研磨品を製造する急速工作システム及び方法
【課題】研磨品を製造する工作システム及び方法を改良する。
【解決手段】カートリッジ本体と、第1結合剤と、第1研磨粒とを備えた、構造化媒質カートリッジ。カートリッジが、第1結合剤と第1研磨粒を含むパターン化された連続層を堆積させ、1つの研磨構造を形成させる働きをすることができる。
【解決手段】カートリッジ本体と、第1結合剤と、第1研磨粒とを備えた、構造化媒質カートリッジ。カートリッジが、第1結合剤と第1研磨粒を含むパターン化された連続層を堆積させ、1つの研磨構造を形成させる働きをすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、研磨品を製造する急速工作システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆研磨剤、結合研磨剤のような研磨品は、様々な工業において、ラップ仕上げ、研削、つや出しなどによって工作物を加工するのに使用される。研磨品を利用する機械加工は、光学工業、自動車塗装補修工業から金属製品工業に至るまで広範囲にまたがる。これらの例の各々において、製造設備が各工程中に使用する研磨品はかなりの量になる。
【0003】
1つの代表的工程において、研磨品消費者は大量の研磨品を研磨品製造者に注文する。研磨品製造者は、選択された粒度と結合材料を使用する1バッチの研磨品を製造する。研磨品製造者は、続いて、異なる粒度と結合材料を有する別のバッチの研磨品を製造するかもしれない。
【0004】
代表的には、特定の粒度を有するバッチが先のバッチで使用された粒で汚されるのを防ぐために研磨品製造装置を完全に清浄化することは困難である。粗粒研磨剤の粒が細粒研磨剤バッチを汚した場合、その汚された細粒研磨剤バッチの使用が、つや出し又は研削される表面を傷つけることになる。そこで、研磨品製造者は、コストアップにつながる研磨品バッチ間の汚れを抑制することに多大の注意を払っている。
【0005】
その上、ユーザーはバッチ単位で注文する。大口ユーザーの場合、バッチ単位での注文が、結果として多額の人件費支出につながり、1バッチ受け取るたびに貯蔵と物流の問題に直面し、先を見越しての研磨品使用に伴う諸問題を抱えることになる。研磨品使用量を少なく見積もった場合、ユーザーは、注文した研磨品を早めに使い切ってしまうことになり、結果として、生産性低下、そして収益損失を招くことになりかねない。
【0006】
加えて、研磨品を製造する伝統的方法は、過剰の屑を生み出し、このような方法を通して成形し得る研磨品の形状及び形態が制限される。例えば、被覆研磨剤の特別な輪郭を望むとき、その輪郭に合うように被覆研磨剤の材料板を切断すると、かなりの量の未使用の材料が屑として残ることになる。結合研磨品を製造するとき、伝統的方法は、(i)1バッチのスラリを準備する、(ii)スラリを型に注入する、(iii)スラリを圧縮し、硬化させる、(iv)成品を型から出す、(v)最終寸法に仕上げる段階を含む成形プロセスを使用する。完成した結合研磨品の最終寸法が目標寸法を下回らないようにするため、製造プロセス全体を通じて過剰のファクターを使用する。例えば、型が十分に満たされるように過剰のスラリを注入する。加えて、最終寸法より大きいサイズの型を使用し、成形された結合研磨品を仕上げ段階で最終寸法にトリミングする。こうして、被覆研磨剤と結合研磨剤の両方の製造プロセスにおいて、研磨品を仕上げるまでに材料が浪費され、時間消費の追加工程が行われる。
【0007】
そこで、研磨品製造の方法及びシステムにおける改良に加えて、結合研磨剤と被覆研磨剤を含めて新しい研磨品を求める業界の要求は続いている。例を挙げると、既存の製造技術では研磨品の設計に限界があり、また、強化研磨剤や結合研磨剤の関連で言うと、代表的な研磨剤構造が、例えば円錐形又は角錐形など、型から抜き出し易い形の構造に限られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことから明らかな通り、研磨剤工業は、改良された製造技術、ならびに、新しい研磨剤構造を受け入れようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特別な一実施例では、急速構造化媒質カートリッジが、カートリッジ本体、第1結合剤、及び第1研磨粒を有している。カートリッジは、第1結合剤と第1研磨粒を有しているパターン化された連続層を沈澱させて1つの研磨構造を形成させる働きをする。
【0010】
別の実施例では、ソリッドフリーフォーム製造システムが、計算回路、第1結合剤と第1研磨粒を有するカートリッジ、及び、生産表面を有している。計算回路は、第1結合剤と第1研磨粒のパターン化された連続層を生産表面の上に沈澱させて1つの研磨構造を形成させる方向にカートリッジを向かわせるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】研磨品を急速工作する例示の浸漬システムの概観図である。
【図2】研磨品を急速工作する例示の浸漬システムの概観図である。
【図3】研磨品を製造する例示のプリントシステムの概観図である。
【図4】研磨品を製造する例示のプリントシステムの概観図である。
【図5】研磨品を製造する例示のプリントシステムの概観図である。
【図6】研磨品を急速工作するシステムにおいて使用される例示のカートリッジの概観図である。
【図7】研磨品を急速工作するシステムにおいて使用される例示のカートリッジの概観図である。
【図8】例示の研磨品の概観図である。
【図9】例示の研磨品の概観図である。
【図10】例示の研磨品の概観図である。
【図11】例示の研磨品の概観図である。
【図12】例示の研磨品の概観図である。
【図13】例示の研磨品の概観図である。
【図14】例示の研磨品の概観図である。
【図15】例示の研磨品の概観図である。
【図16】例示の研磨品の概観図である。
【図17】例示の研磨品の概観図である。
【図18】例示の研磨品の概観図である。
【図19】例示の研磨品の概観図である。
【図20】研磨品を製造する例示の方法を表したフローチャートである。
【図21】研磨品を製造する例示の方法を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の開示は、添付図面を参照することによってより良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかとなろう。
【0013】
図中に付けられた参照符号は、同じ符号が同一又は同様のものを指す。
【0014】
特別な一実施例において、開示は、ソリッドフリーフォーム製造システムや急速工作システムのような、研磨品を製造するためのシステムに向けられる。このシステムは、計算回路、カートリッジ及び生産表面を有している。カートリッジは、着脱式にシステムに結合させられており、カートリッジがシステムと噛み合っているとき、研磨品と結合剤をカートリッジから供給してよい。計算回路は、研磨品を成形する基体又は生産表面の上に配置された研磨粒と結合剤の沈殿又はパターンを制御するように構成されている。
【0015】
別の実施例において、開示は、結合剤と研磨粒を入れておくカートリッジに向けられる。カートリッジは、研磨品の製造に使用される急速工作システムに着脱式に結合するように構成されている。カートリッジは更に、第2結合剤と1組の第2研磨粒を入れておく構造であってもよい。
【0016】
開示はまた、研磨品を成形する方法にも向けられる。この方法は、研磨品設計データセットを急速工作システムに提供する段階、及び、研磨品設計データセットに基づいて研磨品を成形する段階を有している。この方法は更に、第2の研磨品設計データセットを準備する段階、及び、第2の研磨品設計データセットに基づいて第2の研磨品を成形する段階を有している。
【0017】
開示はまた、研磨品製造を容易にする方法にも向けられる。この方法は、カートリッジを受け入れる構造の急速工作システムを準備する段階、及び、結合剤と研磨粒を入れておくカートリッジを準備する段階を有している。この方法は、使用されたカートリッジを回収する段階、そのカートリッジを結合剤と研磨粒で再充填する段階、及び、再充填されたカートリッジを準備する段階も有してよい。
【0018】
研磨品は、被覆研磨品であっても結合研磨品であってもよい。被覆研磨品は、研磨剤の1つ以上の層を基体に結合させた製品を含む。基体又は裏当て材は、研磨剤を有している層が表面上に沈澱した寸法的に安定したコンポーネントとして働く。結合剤の使用を通じて研磨層の研磨粒が裏当て材に付着する。強化研磨剤又は構造化研磨剤は、伝統的な被覆研磨剤を超える改良性能を提供するために開発されたものである。構造化研磨剤は、前もって構成されたパターンに合わせるために研磨層を表面上に沈澱させた裏当て材を使用する。このような構造化研磨剤は、一般に、首尾一貫した割安の持続性ある表面仕上げ、延長された寿命など、従来の研磨剤製品を超える優れた粉砕特性を呈する。
【0019】
結合研磨剤は、一般に、構造的な完全さのために基体又は裏当て材を頼ることをしない三次元の形を持つ。例えば、結合研磨剤は砥石車や他の三次元研磨品を含む。伝統的に、結合研磨剤は、研磨粒と結合剤溶液の混合物を型に注入することによって成形されていた。
【0020】
ここで開示された通り、被覆研磨剤と結合研磨剤は急速工作法とソリッドフリーフォーム製造法を通じて成形してよい。例えば、急速工作法は、首尾一貫した割安の持続性ある表面仕上げ、有効寿命、有孔度、切削油/屑溝など、所望の研削特性を持つ製品を生産すべく研磨品を1層ずつ成形する。
【0021】
急速工作法は浸漬法とプリント法を含む。浸漬法は、一般に、樹脂や粉末のようなビルド材料で満たされた槽又は容器を使用する。1つのビルド層が形成された後にその都度プラットフォームを下降させた上で、対象物を1層ずつ構築する。未硬化又は未結合のビルド材料の薄い層をちょうど研磨品の最後の層の上に沈澱させ、1つのパターンで部分的に結合させる。実施例では、レーザ光源又は紫外線光源のようなエネルギー源を1つのパターンで未結合材料の層に向かわせ、材料中の結合剤を焼固又は硬化させる。別の実施例では、結合剤をビルド材料の層の上に1つのパターンでプリントする。次に、対象物を下降させ、未結合材料の続いての層を先の層の上に沈澱させ、未結合材料を再び1つのパターンで凝固させて研磨品を形成させる。
【0022】
例示の浸漬法は、液体方式と粉末方式を含む。例えば、液体方式は、液体樹脂のプールの中で対象物を構築する立体リトグラフ方式を含む。粉末方式は、結合剤をプリントし、レーザで選択的に焼固させる方式を含む。例えば、セラミック材料の層の上に結合剤を1つの特定パターンでプリントすることにより、その層をその特定パターンで結合させてよい。別の例では、粉末材料の層の上にレーザビームを1つの特定パターンで向かわせることにより、その粉末材料をその特定パターンで焼固させてよい。
【0023】
ソリッドフリーフォーム製造法と急速工作法も急速プリント方式を含む。急速プリント方式は、一般に、溶液を1つのパターンで基体の上に沈澱させる工程を含む。一実施例では、研磨粒と結合剤を含む溶液を連続的に沈澱させることによって研磨品を成形する。例示のプリント方式は、沈澱プリント方式と押し出し方式を含む。例示の沈澱方式は、金属結合システムのような乾燥粒沈澱方式と、液体硬化性樹脂システムのような液体沈澱方式を含む。押し出し方式は、熱可塑性材料のフィラメントを融解し、所望のパターンで沈澱させる融解沈澱加工(FDM)を含む。
【0024】
図1及び2は、研磨品を成形する例示の浸漬システムを示す。図1に描かれたシステム100は、未硬化の樹脂と研磨粒を含む未硬化の溶液104の槽102を含む。研磨品108がプラットフォーム106上で成形される。レーザ光源又は紫外線(UV)光源のようなエネルギー源112が、溶液104を硬化又は結合させて1つのパターン化された層にする方向に、エネルギーを1つのパターンでその溶液の表面層に沿って向かわせる。例えば、溶液104の表面上にそのパターンが形成されるようにレーザを表面層全体にわたって走査してよい。別の例では、溶液104の表面上にそのパターンが形成されるように紫外線光線をマスク通過の方向に向かわせる。続いて、プラットフォーム106を少し下降させ、バー又はスイーパ110を使って成形中の研磨品108を覆う未硬化溶液の続いての層を掃引する。このプロセスは、続いてのパターンのエネルギーを表面層に向かわせ、プラットフォーム106を下降させ、先に硬化した層を覆う追加の層を掃引することによって続行する。研磨品108が完成したら、プラットフォーム106を上昇させ、研磨品108を清浄化し、溶剤で洗浄する。一実施例では、熱方式又は紫外線方式を使って対象物を更に後硬化させてよい。
【0025】
溶液104は、研磨粒と結合剤又は硬化性樹脂を含む。一実施例では、結合剤又は硬化性樹脂が、熱、レーザ照射、紫外線エネルギー照射、電子ビーム照射又はパターン化された光線のうち少なくとも1つに感応する。エネルギー又は光線を1つのパターンで向かわせることにより、研磨品の層を成形することができる。一実施例では、図1に描かれたシステムは立体リトグラフ方式を含む。
【0026】
図2は、粉末混合物を使用する例示のシステム200を示す。容器202が、研磨粒と粉末結合剤との混合物204を含む。混合物204は、セラミック粉末のような結合剤、ポリアミド、ポリエステルのような高分子材料、鋼及び鋳物砂を含んでよい。プラットフォーム206を下降させ、研磨品208を1層ごとに成形できるようにする。プラットフォームが数分の2.54cm(数分の1インチ)下降した途端、ローラ210が、容器202内部の材料204と研磨品208の上にビルド材料を沈澱させる。過剰の材料は、拭くか転がすかして容器214の中に入れてよい。
【0027】
エネルギー源212が、パターン化されたエネルギーを材料204の表面に向かわせ、研磨品208の続いての層を形成させる。一実施例では、エネルギー源212は、材料204と研磨品208の上に1つのパターンで向かわされたレーザ光源である。あるいはその代わりに、材料204は研磨粒である。結合剤又は研磨剤を1つのパターンで成形中の研磨品208と材料204の上にプリントし、成形中の研磨品の層を形成させる。
【0028】
続いて、プラットフォーム206を下降させ、続いてのパターン化された層を形成させる。研磨品208が成形されたら、プラットフォーム206を上昇させ、研磨品208を清浄化し、未結合の粉末を払い落す。図2に描かれたシステムの実施例は、結合剤プリント方式及び選択的レーザ焼固方式(SLS)を含む。
【0029】
図3及び4は、例示のプリントシステムを示す。図3に描かれているのは、熱可塑性材料308のフィラメントを加熱式押し出しヘッド310の中に通して送るシステム300である。プラットフォーム302及び/又は加熱式押し出しヘッド310が、三次元の研磨品304の成形を容易にするために三次元パターンの中で移動してよい。スプール306がフィラメント308を含み、これに含まれる研磨粒と熱可塑性材料が、加熱されたとき一時的に溶解し、沈澱し、研磨品304の層を形成することになる。例示の熱可塑性材料は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート及びポリフェニルスルホンを含む。特別な一実施例では、図3に描かれたシステム300は融解沈澱加工(FDM)システムである。
【0030】
図4は、粉末を研磨品404の表面上の複数の場所で融解する例示の沈澱プリントシステム400を示す。プラットフォーム402及び/又は沈澱ヘッド406が、研磨品404の1層ごとの成形を容易にするために三次元パターンの中で移動させられる。一実施例では、レーザ光源、高強度光源、又は放射熱源を沈澱ヘッド406通過の方向に向かわせ、粉末を研磨品404の表面上で集束するようにチューブ408通過の方向に向かわせる。粉末は、研磨品404を成形するために1つのパターンで焼固、融解又は硬化させられる。粉末は、研磨粒と結合剤を含む粉末の単一の流れとして沈澱しても、一方が研磨粒を含み、他方が結合剤を含む2つ以上の集束する流れとして沈澱してもよい。例示の結合剤は、鋼、銅、チタン、アルミニウムなどの金属を含む。一例では、プロセスは、粉末化金属と研磨剤の流れを沈澱させる一方、同時に、粉末を研磨品404に融合させるために沈澱領域をレーザで加熱する工程を含む。
