説明

砕岩装置

【課題】新規で改良されたさく岩装置および砕岩装置を提供する。
【解決手段】移送体1に配設された第1の制御装置8とさく岩ドリル4に配設された第2の制御装置9とを含む。第1の制御装置8および第2の制御装置9は、第1データ通信リンク10よって互いに通信する。ドリル4は1つ以上のセンサ11、12、15を有し、その測定結果は第2の制御装置9で処理されて、そこで第1の制御装置8に転送されるだけである。第2の制御装置は、ドリル4の動作を制御するセンサ11、12、15および制御装置9を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送体と、給送ビームと、この給送ビームに対して可動であって打撃装置を有するさく岩ドリルと、このさく岩ドリルに配設され、さく岩ドリルの動作をモニタする1つ以上のセンサと、さらに、さく岩装置の移送体に配設され、センサから受信した測定情報に基づいてさく岩ドリルの動作を制御する、少なくとも1つの第1の制御装置とを含むさく岩装置に関するものである。
【0002】
本発明はさらに、本体と、この本体の内部に配設され、砕岩装置に接続可能な工具に打撃波を発生させる打撃装置と、装置の動作をモニタするように配設された1つ以上のセンサとを含む砕岩装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来技術のさく岩装置では、さく岩装置の移送体に、典型的には制御盤に配設された制御装置によってさく岩ドリルの動作を制御している。さらに公知なことは、さく岩機に1つ以上のセンサを設けて、使用中のドリルの動作をモニタすることである。センサから受信した信号を単方向伝送路などを通してさく岩装置の移送体にある制御装置に伝送し、制御装置は、制御装置に入力された測定情報およびパラメータに基づいてさく岩制御に必要な制御コマンドを形成する。さく岩ドリルは通常、流体圧式であり、これは、実際上、さく岩ドリルにつながる流体路に配設された弁を調節することで制御することを意味する。通常、この弁は移送体にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この公知のさく岩装置の欠点は、制御装置がさく岩ドリルから離れていることである。これは、ドリルに配設されたセンサから受信した比較的微弱な測定信号が擾乱を受けやすく、これによって測定精度が低下することを意味する。したがって、受信した測定情報に基づいてドリルを精密に制御することは、困難である。センサと制御装置との間の距離が長いと、いくつかの測定値は採用に値しないことさえある。
【0005】
本発明の目的は、新規で改良されたさく岩装置および砕岩装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるさく岩装置は、次の点を特徴とする。すなわち、本装置は、さく岩ドリルに配設された第2の制御装置、および第1の制御装置と第2の制御装置との間にあって両制御装置間で情報を転送するデータ通信リンクを含み、さく岩ドリルの動作をモニタするセンサは、測定情報を第2の制御装置へ転送するように接続され、第2の制御装置は、ドリルの基本設定値を蓄積する記憶装置、および前記基本設定値および測定情報に基づいてさく岩ドリルの動作状態を記述するパラメータを算出する制御装置を含み、第1の制御装置は、さく岩ドリルの動作を第2の制御装置から受信したパラメータおよび第1の制御装置に与えられた命令に基づいて制御するように接続されている。
【0007】
さらに、本発明の砕岩装置によれば、砕岩装置は制御装置を有し、前記センサは測定情報を制御装置へ送るように接続され、制御装置は、砕岩装置の基本設定値を蓄積する記憶装置と、さらに、動作状態において基本設定値および測定情報に基づいて砕岩装置の動作状態を記述するパラメータを形成するように配設された処理装置とを含み、制御装置は、制御装置と砕岩装置の外部の少なくとも1つの装置との間の通信を行なうデータ通信リンクへの接続を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基本思想は、さく岩ドリルを制御するために、第1の制御装置をさく岩装置の移送体に配設し、また第2の制御装置をさく岩ドリルに配設する。前記両制御装置は、両者間に配設されたデータ通信リンクを使用して互いに通信する。1つ以上のセンサをドリルに配設して、さく岩中のドリルの動作をモニタする。センサから受信した測定結果を第2の制御装置へ転送し、この制御装置は記憶装置および処理装置を含む。ドリルの基本設定値は、記憶装置に蓄積することができる。そこで処理装置は、センサから受信した測定情報および記憶装置に蓄積された基本設定値に基づいてドリルの動作状態を記述するパラメータを算出するように配設されている。第2の制御装置からは、さく岩装置の移送体に配設された第1の制御装置へパラメータを転送し、この制御装置は、ドリルの動作を駆動する弁または電気的制御要素などのアクチュエータを、第2の制御装置に与えられるパラメータおよび制御コマンドに基づいて制御し、ドリルの所望の動作状態を達成する。ドリルの現在の動作状態はドリルにおいてすでに定義されているので、移送体に配設された制御装置は、比較的単純なものにすることができる。その最も単純なものは、第1の制御装置は、所望のさく岩値を制御系に入力する制御要素である。個々のドリルの動作状態を定義する装置、すなわちセンサおよび第2の制御装置がドリルに配設されているので、ドリル全体の交換、または当初のドリルの後の修正は簡単であり、さく岩装置の制御系に困難な変更を生ずることはない。
