説明

砥石成形方法

【課題】成形手段による不要な砥石の切削量を低減させ、作業効率と砥石の寿命をより向上させることができる砥石成形方法を提供する。
【解決手段】成形手段TRと砥石Tとが接触していることを検出可能な接触検出手段ASと、成形手段に対する砥石の相対移動先の位置を検出可能な位置検出手段EZと、移動手段を制御する制御手段と、を用いて、回転している砥石を成形手段にて成形する砥石成形方法であって、制御手段は、成形手段に対して相対的に近づく方向に砥石を第1所定距離だけ接近させ、接近時における接触検出手段からの接触検出信号と位置検出手段からの位置検出信号を記憶した後、成形手段に対して相対的に遠ざかる方向に砥石を第2所定距離だけ移動させて成形手段と砥石とを離間させる第1のステップと、接近時に記憶した接触検出信号に基づいて、接近時において成形手段と砥石とが接触していたか否かを判定する第2のステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略円筒状の回転する砥石の成形をより適切に行うことができる砥石成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばボール溝を研削する研削盤では、略円筒状の回転する砥石を用いて研削しており、砥石の形状を転写するようにボール溝を研削している。そして砥石が摩耗した場合は、砥石を成形するためのツルア等の成形手段を用いて、砥石を成形している。
成形手段を用いて回転する砥石を成形する従来の砥石成形方法において、CBN砥石等の超砥粒砥石は非常に硬度が高く、且つ値段も高価であるので、成形による切削量を最小とするために、砥石の側または成形手段の側にAEセンサ(アコースティックエミッションセンサ)等を備え、砥石と成形手段とが接触した位置を検出しながら砥石の成形を行っている。この場合、図2(B)の処理手順に示すように、成形手段に対して砥石を相対的に所定距離だけ近づけて、当該位置にてAEセンサの検出信号に基づいて接触しているか否かを判定し、接触していると判定した場合はそのときの位置を読み込み、接触位置に基づいて成形手段に対する砥石の位置を制御して成形を行っている。
また、特許文献1に記載された従来技術では、砥石及びドレッサ(成形手段)に熱変位が生じても少ない切込み量で高精度の成形を行うことが可能であり、作業効率の向上と砥石寿命の向上を図ることができる砥石修正方法が開示されている。
なお、本願にて記載する「成形」は、砥石の形状を整えることと、砥石に含まれている砥粒を破砕して切れ刃を作る砥粒切れ刃創生をする(目立てする)ことの双方を含み、ツルアとドレッサを特に区別することなく「成形手段」と記載し、ツルーイングとドレッシングを特に区別することなく「成形」と記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−285963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来技術では、成形手段と砥石とが接触していることをAEセンサからの検出信号から求めているが、接触している場合は砥石と成形手段とが接触した状態で切込みが停止する。そして、接触しているか否かの判定時間中にも砥石が成形され、砥粒が平坦化して研削焼け等が発生する可能性がある。研削焼けが生じた場合は加工性能が低下するので、平坦化した砥粒の切れ味を回復するために、成形手段による砥石の切削量が増加し、成形時間が長くなるとともに砥石寿命が短くなる可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、成形手段による不要な砥石の切削量を低減させ、作業効率と砥石の寿命をより向上させることができる砥石成形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの砥石成形方法である。
請求項1に記載の砥石成形方法は、回転駆動される砥石と、前記砥石を成形可能な成形手段と、前記成形手段に対して前記砥石を相対移動させる移動手段と、前記成形手段と前記砥石とが接触していることを検出可能な接触検出手段と、前記成形手段に対する前記砥石の相対移動先の位置を検出可能な位置検出手段と、前記移動手段を制御する制御手段と、を用いて、回転している前記砥石を前記成形手段にて成形する砥石成形方法である。
そして前記制御手段は、前記成形手段に対して相対的に近づく方向に前記砥石を第1所定距離だけ接近させ、接近時における前記接触検出手段からの接触検出信号と前記位置検出手段からの位置検出信号を記憶した後、前記成形手段に対して相対的に遠ざかる方向に前記砥石を第2所定距離だけ移動させて前記成形手段と前記砥石とを離間させる第1のステップと、前記接近時に記憶した接触検出信号に基づいて、前記接近時において前記成形手段と前記砥石とが接触していたか否かを判定する第2のステップと、を有する。
