説明

石臼装置

【課題】 製粉すべき穀物の種類や状態に応じて、製粉される粉の挽き加減を調整することができる石臼装置を提供する。
【解決手段】 本発明の石臼装置(1)は、石臼を載置するための台座部(2)と、台座部の上に載置された下臼(4)と、この下臼の上に配置され、上面中央に形成された供給通路入口から半径方向外方に延びる供給通路が形成された上臼(6)と、上臼を回転駆動する原動機(8)と、穀物を供給するためのホッパー(10)と、ホッパーを支持するホッパー支持部(12)と、ホッパーの下端の出口部との間に所定の隙間を空け、この隙間を通り抜けた穀物が供給通路入口に入るように、供給通路入口の上方に支持され、上臼と共に回転する回転プレート(13a)と、上臼が下臼に作用させる力を調整するために、上臼の上に、供給通路入口を取り囲むように載置可能に形成された環状の錘(14)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石臼装置に関し、特に、蕎麦の実等の穀物を製粉するための石臼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旧来の上臼と下臼からなる石臼では、人が手動で上臼を回転させ、製粉すべき穀物の種類や状態に合わせて石臼に供給する穀物の量や、上臼の回転速度を加減することによって、希望する粒度(細かさ)の粉を碾いていた。
また、特開平11−28374号公報(特許文献1)、及び特開2001−212473号公報(特許文献2)には、動力を用いた石臼装置が記載されている。これらの石臼装置は、上臼をモータで回転駆動することにより、蕎麦の実等の穀物を粉状に碾き、製粉するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平11−28374号公報
【特許文献2】特開2001−212473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開平11−28374号公報、及び特開2001−212473号公報に記載の石臼装置では、モータの回転数は一定であり、ホッパー等から石臼に供給される穀物の量も一定であるため、製粉すべき穀物の種類や状態に応じて粉の碾き方を調節することはできなかった。さらに、これらの石臼装置では、一定時間に製粉できる粉の量や、一度碾きで製粉される粉の粒度が固定されていた。このため、粒度等の粉質を調整し、希望する粉を得るためには、粉を二度以上碾いたり、種々の粉をブレンドする必要があった。
【0005】
従って、本発明は、製粉すべき穀物の種類や状態に応じて、製粉される粉の碾き加減を調整することができる石臼装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、一定時間に製粉できる粉の量や一度碾きで製粉される粉質を調整することができる石臼装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の石臼装置は、石臼を載置するための台座部と、台座部の上に載置された下臼と、この下臼の上に配置され、上面中央に形成された供給通路入口から底面に形成された供給通路出口へ半径方向外方に延びる供給通路が形成された上臼と、出力軸が下臼の中心を貫通して上臼を回転駆動するように台座部に取り付けられた原動機と、供給通路入口に穀物を供給するための、漏斗状のホッパーと、このホッパーの下端の出口部が上臼の中央上方に位置するようにホッパーを支持するホッパー支持部と、ホッパーの下端の出口部との間に所定の隙間を空け、この隙間を通り抜けた穀物が供給通路入口に入るように、供給通路入口の上方に支持され、上臼と共に回転する回転プレートと、上臼が下臼に作用させる力を調整するために、上臼の上に、供給通路入口を取り囲むように載置可能に形成された環状の錘と、を有することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、ホッパーに蓄えられた穀物は、ホッパーの下端の出口部と回転プレートの間を通り抜けて、供給通路入口に入る。供給通路入口に入った穀物は、供給通路を介して供給通路出口を通り抜け、上臼と下臼の間に入る。上臼と下臼の間に入った穀物は、それらの間で碾かれ、粉末状になる。上臼を下臼に押し付ける力は、上臼の上に載置される環状の錘によって調整される。
このように構成された本発明によれば、上臼を下臼に押し付ける力を錘によって調整することができるので、製粉すべき穀物の種類や状態、又は好みに応じて、製粉される粉の碾き加減を調整することができる。
【0008】
本発明において好ましくは、台座部が、石臼によって碾かれた粉を受けるための、下臼の周囲に形成された粉受け部と、この粉受け部が受けた粉を排出するための排出部と、を有し、さらに、上臼に取り付けられ、上臼と共に回転し、粉受け部に落ちた粉を掃いて粉を排出部に導く粉収集手段を有する。
