説明

研磨方法、研磨装置

【課題】比較的長尺のワークを研磨加工する際に、煩雑なダミーワークの準備や段取り等を必要とすることなく、短時間で高精度な研磨面を得る。
【解決手段】ダミーワーク107に長尺のワーク108が収容される収納穴107aを設け、背面側に配置したバネ109によって突出方向に付勢しつつワーク108の第2被研磨面108sを収納穴107aから露出させた状態で、ダミーワーク107の第1被研磨面107sとともに研磨工具101の研磨作用面101sに摺接させて研磨加工を行う。ダミーワーク107は研磨後に交換される他の研磨対象の複数のワーク108に共通に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨技術に関し、たとえば、レンズやプリズムなどの光学素子等のワークの研磨技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、光学素子の製造分野では、光学素子等のワークの加工面を工具と摺り合わせることで、工具表面形状をワーク加工面に転写する加工方法として、特許文献1に開示される研磨技術が知られている。
【0003】
この特許文献1には、回転軸の一端に同軸に固定された円柱状の研磨用工具の端面に設けられた研磨面の口径を当該研磨用工具の外径と一致させることで、曲率半径が一定のレンズを継続して研磨加工可能にしようとする技術が開示されている。
【0004】
一般的に平面および球面の光学素子はこの特許文献1のような研磨加工を行って、加工面の精度を得ている。しかし、ワークの形状において、加工径に対して中心厚の大きいレンズ、すなわち、光軸方向に長尺のレンズでは、加工中のレンズの保持方法を考慮する必要がある。
【0005】
特許文献2には、このような加工径に対して中心厚の大きいレンズの保持具が開示されている。すなわち、光軸方向に細長いレンズの外周部を治具で保持し、この治具の外周部に、当該レンズの研磨面と同じ曲率の端部を有する捨てヤトイを固定して、レンズおよび捨てヤトイを同時に研磨することで、加工時には通常のレンズと同じような研磨装置を用いた加工が可能なように工夫されている。
【0006】
上述のように、光軸方向に長尺のワークを加工する際には、ワークの姿勢が一定に保てないため、加工中にワーク加工面と工具面との密着が得られにくく、そのために特許文献2のようにワーク外周に捨てヤトイを配置させる例が多い。
【0007】
しかしながら、複数のワークの加工が必要な場合には、ワーク毎に捨てヤトイ等のダミーワークを用意する必要が生じ、ダミーワークの製作や管理が煩雑になるとともに、ワーク毎の新しいダミーワークの研磨面を、その都度研磨工具に馴染ませる段取り加工が必要となり、段取りを含めた研磨工程全体の所要時間が長くなる、という技術的課題がある。
【0008】
また、たとえば、ワークの径が数mm、長さが数百mmになるようなファイバー形状のものを加工する際には、特許文献2のような治具固定を行ってしまうと、その長さによる加工中の姿勢の不安定さを克服するだけの大きな径を有する捨てヤトイを準備して、治具に固定する必要がある。このように捨てヤトイの径が大きくなると、捨てヤトイを含めた加工面全面が工具形状に倣い、高い加工面精度を得るのに時間がかかってしまう、という技術的課題もある。
【特許文献1】特開平8−206953号公報
【特許文献2】特開平5−177527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、比較的長尺のワークを研磨加工する際に、煩雑なダミーワークの準備や段取り等を必要とすることなく、短時間で高精度な研磨面が得られる研磨技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、第1被研磨面に少なくとも一つの収納穴が開設されたダミーワークを準備する工程と、
前記ダミーワークの前記収納穴にワークを装填する工程と、
前記ワークを前記収納穴から突出する方向に付勢しつつ、前記ダミーワークの前記第1被研磨面および前記収納穴から突出する前記ワークの第2被研磨面に研磨工具を摺接させて研磨する工程と、
を含む研磨方法を提供する。
【0011】
本発明の第2の観点は、第1の観点に記載の研磨方法において、
