説明

破断可能壁を有するリザーバ内の製品のための保存及び放出装置

本発明は、破断可能壁を有するリザーバ(2)内に収容された製品を保存及び放出するための着脱可能な装置に関する。該装置は容器(5)に適応するストッパー(1)として形成され、該装置は、前記容器(5)と連通する中空分配管(12)に貫かれ、且つ前記容器(5)の首部(50)とジョイントし、さらに前記移動可能な第1の構成要素をそなえるキャップ(3)と、前記容器の首部(20)上あるいは該首部内に配置され、さらに前記移動可能な第2の構成要素をそなえる挿入部材(4)とをそなえる。前記キャップ(3)及び前記挿入部材(4)は可変容積のリジッド区域(10)を画定し、前記製品を収容した少なくとも1のリザーバ(2)と、前記容器(5)内に前記製品を放出するための少なくとも1の開口(11)を含む。
本発明はさらに、前記キャップ(3)及び挿入部材(4)を互いにより近くに移動させ、前記リジッド区域(10)の容積を減少させる手段に関する。該手段は前記キャップ(3)上の螺合部(30)及び該螺合部(30)と螺合する、前記首部(30)における螺合部(51)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破断可能な壁を有するリザーバ内に収容された製品を保存するための、及び該製品を使用の直前にその場で放出するための着脱可能な装置に関し、特に前記製品を放出して容器内に収容された基剤とその場で混合し、その後該混合物を分配させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製品は、官能特性を向上させる香味料や香料等の添加剤、あるいは化粧品や医薬品等に用いられる活性剤を含んでいる。
【0003】
しかしながら、これらの添加剤は一旦基剤と混合されると、時間の経過とともに化学反応による変質をともなう。
【0004】
この添加剤の変質は、添加剤と基剤との不安定な混合、あるいは添加剤と基剤との不適合が原因となって引き起こされる。
【0005】
上記の課題は特に化粧品において顕著である。例えば、染毛剤の臭気は該染毛剤を適用する人と、適用される人の両方に不快感をもたらす。
【0006】
この種の染料に一般的に用いられる組成物はアンモニアのような化学的活性剤を含んでいる。該アンモニアは一般的に、基剤の不快臭をマスキングするための香料及び他の消臭用組成物の劣化を早める。
【0007】
添加剤の特性を維持するために、添加剤を基剤とは別々に保存しておき、適用直前に添加剤と基剤を混合することは周知の技術である。
【0008】
この周知技術に関し、例としてフランス特許出願公開第2895378号には容器に保存された基剤に対し、芳香あるいは香気のある組成物を連続的に放出することが記載されている。
【0009】
上記特許出願に記載の装置は、容器のストッパーに被せるキャップとして形成されており、基剤が容器から放出される際の機械的作用あるいは化学的作用によって、カプセルに収容された芳香性組成物が該カプセルの破断とともに放出される構成を有する。
【0010】
しかしながら、上記のような装置は使用者によって制御することが出来ず、基剤が放出されている限りは、芳香あるいは香気のある組成物が進行的に放出される。
【0011】
したがって芳香のある組成物と基剤との混合を、適用前に適切かつ効率的に行うことはできない。
【0012】
さらに、芳香あるいは香気のある組成物が不均一に分配されるおそれがあり、それゆえ官能特性が失われた状態で最終的な製品が容器から放出される可能性が生じる。
【0013】
さらに前記装置は、製品を放出するためのノズルの先端に装着可能な先端部材として形成される。該先端部材は特異な形状を有するため、基剤を収容したパッケージと前記装置との組み合わせが問題となり、前記装置を市場で入手可能な任意の容器に装着することはできない。
【0014】
国際公開2004/024587号には、飲料容器のためのいわゆるスポーツキャップが開示されている。積層した3つの部材により中央軸方向に流路が形成され、該流路を通じて飲料が放出され、消費される。前記装置においては、消費の直前に飲料と混合出来るように、カプセル内に着色剤が封入される。前記3つの部材のうち第1の部材は容器の首部分にねじ止めされ、該第1の部材は着色剤を内包した少なくとも1のカプセルを収容可能なように形成されている。該第1の部材を開放すると、カプセルが破断した後放出された着色剤が飲料中に流入可能となる。第2の部材は前記第1の部材上を軸方向にスライドすることにより、前記カプセルを押し潰し、破断させる。この際使用者が第2の部材の縁に指で圧力をかけることにより、カプセルに対して軸方向圧力が加えられる。第3の部材はスポーツキャップのノズルに相当するものであり、該第3の部材が開位置と閉位置の2点間を移動することによりシステムが開閉可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】フランス特許出願公開第2895378号公報
【特許文献2】国際公開2004/024587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記装置における欠点の一つは、カプセルの早すぎる破裂を防ぐための安全部材を欠いている点である。例えば装置の運搬途中で、第1の部材と第2の部材が不時に接触してジョイントすることにより、カプセルが破裂する可能性がある。
【0017】
また前記装置の別の欠点は、体積が大きいという点である。例えば化粧品や医薬品を収容する容器は一般的により小さく、また細い首部分を有するため、前記したような形状を有する装置を飲料以外の分野で使用することは想定し難い。前記スポーツキャップは飲料容器に特化したものであるため、当業者であっても前記スポーツキャップを飲料以外の容器に使用及び/あるいは適用することは想到し難い。
【0018】
最後に、カプセルの破断が使用者の手力に依存している以上、カプセルの破断により実際に放出されるカプセル内の製品の量は使用者によって大きく異なり、さらに同一の使用者でも使用の度に異なる可能性がある。この再現性/再生産性における欠点は、医薬品あるいは化粧品への適用の際には大きな問題となる。さらに前記のようにカプセルの破断が使用者の手力によるものであるため、装置に使用するカプセルの破断耐性やカプセルの搭載数が著しく制限される。