【0031】
図5は、研磨品504を成形する連続的な層のプリントを含む別の沈澱プリントシステム500を示す。プラットフォーム502及び/又はプリントヘッド506が、研磨品504を成形するパターン化された層における樹脂系溶液の沈澱を容易にするために三次元パターンの中で移動させられる。樹脂系溶液は、続いて研磨品504の成形を容易にするために硬化させられる。一実施例では、このプリント方式は、パターン化されたビルド層において研磨粒を含む紫外線硬化性アクリル化物溶液をプリントする樹脂系沈澱方式を含む。続いて、ビルド層は、放射源508のようなエネルギー源からの紫外線光線に曝される。一実施例では、局部的に制御された有孔度、強化された裂開面、屑溝など所望の形状とミクロ特徴を有する研磨品の成形を容易にするために、プリントヘッド506が1つ以上の溶液を異なるパターンで沈澱させる。
【0032】
図1〜5に則して上で述べたシステム、特に、急速工作プリントシステムは、カートリッジを受け取るようになっていてよい。カートリッジは、着脱式にシステムに結合させられ、結合剤と研磨粒を収容してよい。一例では、カートリッジは、研磨粒と結合剤との混合物又は溶液を入れておく容器を含む。例えば、溶液は液体結合剤と研磨粒のスラリであってよい。あるいはその代わりに、溶液は、研磨粒と結合剤との粉末化混合物であってもよい。更なる実施例では、カートリッジは、熱可塑性結合剤と研磨粒を含むフィラメント組成物を入れておくスプールを含む。
【0033】
図6は、プリント方式の急速工作システムに使用される急速構造化媒質カートリッジの特別な一実施例600を示す。一般に、カートリッジは、結合剤及び/又は研磨粒を沈澱させて連続的な層にし、被覆研磨構造、結合研磨構造のような研磨構造を形成させる働きをする。例えば、カートリッジ600は、沈澱プリント方式の急速工作システムに着脱式に結合してよい。カートリッジ600は、容器602及び供給ノズル604を含む。カートリッジ600はまた、再充填口606を含んでよく、固有の識別名608を付けていてよい。
【0034】
カートリッジ600は、結合剤と研磨粒を入れておくように構成されている。一実施例では、結合剤と研磨粒は、カートリッジ本体において容器602のような共通の区画の中で一体結合してよい。結合剤と研磨粒は、ノズル604のような共通のノズルから供給される。結合剤が液体であれば、研磨粒と結合剤は、例えば液体結合剤と固体研磨粒からなるスラリのような溶液を形成する。結合剤が粒状であれば、研磨粒と結合剤は粒状混合物を形成する。
【0035】
一実施例では、結合剤は放射光により硬化可能である。例えば、結合剤は電子ビーム、レーザ、又は紫外線のような拡散光線に曝されたときに硬化可能であってよい。別の実施例では、結合剤と研磨粒の溶液が更に、例えば熱硬化、化学硬化のような代替法により硬化可能な第2結合剤を含む。
【0036】
一実施例では、供給ノズル又はオリフィス604は、材料を供給すべく選択的に制御される。例えば、供給ノズル604はプリントヘッドの一部分をなしてよい。こうして、供給ノズル604は、溶液の供給を制御する機構を含む。例示の機構は、ヒータ駆動式のバブルジェット(登録商標)機構、静電機構、及び圧電機構を含む。あるいはその代わりに、オリフィス604が、カートリッジから分離したプリントヘッドに材料を提供する。
【0037】
図7は、2つ以上の容器702及び704を含む例示のカートリッジ700を示す。カートリッジ700は、1つ以上の供給ノズル(706及び712)及び1つ以上の再充填口(708及び710)も含む。一実施例では、結合剤と研磨粒は、容器702及び704のような専用の区画の中で互いに分離される。区画は、結合剤と研磨粒をノズル706のような共通のノズルを通して供給する構造であってよい。例えば、カートリッジ700は、第1結合剤と第1研磨粒を1つのノズルを通して供給する前にその第1結合剤と第1研磨粒を結合させる構造の供給構造を含んでよい。
別の例では、区画は、結合剤と研磨粒を、ノズル706及び712のような別個のノズルを通して供給する構造であってよい。
【0038】
別の実施例では、容器702のような容器が、1組の第1研磨粒と第1未硬化結合剤を含む溶液を入れていてよい。容器704の中に入れられた第2溶液が、第2未硬化結合剤を含み、任意に1組の第2研磨粒を含む。特別な一実施例において、第2結合剤は、第1結合剤の機械的な後硬化特性と異なる機械的な後硬化特性、例えば機械的な後硬化強さを呈する。1組の第2研磨粒は、1組の第1研磨粒と異なる組成、異なる平均粒度、異なる形態、異なる性能及び/又は異なる硬さを有してよい。結果として、第1溶液を使って生産された研磨品は、第2溶液を使って生産された研磨品と異なる性能特性、例えば摩耗抵抗、材料除去率を呈する。加えて、第1溶液と第2溶液の比を変えて生産された研磨品の内部領域は異なる性能特性を呈する。
【0039】
更なる例では、研磨品が被覆研磨品である。カートリッジは、メイクコート(make coat)を形成する第1結合剤と、サイズコート(size coat)を形成する第2結合剤を沈殿させてよい。カートリッジはまた、第3の容器の中に第3の結合剤を入れてもよい。第3の結合剤は、例えば、被覆研磨品のスーパーサイズコートを形成すべく沈澱させてよい。
【0040】
あるいはその代わりに、容器704の中に入れられた第2溶液は硬化剤を含む。例えば、この硬化剤は、第1結合剤の重合、橋かけ結合又は凝固を誘発してよい。別の実施例では、第2溶液は、研磨粒配分の密度を減じる、又は、第1結合剤の機械的強さを変える希釈剤として作用してよい。
【0041】
更なる例では、容器704の中に入れられた第2溶液は、研磨品に対して感圧接着性の裏当てを形成する接着剤を含む。例えば、第2溶液は、感圧接着性の裏当てを形成すべく剥離フィルムの上に沈澱させてよい。結合剤と研磨粒は、研磨品を成形すべく接着性裏当ての上に沈澱させてよい。成形された研磨品は、剥離フィルムから外し、研削装置、つや出し装置又はファイニング装置の表面に押圧してよい。
【0042】
カートリッジ700の再充填のために、消費者、サービスプロバイダ又は製造者は1つ以上の再充填口(708及び710)を使用してよい。一実施例において、消費者は、サービスプロバイダ又は製造者に、カートリッジに注入しようとする結合剤と研磨粒を指定してよい。例えば、消費者は、固有の識別名714をウェブサイトに入力し、その固有の識別名714と関連したカートリッジ700に注入しようとする所望の結合剤と研磨粒を指定してよい。消費者は、その後、カートリッジ700をサービスプロバイダ又は製造者に送ってよい。
【0043】
図6及び7に描かれた通り、カートリッジは三次元の沈澱プリント装置に使用できるように構成されている。他の実施例では、カートリッジは、融解沈澱加工(FDM)システム、選択的レーザ焼固システム、又は金属沈澱システムに使用できるように構成されている。代替の実施例では、容器は、熱可塑性フィラメントを入れておくスプール、又は、粉末化混合物を入れておくように構成されている。
【0044】
別の実施例では、カートリッジが、急速工作システム又はソリッドフリーフォーム製造システムに選択的に結合させられる。例えば、異なる特性の研磨品を生産するために、ある組成物を入れておくカートリッジを、異なる組成物を入れておくカートリッジと取り替えることができる。
【0045】
一般に、溶液、混合粉末及びフィラメントは、結合剤と1組の研磨粒を使って形成してよい。溶液の場合、結合剤は、電子ビーム、マイクロ波、レーザ、紫外線などを使ったエネルギー方式を介して硬化可能な樹脂のような硬化性樹脂の形を取ってよい。あるいはその代わりに、結合剤は、触媒誘発形又は水分誘発形の化学方式、又は熱方式を介して硬化可能であってよい。
【0046】
特に有用な紫外線硬化性結合剤組成物は、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー及びモノマーのグループから選択された成分を含有する。有用なオリゴマーは、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、芳香族酸アクリレート、エポキシメタクリレート、及び、芳香族酸メタクリレートを含む。モノマーは、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性及び五官能性のアクリレート及びメタクリレート、例えばトリメチロプロパン・トリアクリレート、トリメチロプロパン・トリアクリレート、3重(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸塩トリアクリレート、トリプロピレン・グリコール・ジアクリレート、ヘキサンジオール・ジアクリレート、オクチルアクリレート、及び、デシルアクリレートを含む。結合剤調剤は、分子当たり3つ以上のアクリレート基を含有する相当量のアクリレートモノマーを含んでよい。代表的な市販製品は、トリメチロプロパン・トリアクリレート(TMPTA)及びペンタエリトリトール・トリアクリレート(PETA)を含む。硬化後の最終製品に所望のレオロジー処理特性、所望の粘り強さ及び所望の切削特性を得させるため、相対量の二官能性アクリレート、三官能性アクリレート及び高分子量のアクリレートオリゴマーを他の成分と一緒に調整してよい。
【0047】
光化学線源の放射束は、従来のどんな紫外線源によっても提供できる。例えば、被覆又はビルド層を、Vバルブ、Dバルブ、Hバルブ又はH+バルブから、又はそれらを組み合わせたバルブから、幅2.54cm(幅インチ)当たり100〜600ワットの範囲内のエネルギー出力で発生させられた紫外線光線に曝してよい。
【0048】
更に、結合剤と研磨粒の間の結合を改善するためにカップリング剤を使用してよい。代表的なカップリング剤は、オルガノシラン、例えばOsi Specialties, Inc.から入手できるA−174及びA−1100、及びオルガノチタネート、及びジルコアルミネートを含む。カップリング剤の特殊グループは、アミノシラン及びメタクリルオキシシランを含む。
【0049】
硬化した結合剤の分散のレオロジー及び硬さ及び粘り強さを改善するために充填剤を分散物に組み入れることができる。有用な充填剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの金属炭酸塩、石英、ガラスビード、ガラスバブルなどのシリカ、タルク、粘土、メタケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムなどの金属硫酸塩、酸化カルシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物(例えばベーマイト及び/又は擬似ベーマイトの形の)、及び、三水和アルミニウムを含む。
【0050】
分散物は、粉砕効率及び切削率を高める粉砕助剤を備えてもよい。有用な粉砕助剤は、ハロゲン塩のような無機系、例えばナトリウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウムなど、又は、塩素化ワックスのような有機系、例えば塩化ポリビニルなどであってよい。特別な実施例が含むのは、粒度範囲1〜80ミクロン、最も好ましくは5〜30ミクロンの氷晶石及びテトラフルオロホウ酸カリウムである。粉砕助剤の重量パーセントは、調剤全体(研磨成分を含む)の0〜50%、最も好ましくは10〜30%の範囲である。
【0051】
上記成分に加えて他の成分も添加してよく、その代表的なものは、安息香エーテル、ベンジルケテル、α−アルコキシ−アセトフェノン、α−ヒドロキシ−アルキルフェノン、α−アミノ−アルキルフェノン、アクリル・ホスフィン酸化物、ベンンゾフェノン/アミン、チオキサントン/アミンなどの光開始剤、又は、他の遊離基発生剤、グラファイト、カーボンブラックなどの帯電防止剤、ヒュームドシリカなどの懸濁剤、ステアリン酸亜鉛などの負荷防止剤、ワックスなどの潤滑剤、湿潤剤、染料、充填剤、粘度調節剤、分散剤、及び、泡消し剤である。
【0052】
代替の急速工作システムにおいて、又は、上記結合剤との組み合わせの中で、様々な熱硬化性ポリマーを利用してよい。熱可塑性ポリマー及び熱硬化ポリマーを利用してよい半面、しばしば熱硬化ポリマーは、その安定した性質のゆえに、特に過剰の熱を発生させる切削作業又は仕上げ作業との関連の中で強調される。特別な実施例によれば、結合剤化合物は粉末を含み、代表的には主成分として粉末を含み、又は全部が粉末でさえある。幾つかの実施例では、液体の熱硬化性ポリマーを使用する。他の実施例では、粉末を優先させるために液体の熱硬化性ポリマーが排除される。粉末形の硬化性結合剤は、例えば、被覆研磨剤を成形するプロセスに実に簡単に組み入れられるような幾つかの実施例において特に有利である。実際、粉末化熱硬化性結合剤の使用は、構造化研磨剤の成形に使用される研磨分散物の生成にとって特に有利である。その上、粉末形の熱硬化性成分を他の液体結合剤と併用することにより、最終製品の研磨特性が改善され、また、少なくとも部分的に分散物の粘度が有利に変化する結果、処理性が改善されることも実証された。熱硬化性ポリマーは、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素/ホルムアルデヒド、メラミン/ホルムアルデヒド、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル、及び、それらの混合物を含む。このような樹脂は液体か粉末かいずれかの形で入手でき、幾つかの好ましい実施例では粉末化された形又は粒状の形で使用されると解する。
【0053】
他の実施例では、結合剤は、粉末ビルド材料、例えば熱可塑性物質、金属、及び樹脂被覆セラミックスなどを含んでよい。樹脂被覆セラミックスは、例えば鋳物砂などの樹脂被覆砂を含む。このような結合剤は、選択的レーザ焼固技術において有用であり得る。特に有用な粉末化金属は、鋼、銅、チタン及びアルミニウムを含む。粉末化金属は、例えば図4に描かれた装置で実行されるような金属沈澱方式において使用してよい。有用な熱可塑性結合剤は、ポリアミド、ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポリフェニルスルホンを含む。このような熱可塑性結合剤はまた、図3に描かれたようなFDMシステムにおいて使用してもよい。
【0054】
結合剤プリント方式は、乾燥を通して、又は、下地材料との接触を通して硬化する液体接着剤を使用してよい。代替の実施例では、結合剤は水分で活性化してよい。
【0055】
研磨粒は、アルミナ(溶融状態又は焼固状態の)、ジルコニア、ジルコニア/酸化アルミナ、炭化ケイ素、ガーネット、ダイヤモンド、立体窒化ホウ素、及びそれらの組み合わせを含む既知の研磨粒のうちのいずれか1つ又は組み合わせの形であってよい。研磨粒は、一般に、1〜150ミクロン、より代表的には1〜80ミクロンの平均粒度を有する。ファイニング及びつや出しの用途については、平均粒度は約1〜16ミクロン、例えば約3〜5ミクロンなどであってよい。しかしながら、一般に、介在する研磨剤の量は、調剤の重量の約10〜約90%、例えば約30〜約80%などであってよい。
【0056】
被覆研磨剤及び強化研磨剤の実施例では、裏当て材が、様々なポリマーフィルム、紙及び他のセルロース材料を含む可撓性であるが、機械的に安定した材料、及び、様々な高分子飽和剤と共にコットン及びポリエステルを含む布の形であってよい。布は、織布であっても不織布であってもよい。裏当て材又は基体の特別な種類がポリエチレンテレフタレートフィルムである。他の高分子フィルムはポリカーボネートフィルムを含む。裏当て材は、研磨層と裏当て材の間の接着が促進されるようにプライマー処理又は予備処理してあってよい。あるいはその代わりに、裏当て材は、例えば感圧接着性の裏当てを付けた研磨品の製造に使用されるような剥離フィルムであってよい。