前記研磨工具の前記ダミーワークの前記第1被研磨面に対する相対的な単位面積当たりの摺動荷重圧力と、前記ワークの前記第2被研磨面の前記研磨工具に対する単位面積当たりの付勢圧力とがほぼ等しくなるように前記ワークを付勢する研磨方法を提供する。
【0012】
本発明の第3の観点は、第1の観点に記載の研磨方法において、
前記ダミーワークおよび前記ワークの前記第1および第2被研磨面を下向きにして、上向きの前記研磨工具に対向させて研磨を行う研磨方法を提供する。
【0013】
本発明の第4の観点は、第1の観点に記載の研磨方法において、
前記ワークは、光学素子である研磨方法を提供する。
本発明の第5の観点は、第1被研磨面に少なくとも一つの収納穴が開設されたダミーワークと、
前記ダミーワークの前記収納穴に装填されたワークを前記収納穴から突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記ダミーワークの前記第1被研磨面および前記収納穴から突出する前記ワークの第2被研磨面に摺接する研磨工具と、
前記ダミーワークと前記研磨工具に相対的な摺動変位を与える摺動機構部と、
を含む研磨装置を提供する。
【0014】
本発明の第6の観点は、第5の観点に記載の研磨装置において、
前記付勢手段は、前記研磨工具の前記ダミーワークの前記第1被研磨面に対する相対的な単位面積当たりの摺動荷重圧力と、前記ワークの前記第2被研磨面の前記研磨工具に対する単位面積当たりの付勢圧力とがほぼ等しくなるように前記ワークを付勢する研磨装置を提供する。
【0015】
本発明の第7の観点は、第5の観点に記載の研磨装置において、
前記ダミーワークおよび前記ワークの前記第1および第2被研磨面を下向きの姿勢で上向きの前記研磨工具に対向して研磨が行われる研磨装置を提供する。
【0016】
本発明の第8の観点は、第5の観点に記載の研磨装置において、
前記付勢手段と前記ワークとの間に介在する保護部材を備えた研磨装置を提供する。
本発明の第9の観点は、第5の観点に記載の研磨装置において、
前記ワークは光学素子である研磨装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較的長尺のワークを研磨加工する際に、煩雑なダミーワークの準備や段取り等を必要とすることなく、短時間で高精度な研磨面が得られる研磨技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である研磨方法を実施する研磨装置の構成の一例を示す断面図である。
【0019】
本実施の形態の研磨装置110は、摺動機構部としての上軸部120および下軸部130を備えている。
上軸部120は、研磨作用面101sを備えた研磨工具101と、この研磨工具101を、自在継手102aを介して回転自在および傾動自在に保持するかんざし102と、かんざし102を支持し、図示せぬ制御装置にて図1の紙面の左右方向に揺動可能な揺動部103と、下軸部130の方向に摺動荷重を与えるためにかんざし102上に配置されたおもり104とを備えている。
【0020】
下軸部130は、駆動ベルト106aを介して回転軸105を回転させるモータ106と、回転軸105の上部に固定可能に配置され、第1被研磨面107sを上向きにした円盤形状のダミーワーク107を備えている。
【0021】
本実施の形態の場合、ダミーワーク107の第1被研磨面107sの中心部および回転軸105の中心部には、同一の口径の収納穴107aおよび収納穴105aが同軸に開口して設けられ、この収納穴107aおよび収納穴105aには、第2被研磨面108sを上向きにした姿勢でワーク108が挿入されている。
【0022】
すなわち、ワーク108は、たとえば光軸方向に細長い長尺の光学素子等からなり、長手方向の両端部には、研磨加工の対象となる光学機能面が設けられている。そして、ワーク108の一方の端部の光学機能面が第2被研磨面108sとして、ダミーワーク107の第1被研磨面107sにおける収納穴107aの開口部に露出するように、収納穴107aおよび収納穴105aの内部に挿入されている。
【0023】
ワーク108の第2被研磨面108sと反対側の下端部の光学機能面等からなる付勢端108zと、収納穴105aの底部との間には、当該ワーク108を上方の研磨工具101の方向に向けて突出する方向に付勢する荷重を付与するためのバネ109(付勢手段)が設けられている。
【0024】
以下、本実施の形態の研磨装置110による加工動作の説明を行う。
