説明

研磨ベルト装着装置

【構成】 基板に少なくとも2つのベルト掛け爪と少なくとも2つのストッパ具を設置している。前記ベルト掛け爪を前記基板に対して進退可能に配置する。前記ストッパ具を各々前記ベルト掛け爪の外側面に接触した状態で配置する。このように構成される研磨ベルト装着装置である。
【効果】 ベルト掛け爪の進退を機械的に行うことができる。研磨機(研磨ベルトを取り外した状態の)のベルト用ローラーに、研磨ベルトを自動的に装着することができる。この結果、研磨ベルトの取替えの作業能率が向上する。ひいては、研磨作業の作業能率を向上させることができるものである。例えば、流しの天板とシンクとの溶接接合部の研磨作業の作業能率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は研磨ベルト装着装置に関し、研磨機に研磨ベルトを装着する際に使用されるものである。なお、この種の研磨機は、例えば、流しの天板とシンクとの溶接接合部を研磨する際に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種の研磨機にあっては、ローラーに研磨ベルトを巻き掛け、この研磨ベルトを回転させることによって、流しの天板とシンクとの溶接接合部を研磨していた。そして、一定の時間間隔で研磨ベルトを新しいものに取り替え、作業中の研磨ベルトの表面が磨耗するのを防止していた。

【0003】
【特許文献1】特開2003−136388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる研磨機においては、作業者の手作業によって研磨ベルトの取替えをしていたため、古くなった研磨ベルトの取外しおよび新しい研磨ベルトの取り付けに手間がかかり、この結果、取替えの作業能率が低下し、ひいては、研磨作業(例えば、流しの天板とシンクとの溶接接合部の)の作業能率を低下させざるをえないという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記不都合を解消するために、この発明に係る研磨ベルト装着装置においては、基板に少なくとも2つのベルト掛け爪と少なくとも2つのストッパ具を設置し、前記ベルト掛け爪を前記基板に対して進退可能に配置するとともに前記ストッパ具を各々前記ベルト掛け爪の外側面に接触した状態で配置したものである。
【0007】
この場合、前記ストッパ具を前記ベルト掛け爪に沿って湾曲状に形成することもできる。
【0008】
この場合、前記基板を基台に設置し、この基台に対して進退可能にすることもできる。
【0009】
この場合、前記基台を、フレーム台に移動可能に設置された移動台に揺動可能に設置することもできる。
【0010】
この場合、前記フレーム台に研磨ベルト収容装置を設け、前記移動台を、研磨ベルト取付け作業位置とこの研磨ベルト収容装置との間で移動可能にすることもできる。
【0011】
この場合、前記研磨ベルト収容装置は、前記基板の2つのベルト掛け爪に対向するようにベルト巻き掛け具が配置され、このベルト巻き掛け具の巻き掛け方向に沿ってその両端に移動ツメを配置するとともにこの移動ツメの間に固定ツメを配置し、これらのツメに各々連通する複数の係止溝を形成し、且つ、前記移動ツメおよび前記固定ツメを外側方向に進退可能に設置するようにすることもできる。
【0012】
この場合、前記研磨ベルト収容装置を、前記フレーム台に対して、前記係止溝が略平行に配置されているとともにこのフレーム台対して略垂直方向に回動可能にすることもできる。
【0013】
この場合、前記研磨ベルト収容装置の回動軸にウォームホイールを設置し、且つ、前記フレーム台に操作用ウォームギアを設置し、これらを歯合させることもできる。
【0014】
いずれの場合においても、作業対象である研磨機における研磨ベルトの後方に押出板を進退可能に設置することもできる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る研磨ベルト装着装置は上記のように構成されているため、即ち、基板に少なくとも2つのベルト掛け爪と少なくとも2つのストッパ具を設置し、前記ベルト掛け爪を前記基板に対して進退可能に配置するとともに前記ストッパ具を各々前記ベルト掛け爪の外側面に接触した状態で配置されているため、前記ベルト掛け爪を前記ストッパ具よりも突出させた状態で、このベルト掛け爪に研磨ベルトを巻き掛け、この状態で、研磨機(研磨ベルトを取り外した状態の)に前記基板を接近させることにより、研磨機のベルト用ローラーの外側に、前記ベルト掛け爪を配置させる。このとき、ベルト掛け爪に巻き掛けられた研磨ベルトは、研磨機のベルト用ローラーを囲むように配置されている(図8を参照のこと)。この状態で、前記ベルト掛け爪を後退させれば、研磨ベルトは前記ストッパ具に衝突して前記ベルト掛け爪から外れ、前記研磨機のベルト用ローラーに緩んだ状態で巻き掛けられる。この状態で、前記研磨機のベルト用ローラーにテンションを加え、緊張させることによって、前記研磨機のベルト用ローラーに研磨ベルトを装着することができる。