【0009】
このように構成された本発明においては、石臼によって碾かれた粉は、下臼の周囲の粉受け部に入り、粉受け部の粉は、粉収集手段によって台座部の排出部に導かれる。
このように構成された本発明によれば、石臼によって碾かれた粉が粉収集手段によって台座部の排出部に導かれるので、粉が自動的に排出部から排出される。
【0010】
本発明において好ましくは、さらに、ホッパーに設けられ、ホッパーの中に蓄えられた穀物の量が所定量以下になるとそれを検知し、原動機を停止させる穀物量検知手段を有する。
このように構成された本発明によれば、ホッパーの中の穀物が無くなる前に原動機が停止されるので、石臼が空碾きによって損傷されるのを防止することができる。
【0011】
本発明において好ましくは、原動機は、回転数を変更することができる。
このように構成された本発明によれば、上臼の回転数を変更することができるので、石臼によって製粉すべき穀物の種類や状態、又は好みに応じて、製粉される粉の碾き加減を調整し、又は時間当たりに碾くことができる粉の量及び質を調整することができる。
本発明の石臼装置によれば、蕎麦の実を一回碾くことによって、60メッシュの粒度の粉を75%以上の歩留まりで碾くことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の石臼装置によれば、製粉すべき穀物の種類や状態に応じて、製粉される粉の碾き加減を調整することができる。
また、本発明の石臼装置によれば、一定時間に製粉できる粉の量及び質を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による石臼装置を説明する。図1は本発明の実施形態による石臼装置1の斜視図であり、図2は石臼装置1の断面図、図3はホッパーの出口付近を拡大して示す側面図である。
図1及び2に示すように、本発明の実施形態による石臼装置1は、石臼を載置するための台座部2と、この台座部の上に載置された下臼4と、この下臼4の上に配置された上臼6と、を有する。さらに、石臼装置1は、上臼6を回転駆動するように台座部に取り付けられた原動機であるモータ8と、供給通路の入口に穀物を供給するための漏斗状のホッパー10と、このホッパー10を支持するホッパー支持部12と、ホッパー10の出口との間に所定の隙間が空くように支持された回転部材13と、上臼の上に載置可能に形成された環状の錘14と、を有する。また、上臼6の外周部には、石臼によって碾かれた粉を集めるための粉収集手段16が取り付けられ、ホッパー10には、ホッパー10の中に蓄えられた穀物の量を検知する穀物量検知手段であるマイクロスイッチ18が取り付けられている。
【0014】
台座部2は、概ね円筒状の金属製であり、上方には石臼を載置するための天板2aが取り付けられている。さらに、台座部2には、天板2aを補強するための第1補強板2bと、この第1補強板2bの下方の、モータ8を取り付けるための第2補強板2cが取り付けられている。また、天板2aの下面には、天板2aの外周部から下方に向けて半径方向外方に延びる排出部2dが設けられている。さらに、台座部2の側面には、モータ8が発生する熱を逃がすための放熱穴2eが形成されている。
【0015】
台座部2の天板2aの上に配置された下臼4は、直径約30cmの概ね円柱状の花崗岩、安山岩等の石製であり、その上面には穀物を碾くための溝が形成されている。また、下臼4の中心には、下臼4を鉛直方向に貫通する、モータ8の出力軸8aを通すための貫通穴4aが設けられている。さらに、下臼4の直径は、台座部2の天板2aの直径よりも若干小さく形成されており、天板2aの下臼4よりも外側の部分は、粉受け部として機能する。また、下臼4の側面には、下臼4を持ち上げる際に手を掛けるための2つの手掛け部4bが形成されている。
【0016】
下臼4の上に配置された上臼6は、直径約30cmの概ね円柱状の花崗岩、安山岩等の石製であり、その底面には穀物を碾くための溝が形成されている。上臼6の上面中央には、穀物を供給するための供給通路入口6aが形成され、この供給通路入口6aから下方に向かって半径方向外方に延びるように供給通路6bが形成されている。さらに、供給通路6bは、上臼6の底面に開口した供給通路出口6cまで続いている。また、上臼6の底面中央には、モータ8の出力軸8aの先端に螺合された金属ブロック8bを受け入れるための正方形断面の凹部6dが形成されている。また、上臼6の側面には、上臼6を持ち上げる際に手を掛けるための2つの手掛け部6e(1つのみ図示)が形成されている。なお、本実施形態において、上臼6の質量は、約26kgである。
【0017】