最初に、上述のような収納穴107aを備えたダミーワーク107を準備しておく。そして、このダミーワーク107を回転軸105の端部に装着する。
【0025】
次に、ワーク108を、研磨対象の第1被研磨面107sを上側にした姿勢で、ダミーワーク107の収納穴107aおよび回転軸105の収納穴105aに挿入する。このとき、ワーク108の下端(付勢端108z)がバネ109と当接する状態となる。この状態では、ワーク108の上面はダミーワーク107の上面よりも突出している状態になっている。
【0026】
次に、研磨工具101をかんざし102に回転自在に保持させた状態で、研磨作用面101sを、ダミーワーク107およびワーク108の上面(すなわち第1被研磨面107sおよび第2被研磨面108s)に当接させる。さらに、かんざし102に、所定の重量のおもり104を載せる。この状態で、加工液111を吐出させて研磨作用面101sと第1被研磨面107sおよび第2被研磨面108sの間に供給しつつ、図示せぬ制御装置によって、モータ106による下軸部130の回転と、揺動部103による上軸部120の揺動を開始させる。
【0027】
これによって、研磨工具101(研磨作用面101s)によるダミーワーク107(第1被研磨面107s)および、当該ダミーワーク107の収納穴107aから露出したワーク108(第2被研磨面108s)の研磨加工が開始される。
【0028】
上述のように、ワーク108は下端の付勢端108zがバネ109によって付勢されることにより、その第2被研磨面108sが研磨工具101の研磨作用面101sに密着するように荷重をかけられている。
【0029】
この研磨加工中の状態では、ダミーワーク107とワーク108の上面(第1被研磨面107sと第2被研磨面108s)の高さは、研磨工具101の研磨作用面101sに当接した状態で揃っている。また、ワーク108の加工径が小さいことよって加工精度が不安定になりやすい点については、上述のように、当該ワーク108をダミーワーク107の収納穴107a等に収納して安定して保持したことによって解決されている。
【0030】
本実施の形態の場合には、特に、バネ109の付勢力による加工中のワーク108の研磨工具101に対する押圧荷重の単位面積当たりの大きさ(付勢圧力p1)を、おもり104による加工中の研磨工具101の荷重の単位面積当たりの大きさ(摺動荷重圧力p0)にほぼ等しくなるように揃えておく。
【0031】
これにより、研磨工具101の加工面(研磨作用面101s)内の荷重の大きさが、ダミーワーク107の第1被研磨面107sと、収納穴107aから露出したワーク108の第2被研磨面108sとで等しくなるため、研磨工具101の研磨作用面101sの磨耗を均一にすることができ、高い面精度を得ることが可能となる。
【0032】
ワーク108の第2被研磨面108sが所定の精度に研磨された後、当該ワーク108をダミーワーク107から取り出す。そして反対側の付勢端108z(光学機能面)の研磨も必要な場合は、上下を反転して、付勢端108zの側の光学機能面を第2被研磨面108sとして、再度、ダミーワーク107に装填して、上述と同様の研磨加工を行う。
【0033】
あるいは、次のワーク108を現在のダミーワーク107に装填して、同様の研磨加工を行う。
ダミーワーク107の第1被研磨面107sは、研磨工具101の研磨作用面101sとすでに馴染んでいるため、別のワーク108に交換しても馴染み用の段取り研磨等は不要である。
【0034】
このように、本実施の形態1によれば、ダミーワーク107を複数のワーク108の研磨加工に共通に反復して使用することができ、ダミーワークを必要とする光軸方向に長尺なワーク108の加工において、個々のワーク毎に新たなダミーワークを準備する必要がなく、形状精度に大きく関わる工具面(本実施の形態の研磨作用面101s)とダミーワーク面(本実施の形態の第1被研磨面107s)のなじみをダミーワーク毎に確認調整する必要がない。
【0035】
すなわち、本実施の形態によれば、たとえば、光軸方向に比較的長尺のワーク108を研磨加工する際に、煩雑なダミーワーク107の準備や研磨面の馴染み作業等の段取り等を必要とすることなく、短時間でワーク108の第2被研磨面108sに高精度な研磨面が得られる。