【0009】
本発明の実施例の本質的思想は、第2の制御装置をさく岩ドリルの内部に配設し、これを衝撃や周囲の状況から保護することである。また、少なくともいくつかのセンサを制御装置の一部として併合し、制御装置およびセンサが両方でコンパクトな一体をなす。こうすれば、センサから受信した微弱な測定信号でさえ、第2の制御装置で受信することができる。そこで、概して、測定信号をより正確にすることができ、これによってドリルの正確な制御が可能となる。さらに、このタイプの制御装置は、ドリルの制御装置を後に更新する場合、交換が容易である。
【0010】
本発明の実施例の本質的思想は、第1および第2の制御装置の間に、CAN(制御系領域網)バスがあることであり、これによってドリルの多彩なモニタが可能となる。モニタによって、検出された欠陥や生じた欠陥を利用者に効率的に通知することができる。CANバスは、要求される条件に応じた信頼性のある方式である。
【0011】
本発明の実施例の本質的思想によれば、第2の制御装置は、第1の制御装置が自動的に読み取るように構成された識別子を含み、これによって、さく岩装置に接続されたドリルが常時、明確に識別される。こうして、将来のドリルの交換が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のさく岩装置の概略側面図である。
【図2】本発明のさく岩ドリルの概略側面図である。
【図3】本発明の制御系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0014】
明瞭化のため、本発明を各図に単純化して示す。同じ参照符号は同様な部分に使用する。
【0015】
図1に示すさく岩装置は、可動移送体1と、この移送体に対して可動に配設されたブーム2と、このブームの自由端に配設された給送ビーム3とを含む。いくつかの例では、給送ビーム3は、移送体1に直接、配設することができる。ドリル4が給送ビーム3に対して適切なアクチュエータによって移動可能である。
【0016】
図2はドリル4を示し、これは打撃装置5を含み、この打撃装置は、衝撃波をドリルに接続された工具6に与える。さらに、ドリルは通常、工具6をその長手軸を中心に回転させる回転装置7を含む。さく岩装置やドリルの全体構造および動作は、当業者に明瞭であるので、本明細書では詳述する必要はない。
【0017】
図3は、本発明の制御系の原理を示す。この制御系は、さく岩装置の移送体1に配設された第1の制御装置8を含む。さらに本制御系は、ドリル4または他の何らかの砕岩装置に配設された第2の制御装置9を含む。本明細書において、砕岩装置は、ドリルのみならず、砕岩ハンマなどの打撃装置を含む、他の何らかの装置をも意味する。第1の制御装置8と第2の制御装置9との間には、制御装置8、9の間で双方向データ通信を行なうデータ通信リンク10、好ましくはCAN(制御系領域網)バスがある。こうして制御装置8および9は、互いに情報を転送し、交換することができる。他の適切な固定データ転送路も適用可能である。ある場合には、制御装置間の無線リンクでさえも、可能である。
【0018】
第2の制御装置9は好ましくは、ドリルの本体4aの内部に配設され、その場合、周囲の状況および衝撃から保護される。厳しい作業環境に応じて、制御装置9の電子回路に面実装デバイスを使用することが有利であるが、それは、振動に比較的よく耐えるためである。振動の有害な影響は、制御装置9全体または少なくともその最も弱い部品を適切な弾性体20の内側に配置することによって、さらに減少させることができる。その構造およびドリル内部におけるその配置も、制御装置9が使用中、過熱しないように配置すべきである。
【0019】
第2の制御装置9は、記憶装置9aおよび処理装置9bを含む。各ドリルタイプごとの個々の基本設定値は、記憶装置9aに蓄積することができる。これらの基本設定値は、ドリルの構造およびサイズ等級による。基本設定値には、ドリルに使用する衝撃圧力、回転モータの体積流、フラッシュの体積流その他についての情報が含まれる。処理装置9bは、入力された情報を処理できるコンピュータ、プログラム可能な論理回路等を含む。さらに、1個以上のセンサ11、12が、好ましくは第2の制御装置9に接続されている。この場合、センサ11は打撃装置5の動作をモニタし、またセンサ12は回転装置7の動作をモニタするように構成されている。さらに、測定情報を第2の制御装置9へ別のセンサ15から送り、このセンサは、フラッシュ媒体の供給をモニタするように配設されている。
【0020】