【0057】
特別な一実施例では、被覆研磨品及び強化研磨品の成形に急速工作システム及びカートリッジを使用してよい。このような研磨品は、要求あり次第、貯蔵やバッチ注文に伴う出費なしに所望の通り成形することができる。例えば、急速工作システムは、明瞭なパターンを持つ被覆研磨剤の成形に使用してよい。図8及び9は、花弁様の構造802及び906を含む例示のロゼットデザイン800及び904を示す。このようなデザイン800及び904をパターン化してプリントすることで、結果として、シート全面のプリントや所望の形状又は所望の輪郭のスタンピング又はカッティングに伴う屑や混ざり物を出すことなく基体表面に特定の輪郭がプリントされることになる。
【0058】
特別な一例では、光学工業は、レンズ及び光学表面のつや出しに有用な研磨品の製造にそのような急速工作システムを使用してよい。光学工業では、特別な被覆シートの単独使用は普通のことである。あるいはその代わりに、ペイント除去、サンディングなどの用途のためにはより長い寿命が望まれる。より長い寿命を得るためには、被覆研磨品の急速工作法が多重層の成形又はより強力な結合剤の使用を含んでよい。
【0059】
研磨剤の性能特性を被覆研磨品全体の研磨粒配分に基づいて制御することができる。例えば、研磨粒の密度を研磨品の領域間の相対速度の差に応じて調整することができる。図8に描かれた研磨品では、例えば眼鏡レンズなどの湾曲表面全体にわたって所望の除去率が得られるように研磨粒配分を調整することができる。図9に描かれた研磨品では、研磨粒の配分及び密度を、回転速度の差に応じて調整されるようにロゼットデザイン904の花弁様の構造906に沿って半径方向の調整することができる。研磨粒の密度は、より大きい密度が望まれる場所に補助の研磨層を加えることによって調整できる。あるいはその代わりに、性能特性に差をつけるために単位面積当たりの研磨溶液の滴又はピクセルの数を調整してもよい。異なる性能特性を持つ異なる研磨溶液を異なるパターン領域に施こしてよく、又は、研磨品全体にわたって場所ごとに量を変えて施してもよい。
【0060】
性能特性を調整する別の方法は、溶液配分パターンを調整することを含む。図10は、半径に沿って広がる回転速度差が補正されるように局部的摩耗率を調整してよい例示の溶液配分パターンを示す。パターン1000において、中心1002付近の線と線の間の距離は、外縁1004付近の線と線の間の距離より大きい。
【0061】
強化研磨剤及び構造化研磨剤に転じると、強化研磨品を成形する先行技術による方法は、一般に、角錐形や円錐形を含む正傾斜壁のような型外しし易い輪郭の外側表面を持つ品に限られる。一般に、無強化の被覆研磨剤は、所与の構造の厚みがその横断面の割に小さいことから、二次元とみなされる。対照的に、強化研磨剤、構造化研磨剤、及び結合研磨剤は、横断面の割にかなり厚みのある構造で、これは製造上考慮に加えるべきことである。特に、ここで述べる急速工作法をもってすれば、一般に、負傾斜壁や垂直壁のような型外ししづらい輪郭の外側表面を持つ研磨品の成形が可能となる。負傾斜壁が持つ輪郭というのは、高さが減少するにつれて構造の中心に向かって内向きに傾斜する輪郭であり、正傾斜壁が持つ輪郭というのは、高さが減少するにつれて構造の中心から外に向かって傾斜する輪郭である。例えば、角錐形が持つのは正傾斜壁であり、逆角錐形が持つのは負傾斜壁である。垂直壁も、強化研磨剤を成形する伝統的方法を使って作るのは難しい。ここで、用語“一般に負傾斜”は、負傾斜輪郭と垂直輪郭を含むのに使用され、そこで、研磨構造は、研磨品の外側表面から延びる正規方向に相対して−90゜から0°までの角度α(アルファ)に沿って延びる少なくとも1つの傾斜壁を持つものとする。
【0062】
図11及び12は、研磨構造1102のパターン又はアレイを含む強化研磨品1100を示す。研磨構造1102は負傾斜壁1106を含む。結果として、研磨構造1102は、頂部が、基体1108と接触する部分より広い。このような輪郭は、型外ししづらい特徴を有する。
【0063】
一般に負傾斜を持つ部分を含む壁又は輪郭は、型外ししづらい特徴を見せる。図13は、基体1302を覆うように形成された研磨構造1304のパターンを含む研磨品1300を示す。研磨構造1304は、負傾斜部分1306を含む壁を有する。
【0064】
急速工作法をもってすれば、また、研磨構造内部にミクロ特徴又は一体化した内部特徴を形成することも可能となる。例えば、研磨構造の内部及び表面に構造化された孔や溝を急速工作法で形成できるようになる。
【0065】
図11及び12に戻ると、研磨構造1102のパターンは、研磨構造1102の間マクロ溝1104を形成する。急速工作法は、構造化された溝、孔及び裂開面のようなミクロ特徴を形成できるようにする。一般に、マクロ特徴とは、構造のパターン又は構造間のパターンによって全体的に形成された特徴であり、ミクロ特徴とは、研磨構造自体の内部又は表面に形成された特徴である。例えば、図11には、研磨構造1102の内部に、内部構造孔1110のようなミクロ特徴が描かれており、マクロ特徴の溝1104が、構造1102のパターン又は構造間のパターンによって形成されている。研磨品は、1つ以上の内部構造孔のパターンを持つ研磨構造の反復パターンを含んでよい。同様に、図13には、研磨構造1304の内部に内部構造孔1308が描かれている。
【0066】
内部構造孔(例えば1110及び1308)は、精密に制御された寸法と形状を持ち得る。例えば、この内部構造孔は、多角形、円形及び不規則形からなるグループから選択された幾何学的横断面を有する。多角形は、方形、三角形、矩形、偏菱形、台形、及び五角形を含む。不規則形は、例えば“D”形、半円形、及び星形を含む。内部構造孔は、約50ミクロン以下、例えば約8ミクロン以下の寸法変化が可能であってよい。寸法変化可能とは、1組の研磨構造の内部で孔寸法が変化可能であることを言う。加えて、内部構造孔は、約50ミクロン以下、例えば約8ミクロン以下の位置変化が可能(すなわち、1組の研磨構造の内部で孔位置が変化可能)であってよい。これらの例において、ミクロ特徴の孔は構造に対して内部にある。あるいはその代わりに、ミクロ特徴の孔及び溝は、構造の外側輪郭に形成してあってもよい。
【0067】
別の例では、急速工作により、例えば強化裂開面のようなミクロ特徴を持つ研磨構造を作ることができる。例えば図14に描かれた通り、研磨構造1404は強化裂開面1406を含んでよい。描かれた通り、裂開面1406は、水平又は垂直でなく、構造を通過する途中で終わる。研磨品1400が使用中であるとき、研磨構造1404は、面1406に沿って裂開又は亀裂し、より鋭い角度、より高い研磨効果をもたらすように設計されている。このような裂開面1406はまた、研磨剤が1つの表面と接触するときの表面積を減じ、研磨表面の発揮する圧力を増大させるのに使用してもよい。図14に描かれた例では、研磨構造1404は基体1402を覆うように形成されている。あるいはその代わりに、研磨構造1404は結合研磨構造として形成されていてもよい。
【0068】
別の実施例では、研磨構造内部の研磨粒の濃度は、裏当ての表面に垂直の方向の距離の関数として変化してよい。例えば角錐形構造では、研磨粒の濃度は裏当てに近いほど高く、裏当てから遠いほど低くてよい。
【0069】
急速工作技術はまた、結合研磨品の成形にも使用してよい。ここでも、急速工作技術は、ミクロ特徴と型外ししづらい輪郭を持つ研磨品の成形に使用することができる。
【0070】
図15に描かれた実施例では、切削油溝1502が、円筒形又はホイール形の結合研磨品1500に形成されている。一実施例では、切削油溝1502は、使用中に切削油が切削油溝1502を通って研削表面1504へと流れるのを促すように設計された螺旋構造である。図16に描かれた代替の実施例では、結合研磨品が切削油溝1602と屑溝1604を含む。切削油溝1602は、表面1600への切削油の流れを容易にするように設計されており、屑溝1604は、研磨品が使用中であるとき、屑材料を表面1600から除去するように設計されている。屑溝1604は湾曲した横断面を有し、真直でなく、結果として、研磨品1600の輪郭は型外ししづらい特徴を持つ。
【0071】
特別な一実施例では、研磨品は、例えば結合研磨品の外側表面から結合研磨品の内部にまで延びる屑溝1604のような特徴的構造を含む。この特徴的構造は少なくとも約1.5のアスペクト比を有する。ここで、アスペクト比とは、結合研磨品の外側表面から内向きに延びる開口部の深さの、その外側表面の開口部の最小寸法に対する比である。この特徴的構造のアスペクト比は少なくとも約2.5、例えば少なくとも約3.5であってよい。
【0072】
切削油溝を含む研磨品の特別な実施例では、冷却液及び潤滑油を研削界面に送ることができる。代表的な先行技術によるシステムでは、外側チューブを通じて油液を研削界面に向かわせる。しかしながら、油液が表面を十分に冷却又は潤滑しないことがしばしばある。こうして、表面は熱くなりすぎ、過剰の屑を出し、その結果、研削不足、表面品質低下を招くことがあり得る。対照的に、ここで述べる特別な実施例では、研磨品は、冷却液及び潤滑油を研削界面に直接送る切削油溝を含む。その上、このような切削油溝は、研磨品の運動(例えば回転)と共に切削油を強制的に表面へと送る構造であってよく、研磨品がたとえ摩耗していても切削油を送ることのできる構造であってよい。
【0073】
図17に描かれた通り、結合研磨品が、研磨粒の異なる領域、又は、研磨粒の濃度の異なる領域を含んでよい。例えば、円筒形又はホイール形の結合研磨品1700が、研磨粒密度、有孔度、結合強度、弾性係数、圧縮係数などの研磨剤特性の異なる領域、例えば領域1702、1704及び1706を含んでよい。本例では、領域1702がある研磨粒濃度を有してよく、領域1704が異なる濃度を有してよい。相異なる領域(1702、1704及び1706)は、それぞれ異なる研磨溶液を使って、又は、研磨溶液を異なる割合で加えることによって形成してよい。あるいはその代わりに、領域は、図18に描かれた通り、研磨品の中心からの距離に基づいて変化してよい。相異なる領域(例えば1802、1804、1806及び1810)は、それぞれ異なる研磨溶液を使って、又は、研磨溶液を異なる割合で加えることによって形成してよく、異なる研削特性及び機械的性質を呈してよい。特別な一実施例では、研磨粒の濃度は、研磨品の中心からの距離に基づいて、又は、研磨品内部の所望の摩耗パターンに基づいて局部的に制御してよい。このような結合研磨品はパターン化された層、詳記するならば、1つの層の内部に第1の組成からなる第1の領域、及び、第1の組成と異なる第2の組成からなる第2の領域を含むパターン化された層を有してよい。
【0074】
研磨品において研磨性能を高めるために複数の特徴的構造を組み合わせてよい。図19は、例えば裂開面、組成バリエーションなど幾つかに特徴的構造を含む1つの例を示す。例えば、研磨品1900は組成物1902、1910、1912及び1914を含む。研磨品1900はまた、裂開面1906を含む。研磨品は、摩耗するにつれて周期的に裂開面1906が裂開し、例えば研磨表面1908のような研磨表面を露出させる。一実施例では、研磨表面1908は、初期研磨表面1904にほぼ等しい表面積を有する。特別な一実施例では、研磨組成物1902は高い結合強度を有する。他の材料組成物1910、1912及び1914は、研磨表面に垂直に力が加えられるとき、研磨表面を支持する働きをする。他の材料組成物1910、1912及び1914は、結合強度、弾性、研磨品質、及び摩耗率が変化してよい。
【0075】
一般に、急速工作システム及び急速構造化媒質カートリッジは、ミクロ特徴、三次元研磨特徴、切削油溝パターン、屑溝パターン、内空部パターン及び配向裂開面からなるグループから選択された特徴的構造を含む三次元研磨構造を形成するのに使用することができる。
【0076】
特別な一実施例では、急速工作システムと着脱式カートリッジを使って、研磨品消費者の要求に応じて研磨品を製造し得る態勢を作ることができる。このようなオンデマンド製作により、消費者は研磨品の在庫を減らすことができ、必要なときに必要なだけの研磨品供給が保証される。
【0077】
別の実施例では、急速工作法を研磨品製造に使用することにより、伝統的方法に伴う屑や混ざり物が減じられる。例えば、被覆研磨品であれば、下地の基体の限られた部域を被覆することによって製作してよい。こうして、被覆研磨品の製作において有用な領域だけを研磨剤と結合剤で被覆し、他の領域を被覆せずにおいておく。このようにすれば、研磨剤と結合剤の使用が節減される。
【0078】
更なる実施例では、急速工作法と着脱式カートリッジを研磨品製造に使用することにより、研磨品が別バッチの研磨品からの研磨粒で汚される可能性は減少する。消費者には、溶液、粉末又はフィラメントを含めて、消費者が望む粒度の研磨粒だけを入れたカートリッジを提供することができる。特定の結合剤溶液と所望の研磨粒を選択することにより、消費者は、汚れも混ざり物もない所望の研磨品を入手することができる。
【0079】
研磨品製造のための急速工作システムは、特に、ファイニング用及びつや出し用の研磨品を成形するのに使用される。例えば、このようなシステムをもってすれば、眼科用レンズ生産、エレクトロニクス生産などの用途のためのファイニング専用研磨品のオンデマンド製作が可能となる。このような用途のための研磨品は、平均粒度が約3〜5ミクロンであってよく、約16ミクロンの薄さのビルド層を有してよい。このようなシステムはまた、例えば宝石類のつや出し、つや出しサンプルの作成、ペイント除去などの用途のための研磨品の製作にも有用である。
【0080】
消費者サイドの研磨品製造は、消費者に、急速工作システムと研磨剤組成物で充填されたカートリッジを提供することによって容易にしてよい。消費者は、研磨品の内部消費者、例えば、内部消費の目的で研磨品を使用し、研磨品を生産する消費者であってよい。あるいはその代わりに、消費者は、研磨品を販売及び配給の目的で製造してよい。
【0081】
図20に描かれた例示の方法では、2002で表わされた通り、急速工作システムをユーザーに提供する。例えば、研磨品製造のための急速工作システムを研磨材料の消費者に賃貸又は販売してよい。あるいはその代わりに、研磨品生産のための急速工作システムを将来の消費者に有償又は無償で貸与してよい。
【0082】
2004で表わされた通り、研磨粒と結合剤を入れたカートリッジを消費者に提供する。例えば、消費者は、特定の結合剤、及び、特定の粒度又は特定の種類の研磨粒を選択してよい。研磨剤溶液の製造者は、特定の結合剤と所望の研磨粒を有する溶液を入れたカートリッジを直接又は間接に消費者に提供してよい。一実施例では、消費者がカートリッジを購入してよい。別の特別な実施例では、消費者が、カートリッジに入れられた溶液、粉末又はフィラメントを購入してよい。
【0083】
被覆研磨品及び強化研磨品を成形しようとするときは、2005で表わされた通り、基体を提供してよい。例えば、基体は、紙、フィルム、布、箔及び発泡材からなるグループから選択してよい。急速工作システムは、研磨粒と結合剤の連続層を基体の上に沈澱させ、カートリッジを使って研磨品を形成させる構造であってよい。
【0084】
加えて、2006で表わされた通り、第1結合剤と第1研磨粒のパターン化された連続層での沈澱を制御するために急速工作システムで使用できるソフトウェアとコンピュータ作成によるインストラクションマニュアルを消費者に提供してよい。例えば、特定の研磨構造デザインを作るよう急速工作システムに指示する構造のソフトウェア及びデータを提供してよい。
【0085】
消費者は、カートリッジと急速工作システムを使って所望の研磨品を製造する。そうする中で、カートリッジから溶液、粉末又はフィラメントが費消されていく。一実施例では、2007で表わされた通り、製造者又はサービスプロバイダが、使用済みのカートリッジを直接又は間接に回収する。
【0086】