【0006】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの砥石成形方法である。
請求項2に記載の砥石成形方法は、請求項1に記載の砥石成形方法であって、前記第1のステップにおいて、前記第1所定距離のほうが、前記第2所定距離よりも大きな値に設定されており、前記第2のステップにおいて、前記接近時において前記成形手段と前記砥石とが接触していたと判定するまで、前記第1のステップ及び前記第2のステップと、を繰り返し、前記第2のステップにおいて、前記接近時に前記成形手段と前記砥石が接触していたと判定した場合は、前記接近時に記憶した位置検出信号に基づいた位置を接触位置に設定し、前記成形手段に対して前記砥石を前記接触位置に基づいた位置に相対移動させて、前記成形手段を用いて前記砥石を成形する、砥石成形方法である。
【0007】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの砥石成形方法である。
請求項3に記載の砥石成形方法は、請求項1に記載の砥石成形方法であって、前記第1所定距離と前記第2所定距離は同じ値に設定されており、前記第2のステップにおいて、前記接近時に前記成形手段と前記砥石が接触していたと判定するまで、前記第1所定距離と前記第2所定距離を徐々に増加して、または前記第1所定距離と前記第2所定距離を固定して前記第1ステップにおける前記接近させる前の前記成形手段に対する前記砥石の位置を徐々に近くして、前記第1のステップ及び前記第2のステップと、を繰り返し、前記第2のステップにおいて、前記接近時に前記成形手段と前記砥石が接触していたと判定した場合は、前記接近時に記憶した位置検出信号に基づいた位置を接触位置に設定し、前記成形手段に対して前記砥石を前記接触位置に基づいた位置に相対移動させて、前記成形手段を用いて前記砥石を成形する、砥石成形方法である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の砥石成形方法を用いれば、接近時における接触検出信号と位置検出信号を記憶した後、直ちに砥石と成形手段とを離間し、記憶した接触検出信号を用いて接触していたか否かを判定する。
従って、砥石と成形手段との接触位置を求める際の、砥石と成形手段との接触時間をより短くすることができる。
これにより、成形手段による不要な砥石の切削量を低減させ、作業効率と砥石の寿命をより向上させることができる。
【0009】
また、請求項2または請求項3に記載の砥石成形方法によれば、砥石と成形手段との接触位置をより適切に求めることが可能であり、成形による切削量をより少なくすることができるので、作業効率と砥石の寿命をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の砥石成形方法を適用した研削盤1の一実施の形態の平面図(A)と右側面図(B)の例を説明する図である。
【図2】本発明の砥石成形方法の処理手順の例(A)と、従来の砥石成形方法の処理手順の例(B)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1(A)は、本発明の砥石成形方法を適用した研削盤1の平面図の例を示しており、図1(B)は、研削盤1の右側面図の例を示している。なお、図1(B)では、主軸台(右)DRを備えた主軸装置(右)の記載を省略している。また研削盤1は、ワークWのねじ溝を研削するねじ研削盤の例を示している。
またX軸とY軸とZ軸は互いに直交しており、Y軸は鉛直上向きを示しており、Z軸とX軸は水平方向を示している。そしてX軸はワーク回転軸方向を示しており、Z軸方向は砥石TがワークWに切り込む方向を示している。
【0012】
●[研削盤1の全体構成(図1(A)、(B))]
図1(A)及び(B)に示すように、研削盤1は、ワーク回転軸WZ回りに回転しているワークWに対して、砥石回転軸TZ回りに回転駆動される略円筒形状の砥石Tを相対的に移動させてワークWのねじ溝を研削する。なお、各可動体の位置等を検出して各駆動モータに制御信号を出力する制御手段(NC制御装置等)については、図示を省略する。
ワークWは、センタ部材CLを備えた主軸装置(左)と、センタ部材CRを備えた主軸装置(右)に両端(または両端近傍)が支持されている(センタ部材の代わりに少なくとも一方がチャックであってもよい)。
【0013】
主軸装置(左)は、基台BSに載置された主軸台(左)DLと、主軸台(左)DLに対してX軸方向に往復移動可能な主軸ハウジング(左)HLと、主軸ハウジング(左)HL内でワーク回転軸WZ回りに回転可能に支持された主軸(左)SLとを備えている。また、主軸(左)SLの一端にはセンタ部材CLが設けられている。