制御コマンドおよび予定のさく岩計画を第1の制御装置に入力する。さく岩計画は、第1の制御装置8へ、その中にある操作装置16などのユーザインタフェースを使用することによって手操作で入力することができる。または、コンピュータまたはディスクケットなどの外部装置からロードすることもできる。さらに、第1の制御装置8は、さく岩装置1の外部にある第3の制御装置17に第2のデータ通信リンク18を通して接続することができる。そのような方式は、例えば自律装置の制御に適用することができ、その場合、第3の制御装置17は、鉱山の外の操作室に配設でき、ここから制御コマンドおよびさく岩計画を第1の制御装置8へ入力する。
【0021】
簡略な方法では、制御系は次のように動作する。すなわち、第1の制御装置8は第2の制御装置9に、命令、すなわちさく岩計画および制御コマンドに基づいて、ドリル4を各時間ごとにどのように動作させるべきかを指示する。ドリルの基本設定値およびそのときの状況、すなわち動作状態を考慮した後、第2の制御装置9は、第1の制御装置8に必要な動作を行なうのにどのような外部資源を必要とするかを指示する。したがってこれは、一種の帰還装置である。実際、第2の制御装置9の処理装置9bは、第1の制御装置8へ送るパラメータを形成し、第1の制御装置では、これらのパラメータを第1の制御装置8に入力された命令と比較する。この比較に基づいて、第1の制御装置8は、ドリル4の動作に関係するアクチュエータを制御する。図3に示す方式では、第1の制御装置8は、打撃装置5につながる圧力媒体路21に配設されている第1の弁19を制御する。さらに、第1の制御装置8は、回転装置7につながる圧力媒体路22に配設されている第2の弁30を制御する。給送シリンダ25につながる圧力媒体路24に配設されている第3の弁25、およびフラッシュ媒体路27に配設されている第4の弁27も、同様に制御される。さらに、ポンプ28および29も制御できる。例えば、打撃装置、回転装置、ドリルの給送およびフラッシュを制御することによって、ドリルは、各状況ごとに正確に所望の方法で動作することができる。
【0022】
公知の方式では、さく岩機の制御系は、1つのドリル形式専用に設計されている。後に生じ得るドリルの修正、または当初の構成とは出力もしくは他の特性の異なるドリルへの交換によって、さく岩装置全体の制御系に大きくて費用のかかる変更が生じていた。しかし本発明の方式では、様々なドリルを使用することができ、これは、さく岩装置に配設されたドリルを制御系が識別するからである。この識別情報は、第2の制御装置の基本設定値へ保存して、第1の制御装置がデータ通信リンクを通してこれを読むことができるようにしてもよい。または、第2の制御装置には、回路閉成等に基づく機械検出器を設けることもできる。ドリルの後の交換を容易にするため、さく岩装置の移送体に搭載された装置は、好ましくは様々な大きさのドリルに適した寸法である。
【0023】
図面およびそれに関連する記載は、本発明の思想の説明のみを企図するものである。本発明の細部は、特許請求の範囲内でのみ変化することができる。したがって、各図およびそれらの説明はさく岩機についての発明を記載するものであるが、本発明は、2次的砕岩装置などの打撃装置を含む他の砕岩装置にも適用することができる。さらに、打撃装置を圧力媒体、電力、または他の方法のいずれで動作させるかは、本発明の解決策とは無関係である。例えば、電動装置では、流体圧弁およびポンプでなく電気量を制御する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、該本体の内部に配設され砕岩装置に接続可能な工具に衝撃波を発生させる打撃装置と、装置の動作をモニタする1つ以上のセンサとを含む砕岩装置において、
該砕岩装置は制御装置を有し、
前記センサは、測定情報を該制御装置へ転送するように接続され、
該制御装置は、該砕岩装置の基本設定値を蓄積する記憶装置と、動作中、該砕岩装置の動作状態を記述するパラメータを前記基本設定値および測定情報に基づいて形成するように配設された処理装置とを含み、
前記制御装置は、該制御装置と該砕岩装置の外部の少なくとも1つの装置との間の通信を行なうデータ通信リンクへの接続を含み、該砕岩装置の動作を制御して該砕岩装置の所望の動作を行なうことを特徴とする砕岩装置。
【請求項2】
請求項1に記載の砕岩装置において、第2の制御装置が該砕岩装置の本体の内部に配設され、前記センサのうちの少なくともいくつかは、該制御装置の一部として一体化されていることを特徴とする砕岩装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−108676(P2009−108676A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5511(P2009−5511)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【分割の表示】特願2003−536586(P2003−536586)の分割
【原出願日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【出願人】(597044472)
【Fターム(参考)】