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上述の実施の形態1のワーク保持の形式において、ダミーワーク107内に複数のワークを保持できるようにしたものである。上軸部120の構成は上述の実施の形態1と共通であるので、下軸部130の構成のみ図2A、図2Bに例示して説明する。
【0036】
図2Aは、本実施の形態2の研磨装置110の下軸部130を上面から見た平面図である。ダミーワーク107には複数の収納穴107a、収納穴107b、収納穴107c、収納穴107d、収納穴107eが設けられ、これらの収納穴の各々に複数のワーク108a、ワーク108b、ワーク108c、ワーク108d、ワーク108eが個別に第2被研磨面108sを上向きにした姿勢で挿入されている。
【0037】
図2Bは、本実施の形態2の研磨装置110の下軸部130の中央部の断面図である。ダミーワーク107に設けられた複数の収納穴107aから収納穴107dの各々と開口位置が一致するように、回転軸105の側にも複数の収納穴105a、収納穴105b、収納穴105c、収納穴105d、収納穴105eが設けられている。
【0038】
これらの各収納穴の底部には、上述の実施の形態1と同様に、ワーク108を突出させる方向に付勢するバネ109が設けられている。
この実施の形態2によれば、上述の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、複数のワーク108をダミーワーク107に装填して複数の第2被研磨面108sを同時に加工することができるため、研磨装置110を用いた研磨工程における生産性が向上する。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3である研磨装置210の構成例を示す断面図である。
【0039】
本実施の形態3の研磨装置210は、上述の実施の形態1に例示された上軸部および下軸部の上下の配置を逆にし、研磨工具207を下軸部230に配置し、ダミーワーク201およびワーク108を上軸部220に配置した構成となっている。
【0040】
すなわち、本実施の形態3の研磨装置210は、摺動機構部としての上軸部220および下軸部230とを備えている。
上軸部220は、ダミーワーク201と、その背面側に偏心なく固定されたワーク保持部材202と、自在継手203aを介して、これらを回転自在に保持するかんざし203と、かんざし203を固定し図示せぬ制御装置にて左右に揺動可能な揺動部204と、下軸方向に荷重を与えるためにかんざし203上に配置されるおもり205とを備えている。
【0041】
ダミーワーク201の中心部およびワーク保持部材202の中心部には、同一口径の収納穴201aおよび収納穴202aが同軸となるように設けられている。この場合、収納穴201aおよび202aには、付勢端108zを上側にし、第2被研磨面108sを下向きにした姿勢でワーク108が挿入されている。
【0042】
ワーク108の第2被研磨面108sとは反対側の付勢端108zとワーク保持部材202の収納穴202aの上端内の天井部分との間には、当該ワーク108を下方の研磨工具207の方向に向けて荷重付与が可能なように付勢するバネ208(付勢手段)が配置されている。
【0043】
下軸部230は、駆動ベルト211aを介して回転軸209を回転させるモータ211と、回転軸209の上端部に固定可能に配置され、研磨作用面207sを上向きにした円盤形状の研磨工具207とからなる。
【0044】
本実施の形態3の研磨装置210の加工動作の説明を行う。
まず、ワーク108をダミーワーク201の収納穴201aおよびワーク保持部材202の収納穴202aに挿入する。このときワーク108の上端の付勢端108zがバネ208と当接する。この状態では、ワーク108の下端部(第2被研磨面108s)はダミーワーク201の下面(第1被研磨面201s)よりも突出している状態になっている。
【0045】
次に、ワーク保持部材202を、かんざし203に回転自在に保持させた状態で、ダミーワーク201およびワーク108を研磨工具207の上面(研磨作用面207s)に当接させる。さらに、かんざし203におもり205を載せる。
【0046】
この状態で、研磨工具207の研磨作用面207sの上に加工液212を吐出供給させ、図示せぬ制御装置によって、モータ211による下軸部230の回転と揺動部204による上軸部220の揺動を開始させる。
【0047】
