゴム型)の一次型を作成するものである。一次型の作成は、図4に示すように、外枠を組んだ箱21の中に基準棒15a〜15dを有したマスターモデル1を固定し、箱21の中に液状のシリコン樹脂を流入して硬化する。
【0023】
ステップS22においては、シリコン硬化後に、基準棒15a〜15dを抜き出して除去しておき、図4に示すようにシリコン樹脂をパーティングライン22(実線で図示)に沿ってカッターで切り分けて分割する。切り分けて分割されたシリコン樹脂から、図5に示すようにマスターモデル1を取り出して、4分割されたシリコン型(ゴム型)の一次型2a〜2dを作成する。ゴム型の一次型2a〜2dには、基準棒15a〜15dを抜き出した後の穴がそれぞれにある。
【0024】
ステップS23においては、図6に示すように、4分割されたシリコン型(ゴム型)の一次型2a〜2dから、一次型2a〜2dを転写したシリコン型(ゴム型)の二次型2aa〜2ddを作成する工程である。二次型の作成は、シリコン型(ゴム型)の一次型2a〜2dのそれぞれの穴に基準棒15a〜15dを再び差込んで、外枠を組んだ箱23の中にシリコン型(ゴム型)の一次型2a〜2dを固定し、箱23の中に液状のシリコン樹脂を流入して硬化し、シリコン型(ゴム型)の二次型2aa〜2ddを作成する。
【0025】
次に、図1におけるステップS3は、シリコン型(ゴム型)の二次型2aa〜2ddから、石膏鋳型を製作するための工程である。このステップS3は2つのステップS31、S32の工程からなり、ステップS31においては、図7に示すように、基準棒15a〜15dを有したシリコン型(ゴム型)の二次型2aa〜2ddのそれぞれに液状の石膏を流入して硬化し、硬化した石膏をゴム型の二次型2aa〜2ddから離型させて石膏鋳型3a〜3d(総称する場合は符号3)を製作する。この石膏鋳型3a〜3dは図5に示すシリコン型(ゴム型)の一次型2a〜2dと同じ形状となるが、石膏鋳型3a〜3dには基準棒15a〜15dが設けられている。なお、この石膏鋳型3a〜3dを製作する際に、円柱状の別部品31を挿入して鋳物材料を封入する湯口用の穴を追加しておく。また、石膏鋳型3はゴム型の二次型2aa〜2ddから鋳造製品の必要個数分を製作し、水分を完全に除去するために焼入れをしておく。
【0026】
ステップS32においては、図8に示すように、4つに分割された石膏鋳型3a〜3dを組み立てて、マスターモデル1と同じ形状のキャビティ31を有した石膏鋳型3とする。石膏鋳型3には鋳物材料を封入する湯口32も設けられている。
なお、図8(a)は正面図、図8(b)は側面図、図8(c)は上面図を表しているが、構造を分かり易くするため、一部の石膏鋳型3a〜3dを省略して図示している。
基準棒15a〜15dは、基準となる部材(基準棒)の位置関係を保持するために、石膏鋳型3の外側に設けられた、部材と同種またはより熱に対し安定した板材33によって互いに固定されている。なお、板材33には基準棒15a〜15dを貫通するための穴が予め加工されていることは言うまでもない。
【0027】
次に、図1におけるステップS4は、石膏鋳型3から精密部品である鋳造製品を製作するための工程である。このステップS4は、図9(a)の側面図、図9(b)の上面図に示すように、石膏鋳型3の湯口32から溶融金属である鋳物材料(アルミニウム)を注入して石膏鋳型3のキャビティ31に充填させて硬化させる。このとき、加工代付与部位に冷し金の役目もする加工基準となる基準棒15a〜15dが挿入されていることで、鋳造金属の冷却を促進し、各基準棒15間で収縮方向、平行・垂直方向を規定し、加工原点をとることが可能となる。
なお、溶融金属の注入の仕方はどのような方法でもよく、吸引鋳造法を用いてもよい。鋳物材料の硬化後に、板材33を取り外し、石膏鋳型3を粉砕して除去し、洗浄して鋳造製品4を製作する。
【0028】
次に、図1におけるステップS5は、鋳造製品4に加工基準となる基準棒15a〜15dによって形成された点を基に、鋳造製品4を機械加工し、精密製品を製造する工程である。
図10はステップS5で製作された鋳造製品4を示し、図10(a)は鋳造製品4の正面図、図10(b)は側面図である。図10は加工代41a、41bの箇所に加工基準となる基準棒15a〜15d(総称する場合は15)がまだ取り付いた状態を示しているが、基準棒15a〜15dはこの状態で抜いてもよい。基準棒15a〜15dを抜いた場合は、その跡の穴が基準点となる。