主軸(左)SLには図示しない駆動モータが設けられており、制御手段は、センタ部材CLの先端をとおるワーク回転軸WZ回りに主軸(左)SLを、任意の角速度で任意の角度まで回転させることができる。
なお、主軸台(右)DRを備えた主軸装置(右)も同様であり、主軸装置(右)については説明を省略する。
制御手段は、主軸(左)SLと主軸(右)SRを同期させて回転させることができる。
【0014】
また、基台BSには、X軸駆動モータMXにて制御されるボールねじNXの回転角度に応じて、ガイドGXに沿ってX軸方向の任意の位置に位置決めされる砥石スライドテーブル40が載置されている。制御手段はエンコーダ等の位置検出手段EXからの信号を検出しながらX軸駆動モータMXに制御信号を出力する。
砥石スライドテーブル40には、Z軸駆動モータMZにて制御されるボールねじNZの回転角度に応じて、ガイドGZに沿ってZ軸方向の任意の位置に位置決めされる砥石進退テーブル41が載置されている。制御手段はエンコーダ等の位置検出手段EZからの信号を検出しながらZ軸駆動モータMZに制御信号を出力する。
【0015】
砥石進退テーブル41には、砥石Tへの回転動力を発生させる砥石駆動モータMTが固定されている。
砥石駆動モータMTは駆動プーリ21に接続され、駆動プーリ21はベルト22を介して従動プーリ24に回転動力を伝達する。また従動プーリ24は砥石回転軸TZ回りに回転可能に支持された砥石軸部材12に接続されており、砥石軸部材12には略円筒状の砥石Tが接続されている。
また、砥石Tを成形可能な成形手段TRが、主軸ハウジング(左)HLに設けられている。そして成形手段TRは、砥石Tに転写する凹形状が外周面に形成されており、砥石回転軸TZと平行な回転軸回りに回転する。
制御手段は、回転する砥石Tと、回転する成形手段TRとを接触させて、成形手段TRに形成されている凹形状を砥石Tに転写(砥石Tは凸形状となる)するように砥石Tを成形することができる。本実施の形態の例では、成形手段TRとして、いわゆるロータリー総形ツルアの例を示している。
また成形手段TRには、砥石Tと成形手段TRとが接触しているか否かを検出するAEセンサ(アコースティックエミッションセンサ)等の接触検出手段ASが設けられている。なお、接触検出手段ASを設ける位置は成形手段TRに限定されるものではなく、砥石Tの側に設けてもよい。
【0016】
なお、図1(B)に示すように、砥石回転軸TZとワーク回転軸WZと成形手段TRの回転軸は平行であり、砥石回転軸TZとワーク回転軸WZと成形手段TRの回転軸は仮想平面MF上に位置している。この状態で砥石TをワークWに対して相対的に近づけていき、ワークWと砥石Tとが接触した位置における砥石Tの側の点を砥石研削点TPとする。そして砥石研削点TPは、成形手段TRを用いて成形する場合、成形手段TRとの接触点でもある。
【0017】
●[砥石Tを成形する処理手順(図2(A))と従来の処理手順(図2(B))]
次に図2(B)に示す従来の砥石成形方法の処理手順と、図2(A)に示す本実施の形態の砥石成形方法の処理手順について説明する。
[従来の処理手順(図2(B))]
図2(B)に示す従来の処理手順では、制御手段は、ステップS110にて、成形手段TRと砥石TのX軸方向の位置を一致させた後、成形手段TRに対して砥石Tを相対的に所定距離(例えば10[μm])だけ接近する方向(この場合、Z軸方向)に移動させる。
ステップS120にて制御手段は、接触検出手段ASからの接触検出信号を取り込む。
ステップS140にて制御手段は、取り込んだ接触検出信号に基づいて、砥石Tと成形手段TRとが(『現在』)接触しているか否かを判定する。接触している(Yes)と判定した場合はステップS145に進み、接触していない(No)と判定した場合はステップS110に戻る。
ステップS145に進んだ場合、位置検出手段(この場合、位置検出手段EZ)からの位置検出信号を取り込む。
そしてステップS160にて制御手段は、取り込んだ位置検出信号に基づいて砥石Tと成形手段TRとが接触する接触位置を求め、当該接触位置を基準位置として、成形手段TRに対して砥石Tを相対移動させて、適切な切込み量にて砥石Tを成形する。
以上に説明した従来の砥石成形方法では、砥石Tと成形手段TRとが接触している場合には、ステップS110〜ステップS145の処理の間、ずっと接触していることになる。砥石Tは通常、数千回転/分の高速で回転しているので、たとえ0.1[sec]長く接触しているだけでも、研削焼け等が発生する可能性がある。研削焼け等が発生した場合は、その分、多く研削して成形する必要があるので、成形時間が長くなるとともに、砥石寿命が短くなるので好ましくない。
【0018】
[本実施の形態の処理手順(図2(A))]