【0016】
よって、この研磨ベルト装着装置を使用すれば、ベルト掛け爪の進退を機械的に行うことによって、研磨機(研磨ベルトを取り外した状態の)のベルト用ローラーに、研磨ベルトを自動的に装着することができる。この結果、研磨ベルトの取替えの作業能率が向上し、ひいては、研磨作業(例えば、流しの天板とシンクとの溶接接合部の)の作業能率を向上させることができるものである。
【0017】
この場合、前記ストッパ具を前記ベルト掛け爪に沿って湾曲状に形成すれば、前記ベルト掛け爪の外壁面を前記ストッパ具の内壁面に沿って進退できるため、前記ベルト掛け爪に巻き掛けた研磨ベルトをストッパ具の端縁全体で押し出すことができる結果、研磨ベルトの掛け渡し(研磨機のベルト用ローラーへの)を適正に行うことができる。
【0018】
また、この場合、前記基板を基台に設置し、この基台に対して進退可能にすれば、例え、基台が揺動しても、この基台を前記研磨機のベルト用ローラーに対して対向させれば、前記基板を前記基台に対して進退させるのみで、前記ベルト掛け爪を研磨機のベルト用ローラーの外側に配置させることができる。
【0019】
また、この場合、前記基台を、フレーム台に移動可能に設置された移動台に揺動可能に設置すれば、前記基板を移動台に重ねた状態で研磨機の近傍まで移動し、その後、基台を揺動させて前記研磨機のベルト用ローラーに対して対向させることができる。
【0020】
また、この場合、前記フレーム台に研磨ベルト収容装置を設け、前記移動台を、研磨ベルト取付け作業位置とこの研磨ベルト収容装置との間で移動可能にすれば、移動台によって研磨ベルト収容装置から研磨ベルト取付け作業位置まで研磨ベルトを搬送することができる。
【0021】
また、この場合、前記研磨ベルト収容装置において、前記基板の2つのベルト掛け爪に対向するようにベルト巻き掛け具を配置し、このベルト巻き掛け具の巻き掛け方向に沿ってその両端に移動ツメを配置するとともにこの移動ツメの間に固定ツメを配置し、これらのツメに各々連通する複数の係止溝を形成し、且つ、前記移動ツメおよび前記固定ツメを外側方向に進退可能に設置するようにすれば、
【0022】
予め、前記固定ツメの係止溝に研磨ベルトを巻き掛けた状態で(図9(1)を参照のこと)、前記移動台を前記基板の2つのベルト掛け爪を、対応するベルト巻き掛け具に対向するように配置し、この状態で、固定ツメを後退させることによってその係止溝から研磨ベルトを開放するとともに前記移動ツメを突出させてその係止溝に研磨ベルトを係止する(図9(2)を参照のこと)。この状態で、前記移動ツメを一ピッチ下方向に移動させれば、最下端の研磨ベルトは前記基板の2つのベルト掛け爪にスライドしながら巻き掛けられる(図9(3)を参照のこと)。この状態で前記移動ツメを後退させることによってその係止溝から研磨ベルトを開放するとともに前記固定ツメを突出させてその係止溝に研磨ベルトを係止する(図9(4)を参照のこと)。このようにすることによって、前記研磨ベルト収容装置に巻き掛けられた複数の研磨ベルトのうち最下端の係止溝にある研磨ベルトを前記基板の2つのベルト掛け爪に移しながら、残りの研磨ベルトを1ピッチずつ下方向に移動させることができる。このため、上記操作を繰り返すことによって、前記研磨ベルト収容装置に巻き掛けられた複数の研磨ベルトを、連続的に、前記基板の2つのベルト掛け爪に移すことができる。
【0023】
また、この場合、前記研磨ベルト収容装置を、前記フレーム台に対して、前記係止溝を略平行に配置するとともにこのフレーム台に対して略垂直方向に回動可能にすれば、前記係止溝を垂直方向に配置することができる結果、係止溝への研磨ベルトの巻き掛けが容易にできるものである。
【0024】
また、この場合、前記研磨ベルト収容装置の回動軸にウォームホイールを設置し、且つ、前記フレーム台に操作用ウォームギアを設置し、これらを歯合させれば、前記研磨ベルト収容装置の回動が必要場合にのみ操作用ウォームギアを回転させればよいため、ベットにストッパを設けずとも前記研磨ベルト収容装置の回動を適宜位置でロックさせることができる。
【0025】