【0029】
鋳造製品4の機械加工の仕方は種々あるが、その一例を図10〜図11に基づいて説明する。まず、図10(b)の上側の矢印で示すように、鋳造製品4内部の特定部位(測定可能基準とする場所)Aと、基準棒15a、15cの位置関係を測定し、この距離が元のマスターモデル1の時点で設定されていた位置関係と、どの程度ずれを生じているか測定する。この関係を明確にすることにより、この例以外にも内部に構造をもつ部品であれば内部構造がどの程度、どの方法に収縮しているか明確になり、鋳物製品4の形状バランスが明確になる。
また、位置関係の確認として使用した基準棒15を除去した跡の穴位置相互間の位置関係を測定することで、基準棒15自体が動いていないかも確認でき、基準棒15の距離関係の変位と収縮の有無を明確にできる。
【0030】
このようにして鋳物製品4の収縮状態を明確にした後に、次に図11(a)に示すように、精密製品であるホーンアンテナの給電部側の加工代41bを機械加工して、測定可能基準とする場所Aから給電部端までの距離が正確になるようにする。
次に図11(b)に示すように、機械加工後の給電部端からホーン部端までの距離が正確になるように、ホーンアンテナのホーン部側の加工代41aを機械加工する。
【0031】
また、他の機械加工の例を図10、図12に基づいて説明する。まず、図10(b)の下側の矢印で示すように、加工基準となる基準棒15は固定されているので、基準棒15cを加工初期位置(原点)として設定し、次に図12(a)に示すように、精密製品であるホーンアンテナの給電部側の加工代41bを機械加工する。次に図12(b)に示すように、給電部端からホーン部端までの距離が正確になるように、ホーンアンテナのホーン部側の加工代41aを機械加工する。
【0032】
以上のように実施の形態1の発明は、精密製品を鋳造する石膏鋳型に、精密製品の寸法公差が要求される部位に加工代を設け、この加工代に対応する箇所に機械加工原点を設定するための加工基準部材を挿入することにより、鋳造製品の収縮状態を把握する点と点をなして一連の加工基準となり、精密な部品を製造することができる。
【0033】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型を用いて精密部品を製造する石膏鋳型による精密部品の製造方法について、図13に基づき説明する。
実施の形態1における石膏鋳型の製造方法は、鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材(基準棒)15を、マスターモデル1を製作する段階から設けたが、実施の形態2の発明は、石膏鋳型の製作段階で初めて設けるようにしたものである。
【0034】
この発明の実施の形態2における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型による精密部品の製造方法の全体の流れは、図13に示す処理フローに基づいて行なわれる。
図13において、まずステップS10は、精密部品の製作図面に基づき、ABS樹脂などを切削加工してマスターモデルを製作する工程である。この場合、マスターモデルは最終製品である精密部品の大きさに、鋳物材料(例えばアルミニウム)の収縮率および鋳造物の機械加工を行なう加工代を付加した大きさで製作するだけで、鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材(基準棒)15は設けない。
【0035】
次に、図13におけるステップS20は、マスターモデル1を基に、石膏鋳型を製作するためのシリコン型(ゴム型)を作成する工程である。このステップS20は鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材(基準棒)15がないだけで、実施の形態1と同じ3つのステップS21、S22、S23の工程からなる。したがって
各ステップS21、S22、S23の手順は実施の形態1と同じに付き、説明を省略する。
【0036】
次に、図13におけるステップS30は、シリコン型(ゴム型)の二次型から、石膏鋳型を製作するための工程である。このステップS30は2つのステップS33、S34の工程からなり、ステップS33においては、シリコン型(ゴム型)の二次型の加工代に対応する箇所に鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材(基準棒)15を設けて、石膏鋳型3を製作する。