あるいはその代わりに、消費者は、使用済みのカートリッジをサービスプロバイダ又は製造者に送ってよい。特別な一例では、カートリッジをサービスプロバイダ又は製造者に送るのに適した構造のパッケージにそのカートリッジを入れてよい。例えば、カートリッジをパッケージに入れ、US Postal Service(登録商標)、FedEx(登録商標)又はUPS(登録商標)などの郵便業者に託送してよい。パッケージには、返送先及び返送先郵便エリアを含めてよい。消費者は、パッケージを返送用に作成し、カートリッジを挿入し、これを郵便業者に託送してよい。加えて、カートリッジに固有の識別名を含めてよい。消費者は、ウェブサイトにログオンし、その固有の識別名を入力し、所望の結合剤と研磨粒の種類を指定してよい。一実施例では、製造者が、第2のカートリッジを所望の結合剤及び研磨粒と共に送る。別の実施例では、2008で表わされた通り、製造者又はサービスプロバイダが、カートリッジを所望の結合剤と研磨粒で再充填する。しかしながら、カートリッジが摩耗しているか使用不能である場合は、カートリッジを交換してよい。
【0087】
続いて、サービスプロバイダ又は製造者は、2010で表わされた通り、再充填されたカートリッジを直接又は間接に消費者、例えばカートリッジ回収元の消費者、又は異なる消費者に提供する。例えば、サービスプロバイダ又は製造者は、そのカートリッジをリターナブル・パッケージに入れて郵便業者に託送してよい。
【0088】
消費者の見方から、急速工作システムと着脱式カートリッジは、1つ以上のデザインの研磨品を生産するのに使用してよい。例えば、図21に描かれた通り、研磨品の消費者が、第1の研磨品デザインに関する設計データを急速工作システムに提供する。これは、2102で表わされた通りである。消費者は、次に、2104で表わされた通り、第1の研磨品設計データに基づいて第1の研磨品を成形し、任意に、2106で表わされた通り、第1の研磨品設計データに基づいて追加の研磨品、例えば第2の研磨品を生産してよい。消費者は、2108で表わされた通り、第2の研磨品デザインのために別のセットの設計データを提供してよく、続いて、2110で表わされた通り、第2の研磨品設計データに基づいて第3の研磨品を成形してよい。
【0089】
研磨品が製造されるにつれて、カートリッジの中味は費消されていってよい。消費者は、カートリッジを交換し、研磨品を製造し続けてよい。特別な一実施例では、消費者が、異なる性能特性を持つ研磨品を生産するために急速工作システムの中と外で異なる組成物を入れたカートリッジ同士を交換してよい。例えば、消費者が、結合剤の機械的強さに基づいて、研磨粒の粒度及び摩耗抵抗に基づいて、又は、硬化した結合剤及び研磨粒溶液の摩耗抵抗に基づいてカートリッジを選択してよい。消費者は、選択したカートリッジを急速工作システムの中に入れ、所望の性能特性を持つ研磨品を生産することができる。空のカートリッジを再充填のためにサービスプロバイダ又は製造者に提供してよい。
【0090】
上で開示された対象物は、図解的な例とみなすべきもので、限定的でなく、付記請求項は、本発明の真の範囲に属するその改良形態、発展形態及び他の実施形態のすべてをカバーすることを意図したものである。よって、法律により許された最大限度まで、本発明の範囲は、下記請求項とその等価物の許容し得る限りの広い解釈により特定すべきであり、先に詳細な説明により限定又は制限されないものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、研磨品を製造する急速工作システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆研磨剤、結合研磨剤のような研磨品は、様々な工業において、ラップ仕上げ、研削、つや出しなどによって工作物を加工するのに使用される。研磨品を利用する機械加工は、光学工業、自動車塗装補修工業から金属製品工業に至るまで広範囲にまたがる。これらの例の各々において、製造設備が各工程中に使用する研磨品はかなりの量になる。
【0003】
1つの代表的工程において、研磨品消費者は大量の研磨品を研磨品製造者に注文する。研磨品製造者は、選択された粒度と結合材料を使用する1バッチの研磨品を製造する。研磨品製造者は、続いて、異なる粒度と結合材料を有する別のバッチの研磨品を製造するかもしれない。
【0004】
代表的には、特定の粒度を有するバッチが先のバッチで使用された粒で汚されるのを防ぐために研磨品製造装置を完全に清浄化することは困難である。粗粒研磨剤の粒が細粒研磨剤バッチを汚した場合、その汚された細粒研磨剤バッチの使用が、つや出し又は研削される表面を傷つけることになる。そこで、研磨品製造者は、コストアップにつながる研磨品バッチ間の汚れを抑制することに多大の注意を払っている。
【0005】
その上、ユーザーはバッチ単位で注文する。大口ユーザーの場合、バッチ単位での注文が、結果として多額の人件費支出につながり、1バッチ受け取るたびに貯蔵と物流の問題に直面し、先を見越しての研磨品使用に伴う諸問題を抱えることになる。研磨品使用量を少なく見積もった場合、ユーザーは、注文した研磨品を早めに使い切ってしまうことになり、結果として、生産性低下、そして収益損失を招くことになりかねない。
【0006】
加えて、研磨品を製造する伝統的方法は、過剰の屑を生み出し、このような方法を通して成形し得る研磨品の形状及び形態が制限される。例えば、被覆研磨剤の特別な輪郭を望むとき、その輪郭に合うように被覆研磨剤の材料板を切断すると、かなりの量の未使用の材料が屑として残ることになる。結合研磨品を製造するとき、伝統的方法は、(i)1バッチのスラリを準備する、(ii)スラリを型に注入する、(iii)スラリを圧縮し、硬化させる、(iv)成品を型から出す、(v)最終寸法に仕上げる段階を含む成形プロセスを使用する。完成した結合研磨品の最終寸法が目標寸法を下回らないようにするため、製造プロセス全体を通じて過剰のファクターを使用する。例えば、型が十分に満たされるように過剰のスラリを注入する。加えて、最終寸法より大きいサイズの型を使用し、成形された結合研磨品を仕上げ段階で最終寸法にトリミングする。こうして、被覆研磨剤と結合研磨剤の両方の製造プロセスにおいて、研磨品を仕上げるまでに材料が浪費され、時間消費の追加工程が行われる。
【0007】
そこで、研磨品製造の方法及びシステムにおける改良に加えて、結合研磨剤と被覆研磨剤を含めて新しい研磨品を求める業界の要求は続いている。例を挙げると、既存の製造技術では研磨品の設計に限界があり、また、強化研磨剤や結合研磨剤の関連で言うと、代表的な研磨剤構造が、例えば円錐形又は角錐形など、型から抜き出し易い形の構造に限られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことから明らかな通り、研磨剤工業は、改良された製造技術、ならびに、新しい研磨剤構造を受け入れようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特別な一実施例では、急速構造化媒質カートリッジが、カートリッジ本体、第1結合剤、及び第1研磨粒を有している。カートリッジは、第1結合剤と第1研磨粒を有しているパターン化された連続層を沈澱させて1つの研磨構造を形成させる働きをする。
【0010】
別の実施例では、ソリッドフリーフォーム製造システムが、計算回路、第1結合剤と第1研磨粒を有するカートリッジ、及び、生産表面を有している。計算回路は、第1結合剤と第1研磨粒のパターン化された連続層を生産表面の上に沈澱させて1つの研磨構造を形成させる方向にカートリッジを向かわせるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】研磨品を急速工作する例示の浸漬システムの概観図である。
【図2】研磨品を急速工作する例示の浸漬システムの概観図である。
【図3】研磨品を製造する例示のプリントシステムの概観図である。
【図4】研磨品を製造する例示のプリントシステムの概観図である。
【図5】研磨品を製造する例示のプリントシステムの概観図である。
【図6】研磨品を急速工作するシステムにおいて使用される例示のカートリッジの概観図である。
【図7】研磨品を急速工作するシステムにおいて使用される例示のカートリッジの概観図である。
【図8】例示の研磨品の概観図である。
【図9】例示の研磨品の概観図である。
【図10】例示の研磨品の概観図である。
【図11】例示の研磨品の概観図である。
【図12】例示の研磨品の概観図である。
【図13】例示の研磨品の概観図である。
【図14】例示の研磨品の概観図である。
【図15】例示の研磨品の概観図である。
【図16】例示の研磨品の概観図である。
【図17】例示の研磨品の概観図である。
【図18】例示の研磨品の概観図である。
【図19】例示の研磨品の概観図である。
【図20】研磨品を製造する例示の方法を表したフローチャートである。
【図21】研磨品を製造する例示の方法を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の開示は、添付図面を参照することによってより良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかとなろう。
【0013】
図中に付けられた参照符号は、同じ符号が同一又は同様のものを指す。
【0014】
特別な一実施例において、開示は、ソリッドフリーフォーム製造システムや急速工作システムのような、研磨品を製造するためのシステムに向けられる。このシステムは、計算回路、カートリッジ及び生産表面を有している。カートリッジは、着脱式にシステムに結合させられており、カートリッジがシステムと噛み合っているとき、研磨品と結合剤をカートリッジから供給してよい。計算回路は、研磨品を成形する基体又は生産表面の上に配置された研磨粒と結合剤の沈殿又はパターンを制御するように構成されている。
【0015】
別の実施例において、開示は、結合剤と研磨粒を入れておくカートリッジに向けられる。カートリッジは、研磨品の製造に使用される急速工作システムに着脱式に結合するように構成されている。カートリッジは更に、第2結合剤と1組の第2研磨粒を入れておく構造であってもよい。
【0016】
開示はまた、研磨品を成形する方法にも向けられる。この方法は、研磨品設計データセットを急速工作システムに提供する段階、及び、研磨品設計データセットに基づいて研磨品を成形する段階を有している。この方法は更に、第2の研磨品設計データセットを準備する段階、及び、第2の研磨品設計データセットに基づいて第2の研磨品を成形する段階を有している。
【0017】
開示はまた、研磨品製造を容易にする方法にも向けられる。この方法は、カートリッジを受け入れる構造の急速工作システムを準備する段階、及び、結合剤と研磨粒を入れておくカートリッジを準備する段階を有している。この方法は、使用されたカートリッジを回収する段階、そのカートリッジを結合剤と研磨粒で再充填する段階、及び、再充填されたカートリッジを準備する段階も有してよい。
【0018】
研磨品は、被覆研磨品であっても結合研磨品であってもよい。被覆研磨品は、研磨剤の1つ以上の層を基体に結合させた製品を含む。基体又は裏当て材は、研磨剤を有している層が表面上に沈澱した寸法的に安定したコンポーネントとして働く。結合剤の使用を通じて研磨層の研磨粒が裏当て材に付着する。強化研磨剤又は構造化研磨剤は、伝統的な被覆研磨剤を超える改良性能を提供するために開発されたものである。構造化研磨剤は、前もって構成されたパターンに合わせるために研磨層を表面上に沈澱させた裏当て材を使用する。このような構造化研磨剤は、一般に、首尾一貫した割安の持続性ある表面仕上げ、延長された寿命など、従来の研磨剤製品を超える優れた粉砕特性を呈する。
【0019】
結合研磨剤は、一般に、構造的な完全さのために基体又は裏当て材を頼ることをしない三次元の形を持つ。例えば、結合研磨剤は砥石車や他の三次元研磨品を含む。伝統的に、結合研磨剤は、研磨粒と結合剤溶液の混合物を型に注入することによって成形されていた。
【0020】
ここで開示された通り、被覆研磨剤と結合研磨剤は急速工作法とソリッドフリーフォーム製造法を通じて成形してよい。例えば、急速工作法は、首尾一貫した割安の持続性ある表面仕上げ、有効寿命、有孔度、切削油/屑溝など、所望の研削特性を持つ製品を生産すべく研磨品を1層ずつ成形する。
【0021】
急速工作法は浸漬法とプリント法を含む。浸漬法は、一般に、樹脂や粉末のようなビルド材料で満たされた槽又は容器を使用する。1つのビルド層が形成された後にその都度プラットフォームを下降させた上で、対象物を1層ずつ構築する。未硬化又は未結合のビルド材料の薄い層をちょうど研磨品の最後の層の上に沈澱させ、1つのパターンで部分的に結合させる。実施例では、レーザ光源又は紫外線光源のようなエネルギー源を1つのパターンで未結合材料の層に向かわせ、材料中の結合剤を焼固又は硬化させる。別の実施例では、結合剤をビルド材料の層の上に1つのパターンでプリントする。次に、対象物を下降させ、未結合材料の続いての層を先の層の上に沈澱させ、未結合材料を再び1つのパターンで凝固させて研磨品を形成させる。
【0022】
例示の浸漬法は、液体方式と粉末方式を含む。例えば、液体方式は、液体樹脂のプールの中で対象物を構築する立体リトグラフ方式を含む。粉末方式は、結合剤をプリントし、レーザで選択的に焼固させる方式を含む。例えば、セラミック材料の層の上に結合剤を1つの特定パターンでプリントすることにより、その層をその特定パターンで結合させてよい。別の例では、粉末材料の層の上にレーザビームを1つの特定パターンで向かわせることにより、その粉末材料をその特定パターンで焼固させてよい。
【0023】
ソリッドフリーフォーム製造法と急速工作法も急速プリント方式を含む。急速プリント方式は、一般に、溶液を1つのパターンで基体の上に沈澱させる工程を含む。一実施例では、研磨粒と結合剤を含む溶液を連続的に沈澱させることによって研磨品を成形する。例示のプリント方式は、沈澱プリント方式と押し出し方式を含む。例示の沈澱方式は、金属結合システムのような乾燥粒沈澱方式と、液体硬化性樹脂システムのような液体沈澱方式を含む。押し出し方式は、熱可塑性材料のフィラメントを融解し、所望のパターンで沈澱させる融解沈澱加工(FDM)を含む。
【0024】
図1及び2は、研磨品を成形する例示の浸漬システムを示す。図1に描かれたシステム100は、未硬化の樹脂と研磨粒を含む未硬化の溶液104の槽102を含む。研磨品108がプラットフォーム106上で成形される。レーザ光源又は紫外線(UV)光源のようなエネルギー源112が、溶液104を硬化又は結合させて1つのパターン化された層にする方向に、エネルギーを1つのパターンでその溶液の表面層に沿って向かわせる。例えば、溶液104の表面上にそのパターンが形成されるようにレーザを表面層全体にわたって走査してよい。別の例では、溶液104の表面上にそのパターンが形成されるように紫外線光線をマスク通過の方向に向かわせる。続いて、プラットフォーム106を少し下降させ、バー又はスイーパ110を使って成形中の研磨品108を覆う未硬化溶液の続いての層を掃引する。このプロセスは、続いてのパターンのエネルギーを表面層に向かわせ、プラットフォーム106を下降させ、先に硬化した層を覆う追加の層を掃引することによって続行する。研磨品108が完成したら、プラットフォーム106を上昇させ、研磨品108を清浄化し、溶剤で洗浄する。一実施例では、熱方式又は紫外線方式を使って対象物を更に後硬化させてよい。
【0025】
溶液104は、研磨粒と結合剤又は硬化性樹脂を含む。一実施例では、結合剤又は硬化性樹脂が、熱、レーザ照射、紫外線エネルギー照射、電子ビーム照射又はパターン化された光線のうち少なくとも1つに感応する。エネルギー又は光線を1つのパターンで向かわせることにより、研磨品の層を成形することができる。一実施例では、図1に描かれたシステムは立体リトグラフ方式を含む。
【0026】