そこで、以下に説明する本実施の形態(第1〜第3の実施の形態)の砥石成形方法では、砥石Tと成形手段TRとの接触時間を可能な限り短くする。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では、図2(A)に示すフローチャートにおいて、砥石Tを成形手段TRに接近させる第1所定距離を、砥石Tを成形手段TRから離間させる第2所定距離よりも大きく設定している。
図2(A)に示す本実施の形態の砥石成形方法では、制御手段は、ステップS10にて、成形手段TRと砥石TのX軸方向の位置を一致させた後、成形手段TRに対して砥石Tを相対的に第1所定距離だけ接近する方向(この場合、Z軸方向)に移動させる。第1所定距離は、例えば20[μm]程度である。
そしてステップS20にて制御手段は、接触検出手段ASからの接触検出信号と、位置検出手段(この場合、位置検出手段EZ)からの位置検出信号を取り込んで記憶する。
ステップS30にて制御手段は、成形手段TRに対して砥石Tを離間する方向に第2所定距離だけ相対移動させ、成形手段TRと砥石Tとを離間させる。例えば接近時の第1所定距離よりも小さな10[μm]程度、離間する方向に移動させる。これにより、砥石Tと成形手段TRとが接触する場合であっても、ステップS10〜ステップS30の処理の間だけ砥石Tと成形手段TRとを接触させることで、砥石Tと成形手段TRとの接触時間を可能な限り短くすることができる。
【0019】
ステップS40にて制御手段は、ステップS20にて取り込んで記憶した接触検出信号に基づいて、ステップS20における(『過去』の)接近時の位置にて砥石Tと成形手段TRとが接触していたか否かを判定する。接触していた(Yes)と判定した場合はステップS60に進み、接触していなかった(No)と判定した場合はステップS50を経由してステップS10に戻る。
ステップS10に戻る場合、ステップS50にて、例えば成形手段TRに対する砥石Tの位置を微調整、または接近させる所定距離を微調整するが、第1所定距離のほうが第2所定距離よりも大きい場合は、繰り返す毎に砥石Tと成形手段TRとの距離が小さくなるので、特にステップS50にて微調整する必要はない。後述する第2及び第3の実施の形態に示すように、第1所定距離と第2所定距離が同じ場合はステップS50による微調整が必要となる。
ステップS60に進んだ場合、制御手段は、ステップS20にて取り込んで記憶した位置検出信号に基づいて、砥石Tと成形手段TRとが接触する接触位置を求め、当該接触位置を基準位置として、成形手段TRに対して砥石Tを相対移動させて、適切な切込み量にて砥石Tを成形する。
以上、ステップS10〜ステップS30が第1のステップに相当し、ステップS40、ステップS50、ステップS60が第2のステップに相当する。
【0020】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、図2(A)に示すフローチャートにおいて、砥石Tを成形手段TRに接近させる第1所定距離と、砥石Tを成形手段TRから離間させる第2所定距離とを同じ且つ可変に設定するとともに、ステップS40からステップS10に戻る毎に、ステップS50にて第1所定距離及び第2所定距離を徐々に増加させる点が第1の実施の形態とは異なる。以下、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
1回目のステップS10の処理では、成形手段TRに対して砥石Tを相対的に第1所定距離(例えば1回目は10[μm])だけ接近する方向に移動させる。
また、1回目のステップS30の処理では、成形手段TRに対して砥石Tを離間する方向に第2所定距離(例えば1回目は10[μm])だけ相対移動させる。
そしてステップS50にて、第1所定距離と第2所定距離を例えば10[μm]増加させる。つまり、1回目の処理では第1所定距離=第2所定距離=10[μm]であった場合、2回目の処理では第1所定距離=第2所定距離=20[μm]とする。
【0021】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、図2(A)に示すフローチャートにおいて、砥石Tを成形手段TRに接近させる第1所定距離と、砥石Tを成形手段TRから離間させる第2所定距離とを同じ且つ一定に設定するとともに、ステップS40からステップS10に戻る毎に、ステップS50にて成形手段TRに対する砥石Tの位置を徐々に近づける点が第1の実施の形態とは異なる。以下、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
ステップS10の処理では、成形手段TRに対して砥石Tを相対的に第1所定距離(例えば10[μm])だけ接近する方向に移動させる。
また、ステップS30の処理では、成形手段TRに対して砥石Tを離間する方向に第2所定距離(例えば10[μm])だけ相対移動させる。