また、この場合、作業対象である研磨機における研磨ベルトの後方に押出板を進退可能に設置すれば、この研磨機のロールに巻き掛けられた研磨ベルトを緩めた状態で前記押出板を押し出すことによって、この研磨ベルトをロールから自動的に外し前方に落下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明に係る研磨ベルト装着装置は、基板に少なくとも2つのベルト掛け爪と少なくとも2つのストッパ具を設置し、前記ベルト掛け爪を前記基板に対して進退可能に配置するとともに前記ストッパ具を各々前記ベルト掛け爪の外側面に接触した状態で配置した事、および、研磨ベルト装着装置において、研磨ベルト収容装置は、前記基板の2つのベルト掛け爪に対向するようにベルト巻き掛け具が配置され、このベルト巻き掛け具の巻き掛け方向に沿ってその両端に移動ツメを配置するとともにこの移動ツメの間に固定ツメを配置し、これらのツメに各々連通する複数の係止溝を形成し、且つ、前記移動ツメおよび前記固定ツメを外側方向に進退可能に設置するとともに前記移動ツメを垂直方向に進退可能にしたことに事に最も主要な特徴を有する。
【実施例】
【0027】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1はこの発明に係る研磨ベルト装着装置の正面図、図2は右側面図(部分断面)、図3は平面図、図4は図1におけるIV矢視図、図5は図4における平面図、図6は図4におけるVI矢視図、図7は図1におけるVII−VII線断面図、図8は研磨機に研磨ベルトを取り付ける際の説明図、図9は研磨ベルト収容装置において、研磨ベルトを基板のベルト掛け爪に掛け渡す際の説明図である。
【0029】
図1、図4〜6において、Aは研磨機であり、支持部11を介して、支持レール91に吊設されている。この研磨機Aは支持レール91に従ってX−Y方向に移動できるとともに垂直軸を中心として回転できる。そして、流しの天板92とシンク93との溶接接合部94を研磨する際に使用される。
【0030】
20は研磨機用基台であり、前記支持部11に揺動可能に設置されている。また、21は研磨ローラー(ベルト用ローラー)であり、前記研磨機用基台20の下端に回動可能に設置されている。この研磨ローラー21には、研磨ベルトBが巻き掛けられ、前記流しの天板92とシンク93との溶接接合部94を押圧しながら移動する。
【0031】
22はモーターであり、前記研磨機用基台20に設置されている。また、23は原動プーリーであり、このモーター22に設置されている。このモーター22およびこの原動プーリー23の作用は後記する。24はテンションローラーであり、前記研磨機用基台20に設置されている。このテンションローラー24の作用も後記する。
【0032】
次に、25はピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記研磨機用基台20に設置されている。このピストン・シリンダ機構25は上下方向にピストンを進退させる。26は移動板であり、前記ピストン・シリンダ機構25のピストンの先端部に固定されている。このため、この移動板26は前記ピストン・シリンダ機構25によってその上下方向の位置を調節することができる。なお、27はこの移動板26の進退をガイドするためのガイド杆である。
【0033】
28は支持ローラー(ベルト用ローラー)であり、前記移動板25の右上部(図4において)に回転軸29を介して回動可能に設置されている。この支持ローラ−28には研磨ベルトBが巻き掛けられる。30は従動プーリーであり、前記回転軸29の反対側に設置されている。この従動プーリー30と前記原動プーリー23とには、伝導ベルト32が巻き掛けられている(図4,図5を参照のこと)。このため、前記モーター22の駆動によって前記従動プーリー30、ひいては、前記支持ローラ−28は回転する。なお、前記伝導ベルト32のテンションを調節するために必要なのが、前記テンションローラー24である((図4,図5を参照のこと)。
【0034】
次に、33はピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記移動板26に設置されている。このピストン・シリンダ機構33は略水平方向にピストンを進退させる。34は調節ローラー(ベルト用ローラー)であり、このピストン・シリンダ機構33のピストンの先端部に回動可能に設置されている。この調節ローラー34は、前記ピストン・シリンダ機構25によってその水平方向の位置を調節し、研磨ベルト(この調節ローラー34に巻き掛けられる)Bの張り具合を調節するためのものである。 なお、35はこの調節ローラー34の進退をガイドするためのガイド杆である。
【0035】