図2は、粉末混合物を使用する例示のシステム200を示す。容器202が、研磨粒と粉末結合剤との混合物204を含む。混合物204は、セラミック粉末のような結合剤、ポリアミド、ポリエステルのような高分子材料、鋼及び鋳物砂を含んでよい。プラットフォーム206を下降させ、研磨品208を1層ごとに成形できるようにする。プラットフォームが数分の2.54cm(数分の1インチ)下降した途端、ローラ210が、容器202内部の材料204と研磨品208の上にビルド材料を沈澱させる。過剰の材料は、拭くか転がすかして容器214の中に入れてよい。
【0027】
エネルギー源212が、パターン化されたエネルギーを材料204の表面に向かわせ、研磨品208の続いての層を形成させる。一実施例では、エネルギー源212は、材料204と研磨品208の上に1つのパターンで向かわされたレーザ光源である。あるいはその代わりに、材料204は研磨粒である。結合剤又は研磨剤を1つのパターンで成形中の研磨品208と材料204の上にプリントし、成形中の研磨品の層を形成させる。
【0028】
続いて、プラットフォーム206を下降させ、続いてのパターン化された層を形成させる。研磨品208が成形されたら、プラットフォーム206を上昇させ、研磨品208を清浄化し、未結合の粉末を払い落す。図2に描かれたシステムの実施例は、結合剤プリント方式及び選択的レーザ焼固方式(SLS)を含む。
【0029】
図3及び4は、例示のプリントシステムを示す。図3に描かれているのは、熱可塑性材料308のフィラメントを加熱式押し出しヘッド310の中に通して送るシステム300である。プラットフォーム302及び/又は加熱式押し出しヘッド310が、三次元の研磨品304の成形を容易にするために三次元パターンの中で移動してよい。スプール306がフィラメント308を含み、これに含まれる研磨粒と熱可塑性材料が、加熱されたとき一時的に溶解し、沈澱し、研磨品304の層を形成することになる。例示の熱可塑性材料は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート及びポリフェニルスルホンを含む。特別な一実施例では、図3に描かれたシステム300は融解沈澱加工(FDM)システムである。
【0030】
図4は、粉末を研磨品404の表面上の複数の場所で融解する例示の沈澱プリントシステム400を示す。プラットフォーム402及び/又は沈澱ヘッド406が、研磨品404の1層ごとの成形を容易にするために三次元パターンの中で移動させられる。一実施例では、レーザ光源、高強度光源、又は放射熱源を沈澱ヘッド406通過の方向に向かわせ、粉末を研磨品404の表面上で集束するようにチューブ408通過の方向に向かわせる。粉末は、研磨品404を成形するために1つのパターンで焼固、融解又は硬化させられる。粉末は、研磨粒と結合剤を含む粉末の単一の流れとして沈澱しても、一方が研磨粒を含み、他方が結合剤を含む2つ以上の集束する流れとして沈澱してもよい。例示の結合剤は、鋼、銅、チタン、アルミニウムなどの金属を含む。一例では、プロセスは、粉末化金属と研磨剤の流れを沈澱させる一方、同時に、粉末を研磨品404に融合させるために沈澱領域をレーザで加熱する工程を含む。
【0031】
図5は、研磨品504を成形する連続的な層のプリントを含む別の沈澱プリントシステム500を示す。プラットフォーム502及び/又はプリントヘッド506が、研磨品504を成形するパターン化された層における樹脂系溶液の沈澱を容易にするために三次元パターンの中で移動させられる。樹脂系溶液は、続いて研磨品504の成形を容易にするために硬化させられる。一実施例では、このプリント方式は、パターン化されたビルド層において研磨粒を含む紫外線硬化性アクリル化物溶液をプリントする樹脂系沈澱方式を含む。続いて、ビルド層は、放射源508のようなエネルギー源からの紫外線光線に曝される。一実施例では、局部的に制御された有孔度、強化された裂開面、屑溝など所望の形状とミクロ特徴を有する研磨品の成形を容易にするために、プリントヘッド506が1つ以上の溶液を異なるパターンで沈澱させる。
【0032】
図1〜5に則して上で述べたシステム、特に、急速工作プリントシステムは、カートリッジを受け取るようになっていてよい。カートリッジは、着脱式にシステムに結合させられ、結合剤と研磨粒を収容してよい。一例では、カートリッジは、研磨粒と結合剤との混合物又は溶液を入れておく容器を含む。例えば、溶液は液体結合剤と研磨粒のスラリであってよい。あるいはその代わりに、溶液は、研磨粒と結合剤との粉末化混合物であってもよい。更なる実施例では、カートリッジは、熱可塑性結合剤と研磨粒を含むフィラメント組成物を入れておくスプールを含む。
【0033】
図6は、プリント方式の急速工作システムに使用される急速構造化媒質カートリッジの特別な一実施例600を示す。一般に、カートリッジは、結合剤及び/又は研磨粒を沈澱させて連続的な層にし、被覆研磨構造、結合研磨構造のような研磨構造を形成させる働きをする。例えば、カートリッジ600は、沈澱プリント方式の急速工作システムに着脱式に結合してよい。カートリッジ600は、容器602及び供給ノズル604を含む。カートリッジ600はまた、再充填口606を含んでよく、固有の識別名608を付けていてよい。
【0034】
カートリッジ600は、結合剤と研磨粒を入れておくように構成されている。一実施例では、結合剤と研磨粒は、カートリッジ本体において容器602のような共通の区画の中で一体結合してよい。結合剤と研磨粒は、ノズル604のような共通のノズルから供給される。結合剤が液体であれば、研磨粒と結合剤は、例えば液体結合剤と固体研磨粒からなるスラリのような溶液を形成する。結合剤が粒状であれば、研磨粒と結合剤は粒状混合物を形成する。
【0035】
一実施例では、結合剤は放射光により硬化可能である。例えば、結合剤は電子ビーム、レーザ、又は紫外線のような拡散光線に曝されたときに硬化可能であってよい。別の実施例では、結合剤と研磨粒の溶液が更に、例えば熱硬化、化学硬化のような代替法により硬化可能な第2結合剤を含む。
【0036】
一実施例では、供給ノズル又はオリフィス604は、材料を供給すべく選択的に制御される。例えば、供給ノズル604はプリントヘッドの一部分をなしてよい。こうして、供給ノズル604は、溶液の供給を制御する機構を含む。例示の機構は、ヒータ駆動式のバブルジェット(登録商標)機構、静電機構、及び圧電機構を含む。あるいはその代わりに、オリフィス604が、カートリッジから分離したプリントヘッドに材料を提供する。
【0037】
図7は、2つ以上の容器702及び704を含む例示のカートリッジ700を示す。カートリッジ700は、1つ以上の供給ノズル(706及び712)及び1つ以上の再充填口(708及び710)も含む。一実施例では、結合剤と研磨粒は、容器702及び704のような専用の区画の中で互いに分離される。区画は、結合剤と研磨粒をノズル706のような共通のノズルを通して供給する構造であってよい。例えば、カートリッジ700は、第1結合剤と第1研磨粒を1つのノズルを通して供給する前にその第1結合剤と第1研磨粒を結合させる構造の供給構造を含んでよい。
別の例では、区画は、結合剤と研磨粒を、ノズル706及び712のような別個のノズルを通して供給する構造であってよい。
【0038】
別の実施例では、容器702のような容器が、1組の第1研磨粒と第1未硬化結合剤を含む溶液を入れていてよい。容器704の中に入れられた第2溶液が、第2未硬化結合剤を含み、任意に1組の第2研磨粒を含む。特別な一実施例において、第2結合剤は、第1結合剤の機械的な後硬化特性と異なる機械的な後硬化特性、例えば機械的な後硬化強さを呈する。1組の第2研磨粒は、1組の第1研磨粒と異なる組成、異なる平均粒度、異なる形態、異なる性能及び/又は異なる硬さを有してよい。結果として、第1溶液を使って生産された研磨品は、第2溶液を使って生産された研磨品と異なる性能特性、例えば摩耗抵抗、材料除去率を呈する。加えて、第1溶液と第2溶液の比を変えて生産された研磨品の内部領域は異なる性能特性を呈する。
【0039】
更なる例では、研磨品が被覆研磨品である。カートリッジは、メイクコート(make coat)を形成する第1結合剤と、サイズコート(size coat)を形成する第2結合剤を沈殿させてよい。カートリッジはまた、第3の容器の中に第3の結合剤を入れてもよい。第3の結合剤は、例えば、被覆研磨品のスーパーサイズコートを形成すべく沈澱させてよい。
【0040】
あるいはその代わりに、容器704の中に入れられた第2溶液は硬化剤を含む。例えば、この硬化剤は、第1結合剤の重合、橋かけ結合又は凝固を誘発してよい。別の実施例では、第2溶液は、研磨粒配分の密度を減じる、又は、第1結合剤の機械的強さを変える希釈剤として作用してよい。
【0041】
更なる例では、容器704の中に入れられた第2溶液は、研磨品に対して感圧接着性の裏当てを形成する接着剤を含む。例えば、第2溶液は、感圧接着性の裏当てを形成すべく剥離フィルムの上に沈澱させてよい。結合剤と研磨粒は、研磨品を成形すべく接着性裏当ての上に沈澱させてよい。成形された研磨品は、剥離フィルムから外し、研削装置、つや出し装置又はファイニング装置の表面に押圧してよい。
【0042】
カートリッジ700の再充填のために、消費者、サービスプロバイダ又は製造者は1つ以上の再充填口(708及び710)を使用してよい。一実施例において、消費者は、サービスプロバイダ又は製造者に、カートリッジに注入しようとする結合剤と研磨粒を指定してよい。例えば、消費者は、固有の識別名714をウェブサイトに入力し、その固有の識別名714と関連したカートリッジ700に注入しようとする所望の結合剤と研磨粒を指定してよい。消費者は、その後、カートリッジ700をサービスプロバイダ又は製造者に送ってよい。
【0043】
図6及び7に描かれた通り、カートリッジは三次元の沈澱プリント装置に使用できるように構成されている。他の実施例では、カートリッジは、融解沈澱加工(FDM)システム、選択的レーザ焼固システム、又は金属沈澱システムに使用できるように構成されている。代替の実施例では、容器は、熱可塑性フィラメントを入れておくスプール、又は、粉末化混合物を入れておくように構成されている。
【0044】
別の実施例では、カートリッジが、急速工作システム又はソリッドフリーフォーム製造システムに選択的に結合させられる。例えば、異なる特性の研磨品を生産するために、ある組成物を入れておくカートリッジを、異なる組成物を入れておくカートリッジと取り替えることができる。
【0045】
一般に、溶液、混合粉末及びフィラメントは、結合剤と1組の研磨粒を使って形成してよい。溶液の場合、結合剤は、電子ビーム、マイクロ波、レーザ、紫外線などを使ったエネルギー方式を介して硬化可能な樹脂のような硬化性樹脂の形を取ってよい。あるいはその代わりに、結合剤は、触媒誘発形又は水分誘発形の化学方式、又は熱方式を介して硬化可能であってよい。
【0046】
特に有用な紫外線硬化性結合剤組成物は、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー及びモノマーのグループから選択された成分を含有する。有用なオリゴマーは、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、芳香族酸アクリレート、エポキシメタクリレート、及び、芳香族酸メタクリレートを含む。モノマーは、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性及び五官能性のアクリレート及びメタクリレート、例えばトリメチロプロパン・トリアクリレート、トリメチロプロパン・トリアクリレート、3重(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸塩トリアクリレート、トリプロピレン・グリコール・ジアクリレート、ヘキサンジオール・ジアクリレート、オクチルアクリレート、及び、デシルアクリレートを含む。結合剤調剤は、分子当たり3つ以上のアクリレート基を含有する相当量のアクリレートモノマーを含んでよい。代表的な市販製品は、トリメチロプロパン・トリアクリレート(TMPTA)及びペンタエリトリトール・トリアクリレート(PETA)を含む。硬化後の最終製品に所望のレオロジー処理特性、所望の粘り強さ及び所望の切削特性を得させるため、相対量の二官能性アクリレート、三官能性アクリレート及び高分子量のアクリレートオリゴマーを他の成分と一緒に調整してよい。
【0047】
光化学線源の放射束は、従来のどんな紫外線源によっても提供できる。例えば、被覆又はビルド層を、Vバルブ、Dバルブ、Hバルブ又はH+バルブから、又はそれらを組み合わせたバルブから、幅2.54cm(幅インチ)当たり100〜600ワットの範囲内のエネルギー出力で発生させられた紫外線光線に曝してよい。
【0048】
更に、結合剤と研磨粒の間の結合を改善するためにカップリング剤を使用してよい。代表的なカップリング剤は、オルガノシラン、例えばOsi Specialties, Inc.から入手できるA−174及びA−1100、及びオルガノチタネート、及びジルコアルミネートを含む。カップリング剤の特殊グループは、アミノシラン及びメタクリルオキシシランを含む。
【0049】
硬化した結合剤の分散のレオロジー及び硬さ及び粘り強さを改善するために充填剤を分散物に組み入れることができる。有用な充填剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの金属炭酸塩、石英、ガラスビード、ガラスバブルなどのシリカ、タルク、粘土、メタケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムなどの金属硫酸塩、酸化カルシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物(例えばベーマイト及び/又は擬似ベーマイトの形の)、及び、三水和アルミニウムを含む。
【0050】
分散物は、粉砕効率及び切削率を高める粉砕助剤を備えてもよい。有用な粉砕助剤は、ハロゲン塩のような無機系、例えばナトリウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウムなど、又は、塩素化ワックスのような有機系、例えば塩化ポリビニルなどであってよい。特別な実施例が含むのは、粒度範囲1〜80ミクロン、最も好ましくは5〜30ミクロンの氷晶石及びテトラフルオロホウ酸カリウムである。粉砕助剤の重量パーセントは、調剤全体(研磨成分を含む)の0〜50%、最も好ましくは10〜30%の範囲である。
【0051】
上記成分に加えて他の成分も添加してよく、その代表的なものは、安息香エーテル、ベンジルケテル、α−アルコキシ−アセトフェノン、α−ヒドロキシ−アルキルフェノン、α−アミノ−アルキルフェノン、アクリル・ホスフィン酸化物、ベンンゾフェノン/アミン、チオキサントン/アミンなどの光開始剤、又は、他の遊離基発生剤、グラファイト、カーボンブラックなどの帯電防止剤、ヒュームドシリカなどの懸濁剤、ステアリン酸亜鉛などの負荷防止剤、ワックスなどの潤滑剤、湿潤剤、染料、充填剤、粘度調節剤、分散剤、及び、泡消し剤である。
【0052】
代替の急速工作システムにおいて、又は、上記結合剤との組み合わせの中で、様々な熱硬化性ポリマーを利用してよい。熱可塑性ポリマー及び熱硬化ポリマーを利用してよい半面、しばしば熱硬化ポリマーは、その安定した性質のゆえに、特に過剰の熱を発生させる切削作業又は仕上げ作業との関連の中で強調される。特別な実施例によれば、結合剤化合物は粉末を含み、代表的には主成分として粉末を含み、又は全部が粉末でさえある。幾つかの実施例では、液体の熱硬化性ポリマーを使用する。他の実施例では、粉末を優先させるために液体の熱硬化性ポリマーが排除される。粉末形の硬化性結合剤は、例えば、被覆研磨剤を成形するプロセスに実に簡単に組み入れられるような幾つかの実施例において特に有利である。実際、粉末化熱硬化性結合剤の使用は、構造化研磨剤の成形に使用される研磨分散物の生成にとって特に有利である。その上、粉末形の熱硬化性成分を他の液体結合剤と併用することにより、最終製品の研磨特性が改善され、また、少なくとも部分的に分散物の粘度が有利に変化する結果、処理性が改善されることも実証された。熱硬化性ポリマーは、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素/ホルムアルデヒド、メラミン/ホルムアルデヒド、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル、及び、それらの混合物を含む。このような樹脂は液体か粉末かいずれかの形で入手でき、幾つかの好ましい実施例では粉末化された形又は粒状の形で使用されると解する。