モータ8は、減速ギアが組み込まれたギアモータであり、出力軸8aが鉛直上方に向くように台座部2の第2補強板2cに固定されている。また、モータ8は、インバータ装置(図示せず)によって駆動され、回転数を連続的に可変することができるように構成されている。さらに、出力軸8aの先端には、正方形断面の金属ブロック8bが螺合されており、この金属ブロック8bが上臼6の凹部6dに受け入れられることによって、上臼6を回転駆動できるように構成されている。
【0018】
ホッパー10は、漏斗状の金属製であり、製粉すべき穀物を中に入れるように構成されている。また、図2及び図3に示すように、ホッパー10の下端には、外側に雄ネジを形成した出口円筒部10aが設けられている。この出口円筒部10aの外側には、概ね円筒状の出口調整部材10bが螺合されており、それを回転させることにより、出口調整部材10bと回転部材13の間の隙間を調整できるように構成されている。また、出口調整部材10bには、半径方向に止めネジ10cが螺合されており、この止めネジ10cを締めることによって出口調整部材10bの回転を止めて出口調整部材10bと回転部材13の間の隙間を固定することができるように構成されている。また、出口円筒部10a及び出口調整部材10bは、ホッパー10のホッパーの下端の出口部を構成する。
【0019】
ホッパー支持部12は、概ね円筒状の部材であり、ホッパー10の出口部が上臼6の中央上方に位置するように、ホッパー10を支持する。ホッパー支持部12は台座部2と同一の直径を有し、台座部2の上に嵌合できるように構成されている。また、ホッパー支持部12の側面には、出口調整部材10bを調整することができるように、3つの円形ののぞき窓12a(2つのみ図示)が形成されている。また、ホッパー支持部12は、ホッパー10を支持する高さを調整するための中間リング12bを有し、これを取り付け、取り外すことによりホッパー10を支持する高さを調整できるように構成されている。
【0020】
回転部材13は、上臼6の供給通路入口6aに嵌合するように形成された概ね円筒状の部材である。回転部材13の上端部には、水平方向に向けられた円板状の回転プレート13aが設けられている。この回転プレート13aの直径は、回転部材13の円筒部分の直径よりも若干小さく形成されており、回転プレート13aの周囲に隙間が空くように、円筒部分の中央に4本のアーム13b(2本のみ図示)によって支持されている。また、回転プレート13aの上面には、放射状の溝が形成されている。さらに、回転部材13の下部には、円筒部分の長さを調節する延長筒部13cが設けられ、これを取り付け、取り外すことにより回転プレート13aを支持する高さを調整できるように構成されている。
【0021】
錘14は、金属製のドーナツ型円板であり、上臼6の上に適宜載せることによって、上臼6が下臼4に向かって押し付けられる力を調節することができるように構成されている。また、錘14の中央の穴は、その内部に回転部材13が配置できる大きさに形成されている。本実施形態においては、各錘14の質量は、約20kgに形成されている。なお、図1乃至3には、上臼6の上に錘14が3枚重ねて載せられた状態が図示されている。また、各錘14の底面の所定の円周上には、3本の位置決めネジ14a(各々2本ずつ図示)が円周方向に等間隔に螺合されている。各位置決めネジ14aの頭が上臼6に当たらないように、錘14を上臼6に載せることによって、錘14は、その中心が上臼6の中心と整合するように位置決めされる。さらに、各錘14の上面の位置決めネジ14aに対応する位置には、位置決めネジ14aの頭を受け入れる3つの凹部14bが夫々形成されている。各位置決めネジ14aの頭が各凹部14bに受け入れられるように錘14を重ねることによって、錘14同士が整合し、位置がずれることのないように構成されている。
【0022】
粉収集手段16は、上臼6から半径方向外方に突出するように取り付けられた張出し部16aと、この張出し部16aの先端から鉛直下方に延びるシャフト16bと、このシャフトの下端に取り付けられたへら部16cとを有する。へら部16cは、ゴム製であり、下臼4の周囲の粉受け部と同一の幅に形成されている。粉収集手段16は上臼6の回転と共に回転され、へら部16cが下臼4の周囲の粉受け部に排出された粉を掃いて排出部2dに導くように構成されている。
【0023】
マイクロスイッチ18は、ホッパー10の下端から約1/3の高さの位置に取り付けられている。マイクロスイッチ18は、ホッパー10の中の穀物が、マイクロスイッチ18よりも上方まで蓄えられているときは、穀物に押されてONになり、蓄えられている穀物の量がマイクロスイッチ18の位置よりも減ると、OFFになるように構成されている。マイクロスイッチ18がOFFになるとモータ8が停止され、石臼の空碾きが防止されるように構成されている。