【0019】
本発明は前記複数の欠点を解消することを目的とする。
【0020】
特に、本発明の第1の目的は、破断可能壁を有するリザーバ内の製品をパッケージング及び放出するための装置を提供することであり、前記装置により特に装置を保存及び運搬する際に前記リザーバの完全(安全)性が保たれ、また前記装置が簡易な形状を有することにより、多くの容器、例えば医薬品及び化粧品の分野で用いられるような小さなサイズの容器にも適用可能となる。
【0021】
本発明のさらなる目的は、使用者の自発的な動作によって前記リザーバの壁を容易に破断させること、またリザーバの内容物放出における再現性/再生産性を確実なものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的を達成するために、本発明は破断可能壁を有するリザーバ内に収容された製品を保存及び放出するための着脱可能な装置を提案する。該着脱可能な装置は、可変容積のリジッドチャンバ(以下チャンバを区域と訳す)を有し、該区域は前記製品を収容した少なくとも1のリザーバを有する。前記区域には前記装置から外部に製品を放出するための少なくとも1の開口が設けられる。該区域には少なくとも2つの構成要素が設けられ、該2つの構成要素が前記可変容積区域を制限しつつ互いに相対移動することにより、さらに該2つの構成要素がジョイントすることにより前記破断可能壁が押し潰され、カプセルが破断する。
【0023】
さらに詳しくは、前記装置は容器に適合する形のストッパーとして形成されるのが有利である。該ストッパーは以下の2つの構成要素を含む。
第1の構成要素は、前記容器の首部分に装着されるキャップである。該キャップの内部には前記容器と連通する中空の分配管が貫通しており、前記キャップは移動可能な第1の構成要素を有する。
第2の構成要素は、前記容器の首部分上あるいは首部分内部に設置可能な挿入部材である。該挿入部材は移動可能な第2の構成要素を有し、前記キャップと該挿入部材により前記可変容積のリジッド区域が画定される。さらに該キャップ及び挿入部材が互いにジョイントすることにより、前記破断可能壁が押し潰されて破断する。
前記ストッパーとして形成された装置において、挿入部材及び容器の首部に向かってキャップを移動させる手段がストッパーに設けられ、該移動手段が首部分側の螺合部と螺合する螺合部からなる点が特徴となる。
【0024】
前記リジッド区域の開口は、容器の内側に配置されるようにストッパーの一部分に設けられており、該配置により製品を容器内に放出することができる。
【0025】
前記装置は、有利には前記第1及び第2の移動可能な構成要素間の間隔を一定に保つ保持手段を有する。装置に適切な圧力が加えられると、前記保持手段が降伏し、前記2つの移動可能な構成要素がジョイント可能になる。
【0026】
前記挿入部材は底部から広がる中空円筒状の周壁を有する。該周壁の上端には容器首部分の上端位置に収まるカラーが設けられ、前記底部には容器内の製品を分配させるための開口が設けられる。
【0027】
ある特定の実施形態において、挿入部材の底部それ自体が移動可能な第2の構成要素として形成される。
【0028】
また別の特定の実施形態においては、キャップの底部の外側が、移動可能な第1の構成要素として形成される。
【0029】
前記ストッパーは、挿入部材及び/あるいは容器の首部分に向かってキャップを移動させる手段を有する。該手段は、有利には首部分側の螺合部と螺合する螺合部からなる。
【0030】
さらに別の実施形態においては、前記ストッパーは、有利にはキャップを挿入部材及び容器の首部分に向かって移動させる手段を有し、該手段は首部分側の螺合部と螺合する螺合部からなる。本実施形態において、挿入部材は首部分に(例として容器首部分の上端位置に収まるカラーにより)固定された状態を維持している。キャップを首部分に螺合することにより、キャップにおける移動可能な第1の構成要素が挿入部材における移動可能な第2の構成要素に向かって移動して、可変容積区域が漸次減少し、その結果1つのあるいは複数のリザーバが確実に押し潰され、該リザーバの内容物が完全に放出される。想定可能な他の圧壊方法、特に衝撃による圧壊と比べ、本発明に記載の螺合による圧壊に対しては、使用者の注力及び留意が最小限で済む。こうした利点により、リザーバの破断耐性が高まり、したがってカプセルに封入した製品をより完全に、より好ましい状態で保存することが可能になる。
【0031】
好ましくは、前記ストッパーは該ストッパーを貫いて容器と連通する中空の分配管を有する。
【0032】
前記少なくとも1の開口は、破断可能壁が破断する前後において少なくとも1のリザーバを前記可変容積区域内に保持可能なように適切な均衡で設計されている。
【0033】
ある特定の好ましい実施形態において、リザーバは破断可能壁を有する球状のカプセルである。
【0034】
この場合、開口は円形状であり、カプセルより小さい直径を有する。
【0035】
さらに変形例として、装置にはリザーバと等しい数の開口が設けられる。
【0036】
本発明はさらに、破断可能壁を有するリザーバに収容された製品を、基剤中へ放出する上記装置の使用方法に関する。前記基剤は、医薬組成物、薬剤、皮膚あるいは毛髪に用いられる化粧品組成物、食品、加工食品、栄養補助食品あるいは健康食品、個人用衛生用品、家庭用衛生用品、工業用衛生用品、植物薬品、殺虫剤の中から選択可能である。
【0037】
本発明はさらに、分配の直前にその場で混合可能なように2つの製品を保存するためのパッケージングに関する。該パッケージングは、第1の基剤を収容した容器と、放出される第2の製品を収容したストッパーからなる。該ストッパーは前記製品を封入した少なくとも1のリザーバを含む可変容積のリジッド区域を有し、該区域には少なくとも1の開口が設けられており、該開口を通じて製品が放出される。該可区域はさらに互いに相対移動可能な2つの構成要素を有し、該2つの構成要素が区域を画定することにより、前記2つの構成要素がジョイントし破断可能壁の破断を引き起こす。
【0038】