【0053】
他の実施例では、結合剤は、粉末ビルド材料、例えば熱可塑性物質、金属、及び樹脂被覆セラミックスなどを含んでよい。樹脂被覆セラミックスは、例えば鋳物砂などの樹脂被覆砂を含む。このような結合剤は、選択的レーザ焼固技術において有用であり得る。特に有用な粉末化金属は、鋼、銅、チタン及びアルミニウムを含む。粉末化金属は、例えば図4に描かれた装置で実行されるような金属沈澱方式において使用してよい。有用な熱可塑性結合剤は、ポリアミド、ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポリフェニルスルホンを含む。このような熱可塑性結合剤はまた、図3に描かれたようなFDMシステムにおいて使用してもよい。
【0054】
結合剤プリント方式は、乾燥を通して、又は、下地材料との接触を通して硬化する液体接着剤を使用してよい。代替の実施例では、結合剤は水分で活性化してよい。
【0055】
研磨粒は、アルミナ(溶融状態又は焼固状態の)、ジルコニア、ジルコニア/酸化アルミナ、炭化ケイ素、ガーネット、ダイヤモンド、立体窒化ホウ素、及びそれらの組み合わせを含む既知の研磨粒のうちのいずれか1つ又は組み合わせの形であってよい。研磨粒は、一般に、1〜150ミクロン、より代表的には1〜80ミクロンの平均粒度を有する。ファイニング及びつや出しの用途については、平均粒度は約1〜16ミクロン、例えば約3〜5ミクロンなどであってよい。しかしながら、一般に、介在する研磨剤の量は、調剤の重量の約10〜約90%、例えば約30〜約80%などであってよい。
【0056】
被覆研磨剤及び強化研磨剤の実施例では、裏当て材が、様々なポリマーフィルム、紙及び他のセルロース材料を含む可撓性であるが、機械的に安定した材料、及び、様々な高分子飽和剤と共にコットン及びポリエステルを含む布の形であってよい。布は、織布であっても不織布であってもよい。裏当て材又は基体の特別な種類がポリエチレンテレフタレートフィルムである。他の高分子フィルムはポリカーボネートフィルムを含む。裏当て材は、研磨層と裏当て材の間の接着が促進されるようにプライマー処理又は予備処理してあってよい。あるいはその代わりに、裏当て材は、例えば感圧接着性の裏当てを付けた研磨品の製造に使用されるような剥離フィルムであってよい。
【0057】
特別な一実施例では、被覆研磨品及び強化研磨品の成形に急速工作システム及びカートリッジを使用してよい。このような研磨品は、要求あり次第、貯蔵やバッチ注文に伴う出費なしに所望の通り成形することができる。例えば、急速工作システムは、明瞭なパターンを持つ被覆研磨剤の成形に使用してよい。図8及び9は、花弁様の構造802及び906を含む例示のロゼットデザイン800及び904を示す。このようなデザイン800及び904をパターン化してプリントすることで、結果として、シート全面のプリントや所望の形状又は所望の輪郭のスタンピング又はカッティングに伴う屑や混ざり物を出すことなく基体表面に特定の輪郭がプリントされることになる。
【0058】
特別な一例では、光学工業は、レンズ及び光学表面のつや出しに有用な研磨品の製造にそのような急速工作システムを使用してよい。光学工業では、特別な被覆シートの単独使用は普通のことである。あるいはその代わりに、ペイント除去、サンディングなどの用途のためにはより長い寿命が望まれる。より長い寿命を得るためには、被覆研磨品の急速工作法が多重層の成形又はより強力な結合剤の使用を含んでよい。
【0059】
研磨剤の性能特性を被覆研磨品全体の研磨粒配分に基づいて制御することができる。例えば、研磨粒の密度を研磨品の領域間の相対速度の差に応じて調整することができる。図8に描かれた研磨品では、例えば眼鏡レンズなどの湾曲表面全体にわたって所望の除去率が得られるように研磨粒配分を調整することができる。図9に描かれた研磨品では、研磨粒の配分及び密度を、回転速度の差に応じて調整されるようにロゼットデザイン904の花弁様の構造906に沿って半径方向の調整することができる。研磨粒の密度は、より大きい密度が望まれる場所に補助の研磨層を加えることによって調整できる。あるいはその代わりに、性能特性に差をつけるために単位面積当たりの研磨溶液の滴又はピクセルの数を調整してもよい。異なる性能特性を持つ異なる研磨溶液を異なるパターン領域に施こしてよく、又は、研磨品全体にわたって場所ごとに量を変えて施してもよい。
【0060】
性能特性を調整する別の方法は、溶液配分パターンを調整することを含む。図10は、半径に沿って広がる回転速度差が補正されるように局部的摩耗率を調整してよい例示の溶液配分パターンを示す。パターン1000において、中心1002付近の線と線の間の距離は、外縁1004付近の線と線の間の距離より大きい。
【0061】
強化研磨剤及び構造化研磨剤に転じると、強化研磨品を成形する先行技術による方法は、一般に、角錐形や円錐形を含む正傾斜壁のような型外しし易い輪郭の外側表面を持つ品に限られる。一般に、無強化の被覆研磨剤は、所与の構造の厚みがその横断面の割に小さいことから、二次元とみなされる。対照的に、強化研磨剤、構造化研磨剤、及び結合研磨剤は、横断面の割にかなり厚みのある構造で、これは製造上考慮に加えるべきことである。特に、ここで述べる急速工作法をもってすれば、一般に、負傾斜壁や垂直壁のような型外ししづらい輪郭の外側表面を持つ研磨品の成形が可能となる。負傾斜壁が持つ輪郭というのは、高さが減少するにつれて構造の中心に向かって内向きに傾斜する輪郭であり、正傾斜壁が持つ輪郭というのは、高さが減少するにつれて構造の中心から外に向かって傾斜する輪郭である。例えば、角錐形が持つのは正傾斜壁であり、逆角錐形が持つのは負傾斜壁である。垂直壁も、強化研磨剤を成形する伝統的方法を使って作るのは難しい。ここで、用語“一般に負傾斜”は、負傾斜輪郭と垂直輪郭を含むのに使用され、そこで、研磨構造は、研磨品の外側表面から延びる正規方向に相対して−90゜から0°までの角度α(アルファ)に沿って延びる少なくとも1つの傾斜壁を持つものとする。
【0062】
図11及び12は、研磨構造1102のパターン又はアレイを含む強化研磨品1100を示す。研磨構造1102は負傾斜壁1106を含む。結果として、研磨構造1102は、頂部が、基体1108と接触する部分より広い。このような輪郭は、型外ししづらい特徴を有する。
【0063】
一般に負傾斜を持つ部分を含む壁又は輪郭は、型外ししづらい特徴を見せる。図13は、基体1302を覆うように形成された研磨構造1304のパターンを含む研磨品1300を示す。研磨構造1304は、負傾斜部分1306を含む壁を有する。
【0064】
急速工作法をもってすれば、また、研磨構造内部にミクロ特徴又は一体化した内部特徴を形成することも可能となる。例えば、研磨構造の内部及び表面に構造化された孔や溝を急速工作法で形成できるようになる。
【0065】
図11及び12に戻ると、研磨構造1102のパターンは、研磨構造1102の間マクロ溝1104を形成する。急速工作法は、構造化された溝、孔及び裂開面のようなミクロ特徴を形成できるようにする。一般に、マクロ特徴とは、構造のパターン又は構造間のパターンによって全体的に形成された特徴であり、ミクロ特徴とは、研磨構造自体の内部又は表面に形成された特徴である。例えば、図11には、研磨構造1102の内部に、内部構造孔1110のようなミクロ特徴が描かれており、マクロ特徴の溝1104が、構造1102のパターン又は構造間のパターンによって形成されている。研磨品は、1つ以上の内部構造孔のパターンを持つ研磨構造の反復パターンを含んでよい。同様に、図13には、研磨構造1304の内部に内部構造孔1308が描かれている。
【0066】
内部構造孔(例えば1110及び1308)は、精密に制御された寸法と形状を持ち得る。例えば、この内部構造孔は、多角形、円形及び不規則形からなるグループから選択された幾何学的横断面を有する。多角形は、方形、三角形、矩形、偏菱形、台形、及び五角形を含む。不規則形は、例えば“D”形、半円形、及び星形を含む。内部構造孔は、約50ミクロン以下、例えば約8ミクロン以下の寸法変化が可能であってよい。寸法変化可能とは、1組の研磨構造の内部で孔寸法が変化可能であることを言う。加えて、内部構造孔は、約50ミクロン以下、例えば約8ミクロン以下の位置変化が可能(すなわち、1組の研磨構造の内部で孔位置が変化可能)であってよい。これらの例において、ミクロ特徴の孔は構造に対して内部にある。あるいはその代わりに、ミクロ特徴の孔及び溝は、構造の外側輪郭に形成してあってもよい。
【0067】
別の例では、急速工作により、例えば強化裂開面のようなミクロ特徴を持つ研磨構造を作ることができる。例えば図14に描かれた通り、研磨構造1404は強化裂開面1406を含んでよい。描かれた通り、裂開面1406は、水平又は垂直でなく、構造を通過する途中で終わる。研磨品1400が使用中であるとき、研磨構造1404は、面1406に沿って裂開又は亀裂し、より鋭い角度、より高い研磨効果をもたらすように設計されている。このような裂開面1406はまた、研磨剤が1つの表面と接触するときの表面積を減じ、研磨表面の発揮する圧力を増大させるのに使用してもよい。図14に描かれた例では、研磨構造1404は基体1402を覆うように形成されている。あるいはその代わりに、研磨構造1404は結合研磨構造として形成されていてもよい。
【0068】
別の実施例では、研磨構造内部の研磨粒の濃度は、裏当ての表面に垂直の方向の距離の関数として変化してよい。例えば角錐形構造では、研磨粒の濃度は裏当てに近いほど高く、裏当てから遠いほど低くてよい。
【0069】
急速工作技術はまた、結合研磨品の成形にも使用してよい。ここでも、急速工作技術は、ミクロ特徴と型外ししづらい輪郭を持つ研磨品の成形に使用することができる。
【0070】
図15に描かれた実施例では、切削油溝1502が、円筒形又はホイール形の結合研磨品1500に形成されている。一実施例では、切削油溝1502は、使用中に切削油が切削油溝1502を通って研削表面1504へと流れるのを促すように設計された螺旋構造である。図16に描かれた代替の実施例では、結合研磨品が切削油溝1602と屑溝1604を含む。切削油溝1602は、表面1600への切削油の流れを容易にするように設計されており、屑溝1604は、研磨品が使用中であるとき、屑材料を表面1600から除去するように設計されている。屑溝1604は湾曲した横断面を有し、真直でなく、結果として、研磨品1600の輪郭は型外ししづらい特徴を持つ。
【0071】
特別な一実施例では、研磨品は、例えば結合研磨品の外側表面から結合研磨品の内部にまで延びる屑溝1604のような特徴的構造を含む。この特徴的構造は少なくとも約1.5のアスペクト比を有する。ここで、アスペクト比とは、結合研磨品の外側表面から内向きに延びる開口部の深さの、その外側表面の開口部の最小寸法に対する比である。この特徴的構造のアスペクト比は少なくとも約2.5、例えば少なくとも約3.5であってよい。
【0072】
切削油溝を含む研磨品の特別な実施例では、冷却液及び潤滑油を研削界面に送ることができる。代表的な先行技術によるシステムでは、外側チューブを通じて油液を研削界面に向かわせる。しかしながら、油液が表面を十分に冷却又は潤滑しないことがしばしばある。こうして、表面は熱くなりすぎ、過剰の屑を出し、その結果、研削不足、表面品質低下を招くことがあり得る。対照的に、ここで述べる特別な実施例では、研磨品は、冷却液及び潤滑油を研削界面に直接送る切削油溝を含む。その上、このような切削油溝は、研磨品の運動(例えば回転)と共に切削油を強制的に表面へと送る構造であってよく、研磨品がたとえ摩耗していても切削油を送ることのできる構造であってよい。
【0073】
図17に描かれた通り、結合研磨品が、研磨粒の異なる領域、又は、研磨粒の濃度の異なる領域を含んでよい。例えば、円筒形又はホイール形の結合研磨品1700が、研磨粒密度、有孔度、結合強度、弾性係数、圧縮係数などの研磨剤特性の異なる領域、例えば領域1702、1704及び1706を含んでよい。本例では、領域1702がある研磨粒濃度を有してよく、領域1704が異なる濃度を有してよい。相異なる領域(1702、1704及び1706)は、それぞれ異なる研磨溶液を使って、又は、研磨溶液を異なる割合で加えることによって形成してよい。あるいはその代わりに、領域は、図18に描かれた通り、研磨品の中心からの距離に基づいて変化してよい。相異なる領域(例えば1802、1804、1806及び1810)は、それぞれ異なる研磨溶液を使って、又は、研磨溶液を異なる割合で加えることによって形成してよく、異なる研削特性及び機械的性質を呈してよい。特別な一実施例では、研磨粒の濃度は、研磨品の中心からの距離に基づいて、又は、研磨品内部の所望の摩耗パターンに基づいて局部的に制御してよい。このような結合研磨品はパターン化された層、詳記するならば、1つの層の内部に第1の組成からなる第1の領域、及び、第1の組成と異なる第2の組成からなる第2の領域を含むパターン化された層を有してよい。
【0074】
研磨品において研磨性能を高めるために複数の特徴的構造を組み合わせてよい。図19は、例えば裂開面、組成バリエーションなど幾つかに特徴的構造を含む1つの例を示す。例えば、研磨品1900は組成物1902、1910、1912及び1914を含む。研磨品1900はまた、裂開面1906を含む。研磨品は、摩耗するにつれて周期的に裂開面1906が裂開し、例えば研磨表面1908のような研磨表面を露出させる。一実施例では、研磨表面1908は、初期研磨表面1904にほぼ等しい表面積を有する。特別な一実施例では、研磨組成物1902は高い結合強度を有する。他の材料組成物1910、1912及び1914は、研磨表面に垂直に力が加えられるとき、研磨表面を支持する働きをする。他の材料組成物1910、1912及び1914は、結合強度、弾性、研磨品質、及び摩耗率が変化してよい。
【0075】
一般に、急速工作システム及び急速構造化媒質カートリッジは、ミクロ特徴、三次元研磨特徴、切削油溝パターン、屑溝パターン、内空部パターン及び配向裂開面からなるグループから選択された特徴的構造を含む三次元研磨構造を形成するのに使用することができる。
【0076】
特別な一実施例では、急速工作システムと着脱式カートリッジを使って、研磨品消費者の要求に応じて研磨品を製造し得る態勢を作ることができる。このようなオンデマンド製作により、消費者は研磨品の在庫を減らすことができ、必要なときに必要なだけの研磨品供給が保証される。
【0077】
別の実施例では、急速工作法を研磨品製造に使用することにより、伝統的方法に伴う屑や混ざり物が減じられる。例えば、被覆研磨品であれば、下地の基体の限られた部域を被覆することによって製作してよい。こうして、被覆研磨品の製作において有用な領域だけを研磨剤と結合剤で被覆し、他の領域を被覆せずにおいておく。このようにすれば、研磨剤と結合剤の使用が節減される。
【0078】
更なる実施例では、急速工作法と着脱式カートリッジを研磨品製造に使用することにより、研磨品が別バッチの研磨品からの研磨粒で汚される可能性は減少する。消費者には、溶液、粉末又はフィラメントを含めて、消費者が望む粒度の研磨粒だけを入れたカートリッジを提供することができる。特定の結合剤溶液と所望の研磨粒を選択することにより、消費者は、汚れも混ざり物もない所望の研磨品を入手することができる。
【0079】