【0024】
次に、本発明の実施形態による石臼装置1の作用を説明する。
まず、石臼装置1によって製粉すべき蕎麦の実等の穀物を、ホッパー10に入れる。次いで、出口調整部材10bを回転させることにより、出口調整部材10bを上下させ、出口調整部材10bの先端と回転プレート13aの間の隙間を調整する。調整後、出口調整部材10bに螺合された止めネジ10cを締め、出口調整部材10bを固定する。また、上臼6の回転開始直後にも石臼が空碾きされないように、適当な量の穀物を上臼6の供給通路6bの中に入れておく。次に、モータ8を起動させ、その出力軸8aを回転させる。出力軸8aが回転されると、その先端に取り付けられた金属ブロック8bも回転され、底面の凹部6dが金属ブロック8bに係合されている上臼6が回転駆動される。上臼6が回転駆動されると、上臼6と下臼4の間に供給されている穀物が碾かれ、粉にされる。粉にされた穀物は、下臼4の周囲に排出され、台座部2の粉受け部に落下する。粉受け部に落下した粉は、粉収集手段16のへら部16cによって掃き集められ、粉受け部に開口した排出部2dの入口に落下する。排出部2dの入口に落下した粉は、排出部2dを通り、排出部2dの下に配置した受け皿(図示せず)等の中に集められる。
【0025】
一方、ホッパー10に蓄えられた穀物は、出口調整部材10bと、上臼6と共に回転する回転プレート13aの間の隙間を通って、少しずつホッパー10から排出される。回転プレート13aには放射状の溝が設けられ、上臼6と共に回転するので、出口調整部材10b付近の穀物は、回転プレート13aによって僅かに攪拌されながら出口調整部材10bの外へ出る。ホッパー10を出た穀物は、回転プレート13aの周囲から回転部材13の円筒部の中に落ちる。回転部材13の円筒部の中に落ちた穀物は、供給通路6bを通って上臼6と下臼4の間に入り、粉に碾かれる。
【0026】
ホッパー10に蓄えられた穀物が減り、穀物の量が、マイクロスイッチ18が取り付けられた高さよりも少なくなると、マイクロスイッチ18はOFFになり、モータ8が停止される。これにより、空碾きによって石臼が傷むのを防止することができる。ここで、ホッパー10内に穀物を追加し、穀物の量が、マイクロスイッチ18の高さよりも多くなると、再びマイクロスイッチ18はONになり、モータ8が起動される。
【0027】
ホッパー10から石臼に供給される穀物の量は、使用者がのぞき窓12aから手を入れ、出口調整部材10bを回転させることによって、調整することができる。出口円筒部10aに螺合された出口調整部材10bを回転させ、出口調整部材10bと回転プレート13aの間の隙間を大きくすることにより、時間当たりの穀物供給量は増加し、隙間を小さくすることにより、穀物供給量は減少する。出口調整部材10bと回転プレート13aの隙間の調整は、使用者が、穀物供給量及び碾かれた粉の状態を見ながら行うのが良い。
【0028】
また、粉の碾き具合は、モータ8の回転数によっても影響される。例えば、モータ8の回転数を高くし、穀物供給量を増加させることによって、時間当たりに碾くことができる粉の量を増加させることができる。従来の石臼装置では、上臼6は、約15rpmで回転され、1時間あたり1kg程度の粉を碾くことができたが、本実施形態の石臼装置1では、従来の数倍以上に回転数を高くすることができ、1時間あたりに碾くことができる粉の量も非常に多くすることができる。しかしながら、モータ8の回転数を高くし、穀物供給量を増加させると、上臼6が上方に浮き上がり、碾かれた粉が粗くなる場合がある。この場合には、適宜、錘14を上臼6の上に載せ、上臼6の浮き上がりを防止する。本実施形態の石臼装置1では、モータ8を60rpmで駆動し、錘14を上臼6の上に3枚載せることによって、1時間に約30kgの蕎麦粉を碾くことができた。
【0029】
このように、使用者は、製粉すべき穀物の種類、時間当たりの製粉量、及び求める粉質に応じて、穀物供給量、モータ8の回転数、及び錘14の枚数を適宜調整し、希望する碾き具合の粉を得る。例えば、従来の石臼装置では、蕎麦の実を一度碾きしただけでは、50メッシュの粒度の蕎麦粉を約90%の歩留まりで製粉するのがやっとであった。これに対して、本実施形態の石臼装置1では、錘14を使用し、モータ8の回転数を高くすることで、一度碾きで60メッシュの粒度の蕎麦粉を約80%の歩留まりで容易に碾くことができる。このため、本実施形態の石臼装置1で一度碾いた粉を60メッシュの篩にかけ、篩に残った粉をもう一度碾くことにより、従来の石臼装置よりも非常に高速に、60メッシュの粒度の蕎麦粉を90%以上の歩留まりで碾くことができる。
【0030】