そしてステップS50にて、成形手段TRに対する砥石Tの位置を、成形手段TRに近づく方向に第3所定距離(例えば10[μm])だけ移動させる。
【0022】
以上、本実施の形態にて説明した砥石成形方法では、従来の砥石成形方法と比較して砥石Tと成形手段TRとの接触位置の判定において、砥石Tと成形手段TRとの接触時間を可能な限り短くすることができるので、成形手段TRによる不要な砥石Tの切削量を低減させ、作業効率と砥石の寿命をより向上させることができる。
【0023】
本発明の砥石成形方法は、本実施の形態で説明した処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、研削盤1は、ねじ研削盤に限定されるものではなく、種々の研削盤に本発明の砥石成形方法を適用することができる。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
本実施の形態の説明では、成形手段TRの形状を砥石Tに転写する、いわゆる総形ツルアの例で説明したが、成形手段TRは総形ツルアに限定されるものではなく、砥石Tの周囲を移動するようにして成形するタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 研削盤
12 砥石軸部材
21 駆動プーリ
22 ベルト
24 従動プーリ
40 砥石スライドテーブル
41 砥石進退テーブル
AS 接触検出手段
BS 基台
CL、CR センタ部材
EZ、EX 位置検出手段
MT 砥石駆動モータ
MX X軸駆動モータ
MZ Z軸駆動モータ
GX、GZ ガイド
SL、SR 主軸(左)、主軸(右)
T 砥石
TP 砥石研削点
TR 成形手段
TZ 砥石回転軸
W ワーク
WZ ワーク回転軸



【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される砥石と、
前記砥石を成形可能な成形手段と、
前記成形手段に対して前記砥石を相対移動させる移動手段と、
前記成形手段と前記砥石とが接触していることを検出可能な接触検出手段と、
前記成形手段に対する前記砥石の相対移動先の位置を検出可能な位置検出手段と、
前記移動手段を制御する制御手段と、を用いて、回転している前記砥石を前記成形手段にて成形する砥石成形方法において、
前記制御手段は、
前記成形手段に対して相対的に近づく方向に前記砥石を第1所定距離だけ接近させ、接近時における前記接触検出手段からの接触検出信号と前記位置検出手段からの位置検出信号を記憶した後、前記成形手段に対して相対的に遠ざかる方向に前記砥石を第2所定距離だけ移動させて前記成形手段と前記砥石とを離間させる第1のステップと、
前記接近時に記憶した接触検出信号に基づいて、前記接近時において前記成形手段と前記砥石とが接触していたか否かを判定する第2のステップと、を有する、
砥石成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の砥石成形方法であって、
前記第1のステップにおいて、前記第1所定距離のほうが、前記第2所定距離よりも大きな値に設定されており、
前記第2のステップにおいて、前記接近時において前記成形手段と前記砥石とが接触していたと判定するまで、前記第1のステップ及び前記第2のステップと、を繰り返し、
前記第2のステップにおいて、前記接近時に前記成形手段と前記砥石が接触していたと判定した場合は、前記接近時に記憶した位置検出信号に基づいた位置を接触位置に設定し、前記成形手段に対して前記砥石を前記接触位置に基づいた位置に相対移動させて、前記成形手段を用いて前記砥石を成形する、
砥石成形方法。
【請求項3】
請求項1に記載の砥石成形方法であって、
前記第1所定距離と前記第2所定距離は同じ値に設定されており、
前記第2のステップにおいて、前記接近時に前記成形手段と前記砥石が接触していたと判定するまで、前記第1所定距離と前記第2所定距離を徐々に増加して、または前記第1所定距離と前記第2所定距離を固定して前記第1ステップにおける前記接近させる前の前記成形手段に対する前記砥石の位置を徐々に近くして、前記第1のステップ及び前記第2のステップと、を繰り返し、
前記第2のステップにおいて、前記接近時に前記成形手段と前記砥石が接触していたと判定した場合は、前記接近時に記憶した位置検出信号に基づいた位置を接触位置に設定し、前記成形手段に対して前記砥石を前記接触位置に基づいた位置に相対移動させて、前記成形手段を用いて前記砥石を成形する、
砥石成形方法。



【図1】
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【図2】
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