研磨品製造のための急速工作システムは、特に、ファイニング用及びつや出し用の研磨品を成形するのに使用される。例えば、このようなシステムをもってすれば、眼科用レンズ生産、エレクトロニクス生産などの用途のためのファイニング専用研磨品のオンデマンド製作が可能となる。このような用途のための研磨品は、平均粒度が約3〜5ミクロンであってよく、約16ミクロンの薄さのビルド層を有してよい。このようなシステムはまた、例えば宝石類のつや出し、つや出しサンプルの作成、ペイント除去などの用途のための研磨品の製作にも有用である。
【0080】
消費者サイドの研磨品製造は、消費者に、急速工作システムと研磨剤組成物で充填されたカートリッジを提供することによって容易にしてよい。消費者は、研磨品の内部消費者、例えば、内部消費の目的で研磨品を使用し、研磨品を生産する消費者であってよい。あるいはその代わりに、消費者は、研磨品を販売及び配給の目的で製造してよい。
【0081】
図20に描かれた例示の方法では、2002で表わされた通り、急速工作システムをユーザーに提供する。例えば、研磨品製造のための急速工作システムを研磨材料の消費者に賃貸又は販売してよい。あるいはその代わりに、研磨品生産のための急速工作システムを将来の消費者に有償又は無償で貸与してよい。
【0082】
2004で表わされた通り、研磨粒と結合剤を入れたカートリッジを消費者に提供する。例えば、消費者は、特定の結合剤、及び、特定の粒度又は特定の種類の研磨粒を選択してよい。研磨剤溶液の製造者は、特定の結合剤と所望の研磨粒を有する溶液を入れたカートリッジを直接又は間接に消費者に提供してよい。一実施例では、消費者がカートリッジを購入してよい。別の特別な実施例では、消費者が、カートリッジに入れられた溶液、粉末又はフィラメントを購入してよい。
【0083】
被覆研磨品及び強化研磨品を成形しようとするときは、2005で表わされた通り、基体を提供してよい。例えば、基体は、紙、フィルム、布、箔及び発泡材からなるグループから選択してよい。急速工作システムは、研磨粒と結合剤の連続層を基体の上に沈澱させ、カートリッジを使って研磨品を形成させる構造であってよい。
【0084】
加えて、2006で表わされた通り、第1結合剤と第1研磨粒のパターン化された連続層での沈澱を制御するために急速工作システムで使用できるソフトウェアとコンピュータ作成によるインストラクションマニュアルを消費者に提供してよい。例えば、特定の研磨構造デザインを作るよう急速工作システムに指示する構造のソフトウェア及びデータを提供してよい。
【0085】
消費者は、カートリッジと急速工作システムを使って所望の研磨品を製造する。そうする中で、カートリッジから溶液、粉末又はフィラメントが費消されていく。一実施例では、2007で表わされた通り、製造者又はサービスプロバイダが、使用済みのカートリッジを直接又は間接に回収する。
【0086】
あるいはその代わりに、消費者は、使用済みのカートリッジをサービスプロバイダ又は製造者に送ってよい。特別な一例では、カートリッジをサービスプロバイダ又は製造者に送るのに適した構造のパッケージにそのカートリッジを入れてよい。例えば、カートリッジをパッケージに入れ、US Postal Service(登録商標)、FedEx(登録商標)又はUPS(登録商標)などの郵便業者に託送してよい。パッケージには、返送先及び返送先郵便エリアを含めてよい。消費者は、パッケージを返送用に作成し、カートリッジを挿入し、これを郵便業者に託送してよい。加えて、カートリッジに固有の識別名を含めてよい。消費者は、ウェブサイトにログオンし、その固有の識別名を入力し、所望の結合剤と研磨粒の種類を指定してよい。一実施例では、製造者が、第2のカートリッジを所望の結合剤及び研磨粒と共に送る。別の実施例では、2008で表わされた通り、製造者又はサービスプロバイダが、カートリッジを所望の結合剤と研磨粒で再充填する。しかしながら、カートリッジが摩耗しているか使用不能である場合は、カートリッジを交換してよい。
【0087】
続いて、サービスプロバイダ又は製造者は、2010で表わされた通り、再充填されたカートリッジを直接又は間接に消費者、例えばカートリッジ回収元の消費者、又は異なる消費者に提供する。例えば、サービスプロバイダ又は製造者は、そのカートリッジをリターナブル・パッケージに入れて郵便業者に託送してよい。
【0088】
消費者の見方から、急速工作システムと着脱式カートリッジは、1つ以上のデザインの研磨品を生産するのに使用してよい。例えば、図21に描かれた通り、研磨品の消費者が、第1の研磨品デザインに関する設計データを急速工作システムに提供する。これは、2102で表わされた通りである。消費者は、次に、2104で表わされた通り、第1の研磨品設計データに基づいて第1の研磨品を成形し、任意に、2106で表わされた通り、第1の研磨品設計データに基づいて追加の研磨品、例えば第2の研磨品を生産してよい。消費者は、2108で表わされた通り、第2の研磨品デザインのために別のセットの設計データを提供してよく、続いて、2110で表わされた通り、第2の研磨品設計データに基づいて第3の研磨品を成形してよい。
【0089】
研磨品が製造されるにつれて、カートリッジの中味は費消されていってよい。消費者は、カートリッジを交換し、研磨品を製造し続けてよい。特別な一実施例では、消費者が、異なる性能特性を持つ研磨品を生産するために急速工作システムの中と外で異なる組成物を入れたカートリッジ同士を交換してよい。例えば、消費者が、結合剤の機械的強さに基づいて、研磨粒の粒度及び摩耗抵抗に基づいて、又は、硬化した結合剤及び研磨粒溶液の摩耗抵抗に基づいてカートリッジを選択してよい。消費者は、選択したカートリッジを急速工作システムの中に入れ、所望の性能特性を持つ研磨品を生産することができる。空のカートリッジを再充填のためにサービスプロバイダ又は製造者に提供してよい。
【0090】
上で開示された対象物は、図解的な例とみなすべきもので、限定的でなく、付記請求項は、本発明の真の範囲に属するその改良形態、発展形態及び他の実施形態のすべてをカバーすることを意図したものである。よって、法律により許された最大限度まで、本発明の範囲は、下記請求項とその等価物の許容し得る限りの広い解釈により特定すべきであり、先に詳細な説明により限定又は制限されないものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速構造化媒質カートリッジにおいて、
カートリッジ本体と、
第1結合剤と、
第1研磨粒とを備え、
前記カートリッジは、第1結合剤と第1研磨粒を備えているパターン化された連続層を沈澱させて1つの研磨構造を形成させる働きをする、急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項2】
前記第1結合剤と第1研磨粒が、前記カートリッジ本体において共通の区画の中で一体結合させられる、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項3】
前記第1結合剤が液体結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒がスラリを形成する、請求項2に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項4】
前記第1結合剤が粒状結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が粒状混合物を形成する、請求項2に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項5】
前記カートリッジ本体が第1ノズルを備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が前記第1ノズルを通して共に供給される、請求項2に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項6】
前記第1結合剤と第1研磨粒が前記カートリッジ本体において専用の区画の中で互いに分離される、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項7】
更に、前記第1結合剤と第1研磨粒が1つのノズルを通して供給されるように供給に先立ち前記第1結合剤と第1研磨粒を結合させる構造の供給構造を備えている、請求項6に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項8】
前記第1結合剤と第1研磨粒が別々に供給される、請求項6に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項9】
更に第2結合剤を備えている、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項10】
前記研磨構造が被覆研磨品の一部分をなし、前記カートリッジが、前記第1結合剤を前記被覆研磨品のメイクコートとして、また、前記第2結合剤を被覆研磨品のサイズコートとして沈殿させる働きをする、請求項9に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項11】
更に第3結合剤を備え、前記カートリッジが、前記第3結合剤を前記被覆研磨品のスーパーサイズコートとして沈澱させる働きをする、請求項10に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジが、前記第1結合剤と第2結合剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項9に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項13】
更に第2研磨粒を備えている、請求項12に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項14】
前記第2研磨粒が前記第1研磨粒と異なる平均粒度を有する、請求項13に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項15】
前記第2研磨粒が前記第1研磨粒と異なる摩耗抵抗を有する、請求項13に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項16】
前記第2研磨粒が前記第1研磨粒と異なる機械的強さを呈する、請求項12に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項17】
更に、第1結合剤から物理的に分離された硬化剤を備え、前記カートリッジが、前記第1結合剤と硬化剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項18】
前記第1結合剤が、化学的に硬化可能、熱により硬化可能、及び、放射線により硬化可能からなるグループから選択されたメカニズムにより硬化可能である、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項19】
前記第1結合剤が放射線により硬化可能であり、前記第1結合剤が、電子ビーム照射、レーザ照射、及び拡散電磁照射からなるグループから選択されたメカニズムにより硬化可能である、請求項18に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項20】
前記拡散電磁照射が紫外線光線を有している、請求項19に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項21】
前記第1結合剤が金属結合剤を有している、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項22】
前記急速構造化媒質カートリッジが急速工作システムにおいて使用されるように構成されている、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項23】
前記急速構造化媒質カートリッジが前記急速工作システムに着脱式に結合するように構成されている、請求項22に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項24】
前記急速工作システムが、三次元沈澱プリントシステム、融解沈澱加工(FDM)システム、結合剤プリントシステム、及び金属沈澱システムからなるグループから選択されたシステムである、請求項22に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項25】
前記カートリッジ本体がノズルを有している、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項26】
前記ノズルが、静電機構、バブルジェット(登録商標)機構、又は圧電機構からなるグループから選択された機構を有している、請求項25に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項27】
前記カートリッジ本体が再充填口を有している、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項28】
前記研磨構造が被覆研磨構造である、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項29】
前記研磨構造が結合研磨構造である、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項30】
前記急速構造化媒質カートリッジが、三次元研磨特徴、屑溝パターン、内空部パターン及び配向裂開面パターンからなるグループから選択された特徴的構造を有している研磨構造を形成するのに使用される、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項31】
ソリッドフリーフォーム製造システムであって、
計算回路と、
第1結合剤と第1研磨粒を備えているカートリッジと、
生産表面とを備え、
前記計算回路が、前記第1結合剤と第1研磨粒のパターン化された連続層を生産表面の上に沈澱させて1つの研磨構造を形成させる方向にカートリッジを向かわせるように構成されている、ソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項32】
前記第1結合剤と第1研磨粒が前記カートリッジにおいて共通の区画の中で一体結合させられる、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項33】
前記第1結合剤が液体結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒がスラリを形成する、請求項32に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項34】
前記第1結合剤が粒状結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が粒状混合物を形成する、請求項32に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項35】
前記カートリッジが第1ノズルを備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が前記第1ノズルを通して共に供給される、請求項32に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項36】
前記第1結合剤と第1研磨粒が前記カートリッジにおいて専用の区画の中で互いに分離される、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項37】
更に、前記第1結合剤と第1研磨粒が1つのノズルを通して供給されるように供給に先立ち前記第1結合剤と第1研磨粒を結合させる構造の供給構造を備えている、請求項36に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項38】