次に、36はピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記移動板26に設置されている。このピストン・シリンダ機構36は略水平方向にピストンを進退させる。37は押出板であり、このピストン・シリンダ機構36のピストンの先端部に固定されている。この押出板37は、前記ピストン・シリンダ機構36によって作動し、前記調節ローラー34と前記支持ローラー28との間に巻き掛けられた研磨ベルトBを緩めた状態で押し出し、研磨機Aの前方へ落下させる(図6を参照のこと)。なお、38はこの押出板37の進退をガイドするためのガイド杆である(図1を参照のこと)。
【0036】
次に、図1〜3,8,9に基づいて、研磨ベルト装着装置Cについて詳述する。
【0037】
図1〜3において、50は、前記研磨ベルト装着装置Cのフレーム台である。このフレーム台50は開口部51を有している。なお、52はモーター、53は補助プーリーであり、各々前記フレーム台50に設置さている。このモーター52と補助プーリー53との間にはタイミングベルト54が巻き掛けられている。
【0038】
55は移動台であり、前記フレーム台50の天面にガイドレール56,56 を介して水平方向に移動可能に設置されている。この移動台55は、研磨ベルト取付け作業位置(図1の状態の位置)と後記研磨ベルト収容装置Dとの間を往復動する。57は取り付け具であり、前記移動台55の底部に突設されている。この取り付け具57の下端は前記タイミングベルト54が固定されているため、前記モーター52の回動に基づいて左右方向へ移動することができる。
【0039】
次に、60は基台であり、前記移動台55に揺動軸56を介して揺動可能に設置されている。この基台60は、後記基板63を水平状態から、前記研磨機Aに対向させるためのものである。
【0040】
61 はピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記取り付け具57に揺動可能に設置されている。このピストン・シリンダ機構61は揺動しながらピストンを進退させる。そして、そのピストンの先端部は、前記基台60の裏面に揺動可能に連結されている。このため、前記ピストン・シリンダ機構61の作動によって、前記基台60は前記移動台55に対して揺動し、適宜位置で停止させることができる (図1の仮装線の図を参照のこと)。
【0041】
次に、62は別のピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記基台60に設置されている。このピストン・シリンダ機構62は前後方向にピストンを進退させる(図1において)。63は基板であり、このピストン・シリンダ機構62のピストンの先端部に固定されている。この基板63は、前記ピストン・シリンダ機構63の作動にしたがって前後方向へ進退する。なお、64はこの基板63の進退をガイドするためのガイド杆である。
【0042】
次に、65,65,…はベルト掛け爪用のピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記基板63に設置されている。このピストン・シリンダ機構65は前後方向にピストンを進退させる(図1において)。66,66,…はベルト掛け爪であり、各々前記ピストン・シリンダ機構65,65,…のピストンの先端部に固定されている。これらのベルト掛け爪66は、前記ピストン・シリンダ機構65の作動にしたがって前後方向へ進退する。これらのベルト掛け爪66は円板661 に湾曲状の側板662 を立設したものであり、この湾曲状の側板662 の外壁面に研磨ベルトBが巻き掛けられる。なお、図示はしないが、このベルト掛け爪66の進退をガイドするためのガイド杆も設けられている。
【0043】
次に、67,67,…はストッパ具であり、それぞれ前記基板63に固定されている。このストッパ具67は湾曲状の側板から構成されており、前記ベルト掛け爪66の外壁面に接触している。このため、前記ベルト掛け爪66はこのストッパ具67の内壁面に沿って進退する。よって、前記ベルト掛け爪66,66,…に研磨ベルトBを巻き掛けた状態で、前記ベルト掛け爪66,66,…を後退させれば、研磨ベルトBはそれぞれのストッパ具67,67,…に衝突して、前記ベルト掛け爪66,66,…から外れるものである。なお、この実施例では、前記ベルト掛け爪66は3つであるが、少なくとも2つは必要である。
【0044】
次に、図1,2,3,9に基づいて、研磨ベルト収容装置Dについて詳述する。
【0045】