最後に、本発明は分配の直前にその場で混合された混合物の分配方法に関する。該方法は、リザーバの破断可能壁を破断させるのに適切な圧力を、本願に記載のパッケージングにおけるストッパーに適用する工程、基剤を収容した容器へと製品を放出する工程、放出された製品を基剤と混合する工程、及び容器から混合物を取り出し分配する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態を示す。
【図2】本発明の第2実施形態を示す。
【図3】本発明の第3実施形態を示す。
【図4】本発明の第4実施形態を示す。
【図5】本発明の第5実施形態を示す。
【図6】本発明のある変形例の詳細を示す。
【図7】本発明のある変形例の詳細を示す。
【図8】本発明のある変形例の詳細を示す。
【図9】本発明のある変形例の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明において、「リジッド」なる文言は、区域の機械的特性により、リザーバの完全性を維持し、破断可能壁が不時に破断して製品が放出されるのを防ぐための構造を表している。
【0041】
リザーバの破断と製品の放出は、複数の移動可能な構成要素がジョイントされた時にのみ起こり、該ジョイントは使用者によって制御可能である。
【0042】
本発明の装置は、有利には前記2つの移動可能な構成要素間の間隔を一定に保持する、あるいは前記2つの移動可能な構成要素を静止位置に保持する保持手段を有し、装置に適切な圧力が加えられると、前記保持手段が降伏し、前記2つの移動可能な構成要素がジョイント可能になる。リザーバが不時に破断するのを防ぐため、破断を引き起こすための適切な圧力は、強度(所定の閾値を超えた際に破断する)だけでなく、加圧の方向性によっても定義される。すなわち、装置の使用者による特定の動作、例えば回転、把握、加速あるいは軸方向加圧などの結果として破断可能となるように構成される。
【0043】
したがって適切な圧力とは2つの移動可能な構成要素をジョイントさせるのに十分でなければならず、同時に特定の閾値、すなわち平常時における装置の運搬、取り扱い及び保存等の状況下においてはリザーバの破断耐性を保証する閾値よりも強い圧力である必要がある。
【0044】
前記2つの構成要素を一定の距離に保つ前記保持手段は、例えば夫々の移動可能な構成要素上に設けられた雌雄形状であり、該雌雄形状が係合することにより2つの移動可能な構成要素がジョイントするのを防ぐことが出来る。
【0045】
本発明における「移動可能な構成要素」とは、互いに相対移動する2つの構成要素を示す。ある実施形態においては、一方の構成要素が固定された状態で、他方の構成要素が移動することにより、2つの構成要素がジョイントされる。
【0046】
本発明において、「押し潰す(圧壊)」とは、破断可能壁を破断させるために何らかの機械的動作によりリザーバに圧力を加えることを示し、加圧の手段は問わないものとする。特に、前記文言は尖鋭な部材による穿孔、挟圧、叩打等も含む。
【0047】
本発明における「基剤」とは、活性剤のための何らかのキャリアを示し、該キャリアは外気及び/または分配の直前に該キャリアと混合される別のキャリアとは分離された状態で保存される必要がある。
【0048】
有利には、基剤は液状であるのが望ましく、特にクリーム、乳液、ローション、ジェル、軟膏、ポマード、エマルション、ガス、個体分散体あるいは液体分散体である。
【0049】
基剤は医薬品あるいは化粧品のキャリアであってもよい。該基剤はそれ自体が活性物質を含有してもよく、あるいは使用の直前に放出される活性物質を運搬するための単なるキャリアとして構成されてもよい。
【0050】
本発明の適用においては、基剤は医薬組成物、薬剤あるいは皮膚や毛髪に用いられる化粧品組成物、例えば洗髪剤、染毛製品、縮毛矯正製品、その他毛髪繊維に作用するあらゆる製品あるいは脱毛クリーム等であってもよい。
【0051】
基剤は食品、加工食品、栄養補助食品、健康食品あるいは衛生用品、特に口腔衛生の維持に用いられる個人用衛生用品、特に洗浄剤、柔軟剤、殺菌剤を例とする家庭用あるいは工業用衛生用品であってもよい。さらに基剤は植物薬品、殺虫剤であってもよい。
【0052】
リザーバ内に収容された放出するための製品は、特に医薬品、化粧品、植物検疫、農業食品等の分野に適用される活性剤から選択可能である。好ましくは長期間に亘る保存下においては不安定な活性物質、あるいは調剤時に安定的に配合できない活性物質が選択される。
【0053】
栄養及び健康補助食品の分野においては、放出される活性剤は以下の限定的リストから選択可能である。すなわち、ルテイン、葉酸、(DHA及びARA等の)脂肪酸、果物及び野菜のエキス、ビタミン及びミネラルのサプリメント、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ、ググル、グルタミン、(イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン等の)アミノ酸、緑茶、リコピン、自然食品、添加物、ハーブ、植物由来の栄養補助食品、酸化防止剤、(果実油、亜麻仁油、魚油や海洋動物油の)成分フラボノイド、プロバイオティクスの中から選択可能であり、さらに生物学及び遺伝子工学による栄養及び健康補助食品、あるいは機能性食品であってもよい。
【0054】
上記の点に関し、“
The work of Roberts et al., Nutraceuticals: The Complete
Encyclopedia of Supplements, Herbs, Vitamins, and Healing Foods, American
Nutraceutical Association, 2001.”に記載の製品が参照可能である。
【0055】
放出される活性剤は香水産業における原料及び原料同士の混合物であってもよい。すなわち該活性剤は精油、アブソリュート、レジノイドあるいはコンクリートのような天然物であってもよいが、一方で香料の合成構成要素である、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、アセタール、ニトリルであってもよく、該合成構成要素は飽和化合物及び不飽和化合物、脂肪族化合物、硫黄化合物、アミノ基を含む化合物、カルボキシル基を含む化合物、環状化合物、複素環化合物を含む。