前記第1結合剤と第1研磨粒が別々に供給される、請求項36に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項39】
更に放射源を備えている、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項40】
前記放射源が、熱源、紫外線放射源、電子ビーム源及びレーザ光源からなるグループから選択される、請求項39に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項41】
前記ソリッドフリーフォーム製造システムが、三次元研磨特徴、屑溝パターン、内空部パターン及び配向裂開面パターンからなるグループから選択された特徴的構造を有する研磨構造を形成するのに使用される、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項42】
前記カートリッジが更に、第1結合剤から物理的に分離された第2結合剤を備え、前記カートリッジが、前記第1結合剤と第2結合剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項43】
前記カートリッジが更に第2研磨粒を備えている、請求項42に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項44】
前記カートリッジが更に、第1結合剤から物理的に分離された硬化剤を備え、前記カートリッジが、前記第1結合剤と硬化剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項45】
前記研磨構造が被覆研磨構造を有している、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項46】
前記研磨構造が結合研磨構造を有している、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項47】
前記カートリッジが前記ソリッドフリーフォーム製造システムに着脱式に結合している、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項48】
前記ソリッドフリーフォーム製造システムが、三次元沈澱プリントシステム、融解沈澱加工(FDM)システム、結合剤プリントシステム、及び金属沈澱システムからなるグループから選択されたシステムである、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項1】
急速構造化媒質カートリッジにおいて、
カートリッジ本体と、
第1結合剤と、
第1研磨粒とを備え、
前記カートリッジは、第1結合剤と第1研磨粒を備えているパターン化された連続層を沈澱させて1つの研磨構造を形成させる働きをする、急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項2】
前記第1結合剤と第1研磨粒が、前記カートリッジ本体において共通の区画の中で一体結合させられる、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項3】
前記第1結合剤が液体結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒がスラリを形成する、請求項2に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項4】
前記第1結合剤が粒状結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が粒状混合物を形成する、請求項2に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項5】
前記カートリッジ本体が第1ノズルを備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が前記第1ノズルを通して共に供給される、請求項2に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項6】
前記第1結合剤と第1研磨粒が前記カートリッジ本体において専用の区画の中で互いに分離される、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項7】
更に、前記第1結合剤と第1研磨粒が1つのノズルを通して供給されるように供給に先立ち前記第1結合剤と第1研磨粒を結合させる構造の供給構造を備えている、請求項6に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項8】
前記第1結合剤と第1研磨粒が別々に供給される、請求項6に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項9】
更に第2結合剤を備えている、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項10】
前記研磨構造が被覆研磨品の一部分をなし、前記カートリッジが、前記第1結合剤を前記被覆研磨品のメイクコートとして、また、前記第2結合剤を被覆研磨品のサイズコートとして沈殿させる働きをする、請求項9に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項11】
更に第3結合剤を備え、前記カートリッジが、前記第3結合剤を前記被覆研磨品のスーパーサイズコートとして沈澱させる働きをする、請求項10に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジが、前記第1結合剤と第2結合剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項9に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項13】
更に第2研磨粒を備えている、請求項12に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項14】
前記第2研磨粒が前記第1研磨粒と異なる平均粒度を有する、請求項13に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項15】
前記第2研磨粒が前記第1研磨粒と異なる摩耗抵抗を有する、請求項13に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項16】
前記第2研磨粒が前記第1研磨粒と異なる機械的強さを呈する、請求項12に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項17】
更に、第1結合剤から物理的に分離された硬化剤を備え、前記カートリッジが、前記第1結合剤と硬化剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項18】
前記第1結合剤が、化学的に硬化可能、熱により硬化可能、及び、放射線により硬化可能からなるグループから選択されたメカニズムにより硬化可能である、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項19】
前記第1結合剤が放射線により硬化可能であり、前記第1結合剤が、電子ビーム照射、レーザ照射、及び拡散電磁照射からなるグループから選択されたメカニズムにより硬化可能である、請求項18に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項20】
前記拡散電磁照射が紫外線光線を有している、請求項19に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項21】
前記第1結合剤が金属結合剤を有している、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項22】
前記急速構造化媒質カートリッジが急速工作システムにおいて使用されるように構成されている、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項23】
前記急速構造化媒質カートリッジが前記急速工作システムに着脱式に結合するように構成されている、請求項22に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項24】
前記急速工作システムが、三次元沈澱プリントシステム、融解沈澱加工(FDM)システム、結合剤プリントシステム、及び金属沈澱システムからなるグループから選択されたシステムである、請求項22に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項25】
前記カートリッジ本体がノズルを有している、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項26】
前記ノズルが、静電機構、バブルジェット(登録商標)機構、又は圧電機構からなるグループから選択された機構を有している、請求項25に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項27】
前記カートリッジ本体が再充填口を有している、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項28】
前記研磨構造が被覆研磨構造である、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項29】
前記研磨構造が結合研磨構造である、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項30】
前記急速構造化媒質カートリッジが、三次元研磨特徴、屑溝パターン、内空部パターン及び配向裂開面パターンからなるグループから選択された特徴的構造を有している研磨構造を形成するのに使用される、請求項1に記載の急速構造化媒質カートリッジ。
【請求項31】
ソリッドフリーフォーム製造システムであって、
計算回路と、
第1結合剤と第1研磨粒を備えているカートリッジと、
生産表面とを備え、
前記計算回路が、前記第1結合剤と第1研磨粒のパターン化された連続層を生産表面の上に沈澱させて1つの研磨構造を形成させる方向にカートリッジを向かわせるように構成されている、ソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項32】
前記第1結合剤と第1研磨粒が前記カートリッジにおいて共通の区画の中で一体結合させられる、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項33】
前記第1結合剤が液体結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒がスラリを形成する、請求項32に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項34】
前記第1結合剤が粒状結合剤を備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が粒状混合物を形成する、請求項32に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項35】
前記カートリッジが第1ノズルを備え、前記第1結合剤と第1研磨粒が前記第1ノズルを通して共に供給される、請求項32に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項36】
前記第1結合剤と第1研磨粒が前記カートリッジにおいて専用の区画の中で互いに分離される、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項37】
更に、前記第1結合剤と第1研磨粒が1つのノズルを通して供給されるように供給に先立ち前記第1結合剤と第1研磨粒を結合させる構造の供給構造を備えている、請求項36に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項38】
前記第1結合剤と第1研磨粒が別々に供給される、請求項36に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項39】
更に放射源を備えている、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項40】
前記放射源が、熱源、紫外線放射源、電子ビーム源及びレーザ光源からなるグループから選択される、請求項39に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項41】
前記ソリッドフリーフォーム製造システムが、三次元研磨特徴、屑溝パターン、内空部パターン及び配向裂開面パターンからなるグループから選択された特徴的構造を有する研磨構造を形成するのに使用される、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項42】
前記カートリッジが更に、第1結合剤から物理的に分離された第2結合剤を備え、前記カートリッジが、前記第1結合剤と第2結合剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項43】
前記カートリッジが更に第2研磨粒を備えている、請求項42に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項44】
前記カートリッジが更に、第1結合剤から物理的に分離された硬化剤を備え、前記カートリッジが、前記第1結合剤と硬化剤をパターン化された連続層において沈澱させて研磨構造を形成させる働きをする、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項45】
前記研磨構造が被覆研磨構造を有している、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項46】
前記研磨構造が結合研磨構造を有している、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項47】
前記カートリッジが前記ソリッドフリーフォーム製造システムに着脱式に結合している、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【請求項48】
前記ソリッドフリーフォーム製造システムが、三次元沈澱プリントシステム、融解沈澱加工(FDM)システム、結合剤プリントシステム、及び金属沈澱システムからなるグループから選択されたシステムである、請求項31に記載のソリッドフリーフォーム製造システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−45708(P2012−45708A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−243765(P2011−243765)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2007−557080(P2007−557080)の分割
【原出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243765(P2011−243765)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2007−557080(P2007−557080)の分割
【原出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】
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