図において、70,70 は一対の支持枠であり、前記フレーム台50に立設されている。この一対の支持枠70,70 は所定距離を介して互いに対向している。71は天板であり、回動軸72を介して前記一対の支持枠70,70 に回動可能に設置されている。このため、前記研磨ベルト収容装置Dは、前記フレーム台50に対して、後記係止溝81が略平行の状態から略垂直方向にすることができる(図1の仮装線の状態)。なお、この天板71の回動を前記回動軸72にウォームホイールを設置し、且つ、前記支持枠(フレーム台50)70に操作用ウォームギアを設置し、この操作用ウォームギアを回動させることによって操作することができる。また、722 はロック装置であり、前記支持枠70,70 に設置されている。このロック装置721 はロッドを前記天板71の係止孔具722 に出入させることによって、前記天板71の水平状態をロックしたり、このロックを解除したりする。なお、このロック装置721 は前記天板71が水平状態よりも揺動しないようにするためのストッパしての機能も有している。
【0046】
73,73,…はベルト巻き掛け具であり、前記天板71の下面に垂直方向に立設されている。これらのベルト巻き掛け具73,73,…は、前記基板60の3つのベルト掛け爪66,66,…に対向するように配置されている。
【0047】
74は補助板用のピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記天板71に設置されている。このピストン・シリンダ機構74は上下方向にピストンを進退させる(図1,2において)。75は補助板であり、前記ピストン・シリンダ機構74のピストンの先端部に固定されている。この補助板75は前記ピストン・シリンダ機構74の作動にしたがって上下方向へ進退する。なお、76,76 は、この補助板75の進退をガイドするためのガイド杆である。
【0048】
77,77,…は移動ツメ用のピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記ベルト巻き掛け具73,73,…にブラケットを介して設置されている。このピストン・シリンダ機構74は前後方向にピストンを進退させる(図7において)。78,78,…は移動ツメであり、前記ピストン・シリンダ機構77,77,…のピストンの先端部に固定されている。この移動ツメ78,78,…は前記ピストン・シリンダ機構77,77,…の作動にしたがって前後方向へ進退する。なお、図示はしないが、このこの移動ツメ78,78,…の進退をガイドするためのガイド杆も設けられている。
【0049】
次に、 79,79, …は固定ツメ用のピストン・シリンダ機構(空気圧)であり、前記補助板75に設置されている。このピストン・シリンダ機構79,79,…は前後方向にピストンを進退させる(図7において)。80,80,…は固定ツメであり、前記ピストン・シリンダ機構79,79,…のピストンの先端部に固定されている。この固定ツメ80,80,…は前記ピストン・シリンダ機構79,79,…の作動にしたがって前後方向へ進退する。なお、図示はしないが、このこの固定ツメ80,80,…の進退をガイドするためのガイド杆も設けられている。
【0050】
81,81,…は係止溝であり、前記移動ツメ78,78,…と前記固定ツメ80,80,…に互いに連通した状態で平行に形成されている。これらの係止溝81,81,…には、前記ベルト巻き掛け具73,73,…に巻き掛けられた収容されるべき所要数の研磨ベルトBが係止される。
【0051】
このため、予め、前記固定ツメ80,80,…の係止溝81,81,…に研磨ベルトB,B,…を巻き掛けた状態で(図9(1)を参照のこと)、前記固定ツメ80,80,…を後退させることによってその係止溝81,81,…から研磨ベルトB,B,…を開放するとともに前記移動ツメ78,78,…を突出させてその係止溝81,81,…に研磨ベルトB,B,…を係止する(図9(2)を参照のこと)。この状態で、前記補助板75を下降させて前記移動ツメ78,78,…を一ピッチ下方向に移動させれば、最下端の研磨ベルトBはスライドしながら係止溝81から外れる(図9(3)を参照のこと)。この状態で前記移動ツメ78,78,…を後退させることによってその係止溝81,81,…から研磨ベルトB,B,…を開放するとともに前記固定ツメ80,80,…を突出させてその係止溝81,81,…に研磨ベルトB,B,…を係止する(図9(4)を参照のこと)。このようにすることによって、前記研磨ベルト収容装置Dに巻き掛けられた複数の研磨ベルトB,B,…のうち最下端の係止溝81にある研磨ベルトBをスライドしながら係止溝81から外すことができる。
【0052】
次に、この研磨ベルト装着装置Cの作用について説明する。
まず、研磨機Aにおいて、調節ローラー34を後退させ、研磨ベルトBの巻き掛けを緩める。そして、この押出板37を押し出し、この研磨ベルトBを研磨機Aの前方へ落下させる。
【0053】