【0056】
本発明において、放出される製品は活性医薬剤及び/あるいは動物用薬剤であってもよい。すなわち該製品として、以下に述べる周知の薬効分類における薬剤の単独あるいは組み合わせを選択可能である。該薬剤は例えば、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、肥満治療薬、コルチコステロイド、エラスターゼ阻害剤、鎮痛剤、抗真菌薬、癌治療薬、心血管治療剤、抗炎症剤、制吐剤、不整脈用剤、(ペニシリンを含む)抗生物質制剤、抗凝固剤、抗うつ剤、糖尿病用剤、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧薬、抗ムスカリン薬、抗抗酸菌薬、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬、抗ウイルス薬、鎮静剤、(睡眠薬及び精神弛緩薬などの)抗不安薬、収斂剤、β遮断薬、血液製剤とその代替薬、強心剤及び陽性変力剤、造影剤、コルチコステロイド、(去痰薬及び粘液溶解薬などの)鎮咳薬、診断薬、画像診断薬、利尿薬、ドーパミン作動薬、止血剤、免疫剤、代謝異常治療薬、筋肉弛緩薬、副交感神経作用薬、カルシトニン及びビスホスホネート、副甲状腺剤、プロスタグランジン、放射性医薬品、(ステロイドを含む)、性ホルモン剤、抗アレルギー剤、甲状腺機能調整剤、血管拡張薬及びキサンチンである。
【0057】
本発明を他の場面で適用する場合、前記放出される製品は化粧品成分及び活性剤であってもよい。
【0058】
化粧品分野で使用される活性物質としては、例えば界面活性剤、化粧品油、ワックス、安定剤、防腐剤、遮蔽剤、感触及び流動性(粘性)調整剤、抗炎症活性物質、植物抽出物、酵母エキス、藻類エキス、ビタミン及びビタミン誘導体、ビタミン複合体、アミノ酸及びアミノ酸誘導体、(コレステロール、セラミド、擬似セラミド等の)生物活性脂質、消臭剤、制汗剤、抗フケ剤、(鉱物及び有機物由来の)紫外線フィルター、酸化防止剤、防虫剤、殺虫剤、皮膚に用いられる顔料着色剤、日焼け止め剤、(脱色剤などの)チロシナーゼ阻害剤、顔料、着色剤が典型的である。
【0059】
本発明を他の場面で適用する場合、放出される製品は有利には食品香料であってもよく、すなわち、例えば(夫々脂肪族、環状、直鎖状、分枝状、飽和あるいは不飽和、炭素環あるいは複素環の)炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、酸、アセタール、ラクトン、硫黄化合物及び窒素化合物の中から選択可能である。より一般的には、2000年7月18日付欧州委員会規則1565/2000号の附属書1に記載されている製品を参照可能である。
【0060】
本発明において、「カプセル」とは外殻及び中核部からなるリザーバを示し、該リザーバには放出するための単一のあるいは複数の製品が封入可能である。
【0061】
好ましくは、前記外殻の厚さは30μm〜500μmであり、さらに好ましくは100μm〜200μmである。
【0062】
前記カプセルの硬度は約1kg〜20kgであり、典型的には3kg〜6kgである。
【0063】
前記カプセルの容積は、封入する活性剤の種類によって多様である。例えば、球状のカプセルであれば一般的には1mm〜10mmの、好ましくは3mm〜7mmの直径を有する。
【0064】
本発明において、「着脱可能」とは例えば容器と蓋のように他の構成要素と組み合わせて使用可能な装置の状態を示す。該「着脱可能」な装置は、該装置自体の特性を変えることなく、さらに技術的問題に対する該装置の対応能力を変えることなく容器から取り外し可能である。したがって、本発明は前記装置そのもの、あるいは内部に製品が放出される容器のような他の構成要素と組み合わせた装置に関する。
【0065】
以下に記載する複数の実施形態において、前記装置は1のあるいは複数の球状カプセルを有している。しかしながらリザーバが他の形状を有する場合でも、本発明の範囲を超えるものではない。
【0066】
さらに、本発明における装置は複数種の活性剤を収容した複数のリザーバを有してもよく、前記複数の活性剤は単体で、あるいは組み合わせて使用可能である。
【0067】
同一の装置に含まれるリザーバの形状及び容積は、放出される活性剤の量に準じて同一あるいは異なっていてもよい。
【0068】
同様に、装置に含まれるリザーバの数量もまた、放出される製品の量に準じて異なってもよい。
【0069】
したがって、単一のあるいは複数の製品の性質及びパッケージングは、基剤の種類及び該基剤の放出先に準じて完全に調節可能である。
【0070】
特に有利には、前記装置は、芳香性組成物を基剤中に放出するという目的に適した容器と組み合わせて販売されるのがよい。
【0071】
上記の場合は特に使い捨てのパッケージングに当てはまる。該使い捨てとは、すなわち容器に収容された基剤を一度しか使用しない場合である。
【0072】
したがって、前記装置は着脱可能なストッパーの形状を有しており、すなわちあらかじめ容器に装着されているか、あるいは容器とは別々になっている。後者の場合は、使用者が使用の際にストッパーを容器に装着する。
【0073】
ストッパーはねじ留め、クリップ留め、連動連結等の適切な方法で容器に装着されるように構成されている。
【0074】
したがって、ストッパーは既存のあらゆる容器に対応可能である。
【0075】
さらに、小児が活性剤を誤って放出しないように、装置は安全システムを備える。したがって、前記装置が容器に着脱可能な容器である場合、活性剤は例として押し戻し動作(push-turn movement)によってのみ放出される。
【0076】
有利には、前記ストッパーはさらに該ストッパーを貫く中空の分配管を有し、該分配管は容器に連通している。したがって、放出された活性剤と基剤とが混合した後、ストッパーを容器から取り外すことなく、前記中空の分配管を通じて該混合物を分配することが出来る。
【0077】