なお、錘14を使用せずに石臼装置1を使用する場合には、中間リング12bを外した状態でホッパー支持部12を台座部2に取り付け、延長筒部13cを外した状態で回転部材13を上臼6に載せて使用することもできる。
【0031】
本発明の実施形態の石臼装置によれば、穀物供給量、モータの回転数、又は錘の数を調整することにより、製粉すべき穀物の種類や状態に応じて、製粉される粉の碾き加減を調整することができる。
また、本発明の実施形態の石臼装置によれば、穀物供給量、モータの回転数、錘の数を調整することにより、一定時間に製粉できる粉の量や一度碾きで製粉される粉質を調整することができ、従来の石臼装置よりも多くの粉を碾くことができる。
【0032】
さらに、本発明の実施形態の石臼装置によれば、上臼の上面中央から延びる供給通路を介して穀物が供給されるので、上臼の周縁部に環状の錘を載せることができる。これにより、上臼を均等に下臼に押し付けることができ、上臼及び下臼の不均一な磨耗を防止することができる。
また、本発明の実施形態の石臼装置は、約30kg以下の構成部品に簡単に分解することができるので、特別な装置を使用することなく、容易に設置し、又は移動させることができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態では、インバータ装置によってモータの回転数を調整していたが、変速ギア等によって回転数を変更するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態による石臼装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による石臼装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態による石臼装置のホッパーの出口付近を拡大して示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 石臼装置
2 台座部
2a 天板
2b 第1補強板
2c 第2補強板
2d 排出部
4 下臼
4a 貫通穴
4b 手掛け部
6 上臼
6a 供給通路入口
6b 供給通路
6c 供給通路出口
6d 凹部
6e 手掛け部
8 モータ
8a 出力軸
8b 金属ブロック
10 ホッパー
10a 出口円筒部
10b 出口調整部材
10c 止めネジ
12 ホッパー支持部
12a のぞき窓
12b 中間リング
13 回転部材
13a 回転プレート
13b アーム
13c 延長筒部
14 錘
16 粉収集手段
16a 張出し部
16b シャフト
16c へら部
18 マイクロスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石臼を載置するための台座部と、
上記台座部の上に載置された下臼と、
この下臼の上に配置され、上面中央に形成された供給通路入口から底面に形成された供給通路出口へ半径方向外方に延びる供給通路が形成された上臼と、
出力軸が上記下臼の中心を貫通して上記上臼を回転駆動するように上記台座部に取り付けられた原動機と、
上記供給通路入口に穀物を供給するための、漏斗状のホッパーと、
このホッパーの下端の出口部が上記上臼の中央上方に位置するように上記ホッパーを支持するホッパー支持部と、
上記ホッパーの下端の出口部との間に所定の隙間を空け、この隙間を通り抜けた穀物が上記供給通路入口に入るように、上記供給通路入口の上方に支持され、上記上臼と共に回転する回転プレートと、
上記上臼が上記下臼に作用させる力を調整するために、上記上臼の上に、上記供給通路入口を取り囲むように載置可能に形成された環状の錘と、
を有することを特徴とする石臼装置。
【請求項2】
上記台座部が、上記石臼によって碾かれた粉を受けるための、上記下臼の周囲に形成された粉受け部と、この粉受け部に落ちた粉を排出するための排出部と、を有し、さらに、上記上臼に取り付けられ、上記上臼と共に回転し、上記粉受け部が受けた粉を掃いて粉を上記排出部に導く粉収集手段を有する請求項1記載の石臼装置。
【請求項3】
さらに、上記ホッパーに設けられ、上記ホッパーの中に蓄えられた穀物の量が所定量以下になるとそれを検知し、上記原動機を停止させる穀物量検知手段を有する請求項1又は2記載の石臼装置。
【請求項4】
上記原動機が、回転数を変更することができる請求項1乃至3記載の何れか1項に記載の石臼装置。
【請求項5】
蕎麦の実を一回碾くことによって、60メッシュの粒度の粉を75%以上の歩留まりで碾くことができる請求項1乃至4の何れか1項に記載の石臼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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