加工基準となる部材(基準棒)15の実現過程は、石膏鋳型の製作する工程の各段階での対応となり、ゴム型の二次型へ石膏を流し込む段階、石膏の半硬化または硬化させる段階、石膏の完全硬化後乾燥硬化前の段階、乾燥硬化後鋳造前の段階、の4段階が考えられる。
要するに、加工基準となる部材は、石膏鋳型3を製作する工程における、石膏のゴム型への流し込みから乾燥硬化後鋳造前までの工程のいずれかの工程時に、埋め込むようにすればよい。
【0037】
ステップS34においては、分割された石膏鋳型を組み立てて、マスターモデル1と同じ形状のキャビティ31を有した石膏鋳型3とするもので、実施の形態1と同じである。
次に、図13におけるステップS40は、石膏鋳型3から精密部品である鋳造製品4を製作するための工程、ステップS50は、鋳造製品4に加工基準となる基準棒によって形成された点を基に、鋳造製品4を機械加工し、精密製品を製造する工程である。これらの工程も実施の形態1と同じに付き、説明を省略する。
【0038】
以上のように実施の形態2の発明は、精密製品を鋳造する石膏鋳型の製作工程時に、機械加工原点を設定するための加工基準部材を挿入することにより、実施の形態1と同様に、鋳造製品の収縮状態を把握する点と点をなして一連の加工基準となり、精密な部品を製造することができる。
なお、械加工原点を設定するための加工基準部材を挿入する段階として、実施の形態1ではマスターモデル1を製作する段階に、実施の形態2では石膏鋳型3の製作する段階について説明したが、シリコン型(ゴム型)を作成する段階に挿入してもよい。要するに、実施の形態での方法論は、上記の何れかの段階を一つ採用しても、またいくつかの段階を組合せて使用してもよい。
【0039】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型を用いて精密部品を製造する石膏鋳型による精密部品の製造方法について、図14〜図17に基づき説明する。
実施の形態1は、精密部品としてアルミ製のホーンアンテナの基本形の製造方法について説明したが、実際の製品においては、ホーンアンテナのホーン部の内側に電気特性を調整する部材が設けられる場合が多い。実施の形態3の発明はこのような精密部品の製造方法について説明する。
【0040】
この発明の実施の形態3における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型による精密部品の製造方法の全体の流れは、図1に示す処理フローあるいは図13に示す処理フローのいずれでもよい。
まず、精密部品の製作図面に基づき、ABS樹脂などを切削加工してマスターモデルを製作する。この場合、マスターモデルは最終製品である精密部品の大きさに、鋳物材料(例えばアルミニウム)の収縮率および鋳造物の機械加工を行なう加工代を付加した大きさで製作する。
【0041】
図14はマスターモデルの図を示し、図14(a)は側面図、図14(b)は上面図、図14(c)は正面図、図14(d)は正面から見た斜視図を表している。このマスターモデル1は、ラッパ状のホーン部11と給電部12からなり、ホーン部11の内側には電気特性の調整部となる新月状の突起部13が対向して設けられている。この突起部13の給電部12側は間隔が約0.6mmというように狭い寸法で対向している。またマスターモデル1は、精密部品の寸法公差が要求される部位に機械加工を行なう加工代13a、13bが付加された大きさで製作されている。
【0042】
図14に示すマスターモデル1を基に、石膏鋳型を製作するためのシリコン型(ゴム型)を作成し、次にシリコン型(ゴム型)から石膏鋳型を製作した場合、石膏鋳型3は図15に示すような4つに分割された石膏鋳型3a〜3dとなる。石膏鋳型3a〜3cにおいては、特に問題になることはないが、石膏鋳型3dにおいては、突起部13の対向する部分に相当する箇所34は、石膏厚さが薄くなり、強度保持が出来なくて欠損が生じ易くなる。
【0043】
そこで実施の形態3の発明は、図16に示すようにマスターモデル1の製作段階から、石膏の厚さが薄くなり強度保持が出来ない部分に変わり、予め寸法精度を満足する部材で、且つ精密部位を再現するための部材35を挿入し、以降の工程は実施の形態1と同じように製作して、精密部位を再現するための部材35が一体成型された石膏鋳型3を製作する。なお、この寸法精度を満足する部材35は、溶融金属と一体化しない部材で、また冷し金の役目をするようなSUSが好ましい。