好ましくは、装置の運搬中は中空分配管を密閉しておくのがよく、例えば使用者が混合物を分配したい時に折取可能な保護キャップによって中空分配管を密閉するのがよい。当然ながら、中空分配管の密閉には他の手段を用いることも可能である。
【0078】
通常は、リザーバの破断可能壁は破断の際に崩壊しないように設計されている。
【0079】
しかしながら、リザーバにおける破断可能壁の破片が、活性剤が放出される際に一緒に排出されないように、装置にフィルタを設けることが可能である。したがって、開口及び/あるいは中空分配管には、場合によってはフィルタあるいはスクリーンを設けることが出来る。該フィルタあるいはスクリーンは、当業者であれば、混合物を排出する際に前記破片が基剤中に排出されないような適切な均衡で設計することが出来る。
【0080】
下記実施形態において、前記装置は、香気付けあるいは香味付けのための基剤を収容した容器に着脱可能な装置であって、該装置を貫く混合物分配のための中空分配管を有する。しかしながら、前記装置は本願発明の請求の範囲を超えない程度で別の形態をとることも可能である。
【0081】
下記様々の数字において、同一の符号は同一の構成要素あるいは類似の機能を有する別の構成要素を示す。
【0082】
図1に示す本発明の第1実施形態において、ストッパーが有する前記2つの移動可能な構成要素が軸方向にジョイントすると、カプセルが押し潰され、該カプセルの破断可能壁を破断させる。
【0083】
装置は、容器5の首部50と係合するストッパー1として形成される。
【0084】
ストッパー1はキャップ3、挿入部材4、及び本発明の要旨における移動可能な第1の構成要素として機能する挿入部31を含む。
【0085】
キャップ3はおおよそ中空円筒状の周壁を有する。該キャップの一端の内側には螺合部30が設けられ、他端にはさらに分配管12が通じる端部32が設けられる。
【0086】
挿入部材4はおおよそU字形状であり、おおよそ中空円筒状の周壁42を有する。該周壁42の内側には、首部50の螺合部51に対応する螺合部40が設けられ、さらに該周壁42の外側には、前記キャップの螺合部30に対応する螺合部45が設けられる。
【0087】
上記の構成によりストッパー1は首部50を覆い、ストッパー及び首部は螺合部40及び51によって螺合される。
【0088】
挿入部材の底部44はカプセル内に封入された製品を放出するための開口11を有し、該底部44はさらに混合物を分配させるための、少なくとも1以上の穿孔状の開口41を有する。
【0089】
好ましくは、本実施形態のストッパー1は1の球状カプセル2及び挿入部材4を有し、該挿入部材4には、カプセル2を保持するのに適切な大きさの三葉形状を有する開口11が設けられる。挿入部材4の底部44は前記開口11とともに、本発明の要旨における移動可能な第2の構成要素として機能する。
【0090】
さらに、挿入部31がキャップ3の中空分配管12に挿入される。
【0091】
使用前に、ストッパー1はキャップ3をカプセル2と挿入部31との間隙が保たれるように挿入部材4に螺合されることにより組み立てられる。
【0092】
ストッパー1が容器5の首部50に螺合されると、挿入部31はキャップ3の移動に伴って挿入部材4へ向かって移動する。
【0093】
カプセル2の壁は、挿入部31と挿入部材4との間で押し潰されることにより破断する。
【0094】
すると、カプセル内に収容された製品は開口11を通じて容器5内に放出される。
【0095】
続いて使用者は芳香性組成物と基剤とを混合し、その後保護キャップ(不図示)を折取し、中空の分配管12の端部にある開口から混合物を分配する。該保護キャップは例えば端部32の先端に配置される。
【0096】
混合物を分配する際には、挿入部材4の表面に設けられた開口41を介し、さらに挿入部31とキャップの内壁との間の区域を通ってストッパーの中空分配管12から混合物を排出する。
【0097】
上記の配置により、混合物は十分に攪拌され、均質性が高まる。
【0098】
図2に示す本発明の第2の実施形態においては、ストッパー1はキャップ3及び挿入部材4を含む。
【0099】
挿入部材4には、容器の首部50における螺合部51に対応する螺合部40が設けられる。
【0100】
挿入部材4は複数のフィン46を有し、該フィン46同士の間に複数(図の場合は3つ)のカプセル2が配置される。
【0101】
挿入部材4は、夫々のフィン46とキャップの内壁との間に夫々のカプセルを収容する区域10が形成されるようにキャップ3に装着される。
【0102】
したがって、ストッパー1を首部50に螺合してジョイントすると、区域10の容積が減少し、フィン46とキャップの内壁との間でカプセルが押し潰される。
【0103】
すると、カプセル内に収容された製品は開口11を通じて容器内に放出される。
【0104】
混合物が生成されると、キャップを貫く中空の分配管12より分配される。
【0105】
図3に示す本発明の第3の実施形態においては、破断可能壁は穿孔されることにより破断する。
【0106】
本実施形態においては、ストッパー1はキャップ3と、1以上のカプセル2を含む挿入部材4と、本発明の要旨において移動可能な第1の構成要素として機能する挿入部31とを有する。該挿入部31には鋸歯状のリングが設けられる。
【0107】
キャップ3は、容器の首部における螺合部51に対応する螺合部30を有する。
【0108】
挿入部材4は開口11によって穿孔された底部44を有し、該開口11はカプセルよりも小さい直径を有する。穿孔された底部44の上面は、本発明の要旨における移動可能な第2の構成要素として機能する。
【0109】
さらに、キャップは挿入部31より小さな直径を有する中空円筒状の壁33を備える。
【0110】
ストッパー1が容器5の首部50に螺合されると、挿入部31は壁33の移動に伴って挿入部材4へ向かって移動する。
【0111】
上記移動により、挿入部31の鋸歯310がカプセルと接触し、カプセルを穿孔する。
【0112】
すると、カプセル内に収容された製品は開口11を通じて容器5内に放出される。
【0113】
挿入部材4は、キャップの端部32から混合物が分配される前に混合物を通過させる中空の分配管12を中央部に有する。
【0114】