この状態で、前記モーター52を作動させ、前記移動台55を前記研磨ベルト収容装置D の下方に配置する。このとき、前記基板63の3つのベルト掛け爪66,66,…は、対応するベルト巻き掛け具73,73,…に対向している。この状態で、固定ツメ80,80,…を後退させることによってその係止溝81,81,…から研磨ベルトB,B,…を開放するとともに前記移動ツメ78,78,…を突出させてその係止溝81,81,…に研磨ベルトB,B,…を係止する(図9(2)を参照のこと)。
【0054】
この状態で、前記移動ツメ78,78,…を一ピッチ下方向に移動させれば、最下端の研磨ベルトBは前記基板63の3つのベルト掛け爪66,66,…にスライドしながら巻き掛けられる(図9(3)を参照のこと)。この状態で前記移動ツメ78,78,…を後退させることによってその係止溝81,81,…から研磨ベルトB,B,…を開放するとともに前記固定ツメ80,80,…を突出させてその係止溝81,81,…に研磨ベルトB,B,…を係止する(図9(4)を参照のこと)。このようにして、前記研磨ベルト収容装置テに巻き掛けられた複数の研磨ベルトのうち最下端の係止溝81にある研磨ベルトBを前記基板63の3つのベルト掛け爪66,66,…に移す。
【0055】
その後、前記モーター52を作動させ、前記移動台55を、研磨ベルト取付け作業位置(図1の状態の位置)に移動する。
【0056】
そして、前記ピストン・シリンダ機構61は作動させることによって、前記基台60を揺動軸65を中心として前記基板63を前記研磨機Aに対向する位置まで揺動させる(図1の仮装線の状態を参照のこと)。
【0057】
そして、この位置で、前記ピストン・シリンダ機構62を作動させ、前記基板63を押し出すことによって、前記研磨機Aの研磨ローラー21、支持ローラー28、調節ローラー34の外側に、それぞれ対応する前記ベルト掛け爪66,66,…を配置させる(図8を参照のこと)。このとき、ベルト掛け爪66,66,…に巻き掛けられた研磨ベルトBは、研磨機Aの研磨ローラー21、支持ローラー28、調節ローラー34を囲むように配置されている(図8を参照のこと)。この状態で、前記ベルト掛け爪66,66,…を後退させれば、研磨ベルトBはそれぞれのストッパ具67,67,…に衝突して、前記ベルト掛け爪66,66,…から外れ、前記研磨機A の研磨ローラー21、支持ローラー28、調節ローラー34に緩んだ状態で巻き掛けられる。この状態で、前記研磨機Aの調節ローラー34にテンションを加え、緊張させることによって、前記研磨機Aの研磨ローラー21、支持ローラー28、調節ローラー34に研磨ベルトBを装着することができる。
【0058】
なお、上記各部材の進退は相応するピストン・シリンダ機構の作動によって行われる。また、これらの作動はコントロール部によって自動的又は手動的に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、例えば、流しの天板とシンクとの溶接接合部を研磨する場合に、研磨ベルトを手作業で取り替えていた従来よりも、高能率で作業する場合に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1はこの発明に係る研磨ベルト装着装置の正面図である。
【図2】図2は右側面図(部分断面)である。
【図3】図3は平面図である。
【図4】図4は図1におけるIV矢視図である。
【図5】図5は図4における平面図である。
【図6】図6は図4におけるVI矢視図である。
【図7】図7は図1におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図8は研磨機に研磨ベルトを取り付ける際の説明図である。
【図9】図9は研磨ベルト収容装置において、研磨ベルトを基板のベルト掛け爪に掛け渡す際の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
A … 研磨機
B … 研磨ベルト
D … 研磨ベルト収容装置
11 … 支持部
20 … 研磨機用基台
21 … 研磨ローラー
22 … モーター
23 … 原動プーリー
24 … テンションローラー
25 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
26 … 移動板
27 … ガイド杆
28 … 支持ローラー
29 … 回転軸
30 … 従動プーリー
32 … 伝導ベルト
33 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
34 … 調節ローラー
35 … ガイド杆
36 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
37 … 押出板
38 … ガイド杆
C … 研磨ベルト装着装置