これによって、研磨工具207の研磨作用面207sには、ダミーワーク201の第1被研磨面201sと、当該ダミーワーク201の収納穴201aから露出したワーク108の第2被研磨面108sが摺接し、研磨加工が開始される。
【0048】
そして、所定の時間研磨した後、ワーク108を反転させて、付勢端108zの側を第2被研磨面108sとして再度、ダミーワーク107に装填するか、あるいは、研磨済みのワーク108を、別の未研磨のワーク108に交換して、共通のダミーワーク201を用いて次の研磨加工を行う。
【0049】
この実施の形態3の研磨装置210によれば、上述の実施の形態1の研磨装置110と同様の効果が得られるとともに、ダミーワーク201およびワーク108を上軸部220に配置する構成であるために、ワーク108を挿入するダミーワーク201の収納穴201aの隙間に加工液212が侵入することがなく、ワーク108の加工液212による汚染等を研磨に必要な最小限に止めることが可能となる。
【0050】
なお、上述の各実施の形態では、ダミーワークの収納穴内のワークを付勢して研磨荷重を付与する手段としてバネを用いたが、エアシリンダや、ソレノイド、圧電素子等の機構を用いてもよい。
【0051】
また、ワーク108に荷重を与える際にバネ109やバネ208等の付勢手段がワーク108の付勢端108zと接触することによる当該付勢端108zの損傷を防ぐために、図4に例示されるような保護部材を用いてもよい。
【0052】
この保護部材301は、ワーク108の加工面(第2被研磨面108s)の反対側の端部である付勢端108z(たとえば、光学機能面)に配置されるもので、たとえば、熱可塑性ワックス303によって固定される。
【0053】
これによって、バネ109やバネ208等の付勢手段がワーク108の付勢端108zに直接接触することがなくなり、接触に起因した付勢端108zのキズの発生を防止することができる。
【0054】
なお、保護部材301として、ワーク108の材質よりも軟らかい材料を使うことでワックスによる固定を行わなくても同様の効果は得られるが、加工中のワーク108の付勢端108zと保護部材301との擦れによってキズが発生する可能性があるので、保護部材301はワーク108の付勢端108zに固定することが望ましい。
【0055】
研磨加工の対象となるワークは、上述の各実施の形態で例示したような単一の材料からなるワーク108のような構成に限らない。
たとえば、図5に例示されるように、ガラス管ヤトイ402内に、ワックス403を用いて、複数本のガラスファイバー401を固定した構造のワーク400の端面を研磨加工の対象として、上述の各実施の形態に例示される研磨加工に供することも可能である。
【0056】
以上説明したように、本発明の各実施の形態によれば、ダミーワークを必要とするワークの加工において、ワーク毎に新たなダミーワークを準備する必要がなく、形状精度に大きく関わる工具面(研磨作用面101s、研磨作用面207s)とダミーワーク面(第1被研磨面107s、第1被研磨面201s)のなじみをダミーワーク毎に確認調整する必要がない。これにより、高い効率かつ面精度でワークの研磨加工を行うことができる。
【0057】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
たとえば、ダミーワーク107およびワーク108の第1被研磨面107sおよび第2被研磨面108sは、平坦面に限らず、同一の曲率を有する曲面であってもよい。
【0058】
また、ワークとしては光学素子に限らず、一般の精密部品でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態である研磨方法を実施する研磨装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2A】本発明の他の実施の形態である研磨装置の下軸部を上から見た平面図である。
【図2B】本発明の他の実施の形態である研磨装置の下軸部の中央部の断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施の形態である研磨装置の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の各実施の形態である研磨装置に供されるワークの構成の変形例を示す側面図である。