図4に示す本発明の第4の実施形態においては、カプセルの破断可能壁は挟圧により破断する。
【0115】
ストッパー1は、キャップ3と挿入部材4との間に配置された変形可能な挿入部6を含む。
【0116】
キャップ3は端部32を有し、該端部を混合物分配時のための中空分配管12が貫いている。
【0117】
挿入部材4には、容器5の首部50における螺合部51に対応する螺合部40が設けられる。
【0118】
カプセル2は、挿入部材4のリジッド壁と前記挿入部6の壁における変形可能な領域とによって閉じ込められる。挿入部材4のリジッド壁と挿入部6の壁における変形可能な領域は、夫々本願発明の要旨における移動可能な第1の構成要素及び第2の構成要素として機能する。
【0119】
変形可能な挿入部6は一般的に中空円筒状であり、例えばSEBSのようなエラストマー材料からなる。
【0120】
前記挿入部6の周壁は、互いに直径方向に対向するように配置された2つの変形可能領域61を備える。該変形可能領域61は例えば周壁の薄い部分として形成されるか、あるいは比較的柔軟な素材で形成される。
【0121】
挿入部材4は、互いに同軸上に形成された少なくとも2の円筒壁を備える。
【0122】
挿入部材4の外側周壁と前記キャップ3により、変形可能領域61が形成され、使用者は該変形可能領域61に指で接触することが出来る。
【0123】
内側周壁は、互いに直径方向に対向するように、且つ挿入部材4のくぼみに対応する位置に配置された2つの開口11を備える。該開口11は前記カプセルの直径よりも小さい横幅を有する。
【0124】
カプセルが定位置に挿入された後、キャップ3と挿入部材4が、例えば溶接、クリップ留めあるいは他の適切な手段により堅く連結され、前記変形可能な挿入部6が保持される。
【0125】
変形可能な挿入部6は夫々変形しない堅固な部材であるキャップ3と挿入部材4との間に保持されるため、さらにキャップ3と挿入部材4におけるくぼみを介して、変形可能領域61に接触することが可能なため、変形可能な挿入部6は本発明の文脈におけるリジッド区域10を形成する。装置のこのような設計により変形可能領域は保護され、該変形可能領域が不時に変形してカプセルの破断が生じる危険性を抑えられる。
【0126】
使用者が変形可能領域61を挟圧することによって、カプセルの壁を破断することが出来る。カプセルが破断すると、芳香性組成物が開口11を通じて容器内へと放出される。
【0127】
人間工学的動作、すなわち親指と人差し指による挟圧によりカプセルの壁を破断するため、前記装置は直径方向に対向した多数のカプセルの使用に適している。しかしながら一方では、例えば1のカプセルのみの使用も想定可能である。
【0128】
さらに、前記装置は非対称であってもよく、したがって装置がカプセルを奇数個含むことも可能である。
【0129】
さらに、前記装置は複数の変形可能領域61及び開口11と対応する位置に複数種の活性剤を収容した複数のカプセルを有してもよく、その際放出させる活性剤の種類を使用者が選択することが出来る。
【0130】
図5に示す本発明の第5の実施形態においては、カプセルの破断可能壁は、十分な加速を伴う慣性質量によって生じる衝撃力により破断する。
【0131】
この目的を達成するために、カプセル2及び慣性質量400は、挿入部材4に設けられたおおよそ中空円筒状のハウジング402に挿入される。前記挿入部材4はキャップ3と対応する。
【0132】
パッケージングの際に容器内にハウジングが収容可能なように、ハウジング402の長さは容器5の深さよりも短く形成されている。
【0133】
中空円筒状のハウジング402は両端において閉鎖されている。一方で該ハウジング402は開口をそなえており、該開口を通じてカプセル内の芳香性組成物が容器5内へと放出される。該開口は例えば長軸方向スロット11として前記ハウジングの側壁に形成される。該開口の大きさの一部(すなわち本実施形態の場合ではスロットの幅)は、カプセルの直径よりも小さい。
【0134】
したがって、カプセルの大きさは、ハウジング402と慣性質量400との間に形成される内部区域10に規定される。
【0135】
慣性質量400は、例えばおおよそ中空円筒形状を有する。ハウジング402内を慣性質量がスライド可能なように、該慣性質量の円筒形状の直径はハウジングの内径よりもわずかに小さい。
【0136】
慣性質量400においてカプセル2の近傍に位置する方の一端は、卵形状である。
【0137】
さらに慣性質量400は、使用者がパッケージングを振った時にカプセル2の破断可能壁を破断可能な程度に十分な重量を有する。
【0138】
挿入部材4はキャップ3に取り付けられ、該組み合わせは容器5に適応可能なストッパー1を構成する。
【0139】
この目的を達成するために、挿入部材4はハウジング402に対して垂直に位置する底部44と、カラー43によって拡張された周壁41とをそなえる。該構成により、挿入部材4は容器の首部における上端52によって支持される。
【0140】
挿入部材4はプラスチック素材のモールド成型により、一体的に形成可能である。その際底部44とは反対側に位置する中空円筒状のハウジング402の一端は、カプセル及び慣性質量が挿入可能なように開口状態で形成される。該一端の開口はキャップ401によって密閉される。
【0141】
キャップ401及び慣性質量400は、夫々本発明の移動可能な第1の構成要素及び第2の構成要素として形成される。
【0142】
挿入部材4とキャップ3は、例えば接着剤による接着、溶接、クリップ留め等の手段により、脱落しないように結合される。
【0143】
キャップ3は容器の首部50を囲繞するおおよそ中空円筒状の周壁を有し、混合物を分配するための端部32によって拡張されている。例えば、該端部は保護キャップ(不図示)によって密閉されたノズルとして形成される。
【0144】
キャップ3の周壁の内側には、首部の螺合部(雄ネジ部)51に対応する螺合部(雌ねじ部)30が設けられる。
【0145】
パッケージングを使用する際に、使用者はストッパー1を容器の首部50に螺合し、続いて慣性質量400を軸方向、すなわち矢印F1及びF2の方向に摺動させるためにパッケージングを振動させる。すると慣性質量400がカプセル2に衝突し、数回の該衝突によりカプセルの壁が破断する。