また、寸法精度を満足する部材35の形状は、板材でも、また内部形状に沿って形成されたものでもよく、また長さは石膏鋳型の一部で途切れていても、端面に渡っていてもよい。
【0044】
図17は実施の形態3の発明における石膏鋳型3の組み立て図で、図17(a)は正面図、図17(b)は側面図、図17(c)は上面図を示し、構造を分かり易くするため、一部の石膏鋳型3a〜3dを省略して図示している。
このような石膏鋳型3を用いて鋳造製品を製作する工程、および鋳造製品の機械加工の工程は実施の形態1と同じである。
寸法精度を満足する部材35は、電気特性の調整部となる突起部13が対向する箇所に相当する部位、即ち、本来石膏で製作すると、欠損が生じ易い部位に予め挿入されて設けられている。したがって寸法精度を満足する部材35は、石膏鋳型3の薄く細くなり易い部分を代替して形状形成の役目をすると共に、石膏鋳型3の中に溶けている金属を流す際に歪み易い石膏の細かい部分を補強し、歪まないようにする役目も担っている。またこの箇所の鋳造製品は精度よく製造されているため、機械加工箇所を減らすことができ、精密な構造の部品が製造可能となる。
【0045】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型を用いて精密部品を製造する石膏鋳型による精密部品の製造方法について、図18〜図19に基づき説明する。
実施の形態4の発明は、実施の形態3の発明で使用された寸法精度を満足する部材35の形状を変更したものである。
【0046】
図18は図16に相当するマスターモデル1の図を示し、図18(a)は正面図、図18(b)は側面図、図18(c)は上面図を表している。このマスターモデル1は、ラッパ状のホーン部11と給電部12からなり、ホーン部11の内側には電気特性の調整部となる四角状の突起部13が対向して設けられている。実施の形態3では新月状の突起部13を示したが、この突起部13の形状は特に限定されるものでない。またマスターモデル1は、精密部品の寸法公差が要求される部位に機械加工を行なう加工代が付加された大きさで製作されている。
【0047】
図18に示すようにマスターモデル1の製作段階から、石膏の厚さが薄くなり強度保持が出来ない部分に変わり、ホーン部の突起部13の内部形状に沿った形状で、予め寸法精度を満足する部材で、且つ精密部位を再現するための部材36を挿入し、石膏鋳型3と一体成型を可能とする。なお、この寸法精度を満足する部材36は、溶融金属と一体化しない部材で、また冷し金の役目をするようなSUSが好ましい。
【0048】
図19は実施の形態4の発明における石膏鋳型3の組み立て図で、図19(a)は正面図、図19(b)は側面図、図19(c)は上面図を示し、構造を分かり易くするため、一部の石膏鋳型3a〜3dを省略して図示している。
寸法精度を満足する部材36は、電気特性の調整部となる突起部13の内部形状に沿って設けられている。このように部材36は、石膏鋳型3の薄く細くなり易い部分を代替して形状形成の役目をすると共に、石膏鋳型3の中に溶けている金属を流す際に歪み易い石膏の細かい部分を補強し、歪まないようにする役目も担っている。
【0049】
実施の形態4の発明のように、機械加工原点としてのみではなく、構造上重要である部位のみに寸法精度を満足する部材36を設置させ、安定して形状を成形することを可能とする。これにより、冷し金として部材36が埋没された部位は、鋳物金属との界面を有するため、鋳物金属の冷却を促進して金属粒の微細化を実現し、石膏鋳型3の単体で製造した場合に比し、結晶化した金属の高強度化を実現する。
【0050】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5における石膏鋳型の製造方法、および石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型を用いて精密部品を製造する石膏鋳型による精密部品の製造方法について、図20に基づき説明する。
実施の形態3、4の発明は、石膏鋳型3の薄く細くなり易い部分を代替して寸法精度を満足する部材35、36を挿入したが、実施の形態5の発明は、石膏鋳型の一部を、特に石膏鋳型3の薄く細くなり易い部分を、鋳物用の溶湯金属と比較し融点が同じかより低い金属を取り付けて構成し、鋳物用の溶湯金属と一体化するようにしたものである。