【図5】本発明の各実施の形態である研磨装置に供されるワークの構成の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0060】
101 研磨工具
101s 研磨作用面
102 かんざし
102a 自在継手
103 揺動部
104 おもり
105 回転軸
105a〜105e 収納穴
106 モータ
106a 駆動ベルト
107 ダミーワーク
107a〜107e 収納穴
107s 第1被研磨面
108 ワーク
108a〜108e ワーク
108s 第2被研磨面
108z 付勢端
109 バネ
110 研磨装置
111 加工液
120 上軸部
130 下軸部
201 ダミーワーク
201a 収納穴
201s 第1被研磨面
202 ワーク保持部材
202a 収納穴
203 かんざし
203a 自在継手
204 揺動部
205 おもり
207 研磨工具
207s 研磨作用面
208 バネ
209 回転軸
210 研磨装置
211 モータ
211a 駆動ベルト
212 加工液
220 上軸部
230 下軸部
301 保護部材
303 熱可塑性ワックス
400 ワーク
401 ガラスファイバー
402 ガラス管ヤトイ
403 ワックス
p0 摺動荷重圧力
p1 付勢圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被研磨面に少なくとも一つの収納穴が開設されたダミーワークを準備する工程と、
前記ダミーワークの前記収納穴にワークを装填する工程と、
前記ワークを前記収納穴から突出する方向に付勢しつつ、前記ダミーワークの前記第1被研磨面および前記収納穴から突出する前記ワークの第2被研磨面に研磨工具を摺接させて研磨する工程と、
を含むことを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
請求項1記載の研磨方法において、
前記研磨工具の前記ダミーワークの前記第1被研磨面に対する相対的な単位面積当たりの摺動荷重圧力と、前記ワークの前記第2被研磨面の前記研磨工具に対する単位面積当たりの付勢圧力とがほぼ等しくなるように前記ワークを付勢することを特徴とする研磨方法。
【請求項3】
請求項1記載の研磨方法において、
前記ダミーワークおよび前記ワークの前記第1および第2被研磨面を下向きにして、上向きの前記研磨工具に対向させて研磨を行うことを特徴とする研磨方法。
【請求項4】
請求項1記載の研磨方法において、
前記ワークは、光学素子であることを特徴とする研磨方法。
【請求項5】
第1被研磨面に少なくとも一つの収納穴が開設されたダミーワークと、
前記ダミーワークの前記収納穴に装填されたワークを前記収納穴から突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記ダミーワークの前記第1被研磨面および前記収納穴から突出する前記ワークの第2被研磨面に摺接する研磨工具と、
前記ダミーワークと前記研磨工具に相対的な摺動変位を与える摺動機構部と、
を含むことを特徴とする研磨装置。
【請求項6】
請求項5記載の研磨装置において、
前記付勢手段は、前記研磨工具の前記ダミーワークの前記第1被研磨面に対する相対的な単位面積当たりの摺動荷重圧力と、前記ワークの前記第2被研磨面の前記研磨工具に対する単位面積当たりの付勢圧力とがほぼ等しくなるように前記ワークを付勢することを特徴とする研磨装置。
【請求項7】
請求項5記載の研磨装置において、
前記ダミーワークおよび前記ワークの前記第1および第2被研磨面を下向きの姿勢で上向きの前記研磨工具に対向して研磨が行われることを特徴とする研磨装置。
【請求項8】
請求項5記載の研磨装置において、
前記付勢手段と前記ワークとの間に介在する保護部材を備えたことを特徴とする研磨装置。
【請求項9】
請求項5記載の研磨装置において、
前記ワークは光学素子であることを特徴とする研磨装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−264960(P2008−264960A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113392(P2007−113392)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】