50 … フレーム台
51 … 開口部
52 … モーター
53 … 補助プーリー
54 … タイミングベルト
55 … 移動台
56 … ガイドレール
57 … 取り付け具
60 … 基台で
61 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
62 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
63 … 基板
64 … ガイド杆
65 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
66 … ベルト掛け爪
661 … 円板(ベルト掛け爪の)
662 … 側板(ベルト掛け爪の)
67 … ストッパ具
70 … 支持枠
71 … 天板
72 … 回動軸
73 … ベルト巻き掛け具
74 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
75 … 補助板
76 … ガイド杆
77 … ピストン・シリンダ機構(空気圧)
78 … 移動ツメ
79 …ピストン・シリンダ機構(空気圧)
80 … 固定ツメ
81 … 係止溝
91 … 支持レール
92 … 流しの天板
93 … シンク
94 … 溶接接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に少なくとも2つのベルト掛け爪と少なくとも2つのストッパ具を設置し、前記ベルト掛け爪を前記基板に対して進退可能に配置するとともに前記ストッパ具を各々前記ベルト掛け爪の外側面に接触した状態で配置したことを特徴とするけ研磨ベルト装着装置。
【請求項2】
請求項1の研磨ベルト装着装置において、前記ストッパ具を前記ベルト掛け爪に沿って湾曲状に形成したことを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項3】
請求項1の研磨ベルト装着装置において、前記基板は基台に設置され、この基台に対して進退可能であることを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項4】
請求項3の研磨ベルト装着装置において、前記基台は、フレーム台に移動可能に設置された移動台に揺動可能に設置されていることを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項5】
請求項4の研磨ベルト装着装置において、前記フレーム台に研磨ベルト収容装置を設け、前記移動台は、研磨ベルト取付け作業位置とこの研磨ベルト収容装置との間を移動可能であることを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項6】
請求項5の研磨ベルト装着装置において、研磨ベルト収容装置は、前記基板の2つのベルト掛け爪に対向するようにベルト巻き掛け具が配置され、このベルト巻き掛け具の巻き掛け方向に沿ってその両端に移動ツメを配置するとともにこの移動ツメの間に固定ツメを配置し、これらのツメに各々連通する複数の係止溝を形成し、且つ、前記移動ツメおよび前記固定ツメを外側方向に進退可能に設置するとともに前記移動ツメを垂直方向に進退可能にしたことを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項7】
請求項6の研磨ベルト装着装置において、前記研磨ベルト収容装置は、前記フレーム台に対して、前記係止溝が略平行に配置されているとともにこのフレーム台対して略垂直方向に回動可能であることを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項8】
請求項7の研磨ベルト装着装置において、前記研磨ベルト収容装置の回動軸にウォームホイールを設置し、且つ、前記フレーム台に操作用ウォームギアを設置し、これらを歯合させたことを特徴とする研磨ベルト装着装置。
【請求項9】
請求項1,2,3,4,5,6,7又は8の研磨ベルト装着装置において、作業対象である研磨機における研磨ベルトの後方に押出板を進退可能に設置したことを特徴とする研磨ベルト装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−44067(P2008−44067A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221727(P2006−221727)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(506186145)株式会社 東洋鐡工所 (2)
【Fターム(参考)】