【0146】
その結果、カプセルに封入された製品がスロット11を通じて基剤内へと放出され、前記放出された製品はパッケージングを振ることにより基剤と混合する。
【0147】
分配管の保護キャップを破断した後で、使用者は挿入部材4の底部44に設けられた開口41を通じて得られた混合物を分配する。
【0148】
本実施形態の装置は、芳香のある組成物を基剤内に放出する工程が、使用者の手による混合作用を伴うため、混合を最適化できるという利点を有する。
【0149】
他の利点及び特徴は、以下に述べる多様な変形例から導き出される。該多様な変形例は、分配装置の非限定例として図6、図7、図8、図9に示される。
【0150】
図6は、使用前、すなわち出荷時のままのパッケージングの側面図である。
【0151】
図7は、図6のJ−J断面図である。
【0152】
装置は2つの構成要素、すなわちキャップ3及び挿入部材4を含むストッパー1として構成される。該2つの構成要素の間にはカプセル2が配置される。前記図には球状カプセルが1つしか示されていないが、複数個のカプセルを配置することも可能であり、さらに該複数個のカプセルに夫々別の製品を封入することも可能である。さらに、場合によっては該複数個のカプセルの形状及び大きさが夫々異なっていてもよい。
【0153】
ストッパー1は容器5の首部50に螺合される。該容器には基剤が収容されており、カプセル2に封入された製品が放出されると、該基剤と混合される。
【0154】
ストッパー1には中空の分配管12が貫通しており、該分配管12は容器5の内部に突出し、容器5と連通している。
【0155】
キャップ3はノズルとして形成され、該ノズルは中空分配管12が貫通する中央端部32を有する。
【0156】
中空分配管12における、容器5とは反対側に位置する端部は保護キャップ34により密閉されており、該保護キャップは端部32と接続している。該接続領域は、例えば他の部分より薄肉に形成されており、したがって使用者の手で折り取ることが出来る。
【0157】
挿入部材4はおおよそU字形状であり、該U字形状はおおよそ中空円筒状に形成された周壁42と、開口11をそなえた底部44と、開口41を有する。前記開口11を通じてカプセル内に封入された製品が放出され、さらに中空分配管12を通過した基剤と製品の混合物が、前記開口41より分配される。挿入部材4の底部44は、本発明の要旨における移動可能な第2の構成要素として機能する。
【0158】
キャップ3には、中央端部32に加え、おおよそ中空円筒状の互いに同軸上に形成された2つの周壁36、37が設けられる。
【0159】
前記周壁のうち外側壁36の内側には、首部50の螺合部51と対応する螺合部30が設けられる。
【0160】
中間壁37の外径は、挿入部材4の周壁42の内径よりもわずかに小さくなっており、それにより挿入部材4をキャップ3に対して相対的にスライドさせることが出来る。
【0161】
キャップ3において、中間壁37と中央端部32とを連結する壁には少なくとも1の歯が設けられ、該歯は、カプセル2内の製品を放出するために挿入部材4に設けられた開口11とは反対側に位置している。該歯を有する壁38は、本発明の要旨における移動可能な第1の構成要素として機能する。
【0162】
装置の使用前においては、挿入部材4の周囲に設けられた山部371により、キャップ3及び挿入部材4との間には一定の距離が維持される。カプセル2の完全(安全)性を保持するために、前記挿入部材4は、キャップ3における中間壁37上の定位置に設置される。
【0163】
この移動抑制手段は、使用者によって適切な力が加えられると降伏し、その結果挿入部材とキャップがジョイントし、カプセル内の製品が放出可能となる。
【0164】
ここで示す例においては、中央端部32における、容器側に位置する先端の外周には、カラー35が設けられる。該カラー35は、挿入部材4の中央開口41の直径よりもわずかに大きい直径を有する。
【0165】
このようにして、カプセル2を収容するための堅固な区域10が形成される。
【0166】
有利には、挿入部材4の底部44に位置する開口11は、円形であり、かつ壺状に大きく広がった外形(flared profile)を有し、該形状によりカプセル2を対応する歯38の下部位置に維持することが出来る。
【0167】
図8は、使用に即したパッケージングの側面図である。
【0168】
図9は、図8のH−H断面図である。
【0169】
カプセル2に封入された製品を放出するために、使用者はストッパー1を容器5の首部位置に螺合し、その際中空円筒状の周壁42の外側に設けられたカラー43は、首部の上端52に接触して停止する。そこでこの状態からさらに螺合を続けると、キャップ3と挿入部材4がジョイントする。歯38がカプセル2の壁を破断し、該カプセルの内容物が開口11を介して容器5内に放出される。
【0170】
したがって、首部にストッパーを螺合するという一挙動により、カプセルの内容物を放出させることが出来る。
【0171】
この構成の利点は、カプセルの破断が使用者の力ではなく、螺合部の力によって生じる点であり、それゆえ異なる使用者による使用時でも、再現性のある結果を得ることが出来る。
【0172】
この構成により、従来技術と比べて高い破断耐性を有するカプセルを使用することが可能となり、したがってカプセルを装置に挿入する前における、該カプセルのパッケージング及び運搬が容易となる。
【0173】
放出された製品を混合した後、保護キャップ34が使用者によって折取され、中空の分配管を通じて混合物が分配される。
【0174】
本変形例は、香料組成物と化粧品基剤との混合、例えばアンモニアの臭気をマスキングする目的において、染毛剤に特に適している。
【0175】
しかしながら、この例は非限定的なものであり、少なくとも1以上のカプセルはいずれの前記活性剤を含んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断可能壁を有するリザーバ(2)内に収容された製品を保存及び放出するための着脱可能な装置であって、
前記製品を収容した少なくとも1の前記リザーバ(2)を含む可変容積のリジッド区域(10)と、
該リジッド区域に設けられた前記製品を放出するための少なくとも1の開口(11)と、
該リジッド区域に設けられた、互いに相対的に移動して前記可変容積のリジッド区域(10)を画定する第1及び第2の移動可能な構成要素と
をそなえ、
該第1及び第2の移動可能な構成要素が接合することにより前記破断可能壁が押し潰されて破断し、
前記装置は容器(5)に適応するストッパー(1)として形成される、破断可能壁を有するリザーバ(2)内に収容された製品を保存及び放出するための着脱可能な装置であって、
該装置は、前記容器(5)と連通する中空分配管(12)に貫かれ、且つ前記容器(5)の首部(50)と係合し、さらに前記第1の移動可能な構成要素をそなえるキャップ(3)と、
前記容器の首部(20)上あるいは該首部内に配置され、さらに前記第2の移動可能な構成要素をそなえる挿入部材(4)と
をそなえ、
前記キャップ(3)及び前記挿入部材(4)は前記可変容積のリジッド区域(10)を画定し、前記第1及び第2の移動可能な構成要素が接合することにより前記破断可能壁が押し潰されて破断し、
前記ストッパー(1)は前記キャップ(3)を前記挿入部材(4)及び前記首部(50)に向かって移動させるための手段をそなえ、該手段は前記首部(50)における螺合部(51)と螺合する螺合部(30)を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の移動可能な構成要素間に一定の距離を維持するための、移動抑制手段(371)をそなえ、前記第1及び第2の移動可能な構成要素がジョイントするのに十分な圧力が加えられた時に、前記移動抑制手段が降伏することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記挿入部材(4)は底部(44)から広がる中空円筒状の周壁を有し、該周壁の上端には前記容器の前記首部分の上端(52)位置に収まるカラー(43)が設けられ、前記挿入部材(4)の前記底部(44)には容器(5)内の製品を分配させるための少なくとも1の前記開口(11)が設けられることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記挿入部材(4)の底部(44)には、前記中空分配管(12)を介して混合後の製品を分布するための中央開口(41)が設けられることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記挿入部材(4)の底部(44)が前記移動可能な第2の構成要素として形成されることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記キャップ(3)は外側が前記移動可能な第1の構成要素として形成された底部を有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャップ(3)が挿入部材(4)の開口(11)と対向する位置に少なくとも1の歯(38)をそなえることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記破断可能壁が破断する前後において、前記少なくとも1の開口(11)が、少なくとも1のリザーバ(2)を前記リジッド区域(10)内に保持可能なように適切な均衡で設計されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記リザーバが前記破断可能壁を有する球状のカプセル(2)であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記開口(11)は円形状であり、前記カプセル(2)の直径より小さい直径を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記開口(11)と等しい数の前記リザーバ(2)をそなえることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記破断可能壁を有する前記リザーバ(2)内に収容された製品を基剤中に放出するための請求項1〜11いずれか1項に記載の装置を使用する方法であって、
該基剤は、医薬組成物、薬剤、皮膚あるいは毛髪に用いられる化粧品組成物、食品、加工食品、栄養補助食品あるいは健康食品、個人用衛生用品、家庭用衛生用品、工業用衛生用品、植物薬品、殺虫剤の中から選択可能であることを特徴とする装置の使用方法。
【請求項13】
2つの製品を分配の直前にその場で混合することを目的として該2つの製品を保存するためのパッケージングであって、
該パッケージングは、基剤と、
放出される製品を含むストッパーと
をそなえ、
該ストッパーは請求項1〜11いずれか1項に記載の装置によって定義されることを特徴とするパッケージング。
【請求項14】
分配の直前にその場で混合された混合物の分配方法であって、
該分配方法は、請求項13に記載の前記パッケージングにおける前記ストッパー(1)に対して適切な圧力を加え、前記リザーバ(2)の前記破断可能壁を破断させ、前記基剤を収容した前記容器(5)内に前記製品を放出する工程と、
該放出された製品を前記基剤と混合させる工程と、
該混合物を前記容器から外に分配する工程と
を含むことを特徴とする分配方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−508148(P2012−508148A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536013(P2011−536013)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065053
【国際公開番号】WO2010/055092
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511115675)
【氏名又は名称原語表記】STE DE THERMOFORMAGE ET D’INGECTION DES PLASTICS
【出願人】(511115686)
【氏名又は名称原語表記】V.MANE FILS
【Fターム(参考)】