【0051】
図20は石膏鋳型3の透視図を示している。まず、マスターモデル1から一次ゴム型の作成時に、ホーンアンテナのホーン部11の内側に設けられる電気特性の調整部となる突起部13に相当する部材(内部構造再現部材)を、鋳物用の溶湯金属と比較し融点が同じかより低い金属37で構成し、マスターモデル1に固定して成型する。次に、一次ゴム型を転写した二次ゴム型から石膏鋳型を製作した場合、石膏鋳型には、内部構造再現部材が挿入される溝が形成される。次に、この溝に融点が低い金属37を挿入して石膏鋳型を製作し、石膏鋳型の湯口から溶融金属を注入して鋳造製品を製作する。この鋳造時に石膏鋳型の湯口から注入される溶融金属により、融点が低い金属37は溶けて、注入された溶湯との界面近傍または広範囲が溶融・融合した形状をなして、鋳物用の溶湯金属と一体化することにより、精密構造を有する部位の部分については予め加工された部材が残り、要求精度を満足した精密製品を製造することが可能となる。
【0052】
実施の形態5の発明は、製品の寸法が厳しい部位のみ金属で予め機械加工により製造しておき、鋳物金属と一体化させることで構造化する。このようにして金属37を埋め込む際には、鋳物金属と当該金属37が成分として一体化するかどうかに違いがでる。
埋没される金属が鋳物用金属に比較して同じか高融点である場合には、溶融により接合し一体化することがない為、埋められる部材側に引っ掛け構造等を作り、製品と使用する際にこれらの金属間で分解・剥離がないようにする必要がある。
【0053】
埋没される金属が鋳物用金属に比較して低融点である場合には、溶融により接合し一体化することが考えられる為、埋められる部材側に引っ掛け構造等を作らず、製品と使用することが可能となる。但し、この際にも念のためこれらの金属間で分解・剥離がないように埋められる部材側に引っ掛け構造等を作る必要がある。また、鋳物金属は鋳造時に冷却され当該部材と接触時に熱が奪われる。このため、当該部材が低融点であっても十分に溶解できない場合が考えられる為、接触面が大きくなるように凹凸構造を採用することが望ましい。この際に溶湯金属の流れを阻害しないように留意することが肝要である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明の製造方法により得られる部品は、鋳物の個性を極力低減し、寸法精度が厳しいものに関しても製品の個性に応じて加工原点を明確に定め、機械加工により精密な部品を製造することが可能となる。これにより電気部品等、寸法精度を要求しかつ個性のばらつきのない部品を要求するものに対しても石膏鋳造を適用することが可能となる。また、精密部位を予め仕込まれる部材により成型できる為、加工工数を削減しかつその部位の寸法精度が厳しくてもより忠実に再現できるようになる。
【符号の説明】
【0055】
1:マスターモデル 2a〜2d:ゴム型の一次型
2aa〜2dd:ゴム型の二次型 3、3a〜3d:石膏鋳型
4:鋳造製品
11:マスターモデルのホーン部 12:マスターモデルの給電部
13a、13b:マスターモデルの加工代 14a〜14d:穴
15、15a〜15d:加工基準部材(基準棒)
16:マスターモデルの電気特性調整の突起部
21:一次ゴム型作成用の箱 22:パーティングライン(割面)
23:二次ゴム型作成用の箱
31:湯口作成用円柱部品 32:湯口
33:固定金具 34:キャビティ
35:寸法精度を満足する部材 36:寸法精度を満足する部材
37:内部構造再現部材(融点の低い金属)
41a、41b:鋳造製品の加工代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終製品である鋳造製品に鋳造材料の収縮率および加工代を付加したサイズでマスターモデルを製作する工程、外枠を組んだ箱の中に前記マスターモデルをセットし、前記箱の中にシリコン樹脂を流し込んで前記シリコン樹脂を硬化させ、硬化したシリコン樹脂を切断して前記マスターモデルの形状に対応する複数のゴム型を作成する工程、前記ゴム型に石膏を流し込んで硬化させ、硬化した石膏を前記ゴム型から離型させて前記マスターモデルの形状に応じたキャビティを有する石膏鋳型を製作する工程、前記マスターモデルを製作する工程から前記石膏鋳型を製作する工程までのいずれかの工程において、前記鋳造製品に応じた機械加工原点を設定するための加工基準となる部材を、前記加工代に対応する箇所に複数本設ける工程を備えた石膏鋳型の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記加工基準となる部材は、前記マスターモデルを製作する工程時に設けるようにした石膏鋳型の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記加工基準となる部材は、前記ゴム型を作成する工程時に設けるようにした石膏鋳型の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記加工基準となる部材は、前記石膏鋳型を製作する工程における、前記石膏のゴム型への流し込みから乾燥硬化後鋳造前までの工程のいずれかの工程時に、設けるようにした石膏鋳型の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記加工基準となる部材は、鋳物用の溶湯金属の融点より高く且つ前記溶湯金属と一体化しない部材を用いた石膏鋳型の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記加工基準となる部材は、鋳物用の溶湯金属の冷却を促進する冷し金として機能する金属棒を用いた石膏鋳型の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記加工基準となる部材は、耐熱性があり歪にくい非金属素材を用いた石膏鋳型の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記石膏が薄く欠損が生じ易い部位のみ石膏の代替として、寸法精度を満足し且つ溶湯金属と一体化しない部材にて石膏型を形成した石膏鋳型の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の石膏鋳型の製造方法において、前記石膏鋳型の一部を、鋳物用の溶湯金属と比較し融点が同じかより低い金属を取り付けて構成し、鋳物用の溶湯金属と一体化するようにした石膏鋳型の製造方法。
【請求項10】
石膏型に溶湯金属を封入して鋳造製品を製造する石膏鋳造法に用いられる石膏鋳型において、前記石膏鋳型を最終製品である鋳造製品よりも加工代を付加した大きさの形状で作成し、前記石膏鋳型の加工代に対応した箇所に前記鋳造製品の機械加工原点を設定するための加工基準となる部材を、複数本設けたことを特徴とする石膏鋳型。
【請求項11】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の石膏鋳型の製造方法によって製造された石膏鋳型の湯口から鋳物用の溶湯金属を封入して鋳造製品を製作する工程、前記鋳造製品を前記石膏鋳型から取り出す工程、前記鋳造製品に前記加工基準となる部材によって形成された点を基に、前記鋳造製品を機械加工する工程を備えた石膏鋳型による精密部品の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の石膏鋳型による精密製品の製造方法において、前記加工基準となる部材は、鋳造後機械加工する前に当該部材を除去するようにした石膏鋳型による精密部品の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の石膏鋳型による精密製品の製造方法において、前記加工基準となる部材は、鋳造後も当該部材を鋳造製品に埋没させて一体化したまま機械加工を行なうようにした石膏鋳型による精密部品の製造方法。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の石膏鋳型による精密製品の製造方法において、前記石膏鋳型の一部を、鋳物用の溶湯金属と比較し融点が同じかより低い金属を取り付けて構成し、鋳造時に溶湯金属の熱にて鋳物用の溶湯金属と接合して一体化するようにした石膏鋳型による精密部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−156569(P2011−156569A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21144(P2010−21144)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】